Artist Cigarettes After Sex
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Album 『Cigarettes After Sex』
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Tracklist

01. K.
02. Each Time You Fall In Love
03. Sunsetz
04. Apocalypse
05. Flash
06. Sweet
07. Opera House
08. Truly
09. John Wayne
10. Young & Dumb

今年の5月、22年ぶりに奇跡の復活作を発表したシューゲイザー界のレジェンドことSlowdive。そのSlowdiveが90年代以降の音楽シーンに与えた影響は計り知れず、2014年作の『シェルター』ニール・ハルステッドとコラボしたAlcestネージュもその内の一人だが、このブルックリンにもスロウダイヴからの影響を隠しきれない「スロウダイバー」が存在するのをご存知だろうか。2012年に発表されたデビューEP『I.』が瞬く間に話題を呼ぶやいなや、収録曲のNothing's Gonna Hurt You BabyがYoutubeで4000万再生を記録し(現在は6200万)、そして今年の5月には初来日公演を果たした、【テキサス出身】と【ブルックリンを拠点に活動している】こと以外全てが謎に包まれたバンドが今世界中から注目を浴びている。その名もCigarettes After...



『SEX』



よく「SEXの後のタバコは格別にウマい」って話を聞くけれど、しかし俺たち「童貞」には一生理解できないその謎の価値観と疑問に、音楽という名の疑似SEXを通じて「童貞」にも理解できるようにレクチャーしてくれるのが、このもはや「究極の童貞煽り」みたいなバンド名を冠した、フロントマンのグレッグ・ゴンザレス率いるCigarettes After Sexだ。実は彼ら、2011年にも同じようなセルフタイトルを冠したフルアルバムをリリースしているが、今はその存在自体が完全になかったことになっている。この度、再びセルフタイトルのアルバムを出したということは、これが彼らの本当の姿だという二度目の正直的な意味が込められているのかもしれない。

このCigarettes After Sex(セックスの後のタバコ)「Sex=セックス」に対して、いわゆる主にベッドの上で行われる「Sex=セックス」を想像した奴は間違いなくほぼ100パーセント「童貞」だ。何故なら、ここでのこの場合のこのバンドでの「Sex=セックス」は、パスポートなどでお馴染みの「性別」という意味で使われる「Sex」を表現していて、それはバンドの中心人物であるグレッグ・ゴンザレス「性別」の垣根を超えた女性的かつ官能的な歌声を聴けば分かるように、つまり彼らの奏でる音楽には「Sex」≒「Gender」すなわち「ジェンダーフリー」の精神が宿っており、そのグレッグのセンチメンタルなウジウジ気分にさせる内向的な歌声をはじめ、女々しくて女々しくて辛すぎるメロマンティックな歌詞世界、スロウダイヴ直径のシューゲイザー/ドリーム・ポップ然としたアトモスフィア/フィードバック・ギターが奏でる魅惑のリフレイン、そしてスロウコアならではのミニマルなサウンド・スケープならぬドリーム・スケープを、Cigarettes=煙草のケムリのようにモクモクと展開していく。あのスロウダイヴを「天上の音楽」と表現するなら、このCigarettes After Sexはまさに映画『コーヒー&シガレッツ』のような雰囲気映画ならぬ雰囲気音楽、すなわち「ベッドルームの音楽」だ。


彼らは、幕開けを飾る一曲目の”K.”からこの世のものとは思えない官能的な「Slowsex」を披露する。それこそスロウダイヴ”Altogether”を彷彿させる、儚さちょちょ切れるようなイントロのリフレインから「スロウダイヴ愛」に満ち溢れたスロウナンバーで、今のLGBT時代を象徴するようなジェンダーレスかつフェミニンなグレッグの歌声とギターの「Slowsex」の如しメロゥなリフレインとアコギが織りなす、セクシャルでハラスメントな、ムーディでアダルティな世界観をミニマルに描き出していく様は、もはやSlowdiveではなく「Slowsex」と呼称すべき音楽だ。昭和の歌謡曲やテレサ・テンばりに哀愁よろしゅうなキーボードのメロディと可愛げのあるグレッグの甘味な歌をフィーチャーした#2”Each Time You Fall In Love”、再びギターのメランコリックかつミニマルなリフレインをフィーチャーした#3”Sunsetz”と#4”Apocalypse”、トリップホップ感を醸し出す#5”Flash”、タイトルどおり甘いSexのようなメロディに溺れる#6”Sweet”、白昼夢を彷徨うかのようなリヴァーヴィなアトモスフィアが広がる#7”Opera House”、アメリカの映画俳優ジョン・ウェインの名を冠した今作のハイライトSexを飾る#9”John Wayne”、リア充過ぎる歌詞に耳を塞ぎたくなること請け合いなラストの#10”Young & Dumb”まで、もはや「儚くも甘味なグレッグの歌声とコク旨なギターのリフレインがあればそれでいい」みたいな、それこそ22年ぶりに本家のスロウダイヴがセルフタイトル作で奇跡の復活を宣言したこのタイミングで、その約一ヶ月後に最高のスロウダイバーが最高のSEXミュージックを最初から最後まで一貫して繰り広げるセルフタイトル作で最高のアルバムデビューを飾るという神展開。これ聴き終えたら「童貞卒業」したも同然です。それくらい、「いま最も童貞にオヌヌメしたい最高のSEXミュージック」だ。

シガレッツ・アフター・セックス
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