Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

Hip-Hop

Bring Me The Horizon 『アモ』

Artist Bring Me The Horizon
bmth-bio_b4b62e6b8feb204f329c1700ab8c6c4a

Album 『amo』
BMTH-amo

Tracklist
01. I Apologise If You Feel Something
02. Mantra
03. Nihilist Blues (featuring Grimes)
04. In the Dark
05. Wonderful Life (featuring Dani Filth)
06. Ouch
08. Sugar Honey Ice & Tea
09. Why You Gotta Kick Me When I'm Down?
10. Fresh Bruises
12. Heavy Metal (featuring Rahzel)
13. I Don't Know What To Say

???「だから言ったっしょ?」

「メタルとヒップホップとK-POP、全ては“繋”がってるんだよね」
cfhTy6gA_400x400

・・・という、トンデモねぇ陰毛論ネタを駆使した出オチっぷりがハンパない始まり方が全てで、一体全体それは何故かっつーことを、今からちょっくら書いてくわ。っとその前に・・・BMTHのアー写見るたびに毎回ギターのデブがJanne Da Arckiyoちゃんに見えてしょうがないのと、今回のアー写もメタリカTの人殺めてそうなサイコパスヤク中デブみたいな感じホントすき。あとちびまる子ちゃんのブー太郎にも似てんなって。

  • 『デンゼル・カリーは“メタル”』
まず、昨年末の最後に書いたBTSの記事の中で書いたのは、近頃のロック・ミュージシャンが口々に言うのはいま世界で一番ロックしてるのはラップ/ヒップ・ホップであるというようなニュアンスで、実のところ僕がその例として挙げた言葉を引用させてもらった人物こそ、他ならぬBMTHのフロントマンオリヴァー・サイクスだった。昨年、そのオリィの問題?発言を収めたインタビューがWEBに公開されるやいなや、案の定ガチメタラーを中心に大量のBMTHアンチからボコボコに叩かれて大炎上したことが記憶に新しいよね。そのインタビューの中でオリィは、要約すると最近のロック/メタルはクソであると、同時に今の時代「“いい音楽”“メインストリーム”=“ポップス”“ヒップ・ホップ”にある」と語っているんだよね。つまり、ラップこそ新しいロックでありパンクだと。

普通なら、自分も他のガチメタラーに同調してオリィの問題発言を叩くべきなのかもしれない。しかし、今の自分にはオリィの発言が正論にしか思えなかった。何故なら、僕もオリィと全く同じ意見を持ち始めていたからだ。それもつい最近。もっと言えば、昨年末のBTSからのデンゼル・カリー、そしてSadistikのトラップ三連発は、まさにこの“伏線”だったとしか思えなかった。つまり、オリィの言う“いい音楽”がある“メインストリーム=ポップス”のド真ん中をブチ抜いている「BTSはメタル」であると、そして自称“ブラック・メタル・テロリスト”デンゼル・カリー“メタル”なんだよね。



まさかそのデンゼル・カリーがヒップ・ホップ側の人間を代表して、まるでオリィの“ヒップ・ホップはメタル”発言に対する直接的な回答、その伏線回収をRATMのカバーという形で提示してくれたのは感謝しかなくて、これこそ本当の意味で“メタルとヒップ・ホップ”の邂逅なんだよね。とにかく、もう数十年前からロックは死んだ”状態のままの時代に、オリィは「ロックに興味がない人にロックを好きになるキッカケとなるバンドになりたい」と語っていて(なお、この発言も炎上)、それこそ今の時代に“ヒップ・ホップが一番メタル”だと“知っている人”ならではの発想、考え方であり、まさにそのオリィが感じている今のクソみたいなロック/メタルシーンに対する怒りと反骨心(パンク精神)によって生まれたアルバムが今作の『アダモちゃん』もとい『アモ』だ。ちなみに、この『アモ(amo)』とはポルトガル語で『愛(LOVE)』を意味しているんだよね。

  • 『グライムスという“ポップ・アイコン”』
オリィは、ヒップ・ホップが最先端のロック・ミュージックであると説くと同時に、今の世の中の“いい曲”はメインストリーム・チャートにあると断言している。今やテスラCEOことイーロン・マスクのパートナーであり、現代のポップスのアイコンであるグライムスとのコラボが何よりの証拠だ。そんなグライムスは、つい最近新曲の“We Apperciate Power”という同郷のThe Birthday Massacreや自身も影響を公言しているNine Inch Nails風のサイバーパンク/インダストリアル・ロックを発表していて、今回BMTHグライムスとコラボしたセカオワの“YOKOHAMA blues”ならぬ“Nihilist Blues”は、そのインダストリーかつ無機的な雰囲気を踏襲した、もはやグライムスそっちのけでダフト・パンクチャーチズana_themaが宇宙の果てでスティーヴン・ホーキング博士と出会ってヨロピクしちゃったような、ユーロビート感マシマシのパリピなアゲポヨ・ダンス・チューンとなっている。


その“Hip-Hop”“EDM”は、今やR &Bと並んでストリーミングを中心に世界の音楽市場を牛耳っている二大音楽ジャンルで、その世界的に音楽の二大トレンドであるヒップ・ホップとEDMを積極的に取り入れ、そしてビルボードをはじめとしたメインストリーム・チャートにランクインするような“最先端のポップス”へとブチ上げることに成功したのが“K-POP”だ。ご存知、グライムスといえば先ほどの新曲をリリースする一方で、2017年にK-POPアイドルの今月の少女ことLOONAともコラボ作品を発表している。何を隠そう、そのLOONAの新曲“Butterfly”こそBMTH『アモ』を紐解く重要なカギを握っているんじゃねえか説だ。この“Butterfly”は、まさに姉貴分であるグライムス譲りのエレクトロ・ポップから“世界”=“メインストリーム”を予感させる最先端のEDMまでも巧みに昇華した、それこそチャーチズともコラボしている世界的なDJマシュメロもビックリの2019年最高峰のポップスだったよね。この『アモ』は、そんなグライムスが内包するエレクトロなポップネスだったり、あるいはK-POPが内包するEDMなどのメインストリームの世界で通用する要素を大胆に取り入れた、言うなれば初期の頃から唯一無二の前衛性を伴いながら進化し続けてきた彼らの“終着点”とも呼べる、BMTH史上最も“実験性”に富んだ作品なんだよね。

  • 『メシュガーはポップス』
BMTHオリィと同じように、“今のメタルは古臭い・・・w”と発言してガチメタラーは元より今をときめく気鋭のメタルレーベルことHoly Roarの社長に手紙でガチ説教されるという前代未聞の大炎上芸をカマしたのが、他ならぬBMTHの元レーベルメイトでもあるBFMVの筋肉ダルビッシュもとい筋肉ダルマットで、その社長の手紙の中にはBMTHを引き合いに出してBFMVをディスっていたのがまた笑いに拍車をかけていたのも事実。とまあ、そんな炎上話はさて置き・・・その筋肉ダルマとオリィが口を揃えて“今のメタルはクソだ”と言うのは果たして本当なのか?確かに、某国某B!のメタルメディアから一方的に“メタル暗黒時代”の烙印を押されながらも、その実情は長きにわたるメタル史の中でも屈指の面白さを誇っていた“90年代”はまだしも、00年代からこの10年代にかけてのメタルシーンで生まれた“新しい音”を挙げるとなると、しいて言えば“メシュガーの音”ただそれだけなのかもしれない。この“メシュガーの音”というのは、その名の通りスウェーデン出身のメシュガーがその音をメタルシーンの中で確立し時代の“トレンド”となるやいなや、それは後にDjentなるメタルのサブジャンルを産み落とし、10年代のシーンを微力ながら活気づけ、最近ではUSのデブ豚ことDeftonesガニキの音をオルタナティブ・ヘヴィの解釈で自らの音に持ち込んだ『Diamond Eyes』『恋の予感』、それと同じくして同郷のKATATONIA『Night Is the New Day』という傑作を生み出したのは今でも記憶に新しいよね。


シンフォブラ界の“アイコン”であるダニ・フィルスをここまで“おもちゃ”にしても許されるバンドって、間違いなく世界でもコイツらしかいないです。昨年このMVが公開された時は「ま〜た炎上するのか・・・」って思ったんだけど、それはもとより重要なのはファニーなMVじゃなくてこの楽曲の方だ。それこそ00年代以降のメタルの“トレンド”となったガニキのサウンド・スタイルを、10年代も終わりを告げようとしている暦の締めくくりに、ガニキ特有のヘヴィネスとガニキ特有のリズムをメインストリームの“ポップス”に落とし込む大馬鹿野郎が現れるなんて一体誰が想像した?要するに、BMTHは“メインストリーム”の対極に位置する“メタル”という“アンダーグランド”のヘヴィネスを“ポップス”にブチ上げちゃってるんですね。恐らく、ガニキの音をアンダーグランドからメジャーにブチ上げた最初で最後のバンドになるんじゃあないか(某メイドも?w)。それくらい“やることやってる感”がハンパないというか、“今のロックはクソだ”というオリィ言葉に裏打ちされた炎上上等の説得力ったらない。あのレジェンドガニキの音すらいとも容易く“ポップス”に変えてしまうあたり、ソニー・ミュージック(RCA)に切り捨てられたBFMVとは対照的に、冷静に考えてコイツらガチの天才です。もはや天才を超えた別のナニカです。むしろ才能しかない。

  • 『ヘヴィ・メタル=ヒップ・ホップ』
そのポップスと並んで・・・いや、今やそのポップス以上に世界のメインストリーム・チャートを圧巻しているのがヒップ・ホップだよね。俺が昨年末に書いたBTS→デンゼル・カリ→Sadistikまでのいわゆる“トラップ祭り”は、その“時代”の流れ=“引力”的なものに釣られて“書かされた”ものであると同時に、このBMTH『アモ』に対する“伏線”となっていたことを、あの日の僕たちはまだ知らないんだよね。そんな中、オリィの執拗なまでのヒップ・ホップに対する“愛”という名の“コンプレックス”の裏返しは、9曲目のWhy You Gotta Kick Me When I'm Down?という曲で遂に爆発してしまう。

それこそ昨年末のBTS→デンゼル・カリ→Sadistikまでのトラップ祭りという伏線の答えがこの曲で、この曲ではオリィのダーティなラップを皮切りに、トラックまでもいわゆる“トラップ・ラップ”をルーツとするヒップ・ホップを披露している。何が凄いって、初っ端のオリィのラップのメロからしてSadistikコディにしか聴こえなくて軽く泣いたのと、まるで“ブラックメタル・テロリスト”が乗り移ったかのような、しかし初期のようにハードコアに咆哮するのではなく、ハードコアはハードコアでも初期の叫び声から本場の黒人ラッパー顔負けに激しく吐き散らすタイプのハードコア・ラップに“変化”しており、この“叫び方”の違いは彼らが歩んできた音楽遍歴の進化を象徴するかのようであると同時に、それは今作の真髄的な部分にも直接的に“繋”がっている。言ったら、これもう『タブー』だよね。こいつらメタル界が唯一の“禁忌”としているはずの『タブー』を犯しちゃってるんだよね。そう、彼らはもう既にパンドラの箱を開いてしまっているんだよね。しかも挙げ句の果てには、Heavy Metal”という名前を冠する曲でヒューマンビートボックス界の神で知られるラゼールとコラボするという二度目,三度目の禁忌=タブーを犯しているんだよね。またもや初期厨とガチメタラーがブチギレ炎上不可避の案件で、もはや一周回って笑ったというか、でもこれがオリィの考える“ヘヴィ・メタル=ヒップ・ホップ”に対する“答え”なんだなって。オリィにとって、これが“メタルの未来”であり真のメタルの精神なんだなって。だからこの『アモ』は、メタルやロックを聴いている時の感覚よりもヒップ・ホップを聴いている時の感覚に近いんだよね。例えば、4曲目のアレンジもSadistik『Flowers for My Father』を彷彿とさせるくらいには“ヒップ・ホップ側”にルーツがあるよね。オリィもインタビューで「ディスられなきゃ“いい曲”は作れない」と発言しているけど、まさにそのとおりで、実際にそれを有言実行するオリィマジかっけえ(なお炎上)。

  • 『ロリペドクソ野郎の後継者』
ここまでオリィの考える“ロックという名のヒップホップ”あるいは“ヒップホップという名のロック”をこれでもかと、クソッタレのロックシーンに『Am(m)o』という名の弾丸を撃ち込むッ!かのごとく、アルバム後半の流れはほぼほぼヒップ・ホップかと思いきや、ところがどっこい今作のハイライトを飾る“Mother Tongue”という曲で、いわゆる“ロリペドクソ野郎”が起こした某事件のせいでロックシーンの天下を取り損ねたロストプロフェッツの後継者を襲名し、今度はkiyo似のデブがやらかすフラグをビンビンにおっ立てる(おい)。正直ここで泣いたもんマジで。今現在も刑務所で( ˘ω˘ ) スヤァ...状態のロリペドクソ野郎への鎮魂歌(レクイエム)をここで、このロックの歴史を変える金字塔となりうる『アモ』でそれをやってのけるオリィの漢気に泣いたもんホント。もはやサビのamoエーーーモーーーー!に空耳するぐらいエモいし、もう自分にはロリペドクソ野郎がステージ上でいつしか夢見ていたであろうロックの未来、そして現在のロックの希望を背負ったオリィが一緒になってシンガロングしているようにしか聴こえなかった。そしてロストプロフェッツ亡き今、ロック界の“アイコン”が不在の状態で、一体誰が今後のロックシーンを引っ張っていくのか?そのロックの未来を背負っていくというBMTHの力強い意思と炎上覚悟のガチメタラー煽りに僕は涙した(はい炎上)。



その曲のストリングスやキラキラしたシンセの鳴らし方が星野源宇多田ヒカルばりのJ-POPという話はさて置き、同じくリード曲の“Mantra”“Medicine”のようなロック系の曲にも似たようなことが言えるのだけど、中でも筆頭すべきは“Medicine”で、それこそ“ロックが死んだ時代”における“ギターの居場所”を提供しつつ、そしてチャーチズ的なエレクトロやBメロのTrap的なリズム、そのチャーチズとコラボしたマシュメロ宇多田ヒカルとコラボしたスクリレックスIZ*ONEとコラボしたジョナス・ブルーをはじめとしたトラップ使いのDJを連想させる、まさにメインストリーム・チャートのド真ん中をブチ抜くヤ〜ウェイ宇宙人の親戚的なアレンジ・・・まず、これを聴いて何を思い出したかって、他ならぬBTS“FAKE LOVE”だったんだよね。なんだろう、ロック系の曲に限ってことごとくDJをはじめそれらの“メインストリーム”を経由した“ポップス”を象徴するアレンジが、ほぼほぼK-POPを聴いてるような錯覚を憶えるというか、アルバム聴いてても途中で「あれ?俺って今Kポ聴いてたっけ?」みたいな気分になるんだよね。これもう“BTSはメタル”というメタル側からの実質的な回答ですね。つまり、“いい曲”のある“メインストリーム”=“ポップス”のアレンジを積極的に取り込んでいるK-POPと全く同じ要領で、それこそ初めにLOONA“Butterfly”が今作のカギを握っていると言った理由は全てこれらの“伏線”だったんだよね。もちろん、その“Butterfly”にトラップ的なアプローチがないわけではないよね。だから言ったっしょ?“メタル”“ヒップ・ホップ”“K-POP”、全部全部全部ぜーーーーーーーーーんぶ、“繋”がってるんだよね。そして、オリィはやっぱり今の時代“ポップスが1番面白い”ってことを“知ってる人”なんだということ。

  • 『Post-Progressiveの未来』
EDMからヒップ・ホップからポップスまで、あらゆる“メインストリーム”のジャンルを“自分たちのサッカー”ならぬ“自分たちのロック”に落とし込むという、ある種の衝動にも近い実験的な前衛性、しかしその“実験的”なアプローチは一体どこからやってきたものなのか?そこで、僕が注目したのはPost-系という隠し味の存在だった。

今作は1曲目からティキティキニカニカなエレクトロとストリングスというまさにPost-系の常套手段を応用し、グライムスを迎えた3曲目のダンサブルなアプローチはもとより、4曲目のIn the Darkはもはやヒップ・ホップとアート・ロックの邂逅と呼べる曲だし、6曲目のOuchに至ってはUKの65daysofstaticスティーヴン・ウィルソンとのコラボでも知られるPendulumを連想させる。中でも筆頭すべきは、10曲目のFresh Bruises”というブレイクビート的な打ち込みナンバーで、このRadioheadの影響下にあるアンビエント的な音響効果を伴うATMSフィールドは、それこそ“ana_themaEDMを取り入れた“Distant Satellites”の実験性を更にワンランク上へとアップデイトさせた”と表現した方がシックリくる。つまり、今作には隠し味としてPost-Progressive”というUK発祥のアンダーグラウンド・ミュージックの“実験性”を隠し味として持ち込んでいて、そういった面でも俄然今作は2000年以降のアンダーグラウンドからメインストリームまでのUKロックを総括するという重要な役割を果たしている。また、今作は『amo』=“愛”をテーマとしている点でも、いわゆる“Love & Peace”を信条に掲げる秘密結社Kscopeと俄然韻を踏める要素で(同じソニー系列という点でも)、要するにこれもう“新世代のPost-Progressive”、すなわち“Post-Progressiveの未来”なんだよね。

アルバムのラストを飾るDon't Know What To Say”も意味深な存在としてあって、まるでニーチェが提唱する“ニヒリズム”の立場を踏襲したオリィの苦しみや叫び、口を開けば炎上炎上雨炎上の炎上芸人である彼の心情そのものがこのタイトルに表れていて、ある意味で「なんかもうわかんねぇ音楽」みたいな今のBMTHが置かれた状況を歌ったかのような、まさしくこれがホントの“ニヒリスト・ブルース”ってオチ(しかしニヒリストもテロリストも同居するこのアルバムスゲーなマジで)。その曲としてもやはり意味深で、まず神妙な面持ちにさせるストリングスとアコギによるPost-系の王道となる組み合わせからニヤリとさせ、まるでニーチェが乗り移ったかのようなオリィが話の語り部として“なんかもうわかんねえ”と悟りを開きながら抒情的に進行し、するとデイヴィッド・ギルモアがアレンジしてそうな壮麗優美なストリングスから時空をこじ開けるかの如しギターの轟音とともにバンド・サウンドが合流、再びPost-系ならではのインテリジェンスを垣間見せながらクライマックスへ向けて“タメ”を作り、そしてオリィDon't Know What To Sayと自らに問いかけるような“叫び”というより訴えにも近い歌声から、過去の自分たちに降りかかった“呪い”=“ANATHEMA”をブラックホールん中に葬り去るかのような、バンド史上最も超絶epicッ!!なGソロを轟かせて大団円からのカタルシス...。Don't Know What To Say”・・・それは、ロックが死んだ時代のロックシーンに生きるオリィが成せる唯一の抵抗、そして叫びだった。

このKscopeが提唱するアートロックイズムを継承した音使いから曲構成、そしてその存在意義まで、それこそana_thema“ANATHEMA”の構成とほぼほぼ全く同じで、その曲が収録されたana_themaの『Distant Satellites』にはスティーヴン・ウィルソンをゲストに迎えたペンデュラムリスペクトな曲もあって、この『アモ』は聴けば聴くほど後期ana_themaと重なる部分が多すぎる。ちょっと面白いのは、そのDistant Satellitesの赤いオーロラの如しアートワークは韓国のメディア・クリエイターが手がけたものなんだよね。もう怖いくらい“繋”がってるんだよね。そういった細部の面も含めて、『アモ』の隠し味はDistant Satellites〜『The Optimist』の中でana_themaがテーマとして掲げた“実験性”に驚くほど瓜二つで、初期から現在までの音楽性の変化という点でもana_themaBMTHの先輩に当たる(もはやモデルケース)。もう恐ろしいくらい綺麗に全部が“繋”がってるんだよね。もちろん、BMTHは初期の頃から前衛的な素質を垣間見せてきたけど、その内に秘めた前衛性を開花させた大きなターニングポイントとなったのが、他ならぬ2012年に加入したキーボードのジョーダン・フィッシュの存在だった。当然、他者に口出しされずここまで好き勝手やるため、今作はオリィジョーダンのセルフプロデュースによるもの。

  • オリィなりのポップスの再定義』
気づいた。これもうBMTHなりの“ポップスの再定義”なんじゃねえかって。“ポップスの再定義”と聞いてまず思い出すのは、ご存知スティーヴン・ウィルソン『To the Bone』だよね。ここで改めて、BMTHオリィエレクトロ〜EDM〜ヒップ・ホップというメインストリームの“ポップス”を自分たちのロックという名のポップスにパッケージングした人間、つまり“ポップスが1番面白い時代”だと“知ってる人”なんだよね。それと同じくして、SWはホームである70年代のプログレだけでなく、コクトー・ツインズやディス・モータル・コイルをはじめとした80年代の4AD勢にも精通することを示すと同時に、一方でバンクシーもといマッシブアタックは元よりエイフェックス・ツインやスクエア・プッシャーに代表されるいわゆる“コーンウォール一派”の影響下にある打ち込み/エレクトロの要素を、大手ユニバーサル・ミュージック傘下のレーベルを介してメインストリームのロック(ポップス)にブチ上げたのが新作の『To the Bone』だった。つまり、SW“ポップスが1番面白い時代”だと“知ってる人”なんだよね。その大手レーベル所属の“VEVO友”同士で“繋”がってる2人が、方やソニーから発表した『アモ』と、方やユニバーサルから発表した『To the Bone』の中でやってることって全く同じ“ポップスの再定義”なんだよね。オリィが“ヘヴィメタル”というアンダーグラウンドで培った経験と技術を“メインストリーム”というメジャーシーンにブチ上げた手法は、SWが“プログレ”というアンダーグラウンドで培った経験と技術を“メインストリーム”というメジャーシーンにブチ上げた『To the Bone』の手法と全く同じ、要するにこれは“メジャーマイナー論”なんですね。方や“メタル側からのポップスの再定義”、方や“プログレ側からのポップスの再定義”なんだよね。

本当に面白いと思ったのは、SWがコクトー・ツインズやデッド・カン・ダンスをはじめとした80年代の4AD勢からの影響を公言している『To the Bone』に対して、BMTHは現在の4ADの看板娘であるイーロン・マスクもといグライムスとコラボした所も綿密に“繋”がっている。あと『To the Bone』の最後の曲の歌詞に“Don't be afraid”ってあるのだけど、BMTHは逆に1曲目のI Apologise If You Feel Something”という曲の歌詞にDon't be afraid”を持ってきているのは偶然にしては面白くて、SWオリィそれぞれの新作に共通するこの言葉の意味を解釈するならば、恐らくそれは“変化を恐れるな”という意味なんだと思う。それは勿論、音楽性の面は元より、環境の面や精神的な面に対する意味も含まれている。(他の隠し要素としてSWがプリンスとデヴィッド・ボウイへのレクイエム、オリィがロリペドクソ野郎へのレクイエムだし、アー写の❤️マークはSWがいつも愛用しているコムデギャルソンのTシャツリスペクトだし...えっ)

また、オリィは「なぜ“ヘヴィメタル”はラップのようにストリーミング・チャートを圧巻する存在になれないのか」と嘆いている(2秒で炎上)。ご存知、SW『To the Bone』って実はSpotifyをはじめとしたストリーミングで音楽を聴くイマドキの環境にも対応する工夫がなされていて、それもあってシングルが地元イギリスのBuzzチャートにランクインしたのは記憶に新しいよね。その“知ってる人”同士で“繋”がってる、年は親と子ほど離れた2人の“ストリーミング市場”に対する共通認識もラップのように韻を踏んでいて、もはやSWオリィと見ていいです。とにかく、それくらいBMTH『アモ』SW『To the Bone』は作品の温度や構図、その“真実(truth)”“愛(Love)”という精神性までも同じなんですね。同時に、様々なジャンル別の曲をギャップレスに“繋”いでいく、聴き手に考える余地を与えない“したたか”なギミックも『To the Bone』的なんだよね。そう言った意味では、今作はオリィのソロアルバム”と解釈すべき作品なのかもしれない。ともあれSWの正統後継者がBMTHオリィというオチは流石に想定外すぎて笑ったし、あと“やっぱ音楽おもしれえ”って。余裕でことしの年間BEST一位確定だし、年明け早々からBMTHLOONAのワンツーフィニッシュで年間BESTが決まっちゃうとか・・・2019年幸先良すぎw

  • オリィ=俺ィ説
気づいた。これもうオリィ=俺なんじゃねえかって。だってこのアルバム、どう聴いても“ぼくがかんがえたさいきょうのぽっぷす”なんだもん。先ほどの“ポップスの再定義”といい、ana_themaといい、K-POPとの共振といい、だって4曲目の女性的なウィスパーボイスとかSadistik聴いてなきゃ絶対に書けないし、これもう確信犯でしょ。完全に昨年末の“トラップ祭り”の流れで韻踏めちゃうヤツなんだよね。なんだろう、これもう10年代後半のWelcome to My “俺の感性”を総括したアルバムでしょ。その“全ての始まり”こそ、2016年の相対性理論『天声ジングル』なんだよね(やっぱえつこってスゲーわ)。もはや“俺の感性”ならぬオリィの感性”でしょ。もしやオリィってのブログの読者なんじゃねえか説あるわ。もう今日からWelcome to My オリィの感性”に改名するわ。そんな冗談言いたくなるくらいには、もう完全にイギリスのオリィが日本のに書かせにきてる案件で、でもこうやってアーティスト側が“回答”を出してくれる有り難さったらなくて、マジこれ聴きながらドヤ顔で拍手したもんね。こんなに笑って泣けるアルバムとか本当に久々だった。

結局、普段からヒップ・ホップを聴いてる音楽ライターはデンゼル・カリーRATMカバーには一切の関心を示さないし(予想通り)、方や普段から“俺たちはB!とは違う!”と豪語しているニワカメタラー御用達雑誌こと『ヘドバン』の奴らも案の定無反応だし、これってつまりヒップ・ホップとメタルを両方聴いてるオリィだけが反応できる案件なんですね。同じようにK-POPもそうだよね。Kポやデンゼルを聴いてない奴がこの『amo』を語っても説得力のカケラもないし、あらためて今の時代ヒップ・ホップ聴いてない奴は信用できないし、逆に今の時代メタル聴いてない奴も信用できない。つまり、今ってメタルとヒップ・ホップ、そしてKポ聴いてる奴が1番信用できる時代なんですね。ちょっとまって・・・それってやっぱりのことじゃん!って、だから『ヘドバン』とかいうニワカ雑誌は信用しなくていいです。逆にWelcome to My “俺の感性”だけは信用してくれていいです。もはやの感性”からすればB!も『ヘドバン』も老害メタラー以外のナニモノでもない、同じanaのムジナです。何度も言ってるけど、ガチメタラーはオリィじゃなくて真のニワカ雑誌である『ヘドバン』を叩くべきだ(ガチメタラーが叩いてた人物が実は1番メタルの未来を考えていたという皮肉)。アークライトの生き残り”として、現日本の“メタルメディア界のキング”として(えっ)、ニワカメタラー御用達の『ヘドバン』を野放しにするわけにはいかないッ!

ロラパルーザ

そのオリィが目指したBMTHの“メインストリーム進出計画”の成果として、早くも2019年のロラパルーザ出演決定、それすなわちデンゼル・カリーとの共演という“引力”という名の“繋”がりを爆発させている(だから言ったっしょ?)。完全アウェーのなか“メタル”を代表してロラパに単騎で殴り込みかける格好良さハンパないんですけど、それじゃあ日本で開催される今年のサマソニはどうだろう?当然、の頭の中にはサマソニでデンゼルBMTHがコラボしてRATMのカバーやったら間違いなく“伝説のサマソニ”になるという思惑はあったけど、いざ蓋を開けてみればデンゼル“デ”の字もなく、どこの馬の骨かもわからない邦ロックがラインナップされるというちょっとした地獄を見せられてて、つまり業界を代表するクリマン清水ですら“その程度”という地獄。まあ、“その程度”なのが日本のフェスで、サマソニの限界なんですね。

そんなクソみたいなサマソニじゃなくて単独で来日しろやオリィオリィはさっさと日本のに会いに来いや・・・って、ちょっとまって、オリィってより年上だったのかよ・・・マジか。オリィお前おっさんやん・・・。確かに、2ndアルバム『スイサイド・シーズン』の頃はまだお互い若かったな。それから約11年の年月を重ね、お互い三十路のオッサンになってから再び邂逅するなんて夢にも見なかった(あっ、年上だからオリィくん”だね///)。でも“男は30から”ってのもあながち嘘じゃないかもなって。そんなオリィきゅん、1人目の嫁に浮気されて離婚してブラジル人女性と再婚して真の愛に目覚めた結果が、このポルトガル語で“愛”を意味する『アモ』だと考えたらクソエモいし、愛(LOVE)は愛(LOVE)でも片方の愛は『Love is Dead』感あるのが本当に面白い。もはや全世界何十億分の1あるいは2、つまり嫁との2人だけに作ってくれたアルバムなんじゃねーか説。そう妄想したら、なんかもう『ammo』という愛の弾丸(ラブバレット)に撃ち抜かれて妊娠したわ。男なのに孕んだわ・・・(ええ!?シュワちゃんが妊娠!?) 

冗談はさて置き、それこそ2018年の奇跡だったSW来日からのデンゼル・カリー来日の韻を踏む流れを汲んで、もし本当にBMTHの単独来日公演があったとして(サマソニの熱が冷めやらぬうちが理想)、前座で日本のCrystal LakeSadistikが来たらヤバイなって(ゼッテーねーw)。そんで客の半数がリンキンロストプロフェッツの元ファンで埋まってたら胸アツだよな。でも今のコイツらなら、その様々な理由でメジャーなロックシーンから突如として姿を消した二大ロックバンドの元ファン全員かっさらえますね(ロックに飽きた奴らを含め)。そんでBMTHファンでも知られるLiSAAimerと一緒に「エーーーモーーーー!!」の所でシンガロングしてムショのロリペドクソ野郎と“繋”がりたい!(おい)

【早期購入特典あり】アモ(特製BMTHステッカー(応援店Ver.)付)
ブリング・ミー・ザ・ホライズン
SMJ (2019-01-30)
売り上げランキング: 81,265

デンゼル・カリー 『タブー』

Artist Denzel Curry
maxresdefault-2

Album 『TA13OO』
denzel-c

Tracklist
01. TABOO | TA13OO
02. BLACK BALLOONS | 13LACK 13ALLOONZ 
03. CASH MANIAC | CAZH MAN1AC
05. SUPER SAIYAN SUPERMAN | ZUPER ZA1YAN ZUPERMAN
06. SWITCH IT UP | ZWITCH 1T UP
07. MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T
08. SIRENS | Z1RENZ
10. THE BLACKEST BALLOON | THE 13LACKEZT 13ALLOON
11. PERCS | PERCZ
12. VENGEANCE | VENGEANCE
13. BLACK METAL TERRORIST | 13 M T

昨年11月に行われたスティーヴン・ウィルソンの奇跡の来日公演を終えてから今まで一体ナニをしてたかっつーと、ザックリ言ってしまえばマイアミのラッパーデンゼル・カリー『タブー』しか聴いてなかったっつーのが正直なところ(仕事が忙しかったなんて言えない)。それというのも、実はSWデンゼル・カリーって地続きで韻を踏めちゃう話の流れがあって、というのもデンゼルが所属するレーベルがユニバーサル傘下のCaroline InternationalというSWNine Inch Nails、そしてマソソソ・マソソソと同じレーベルメイトで、となればこの『タブー』の国内盤もSWと同じHostess Entertainmentからリリースされていて、これもう完全にSW『To the Bone』以降の流れがあるなって、個人的に強烈な“引力”を感じたからに他ならない。しかし改めて、SWチャーチズがレーベルメイトなのホント笑える。

おいら、ラップ/ヒップ・ホップについては全く詳しくないので、この『タブー』のドコが凄いかなんて偉そうな事は言えないんだけど、とりあえず聴けばその凄さが分かるハズだからとにかく聴けって感じのアルバム。なんだろう、2017年のラップを代表する作品がケンドリック・ラマー『DAMM.』だとするなら、2018年のラップを象徴する作品はこのデンゼル・カリー『タブー』と断言していいレベルの傑作。


その名が世界中に知れ渡ることとなった2016年作の2ndアルバム『Imperial』は、幕開けを飾るULTのイントロから、90年代の日本のサスペンスドラマの劇伴みたいな80年代のニューウェーブあるいは80年代のYMOばりにセンセーショナルな衝撃を感じさせたけど、3rdアルバムとなる『タブー』は幕開けを飾る表題曲からして、それこそケンドリック・ラマー『DAMM.』“YAH.”を追従するかのような、倦怠感のあるスローなBPMとジャズいムードに包まれたアダルティな曲で、この時点で「これ完全に『DAMM.』の再来や・・・」と確信して鳥肌たちまくり。もう既にラマーと肩を並べるカリスマラッパーの様相を醸し出してる。

前作は童貞クサいクソほどマジメにオラついたトラップ・ラップって感じだったけど、今作はいい意味で大人になったというか、誤解を恐れずに言えば童貞卒業したようなポップでキャッチーな雰囲気というか、いい具合に肩の力が抜けて一皮向けた感あって、それこそフロリダのリゾート地でもあるマイアミビーチの陽気ャな空気感を醸し出す80年代のAOR色マシマシな冒頭の3曲が示唆するように、デンゼルの生まれ故郷からこの物語は始まる。

歌詞は、今や全米を代表するラッパーに成り上がったデンゼルを妬んだ地元のギャングにお前の女はヤリマンだから興味ないと煽りを食らわす自身の“名声”に関するリリックから、この混沌とした時代に生きる人々の“痛み”や“自殺”、ピッチフォーク批判やトランプ批判を巧みに織り交ぜながらも、その中心にあるのは“俺”=デンゼル・カリー自身が歩んできた人生の物語であり、そんな彼のパーソナルな部分が可視化されている。なんだろう、最近の映画で例えるなら『フロリダプロジェクト』が描き出した“アメリカの闇”=“タブー”にフォーカスしたような、映画好きとしてはタイムリーに感じるリリックで、そのある種の自伝的なリリックやコンセプティブなトラックの世界観も名盤『DAMM.』に匹敵する。もちろん、『DAMM.』も曲の中でトラップとか色んなことしてるのにきちんと一つにまとまってる完成度の高さがあって、この『TA13OO』にもそれと近い匂いを感じさせる(でもヤリマン)。ちなみに、歌詞の中には“ブラックサバス”の名前もあったり、5曲目の“スーパーサイヤ人”ネタはチャイルディッシュ・ガンビーノ主演の『アトランタ』7話の神回を思い出して笑うし、4曲目の「SUMO」ってまさかあの“スモウ”じゃねーよなって調べてみたらやっぱりあの“相撲”で笑った。あと7曲目の”MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T”の後半部分のラップはMEGARYU思い出したし、女性ボーカルをフィーチャーした8曲目の”SIRENS | Z1RENZ”は今作のハイライトで、2018年のBESTラップソングはこれに決まりです。


そんなスモウ!スモウ!とハードコアに叫んでる、自称“Raven Miyagi”またの名を“ブラック・メタル・テロリスト”としても知られるデンゼル・カリーが、今月の19日に初来日公演を果たすのもSW来日の流れで韻を踏めちゃう案件で、もはやSWともケンドリック・ラマーともSadistikともやくしまるえつこともBTSとも韻踏めちゃう“神”みたいな存在なので、このタイミングでの来日はグッドタイミング過ぎる。だからライブめちゃめちゃ行きてぇ。つうか行くかもスモウ!

結論「自称ブラック・メタル・テロリストのデンゼルはメタル」

Sadistik 『Altars』

Artist Sadistik
maxresdefault

Album 『Altars』
a0994083704_10

Tracklist
01. Voodoo Dali
04. Roaches
05. Honeycomb
06. Cotard’s Syndrome
07. Salem Witches
08. Sacrifice
09. Water (feat. Kristoff Krane)
10. Molecules (feat. P.O.S. & Terra Lopez)
12. Silhouettes (feat. Lige Newton)

2017年にSadistikの新譜が出てからもうずっと書きたいと思いながらも、いかんせん“キッカケ”がなくてずっと書けずじまいでいたんだけど、今回その大きな“キッカケ”を与えてくれたBTSにはただただ感謝しかなくて、改めてBTSは2018年を象徴するアイドルだと再確認させられた次第。

BTSの記事にも書いたように、シアトルのメンへラッパーコディ・フォスターSadistikは僕が世界で一番大好きなラッパーであること、BTSのギターの使い方とSadistikのギターの使い方にデジャブを感じたこと、お互いに“ロック”で“オルタナティブ”なヒップ・ホップであること、そして偶然にも互いに“トラップ・ラップ”の影響を色濃く受けていることなど、自分でも驚くくらい両者には共振する部分が多かった。

2000年以降のヒップ・ホップのトレンドとして生まれ、今ではマシュメロをはじめDJ界隈にも影響を与えているトラップ・ラップといえば、カルヴィン・ハリスの新譜にも参加しているトラヴィス・スコットをはじめ、フューチャーヤング・サグが主に知られたラッパーだが、マイアミを代表するラッパーであり、今月の19日に来日公演を控えるデンゼル・カリーが2018年に発表した『タブー』は、個人的にBTSの新譜と並ぶ2018年のBESTアルバムの一つに挙げるほどの傑作だった。

もうずっと前にこの『Altars』を聴いた時、これまでのコディ、少なくとも僕が衝撃を受けた前々作の『亡き父ちゃんにマジ感謝』するアルバムとは全く違うトラックや世界観で初めは戸惑ったけど、色々と調べていくうちに「あゝ、これがトラップなのか!」みたいな気づきがあって、今思えば前作の『Ultraviolet』からトラップっぽいアプローチがあったなと更なる気づきがあって、もっと言えばSadistikフューチャーあたりに影響与えてんじゃねぇか説が自分の中に芽生えるほど、でも直ぐに「さすがにそれはねぇだろ説」に変わって・・・要するに、今回の新譜は前作から続くトラップ・ラップ化が著しく本格化したと解釈すべき作品で、そう考えたら当初の戸惑いも消えてスッキリした。と同時に、やっぱコディスゲーなってなった。

Sadistikのトラップ愛はそれだけにとどまらず、2018年作のEP『Salo Ssessions Ⅱ』でも引き続きトラップ風の曲や、三味線の音や「オニムシャ(鬼武者)」という歌詞やら日本ネタを盛り込んだ“Yokai(妖怪)”と名付けられた曲など、日本の数少ないSadistikファン(俺以外にいるのか?)には色々な意味で楽しめる、まさにEPならではの作品となっている。


これまでのSadistikとはひと味もふた味も違って、それこそ「本場の」って言ったらおかしいけど、それこそ今のアメリカで流行りのラップを聴いてる感あって、メンヘラ系男子が更に内に内に引き篭もったような、よりダーティかつダウナーな緊迫感溢れる地下水のように冷たく裏路地の売人ように危うい空気が支配していて、リード曲の2曲目の”God Complex”と3曲目の”Free Spirits”を筆頭に、終始バッチバチのトラップ・ラップかましながらも、5曲目の”Honeycomb”Sadistikらしい美メロとトラップの絡みがクソ最高だし、8曲目の”Sacrifice”やミネソタのラッパーKristoff Kraneとフィーチャリングした9曲目の”Water”、こちらもミネソタのラッパーP.O.S.とフィーチャリングしたラッパー10曲目の”Molecules”では、過去作でもお馴染みの女性ボーカルが今作のハイライトを飾るに相応しい癒やしのアクセントを残していく。そして、お待ちかねのギターを使ってSadistikならではのオルタナティブな世界観を繰り広げるラストの”Silhouettes”まで、とにかく、こうやって次から次へとラップ/ヒップ・ホップというジャンルの間口を広げてくれるコディにマジ感謝チェケラッチョ。

結論「やくしまるえつことかいうヤベー女最強他はクソムシ」

BTS(防弾少年団) 『Love Yourself 結 'Answer'』

Artist BTS(防弾少年団)
2091845_201706040960201001496523612c

Album 『Love Yourself 結 'Answer'』
31ra+idBfoL._SS500

Tracklist
(CD1)
1. Euphoria
2. Trivia 起 : Just Dance
3. Serendipity
4. DNA
5. Dimple
6. Trivia 承 : Love
7. Her
8. Singularity
10. The Truth Untold (Feat. Steve Aoki)
11. Trivia 轉 : Seesaw
12. Tear
13. Epiphany
14. I'm Fine
15. IDOL
16. Answer : Love Myself

(CD2)
1. Magic Shop
2. Best Of Me
3. Airplane pt.2
4. Go Go
5. Anpanman
6. MIC Drop
7. DNA (Pedal 2 LA Mix)
8. FAKE LOVE (Rocking Vibe Mix)
9. MIC Drop (Steve Aoki Remix)

Mステ出演中止という名の自らで放った爆弾が防弾服を突き破り、背後からはアーミー(Army)からフレンドリーファイアの弾を撃ち込まれるという、そして日本のメディアを皮切りに、イギリスはBBCやガーディアン紙、しいてはユダヤ人権団体まで飛び火した今回の騒動。世はまさに「BTS包囲網」を敷き始めている。この絶体絶命のピンチをBTSはどう乗り越えるのか?

次回『男ハリー、BTSに喝だッ!!』ご期待下さい。

気を取り直して、今や全米スタジアム公演を成功させ、あのピッチフォークからはワン・ダイレクションの正統な後継者として指名されたボーイズグループBTS(防弾少年団)。暴力根絶を訴えた国連でのスピーチも話題を呼んだ彼らが、今この日本でちょっとした炎上案件によってMステ出演が急遽取り止めとなる騒動が起こった。まるでそれが合図であったかのように、昨今著しく急激に冷え込みつつある日韓関係なんだが、でもおいら、なんとなくこうなることは分かっていたので、ここ最近の記事でDreamcatcherTWICE、そして日韓合同ガールズグループのIZ*ONEを取り上げて着々と伏線を立ててきたわけです。で、いわゆる“皮肉大好き芸人”としては各方面に対して俄然ニチャア・・・ってなったりならなかったりする今回の炎上案件、そんなことより津田何某をはじめとしたアーミー擁護派と高須院長をはじめとしたネトウヨ一派の泥沼の攻防はまさに“地獄”としか言いようがない光景で、しかし「ここまで計算通り・・・」とシメシメしてるのはBTSと因縁のある秋元康だけ説・・・!

今回の騒動、個人的な意見を述べるとするなら、確かに、確かに擁護はできない、しかし“理解”することはできるんじゃないの?って。この件を擁護できる人物って、それこそBTSのファンであるArmyしかいない。でも何故そうなったのか?何故その結果に行き着いたのか?を、僕たちは擁護できないなりに理解することはできるんじゃあないの?知ることはできるんじゃあないの?って。それこそ歴史的に見ても当事者である日本人こそ、事の発端となったBTSの行動を世界で最も理解できる立場にいるんじゃあないの?って。なんだろう、何か物事が起こったことに対して、真っ向から否定や肯定をするのではなくて、その物事の“その先”=“未来”にある“真実”に向き合うことの大切さ、並びに“知ること”の大事さが今回の件で最も必要とされている考え方なんじゃないかと思った。その考え方こそ、今を生きる日韓双方の国民が持つべき“未来志向”の考え方なんじゃないかって。これを起点に、お互いにそろそろ一歩先の未来に進むべき時なんじゃあないか?

しっかし、このタイミングでBTSが所属する事務所が謝罪にも近い声明を発表したことで、逆にその回答として日本はBTSを紅白に出さざるを得なくなった。というか、こうなったらもう絶対に出さなきゃいけない、というか今回の騒動の“落とし所”は“そこ”しかないです。この騒動によりBTSが今年2018年の紅白に出場する可能性は途絶えたが、その一方でTWICEは2年連続の紅白出場を決めたのは好材料でもあって、騒動により紅白出場の悪影響が一番懸念された TWICEが無事当確して紅白のK-POP締め出しを回避できたのは本当に良かった(姐さんマジ姐さん)。何故なら、これで来年の紅白にBTSIZ*ONEがKポ枠として出演する可能性、その未来を繋いだわけだから。というわけなんで、NHKは今からスケジュール調整頼むな〜。

結局のところ、僕がこのBTSについて書きたいことはただ一つ。それが「韓国でロックが主流じゃないのは、BTSが韓国音楽史上最もロックだからなんじゃねぇか説」だ。

その説について書く前に、この平成も終わりを告げようとしている時代に、耳にタコができるくらい聞いたのが“ロックは死んだ”というフレーズ、それに対して当事者であるロックバンドが口を揃えて語る言葉が“いま一番ロックしているのはラップ/ヒップホップ”であるということ。僕自身、その言葉を痛感する出来事が数年前に起こった。それこそ、他ならぬシアトルのメンへラッパーSadistikの亡き父へと捧げるアルバムを聴いたときの衝撃ったらなくて、一体ナニが衝撃だったかって、初っ端から「え、ラップにこんなギターリフ入れていいのかよ!?」とか「え、リフだけじゃなくギターソロとかありなん!?」とか、「この曲もはやリンキンパークかよ!?」とか「こんなにトリップホップみたいな女性ボーカル使いまくっていいのかよ!?それもう実質ラップ版マッシブアタックじゃん!」とか、とにかくこれまで自分の中にあった「父ちゃん母ちゃんマジ感謝」みたいな“ラップ”のイメージを根底から覆すような作品で、同時に自分の中にある音楽についての価値観すら変えてしまうほどの衝撃だった。まさにいま一番ロックしているのはラップと。


再び話をBTSに戻して、何を隠そう、本来なら今年の紅白歌合戦で歌うはずだった“FAKE LOVE”を初めて聴いた時、初っ端からBTS一のイケメンVの「春日井サーサー」という空耳とともに、バッキング・ギターのアルペジオとアブストラクトなヒップ・ホップ然としたトラックが、それこそSadistikの曲を聴いた時と全く同じデジャブを感じたのは言うまでもなくて、からのボーカル担当ジンジミンの一気にブチあげるバチクソエモいサビ、そのバッキングで鳴り響くA Perfect Circleビリー・ハワーデル顔負けの空間表現(ATMSフィールド)を発揮するギターのリフレイン、そしてラップ担当でありリーダーのRMジェイホープシュガによる本場の黒人ラップリスペクトなラップとトラップ・ミュージックに精通するオルタナティブなトラックで構成されている。なんだろう、この曲の凄さって、K-POPならではのブチ抜いてくるエモさとUSメインストリームのトレンドであるトラップ・ラップ、そして“ロックは死んだ”時代のギターの居場所を再提示するかのような、つまり“いま一番ロックしているラップ”と自らのアイデンティティである韓国語を駆使したK-POPがクロスオーバーした、もはや”俺の感性”をピンズドで狙って書いた曲なんじゃねえかってくらい、正直ここまで完璧なポップスって少なくとJ-POPには存在しないんじゃねえかくらいの名曲だ(MV版の間奏とかX JAPAN味あってすき)。もはやSadistikの地続きで聴けちゃう最高にロックなヒップホップであり、イントロからサビのバッキングまでギターをフルに使いまくった、まさに“ギターを必要とするポップス”で、この一曲だけでBTSがいかに“ロック”なボーイ・バンドなのかを指し示している。

結局、ロック目線でしか見れないのは許して欲しいのだけど、ともかく今ってポップスの中にあるギターが最もロックな時代なんじゃねえか説あって、この曲でBTSがやってる事ってまさにそれを再認識させる事案でもあって、でもこれが今の時代におけるギターの正しい使い方なんですね。なんだろう、APCの新譜を聴いた時は「これからの時代のギターはプログレの中で生き続ける」と思ったけど、BTSSadistikを聴いたら「これからのギターはポップスおよびラップの中で生き続ける」んだなって。とにかく、過激派Armyのせいで何かと話題になるBTSなんですが、ロック好きから見たBTSはロックバンド以外のナニモノでもなくて、少なくとも日本のクソみたいな邦ロックなんかより全然ロックしてます。

さすがにビルボード1位を取るだけあって、BTSの音楽ってUSメインストリームのポップスを完コピしてるのは散々知られていることだけど、それこそカルヴィン・ハリスマシュメロをはじめとした世界的なDJに追従するメインストリームのポップ・ミュージックの王道、そのド真ん中をブチ抜いている。この世界で、アメリカで今何が流行っているのか?そのトレンドを的確に分析するKポのサーチ力の高さは日本人こそ見習うべき所でもあって、もっともBTSが凄いのは英語で歌ってアメリカ進出に失敗した宇多田ヒカルと違って、BTSとして唯一のオリジナリティであり韓国人としてのアイデンティティである韓国語で世界に打って出て見事に成功しているところだ。おいら、人が持つ最大のアイデンティティって血や遺伝子(DNA)ではなくて、その人が話す言語/言葉こそ人の最たるアイデンティティだと思っていて、このBTSは韓国語を自らのアイデンティティとして、歌詞の内容も今の鬱屈した韓国社会で抑圧された若者の想いを代弁し、韓国国内はもとより世界中の若者から共感を得ている。

さっきも少し書いたけど、BTSの音楽ってR &Bやダンスポップをルーツの一つとしていて、その中でもトラップ・ラップはBTSの音楽には欠かせない要素としてあって、例えば“FAKE LOVE”で聴けるジェイホープのラップなんかはほぼほぼトラップ界でお馴染みのヤング・サグをリスペクトしてて、実はSadistikもここ最近のアルバムでトラップ・ラップらしきことやってて、それこそトラップ界の重鎮トラヴィス・スコットは言わずもがな、フューチャーや2019年に来日公演を控えているマイアミの新星デンゼル・カリーを経由してBTSSadistikを共振させる俺すごい。そういった意味でも、このBTSのアルバムほど(トラヴィス・スコットフューチャーが参加した)カルヴィン・ハリスの昨年の新譜とここまで韻が踏める“新時代のポップス”を称するに相応しいアルバムって他にないと思う。事実、BTSは“IDOL”という曲で女性ラッパーニッキー・ミナージュとコラボしている。ちなみに、今作のディスク2に“アンパンマン”とかいう「アンパンマーーン!!」って歌う曲があって、そのネタっぽい曲でもトラップやっててこいつらマジサイコーw

じゃあ、じゃあJ-POPでトラップっぽいことやったのって誰かおる?って思い返してみたらおった。おいら、相対性理論『天声ジングル』って“やくりまるえつこなりのヒップホップ”だと思ってやまなくて、そのアルバムって相対性理論史上最高にJ-POP感があったのだけど、実はそのアルバムに収録された“弁天様はスピリチュア”とかいう曲でトラップっぽいことやってて、しかも“FLASHBACK”とかいう曲のトラックもほぼほぼヒップホップ以外のナニモノでもなくて、こうやって半ば強引にBTSSadistik相対性理論を共振させる俺すごいとか思いながら、こんなところにも顔を出してくる今の相対性理論って相当すごいなって。まあ、単にやくしまるえつこ“いま一番ロックしているのはラップ”ってのを知ってる人なんだろうね。


BTSミッキー・ミナージュだけに止まらず、日系人DJとして世界的に名を馳せるスティーヴ・アオキともコラボしていて、おいら、実は東京五輪が決まって開会式に誰を出すべきかの問いの答えがスティーヴ・アオキで、なぜスティーヴ・アオキなのか?ってのはNetflixのドキュメンタリーを見ればわかるはずなのに、椎名林檎をはじめとした五輪関係者からはスティーヴ・アオキの“ス”の字も出てこなくてダメだこりゃってなった記憶がある。あっ、椎名林檎も所詮はネトウヨおばさんでしかないんだなって。なんだろう、とりあえずアオキ出しときゃ五輪の開会式は成功するし、逆にアオキ出さなきゃ開会式は失敗するレベルのキーマンだと思ってる人物で、そんなアオキとコラボするBTSってやっぱ“わかってる”なって。そもそも曲タイトルに”FAKE””LOVE””Truth”という2018年を司るキーワードを使ってる時点で信頼しかない。そもそも阪神タイガース贔屓な時点で推せる。

アーミーのお陰で色々と話題に欠かさないBTSだけど、結局のところ“曲がいい”に尽きるわけです。そもそも一曲目のEuphoriaからギターの音で始まってるのが全てで、幕開けに相応しいソフト目なEDMのアプローチとジンジョングクのエモいコーラス・ワーク、そして隙あらばトラップの顔を覗かせるDJ界隈直径のメインストリームド真ん中のポップスブチ抜きソングで、この曲聴いてちょっと思ったのは、WACKのEMPiREはこの曲みたいなソフトEDM路線に行った方が売れるなって思ったけど、肝心の渡辺と松隈のサゲチンコンビはそのことに全く気づいていないという悪夢(エンパぜってー売れねえ)。

一転して今度はR&B調の中でジェイホープRMのラップが光るダンス・ポップチューンの#2”Trivia 起 : Just Dance”、アコギを中心にキーボードやシンセの美メロをフィーチャーしたジミンのソロバラード曲の#3”Serendipity”、再び北風小僧の寒太郎的な颯爽としたアレンジが印象的なアッパーDJ系の#4”DNA”、いわゆる「K-POP、チャーチズ好きすぎ問題」をここでも再認させるエレクトロ・ポップチューンの#5”Dimple”、大々的にトラップ・ラップをフィーチャーした#6”Trivia 承 : Love”、ベースと鍵盤が織りなすジャズい雰囲気がオシャンティなVのソロバラード曲の#8”Singularity”スティーヴ・アオキをフィーチャリングしたラブバラードの#10”The Truth Untold”、女性ボーカルや90sのemoっぽい西海岸系のギターが最高にオシャいシュガのソロ曲の#11”Trivia 轉 : Seesaw”、ラップ面の三人が本場のヒップホップに追従するバッキバキのラップを吐き散らす#12”Tear”BTSにしては珍しく韓国ドラマの主題歌に起用されてそうなストリングスをフィーチャーした歌謡曲でジンのソロ曲の#13”Epiphany”、再びトラップ・ラップ的かつエレクトロ・ポップ的な#14”I'm Fine”、今や”IDOL”といえばBiSではなくBTSに取って代わられた感のある、ニッキー・ミナージュとのコラボでもお馴染みの#15”IDOL”、未来へ向かって前向きな希望に満ち溢れた#16”Answer : Love Myself”まで、決して”ただのポップス”に陥らない豊富なアレンジと、ボーイズグループのトップに相応しい各メンバーの圧倒的なスキルとポテンシャルによってもたらされた楽曲陣は、あらゆる意味で2018年を象徴する、ここまでギターの使い方を知ってるポップスは他にないってくらい文句なしの名盤です。何度も言うけど、これで来年の紅白でBTS”FAKE LOVE”歌ってるとこ観ながら俺すごいしたいのでNHKさんヨロシクです。ちなみに、ディスク2に収録されている“DNA”“FAKE LOVE”のロックMIXも普通にカッコいいです。

つうか、これでDIR EN GREYがアジアツアーの一環で韓国でライブやって”VINUSHKA”演ったら面白いなって。薫くん頼むわ。つうか、オメーらそれくらいやれよって感じw

結論「BTSはメタル」

Sadistik 『Ultraviolet』

Artist Sadistik
Sadistik

Album 『Ultraviolet』
Ultraviolet

Tracklist
01. Cult Leader
02. 1984
03. Chemical Burns
04. Into the Night
05. Cubic Zirconia
06. Orange
07. Nowhere
08. Witching Hour
09. Still Awake
10. Blue Sunshine
11. Death Warrant
12. Gummo
13. The Rabbithole

【ヒップ・ホップ化したCBL】・・・最近ではCunninLynguists『Strange Journey Volume Three 』に参加した事で知られ、昨年のFlowers for My Father2014年度BESTの実質的な一位を飾った、いわゆる”俺の界隈”のヒップ・ホップ枠を担当するラッパーコディ・フォスターが指揮するSadistikの新作『Ultraviolet』が早くもリリースされた。コディの亡き父に捧げる作品であり、同郷であるシアトルの重鎮Blue Sky Black Deathをプロデューサーに迎えて制作された昨年の『Flowers for My Father』といえば→Trespassers WilliamのボーカリストAnna-Lynne Williamsのソロ・プロジェクトLotte KestnerYes Alexanderらの癒し系女性ボーカルをフューチャーした、ヒップ・ホップ界隈にもこんな音楽があるのか!と衝撃を受けるくらい、まさしく”キング・オブ・アトモスフェリック”なATMS系アブストラクト・ヒップ・ホップで、ダディを失ったコディの深い悲しみがリリックに込められた、深い慈悲に満ち溢れたエモーショナルな音世界(レクイエム)を奏でていた。その神秘的かつ耽美な世界観は、さながら”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”の如しフェミニンな香りを漂わせていた。

【シューゲイザー×ヒップ・ホップ】・・・その大成功を収めた傑作『Flowers for My Father』は、”Petrichor””Seven Devils”などのギターをフューチャーしたオルタナティブな側面を垣間みせると同時に、実にロックなヒップ・ホップでもあったが、今作の『Ultraviolet』は前作とは打って変わって過剰な味付けはなく、余計な音が一切ない非常にナチュラルな本格派ヒップ・ホップ作品となっている。それはオープニングを飾る#1Cult Leaderやリードトラックの#21984の至ってシンプルな音使いを聴けば顕著で、シリアスで陰鬱なムードを形成する持ち前のミニマルな音使いをバックに、コディのヤンデレ系ラップが妖しく交錯していく。で、前作でもお馴染みのLotte KestnerとミネソタのラッパーEyedeaをフューチャーした#3”Chemical Burns”は、一聴する限りでは前作の”City in Amber”直系のトリップ・ホップだが、容赦なく畳みかけるEyedeaの高速ラップとロッテの聖なる天使の歌声が織りなす、静と動の狭間で揺れ動くギャップレス・サウンドはもはやプログレッシヴ・メタルと表現していいレベルだ。ちなみに、この曲の歌詞には”Nine Inch Nails”というフレーズがある。続く#4”Into the Night”は、Chelsea Wolfeを彷彿とさせるMolly Deanの神の使い感ほとばしる妖艶なボイスとダイナミックなドラムスが、アトモスフェリックな音響空間の中で神々しく荘厳に響き渡るアンビエント系ヒップ・ポップで、それこそ”ヒップ・ホップ化したCBL”と呼ぶに相応しい神秘的な楽曲だ。次の#5”Cubic Zirconia”では、持ち前のミニマリズムをもって#4と同様に神秘的かつオリエンタルなスポークン・ワードを構築していき、終盤ではロッテとコディによるラップのハモリが聴ける非常にレアなトラックとなっている。そして、前半戦のハイライトを飾るのは→レーベルメイトであり、前作でもお馴染みのシューゲイザーバンドChild Actorを迎えたOrangeで、美しい女性ソプラノボーカルと男性ボーカルによるシューゲ然とした儚くも幻想的な浮遊感および今にも消えてしまいそうな透明感をもって、それこそ山吹色の波紋疾走のように温かくラブリィな多幸感と清らかでエピカルな世界観にチルアウトしていく、もはやSadistik屈指の名曲と言っていいだろう。あらためて、ヒップ・ホップの世界でこんなコッテコテなシューゲイザーやってのけるコディってやっぱスゲーわって再確認した。正直この一曲だけで今年の年間BESTに入れる価値あります。この曲はホントにスゲーです。

【ファッキンオバマッ!ファッキンオサマッ!】・・・後半戦からは→Nacho Picassoとフューチャリングした東南アジア風のオリエンタルな雰囲気を持つ#8”Witching Hour”、前作の”Snow White”ばりの黒人ラッパー風高速ラップを披露する#10”Blue Sunshine”Sticky FingazTech N9neとフューチャリングしたファンキーなイントロから始まる#11”Death Warrant”は、まるで「ファッキンニガーくらいわかるよ馬鹿野郎」と言わんばかりの、GTAシリーズに出てきそうな二人の屈強な黒人ギャングによる本場感あふれるラップと「Die...die...die...」と囁く癒し系白人女性ボイスのギャップが織りなす、まるで洋物ハードコアポルノのフィストファックを見ているかのような光景は”壮絶”の一言で、この極悪なブレイクダウンはもはやプログレッシヴ・デス・メタルと言っていいだろう。この曲、歌詞も現代アメリカに対する強烈な風刺が込められているのがまた凄い。その流れで→前作でもお馴染みのYes Alexanderちゃんとフューチャリングしたエキゾチックな#12”Gummo”Terra lopezとフューチャリングしたラストの”The Rabbithole”は、オープニングからJulianna Barwick的な聖なるボイスとATMSフィールド全開で始まって、インダストリアルな電子音やミニマルなギターを織り交ぜながらリリカルに展開していくオルタナチューン。ここまでの後半は前半の曲と比べると小粒な印象は否めないが、Tech N9neなどの著名ラッパーやYes Alexanderちゃんとのフューチャリング曲の完成度は流石で、その中でも#11のヨ~メ~~~ン?ファッキンニガッ!っぷりったらないし、ラストの#13は前作を踏襲したオルタナ全開の曲で最高にCoolだ。

オレンジレンジ・・・あらためて、前作は天国のダディに捧げる、”生死感”をモチーフにしたコンセプトアルバムなだけあって、メンヘラの過呼吸のように刹那的な焦燥感やシリアスな重い緊張感だったり、ダディに対するコディの張り裂けそうな想いが今にも爆発しそうな作品だった。しかし、この『Ultraviolet』は前作のような胃もたれしそうなほどクドい印象は微塵もなくて、とてもシンプルかつスタイリッシュな作風だ。持ち前のチルいインストゥルメンタルというよりコディのオーガニックなラップを中心に、と同時にミニマル・アンビエント感を押し出した作風となっている。名曲オレンジをはじめとした、前作にはないポジティヴな雰囲気を持った楽曲もあったりするんで、作品としての取っ付き易さは前作より上か。確かに前作ほどの衝撃というのはないが、少なくとも楽曲の質は同等、いや、6曲目のオレンジだけで言えば前作よりも優っていると言っていいかもしれない。音的にもしっかりと差別化されているので、前作にハマった人なら間違いなく楽しめる名作だと。
 
ULTRAVIOLET
ULTRAVIOLET
posted with amazlet at 14.07.17
SADISTIK
FAKE FOUR JAPAN/POETIC DISSENT (2014-07-23)
売り上げランキング: 1,639,145
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: