Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

US

KFC Murder Chicks - KFCMC

Artist KFC Murder Chicks
0025410706_10

Album 『KFCMC』
a3601128656_16

Tracklist
01. Dune (feat. Anna Pest)
02. Half Life
03. Id (feat. Sam Shadow)
04. Halo
05. KFC GOD (feat. Voiddweller)
06. My Ballz
07. Soylent
08. Nuclear Age
09. Tsundere 2.0

USはウェストバージニア出身のDJ Rozwellとカナダのモントリオール出身のAsh Vestalによるインダストリアル・メタルプロジェクト、その名もKFC Murder Chicksの2ndアルバム『KFCMC』の何がヤバいって、ニューヨークのMachine GirlやデトロイトのThe Armedに肉薄するデジタル・ハードコアを基本ベースに、いわゆるメロディック・メタルコアの影響下にあるブルータルな殺傷リフやNirvanaに代表される90年代のグランジやヌーメタル的なダウナー系のヘヴィネス、そしてカナダのインダストリアル界を代表するBlack Dressesさながらのグリッチ/ノイズの打ち込みと、マニュエル・ギャノー率いるインダストリアル・メタルバンドのZeal and Ardorが光の速さで出会ってしまったような、さながら「ハイパーポップ化した20年代のグランジ」とでも称すべきバグった音楽性がとにかくヤバい。

さしずめ「ハイパーポップ化したZeal and Ardor」の如しインダストリアル・メタルコアの#1“Dune”からして、メタルコアの常套手段であるブレイクダウンの代わりに癒し系のメロディパートをブチ込むギャップ萌えな演出力の高さを垣間見せたかと思えば、90年代のヌーメタルが10年代のエレクトロ/EDMを大きく飛び越えて20年代のハイパーポップにグリッチして現代に転生したかのような#2“Half Life”、DJ Rozwellの嗜好が溢れ出すドラムンベース的なビートとハイパーポップならではのカオティックなシャウトがエゲツない#3“Id”、さしずめハイパーポップ化したグランジの#4“Halo”、その「Halo」の伏線回収となるNirvanaの名曲“Smells Like Teen Spirit”をサンプリングした曲で、『DOG BOY』ことZillaKami精神溢れる90年代グランジ/ヌーメタルの#5“KFC GOD”、Black Dresses顔負けのインダストリアル/ノイズミュージックの#6“My Ballz”や#7“Soylent”、条件反射で身体をガンガン揺さぶってくるRozwellのDJプレイが炸裂する#8“Nuclear Age”、再びグランジならではの倦怠感溢れる内省的なボーカルと悪魔的なシャウトがエクストリーム合体した#9“Tsundere 2.0”まで、端的にノイズ/インダストリアル~グランジを往来するバンド的な意味では、サンディエゴのAuthor & Punisherに通じる部分もあるかもしれない。少なくとも、この手の音楽が好きなら聴いて損はないです。

Maggie Lindemann - SUCKERPUNCH

Artist Maggie Lindemann
entertainment-2016-02-maggie-main

Album 『SUCKERPUNCH』
channels4_profile

Tracklist
01. intro / welcome in
02. take me nowhere
03. she knows it
04. casualty of your dreams
05. self sabotage
06. phases
07. i'm so lonely with you
08. break me!
09. girl next door
10. we never even dated
11. novocaine
12. you're not special
13. hear me out
14. how could you do this to me?
15. cages

2016年に発表したシングルの“Pretty Girl”がバズった事でも知られる、約600万人のフォロワーを誇るインスタグラマー兼シンガーソングライターこと、マギー・リンデマンの1stアルバム『SUCKERPUNCH』の何がファッキンホットかって、過去にバズった“Pretty Girl”の毒にも薬にもならないインディポップみたいな曲調に反して、(その名残として)在りし日のアヴリル・ラヴィーン的なティーン向けのガールズポップ/パンクのキャッチーさを保持しつつも、それこそ00年代の洋楽ロックシーンにおけるゴシック系オルタナティブ・ヘヴィ代表のEvanescenceFlyleafを連想させるハードロックを現代に蘇らせ、そしてエイミー・リーとFlyleafのレイシーとChvrchesのローレン・メイベリーを足して3で割ったような内省的な儚さと、いわゆるどこまでも堕ちていく系のロンリーな孤独を抱えたマギーのロリータボイスが激エモなヘヴィロックやってる件について。


決して、過去に流行った女性ボーカル物のロックの二番煎じではなく、その古き良き“00年代の洋楽ロック”と、BMTHのオリヴァー・サイクスが仕切ってる事でもお馴染みの20年代を象徴するアイコンがピックされたプレイリスト【misfits 2.0】の文脈が邂逅する、つまり在りし日の洋楽ロックの熱気とZ世代を司るハイパーポップ然としたヤニ臭いサイバーパンク精神を紡ぎ出す、それこそ次世代アーティストおよび次世代インスタグラマーを称するに相応しい、いま最もファッキンホットな存在が彼女なんですね。


その手の“雰囲気”を醸し出すイントロSEに次ぐ#2“take me nowhere”からして、00年代にタイムスリップした気分にさせる、さながら現代のエイミー・リーとばかりに奈落の底までGoing Underしながら2秒でインスタフォローするレベルのダークなロックチューンで、一転して「現代のアヴリル」あるいは【アヴリルmeetチャーチズ】、さしずめ「女版マシンガン・ケリー」とばかりにポップパンク・リバイバルよろしくな#3“she knows it”、BMTHのジョーダン・フィッシュさながらのダイナミクス溢れるシンセやトラッピーなイマドキのアレンジを効かせた#4“casualty of your dreams”、再びEvanescenceFlyleafの影響下にあるモダンなパワーバラードの#5“self sabotage”、オルタナティブな雰囲気を醸し出すPoppyヨロポッピーな#6“phases”、そして闇堕ちしたマギーの歌声と00年代オルタナ/ヘヴィロック然としたリフ回しからして、初期Evanescenceの伝説的な名盤『Fallen』を確信犯的にオマージュしてのける#7“i'm so lonely with you”は、耳にした瞬間から00年代のメインストリームの洋楽ロックリスナーなら「これごれぇ!」とガッツポしながら慟哭不可避だし、スクリレックスやプッシー・ライオット文脈のSiiickbrainをフィーチャリングした#8“break me!”においては、『amo』以降のBMTHリスペクトな客演パートの歌メロと「ウチら【misfits 2.0】入りしたいんや!チュパチュパ...」とナニをSucksするハードコアなアレンジまでもハイパーポップ然としており、そのヤニ臭い毒素とセクシャリティの解放を訴える反骨精神むき出しの主張はMVにも強く反映されている。

アルバム後半においても、Evanescenceリスペクトな重厚感溢れる#9“girl next door”、アコースティックなシットリ系のバラードも聴かせるボーカリストとしてのポテンシャルを伺わせる#10“we never even dated”、オルタナティブな#11“novocaine”、MGKファミリーらしいアヴリル風ポップパンクの#12“you're not special”、本作のハイライトを飾る#7と共にどこまでも堕ちていきながら2秒でインスタフォロー不可避の#13“hear me out”、オーランドのエモ/ポスト・ハードコアバンドSleeping With Sirensのケリン・クインをフィーチャリングしたParamore風ポップパンクの#14“how could you do this to me?”、最後に改めて現代のアヴリルを印象付ける、曲調もMVのファッションも当時のアヴリルをオマージュした#15“cages”まで、確かにギターをはじめ音作りに対する不満はないと言ったら嘘になるけど、FlyleafのCoverを発表するくらいには00年代ヘヴィロックの影響下にある音楽性、同様に影響を受けているであろうBMTHのオリィが仕切ってる【misfits 2.0】に対する求愛行為に近いアプローチも含めて、アヴリル・ラヴィーンが洋楽のアイコンだった『あの頃』のノスタルジーと、時を経てマシンガン・ケリーをアイコンとするポップパンク・リバイバル(≒BMTH~Evanescenceの共演)、およびZ世代を象徴するハイパーポップの精神性を兼ね備えたハイブリッドな洋楽ロックは、体感2秒でマギーのインスタフォローすること請け合いのファッキンホットな魅力を放っている。

【エッジランナーズのレベッカ】×【マギー・リンデマン】=【misfits 3.0】

個人的に、この手の次世代アーティスト兼インスタグラマーと聞いて想起するのは、他ならぬカナダのPoppyことモライア・ローズ・ペレイラやNova Twinsだったりするけど、このマギー・シンプソンはそのどちらにも属さない独自の路線を突き進んでいる。(一足先に合流したサラ・ボニトのように)将来的にBMTHのオリィとコラボして、晴れて【misfits 2.0】入りするかは予測不能だけど、念のため今から予言しときます→

「こーれ来年のサマソニで来日します」

The Callous Daoboys - Celebrity Therapist

Artist The Callous Daoboys
0015031800_10

Album 『Celebrity Therapist』
a0509988875_16

Tracklist
01. Violent Astrology
02. A Brief Article Regarding Time Loops
03. Beautiful Dude Missile
04. Title Track
05. Field Sobriety Practice
06. The Elephant Man In The Room
07. What Is Delicious? Who Swarms?
08. Star Baby

アトランタ・ポップ・ミュージックを自称するThe Callous Daoboysの2ndアルバム『Celebrity Therapist』は、バンド曰くFall Out BoyやPanic! At The DiscoがGlassjawにボコられているようなものと表現するように、レジェンドTDEPや今回レーベルメイトとなったUKのRolo Tomassiに代表される、いわゆるカオティック/マス・コアを一つの大きなバックグラウンドとしながらも、バンドのキーパーソンとなる電子ヴァイオリン奏者のアンバーによる素っ頓狂なストリングスやDissonant Death Metalさながらの不協和音を刻むリフメイクなどのアヴァンギャルドな要素を駆使して、ホラーチックかつオペラティックなストーリー性を内包した戯曲を繰り広げており、最近の若手マスコア勢を代表するロンドンのPUPIL SLICERやスコットランドのFrontiererと共鳴するUKポストハードコア的なエモ要素はもとより、それ以上にメインストリームのモダンなポップ/パンク・ロックバンドに精通する、言わばマス・ポップとでも呼ぶべき謎キャッチーなフックに富んだオルタナティブな側面を強く打ち出している。


古き良き伝統的なマスコアのカオティックな側面と持ち味のアヴァンギャルドな側面がスクリムを組んだ#1“Violent Astrology”を皮切りに、不協和音全開のマシズモを強調したカオティック・メタルコアの#2“A Brief Article Regarding Time Loops”、まさに“アトランタ・ポップ・ミュージック”を称するに相応しい、もはやFall Out BoyPanic! At The DiscoのみならずボストンのVeinやルイジアナのiwrestledabearonce、終いにはフィラデルフィアのSoul Gloが乱入して大乱闘スマッシュブラザーズおっ始めたかのような#3“Beautiful Dude Missile”、一転して女性ボーカルをゲストに迎えて後期TDEPさながらのオルタナティブ・ヘヴィ的な多様性を覗かせる#4“Title Track”、混沌蠢くケイオスとインディロックさながらの優美な美メロがスムースに交錯する#5“Field Sobriety Practice”やジャズ/フュージョン的なアプローチを効かせたストーリー仕立ての#6“The Elephant Man In The Room”、サックス奏者をゲストに迎えて“ジャズコア”のジャンルを開拓しつつある#7“What Is Delicious? Who Swarms?”や大団円感あふれる#8“Star Baby”における、それこそアメリカを代表するアニメ『シンプソンズ』や地元アトランタを舞台にしたドナルド・グローヴァー主演の海外ドラマ『アトランタ』に通じるシニカルなブラックコメディ要素は、(コント仕立てのMVにも象徴されるように)彼らThe Callous Daoboysならではの特権と言えるし、この手の他のバンドと一線を画す独自のオリジナリティとバンド最大のセールスポイントとして誇示している。

dynastic - Rare Haunts, Pt. I

Artist dynastic
0027513942_10

Album 『Rare Haunts, Pt. I』
a1676905122_16

Tracklist
01. the actor
02. 54320 (feat. DJ Re:Code)
03. lovely aka fire away (feat. Jedwill)
04. 8 months in my head (feat. goji!)
05. brand new rainbow
06. still watching? (feat. PSX)
07. bela fujoshi's dead
08. karma! (feat. mothgirl)
09. mary kate & executioner (feat. Eichlers, oldphone)
10. pining, revisited
11. dattebayo

