Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

Post-Hardcore

The Callous Daoboys - Celebrity Therapist

Artist The Callous Daoboys
0015031800_10

Album 『Celebrity Therapist』
a0509988875_16

Tracklist
01. Violent Astrology
02. A Brief Article Regarding Time Loops
03. Beautiful Dude Missile
04. Title Track
05. Field Sobriety Practice
06. The Elephant Man In The Room
07. What Is Delicious? Who Swarms?
08. Star Baby

アトランタ・ポップ・ミュージックを自称するThe Callous Daoboysの2ndアルバム『Celebrity Therapist』は、バンド曰くFall Out BoyやPanic! At The DiscoがGlassjawにボコられているようなものと表現するように、レジェンドTDEPや今回レーベルメイトとなったUKのRolo Tomassiに代表される、いわゆるカオティック/マス・コアを一つの大きなバックグラウンドとしながらも、バンドのキーパーソンとなる電子ヴァイオリン奏者のアンバーによる素っ頓狂なストリングスやDissonant Death Metalさながらの不協和音を刻むリフメイクなどのアヴァンギャルドな要素を駆使して、ホラーチックかつオペラティックなストーリー性を内包した戯曲を繰り広げており、最近の若手マスコア勢を代表するロンドンのPUPIL SLICERやスコットランドのFrontiererと共鳴するUKポストハードコア的なエモ要素はもとより、それ以上にメインストリームのモダンなポップ/パンク・ロックバンドに精通する、言わばマス・ポップとでも呼ぶべき謎キャッチーなフックに富んだオルタナティブな側面を強く打ち出している。


古き良き伝統的なマスコアのカオティックな側面と持ち味のアヴァンギャルドな側面がスクリムを組んだ#1“Violent Astrology”を皮切りに、不協和音全開のマシズモを強調したカオティック・メタルコアの#2“A Brief Article Regarding Time Loops”、まさに“アトランタ・ポップ・ミュージック”を称するに相応しい、もはやFall Out BoyPanic! At The DiscoのみならずボストンのVeinやルイジアナのiwrestledabearonce、終いにはフィラデルフィアのSoul Gloが乱入して大乱闘スマッシュブラザーズおっ始めたかのような#3“Beautiful Dude Missile”、一転して女性ボーカルをゲストに迎えて後期TDEPさながらのオルタナティブ・ヘヴィ的な多様性を覗かせる#4“Title Track”、混沌蠢くケイオスとインディロックさながらの優美な美メロがスムースに交錯する#5“Field Sobriety Practice”やジャズ/フュージョン的なアプローチを効かせたストーリー仕立ての#6“The Elephant Man In The Room”、サックス奏者をゲストに迎えて“ジャズコア”のジャンルを開拓しつつある#7“What Is Delicious? Who Swarms?”や大団円感あふれる#8“Star Baby”における、それこそアメリカを代表するアニメ『シンプソンズ』や地元アトランタを舞台にしたドナルド・グローヴァー主演の海外ドラマ『アトランタ』に通じるシニカルなブラックコメディ要素は、(コント仕立てのMVにも象徴されるように)彼らThe Callous Daoboysならではの特権と言えるし、この手の他のバンドと一線を画す独自のオリジナリティとバンド最大のセールスポイントとして誇示している。

dynastic - Rare Haunts, Pt. I

Artist dynastic
0027513942_10

Album 『Rare Haunts, Pt. I』
a1676905122_16

Tracklist
01. the actor
02. 54320 (feat. DJ Re:Code)
03. lovely aka fire away (feat. Jedwill)
04. 8 months in my head (feat. goji!)
05. brand new rainbow
06. still watching? (feat. PSX)
07. bela fujoshi's dead
08. karma! (feat. mothgirl)
09. mary kate & executioner (feat. Eichlers, oldphone)
10. pining, revisited
11. dattebayo

さしずめ“ハイパーポップ化したマイケミ”とでも称すべき、記念すべき1stアルバムI Know There's Something Left for Youを今年の2月に発表したサンフランシスコ出身のdynasticといえば、それこそ「あの頃の洋楽」を象徴するマイケミさながらのエモ/ポップパンクとZ世代を象徴する音楽ジャンルであるハイパーポップ、そして昨今のBandcamp界隈のトレンドが混沌とした現代社会の闇渦の中で邂逅した、日本の(sic)boyとともに「第5世代のエモ」を司る次世代アーティストの一人だ。

そんなdynasticの約半年ぶりとなる2ndアルバム『Rare Haunts, Pt. I』は、それこそ幕開けを飾る#1“the actor”からして、「古き良き俺たちの洋楽」を司るコテコテのポップパンクにイマドキのトラッピーなビートを打ち込んだハイパーロック!を繰り広げると、互いの作品でフィーチャリングし合う仲の盟友DJ Re:Codeを迎えた#2“54320”、ハイパーポップならではのカオスを内包したグリッチーなアレンジとエモパンクが交錯する#3“lovely aka fire away”、いわゆるバンキャン・ミュージックとしての側面を垣間見せるローファイ志向の強い#4“8 months in my head”、ハードロックさながらのエッジを効かせたギターを打ち出したドライヴ感あふれるポスト・ハードコアの#5“brand new rainbow”や同曲よりも俄然ソリッドでヘヴィな#6“still watching?”、その全てを飲み込まんとする激情的なシャウトとポスト・メタリックな轟音ギターがブルータルなデカダンスを奏でる曲で、日本のサブカルを司る“腐女子”を冠する#7“bela fujoshi's dead”、米南部のカントリー/ブルース風の冒頭から一転してテキサスのGonemageMachine Girlさながらのカオティックなニンテンドーコアを展開する#8“karma!”を筆頭に、ローファイやノイズ/グリッチ、バキバキのオートチューンや“emo(イーモゥ)”特有の内省的なメロディ、そしてケロケロボニト的なバブルガム/サブカル要素の巧みなクロスオーバーを実現させた、ハイパーポップならではのバラエティに富んだ1stアルバムに対して、この2ndアルバムはあくまでフィーチャリングの楽曲を中心としながらも、ポップパンク・リバイバルの視点はもとより、俄然ポストハードコアに肉薄するエッジを効かせたギター・サウンドに著しく傾倒している印象。もはやハイパーポップ云々は抜きにしてメロコア好きなら絶対に聴いてほしいレベル。


そしてdynasticのサブカルヲタクっぷりを確信付ける#10“pining, revisited”では、冒頭から見栄なり流行なり妄想なり阿呆なり、あらゆるものを呑み込んで、たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、暗闇に跳躍すべき瞬間があるのではないか(それができりゃ苦労しないよ)。今ここで跳ばなければ、未来永劫、薄暗い青春の片隅をくるくる回り続けるだけではないのか。このまま彼女に想いを打ち明けることなく、ひとりぼっちで明日死んでも悔いはないと言える者がいるか。いるならば前へ!とかいう、湯浅政明監督のアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の先輩役CVの星野源のセリフのサンプリングが飛び込んできたと思ったら、最後は同作に“黒髪の乙女”のCVとして出演している花澤香菜さんの大切にしますのサンプリングで締めくくる神オチ。なんだろう、今回のサンプリングはParannoulがアニメ『NHKにようこそ!』からサンプリングした某曲を彷彿とさせる激情ハードコア味を感じた(サンボマスターじゃないけど)。


まさかの星野源、まさかの花澤香菜さんのサンプリングは流石に笑ったけど、その謎めいたJapanese fujoshi要素は、実はdynasticが2021年に発表した“火事! 金玉で!!”とかいうタイトルのコラボ曲(謎すぎるタイトルや下ネタ全開の歌詞に反してめっちゃいい曲)において、日本語の歌詞を交えてフィーチャリングしたのが今回の伏線として存在しているのも事実。中でも、地元がサンフランシスコの“外人”が英語の歌詞が思いつかなかったから日本語でてめぇの爆乳さわってもいい?とか言っちゃうスクールカースト最底辺の非モテを極めたリリックは、もはやEワードを超えたDT(童貞)ワード過ぎて笑う(この曲がたった500再生程度とか...もう人類は音楽を聴く資格ないです)。

Gospel - The Loser

Artist Gospel
A-206619-1455669799-7532

Album 『The Loser』
a1281987747_16

Tracklist
01. Bravo
02. Deerghost
03. Hhyper
04. S.R.O.
05. Tango
06. White Spaces
07. Metallic Olives
08. Warm Bed

2005年のデビュー作『The Moon Is A Dead World』から約17年の時を経て奇跡の復活を遂げた、ニューヨークはブルックリン出身の4人組、Gospelの2ndアルバム『The Loser』は、前作同様にプロデュース/エンジニアとしてレコーディングに参加しているConvergeのカート・バロウ監修のエモ/スクリーモを経由したハードコアパンクと、初期のMastodonTOOLに代表される現代プログレにも精通する、60から70年代にかけての古き良きプログレッシブ・ロックのクラシックなヴィンテージ・サウンドがエクストリーム合体した「ありそうでなかった」その斬新なポスト・ハードコアは不変で、今なおハードコアシーンの中心を担うカート・バロウのみならず、マスタリングエンジニアとしてCult of Lunaのマグヌス・リンドバーグを迎えた最強の布陣で制作に臨まれた今作は、まさに向かうところ敵なしの一枚となっている。

開口一番に「プログレの音」を象徴するシンセが盛大に鳴り響く冒頭の#1“Bravo”からして、カオティックなマシズモを押し出した前作と比較しても今作はハードコア/エモバイオレンスな世界観に乏しく、俄然クラシックロックとしてのプログレやストーナーロック寄りの音作り、その傾向が強いハードロック的な作風なのも確かで、中でも#3“Hhyper”におけるスペースロック的なサウンドメイクを皮切りに、その「プログレの音」が集約されたような#4“S.R.O.”における、主に左側から聴こえてくるYESGenesis顔負けのシンセやオルガンのレトロな音色がたゆたう、往年のプログレならではの神々しくも崇高な世界観を超越する激情ハードコアは同郷のLiturgyを彷彿とさせ、続く#5“Tango”における“プログレおじさん”ことスティーヴン・ウィルソンもビックリの古き良きプログレならではのレトロなプロダクションまで、そのブルックリン出身らしい荘厳なアート気質に溢れた実験的なアプローチは、今年のハードコアシーンを象徴するフィラデルフィアのSoul Gloに迫る異質な才能を伺わせる。

引き続き本作においても、(17年前ほどキレッキレでないにしろ)TOOLのダニー・ケアリーに肉薄するドラマーの異次元なバカテクパフォーマンス/スキルを屋台骨に、そのプログレとハードコアを縦横無尽に駆け巡るテクニカルなインストゥルメンタルは聴き応えたっぷりで、しかしプロダクションに関しては前作の方が生感があった気がしないでもない。なので俄然、感覚的にはMastodonTOOLというよりも近年のPallbearerElderと同じ文脈で語るべき存在なのかもしれない。ちなみに、本作はバージニアのInfant IslandBoris明日の叙景Heaven In Her Armsなどの国内バンドにもゆかりあるイギリスのインディーズレーベルからリリースされているのもポイント高しくん。

Rolo Tomassi - Where Myth Becomes Memory

Artist Rolo Tomassi
0027010715_10

Album 『Where Myth Becomes Memory』
a0047102255_16

Tracklist
01. Almost Always
03. Mutual Ruin
04. Labyrinthine
05. Closer
06. Drip
07. Prescience
08. Stumbling
09. To Resist Forgetting
10. The End Of Eternity

Holy Roar Recordsの創始者であるアレックス・フィッツパトリックが複数の女性から性的暴行を告発された件で、レーベルの看板娘であり屋台骨として二人三脚で長年共に歩んできたホームグラウンドから強制退去を余儀なくされたUKポストハードコアバンド、Rolo Tomassiの約4年ぶりとなる6thアルバム『Where Myth Becomes Memory』は、Black Label SocietyHigh On Fireが在籍するニューヨークのインディーズレーベルMNRK Heavyへ移籍して初となる作品。

改めて、UKの気鋭インディーズレーベルとしてメタルヘッズから一目置かれていたHoly Roar Recordsといえば、いわゆるUKポストハードコア系のバンドを主戦としながらも、昨今のメタルシーンにおけるトレンドのDeafheavenに象徴されるポストメタルムーブメントに乗っかる事に成功し、それこそRolo TomassiがHoly Roarへの置き土産として遺した前作の5thアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』は、DFHVNからの色濃い影響下にあるブラックゲイズをはじめポストロックおよびポストメタルを経由したオルタナティブな側面を大胆に取り入れたエクストリーム・ミュージックの金字塔と呼べる名盤だった。

心機一転、新天地からリリースされた本作においても彼らの革新的なアイデンティティは不変で、その先見性に富んだサウンド・スタイルは複雑極まりない静と動のコントラストを効かせたポストメタル/ポストロックの方向性へと舵を切っている。それにより持ち前のカオティックなマシズモは著しく減退した印象で、鍵盤奏者のジェイムズ・スペンス兄貴が奏でるリリカルな物語性を演出する神秘的なメロディを一歩前に打ち出したスタイルを軸としている。

幕開けを飾る#1“Almost Always”からして、それこそ2015年作の『Grievances』から始まり前作の『Time Will Die And Love Will Bury It』を経て本作まで続く三部作において、平凡なTDEPフォロワーだった彼らをTranscendentalな超越した存在に仕立て上げたRitual=儀式という名の魔改造に使用した禁忌の遺伝子(DNA)であるDeafheaven『サンベイザー』ばりにピンク色のノイズを撒き散らしながら、次第にピアノをフィーチャーしたATMSフィールドをまとったアンビエントな神秘世界を形成し、すると「叫ぶ女」界の特攻隊長であるエヴァ・スペンスたそが著しく洗練されたクリーンボイスで歌い上げる、まるでクソお世話になったアレックス・フィッツパトリックに対する「グッバイ」という餞別の言葉を示唆するリリックとともに、現代的なポストメタル然とした轟音が放つ怒涛のスケールとダイナミズムが俄然ドラマティックに物語を紡ぎ出していく。

全体を通して一聴する限りでは前作から特に大きな変化はない作風だと思いがちだが、本作において彼らがいかに凄いのかを証明するのが本作のハイライトを飾る#8“To Resist Forgetting”における、それこそまさにDeftonesが2020年作の『Ohms』においてシーンに啓示した“20年代のヘヴィネス”という現代ポストメタルの基準を、Rolo Tomassiなりの解釈で次世代のブラッケンド・ヘヴィネスあるいは全く新しいオルタナティブ・ヘヴィの一つの答えとして“ヘヴィネス”の概念を新世代仕様にアップデイトしている点←この一点に尽きる。それ即ち、マスコアレジェンドTDEPのマシズモを正統に受け継ぎながらも(出自)、10年代のメタルを象徴するDeafheavenを遺伝子組み換えレベルで経由して(フィッツパトリックによる魔改造)、そして出自もDNA(PINK BLOOD)も超越した本作でDefotnesMastodonに代表される今現在のヘヴィミュージックの最先端その先っちょまで到達しちゃってるエモさったらないというか、つまりあのTDEPすらなし得なかった偉業を成し遂げているヤバさ。とにかく、古巣のHoly Roar時代に培ったオルタナティブな革新性および先見性を今なお貫き通している事実に泣くし、それが、それこそが“元親”であるアレックス・フィッツパトリック改めアレックス・やらかし・フィッツパトリックに対する“娘”からの最大級の賛辞であり、これ以上ない別れの挨拶となっている。


もちろん、作品の衝撃度という点においては前作に劣るが、その前作において確立したエクストリームメタルを著しくトレンディにブラッシュアップした本作は、2015年作から続く三部作の最終章を飾るに相応しい集大成、と同時に自ら新天地からの再出発を祝うかのような傑作です。とにかく、このRolo TomassiがVevo化したのは素直に感慨深いものがあるというか、不謹慎だけどフィッツパトリックがやらかさなかったら実現しなかった案件なのも事実。

Turnstile - Glow On

Artist Turnstile
A-2921052-1626849297-1577

Album 『Glow On』
R-20021935-1630128644-4595

Tracklist
01. Mystery
03. Don't Play
04. Underwater Boi
05. Holiday
06. Humanoid / Shake It Up
07. Endless
08. Fly Again
09. Alien Love Call
10. Wild Wrld
11. Dance-Off
12. New Heart Design
14. No Surprise
15. Lonely Dezires

ロードランナーの秘蔵っ子ことメリーランドはボルチモア出身の5人組、Turnstileが昨年リリースした3thアルバム『Glow On』がめちゃんこヤバい。ハードコア/パンクを根っこのルーツに持ちながらも、ソリッドでエッジーなリフを中心に、カウベルやクラップ、ハイハットやパーカッションの細部にまで“こだわり”を感じさせるユーモラスなアレンジ、その「ユニークでありながらキャッチーでエッジーなオルタナティブ・ロック」って、それこそ「10年前の自分が好んでよく聴いていた奴じゃん」と少しノスタルジックな気持ちにさせる、爽快感溢れるメロディック・ハード(コア)ロック・サウンドを展開している件について。

まるで相対性理論ばりにメルヘンチックなシンセが鳴り響くイントロから、それこそ『宇宙人ポール』みたいなコメディ&SF映画を彷彿とさせる、例えるなら宇宙人転生系のラノベで可愛い宇宙人が空から舞い降りてくるシーンの効果音みたいな雰囲気で始まる#1“Mystery”からして、ドライブ感溢れるエネルギッシュかつハードロック的なリフや過去作には見受けられなかったギターソロが織りなすオルタナティブなポスト・ハードコア然とした、少なからずオールドスクール寄りだった過去作とは一線を画すような曲となっている。

1stアルバム『Nonstop Feeling』の系譜にあるハードコアならではの強靭なリフとヘヴィなブレイクダウンを交えながらダイナミックに展開する、ハイハットやパーカッションをはじめカウベルみたいなユニークなアレンジが光る#2“Blackout”、クラップやパーカッションを交えたポップなピアノの旋律と身体を突き動かすパンクビートを刻むエッジーで破天荒なリフが織りなすテンションアゲアゲなロックンロールの#3“Don't Play”、メンフィスのSSWジュリアン・ベイカーをコーラスに迎えた、90年代のオルタナを象徴するシューゲイザー/ドリーム・ポップの影響下にあるリヴァーブを効かせた曲で、ほのかにジュンスカ味というかAOR的なノスタルジーを漂わせる#4“Underwater Boi”、冒頭のド直球のパンクスからの転調パートが鬼カッコいい#6“Humanoid / Shake It Up”、UKのSSWブラッド・オレンジがコーラスで参加した#7“Endless”、デンマークのVolbeatばりにダークでメタリックなリフやメタル然としたソロワークまでもメタルメタルしてる#8“Fly Again”、再びブラッド・オレンジをスポークン・ワードとしてフィーチャリングした曲で、そして再び『宇宙人ポール』とのアブダクションを試みるかのような90年代のUKドリーム・ポップ然とした#9“Alien Love Call”、クラップに釣られてついついジャンピングモッシュしたくなる#10“Wild Wrld”、90年代から一転して今度は80年代のニューロマンティック/ポストパンク的なヘアメイクを施した#12“New Heart Design”、出自の根っこにあるハードコア・パンクに直結したサウンドとヒップホップ的なアウトロのギャップがセンスしかない#13“T.L.C.”、三度ブラッド・オレンジをメインボーカルに添えた#15“Lonely Dezires”まで、まるでおとぎ話のようなポップネスとハード(コア)の絶妙なバランス、メタル耳からしても魅力しかないエッジを効かせたリズミカルなリフの数々とエゲツないオルタナティブなアレンジセンス、そして素直に聴いてて楽しい爽快感溢れるロックンロールのキャッチーさを兼ね備えた名盤ここにあり。

それもそのはず、前作の『Time & Space』は界隈の重鎮ウィル・イップがプロデュースを担当、そして今をときめくアーサー・リザークがレコーディングに携わったド直球のハードコア/パンク作品だったのに対し、本作の『Glow On』ではエミネムやアヴリルの作品でもお馴染みのプロデューサーことマイク・エリゾンドを迎えた影響か、コアとなる音のベースはそのままに、オルタナ化およびメタル化が著しく進行した、すなわちオルタナティブ・ヘヴィとしての素質が開花した(ゲストのジュリアン・ベイカーやブラッド・オレンジの存在も含めて)メジャー感マシマシの大衆性に富んだロックンロールとして大化けしている。2021年の鬼マストアイテム。
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: