Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

Trap

Dana Dentata - Pantychrist

Artist Dana Dentata
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Album 『Pantychrist』
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Tracklist
01. Birth
02. pantychrist
03. Church Hooker
04. Spit
05. I Know What You Did Last Summer
06. Flesh Prison
07. Happy Family
08. Manic Monday
09. Free
10. Like a Preyer
11. I.U.D
12. Apology
13. Dstock '99

いわゆるトラップ・メタルと呼ばれる新興ジャンルって、主に白人のGhosteManeや黒人のZillaKamiに代表される野郎のラッパーだけにとどまらず、この度は大手レーベルのロードランナーに見出された、カナダはトロント出身のフィメールラッパーDana Dentataの1stアルバム『Pantychrist』は、ダークエレクトロ~インダストリアル/ノイズな無機的な打ち込みをフィーチャーしたヒップホップを基調としながら、ハードコア/パンクをバックグラウンドに持つDentataのシャウトをはじめ、トラッピーなビートやヘヴィなギターなどのトラップ・メタル然としたアプローチは、さしずめ“闇堕ちしたPoppy”とでも言うのだろうか、Poppyがメルヘンチックなkawaiicoreなら、Dentataはさしずめ不気味でホラーなkowaiicoreといったところか。


それもそのはず、本作のプロデュースにはレーベルメイトのUnto OthersGhosteManeの作品にも携わっている気鋭のエンジニア=アーサー・リザークをはじめ、ex-Whirrの二代目ボーカリストで知られるクリスティーナ擁するサンフランシスコ産ポストメタルバンドのKing Womanを迎えている点からも色々と察しがつくし、この屈強な制作陣がバックにいる時点で半ば成功が約束されているというか、それこそUnto Othersに代表される若手メタルバンドの発掘のみならず、この手の第二のPoppyじゃないけど女トラップメタルにも触手を伸ばし始めるとか、とにかく今年のロードランナーの攻めた動きの面白さを象徴する作品の一つです。

slowthai - TYRON

Artist slowthai
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Album 『TYRON』
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Tracklist
01. 45 SMOKE
04. VEX
05. WOT
06. DEAD
07. PLAY WITH FIRE
08. i tried
09. focus
10. terms feat. Dominic Fike & Denzel Curry
11. push feat. Deb Never
12. nhs
14. adhd

「デンゼル・カリーの新譜カッケー!」と思ったら、どうやらイギリスはノーサンプトン出身のラッパーことslowthaiだったらしく、そんな彼が今年の2月にリリースした2ndアルバム『TYRON』の何が凄いって、アルバム前半の大文字タイトルはエイサップ・ロッキーKenny Beatsをフィーチャーした曲をはじめ、それこそデンゼル・カリーの名盤『タブー』の系譜にあるトラップやパンク・ロックの新しい形と謳われるグライム・パンクをベースとしたUKヒップ・ホップに対して、アルバム後半の小文字タイトル曲はオルタナティブな側面を強調したスタイルに楽曲の雰囲気や世界観が反転するそのギャップにある。


それはまるで、先日リリースされたZellaKamiの1stアルバム『DOG BOY』におけるジャンルとジャンルの垣根を超えた次世代ラッパーとして共鳴するかのように、アルバム後半の小文字シリーズの幕開けを飾る、倦怠感丸出しのローファイ・ヒップホップ風なチルいトラックをフィーチャーした#8“i tried”や#9“focus”を皮切りに、SSWのドミニク・ファイクとデンゼル・カリーをフィーチャリングしたバキバキのエモ・ラップで泣かせる#10“terms”、からギャップレスに繋がって内省的な雰囲気から世界観が一転する#11“push”は、それこそUK産SSWのマリカ・ハックマンばりのアコースティックな癒やし系インディフォークとスロウタイのラップが極自然に馴染んでいる光景に衝撃を受けたというか、もはや「こんなラップありなん?!」と頭の切り替えが追いつかなかった。その癒やし系な雰囲気のまま、今度はピアノ主体のアンビエント・ポップとラップが邂逅する#12“nhs”、そしてUK音楽界のレジェンド=ジェイムス・ブレイクとコラボした#13“feel away”、そして最後までローファイで内省的な感情をハードコア・ラップばりに吐き散らす#14“adhd”まで、とにかくアルバム前半の大文字シリーズにおける英首相をディスるマクロなラップと、アルバム後半の小文字シリーズにおけるミクロなラップのギャップが本作のコンセプト、そのガキを握る作品となっている。

このslowthaiの新譜とZellaKamiの新譜、言うなれば双方の「新しいラップのあり方」を耳にして改めて思うのは、ラップってオルタナ/グランジやメタルのみならず、畑違いが過ぎる女性ボーカル系のフォーク・ミュージックやアンビエント・ポップすらも許容する寛容のジャンルなんだって事。また、奇しくもUKとUSを代表する若手ラッパーが揃って90sロックのレジェンド=Nirvanaに影響を受けているという意味でも、あのロック全盛時代から約30年が経過した今なおNirvanaは元より90sロックが現代のラップ界に与える影響は計り知れないものがあると痛感すると同時に、ラップこそロックでありパンクだと語る炎上芸人の言葉が俄然身に詰まされる。ともあれ、今年のラップ部門はロックやメタルの影響下にあるスロウタイとジラカミの新譜2枚と、デンゼル・カリーとKenny Beatsのコラボ作品『UNLOCKED 1.5』における“So.Incredible.pkg”が見事入選しました。

ZillaKami - DOG BOY

Artist ZillaKami
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Album 『DOG BOY』
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Tracklist
1. Chewing Gum!
3. Lemon Juice
5. Hello
7. 631 MAKES ME
8. IHY
10. Tactical Nuke
11. НАНА ИNACO
12. Nissan Only
13. Black Cats
14. dedgrl
15. Frosty
16. Cowboy Bebop

“ブラックメタル・テロリスト”の異名を持つデンゼル・カリーJPEGMAFIAとも交流の深いトラップ・メタル界のホープ、ZillaKamiが満を持して発表した待望の1stアルバム『DOG BOY』は、それこそ冒頭のジラカミ“史上最高のボーカリスト”と崇拝するSlipknotコリィ・テイラー本人の声でThis is Corey Taylor and you’re tuning in to DOG BOY Radio(こちらはコリィ・テイラーがお送りするDOG BOY Radioです)というアナウンスから、KORNばりにヌーメタ然とした病的なリフとトラッピーなビートが、色んな意味で「トラップ・メタルとは何たるか」を改めてシーンに指し示すかのような、(足にアイオワマスクのタトゥーを彫るくらい)そのコリィとスリッペの筋金入りの狂信者であるジラと“神”の邂逅をブッ込んでくる出オチからして優勝案件の作品となっている。

ディストーションを強調したギターとラップならではの低音バキバキのトラックが低次元でアセンションする#2“Chains”、デビュー当時のDeftonesみたいなヘヴィロック然としたリフをフィーチャーした#3“Lemon Juice”、ラップそっちのけでカート・コバーン顔負けの病的な歌を披露する#4“Not Worth It”を伏線に、そしてNirvanaの名曲“Smells Like Teen Spirit”の世界一有名な“リフ”と世界一有名な“リリック”を丸々引用した、さしずめ“トラップ・グランジをやってのける#5“Hello”、イントロから(JPEGMAFIAと主催のフェスで共演した)90年代ヌーメタルの大御所であるDeftonesばりにセクシャルでエモいオルタナギターを擁する鬱ロックで、トラップ・メタル界の始祖であるデンゼル・カリーをフィーチャリングした#6“Bleach”、終始ゴリゴリのメタルギターが炸裂する#7“631 MAKES ME”、そして#9“Badass”では、全米を代表するピンクダイヤ埋め込み系大物ラッパーのリル・ウージー・ヴァートを迎えている。これ何が凄いって、逆に言えばリル・ウージーを迎えることでラップ界の頂点とまだロックが主流だった90年代を、つまり本当の意味で【ラップ】と【ロック】を紡ぎ出さんとしていると解釈したら、ジラが本作の中でやってる事ってちょっと所じゃない歴史的な出来事だと思う。


再び、ニルヴァーナ然としたバンドサウンドとカート・コバーン風の歌をフィーチャーした#12“Black Cats”を皮切りに、今度はKORNのジョナサン・デイヴィス風の病的な歌を披露する#13“dedgrl”、ジョナサン風を装いながらオルタナ/グランジ然としたロックサウンドを展開する#14“Frosty”、そして本作の集大成を飾る鬱ラップの#15“Cowboy Bebop”までのアルバム後半の流れは、90年代のオルタナ/グランジを代表する三大鬱ロッカーであるカート・コバーンジョナサン・デイヴィスコリィ・テイラーに影響された現代の鬱ラッパーを代表するジラが1人4役をこなしながら、もはやラップそっちのけで90年代ヘヴィロック・リバイバルを繰り広げている。一般的なラップからイメージするステレオタイプとは真逆の、アルバム全編に渡って病的なギターリフとフロウよりも歌っている割合のが多いんじゃねぇかぐらいのジラによる内省的な歌声をフィーチャーした、それこそ彼のパーソナルな趣味嗜好が具現化したような一枚と呼べる。よって本作は、普段からラップのディグに勤しんでいる人向けというよりは、普段からヘヴィー・ミュージックを主食としている人に向けた作品と解釈すべきかもしれない。しかし、ゴリゴリにラップしてる曲よりも鬱ロック風に歌唱している曲のが良いという本末転倒的な問題も無きにしもあらずw

そもそもの話、今のラップ界におけるトレンドの一つにあるエモ・ラップ自体がemo(イーモゥ)はもとより、90年代のオルタナやグランジなどのロック文脈から強く影響された新興ジャンルで、そのジャンルとジャンルの垣根を真の意味で飛び越えたラップ界の異端児がジラなんですね。それこそ、スリッペのコリィじゃなくて2021年のノットフェスLAにも参加するBMTHのオリィがロックは死んだ」「ラップこそロックだと語って2秒で炎上したように、もはや今の時代に“ロック”という言葉に深い意味はなく、ラップという名の新時代のロックにこそ本質的な意味が移行した事を裏付けるような存在がジラであると。そういった意味では、トラップ・メタル界の貴公子ことGhostemaneよりも全然ジッラのが凄いと思う。


個人的に、ジラ関連のエモ・ラップで特に好きなのが、それこそ2019年にコリィがSNSでフックアップした事でもお馴染みの、ZillaKamiSosMulaThraxxのメンバーで構成されたギャングスタ・ラップユニット=City Morgueのアルバム『City Morgue Vol. 2: As Good As Dead』デンゼル・カリーをフィーチャーした“Draino”という曲。この曲のリリックや世界観なんか完全にエモ・ラップのソレであり、これこそ現代のグランジなんですね。

何がビビったって、メタル然としたギターリフやオルタナ/グランジに対するこだわりを感じさせるリフだったり、見た目いかついラッパーなのに想像した以上にクソマジメなトラップ・メタルやっててビビったというか、もはやラップ云々以前に90年代に既存のヘヴィメタルをボコったオルタナ/グランジやヌーメタル/ラップメタルに象徴されるような、それこそ内省的な感情をさらけ出すリリックとエモ・ラップのルーツである90年代リバイバルの病的なロックサウンドに合わせて、ジラがチェスター・ベニントンばりにエモーショナルに歌ってるのが、俗に言う鬱ラップと鬱ロックの邂逅=鬱死不可避でガチ泣ける。いや、ジラどんだけ90年代のヘヴィロック好きやねんと。どんだけスリッペとコリィ・テイラーすき家ねんと。


事実、ジラは2020年にスリッペのパーカッション奏者ショーン・“クラウン”・クラハンのポッドキャストに出演したり、また同年にコリィがソロで発表した(メタルゴッドちゃんやベビメタやクソダサ炎上バンドも出演している)“CMFT Must Be Stopped”にもカメオ出演しており、過去に共演していながらも自身の作品では今回が初共演となる本作品は、ジラにとってドラッグよりもハイになる案件に違いない。ある種、ジラが“神”と拝むコリィ・テイラーをすっ飛ばしてNirvanaKORNへの一つの回答としてのアルバム『DOG BOY』と言えなくもない。というわけで、メタラー的にも全然推せるラッパーなんで是非とも推してやってほしい(Nissan Only的な意味でもw)。

sukekiyo 『INFINITUM』

Artist sukekiyo
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Album 『INFINITUM』
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Tracklist
01. 偶像モラトリアム
02. 猥雑
03. 沙羅螺
04. kisses
05. dorothy
06. アナタヨリウエ
07. 君は剥き出し
08. 本能お断り
09. こうも違うモノなのか、要するに
10. 濡羽色
11. ただ、まだ、私。
12. 憂染
13. 漂白フレーバー

tamapiyoもといsukekiyoといえば、DIR EN GREYのボーカリスト=のサイドプロジェクトであり、個人的に2014年に発表されたデビュー作の『IMMORTALIS』と2015年作の『VITIUM』を聴いて以降の作品は、何かライブ会場限定?の映像音源集というこのネット時代に時代錯誤な流通方式で販売されたらしく、意地になって聴かなかったというか必然的に聴けなかったわけなんだけど、しかし一方でSpotifyでは配信されている(らしい)という現代的な側面もあったりと(と思ったらフルちゃうんかいw)、世はまさに映画/ドラマならびに音楽までもが“大ストリーミング時代”、それに伴うCDという時代遅れの化石円盤は、地球環境に悪影響を与えるプラスチックゴミを増やすだけという“イマドキ”の環境意識高い系の思想の持ち主なのかは知らんけど(海外の紙ジャケってそういう配慮もあるの?)、ともあれ“いつでもSpotifyで聴ける状態だと結局いつまで経っても聴かない説”という“Spotifyあるある”の話。しかしこの度、2017年作の3rdアルバム『ADORATIO』から約2年ぶりとなる4thアルバム『INFINITUM』をリリースするタイミングで、これまで会場限定だったEPの『ANIMA』と前作の『ADORATIO』が一般流通盤として3枚同時リリースされた。勿論、個人的に意地になってSpotifyでも聴いてこなかった過去作(結局フルで配信してなかったよくあるオチ)、そして待望の最新作である『INFINITUM』“今のsukekiyo”がどうなっているのか?そういった個人的な事情からも、とても楽しみにしていた。

まずsukekiyoの音楽性をおさらいすると、Kscope主導のPost-ProgressiveをはじめいわゆるPost-系にも精通するATMS系およびアートロック志向の強い洋風な音作りに、日本のヴィジュアル系ならではの、それこそ日本を代表する久石譲ばりの“和”の叙情性を抱き合わせた歌モノのV系オルタナで、それこそ衝撃的なデビューを飾った『IMMORTALIS』はその特異なサウンド・スタイルと、怖いもの見たさの和製ホラー映画に精通する怪奇な世界観を極めし名盤だった。

今作の幕開けを飾る#1“偶像モラトリアム”から、繰り返し鳴り響く奇々怪界の怪奇音を奏でるオルタナギター、ギターベース、打ち込み、そして江戸川乱歩の怪作『孤島の鬼』並みに“アンタッチャブル”な物語の始まりを宣言するかのような、“声”を一つの“楽器”として捉えたのボイスが一つ一つ折り重なって、sukekiyoにしか描けないsukekiyoならではの極上のミニマリズムをもって、まるで気分は『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』ばりの洋風モダンホラーの世界を繰り広げる。これはずっと前から、それこそデビュー当時から思ってた事なのだけど、sukekiyoの音楽性および音楽的な変化および変遷は、Riversideのフロントマン=マリウス・デューダくんのソロプロジェクト=Lunatic Soulに近いものがあって、この洗練されたミニマルな曲構成にしてみても後期Lunatic SoulすなわちKscope系=Post-Progressiveの王道中の王道を目抜くソレで、(元々そのキライはあったけど)ここにきてインダストリアル/エクスペリメンタルなスタイルが本格化している。

これまでのsukekiyoにはなかった、本家DIR EN GREY『ARCHE』を更に重くしちゃいましたみたいな、それこそオルタナティブ・スラッジみたいな鬼ヘヴィネスをフィーチャーしたヘヴィロックの最高峰となる#2“猥雑”、パーカッションを駆使したオリエンタルな世界観をバックにタイトルの“沙羅螺”を花魁の踊り子が如し口ずさむという構図の#3における、転調から突如メタル化してバチグソにエロいGソロからGojira“Magma”っぽいフレーズに繋がるプログレスな展開は、sukekiyoなりのOpethへの回答なのか、はたまた本家DIR EN GREYへの回答なのか。

sukekiyoって元々、それこそデビュー作から往年の昭和歌謡を現代に蘇らせたような、(そもそもV系自体が古き良き昭和歌謡リバイバルであるという話はさて置き)それこそ2ndアルバムの『VITIUM』では、まるで『はぐれ刑事純情派』堀内孝雄が歌う主題歌あるいは美空ひばりが作詞した松浦亜弥“草原の人”ばりの昭和歌謡リスペクトな、言うなれば『はぐれ刑事変態派』をやってのけた。ギタリスト兼ピアニストのによるクラシカルでありながらジャズみのあるピアノが奏でる艶美な旋律との昭和歌謡リスペクトな歌メロで構成されたシングルの#4“kisses”は、まさにsukekiyoのアイデンティティが凝縮された『IMMORTALIS』の名曲“zephyr”と双璧をなす一曲と言える。

その昭和歌謡ルーツの流れを引き継いで、イントロからゲーム音楽風のシンセをフィーチャーした#5“dorothy”は、それこそTWO-MIXあるいはシティーハンターの“Get Wild”もしくはジャングルの王者ターちゃんのEDじゃないけど、とにかくaccess=浅倉大介界隈の90年代のアニソンを彷彿させる懐かしくもクサい雰囲気のある、あるいは当時アイドル視されていた中森明菜荻野目洋子、そしてテレサ・テンをはじめとする昭和の歌姫が昔の歌番組で歌っていそうなシンセ・ポップで、そのバンド・サウンドと電子音のsukekiyoらしい“オルタナティブ”なまぐわいは、初期のチャーチズばりにダーティなビートを刻むエレクトロ・ポップ風の#6“アナタヨリウエ”で真骨頂を迎える。このJ-POPにも精通するダサさは、ついさっきまで洋風モダンホラーやってたバンドとは思えないほどギャップが凄くて、この和から洋、洋から和へと自由に行き来する音楽性のフレキシブルさ=振り幅もsukekiyoならでは、魅力の一つだ。(もはやローレン・メイベリー大好き芸人からすればチャーチズっぽいシンセ要素があれば何でもいいという風潮)

Post-系はPost-系でも今度はバンド・サウンド中心のPost-Pならではのインテリジェンスとフェミニンな叙情性を発揮する#7“君は剥き出し”から、“インコにコンドーム事件”リスペクトなコンドームの暗喩が込められた歌詞がエッチな#9“こうも違うモノなのか、要するに”まで聴き終えると、僕は今作のテーマがBUCK-TICKリスペクトの“胎内回帰”である事を思い出す。そこで気づいたのが、今作って実は妊婦を模ったアートワークでお馴染みの本家DIR EN GREY『ARCHE』と対になる“裏アルケー”なんじゃねぇか説で、帯に書かれた胎内回帰への憧憬と無限の恋情を求める旋律は、終盤以降の曲に“希望”となって現れる。その中でも、ここまで溜まりに溜まりまくった情欲的な感情が激情的に溢れ出すピアノの旋律をフィーチャーした、歌舞伎で言うところの女形の役になりきる紅一点のがドストレートに“禁断の愛”を叫ぶ#11“ただ、まだ、私。”は今作のハイライトで、もしアートワークの六芒星が“子宮”の暗喩だと解釈するなら、真ん中の白い線がマンピーへと誘う“別次元”の入り口(ド下ネタ)、その線の下で光り輝くのがクリちゃんの暗喩であり(童貞並感)、もう我慢できないくらいヌレヌレでピューピューピヨピヨに鳴いちゃう#12“憂染”で遂に絶頂=オルガスムに達し、その毒毒しい“欲望”が“未来”への“希望”となって“胎内回帰”=“子宮還り”に成功した僕、するとオカンが嬉しそうにこう叫んだ。


「アンター!ひよこクラブ買ってきたわよーーーーー!!」

(お腹の子が“悪魔の子”であることも知らずに)


今作の裏テーマである“子宮還り”、あるいは“何度でも新しく生まれる”的なある種の“無限地獄”で思い出したのが、Kscope=Post-Pの創始者で知られるスティーヴン・ウィルソン『To the Bone』に他ならなかった。この『INFINITUM』は、ある意味ではSW『To the Bone』と真逆で、ある意味では同じ。生命の誕生、すなわち音楽の誕生、そして子宮を暗喩する“逆さの六芒星”、これが意味するのは“逆再生”の暗喩であり、“始まり”“終わり”の曲タイトルが漢字+カタカナという椎名林檎リスペクトな点も実に示唆的で、その漢字+カタカナシリーズで今作と強く共振しているのが、実は相対性理論『天声ジングル』というよくあるオチ

このアルバムで1番の“マンピーポイント”と呼べるのがその“終わりの曲で、アルバム中盤辺りからこれもうTrap鳴らしにきても全然おかしくない流れだと感じながらも終盤に差し掛かり半ば諦めかけたその時、その“終わりの曲となる#13“漂白フレーバー”のブレイクビーツ的なEDMというか、それこそ2019年を象徴する一枚となったBMTH『アモ』から“Fresh Bruises”を彷彿とさせるamoい打ち込みブッコミに笑った。というか、最後の最後でここ最近の世界的かつ俺的トレンドである“EDM”の伏線回収という想定外の展開。しかし、その予測不可能な“想定外”の存在がsukekiyo、その存在証明でもある。そもそも、“終わりの曲以前に#10“濡羽色”でもPost-Trapっぽい音鳴らしてて、もっと言えば前作の“純朴、無垢であろうが”の時点でTrap的な要素を取り入れた、先見の明のある変態的かつ前衛的な才能の持ち主でもあって、もはや本家よりも前衛的過ぎて薫くん「ちょっとTrapはやめてくださいよ。営業妨害でしょ・・・」って怒られちゃいそうw

もはや自分の知ってるsukekiyoじゃなくなってたってのが本音で、sukekiyoメンバー、特に楽器隊のポテンシャルはデビュー作と比べたら別人説が囁かれそうなくらいの変貌ぶりで、確かに全てが未知数だった1stアルバムとはベクトルはまるで違うけど、とにかく前作までのニッチな界隈向けのB級感あふれるオルタナ風の歌モノV系のイメージ、あくまでもオルタナの範囲内でバンド・サウンド重視だったその1stアルバムとは真逆、同時にのボイスもこれまで以上に楽器の一部としての役割が著しく強調され、つまり“京のサイドプロジェクト”の枠組みを超えた、れっきとした一つの“バンド”として本格化=“sukekiyoとしてのアイデンティティの確立と自覚”に繋がった結果、これもう本家超えちゃってるんじゃねぇかくらい全方位、全音楽ジャンルに向けて尖りまくっている。

しかし“sukekiyoらしさ”も健在で、バンドとして進化するところは着実に深化する一方で、『IMMORTALIS』時代の妖艶さだったり、持ち前の底抜けにポップでキャッチーなメロディはより優雅に、より大きな広がりを与えるチュー・マッドセンによるプロダクションも含めて音のスケール感が過去作と比べて段違い。つまり、ヴィジュアル系としてのアンダーグラウンドなマニア性=エクスペリメンタルな実験性とBMTH『アモ』=K-POPおよびJ-POPにも精通するポップでキャッチーな大衆性の両立、その絶妙なバランス感覚こそsukekiyoの真髄、sukekiyoの特色であると、今回それが極まりまくっててもう言葉にならない。

なんだろう、BMTH『アモ』Welcome To My ”俺の感性”における“ポップス”の再構築、Baroness『Gold & Grey』“俺感”におけるメタル/オルタナ/プログレそしてガルバンの再構築だと強引に解釈するなら、このsukekiyo『INFINITUM』“俺感”におけるV系/Post-系/アニソン系/EDM系の再構築なんじゃあねぇかって。この10年代の終わりを告げる2019年を象徴する3枚のアルバムは、この10年間“俺感”が書き記してきた事の全てが詰まっているといっても過言じゃあない、見事な“俺感”の総括でありマンピー。そんな事より八田エミリかわいい騙されたい(いきなり何の話)。

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元BiSのりなはむがプロデュースするアイドルことCY8ERがめっちゃamoい件について

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実はPassCodeの新譜とサウンド・プロデューサーの平地に期待してたことって、EDMはEDMでもBMTH『amo』Crystal Lake『HELIX』にも取り入れられた、昨今のDJ界隈やラップ/ヒップ・ホップ=世界的なメインストリームのトレンドであるTrapの要素で、そもそもの話、個人的にパスコのことを一度もEDMと思ったことがないのは、そのトレンド的な要素がパスコの楽曲にてんで採用されていないからでもあった。

そんな中、パスコが理想とすべきJ-POP(アイドル・ポップス)と世界的なトレンドを内包したイマドキのEDMをクロスオーバーさせたのが、元BiSりなはむがセルフプロデュースする5人組アイドルのCY8ERに他ならなくて、先日公開された新曲の“サマー”はまさに平成のアイドル界を彩ったPerfumeやアキバ系アイドルのでんぱ組の正統後継者に相応しい、新時代となる令和を象徴するかのような“新世代”のアイドルとして売れる、間もなくバズる予感しかなくて、それこそ元BiSりなはむがオワコン化したBiSHと解散したBiSのWACK勢を飲み込まんとする展開マジエモい。

思い返せば、自分が初めてBiSを知った時のメンバーってプー・ルイヒラノミチバヤシユフワッキーの5人組のイメージしかなくて(スゲー今更感あるけどミチバヤシ結婚おめでとう)、実際にハマったのはユフワッキーが脱退した直後という(推しメン脱退という意味で)苦い思い出もあったりして、つまりBiSの最初期メンであるりなはむは既に方向性の違いで脱退してたから特に思い出らしい思い出はないのだけど、勿論りなはむの名前だけは過去メンとして知ってはいたから、こうやって第2期BiSが解散するくらいの時を経ても尚、BiSの初期メンであるレジェンド中のレジェンドが自身が理想とするアイドルを立ち上げ、そのアイドルの一員として活動し続けているのは素直に嬉しいし、ここまできたらWACK所属のアイドルよりも売れてほしい、つうかこいつら秒で売れます、2秒で売れます。

このCY8ERのサウンド・プロデューサーであるYunomiは、EDMはEDMでもフューチャーベースを基調とした今風のサウンドを得意としていて、2018年作のアルバム『ハローニュージェネレーション』を聴いてみても、パスコ平地とトラックメイカーとしてどちらが優れているかは明白で、同じく元BiSコショージ・メグミ擁するブクガっぽいニューエイジ感や和風というかアジアンテイストな近未来的な世界観を繰り広げる個性的な楽曲陣から、作詞担当のりなはむによる言葉遊びを駆使したサブカル臭全開のリリックまで、ザックリと言ってしまえば“EDM化した相対性理論”みたいな、それこそ相対性理論『天声ジングル』の流れで韻踏めちゃう案件で、結局のところYunomiも影響を受けている中田ヤスタカえつこ凄いって事になっちゃうんですけど、とにかく平成のサブカルや平成のアイドルを“ニュージェネレーション=新世代”の音として最解釈したような、とにかく色々な意味で“新世代”感がハンパなくて、要するに相対性理論『シフォン主義』に始まり、2016年の『天声ジングル』を経由してからBMTH『amo』まで、そして10年代の終わりと新時代=令和へと繋ぐ“イコン”となりうる唯一の存在がこのCY8ERなんじゃねえかって。


その『ハローニュージェネレーション』は、個人的にSpotifyで聴いてから2秒でOTOTOYで音源買ったくらいには完成度がすこぶる高い作品なのだけど、先月発表された新曲の“サマー”がアルバム曲のイメージとはまた違った方向性で俄然ハマった。この曲ではメンバーがラップに挑戦してて、流石に“サマー”というだけあってこれからのファッキンホットなクソ夏にピッタリのファンキーなノリとか、完全にMEGARYUと韻踏めるやつでマジRIAJYUなパリピ。当時、名古屋や岐阜で青春時代を過ごした奴で岐阜のレゲエ・ユニットMEGARYU聴いてなかった奴は例外なくモグリなんですけど、そのモグリ以外の人なら10代の頃を思い出してエモくなれます。今年出した他の新曲もPendulum感のある“タイムトリップ”を筆頭にどれも良くて、ただ売れない理由があるとすればメンバーが漏れなくメンヘラクソ女っぽくて推しメンができそうにないことで、しかし自分は楽曲派なのでセーフ。でも一番背が高い子のちょっとボーイッシュな声は武器になると思うし好き。

リアルな話、再来年のサマソニあたりに呼ばれてもおかしくないです。個人的には、BiSレジェンドのりなはむによるWACK=渡辺への逆襲というストーリーが楽しみでしょうがない(当時はまだWACKなかったけど)。もうWACK潰しちゃえりなはむw
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