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墓っ地・ざ・ろっく!

electronica

Ulver 『The Assassination of Julius Caesar』

Artist Ulver
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Album 『The Assassination of Julius Caesar』
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Tracklist

02. Rolling Stone
03. So Falls The World
04. Southern Gothic
05. Angelus Novus
06. Transverberation
07. 1969
08. Coming Home



1997年8月31日は、その年のパリの中で最も熱い夜のうちの1つであった。ちょうど夜半過ぎ、黒いメルセデスベンツは執拗なパパラッチの大群を牽引し暗い通りを急いで行く。車は猛スピードでアルマ橋トンネルに突入、直線の進行方向から大きくそれて13番目の支柱に衝突、金属のうなる声とともに、ウェールズ公妃ダイアナはその短い生涯を終える 。世界はその最も大きい象徴のうちの1つを失った。物語は、ギリシャ神話に登場する狩猟・貞潔の女神アルテミス(ローマ名ダイアナ)のエピソードに共鳴する。ある日のこと、猟師アクタイオンは泉で水浴びをしていたアルテミスの裸を偶然に目撃してしまい、純潔を汚された処女神アルテミスは激怒し、彼を鹿の姿に変え、そして彼自身の50頭の猟犬によってバラバラに引き裂かれる。この写真は、Ulverの13枚目のアルバム、『ユリウス・カエサルの暗殺』を描き映す。

『ディアナとアクタイオン』
Tizian_Diana_Aktaion

初期の頃はブラック・メタルとしてその名を馳せるが、今では一匹狼的の前衛集団として孤高の存在感を誇示し続ける、「ノルウェイの森の熊さん」ことガルム率いるUlverが、同郷のTromsø Chamber Orchestraとコラボした2013年作のMesse I.X–VI.Xや2014年にSunn O)))とコラボしたTerrestrialsなどのコラボ作品を経て、ミキシング・エンジニアにKilling JokeMartin Gloverを迎えて約3年ぶりに放つ通算13作目となる『The Assassination of Julius Caesar』は、それこそ80年代に一世を風靡したイギリスのDepeche ModeKilling Jokeに代表されるニューウェーブ/ポスト・パンクに対する懐古主義的な作風となっている。

Nero lights up the night 18th to 19th of July, AD 64

ブルータス、お前もか来た、見た、勝った。など数々の名言でもお馴染みの、古代ローマの象徴であり民衆のアイコンである英雄「ガイウス・ユリウス・カエサル」「暗殺」というキラータイトルの幕開けを飾る一曲目の”Nemoralia”は、別名”Festival of Torches”とも呼ばれ、8月13日から15日にかけて古代ローマ人が定めた、8月の満月にローマ神話の女神ダイアナに敬意を示す祭日である。上記の歌詞は、西暦64年7月19日、皇帝ネロ時代のローマ帝国の首都ローマで起こった大火災『ローマ大火』を指しており、「ネロは新しく都を造るために放火した」という噂や悪評をもみ消そうと、ネロ帝はローマ市内のキリスト教徒を大火の犯人として反ローマと放火の罪で処刑したとされる。この処刑がローマ帝国による最初のキリスト教徒弾圧とされ、ネロは暴君、反キリストの代名詞となった。ここでは、その女神ダイアナにまつわる祝い事とキリスト教徒弾圧、そしてThe Princess of Walesことウェールズのプリンセス「ダイアナの悲劇」を共振させ、歌詞中にあるHer sexual driveは1997年8月31日に起こったロマンスの都パリで恋人との官能的なドライブをほのめかし、彼女のBodies of the modern age(現代の洗練された肉体)」Flowers crown her head(彼女の頭にある花冠)」Ancient goddess of the moon(月の古の女神アルテミス)」であると語りかける。もう既にお気づきの方もいると思うが、今作のタイトルの『ユリウス・カエサルの暗殺』、そしてエマニエル夫人のように艶めかしい肉体、その女性特有の曲線美を映し出すアートワークは、他ならぬ「ダイアナ妃の暗殺」を暗示している。

『ローマ大火』
Robert,_Hubert_-_Incendie_à_Rome_-

約10分の長尺で2曲目の”Rolling Stone”は、民族的なパーカッションとゲストに迎えた同郷Jaga JazzistStian Westerhusによるノイジーに歪んだギターのエフェクト効果とUSのPhantogramを彷彿させる重低音マシマシのエレクトロが織りなす、ダンサブルかつグルーヴィな打ち込み系のリズム・サウンドで幕を開け、その重心の低いダーティなビート感を持続させながら、Rikke NormannSisi Sumbunduという二人の女神とガルムによる古き良きムード歌謡風のデュエットを披露する。そして、後半に差しかかるとピコピコ系のエレクトロニカにバグが生じ始め、ドラムの粗暴なブラストとサックス界の生ける伝説ことニック・ターナーによるサックスが狂喜乱舞し、例えるならJaga JazzistKayo Dotを一緒にブラックホールにブチ込んだような混沌蠢く、とにかくアヴァンギャラスに暴走して化けの皮が剥がれ落ちて、遂には出自そのものが顕になって笑う。

3曲目の”So Falls the World”は、繰り返し鳴り響くロマンチックなピアノとエレガントなシンセが情緒的かつ優美な音世界を描き映す曲で、しかし終盤に差しかかると場面が一転する。それはまるで、Chvrchesローレン・メイベリーとガルムが互いに手を取り合って、それこそ映画『美女と野獣(熊)』の如く今にも踊り出しそうな、官能的かつダンサブルなビートを刻むダンス・ミュージックが、まるで「闇へと踊れ」とばかり聴く者の心を暗躍させる。まさか同郷のSusanne SundførRöyksoppとツルんでエレクトロニ化したのはこの伏線だった・・・? この曲に関連してちょっと面白いと思ったのは、ギリシャ神話ではアルテミスは古くは山野の女神で、野獣(特に熊)と関わりの深い神とされているところで、いやそれもう完全にガルムのことじゃんwって笑うんだけど、だからこの曲はそのギリシャ神話および女神アルテミスとUlverの関係性を密に表していると言っても過言じゃあない。

Depeche ModeKilling Jokeをはじめとした往年のニューウェーブ/ポスト・パンクを彷彿させる、過去最高にポップテイストに溢れたガルムのボーカル、ダイナミックなリズム&ビートを刻むドラム・サウンド、そしてギタリストDaniel O'Sullivanによるオルタナ然としたギターが、クラップやストリングスおよび打ち込みを交えながらキャッチーに展開する4曲目の”Southern Gothic”は、”80s愛”に溢れた今作のカギを握るキラートラックであり、中期の傑作『Shadows of the Sun』を彷彿させるガルムのダンディボイスとトリップ・ホップ風のトラック、そしてミニマルでリリカルなメロディが静かに気分を高揚させていく5曲目の”Angelus Novus”、往年のシンセ・ウェーブ然としたゆるふわ系のイントロから、再びDaniel O'Sullivanによってかき鳴らされるオルタナ然としたギターをフィーチャーした6曲目の”Transverberation”、ここまでの中盤はキャッチーなポップさとオルタナ的なアプローチを強調した流れを見せる。

再び女神を演ずるSisi Sumbunduとガルムがムード歌謡的なデュエットソングを披露する7曲目の”1969”、そしてDag Stibergによるサックスと時空の歪みで生じるヘヴィなエレクトロニカをフィーチャーしたSpoken wordを繰り広げる8曲目の”Coming Home”を最後に、Ulverという名の狼は強大なワームホールを形成し、人類の新たなHOMEとなるシン・次元へと導き出す。

同郷のTromsø Chamber Orchestraと共演した前作の『Messe I.X–VI.X』というクラシカルな傑作を出した彼らが、一転して今度は「踊らせ系」のシンセ・ウェーブへと様変わりし、とにかく「ポップ」で、正直ここ最近のアルバムの中では最も分かりやすいキャッチーな作風となっている。しかし、その裏に潜む作品の「テーマ」は極めて複雑怪奇となっている。確かに、この手のエレクトロニカ/インダストリアル系というと、初期メンバーから一新して生まれた中期の傑作『Perdition City』辺りを彷彿させるかもしれないが、しかしそれとは近いようでいてまるで別モノで、どっちかっつーとムード全振り感は同じく中期の傑作『Shadows of the Sun』に通じるモノがあるし、極端な話その『Shadows of the Sun』を豪快にポップ・サウンドに振り切った感覚もなきにしもあらずで、そして『あの時代』と『音』と『文化』を身をもって知っているKilling JokeMartin Gloverをエンジニアとして迎えている所からも分かるように、その音自体はコッテコテなくらい80年代のUKサウンドをリバイバルしている。そのポスト・パンク/ニューウェーブ的という意味では、ギタリストDaniel O'SullivanのユニットMothliteの2nアルバムDark Ageの方がイメージ的に近いかもしれない。

あたらめて、このアルバムは今からちょうど二十年前の『8月』に起きた「ダイアナの悲劇」をギリシャ神話の女神アルテミスと重ね合わせ、そして二人の『魂』を時空を超えて共鳴させた芸術的な作品だ。もっとも面白いのは、狼は女性神に支配される属性とされ、月が女神として信仰されているところで、今作で例えると狼は他ならぬUlverであり、月の女神はアルテミスに他ならない。つまり、”Nemoralia”が開かれる『8月』の満月の夜にUlver「月の犬」である狼マーナガルムへとその姿を変え、『現代(modern)』を司るダイアナ妃という『大衆(popular)』のシンボルを通して、すなわち「月の女神」であるアルテミス(ダイアナ)と誓約を交わし、そして古代ローマの偉人『ユリウス・カエサルの暗殺』を経由して『ダイアナの暗殺』を暴き出している。狼は『音楽』という名のワームホールの中で、『絵画』の中で描かれる『神話』『過去』『歴史』『現在』『大衆文化』を一つに結合するという、月の女神に従える化身としての使命を果たしているのだ。これらの衝撃的な事実に気づくと、この作品がただの懐古主義の一言で片付けられるアルバムではなく、いかにトンデモナイことしでかしてる『歴史』的名盤なのかが分かるハズだ。これぞ「オルタナティブの極地」だし、ガルムは間違いなく熊界最強の熊だと思う。

The Assassination Of Julius Caesar
Ulver
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Boom Boom Satellites 『Shine Like a Billion Suns』

Boom Boom Satellites

Album 『Shine Like a Billion Suns』
Shine Like a Billion Suns

Tracklist
01. Shine
02. Only Blood
03. Complicated
05. Vanishing
06. Back In Black
07. The Moth (Attracted to the Flame)
08. Blind Bird
09. Overcome
10. Stain
11. Emergence
 
BBS≒NEXT-ANATHEMA ・・・俺的ラブメイト・ランキング暫定トップのヒロミ・ヒロヒロ擁するtricotを目当てに行った、Boom Boom SatellitesのライブツアーFRONT CHAPTER Vol.4を観たことで、最新作の『Shine Like a Billion Suns』がいかに驚異的で先進的なアルバムだったのかを、心の底から理解することができた。まず何が驚いたって、ライブでもその幕開けに相応しい神秘的な存在感を放っていた、アルバムのオープニングを飾る”Shine”からして、それこそANATHEMAの10thアルバム『Distant Satellites』の表題曲、あるいは7thアルバムの『A Natural Disaster』を彷彿とさせるレディオ・ヘッド流れのUKサウンドにニヤリとさせ、まずここで「ANATHEMAの『Distant Satellites』はPost-JPOPだッ!」という俺の解釈を暗に証明してみせる。そして、先日のライブでも序盤のハイライトを飾った”A Hundred Suns”では、それこそ【テクノ×Djent】の融合という他に類を見ない前代未聞の事をやってのけ、これだけでBBSが只者じゃないバンドだという事を証明する。実際に、先日のライブで聴いても「やっぱこれDjentだわ」って思ったのだけど、あらためて音源で聴いてもDjent以外ナニモノでもない名曲で、しかもこのCynicTexturesを連想させる"ジェント・リーズム"を叩いてるのが福田洋子さんとかいう女性ドラマーってのが更に驚きで、どうせだから今回の縁を機にtricotの次のアルバムに参加してガチのDjentやって欲しいと思っちゃったんだからしょうがなくない?・・・で、続く5曲目の”Vanishing”では、スティーヴン・ウィルソン”Harmony Korine”を彷彿とさせる、空間の響きを意識した轟音的なダイナミズムを展開し、今作で最もヘヴィなリフを主体としたインダストリアル・ロックの”Back In Black”、そして”Only Blood””A Hundred Suns”とともにライブのハイライトを飾った”Blind Bird”では、それこそSWのサイドプロジェクトNo-Man等のPost-Progressive勢をはじめとした、いわゆるPost-Musicに精通する幽玄かつ繊細緻密な展開力を発揮していき、このアルバムのハイライトとしてその絶対的な存在感を誇示する。で、まるでCynicばりの恍惚感溢れる神秘的な輝きを解き放つボーカル曲の”Stain”、その流れを汲んだアルバムの終わりを迎えるに相応しい”Emergence”まで、個々の楽曲で聴かせる部分は勿論のこと、【神秘的な序盤/ハイライトを飾る中盤/恍惚と余韻を残す終盤】という起承転結を効かせた一つの作品としての完成度は、活動休止を余儀なくされた彼らが復活を遂げるまでのエモい物語とオーバードライブするかのような、その圧倒的な音(生命)エネルギーに集約されている。
 

引力、即ち音楽ッ! ・・・ロックバンドとしてのドライブ感かつタイトな側面とエレクトロ使いとしてのシャレオツなグルーヴ&ダンス・ビート感を絶妙なバランスで両立させた、実に巧妙かつポスト-センスフルなオルタナティブ・ミュージックを展開している。このアルバム、とにかく”Post-Progressive”に精通する要素が驚くほど多くて、それこそKscopeに所属してても全くおかしくない内容で、もはやANATHEMAと対バンしても違和感ないくらいだ。しかしこうなってくると、このアルバムのサウンド・コンセプトというか、音のバックグラウンドが気になって気になってしょうがない小宮山。そして何よりも、随所で垣間見せる福田洋子さんのDjent然としたドラム・ビートにド肝を抜かれること請け合いの一枚だ。つまるところ、表向きは(そのサウンド・ステージには違いはあるが)いわゆる"踊らせ系"同士の共演でありながら、裏では"Post-系"同士の共演でもあった、だからBBSのライブにtricotが呼ばれるのは必然的な出来事だったと、このアルバムを聴いたら妙に納得してしまった。そして、そのライブに日本における”Post-Progressive”界の宣教師()である僕が導かれた、というのは果たして偶然だろうか・・・?いや...引力、即ち音楽だッ!

・・・これは余談だけど、あのねごともソニー関連でこのBBSもソニーで、ANATHEMAも過去にソニー傘下のMFNに在籍していたって事を考えると、何か面白い事実が見えてくるんじゃないかって。ちなみにおいら、ねごとがここから更に化けるには、ANATHEMA”Distant Satellites”みたいな徹底してミニマル宇宙な曲が書けるかがカギになると思ってて、今のねごとにはそれが実現可能な高いポテンシャルに満ち溢れている。
 
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Lunatic Soul 『Walking on a Flashlight Beam』

Artist Lunatic Soul
Lunatic Soul

Album 『Walking on a Flashlight Beam』
Walking on a Flashlight Beam

Tracklist
01. Shutting Out The Sun
02. Cold
03. Gutter
04. Stars Sellotaped
05. The Fear Within
06. Treehouse
07. Pygmalion's Ladder
08. Sky Drawn In Crayon
09. Walking On A Flashlight Beam

マリウス・デューダ≒京 ・・・おいら、DIR EN GREY”サVカル系男子”こと率いるsukekiyoに最も親和性のあるバンドって、実はRiversideのフロントマンマリウス・デューダ君のソロ・プロジェクト、Lunatic Soulなんじゃねーかと思ってるんだが、例えばsukekiyoの1stアルバム『IMMORTALIS』の一曲目”elisabeth addict”Lunatic Soulの1stアルバム『S/T』だとするなら、二曲目の”destrudo”Lunatic Soulの2ndアルバム『Lunatic Soul II』みたいなイメージを持っていて、このLunatic Soulといえば→初期こそアコギ/パーカッション/ピアノを中心に、フルート/カホン/カリンバ/古筝などのオリエンタルな楽器を擁して多彩なアレンジを効かせた、いわゆる”Post-Progressive”然とした音響意識の高いアンビエント・ロックやってて、しかし3rdの『Impressions』からは初期二作のロック色は薄まって、俄然アンビエント寄りのモダンでアトモスフェリックなミニマル・ミュージックへと変化していった。そして、前作から約二年ぶりとなるこの4thアルバム『Walking on a Flashlight Beam』では、まさしくマリウス・デューダという人間のPorcupine Tree愛、すなわちスティーヴン・ウィルソン愛がバクハツするかのような、それこそSWの一番弟子としてのポテンシャルが宇宙の如く無限大に広がるような、前作のアンビエント路線が更に極まって、俄然スケール感が増した力作となっている。

SW愛 ・・・彼マリウス・デューダSW愛というのは、本家のRiversideを聴けば嫌ってほど分かるし、当然これまでのソロ作品にもその影響はあった。しかし、ここまで露骨なSW愛が込められたアルバムはなかったように思う。そんな彼の異常なまでのSW愛は、この『Walking on a Flashlight Beam』の幕開けを飾る”Shutting Out the Sun”を聴けば顕著で、それこそ彼が敬愛しているPTの1stアルバム『The Sky Moves Sideways』や2nd『Signify』を連想させる、さざ波のSEをバックにモダンなエレクトロが荘厳かつ神秘的な雰囲気を醸し出し、聴き手を誘惑するかのようなマリウスの深みのある歌声と実験音楽的な音使いをもって、それらを全て飲み込んで宇宙規模のATMSフィールを広域に展開していく。次の#2”Cold”では、より仏教的な音響やレーベルメイトの某TesseracTの名曲を彷彿とさせるアルペジオを駆使した、トリップ感あふれるミニマルなエレクトロニカ/アンビエント・ミュージックを繰り広げ、独特の”ウネり”を効かせた持ち前のグルーヴィなギター・ベースを軸に、マラカスなどのエスニックな楽器や胸に染みわたるマリウスの叙情的な歌声が妖艶に絡み合い、それこそTool直系の妖しい呪術を唱えるかのような#3”Gutter”、まるで気分は宇宙空間を彷徨うサンドラ・ブロックなATMS系インストの#4”Stars Sellotaped”、いくつもの狂気的な音響が重なりあって小さなブラックホールを形成するかのような、まるで地下鉄に一人取り残されたような不安感に苛まれる#5”The Fear Within”、レーベルメイトの中期ANATHEMAやレディへを連想させるUKミュージック的なモダンな音使いとレトロフューチャー感のあるオルガンが織りなす#6”Treehouse”は、初期椎名林檎†††に通じるフェミニンでアンニュイなムードを纏った、それこそ薄暗い雲に覆われた始まりから徐々に優美な光が差し込むような、これぞPost-Progressiveな、まさしくK-Scopeサウンドを垣間みせる。その流れを継いで、艶美なエレクトロとOpethあるいはStorm Corrosion譲りのダーティなアコギが暗黒街主催のエレクトリカルパレードを奇しく彩る行進曲のような#7”Pygmalion's Ladder”への流れは今作のハイライトで、そのままアルペジオ主体の#8”Sky Drawn In Crayon”から、再びIsisばりの”Post-感”あふれるモダンな音響主体の表題曲の#9”Walking On A Flashlight Beam”を最後に、この物語『SW♥LOVE♥ビーム!』は幕を閉じる。

マリウス×SW ・・・今思うと、本家Riversideの5thアルバム『Shrine of New Generation Slaves』のボートラとして収録された、実験的なインストナンバーの”Night Session”が今作への伏線だったのかもしれない。UKミュージック風のモダンなエレクトロを大胆に取り込むことで、大幅な音の洗練とスケール・アップが図られ、1stアルバムの”Out on a Limb”をルーツとしたLunatic Soulらしいダーティなオリエンタリズムと、その首謀者マリウス・デューダとかいう人物に宿る深い闇がクロスオーバーした末に産み落とされた、それこそトラヴィス・スミスが手がけたアートワークのように、無数の音がクロスしてパノラマの如く眩い光を放つイメージが直に伝わってくるかのような、まるでスティーヴン・ウィルソンに対するマリウス君の歪んだ愛情がそのまま歪んだAtmosphereへと変貌したかのような一作だ。その長年のSW愛が認められたのか、遂にマリウス君とスティーヴン・ウィルソンのコラボが実現するに至った。これは26歳の若さで亡くなったアレックという青年(ファン)のリクエストがキッカケで、アレックが歌詞をマリウスが曲を書いて、それをSWに持ち寄って実現したコラボだ。しかし残念ながら、このコラボ曲が完成する前にアレックは他界。。。ともあれ→このLunatic Soulは1st以降右肩下がりな感じが否めなかったが、このアルバムでまた挽回してきた感じする。それくらい、かなりのSW愛即ちLOVEが込められた力作なんです。

Walking on a Flashlight..
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Lunatic Soul
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Animals as Leaders 『The Joy of Motion』

Artist Animals as Leaders
Animals as Leaders

Album 『The Joy of Motion』
The Joy of Motion

Tracklist

01. Ka$cade
02. Lippincott
03. Air Chrysalis
04. Another Year
05. Physical Education
06. Tooth And Claw
07. Crescent
08. The Future That Awaited Me
09. Para Mexer
10. The Woven Web
11. Mind-Spun
12. Nephele

【スーパー中学生バンドの親玉】・・・Djent界の第一人者ことミーシャ・マンソーすなわち”Bulb”の盟友であり、ソニーと一億円で大型契約したスーパー現役中学生バンドの親玉こと、インテリ系ギタリストトシン・アバシ率いるAnimals as Leadersの約三年ぶりとなる3rdアルバム『The Joy of Motion』は、今最もイケイケな新鋭レーベルとして知られるSumerian Recordsへ移籍しての第一弾。

【二作目のジンクス】・・・何やら昨今のDjent界には”二作目のジンクス”という言葉が流行っているらしく(当ブログ調べ)、2009年にセルフタイトルの『Animals as Leaders』で鮮烈なデビューを飾った彼らも例外でなく、2011年にリリースした2ndアルバムWeightlessがミニマルでエレクトロニックなアプローチを強めた”Post-Djent”な作風で、ジェント大好き通称Djentlmenの間で賛否両論を呼んだ。最近では、そのジェント界に蔓延る呪いを乗り超えたTesseracTの傑作Altered Stateが記憶に新しい。そのTesseracTAnimals as Leadersは一緒にツアーを回るほどの親友であり、一方で良きライバルでもある。

【原点回帰】・・・そんなわけで、かのスメリアンに移籍しての3rdアルバム『The Joy of Motion』はどうだろう。本作の幕開けを飾る”Ka$cade”から、脳幹を活性化させるようなキレ味鋭いスリリングで知的な高速リフ回しやトシン・アバシによるオシャンティなソロワークを中心に、展開力というよりスケール感のある複雑かつ緻密な構成力で聴かせる実にAaLらしいバカテクナンバーで、その強烈な幕開けからスウェーデンのVildhjartaを彷彿とさせるミステリアスなキーボードと沈み込むような極悪ヘヴィネスに圧倒される”Lippincott”GTA5の舞台でもあるアメリカ西海岸から朗らかで爽やかな風を運んでくるかのような癒し系メロディをフューチャーした、と同時にスラッジーな轟音ヘヴィネスをも取り込んだミニマリズム主体の#3”Air Chrysalis”や続く#4”Another Year”では、『Carbon-Based Anatomy』CynicCloudkickerリスペクトなジャズ/フュージョン・パワー全開のチルいインストゥルメンタルを、まるで”ビッグブリッヂの死闘”ばりの勢いで繰り広げている。ここまで序盤の流れを聴けば、今作は1stアルバムを踏襲した作風だという事が理解できる。今回、その1stへ原点回帰した主な要因としては、やはりその1stを手がけたPeripheryミーシャ・マンソーが作曲に大きく関わっている所だろう。それ以降も→まるでTesseracT顔負けのブッリブリなベースラインのウネりを効かせた#5”Physical Education”、ゲーム音楽にも精通するエレクトロニックなテクノ・ミュージックを介した#7”Crescent”、1stアルバム屈指の名曲”On Impulse”をルーツとする#8”The Future That Awaited Me”、【アコースティック×ジェント】という新機軸的な側面を垣間みせる#9”Para Mexer”、再びスケール感あふれるダーティな鬼グルーヴを見せつける#10”The Woven Web”、再びトシン・アバシの超絶ピッキングを披露する#11”Mind-Spun”、ゴッリゴリに鬼ヘヴィなリフの応酬とアバシの流麗なソロワークとチルいメロディが大胆に交錯するラストの#12”Nephele”まで、1stへの原点回帰と新機軸的な要素を組み込んだバラエティに富んだアルバムで、曲それぞれのアレンジが凝ってて最後まで飽きさせないポテンシャルの高さは前作の比じゃない。そして、ミーシャ兄貴が関わりを持つ持たないでこうも変わるもんなのかと、あらためて彼が”Djent界の第一人者”たる所以を痛感した。まるで”二作目のジンクス”なんて存在しなかったような最高傑作だ!

【ジェジェジェント!!】・・・あらためて、ペリフェリー”Bulb”VolumesDiego Fariasが作曲に携わっているだけあって、そして何よりもスメリアンに移籍した影響か、レーベルメイトのBorn Of OsirisVeil Of Maya、レジェンドCynicやスウェーデンのVildhjartaを連想させる、時にミステリアスに、時にアトモスフェリックに、時にチャラい近未来感あふれるピコピコキラキラテケテケ系キーボードのメロディに、そこはかとないキッズ感とキャッチーな色気を出してきた大衆性の強い作品だ。ところで・・・人間の脳ミソは約10%しか使われていないと言うが、このアルバムは人間の脳のリミッターを解除し、一時的に脳ミソのCPU使用率を100%にアップコンバートするかのような、その奇跡体験アンビリーバブルなジェント沼にハマったら最後・・・

「ジェジェ!?ジェジェジェジェジェ~~~ッ!?」


Joy of Motion
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Sumerian Records (2014-03-20)
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Warpaint 『ウォーペイント』 レビュー

Artist Warpaint
Warpaint

Album 『ウォーペイント』
Warpaint

Tracklist
1. Intro
2. Keep It Healthy
3. Love Is To Die
4. Hi
5. Biggy
6. Teese
7. Disco//Very
8. Go In
9. Feeling Alright
10. CC
11. Drive
12. Son
13. Love Is To Die - Extended Alternate Mix
14. Love Is To Die - The Line Of Best Fit Live Session

【ウォーペイント】・・・このUSはロサンゼルス出身のWarpaintといえば→2009年にリリースされたEP『Exquisite Corpse』でデビューを飾り、その翌年にメジャーレーベルのRough Tradeから1stフルThe Foolをリリースするやいなや、その翌年の2011年に(自分が予想したとおり)フジロックで初来日を果たしたりと、今や世界中で爆発的な人気を博する存在となったウォーペイント。初期の頃こそ、ベーシストのジェニーの姉で女優のシャニン・ソサモンやレッチリのジョシュが在籍するバンドとして大きな注目を浴びていたが、しかしその二人が脱退した今の”真・ウォーペイント”にとっては、もはやそんなんどーでもいい事なのかもしれない。

愚者・・・2010年にリリースされた1stフルザ・フールを聴いた時は結構な衝撃だった。(一応)フロントマンのエミリー・コーカルと元クソDT野郎ことジェイムス・ブレイクのガールフレンドであるギタリストのテレサ・ウェイマンによるサイケデリックかつメランコリックなヤンデレ系の歌声とギターのメロディが、まるでグリム童話のようにメルヘンチックで仄暗く幽玄な【ATOMSフィールド】を形成しながら、ゆるふわオッパイ姉ちゃんことジェニー・リーのタイトなベースラインと当時ドラマーのデイビッドによるリズム隊、そして女子三人によるコーラス/ハーモニーが妖しく交わる心地よい浮遊感と共に、まだ少しあどけない乙女心のような衝動的かつ焦燥的なリズム&グルーヴを刻みながら、デビュー作にして既に自身の”バンド・サウンド”を確立していた。




【プロデューサー=シガーロス&ミキシング=レディオヘッド】・・・それでは、その前作から約四年ぶりとなる待望の新作で、セルフタイトルを掲げた今作の『ウォーペイント』はどうだろう?結論から言っちゃえば→「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」というお話。で、まずオープニングを飾るのは→メンバー四人が仲むつまじくセッションする様子が目の前に映しだされるイントロの#1、そのインストのRadioheadや中期ANATHEMAを連想させる、いわゆる【ATOMS】に対する意識の高いゆるふわ系の耽美な空気感を引き継いで、存外アッサリとしたラフなノリで展開する#2”Keep It Healthy”こそ、ウォーペイントらしいアンニュイでありながらも童話のようにポップな世界観と、まるで思春期を迎えた乙女心のように不規則で不安定なリズムを刻んでいく、実に”バンド・サウンド”然とした曲で幕を開けるが、しかし次の#3”Love Is to Die”以降は少し話が違ってくる。それはまるでポストブラックレジェンドことAltar of Plaguesの名曲God Alone顔負けのアンチクライスト感が込められたノイジーなイントロから、ドコかしらナニかしらの狂気をまとった雰囲気とEPの名曲”Elephants”を彷彿とさせる中毒性の高いトリップ感を共存させながら、メインVoを担うテレサの寂寥感を誘う気だるい歌声とエミリー&ジェニーによるフェミニンなコーラス、そしてメランコリックにゆらり揺らめくリリカルでいて繊細なメロディが、シングル曲らしくキャッチーに美麗な旋律を奏でていく。この#3だけは初聴きで名曲だと思ったし、ここまでの流れは今作一番のハイライトと言っていい。で、ここまでの率直な感想としては→「なんかUKバンドっぽくなった?」という事。それもそのはず→なんと今作のプロデューサーにはU2やシガーロスなどの大物を数多く手がけたフラッドことマーク・エリスを迎え、更にミキシング(#3,#9)にはレディへのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴドリッチが担当・・・ってんだから、さっきまでの自分が漠然と感ていた妙な”違和感”というか微妙な音の”変化”に対して自然と納得ッが生まれた。確かに、この”俺の感性”の心臓部に直結する独特の浮遊感はUK特有のソレだ。最近だと、このウォーペイントや俺たちのアイドルローレン・メイベリーたそ率いるチャーチズと共に、来月のHostess Club Weekenderで来日するDaughterのイメージに近いかもしれない。

【ジェイムス・ブレイクのDT奪った結果www】・・・序盤の#1~#3までは極上のアトモスフェリック・ミュージックで申し分ないんだが・・・問題は次からだ。まるで呪術でも唱えるかの如く、シャーマニズム溢れるイーサリアルなボーカルとトリップ・ホップ然としたミニマルなリズムをもって、そこへエレクトロニカの絶妙な味付けを加えながら深い谷底に堕ちていくような展開力を見せつける#4”Hi”、その#4以上に後期The Gatheringを彷彿とさせる欧州風イーサリアルな感度とGrimesElsianeらのカナディアン勢を連想させるファンタジックでオリエンタル、そしてエキゾチックなムードを高めた#5”Biggy”、フォーク系SSW的なアコギの語り弾きで始まると同時に幻想的なボーカルに惹き込まれる#6”Teese”までは、レディへ直系のエレクトロなアレンジを際立たせたイーサリアル/トリップ・ホップ/ダウンテンポ系のチルい楽曲が続いていく。もはや「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」としか言いようがなかったし、これには本流のチェルシー狼エスベンと魔女も→「ちょっと...ウチラの縄張り荒らさんといてや...」とドン引き...。確かに、デビュー作の時点で既にポストロッキンなアプローチを効かせた”ミニマル”なメロディを持ち味としたバンドではあったけれど、まさかコッチ向きに”ミニマリズム”を発揮してくるなんて思っても見なかった。その中でも、#4”Hi”の幾つもの音が複雑に重なり合う予測不能な展開力の高さに、彼女らの隠しきれない”Post-Progressive”なセンスを垣間見ることができた。

【Warpaint×Phantogram】・・・ここまでの暗鬱な空気をぶった斬るように、すっ頓狂なノリとリズムをもってダンサンブルに繰り広げる#7”Disco//very”のアヴァンギャルドな存在感にぶったまげ、再びオリエンタルなアナログ臭い匂いを醸し出すダウナー路線の#8”Go In”、そして後半のハイライトを飾る9”Feeling Alright”は、EPの”Beetles”というより...むしろPhantogramWhen I'm Smallを彷彿とさせる、それこそジェニーのゆるふわ系おっぱいがフワッフワッっとリズミカルに揺れ動く官能的な様子が脳裏に描写されるタイトなベースラインがキモとなるオルタナで、特に中盤からのプログレスな展開美とギター&低音ニカのエモい絡みを耳にしたら→「いや、これもうファントグラムそのものじゃん」って思った。まさか、まさかウォーペイントとファントグラムに親和性を感じるなんて思ってなかったから、素直に面白かった。と同時に、彼女らの音楽に対する懐の深さを思い知らされた。だから今年のサマソニかフジロックにPhantogram呼ぶべきだと思うよマジで。で、それ以降も奈落の暗黒へと誘う#10やニカ色全開の#11、そしてラストの#12まで、終盤の展開は著しくエクスペリメンタル化が進んだ曲が続き、完全に聴き手の存在を置いてけぼりにする。ちなみに、国内盤のボートラはシングルの”Love Is To Die”を比較的ストレートなバンド・サウンドで鳴らしたオルタナVerで、それこそ4年前のウォーペイントが今の『ウォーペイント』やってみた感じの曲でスゲー面白い。もう一曲はThe Line of Best Fitで披露された同曲のライブVerを収録。

【ウォーペイントの本性】・・・前作こそ、Shoegazer/Post-Rock/Gothic/Dream-Pop/Psychedelicなどの要素を取り込んだ、わりかしポップな可愛げのあるオルタナ~インディやってたが、しかし今作はトリップ・ホップ/アブストラクト・ヒップホップ/イーサリアル/エレクトロニカ/チルアウトがベースの音に、それこそ「愛とは死...愛とは死の回避...愛とはダンス...」というメンヘラ臭い歌詞の如く、まるでヤリ逃げされたオンナの怨念が込められたような、尋常じゃなく正常じゃない女の本性を垣間見せる作風となっている。もしかして・・・もしかするとコイツラの本性ってコッチなの!?って。それぐらい、まるでジェイムス・ブレイクに生気(精気)でも吸い取られたのかと勘ぐりたくなっちゃうほど、いい意味でヤサグレ過ぎてるというか、この4年の間で一体ナニがあったんだ?と心配になるくらいの変貌を遂げていたんだ。それはまるで垢抜けない田舎の女子大生が上京してあらゆる経験を積んで、いつの間にかイーサン叔父貴という名の精神崩壊系男子譲りの悟りを開き、漆黒色のダーティなエロスを身にまとった妖艶な4年生に成長したみたいな・・・。ま...まさか、これがあのジェイムス・ブレイクのDTを奪ったオンナの『愛のカタチ』だとぉ!?くっそ!何かわからんがジェイムス・絶倫・ブレイク許すまじ!



【UKミュージック】
・・・極端な話→1stの”ロック”なノリというかグルーヴ&リズムにノッてキャッキャウフフと盛り上げるというよりは、むしろ逆にトリップ・ホップやポスト・パンク色の強い”ミニマル”な一定のリズムを意識した、いわゆるアブストラクトなトリップ・サウンドをベースに、そこへ某プロデューサー&某ミキサーの腕による実にUKミュージック然とした洗練された音作りと絶妙なニカアレンジが交わった、あのイーサン叔父貴もついつい(ニッコリ)しちゃうほどのダーク・ミュージックやってるわけ。そもそも、このウォーペイントって元々UKミュージックとの親和性が高い、もしくは相性の良いバンドだったけど、今作で遂に本家本元のレディへ界隈の大物を味方につけた結果→二作目にして早くも驚異的な深化を遂げている。ヘタにポップ化するのではなくて、このウォーペイントの根幹にある独創性を更に深く突き詰めた結果というか。それこそ、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsや昨年の俺的年間BESTの実質一位にランクインしたアブストラクト・ヒップホッパーSadistikFlowers for My Fatherが、この『ウォーペイント』への伏線()だったんだと自分勝手に納得してしまった。そして上記に貼った”Biggy”Baardsen Remixを聴いて、遂にナニカを確信した(正直ボートラはこれがよかった)。だから今作がUKチャートでトップ10入りしたと知っても別に驚かなかった。

【真・ウォーペイント】・・・新機軸の#7をはじめ、この一枚でホントーに多種多様な”流行りの音”にトライしているので、当然作品の統一感や俗にいう”キャッチーさ”というのは皆無に近いが、その音が持つポテンシャルは前作と比じゃないレベルの高さを誇っている。それこそメンバー4人が奏でる音の残像、その音のシルエットという名の線が点で重なり合う決定的瞬間を表したような、ジェニーの旦那である変態映像作家ことクリス・カニンガムが手がけた今回のジャケが全てを物語っていると言っても決して過言じゃあなくて、メンバーひとり一人が奏でる木綿のように繊細で緻密な音が表裏一体化した結果が、まぎれもない今の『ウォーペイント』なんだという、それを直に証明するかのような作品だ。そう考えると、あの#7はある意味で最も”今のウォーペイントらしい”曲と言えるのかもしれない。それと国内盤のライナーノーツにも記されているように、二回のレコーディングを延期する合間に、ロスから二百キロ離れたジョシュア・トゥリーに一軒家を借りて一ヶ月間の共同生活を送り、メンバー全員でジャムり合って音を互いに高め合った結果→気のせいか”スタジオ・アルバム”というよりも、ある意味で”ライブ・アルバム”的な、まるで目の前で演奏しているかのような音の臨場感と生々しさがある。それにより、ウォーペイントの持ち味である、体にまとわりつくような粘り気のあるグルーヴ感により厚みが増したようにも。もはや謎の貫禄すらある。少なくとも、いわゆる”ガールズ・バンド”と呼ばれるバンドの中では他の追従を許さないレベルにまでキテるのは確か。

【イントロが全て】・・・デビュー作のイメージで本作を聴くと、あまりの変わりように肩透かしを食らうこと必須だし、その完成度は文句なしに高いが、いかんせんデビュー作と比較すると圧倒的にツカミが弱い気がする。なんか自分たちの世界に、内に内に引きこもってる感じ。でもチャーチズローレン・メイベリーちゃんが好きって言うんなら僕も好き!ボニョ、ローレン好き!・・・というのは冗談で→わりとマジな話、いわゆる【ATMS】【Post-Progressive】にある程度の理解ッがないと厳しいかもしれない。しかし、それらに対する理解ッがあれば1stの『愚者』より好きになること請け合い(ソースは俺)。個人的には→いわゆる【ATOMS】に対するウォーペイントの意識の高さ、そのATMS空間表現力の異常なセンスが垣間見れた事が一番の収穫だったし、それと同時に自分の審美眼は決して間違っていなかったと再確認できた。結局のところは、イントロの#1に対して”ナニを感じ取ることができるか”が鍵のような気がする。またライナーノーツの中でテレサが→「100%現在のラインナップで作り上げたのは今回が初めて。だからこそ、バンド名をタイトルに掲げるのが自然に思えた。このアルバムは一つの大きなリセットだと思うの。」と語るように、実質これが”デビュー・アルバム”すなわち”スタートライン”に立った事を証明するかのような、それこそ一ヶ月間引きこもってジャムった様子を身近で体感させるような、たった1分51秒程度の”イントロ”が今の『ウォーペイント』、その全てを象徴する重要な一曲と言えるのではないか。僕自身、これほど存在意義のある”イントロ”を聴いたのは生まれて初めてかもしれない。

【カロリーOFF】・・・それにしても、このWarpaintといいAlcestといいVampilliaといい(一つだけ明らかに浮いてる...)、ここ最近の”俺の界隈”の一部ではアイスランド式のシュガーロス・ダイエットが流行ってるらしい。おいら、実はシガロとか興味ないし一切聴かないんだが...まぁ何にしても興味深い現象ではある。でも中期ANATHEMAがレディへライクで、近年ANATHEMAがシガロライクだという事を考えると・・・「なるほど納得ッ」といった感じ。あと、これもライナーノーツに書かれていた事に関するんだが→シングルの”Love Is To Die””Teese”を筆頭とした、”LOVE”すなわち”愛”をテーマとした曲からしても、いわゆる”俺の界隈”の皇帝ANATHEMAを頂点とするKscopeが信念として掲げるLovePeaceな、精神的な面も含めてあらゆる意味でPost-Progressive Sound的なアルバムと言えるのかもしれない。少しベクトルは違うが、KATATONIAのBサイドとかね。

【ピッチフォークへの憧れ】・・・そもそも、エミリーではなくテレサがメインボーカルを担当してる時点で、あの1stとはまるで違った作風になることは予想できたし、だから今作は「もうギターいらねーんじゃねーか?」ってくらい、ギターの存在感が薄い。その一方で、ゆるふわ系オッパイ姉ちゃんことジェニーのベースライン特別意識してなくても自然と耳に入ってくるくらい、一際に目立った作風でもある。要するに→Julianna BarwickみたいなSSW系にありがちなインディ・フォークっぽさ、すなわちピッチフォーク臭が著しく強くなった作品。だから今作に高評価を与えられる人ってピッチフォーカー並みの音楽ツウだと思うわ(なお、ピッチのレビューではボロクソの模様)。つうか、これ評価できるのって非DTの奴しかいないと思うわマジで・・・。でも個人的には、相対的な評価以上の”面白さ”を感じ取った作品ではあるし、正直ここまで楽しんで聴いてるのって俺だけじゃねーの?ってくらい。なにはともあれ、今年の上半期はこのWarpaintPhantogramの新作に期待を寄せていたが、その期待に真正面から答えるような、意外なほど自分のツボをピンポイントに突いてくる伏線()回収作品で、これ以上ない幸先の良さです。

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