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墓っ地・ざ・ろっく!

K-POP

YUKIKA 『timeabout,』

Artist YUKIKA
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mini album 『timeabout,』
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Tracklist
01. Leap forward (Intro)
02. Insomnia
03. Love Month
04. TIME TRAVEL
05. Secret
06. PUNG!

韓国で活躍中のYUKIKAが所属事務所との契約を終了したと知った時は素直に残念だった。というのも、昨年その事務所からリリースされたデビューアルバムとなる『Soul Lady』は、昨今海外のインフルエンサーをキッカケに世界中でバズった松原みきの“真夜中のドア”を皮切りに、再び世界的に注目され始めている80年代の日本でブームを起こしたシティ・ポップ、そのステレオタイプもいいとこのシティ・ポップのコンセプトが貫かれた作品で、現に自分も『Soul Lady』に影響されてつい最近まで出勤前にシティ・ポップ界を代表する竹内まりやの名曲“プラスティック・ラブ”を毎朝リピートして、まるで気分は昭和のOLとばかりに自分の中でプチ・シティ・ポップブームが巻き起こっていた。


そんなYUKIKAの前所属事務所での最後の仕事というのが、若手二大俳優の浜辺美波()と吉沢亮が出演する「ロッテガーナチョコレート」のCMソングってのが驚きで、このCMソングは日本の作曲家を迎えた80年代テイスト溢れる“日本語詞”の楽曲だった。しかし、この曲を聴いて改めて「やっぱりYUKIKAは韓国のクリエイターと仕事すべき」と思ったのも事実(この音源は正規リリースされていない模様)。というか、あの浜辺美波()が出てるCMソングに大抜擢されるって普通に考えたら凄いことだと思う。もちろん、明治ではなくロッテのCMってのが韓国で活動するYUKIKAが抜擢される理由として、十分に納得できる話ではあるけど。ちなみに、このCMに関して僕は浜辺美波のチラリと映る足裏にしか興味ない模様w

その大仕事を最後に、前事務所を退所したYUKIKAは、過去に一緒に働いていた元マネージャーが設立した新事務所と新たに契約を結び、前作の『Soul Lady』から約8ヶ月ぶりとなる1stミニアルバムの『TIMEABOUT,』でカムバックするに至る。そのようにして新たなる船出を選んだYUKIKAだが、しかし一方で『Soul Lady』時代のシティ・ポップ路線は一体どうなるの?という率直な疑問が浮かび上がったのも事実で、伝説の1stフルアルバム『Soul Lady』を傑作たらしめる最大の要因となった、K-POPガールズグループ=LOONA(今月の少女)文脈のMonoTreeESTiなどのプロデューサーやクリエイターとの関係が絶たれてしまった事に一抹の不安を憶えたのもまた事実。

オープニングSEの#1“Leap forward”からして、前作『Soul Lady』の延長線上にある古き良きシティ・ポップサウンドを展開、そして星空のように綺羅びやかで幻夢的なシンセを駆使したリード曲となる#2“Insomnia”を耳にすれば、さっきまでの不安は単なる杞憂に過ぎなかった事を思い知らされる。90年代のJ-POPを想起させるキラキラシンセをフィーチャーした、記念すべき新体制初となるファーストシングルの#3“Love Month”は、段階的に怒涛に叩き込まれるフックを効かせたアッパーなサビが底抜けに気持ちいいシティ・ポップチューンで、これまたフックに富んだノスタルジックなメロディが炸裂する#4“TIME TRAVEL”、その傍らK-POPガールズグループ系のバブルガムなメロディをフィーチャーした#5“Secret”、ラストはシットリ系の#6“PUNG!”まで、なんだろう、確かにアレンジは前作『Soul Lady』の名残を感じさせる部分が大半で、十分その延長線上にあるものとして聴けなくはないんだけど、しかしそれ以上にあくまでも再出発を果たしたYUKIKAという一人のソロアーティスト、その等身大の彼女にフォーカスした作品となっている。

前作の『Soul Lady』では、当時のシティ・ポップに故意に寄せた昭和感に溢れた歌い方だったり、ステレオタイプの楽曲アレンジだったりしたけど、このミニアルバムにおけるYUKIKAはより自然な歌い方というか、同時に本来のYUKIKAの持ち味を活かす楽曲アレンジに重きを置いているというか、とにかく前作と大きく違うところは「YUKIKAを中心に動いている」ということ。前作のようなシティ・ポップというイチ音楽ジャンルにフォーカスした作品ではなく、それこそ「歌手だけでなく女優としてもマルチに幅広く活躍させたい」という新所属事務所の思惑とYUKIKAに対する期待感が如実に現れたような、あくまでも“YUKIKAを中心”とした一枚となっている。事実、このままシティ・ポップ路線一本で行ったところで、いずれ頭打ちになることは目に見えているので、わりと早い段階でシティ・ポップのステレオタイプから脱却できたのは、今後の彼女にとっても結果的に良かったと言える一連の行動と選択だと思う。もちろん、その個性や楽曲/アルバムのコンセプトという点では、“シティ・ポップ”という世界的なリバイバルブームを狡猾に狙い撃ちした『Soul Lady』のが断然上であるのも確かだし、その辺りのYUKIKAを象徴するアイコニックな作品とのギャップをどう埋め、どう打開していくのかが今後の課題となってくると思う。

洋楽メインストリームのトレンドを取り入れている、女優に歌手とマルチに活躍する先輩のIUと、一方でブームが一周回ってリバイバルを起こしているシティ・ポップをコンセプトとするYUKIKA、そのメロディ、そのプロダクション、そのアレンジ、どれをとっても違うその2つのトレンドを昇華し、同じK-POPの枠組みとして聴かせるKポならではの面白さ、また魅力の一つであることを再認識させる。

IU 『LILAC』

Artist IU
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IU 5th Album 『LILAC』
IU-LILAC

Tracklist
01. LILAC
02. Flu
03. Coin
04. Hi spring Bye
06. Troll (Feat. DEAN)
07. Empty Cup
08. My sea
09. Ah puh

今年のGW中は、ずっと観たかった映画やドラマシリーズを色々と消化して終わったGWだったのだけど(本命はルカ・グァダニーノ監督の『僕らのままで』)、その中の一つにアマプラでやけに評価の高い韓国ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』というのがあって、あらすじから想像するにおじさん三兄弟がひょんな事から若いOLと同棲生活が始まるドタバタハートフルコメディかな?と思って試しに1話を観てみたら、ところがどっこい。そこは韓国ドラマらしく?シリアスな要素満載の比較的ダークなドラマで、アカデミー賞を受賞した映画『パラサイト半地下家族』俳優とのダブル主演で贈る、このドラマのヒロイン演じる女優イ・ジウン(IU)BiSHセントチヒロ・チッチを少しだけ病み可愛くしたような雰囲気のある娘で(トカナの女編集長にも似てるw)、そんな彼女の役回りを一言で表すならナチュラルサイコパスの「ヤベー女」というか、強いて言うなら(話の内容は全く別物だけど)韓国版『家なき子』というか、それこそ安達祐実の名台詞「同情するなら金をくれ」のセリフが似合いそうな、暗い過去を持つ役柄なこともあって初めは「完全に地雷女じゃん」みたいな目線でしか見れなかったけど、しかし回を重ねるうちに何故だか愛おしくなってくる悪女的な魅力がまた絶妙で、とにかく男が観ても楽しめるし最後の最後まで泣けること請け合いの傑作ドラマだった(劇中のBGMがX JAPAN~Anathemaっぽいもの◎)。で、そもそもの話「イ・ジウンって誰やねん」と思ったら、「え、ちょっと前にテキトーに音源ディグってる時に偶然耳にしたあのIUかよ」、みたいな妙な繋がりというか無意識下の引力が既に発生していた模様。つまり『マイ・ディア・ミスター~』のヒロインの本職がまさかの歌手(しかも国民的歌姫)だったという、よくあるオチ(IUは2012年にEMIから日本デビューも果たしている)。