さしずめ“ハイパーポップ化したマイケミ”とでも称すべき、記念すべき1stアルバムI Know There's Something Left for Youを今年の2月に発表したサンフランシスコ出身のdynasticといえば、それこそ「あの頃の洋楽」を象徴するマイケミさながらのエモ/ポップパンクとZ世代を象徴する音楽ジャンルであるハイパーポップ、そして昨今のBandcamp界隈のトレンドが混沌とした現代社会の闇渦の中で邂逅した、日本の(sic)boyとともに「第5世代のエモ」を司る次世代アーティストの一人だ。

そんなdynasticの約半年ぶりとなる2ndアルバム『Rare Haunts, Pt. I』は、それこそ幕開けを飾る#1“the actor”からして、「古き良き俺たちの洋楽」を司るコテコテのポップパンクにイマドキのトラッピーなビートを打ち込んだハイパーロック!を繰り広げると、互いの作品でフィーチャリングし合う仲の盟友DJ Re:Codeを迎えた#2“54320”、ハイパーポップならではのカオスを内包したグリッチーなアレンジとエモパンクが交錯する#3“lovely aka fire away”、いわゆるバンキャン・ミュージックとしての側面を垣間見せるローファイ志向の強い#4“8 months in my head”、ハードロックさながらのエッジを効かせたギターを打ち出したドライヴ感あふれるポスト・ハードコアの#5“brand new rainbow”や同曲よりも俄然ソリッドでヘヴィな#6“still watching?”、その全てを飲み込まんとする激情的なシャウトとポスト・メタリックな轟音ギターがブルータルなデカダンスを奏でる曲で、日本のサブカルを司る“腐女子”を冠する#7“bela fujoshi's dead”、米南部のカントリー/ブルース風の冒頭から一転してテキサスのGonemageMachine Girlさながらのカオティックなニンテンドーコアを展開する#8“karma!”を筆頭に、ローファイやノイズ/グリッチ、バキバキのオートチューンや“emo(イーモゥ)”特有の内省的なメロディ、そしてケロケロボニト的なバブルガム/サブカル要素の巧みなクロスオーバーを実現させた、ハイパーポップならではのバラエティに富んだ1stアルバムに対して、この2ndアルバムはあくまでフィーチャリングの楽曲を中心としながらも、ポップパンク・リバイバルの視点はもとより、俄然ポストハードコアに肉薄するエッジを効かせたギター・サウンドに著しく傾倒している印象。もはやハイパーポップ云々は抜きにしてメロコア好きなら絶対に聴いてほしいレベル。


そしてdynasticのサブカルヲタクっぷりを確信付ける#10“pining, revisited”では、冒頭から見栄なり流行なり妄想なり阿呆なり、あらゆるものを呑み込んで、たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、暗闇に跳躍すべき瞬間があるのではないか(それができりゃ苦労しないよ)。今ここで跳ばなければ、未来永劫、薄暗い青春の片隅をくるくる回り続けるだけではないのか。このまま彼女に想いを打ち明けることなく、ひとりぼっちで明日死んでも悔いはないと言える者がいるか。いるならば前へ!とかいう、湯浅政明監督のアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の先輩役CVの星野源のセリフのサンプリングが飛び込んできたと思ったら、最後は同作に“黒髪の乙女”のCVとして出演している花澤香菜さんの大切にしますのサンプリングで締めくくる神オチ。なんだろう、今回のサンプリングはParannoulがアニメ『NHKにようこそ!』からサンプリングした某曲を彷彿とさせる激情ハードコア味を感じた(サンボマスターじゃないけど)。


まさかの星野源、まさかの花澤香菜さんのサンプリングは流石に笑ったけど、その謎めいたJapanese fujoshi要素は、実はdynasticが2021年に発表した“火事! 金玉で!!”とかいうタイトルのコラボ曲(謎すぎるタイトルや下ネタ全開の歌詞に反してめっちゃいい曲)において、日本語の歌詞を交えてフィーチャリングしたのが今回の伏線として存在しているのも事実。中でも、地元がサンフランシスコの“外人”が英語の歌詞が思いつかなかったから日本語でてめぇの爆乳さわってもいい?とか言っちゃうスクールカースト最底辺の非モテを極めたリリックは、もはやEワードを超えたDT(童貞)ワード過ぎて笑う(この曲がたった500再生程度とか...もう人類は音楽を聴く資格ないです)。

Crestfallen Dusk - Crestfallen Dusk

Artist Crestfallen Dusk
0029185825_10

Album 『Crestfallen Dusk』
a2953694295_16

Tracklist
01. Beneath The Cool, Calm Soil
02. The Blackness Come Creepin' In
03. Burn In Hell
04. Our Old, Rotting Cabin
05. On The Outside Of Town
06. My Clouds Have Not A Silver Lining

1900年代前半に米国南部でアフリカ系アメリカ人の間から生まれたブルースを著しく発展させた60年代のブルース・ロックと現代のブラックメタルをエクストリーム合体させたのが、スイス出身ニューヨーク在住のマニュエル・ギャノーによる音楽プロジェクトことZeal & Ardorだとするなら、この米国南部はテネシー州出身のライアンとショーンによる2人ブラックメタルプロジェクトのCrestfallen Duskは、ブルースはブルースでも特に呪術的とされる“ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース”を代表するR.L. バーンサイドやジュニア・キンブロウの影響下にあるブルース・ロックをはじめ、先日伝記映画となり話題を呼んだエルヴィス・プレスリーばりにファンキーなカントリー/アメリカーナと、ミネソタの独りブラックメタルことPanopticonさながらの「ただ独り」の小屋アートワークが示唆するプリミティヴかつローファイなブラックメタルが、物理的にローファイな音の悪さと音楽ジャンルを意図するローファイな音の悪さが次元を超えて邂逅したような、それこそ真の意味で田舎同士を結ぶ“ブラック・カントリー・ニュー・ロード”と称すべきアヴァンギャルドな音楽性を繰り広げている。

セルフタイトルのデビュー作となる本作は、冒頭の#1“Beneath The Cool, Calm Soil”からして、グルーヴ感溢れる古き良きブルース・ロックならではの呪詛的なリフメイクとブラックメタルならではのプリミティヴなプロダクションが違和感なく絡み合いながら、シンセを駆使したアトモスフェリック・ブラックらしいトレモロ・リフや金切り声、そして粗暴なブラストビートがDissonantな不協和音を端的に表現するや否や、続く#2“The Blackness Come Creepin' In”の古き良きブルース・ロック然としたファンキーな歌声を披露する60年代パートと荒涼感溢れるブラストビート&トレモロを駆使した2000年代のブラックメタルパートが時を超えてスムースに切り替わる楽曲構成は、まさにCrestfallen Duskの特異的な音楽性を裏付けている。

南部のいい意味で汚らしいブルースならではのイカしたカッティングギターやソロワークに対する、もはや激流葬ばりに雪崩込んでくるトレモリーなブラックメタルの切り返しが斬新すぎる約10分に及ぶ#3“Burn In Hell”、南部は南部でも南部ゴシックさながらのポスト・パンクな魅惑のリフレーンをフィーチャーした#4“Our Old, Rotting Cabin”、「ただ独り」の孤独を極めた人間の背後に流れる崇高なシンセをバックに、本作において最も南部っぽいというか汚くてダイナミックなギター・サウンドを響かせる、それこそ90年代のグランジとシンクロするさしずめブルース・メタルとでも呼ぶべきミドルテンポの#5“On The Outside Of Town”、そして本作で最もブラックメタルの濃度が高い約10分を超える大作の#6“My Clouds Have Not A Silver Lining”まで、既存のブラックメタルとカントリー/フォークを調和させたメタルバンドとは一線を画す、全く新しいブラックメタルのあり方を提示している。それこそ、Zeal & Ardorよりも南部特有のダーティさとブラックメタルならではの呪詛的な側面を深く理解した一枚かもしれない。
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: