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墓っ地・ざ・ろっく!

Psychedelic

Blackwater Holylight - SILENCE/MOTION

Artist Blackwater Holylight
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Album 『SILENCE/MOTION』
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Tracklist
01. Delusional
02. Who The Hell
04. Falling Faster
05. MDIII
07. Every Corner

近年のヘヴィミュージック界におけるマストアイテムの一つとして挙げられるのが、他ならぬ女性SSWのEmma Ruth Rundleとヘヴィミュージック界の帝王ことThouのコラボアルバム『May Our Chambers Be Full』である。このオレゴンはポートランド出身のガールズロックバンド、Blackwater Holylightの約2年ぶりとなる通算三作目『SILENCE/MOTION』は、持ち前のキング・クリムゾンに代表される70年代のプログレッシブ・ロックをはじめ伝統的なクラシックロックに対するリスペクトが込められた、ガルバンらしからぬヴィンテージ臭とストーナー気質に溢れたネオ・サイケデリックなドゥームロックはそのままに、まさに昨今の金字塔と呼べる名盤『May Our Chambers Be Full』にチューニングを合わせてきたかのような作風となっている。

というのも、本作にはThouのブライアン・ファンクやInter Armaのマイク・パパロがゲストボーカルとして参加、そしてバンド史上初となる外部プロデューサーとして同郷ポートランドのブラックメタルバンド=מזמור(Mizmor)A.L.N.を迎えて制作され、そういったガワの面でも過去イチでヘヴィかつエクストリーミーな楽曲的強度を著しく高めている。


それこそ、Thouのブライアンによる猟奇的な咆哮とバンドの中心人物であるアリソン(Ba,Vo)の慈悲に溢れた歌声、その『美女と野獣』あるいは『天使と悪魔』が織りなす魅惑のハーモニーからして名盤『May Our Chambers Be Full』をフラッシュバックさせる#1“Delusional”を皮切りに、界隈の重鎮チェルシー・ウルフ姐さんリスペクトな呪詛を唱えるかのごとし歌声とプログレ風のミニマルなシンセやメロトロンがゆらり揺らめくガールズ版キング・クリムゾンな#2“Who The Hell”、アコースティックなフォークソングから始まって徐々にメロトロンやストリングス、まるで黒魔術を詠唱するかの如くブラックメタル然としたトレモロ・リフを交えながらプログレスに展開する表題曲の#3“Silence/Motion”、言うなれば初期のWarpaintが70年代にタイプトリップしたかのようなドリーミーでミニマルなスロウコア、と見せかけて後半からオサレな転調を織り交ぜた俄然プログレスな楽曲構成も彼女らのインテリジェンスな非凡さを印象付ける#4“Falling Faster”、テキサスのTrue Widowを連想させるドリーム・ポップ/シューゲイザー風の希望に溢れた前向きでポップなアレンジが施された#6“Around You”は、まさに「光(Holylight)」「闇(Blackwater)」が表裏一体化しているバンド名の「光(Holylight)」側を司るような一曲となっている。

そしてアルバムのエンディングを飾る、Inter Armaのマイク・パパロの悪魔的な咆哮をフィーチャーした曲で、本作において音響意識の高いプロダクション含めて完全にプログレッシブ・ロックの領域に片足のみならず両足突っ込んじゃった事を示唆する#8“Every Corner”まで、それこそバンド名はもとより『SILENCE/MOTION』という表題が意味する「静(SILENCE)」「動(MOTION)」のコントラストとメリハリを効かせた、そのプログレ然としたダイナミックな展開力に脱帽すること請け合いの一枚と言える。

KYLESA 『Ultraviolet』 レビュー

Artist KYLESA
KYLESA

Album 『Ultraviolet』
Ultraviolet

Track List
01. Exhale
03. Grounded
05. Long Gone
06. What Does It Take
07. Steady Breakdown
08. Low Tide
10. Quicksand
11. Drifting

USはジョージア州サバンナ出身の五人組、KYLESAの約三年ぶり通算六作目『Ultraviolet』なんだけど、世界中にその名を轟かせた2009年作の歴史的名盤Static Tensionsでの【暗黒ドロドロヘヴィサイケ】とは一転して、その翌年にリリースされた5thSpiral Shadowでは【ストーナー/サイケ】一辺倒のモダンな方向性へと歩み寄り、徐々に音楽性の広がりを見せ始めた彼らだが、それらを踏まえての本作『Ultraviolet』はというと、とりあえずオープニングを飾る#1”Exhale”の冒頭から怒涛に押し寄せる【4th回帰】風のヘドロドロドロな轟音ヘヴィネス、ラウラ姐さんとフィリップによる野性に帰るかのようなツイン咆哮、そしてexperimentalなメロディと前作譲りのマジックマッシュルーム風味のサイケ成分がクロスオーヴァーした、これぞまさしく「俺たちのKylesaが帰ってきたー!」と聴き手を納得させる楽曲から、その#1よりも更にディープなサイケ・ロックを繰り広げる#2”Unspoken”、そして70sサイケ・ミュージックリスペクトな#3”Grounded”までの流れを耳にすれば分かるように、確かに名盤4thに回帰してる面もあるっちゃあるんだけども、しかしあくまでも今作の意識はソッチ=5th側にあって、つまり前作のサイケ路線を更に深く煙たく陰鬱に追求した結果→まさしくジャケのカブトムシ的なナニかを細かくすり潰してスッってトリップしてアヘ顔ラリピーな一枚となっている。なんつーか、KYLESAにしては珍しくポストロッキンなアプローチを見せる#7”Steady Breakdown”やポストメタル風のアレンジを効かせたKeyの心地良い音にトリップできるラストの#11”Drifting”なんかを聴いてると、新作を控えたTrue WidowBlack Math Horseman、そしてBlood CeremonyThe Devil's Bloodらを連想させる、今流行の女性Vo系トラディショナル・ドゥーム/癒し系サイケ・ロック的な言わば”クラシック”な意識を高めた印象を強く受ける。極端な話、今回は#8を筆頭にシューゲ色の強い作風というか、それこそ”ステレオガム厨”がBESTに挙げそうな作風ではある。当然、そこには初期の面影や獣性むき出しのハードコア魂は皆無だし、必然的に持ち前のツインドラムの有り難みというのも少なくなってしまう。が、それがまた特異なグルーヴ/トリップ感を生み出し、結果的に今作の味わい深さに繋がっている。その音の深みは過去最高か。

 本作における新アー写を見てもお察しのとおり、もはや【Kylesa=ラウラ姐さんのバンド】という認識で、どうぞ的なナニがあるわけだ。いや、名盤4thからスデにその気配はあったし、前作で更にそれが本格化し、そして遂に本作で完全にラリラリパッパBBA状態と化したラウラ姐さん。そのハッパ臭い姐さんに対して「おーい、ラウラこっちに戻ってこーい」と微笑むための作品がコレです。そして姐さんに「うっせー、このクソDT野郎が」とか言われながらボコボコに殴られてまたアヘ顔、みたいな作品。はい。そんなわけで、なんだかんだ言うても、即効性というのはないけど後からジワジワくる中毒性の高い作品なのは間違いないです。じゃ、みんなもコレ聴いて一緒にトリップして、どうぞ。
 
Ultraviolet
Ultraviolet
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Kylesa
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Ulver 『Childhood's End』 レビュー

Artist Ulver
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Album(Compilation) 『Childhood's End』
Childhood's End

Track List
1. Bracelets Of Fingers
2. Everybody's Been Burned
3. The Trap
4. In the Past
5. Today
6. Can You Travel in the Dark Alone
7. I Had Too Much to Dream (Last Night)
8. Street Song
9. 66-5-4-3-2-1
10. Dark Is the Bark
11. Magic Hollow
12. Soon There'll Be Thunder
13. Velvet Sunsets
14. Lament of the Astral Cowboy
15. I Can See the Light
16. Where Is Yesterday

北欧ノルウェイに凄む生きる伝説ことUlverの昨年リリースされたWars Of The Rosesから約一年ぶりの最新作で、ベトナム戦争で有名な”あの一枚”をアートワークとして掲げた『Childhood's End』は、主に60年代に活躍したバンドの楽曲を今のUlver流の解釈で再構築したコンピレーション・アルバムで、その内容は実にサイケデリックかつフォーキー、レトロでダンディな温かいムードに満ち溢れたexperimentalな聖域へと聞き手をトリップさせるんだけど、これが想像した以上に心地よい件。今なお流動的な音楽を創造し続けるUlverと、その中心人物であるノルウェイの森のエロぃクマさんことKristoffer Ryggという人物の頭の中に秘められたユニークな感性の一部を覗き見してるかのような一枚。で、恥ずかしながら原曲を一曲も知らないぐらいクラシックな音楽には疎いおいら、今回のような機会がなかったら60sの音楽を聴くチャンスは今後一生なかったかもしれない。少し大袈裟だが、それほどまでに、かなり貴重な音楽体験だと思う。この場を借りて、このような機会を与えてくれたUlverには素直に感謝したい。で、個人的に気に入ったのは、奇想天外でポップな場面と東欧風味の暗鬱感を醸し出すメロディとのギャップがイカす#1”Bracelets Of Fingers”、トリップホップ/ポストロック的な穏やかな音使いでシブくてジャジーなエロいムードを形成する#2”Everybody's Been Burned”、エレクトリカルな#3、ポップ&フォークな#4、そして特に#5” Today ”なんかを耳にすると、Opethのミカエル・オーカーフェルトが如何にクラシック・ロック・ヲタクなのかを理解ッできる気がする。それほどまでに、この曲からは名盤『Still Life』のような”オトコの哀愁”を感じざるを得なかった。で、プログレ~サイケな音階を交互に行き来する#6、オトコのフォーク・ロック的なシブい#7、アコギ主体の#10” Dark Is the Bark ”の中盤からの展開とかマジで壮麗優美ニキ。他にもアコギ/サイケ/フォーク/トラッド調の楽曲が最後までムーディな雰囲気を演出している。しかしながら60年代の曲が原曲なのにも関わらず、あまり60sという古臭い印象を受けないのは、やはりクリストファーのセクシャル&ダンディズムに満ち溢れた深みのある歌唱法のお陰だったり、いわゆる”俺の界隈”に属するバンドを連想させる音が自然な形で耳に馴染んでくれたお陰か、全体的にポップでキャッチーなテイストがあって思いの外聴きやすかった。少なくとも聴きづらさは一切なかった。そんな感じで、ミカエル・オーカーフェルトがアヘ顔しそうな楽曲ばかりなんで、特にOpethの最新作Heritageとか、その手の界隈のリスナーは聴いてみるといいかもしれない。なかなかに面白い発見があるかも!?

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Ulver
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Baroness 『Yellow & Green』 レビュー

Artist Baroness
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Album Yellow & Green
Yellow & Green

Track List
Disc I
01. Yellow Theme
03. March To The Sea
04. Little Things
05. Twinkler
06. Cocainium
07. Back Where I Belong
08. Sea Lungs
09. Eula

Disc II
01. Green Theme
02. Board Up The House
03. Mtns. (The Crown & Anchor)
04. Foolsong
05. Collapse
06. Psalms Alive
07. Stretchmarker
08. The Line Between
09. If I Forget Thee, Lowcountry

USはジョージア州サバンナ出身の四人組、Baronessの約三年ぶり通算三作目Yellow & Greenなんだけど、CD2枚組のボリュームがどうとか以前に、まずはその作風その内容に驚いた。言うなれば、Mastodonの5thThe Hunterの”市場”を意思した”キャッチー&メジャー”な要素と歴史的名盤の4thCrack The Skyeの”クラシック&サイケデリック”なスタイルを、バロネス流の考えで解釈し仕立てあげ恋してみました的な感じで、サイケデリックやストーナー、オルタナやアコギ、そしてクラシックなHRテイスト溢れる男臭い歌による叙情的な要素をバロネス流のヘヴィサイケに落とし込んだ結果、今までにないバロネスの創造、新たなる世界を切り開いたバロネスの勇気ある行動に、僕は敬意を表するッ!!ってくらい、アメリカの雄大な大地と情緒が織りなす叙情美を、荒野に立つ”クリント・イーストウッド=空条承太郎”バリのシッブイシッブイ”男の哀愁”に変えて、イエロー・テンパランスVSハイエロファント・グリーンとかいうディスク二枚にコンパクトに凝縮した、まるでアメリカ大陸をバスで(時に大クラッシュしながら)横断するかのような(笑えねえ...)、まるでUS産ロードームービーでもあるかのようなビッグスケールで描かれる、そのハードボイルドな”男の世界”に俺たちの♡はウキウキしっぱなしよ。個人的に、丼の5thはドコか”コレジャナイ感”があって受け付けなかった、がしかしソレと全く同じ事をやってるハズの本作には不思議と嫌悪感はなく、むしろ好意的な感情が湧き上がった。丼のアレは無理矢理やらされてる感があったが、ソレみたいな不自然さがコレにはなくて、”NEXT-Baroness”が特に黄色の中で繰り広げる楽曲には、今やMastodonとの立場は逆転したといっても過言じゃあない、バロネスというバンドの確かな実力に裏打ちされた、聞き手に有無を言わすことのない、絶対的な”説得力”がそこにはある。その”説得力”に今回”大変貌”を遂げたバロネスに対しての”納得”というのが生まれるわけだ。つまり『納得』は全てに優先するぜッ!! 正直なところ、今までのバロネスの作品には”丼の亜種”とかいう漠然としたイメージしかなくて、心の底からハマりきれないでいたけど、この新作で初めてバロネスのことを本気で”好き”だと言える。とか言うても、1stや2ndのようなプログレメタル/マス的なテクや己の獣性を剥き出しにする咆哮そしてスラッジー流れの重厚なヘヴィネスは微塵もなくて、男の哀愁を帯びた叙情的なメロディに満ち溢れた、あくまでもクラシックでサイケデリック、オーガニックでキャッチーな作風なんで、賛否両論あるのは至極当然だが、ここまで思い切ったバロネスの覚悟ッ!!意外ッ!!性は評価すべきトコです。丼のアレが何故ダメで、この×が何故イイのか、その違いが分かる人にはハッキリと分かりますね。

    『ありがとう』...それしか言う言葉がみつからない

 まず、黄色盤の方は・・・フワフワとゆったりとしたイントロの#1で始まり、クラシックなHR調の曲で”テーィクマーイボ~~~ンズウェイッ!!”とかいうクッソ暑苦しいくらいにノリノリでつい一緒に歌いたくなるサビがイカす#2”Take My Bones Away”、一転して”男の哀愁”に満ちたキャッチーな歌とメロディに酔いしれる#3”March To The Sea”、とりあえずこの二曲だけでも今回のバロネスの変貌が嫌でも伺える。で、緩やかなメロディがユラリ揺らめくオルタナチューンの#4、フォーキーなアコギが醸し出す温かな郷愁とシミジミとした哀愁が胸に染み入る#5”Twinkler”、スペース×サイケ×70sプログレッシブが交錯したレトロな香り漂う#6”Cocainium”と#7”Back Where I Belong”では深~くてシブ~い叙情的な世界へと誘い、そのユル~い流れからの~トドメは超絶epicッ!!なHRチューンの#8”Sea Lungs”、そしてついつい”男泣き”してしまいそうなほど、クッソシッブイメロディとドリーミーな雰囲気に酔いしれる序盤から徐々にヘヴィサイケ化していく#9”Eula”で第一章の幕を閉じる。で、盤の方は・・・まるでCloudcikerやUSポストメタルを思わせるような、アメリカ西海岸に吹く風を肌で感じるインストの#1で幕を開け、”よりもユルくてアダルティなシブさを醸し出す”を象徴するかのような#2”Board Up The House”、アコギによるシンミリした哀愁ほとばしるオルタナ曲の#3”Mtns. (The Crown & Anchor)”、もはや60年バリにレトロでオトナの色気全開の雰囲気に飲まれる#4”Foolsong”、#4の流れを汲んだスペーシーな#5、まるでアメリカ西海岸的な”あの情緒”ある景色を脳裏に描写させるほど、Bucketheadバリにキモティアコギインストの#7”Stretchmarker”、の中で一番激しくそして浮いた存在の#8”The Line Between”、再びッ!!Cloudciker的なアンビエント系インストの#9で夢心地な気分のまま終幕を迎える。そんな感じで、黄(40分)緑(35分)トータル約75分にも関わらず、全てを聞き終えた後、その長旅の疲れを感じさせないほど、むしろ逆に晴れやかな充実感すなわち”『ありがとう』...それしか言う言葉がみつからない”というような一種のカタルシスを得ることができる。特に黄色の方はマジでスゲーです。捨て曲が無いのは言わずもがな、クラシックなハードロックもしくは70sプログレ好きにはドツボにハマること請け合いな楽曲の連続。で、一方のの方は、黄色よりユル~い雰囲気で少し大人びた感じの、例えるならBucketheadHelms AleeもしくはPelicanを彷彿とさせるような、サイケ一辺倒な音世界の中からほとばしる”アメリカ西海岸”臭がこれまたイイッ!!アメリカニシカイガンガーアメリカニシカイガンガーアメリカニシカイガンガー
 
 そんなわけで、そこまで思い入れのあるわけでもないバロネスに対して、まさかここまで感動させられるとは思ってもみなかった・・・これは意外ッ!!そして今ッ!!猛烈にライブが観たくなったッ!! それほどまでに、本作Yellow & Greenでバロネスがやってる音楽というのは、まさしく”俺の界隈”の”音”そのもの、なんだ。これはEnslavedの新作RIITIIRでも書いたけど、”脱メタル化”して”プログレ化”した成功例がまた一つ。

Yellow & Green
Yellow & Green
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Baroness
Relapse (2012-07-17)
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Storm Corrosion 『Storm Corrosion』 レビュー

Artist Storm Corrosion
Storm Corrosion

Album 『Storm Corrosion』
『Storm Corrosion』

Track List
2. Storm Corrosion
3. Hag
4. Happy
5. Lock Howl
6. Ljudet Innan

かのスティーヴン・ウィルソン先生とミカエル・オーカーフェルトによるコラボが遂にッ実現した本プロジェクトの名はStorm Corrosion、気になるその音楽性としては、まるで『世にも恐ろしいグリム童話』のような二次元世界へとトリップした錯覚を覚えるほど、鬱々しく狂気的なMVが見所の#1”Drag Ropes”や《美と狂気が反響する奇人たちの晩餐会》を描いたタイトルトラックの#2”Storm Corrosion”をパッと聴いた感じ、SWソロ最新作Grace For Drowningを踏襲した形に見せかけつつも、それ以降は内省的かつサイケデリックそしてexperimentalな、どちらかと言えばSWソロ1stInsurgentesを想起させる、病的で陰鬱なキモkawaii世界観に重きを置いた感じで、さすが約十年来の付き合いがあるこの二人だけあって(意味深)、互いに共鳴し合う感性が嫌味なく融け合うことにより、深淵に潜む幽玄世界からヌーっとその姿を覗かせる”奇妙奇天烈”な味わい深き音世界は、ANATHEMAの新譜Weather Systemsでもお馴染みのデイヴ・スチュワートによるアレンジが施されたロンドン・セッション・オーケストラの凛としたストリングスやSWの1stを想起させる内省的な暗鬱感を醸し出すAmbient的な音使い、そしてOpethの中期を彷彿とさせるアコギを中心としたフォーキーな香りと二人の男達が醸し出す大人のフェミニズムが神業的に調和した結果、『シブイねェ・・・ まったくおたくシブイぜ・・・』と言わざるをえない、実にアダルティな作品に仕上がっている。

 本プロジェクトの主導権はやはりSW先生側にあり(特に#3や#4そして#5なんかはSWの独壇場)、本作は一応ボーカル入りではあるが、PTやOpethからイメージされる”歌っている”といった印象は至極薄くて、ストリングスやアコギの流れるようなインストで構成された奇妙な物語に身を任せる感じで音と同化したイメージ。で、劇的な展開だったりとかそういった派手な場面は一切なくて、 マッタリとジックリと聴かせるタイプのリスニング音楽というか、人によっちゃあ”退屈”だと思われそうな感は正直あるが、この二人がコラボして”全く新しいこと”をやろうと思って実際にやってみたら”自然とこうなった”感じは凄い伝わってくる。だいぶ前に”ニセ”の音源を聴いた時は、Opeth『Damnation』みたいな曲でイイやんッ!!って見事に騙されたんだが、”俺の界隈”の重役を担うこの二人からなるStorm Corrosionが繰り広げるその音世界は確かに、PTOpethそしてSWソロとは確実に一線を画した無二の音世界が存在している。期待したほどの衝撃はないかもしれないが、この二人にしか成し得ない”少しだけ玄人向け”の音世界が楽しめます。当然オススメ。ちなみに本プロジェクト、噂ではマイク・ポートノイも参加する予定だったらしいが、今回残念ながらそれは実現せず、本作のドラムはPTでお馴染みのギャビンさんです。



Storm Corrosion: Special Edition
Storm Corrosion
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