そんな女優としても活躍する彼女がアーティストとしてやってる音楽というのが、少なくともドラマ『マイ・ディア・ミスター~』の寡黙で無愛想な役柄からは到底イメージできない、イマドキのK-POPのトレンドを抑えたハイレベルなポップ・ミュージックやってて、本作の『LILAC』は兎にも角にもドラマの陰鬱した雰囲気とのギャップが最高な一枚となっている。そんな「あのドラマのヒロインがこの子なの!?」とギャップ萌え不可避な曲で、軽快なカッティングギターやストリングス・アレンジをバックに、清涼飲料水並に爽やかなIUのウィスパーボイスがとびきりポップにハジケる#1“LILAC”から、USインディのHaimを思わせるミニマルなトラックと洗練されたコーラス・ワークが映えるオシャインディ・ポップの#2“Flu”、K-POPならではのラップとアリアナ・グランデ顔負けの洋楽メインストリーム然としたメロディを聴かせる#3“Coin”、韓国ドラマの劇中歌にありそうなしっとり系バラードの#4“Hi Spring Bye”、イマドキのトラップ~EDMラインのトラックを駆使した#5“Celebrity”、かと思えば今度は韓国ラッパーのDEANをフィーチャーした(サンダーキャットじゃないけど)ローファイ・ヒップホップ的なファンキーでボサノヴァ的なユル~い気怠さをまとった#6“Troll”、これまたHaimを思わせるアダルティな色気漂うR&Bナンバーの#7“Empty Cup”、IUの超絶的な歌唱力が遺憾なく発揮された王道バラードの#8“My Sea”、おとぎ話のようなポップソングを聴かせる#9“Ah Puh”、今度は童話的というかレトロなアレンジを効かせたラストの#10“Epilogue”は、UKインディ・フォークのマリカ・ハックマンやEMI繋がりで例えるなら初期の椎名林檎というか日本の某赤いガールズバンドの初期の名盤である某白盤を彷彿とさせて、なんだろう・・・やっぱ「引力」って怖いなって。とにかく、今作の中でも特異的なこの曲をエピローグとして最後に持ってきている事からも、いかにこの作品が片手間ではなく“ガチ”な作品なのかが垣間見れる。


さっきも書いたけど、ちょっとした引力的な出来事から贔屓目のある上で話すけど、ドラマのイメージとは真逆のギャップ溢れるIUの歌を活かしたパフォーマンスはもとより、イマドキのEDM~トラップラインにある洋楽志向の強いK-POP然としたトラックをはじめ、もはやピンポイントで俺狙いなんじゃねぇかぐらいの、それこそHaimサンダーキャットなどの洋楽シーンの一線で活躍するUSインディ~ジャズラインのオシャンティなアレンジや聴き応えのある洗練されたインストゥルメンタル、のみならずフォーク・ミュージックにも精通する様々な曲調に合わせて、一方で女優らしい多彩な表情で魅せるIUにゾッコン不可避。いわゆる女優でも活躍してる系の歌手による「毒にも薬にもならない音楽」なんかでは決してなくて、それは異常に良いサウンド・プロダクションからも本作のポップスとしての完成度の高さを物語っている。正直、こんな良作の日本盤を出さないEMIは本当にセンスのないレーベルだと思う。


ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』IUを知ってハマった人は必ず聴くべきアルバムだし、また本作を聴いてIUが気になった人は今すぐにアマプラでドラマを観てIU(イ・ジウン)のギャップにヤラれるべきです。無論、どちらが入り口であっても結果はIUにガチ恋不可避だから。そのぐらい、アルバムはアルバムで「いいアルバム」だし、ドラマはドラマで「いいドラマ」だしで、何を言ったところで最終的に「IU最高!」ってなると思う。僕自身、このドラマ→このアルバムというワンツーを喰らって、自分の中にある「彼女にしたい韓国人女性ランキング」でASMRのソナちゃんと並んで同率一位の存在になったわ。そりゃ坂本龍一IUのインスタフォローするのも納得だし、既にあの是枝裕和監督の最新作『ブローカー』にも出演決定してるとか・・・こんなん絶対に観るしかないじゃん(是枝監督へ、IUの登場シーン多めでお願いしますw)。というわけで、次はアマプラで韓国ドラマ『ハッシュ~沈黙注意報~』を観ますw

YUKIKA 『SOUL LADY』

Artist YUKIKA
202007212

Album 『SOUL LADY』
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Tracklist
01. From HND to GMP
02. I FEEL LOVE
05. A Day For Love
06. pit-a-pet
07. Cherries Jubiles
08. I Need A Friend
09. SHADE
10. All flights are delayed
11. NEON 1989

80年代シティポップのコンピアルバム『Pacific Breeze~』や、80〜90年代の日本の環境音楽のコンピアルバム『Kankyō Ongaku~』が海外レーベルからリリースされた出来事をはじめ、世界的に「日本の音楽」に対する再評価の流れが著しい昨今。このたび韓国から1stアルバムの『SOUL LADY』をリリースしたYUKIKAこと静岡県浜松出身の寺本來可は、日本ではティーン向けのファッション雑誌『ニコラ』で専属モデルデビューし、モデル業の傍らで声優としてアニメやゲームに出演していた経歴の持ち主。で、後に韓国のテレビドラマ版『IDOLM@STER.KR』のReal Girls Projectの唯一の日本人メンバーとして抜擢され、その活躍が実って2019年の2月に韓国でソロ歌手デビュー。そして先日、待望の1stアルバムを発表した。

K-POPといえば、EDMやHIPHOPをはじめとするUSメインストリームの影響下にある音楽性を主な特徴としているイメージあるけど、このYUKIKAは日本生まれだけあって、昨今海外の音楽好きの間でムーブメントを起こしている(「(海外の音楽を発展させた)日本独自の音楽」とされる)80年代のシティポップをバックグラウンドとしたサウンドを大きな特徴としている。正直、このアルバムを聴いた瞬間、ちょっと前に個人的にK-POPで推しているLOONAが日本デビューをアナウンスするティザー映像がYoutubeにアップされた時のコメント欄に英語で書いてあった「シティポップやってくれ今月の少女!」というようなニュアンスのLOONAペン=俺もといOrbitのコメントを思い出して「やられた...」と白旗あげた。そうだよね、Kポが一種のリバイバルブーム的な世界的トレンドとなっているシティポップに触手をのばさない訳がなかった。皮肉にも、この音楽を発展させた日本からではなく、常に世界中の音楽のトレンドにアンテナを張っているK-POP界隈からから出たのは必然と言えるのかもしれない。

本来なら2019年の夏に日本デビューする予定だったLOONAは、結局同年には日本デビューせずに、今年に入ってからユニバーサルジャパンから日本デビューが内定して4月のKCONにも出演予定だったが、それも某コロナの影響で全て白紙になってしまうという不運。必然的に日本デビューを知らせるティザー動画のコメントにあった「シティポップやってくれ今月の少女!」というオービット(LOONAファンの呼称)からの切実な願いは遠のき、しかもそのシティポップネタもYUKIKAに先取りされてしまうという不運の連鎖・・・。更に、悲運にもこのYUKIKAの1stアルバム『SOUL LADY』がシティポップ全盛の音が約40年近い時を経て蘇るかのような王道シティポップで、日本デビューしたら間違いなくシティポップを日本向けの楽曲として戦略的に組み込んでいたであろうLOONAにとっては最大の不運としか言いようがない(全部コロナのせい)。


楽曲のクレジットを見てもわかるように、作曲陣はK-POP界隈でもお馴染みのライターが起用されているのだけど、実はその中に驚くべき事実があったのだ。それというのも、本作の表題曲をはじめほぼ全ての楽曲のメインライターとしてクレジットされたMonoTreeという名前に僕は見覚えがあった。何を隠そう、MonoTreeといえばLOONAの楽曲も手がける韓国気鋭の作曲家集団である。・・・そう、すでにLOONAと直接関係するサウンドPをフォローしているという、しかも表題曲の“SOUL LADY”のMVはLOONATWICEのMVでもお馴染みの映像集団Digipediが、極めつけにはLOONAの仕掛け人であり元音楽批評家のジェイデン・ジョンもプロデュースとして参加しているって・・・ちょっと待って、それなんてLOONA・・・?ヘタしたらLOONAの日本デビュー用にストックしていたシティポップをYUKIKAに提供してしまっていたらと想像しただけで(流石にそれはないか)(というより試作をここで披露した?)、兎にも角にもこんな大きな所にも今月の少女にとって最悪の不幸が訪れていたなんて・・・。もうやめたげて・・・もうこれ以上、可愛い可愛い今月の少女ちゃんたちを苦しめないで・・・。

てっきりシティポップやってK-POPファンのド肝抜いてくるのはLOONAだと信じ切っていた自分からすると、一足先に、しかも静岡生まれのYUKIKAにここまで本格的なシティポップリバイバルやられちゃうと、さっきまでの「やられた・・・」みたいな悔しい気持ちも全て本作の圧倒的な完成度の前に霞んでしまうのも事実。

オープニングを飾る#1“From HND to GMP”の日本の羽田空港(HND)の日本語アナウンスから韓国の金浦国際空港(GMP)へと飛行機が離陸するSEからして、寺本來可が海を渡り新天地の韓国でYUKIKAとしてデビューする未来を暗示する。それは「夢」の始まりだった。シティポップといえば都会的な華やかさを演出するブラスセクションだが、(そこまでド派手でないにしろ)いかにもソレっぽいトランペットやシンセ、ファンキーでオシャンティなカッティングギター、それらの80年代シティポップの王道中の王道を司るギミックで構成された「This is CITY POP」な幕開けを飾る#2“I FEEL LOVE”、韓国でその才能を見出された寺本來可は韓国の都市ソウルで“ソウル女子YUKIKA”として新しく生まれ変わる、まるで気分は80年代に一世を風靡したマハラジャのディスコクイーンなダンスポップの#3“SOUL LADY”、シティポップ界のレジェンド山下達郎“いつか”を連想させる豪勢なゴスペル風のコーラスを駆使したしっとり系の曲調にKポならではのラップを織り込んでくる一種の“K-POPなりのシティポップ”な#4“Yesterday”、R&B系バラードの#5“A Day For Love”、本作の主要楽曲の中では唯一の例外と言っていいシティポップとは対照的なイマドキなトラックをフィーチャーした#6“pit-a-pet”YUKIKAの“歌”をフィーチャーした#7“Cherries Jubiles”、西海岸の匂いを運んでくるようなAORを背にオッパとYUKIKAが携帯での会話SEがインストながらノスタルジックな雰囲気アリアリで泣ける#8“I Need A Friend”、その流れから場面が韓国ドラマ『悲しき恋歌』みたいなトラウマ系韓流ドラマのワンシーンに切り替わり、もはやテレサ・テン顔負けの昭和歌謡ばりに哀愁だだ漏れの#9“SHADE”、再び場面は韓国の空港に切り替わると、同じ“夏に映える音楽”という意味では現代のシティポップと解釈できなくもないローファイ・ヒップホップならではの倦怠感溢れる雰囲気と、女で独り海を渡った寺本來可「どうしよっかな・・・」という漠然とした不安をため息ながらに吐き捨てる感傷的なエモさが絶妙にマッチするインストの#10“All flights are delayed”、そして本作のハイライトでありクライマックスを飾るシングル曲の#11“NEON 1989”は、まだ都市が都市らしかった眩いくらいのネオンが夜をバブリーに照らし出していた“あの時代”の都市の記憶を呼び起こす。


なんだろう、“ドラマ仕立て”と言ったら少し大げさかもだけど、冒頭から空港アナウンスSEや親子の会話SEを織り交ぜながら、日本生まれの寺本來可“SOUL LADY”へと生まれ変わっていく心情的な変化を表すように、それこそ韓流ドラマのような喜怒哀楽全開のドタバタ感じゃないけど、アルバムを通して構成のメリハリを効かせた流れが存在するので、可能なことなら聴く側もサブスクのプレイリストでお気に入りの「曲」単位で聴くのではなくて、それこそまだインターネットやSpotifyなどのサブスクが存在しなかった80年代に立ち返って「アルバム」単位で聴いてほしい。流石にネットを使うなとか、当時のようにレコードで聴けとは言わない、聴く環境は好きにしていいけど絶対に「アルバム」単位で聴いてくれ。事実、本作における高いドラマ性は、メイン楽曲を手がけたMonoTreeチーム以外のEsti氏らの作曲(インスト)によるものが大きい。

本作は往年のシティポップを中心としながらも、トラップやローファイ・ヒップホップなど現代音楽におけるトレンドとリバイバル的なトレンドが時を超えてクロスオーバーした現代シティポップであり、同時にシティポップ云々以前にK-POPの一つとして聴かせるフックに富んだキャッチーさを兼ね備えた傑作。もちろん、YUKIKAは全パート韓国語で歌っており、つまりK-POPなのに日本由来のシティポップ、シティポップなのに韓国語という、2つの意味でギャップというか新鮮さが味わえるので、ただのシティポップリバイバルで終わらない所も評価できる。あと空港SEを効果的に使った演出は、日本で活動する韓国人ラッパーMoment Joon「聴くだけで批評になるラップアルバム」こと『Passport & Garcon』をフラッシュバックさせた。ある意味では、日本から韓国に渡ったYUKIKAと韓国から移民として日本にやってきたMoment Joonの立場は似たもの同士なのかもしれない。

往年のシティポップを現代的なシティポップにアップデイトするアーティストって、強いていえば日本の若手だと岡田拓郎くんが代表的かも。確かに、2020年代が始まった今から40年前の1980年代の世界の話なんて「夢」の話でしかないし、もうずっと前からシティポップ再評価の流れがあるあるって耳にしてはいたけど、こうやって実際に日本の岡田くんや韓国のYUKIKAなどの身近なアーティストが現代シティポップをガチでやってる所を見ちゃうと、そら竹内まりや“Plastic Love”も海外でバズるのも納得。

ともあれ、個人的な思いとしてはYUKIKAを全面バックアップしているクリエイターチームがLOONAと全く同じという衝撃的過ぎる展開が今度どのように動いていくのか?逆に、逆にYUKIKA『SOUL LADY』を一つの指標として、まもなく日本デビューが噂される今月の少女が日本向けに一体どんなシティポップを展開してくれるのか?今はそこに俄然期待感と妄想が増していくばかり。もちろん、仕掛け人のジェイデン・ジョンは元より、作曲チームはお馴染みのMonoTreeで、MVもお馴染みのDigipediでお願いしますw

Bring Me The Horizon 『アモ』

Artist Bring Me The Horizon
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Album 『amo』
BMTH-amo

Tracklist
01. I Apologise If You Feel Something
02. Mantra
03. Nihilist Blues (featuring Grimes)
04. In the Dark
05. Wonderful Life (featuring Dani Filth)
06. Ouch
08. Sugar Honey Ice & Tea
09. Why You Gotta Kick Me When I'm Down?
10. Fresh Bruises
12. Heavy Metal (featuring Rahzel)
13. I Don't Know What To Say

???「だから言ったっしょ?」

「メタルとヒップホップとK-POP、全ては“繋”がってるんだよね」
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・・・という、トンデモねぇ陰毛論ネタを駆使した出オチっぷりがハンパない始まり方が全てで、一体全体それは何故かっつーことを、今からちょっくら書いてくわ。っとその前に・・・BMTHのアー写見るたびに毎回ギターのデブがJanne Da Arckiyoちゃんに見えてしょうがないのと、今回のアー写もメタリカTの人殺めてそうなサイコパスヤク中デブみたいな感じホントすき。あとちびまる子ちゃんのブー太郎にも似てんなって。

  • 『デンゼル・カリーは“メタル”』
まず、昨年末の最後に書いたBTSの記事の中で書いたのは、近頃のロック・ミュージシャンが口々に言うのはいま世界で一番ロックしてるのはラップ/ヒップ・ホップであるというようなニュアンスで、実のところ僕がその例として挙げた言葉を引用させてもらった人物こそ、他ならぬBMTHのフロントマンオリヴァー・サイクスだった。昨年、そのオリィの問題?発言を収めたインタビューがWEBに公開されるやいなや、案の定ガチメタラーを中心に大量のBMTHアンチからボコボコに叩かれて大炎上したことが記憶に新しいよね。そのインタビューの中でオリィは、要約すると最近のロック/メタルはクソであると、同時に今の時代「“いい音楽”“メインストリーム”=“ポップス”“ヒップ・ホップ”にある」と語っているんだよね。つまり、ラップこそ新しいロックでありパンクだと。

普通なら、自分も他のガチメタラーに同調してオリィの問題発言を叩くべきなのかもしれない。しかし、今の自分にはオリィの発言が正論にしか思えなかった。何故なら、僕もオリィと全く同じ意見を持ち始めていたからだ。それもつい最近。もっと言えば、昨年末のBTSからのデンゼル・カリー、そしてSadistikのトラップ三連発は、まさにこの“伏線”だったとしか思えなかった。つまり、オリィの言う“いい音楽”がある“メインストリーム=ポップス”のド真ん中をブチ抜いている「BTSはメタル」であると、そして自称“ブラック・メタル・テロリスト”デンゼル・カリー“メタル”なんだよね。



まさかそのデンゼル・カリーがヒップ・ホップ側の人間を代表して、まるでオリィの“ヒップ・ホップはメタル”発言に対する直接的な回答、その伏線回収をRATMのカバーという形で提示してくれたのは感謝しかなくて、これこそ本当の意味で“メタルとヒップ・ホップ”の邂逅なんだよね。とにかく、もう数十年前からロックは死んだ”状態のままの時代に、オリィは「ロックに興味がない人にロックを好きになるキッカケとなるバンドになりたい」と語っていて(なお、この発言も炎上)、それこそ今の時代に“ヒップ・ホップが一番メタル”だと“知っている人”ならではの発想、考え方であり、まさにそのオリィが感じている今のクソみたいなロック/メタルシーンに対する怒りと反骨心(パンク精神)によって生まれたアルバムが今作の『アダモちゃん』もとい『アモ』だ。ちなみに、この『アモ(amo)』とはポルトガル語で『愛(LOVE)』を意味しているんだよね。

  • 『グライムスという“ポップ・アイコン”』
オリィは、ヒップ・ホップが最先端のロック・ミュージックであると説くと同時に、今の世の中の“いい曲”はメインストリーム・チャートにあると断言している。今やテスラCEOことイーロン・マスクのパートナーであり、現代のポップスのアイコンであるグライムスとのコラボが何よりの証拠だ。そんなグライムスは、つい最近新曲の“We Apperciate Power”という同郷のThe Birthday Massacreや自身も影響を公言しているNine Inch Nails風のサイバーパンク/インダストリアル・ロックを発表していて、今回BMTHグライムスとコラボしたセカオワの“YOKOHAMA blues”ならぬ“Nihilist Blues”は、そのインダストリーかつ無機的な雰囲気を踏襲した、もはやグライムスそっちのけでダフト・パンクチャーチズana_themaが宇宙の果てでスティーヴン・ホーキング博士と出会ってヨロピクしちゃったような、ユーロビート感マシマシのパリピなアゲポヨ・ダンス・チューンとなっている。


その“Hip-Hop”“EDM”は、今やR &Bと並んでストリーミングを中心に世界の音楽市場を牛耳っている二大音楽ジャンルで、その世界的に音楽の二大トレンドであるヒップ・ホップとEDMを積極的に取り入れ、そしてビルボードをはじめとしたメインストリーム・チャートにランクインするような“最先端のポップス”へとブチ上げることに成功したのが“K-POP”だ。ご存知、グライムスといえば先ほどの新曲をリリースする一方で、2017年にK-POPアイドルの今月の少女ことLOONAともコラボ作品を発表している。何を隠そう、そのLOONAの新曲“Butterfly”こそBMTH『アモ』を紐解く重要なカギを握っているんじゃねえか説だ。この“Butterfly”は、まさに姉貴分であるグライムス譲りのエレクトロ・ポップから“世界”=“メインストリーム”を予感させる最先端のEDMまでも巧みに昇華した、それこそチャーチズともコラボしている世界的なDJマシュメロもビックリの2019年最高峰のポップスだったよね。この『アモ』は、そんなグライムスが内包するエレクトロなポップネスだったり、あるいはK-POPが内包するEDMなどのメインストリームの世界で通用する要素を大胆に取り入れた、言うなれば初期の頃から唯一無二の前衛性を伴いながら進化し続けてきた彼らの“終着点”とも呼べる、BMTH史上最も“実験性”に富んだ作品なんだよね。

  • 『メシュガーはポップス』
BMTHオリィと同じように、“今のメタルは古臭い・・・w”と発言してガチメタラーは元より今をときめく気鋭のメタルレーベルことHoly Roarの社長に手紙でガチ説教されるという前代未聞の大炎上芸をカマしたのが、他ならぬBMTHの元レーベルメイトでもあるBFMVの筋肉ダルビッシュもとい筋肉ダルマットで、その社長の手紙の中にはBMTHを引き合いに出してBFMVをディスっていたのがまた笑いに拍車をかけていたのも事実。とまあ、そんな炎上話はさて置き・・・その筋肉ダルマとオリィが口を揃えて“今のメタルはクソだ”と言うのは果たして本当なのか?確かに、某国某B!のメタルメディアから一方的に“メタル暗黒時代”の烙印を押されながらも、その実情は長きにわたるメタル史の中でも屈指の面白さを誇っていた“90年代”はまだしも、00年代からこの10年代にかけてのメタルシーンで生まれた“新しい音”を挙げるとなると、しいて言えば“メシュガーの音”ただそれだけなのかもしれない。この“メシュガーの音”というのは、その名の通りスウェーデン出身のメシュガーがその音をメタルシーンの中で確立し時代の“トレンド”となるやいなや、それは後にDjentなるメタルのサブジャンルを産み落とし、10年代のシーンを微力ながら活気づけ、最近ではUSのデブ豚ことDeftonesガニキの音をオルタナティブ・ヘヴィの解釈で自らの音に持ち込んだ『Diamond Eyes』『恋の予感』、それと同じくして同郷のKATATONIA『Night Is the New Day』という傑作を生み出したのは今でも記憶に新しいよね。


シンフォブラ界の“アイコン”であるダニ・フィルスをここまで“おもちゃ”にしても許されるバンドって、間違いなく世界でもコイツらしかいないです。昨年このMVが公開された時は「ま〜た炎上するのか・・・」って思ったんだけど、それはもとより重要なのはファニーなMVじゃなくてこの楽曲の方だ。それこそ00年代以降のメタルの“トレンド”となったガニキのサウンド・スタイルを、10年代も終わりを告げようとしている暦の締めくくりに、ガニキ特有のヘヴィネスとガニキ特有のリズムをメインストリームの“ポップス”に落とし込む大馬鹿野郎が現れるなんて一体誰が想像した?要するに、BMTHは“メインストリーム”の対極に位置する“メタル”という“アンダーグランド”のヘヴィネスを“ポップス”にブチ上げちゃってるんですね。恐らく、ガニキの音をアンダーグランドからメジャーにブチ上げた最初で最後のバンドになるんじゃあないか(某メイドも?w)。それくらい“やることやってる感”がハンパないというか、“今のロックはクソだ”というオリィ言葉に裏打ちされた炎上上等の説得力ったらない。あのレジェンドガニキの音すらいとも容易く“ポップス”に変えてしまうあたり、ソニー・ミュージック(RCA)に切り捨てられたBFMVとは対照的に、冷静に考えてコイツらガチの天才です。もはや天才を超えた別のナニカです。むしろ才能しかない。

  • 『ヘヴィ・メタル=ヒップ・ホップ』
そのポップスと並んで・・・いや、今やそのポップス以上に世界のメインストリーム・チャートを圧巻しているのがヒップ・ホップだよね。俺が昨年末に書いたBTS→デンゼル・カリ→Sadistikまでのいわゆる“トラップ祭り”は、その“時代”の流れ=“引力”的なものに釣られて“書かされた”ものであると同時に、このBMTH『アモ』に対する“伏線”となっていたことを、あの日の僕たちはまだ知らないんだよね。そんな中、オリィの執拗なまでのヒップ・ホップに対する“愛”という名の“コンプレックス”の裏返しは、9曲目のWhy You Gotta Kick Me When I'm Down?という曲で遂に爆発してしまう。

それこそ昨年末のBTS→デンゼル・カリ→Sadistikまでのトラップ祭りという伏線の答えがこの曲で、この曲ではオリィのダーティなラップを皮切りに、トラックまでもいわゆる“トラップ・ラップ”をルーツとするヒップ・ホップを披露している。何が凄いって、初っ端のオリィのラップのメロからしてSadistikコディにしか聴こえなくて軽く泣いたのと、まるで“ブラックメタル・テロリスト”が乗り移ったかのような、しかし初期のようにハードコアに咆哮するのではなく、ハードコアはハードコアでも初期の叫び声から本場の黒人ラッパー顔負けに激しく吐き散らすタイプのハードコア・ラップに“変化”しており、この“叫び方”の違いは彼らが歩んできた音楽遍歴の進化を象徴するかのようであると同時に、それは今作の真髄的な部分にも直接的に“繋”がっている。言ったら、これもう『タブー』だよね。こいつらメタル界が唯一の“禁忌”としているはずの『タブー』を犯しちゃってるんだよね。そう、彼らはもう既にパンドラの箱を開いてしまっているんだよね。しかも挙げ句の果てには、Heavy Metal”という名前を冠する曲でヒューマンビートボックス界の神で知られるラゼールとコラボするという二度目,三度目の禁忌=タブーを犯しているんだよね。またもや初期厨とガチメタラーがブチギレ炎上不可避の案件で、もはや一周回って笑ったというか、でもこれがオリィの考える“ヘヴィ・メタル=ヒップ・ホップ”に対する“答え”なんだなって。オリィにとって、これが“メタルの未来”であり真のメタルの精神なんだなって。だからこの『アモ』は、メタルやロックを聴いている時の感覚よりもヒップ・ホップを聴いている時の感覚に近いんだよね。例えば、4曲目のアレンジもSadistik『Flowers for My Father』を彷彿とさせるくらいには“ヒップ・ホップ側”にルーツがあるよね。オリィもインタビューで「ディスられなきゃ“いい曲”は作れない」と発言しているけど、まさにそのとおりで、実際にそれを有言実行するオリィマジかっけえ(なお炎上)。

  • 『ロリペドクソ野郎の後継者』
ここまでオリィの考える“ロックという名のヒップホップ”あるいは“ヒップホップという名のロック”をこれでもかと、クソッタレのロックシーンに『Am(m)o』という名の弾丸を撃ち込むッ!かのごとく、アルバム後半の流れはほぼほぼヒップ・ホップかと思いきや、ところがどっこい今作のハイライトを飾る“Mother Tongue”という曲で、いわゆる“ロリペドクソ野郎”が起こした某事件のせいでロックシーンの天下を取り損ねたロストプロフェッツの後継者を襲名し、今度はkiyo似のデブがやらかすフラグをビンビンにおっ立てる(おい)。正直ここで泣いたもんマジで。今現在も刑務所で( ˘ω˘ ) スヤァ...状態のロリペドクソ野郎への鎮魂歌(レクイエム)をここで、このロックの歴史を変える金字塔となりうる『アモ』でそれをやってのけるオリィの漢気に泣いたもんホント。もはやサビのamoエーーーモーーーー!に空耳するぐらいエモいし、もう自分にはロリペドクソ野郎がステージ上でいつしか夢見ていたであろうロックの未来、そして現在のロックの希望を背負ったオリィが一緒になってシンガロングしているようにしか聴こえなかった。そしてロストプロフェッツ亡き今、ロック界の“アイコン”が不在の状態で、一体誰が今後のロックシーンを引っ張っていくのか?そのロックの未来を背負っていくというBMTHの力強い意思と炎上覚悟のガチメタラー煽りに僕は涙した(はい炎上)。



その曲のストリングスやキラキラしたシンセの鳴らし方が星野源宇多田ヒカルばりのJ-POPという話はさて置き、同じくリード曲の“Mantra”“Medicine”のようなロック系の曲にも似たようなことが言えるのだけど、中でも筆頭すべきは“Medicine”で、それこそ“ロックが死んだ時代”における“ギターの居場所”を提供しつつ、そしてチャーチズ的なエレクトロやBメロのTrap的なリズム、そのチャーチズとコラボしたマシュメロ宇多田ヒカルとコラボしたスクリレックスIZ*ONEとコラボしたジョナス・ブルーをはじめとしたトラップ使いのDJを連想させる、まさにメインストリーム・チャートのド真ん中をブチ抜くヤ〜ウェイ宇宙人の親戚的なアレンジ・・・まず、これを聴いて何を思い出したかって、他ならぬBTS“FAKE LOVE”だったんだよね。なんだろう、ロック系の曲に限ってことごとくDJをはじめそれらの“メインストリーム”を経由した“ポップス”を象徴するアレンジが、ほぼほぼK-POPを聴いてるような錯覚を憶えるというか、アルバム聴いてても途中で「あれ?俺って今Kポ聴いてたっけ?」みたいな気分になるんだよね。これもう“BTSはメタル”というメタル側からの実質的な回答ですね。つまり、“いい曲”のある“メインストリーム”=“ポップス”のアレンジを積極的に取り込んでいるK-POPと全く同じ要領で、それこそ初めにLOONA“Butterfly”が今作のカギを握っていると言った理由は全てこれらの“伏線”だったんだよね。もちろん、その“Butterfly”にトラップ的なアプローチがないわけではないよね。だから言ったっしょ?“メタル”“ヒップ・ホップ”“K-POP”、全部全部全部ぜーーーーーーーーーんぶ、“繋”がってるんだよね。そして、オリィはやっぱり今の時代“ポップスが1番面白い”ってことを“知ってる人”なんだということ。

  • 『Post-Progressiveの未来』
EDMからヒップ・ホップからポップスまで、あらゆる“メインストリーム”のジャンルを“自分たちのサッカー”ならぬ“自分たちのロック”に落とし込むという、ある種の衝動にも近い実験的な前衛性、しかしその“実験的”なアプローチは一体どこからやってきたものなのか?そこで、僕が注目したのはPost-系という隠し味の存在だった。

今作は1曲目からティキティキニカニカなエレクトロとストリングスというまさにPost-系の常套手段を応用し、グライムスを迎えた3曲目のダンサブルなアプローチはもとより、4曲目のIn the Darkはもはやヒップ・ホップとアート・ロックの邂逅と呼べる曲だし、6曲目のOuchに至ってはUKの65daysofstaticスティーヴン・ウィルソンとのコラボでも知られるPendulumを連想させる。中でも筆頭すべきは、10曲目のFresh Bruises”というブレイクビート的な打ち込みナンバーで、このRadioheadの影響下にあるアンビエント的な音響効果を伴うATMSフィールドは、それこそ“ana_themaEDMを取り入れた“Distant Satellites”の実験性を更にワンランク上へとアップデイトさせた”と表現した方がシックリくる。つまり、今作には隠し味としてPost-Progressive”というUK発祥のアンダーグラウンド・ミュージックの“実験性”を隠し味として持ち込んでいて、そういった面でも俄然今作は2000年以降のアンダーグラウンドからメインストリームまでのUKロックを総括するという重要な役割を果たしている。また、今作は『amo』=“愛”をテーマとしている点でも、いわゆる“Love & Peace”を信条に掲げる秘密結社Kscopeと俄然韻を踏める要素で(同じソニー系列という点でも)、要するにこれもう“新世代のPost-Progressive”、すなわち“Post-Progressiveの未来”なんだよね。

アルバムのラストを飾るDon't Know What To Say”も意味深な存在としてあって、まるでニーチェが提唱する“ニヒリズム”の立場を踏襲したオリィの苦しみや叫び、口を開けば炎上炎上雨炎上の炎上芸人である彼の心情そのものがこのタイトルに表れていて、ある意味で「なんかもうわかんねぇ音楽」みたいな今のBMTHが置かれた状況を歌ったかのような、まさしくこれがホントの“ニヒリスト・ブルース”ってオチ(しかしニヒリストもテロリストも同居するこのアルバムスゲーなマジで)。その曲としてもやはり意味深で、まず神妙な面持ちにさせるストリングスとアコギによるPost-系の王道となる組み合わせからニヤリとさせ、まるでニーチェが乗り移ったかのようなオリィが話の語り部として“なんかもうわかんねえ”と悟りを開きながら抒情的に進行し、するとデイヴィッド・ギルモアがアレンジしてそうな壮麗優美なストリングスから時空をこじ開けるかの如しギターの轟音とともにバンド・サウンドが合流、再びPost-系ならではのインテリジェンスを垣間見せながらクライマックスへ向けて“タメ”を作り、そしてオリィDon't Know What To Sayと自らに問いかけるような“叫び”というより訴えにも近い歌声から、過去の自分たちに降りかかった“呪い”=“ANATHEMA”をブラックホールん中に葬り去るかのような、バンド史上最も超絶epicッ!!なGソロを轟かせて大団円からのカタルシス...。Don't Know What To Say”・・・それは、ロックが死んだ時代のロックシーンに生きるオリィが成せる唯一の抵抗、そして叫びだった。

このKscopeが提唱するアートロックイズムを継承した音使いから曲構成、そしてその存在意義まで、それこそana_thema“ANATHEMA”の構成とほぼほぼ全く同じで、その曲が収録されたana_themaの『Distant Satellites』にはスティーヴン・ウィルソンをゲストに迎えたペンデュラムリスペクトな曲もあって、この『アモ』は聴けば聴くほど後期ana_themaと重なる部分が多すぎる。ちょっと面白いのは、そのDistant Satellitesの赤いオーロラの如しアートワークは韓国のメディア・クリエイターが手がけたものなんだよね。もう怖いくらい“繋”がってるんだよね。そういった細部の面も含めて、『アモ』の隠し味はDistant Satellites〜『The Optimist』の中でana_themaがテーマとして掲げた“実験性”に驚くほど瓜二つで、初期から現在までの音楽性の変化という点でもana_themaBMTHの先輩に当たる(もはやモデルケース)。もう恐ろしいくらい綺麗に全部が“繋”がってるんだよね。もちろん、BMTHは初期の頃から前衛的な素質を垣間見せてきたけど、その内に秘めた前衛性を開花させた大きなターニングポイントとなったのが、他ならぬ2012年に加入したキーボードのジョーダン・フィッシュの存在だった。当然、他者に口出しされずここまで好き勝手やるため、今作はオリィジョーダンのセルフプロデュースによるもの。

  • オリィなりのポップスの再定義』
気づいた。これもうBMTHなりの“ポップスの再定義”なんじゃねえかって。“ポップスの再定義”と聞いてまず思い出すのは、ご存知スティーヴン・ウィルソン『To the Bone』だよね。ここで改めて、BMTHオリィエレクトロ〜EDM〜ヒップ・ホップというメインストリームの“ポップス”を自分たちのロックという名のポップスにパッケージングした人間、つまり“ポップスが1番面白い時代”だと“知ってる人”なんだよね。それと同じくして、SWはホームである70年代のプログレだけでなく、コクトー・ツインズやディス・モータル・コイルをはじめとした80年代の4AD勢にも精通することを示すと同時に、一方でバンクシーもといマッシブアタックは元よりエイフェックス・ツインやスクエア・プッシャーに代表されるいわゆる“コーンウォール一派”の影響下にある打ち込み/エレクトロの要素を、大手ユニバーサル・ミュージック傘下のレーベルを介してメインストリームのロック(ポップス)にブチ上げたのが新作の『To the Bone』だった。つまり、SW“ポップスが1番面白い時代”だと“知ってる人”なんだよね。その大手レーベル所属の“VEVO友”同士で“繋”がってる2人が、方やソニーから発表した『アモ』と、方やユニバーサルから発表した『To the Bone』の中でやってることって全く同じ“ポップスの再定義”なんだよね。オリィが“ヘヴィメタル”というアンダーグラウンドで培った経験と技術を“メインストリーム”というメジャーシーンにブチ上げた手法は、SWが“プログレ”というアンダーグラウンドで培った経験と技術を“メインストリーム”というメジャーシーンにブチ上げた『To the Bone』の手法と全く同じ、要するにこれは“メジャーマイナー論”なんですね。方や“メタル側からのポップスの再定義”、方や“プログレ側からのポップスの再定義”なんだよね。

本当に面白いと思ったのは、SWがコクトー・ツインズやデッド・カン・ダンスをはじめとした80年代の4AD勢からの影響を公言している『To the Bone』に対して、BMTHは現在の4ADの看板娘であるイーロン・マスクもといグライムスとコラボした所も綿密に“繋”がっている。あと『To the Bone』の最後の曲の歌詞に“Don't be afraid”ってあるのだけど、BMTHは逆に1曲目のI Apologise If You Feel Something”という曲の歌詞にDon't be afraid”を持ってきているのは偶然にしては面白くて、SWオリィそれぞれの新作に共通するこの言葉の意味を解釈するならば、恐らくそれは“変化を恐れるな”という意味なんだと思う。それは勿論、音楽性の面は元より、環境の面や精神的な面に対する意味も含まれている。(他の隠し要素としてSWがプリンスとデヴィッド・ボウイへのレクイエム、オリィがロリペドクソ野郎へのレクイエムだし、アー写の❤️マークはSWがいつも愛用しているコムデギャルソンのTシャツリスペクトだし...えっ)

また、オリィは「なぜ“ヘヴィメタル”はラップのようにストリーミング・チャートを圧巻する存在になれないのか」と嘆いている(2秒で炎上)。ご存知、SW『To the Bone』って実はSpotifyをはじめとしたストリーミングで音楽を聴くイマドキの環境にも対応する工夫がなされていて、それもあってシングルが地元イギリスのBuzzチャートにランクインしたのは記憶に新しいよね。その“知ってる人”同士で“繋”がってる、年は親と子ほど離れた2人の“ストリーミング市場”に対する共通認識もラップのように韻を踏んでいて、もはやSWオリィと見ていいです。とにかく、それくらいBMTH『アモ』SW『To the Bone』は作品の温度や構図、その“真実(truth)”“愛(Love)”という精神性までも同じなんですね。同時に、様々なジャンル別の曲をギャップレスに“繋”いでいく、聴き手に考える余地を与えない“したたか”なギミックも『To the Bone』的なんだよね。そう言った意味では、今作はオリィのソロアルバム”と解釈すべき作品なのかもしれない。ともあれSWの正統後継者がBMTHオリィというオチは流石に想定外すぎて笑ったし、あと“やっぱ音楽おもしれえ”って。余裕でことしの年間BEST一位確定だし、年明け早々からBMTHLOONAのワンツーフィニッシュで年間BESTが決まっちゃうとか・・・2019年幸先良すぎw

  • オリィ=俺ィ説
気づいた。これもうオリィ=俺なんじゃねえかって。だってこのアルバム、どう聴いても“ぼくがかんがえたさいきょうのぽっぷす”なんだもん。先ほどの“ポップスの再定義”といい、ana_themaといい、K-POPとの共振といい、だって4曲目の女性的なウィスパーボイスとかSadistik聴いてなきゃ絶対に書けないし、これもう確信犯でしょ。完全に昨年末の“トラップ祭り”の流れで韻踏めちゃうヤツなんだよね。なんだろう、これもう10年代後半のWelcome to My “俺の感性”を総括したアルバムでしょ。その“全ての始まり”こそ、2016年の相対性理論『天声ジングル』なんだよね(やっぱえつこってスゲーわ)。もはや“俺の感性”ならぬオリィの感性”でしょ。もしやオリィってのブログの読者なんじゃねえか説あるわ。もう今日からWelcome to My オリィの感性”に改名するわ。そんな冗談言いたくなるくらいには、もう完全にイギリスのオリィが日本のに書かせにきてる案件で、でもこうやってアーティスト側が“回答”を出してくれる有り難さったらなくて、マジこれ聴きながらドヤ顔で拍手したもんね。こんなに笑って泣けるアルバムとか本当に久々だった。

結局、普段からヒップ・ホップを聴いてる音楽ライターはデンゼル・カリーRATMカバーには一切の関心を示さないし(予想通り)、方や普段から“俺たちはB!とは違う!”と豪語しているニワカメタラー御用達雑誌こと『ヘドバン』の奴らも案の定無反応だし、これってつまりヒップ・ホップとメタルを両方聴いてるオリィだけが反応できる案件なんですね。同じようにK-POPもそうだよね。Kポやデンゼルを聴いてない奴がこの『amo』を語っても説得力のカケラもないし、あらためて今の時代ヒップ・ホップ聴いてない奴は信用できないし、逆に今の時代メタル聴いてない奴も信用できない。つまり、今ってメタルとヒップ・ホップ、そしてKポ聴いてる奴が1番信用できる時代なんですね。ちょっとまって・・・それってやっぱりのことじゃん!って、だから『ヘドバン』とかいうニワカ雑誌は信用しなくていいです。逆にWelcome to My “俺の感性”だけは信用してくれていいです。もはやの感性”からすればB!も『ヘドバン』も老害メタラー以外のナニモノでもない、同じanaのムジナです。何度も言ってるけど、ガチメタラーはオリィじゃなくて真のニワカ雑誌である『ヘドバン』を叩くべきだ(ガチメタラーが叩いてた人物が実は1番メタルの未来を考えていたという皮肉)。アークライトの生き残り”として、現日本の“メタルメディア界のキング”として(えっ)、ニワカメタラー御用達の『ヘドバン』を野放しにするわけにはいかないッ!

ロラパルーザ

そのオリィが目指したBMTHの“メインストリーム進出計画”の成果として、早くも2019年のロラパルーザ出演決定、それすなわちデンゼル・カリーとの共演という“引力”という名の“繋”がりを爆発させている(だから言ったっしょ?)。完全アウェーのなか“メタル”を代表してロラパに単騎で殴り込みかける格好良さハンパないんですけど、それじゃあ日本で開催される今年のサマソニはどうだろう?当然、の頭の中にはサマソニでデンゼルBMTHがコラボしてRATMのカバーやったら間違いなく“伝説のサマソニ”になるという思惑はあったけど、いざ蓋を開けてみればデンゼル“デ”の字もなく、どこの馬の骨かもわからない邦ロックがラインナップされるというちょっとした地獄を見せられてて、つまり業界を代表するクリマン清水ですら“その程度”という地獄。まあ、“その程度”なのが日本のフェスで、サマソニの限界なんですね。

そんなクソみたいなサマソニじゃなくて単独で来日しろやオリィオリィはさっさと日本のに会いに来いや・・・って、ちょっとまって、オリィってより年上だったのかよ・・・マジか。オリィお前おっさんやん・・・。確かに、2ndアルバム『スイサイド・シーズン』の頃はまだお互い若かったな。それから約11年の年月を重ね、お互い三十路のオッサンになってから再び邂逅するなんて夢にも見なかった(あっ、年上だからオリィくん”だね///)。でも“男は30から”ってのもあながち嘘じゃないかもなって。そんなオリィきゅん、1人目の嫁に浮気されて離婚してブラジル人女性と再婚して真の愛に目覚めた結果が、このポルトガル語で“愛”を意味する『アモ』だと考えたらクソエモいし、愛(LOVE)は愛(LOVE)でも片方の愛は『Love is Dead』感あるのが本当に面白い。もはや全世界何十億分の1あるいは2、つまり嫁との2人だけに作ってくれたアルバムなんじゃねーか説。そう妄想したら、なんかもう『ammo』という愛の弾丸(ラブバレット)に撃ち抜かれて妊娠したわ。男なのに孕んだわ・・・(ええ!?シュワちゃんが妊娠!?) 

冗談はさて置き、それこそ2018年の奇跡だったSW来日からのデンゼル・カリー来日の韻を踏む流れを汲んで、もし本当にBMTHの単独来日公演があったとして(サマソニの熱が冷めやらぬうちが理想)、前座で日本のCrystal LakeSadistikが来たらヤバイなって(ゼッテーねーw)。そんで客の半数がリンキンロストプロフェッツの元ファンで埋まってたら胸アツだよな。でも今のコイツらなら、その様々な理由でメジャーなロックシーンから突如として姿を消した二大ロックバンドの元ファン全員かっさらえますね(ロックに飽きた奴らを含め)。そんでBMTHファンでも知られるLiSAAimerと一緒に「エーーーモーーーー!!」の所でシンガロングしてムショのロリペドクソ野郎と“繋”がりたい!(おい)

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僕がIZ*ONEよりもLOONA(今月の少女)を推すべき8の理由

今月の少女

  • 一つ目の理由 『今月の少女の意味』
このLOONA“今月の少女”と名乗っているのには大きな意味がある。というのは、wikiによれば“2016年から原則として毎月1人ずつのペースで新しいメンバーを公開し、各メンバーのソロ活動やグループ内ユニットでの活動を経て、2018年に12人全員の完全体としてデビュー”したらしいLOONA。昨今の群雄割拠のK-POP戦国時代に取り残されないため、どのガールズグループも他のガールズグループと差別化を図るためにやれ悪夢コンセプトだ、やれ妖精コンセプトだなど切磋琢磨しながら独自の世界観を追求しなければ今の時代誰からも見向きもされない。無論、今月の少女ことLOONAも例外はなく、まずデビュー前に毎月1人ずつメンバーを発表していくという前例のないプロモーションからして十分面白いグループなのだけど、僕が特に興味深いと思ったのは、通常のアイドルグループは「グループ→ユニット→ソロ」の順でデビューするのが一般的だが、今月の少女に至っては「ソロ→ユニット→グループ」の順で誕生した、これまでにない逆発想的かつ斬新的な戦略を成功させた唯一のガールズグループであるというところ。LOONAと同じ12人組の日韓合同ガールズグループことIZ*ONEを例に出すと、IZ*ONEは今年の2月に日本デビュー曲のカップリングで早速その12人を7:5に分割したユニット曲を披露していたが、このLOONAは世間一般的な常識にとらわれない全く新しいイメージ戦略と、かつユニークな逆転の発想で圧巻のデビューを飾り、他のK-POPとの明確な違いを見せつけている。

  • 2つ目の理由 『仕掛け人が元音楽ブロガー』
その斬新なコンセプトを立案した人物こそ、アルバム企画・制作・曲管理などを指揮するA &Rのチョン・ビョンギだ。彼は10代の頃に趣味で音楽評論を書いていた元音楽ブロガーって時点で一方的な親近感が湧いた、一方的な。彼は2000頃からフリーランスの音楽プロデューサーとして活動し、かのJYPエンターテイメント在籍時にはK=POP界のレジェンドワンダーガールズのヒット曲である“Tell Me”を手がけ、その後かのWoollimエンターテイメントの理事となった彼は、“K-POP界のモー娘。”ことLovelyzの清純派イメージを決定づけたいわゆる「少女三部作」の仕掛け人でもある。とにかく、仕掛け人がワンガの曲をプロデュースしてる元音楽ブロガーってだけで推せる。

  • 3つ目の理由 『所属事務所がクソ金持ち』
IZ*ONEの今の人気は、お馴染み韓国のオーディション番組『PRODUCE 48』出身という実質的なプロモーションを兼ねた番組あってのチート人気だ。一方でデビュー前からK-POP界でも“異例”かつ“破格”のプロモーション活動をしているLOONAだが、しかしここで、その破格の待遇とも言えるプロモーション活動を可能にするための資金は一体どこから出ているのか?という純粋な疑問が浮かび上がる。その秘密はLOONAが所属する事務所にあった。今月の少女が所属するBlockberyy Creativeのケツ持ちであるリバイトユナイテッドのイ・ジョンミョン代表は、韓国の軍事関連企業で知られる日光グループの創業者の長男である・・・って、えーっと、ちょっと待って、どっからツッコんでいいのかわかんねぇ。ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、軍事産業・・・?さすがに軍事資金には誰も勝てねぇわ・・・。もうなんかスケールがデカ過ぎてわかんねぇし、そらデビュー時のプロモに10億ポンっと出しますわ・・・(もはや雇って欲しいレベル)。とにかく、2015年に再び独立したチョン・ビョンギは、過去にA &Rとして培った経験を糧に次なる野望を実現させるため、そんなトンデモねぇ金満事務所ことBlockberyy Creativeと手を組み、自身の音楽人生の集大成としてこの“LOONAプロジェクト”を発足させ現在にいたる。まさに“運命の出会い”とはこのことw

  • 4つ目の理由 『グライムスの妹分』
おいら、いつぞやの記事に書いた気がするんだけど、概要すると水曜日のカンパネラコムアイとコラボするChvrchesはJ-POP的で、今月の少女とコラボするGrimesはK-POP的であるというニュアンスだ。今やアーティストとしてよりも“ZOZOZOの鬼太郎”のマブダチことテスラCEOのイーロン・マスクのパートナーとしての方が有名なんじゃねぇか説のあるグライムスことクレア・バウチャーなんですが、そんなグライムスは2018年にLOONAのユニット別グループのyyxy“love4eva”というコラボ曲を発表していて、グライムスLOONAとコラボした理由として自身のパートナーであるイーロン・マスクの宇宙開発規模のマネーとLOONAの裏側に潜む巨額の軍事マネーに同じ匂いを感じ取ったのかはいざ知らず(失礼な)、とにかく今月の少女は金に物を言わせた“ハッタリ”だけでなく世界的なアーティストからも評価される確かな実力を誇示している。


  • 5つ目の理由 『曲が良い』
それは金に物を言わせた“ハッタリ”か、それとも彼女たちの実力か、その活動やイメージ戦略には常に曖昧さが付きまとうLOONAだが、そんな曖昧さを吹き飛ばし真の実力へと、そして真の名声へと結びつけたのが今のKポ界隈で最もバズっている新曲の“Butterfly”だ。まず一聴してみてサウンド・プロダクションがもうほぼほぼグライムスで、曲中の「ヤ~ウェイ」連呼からして“世界”を感じさせるメインストリームの香りを漂わせ、そして姉貴分のグライムス仕込みのエレクトロ・ポップ〜EDMのビートを刻みながら、いわゆるEDM用語で言う所のサビのドロップのブチアゲパートの息の揃ったダンスパフォーマンスへと展開していく、まさに全ての“クリエイティブ”と“マネー”が噛み合った(生々しい)2019年最高のポップスだ。そこには金で築き上げたハッタリは存在しない。全てが本物である。これこそチャーチズがJ-POP的でグライムスがK-POP的である、その“答え”を示したのがこの曲だ。曲のポイントとしては、いわゆる様式的なポップスのように“サビ”を歌うのではなくて、今の世界的なトレンドである“サビ”のないEDM流れのドロップを曲のピークに持ってきているところで、これまでのLOONAにはない“サビ”の表現とダイナミックなビート・サウンドは、LOONAという名の1人の人間が12羽に分裂してホンモノの蝶々として世界へと羽ばたいていく少女たちの明るい“未来”を暗示するかのよう。ちなみに、グライムスも同名の曲を発表してるけど、何か深い関係があるのかと聞かれたら多分ない(ないんかい)。



  • 6つ目の理由 『画一的な外見』
先日、韓国政府の女性家族省が「アイドルの画一的な外見が深刻」という主にK-POPに対する批判的な意見を発表して話題となった。ちょっと面白いのは、今月の少女はその「画一的な外見」を逆手に取るかのように、新曲の“Butterfly”では12人の一糸乱れぬダンスパフォーマンスを披露している。確かに、外見的な話をすると今月の少女はIZ*ONEにコールド負けしてしまう。逆に言えばLOONAはビジュアルではなくダンスパフォーマンスに特化したグループであるということ。今回の新曲はその特色が顕著に現れた曲でもあって、もはや今月の少女1のビジュアルメンであるセンターのヒジンちゃん1人が12人の残像として見えてくるような錯覚を覚えるほど揃いに揃ったダンスパフォーマンスは、「画一的な外見」という世間の批判を押しのけ、むしろ逆に“12人で1人”というグループの揺るぎない一体感を生み出している。メンバー全員がセンターのヒジンちゃんに見えてくる幻覚作用はなんかスゲーお得感あるし(おい)、もはやメンバーの顔と名前一致してるLOONAオタクいない説(おい)。それはまるで怪人十二面相、あるいはジョジョで言うところの“11人の男たち”さながらの十二変幻である。だから、今月の少女のとっては外見もダンスも“画一的”であればあるほど何かと都合がいいわけです。そういった面でも、12人の個性がバラバラなメンバーが集まったIZ*ONEとは“真逆”の存在と言える。

  • 7つ目の理由 『映像集団DejipediによるMV』
LOONAのMVを手がけているのはDejipediという韓国気鋭の映像集団で、過去のユニット別のMVではルーマニア、フランス、イギリス、日本、香港など、世界各地でロケを行なっており、無論それだけの(金のかかるグローバルな)ことを可能にするのは他でもない金満事務所のおかげ!軍事マネー最高!・・・という冗談は置いといて、新曲“Butterfly”のMVでも多額の資金が投入されている事を容易に想像させる映像美を繰り広げている。このMVが世界中でバズっていて、まさに12羽の蝶々の舞が世界中の人々と共鳴するかの如くグローバルなメッセージ性が込められたコンセプトで(この辺も名古屋飛ばしをしなかったことで有名なグライムスREALiTiっぽい)、これぞDejipediの真骨頂と言わんばかりのプロフェッショナルさが爆発している。今月の少女の画一的なダンスと曲と映像、そして元音楽ブロガーの仕掛け人、これこそ全ての“プロフェッショナル”と“マネー”が噛み合ったAAA級の“アート作品”である。個人的にセンスあるなと思ったのは、ラスサビで「恐らく12人の可愛い少女が水辺でキャッキャと水遊びをしているであろう」という健全な男子の妄想を掻き立てるモノクロのシーンが一瞬映し出されるのだけど、そのシーンがアカデミー賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン監督の映画『ROMA』かよってくらいエモ×刹那的でスゲーセンスあるなって。なんだろう、これまでの少女らしいキャッチーな曲とは打って変わって、ガルクラ寄りの大人の雰囲気をまとった“少女の本性”みたいなのがチラリと透けて見えるフェティッシュな演出(チラリズム)が実に上手い。ありがとうございます!って感じ。

  • 8つ目の理由 『日本デビューの可能性』
そんな色々な意味で魅力タップリな今月の少女ことLOONAなんだけど、誰もが気になる日本デビューの予定は・・・?というと、wikiには“日本では現地の活動のために関係者とも具体的な話をしている”とあるので、今年中に何かしらのアクションがあることを期待したい。で、その名の通り新曲のバタフライ効果で日本のレコード会社によるLOONA争奪戦が予想されるのだけど、個人的に予想すると、というか予想するまでもなくソニー・ミュージック一択だと思う。何故かって、新曲のMVにはソニー製のカセットウォークマンが登場しているし、過去のMVでもソニーのウォークマンが幾たび登場するからに他ならない。実は、その“ソニーのカセットウォークマン”LOONAというガールズ・グループを象徴するキーアイテムになってる説あって、その“ソニー”要素を今月の少女に持ち込んだ張本人こそLOONAのA&Rであり総合プロデューサーであるチョン・ビョンギである。例えば、JYPのセクシーゴリラもそうなのだけど、彼に近しい世代は日本の大衆文化流入を制限していたまだネットのない時代に、いわゆる闇市を通して密かに当時のJ-POPをウォークマンに仕込んでコソコソ隠れて聴いていたというのはこの世代の語り草としては珍しくない話で、そう解釈すれば今月の少女のキーアイテムが“ソニーのカセットウォークマン”である事にも至極納得がいくし、そもそもの話、チョン・ビョンギが2018年からソニー・ミュージック・コリアの常務を務めているって時点でもう確信犯ですw 逆に、逆にこれだけソニー入りのフラグ立てておいて日本のレコード会社がソニーじゃなかったらウケる(大穴でホステスw)。でももし日本デビューしたとして、普通に考えたら日本語曲も出すってことになるじゃん?それこそ新曲の“Butterfly”聴いたら日本語曲とかいらねぇとしか思わねぇじゃん?この板挟みな感じが何とも言えねぇ・・・。まあ、でも日本語曲はあっても“Hi High”路線なら何とかなるかってなった(2秒で解決)。


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・・・以上が、『僕がIZ*ONEよりもLOONA(今月の少女)を推すべき8つの理由』だ。ちょっと待って、ここまでの8つの説を読んでもまだLOONA推さない奴おるの?この好意的画一性に富んだ今月の少女のダンスパフォーマンスを見ても推さない奴おるの?センターのヒジンちゃんの可愛さを見ても推さないつもりなの?自分は、このプロジェクトの仕掛け人が“元音楽ブロガー”ってだけで推せるんだけど(しつこい)。でも冗談じゃなしに、LOONAIZ*ONEが打ち立てた鉄壁の牙城を崩すことができる唯一のKポなんじゃねぇかって。だからそこの君も僕と一緒に今月の少女を推して秋元康をやっつけよう!打倒アッキー!
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