Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

Hardcore

Soul Glo - Diaspora Problems

Artist Soul Glo
0027892877_10

Album 『Diaspora Problems』
a3168552135_16

Tracklist
01. Gold Chain Punk (whogonbeatmyass?)
02. Coming Correct Is Cheaper
03. Thumbsucker
04. Fucked Up If True
05. Jump!! (Or Get Jumped!!!)((by the future))
06. Driponomics (feat. Mother Maryrose)
07. (Five Years And) My Family
08. The Thangs I Carry (feat. BEARCAT)
09. We Wants Revenge
10. John J (feat. Kathryn Edwards and Zula Wildheart)
11. GODBLESSYALLREALGOOD
12. Spiritual Level Of Gang Shit (feat. McKinley Dixon and Lojii)

フィラデルフィア出身の4人組、Soul Gloの2ndアルバム『Diaspora Problems』の何がヤバスンギるって、カリフォルニアのGulch並に頭のネジが飛んじゃってる系のカオティック/ハードコア・パンクをベースに、RATM直伝のアナーキズムを吐き散らすラップメタルや本作と同じウィル・イップ案件で知られるテキサスのportrayal of guiltに肉薄するスクリーモならではの激情と焦燥、コアさを伴ったバチクソタイトでポストメタリックなヘヴィネスやノイズロックを孕んだ一癖も二癖もあるトリッキーなリフメイクが織りなす目まぐるしい楽曲構成、そしてラテン系らしいサックスやトランペットを擁するスカパンクの要素がエクストリーム合体した、それこそ“エピタフ系の最終兵器”と称すべきオルタナティブな(一種の)トラップメタルを展開している件について。なんだろう、2019年の1stアルバム『The Nigga In Me Is Me』における脳直的なトラップメタルmeetノイズラップを、天才エンジニアことウィル・イップという名の神の手によって著しくブラッシュアップした結果、とんでもない傑作が生まれちゃった感じ。

あくまで1stアルバム由来のアンダーグラウンドなハードコア/パンクを、次世代のエピタフ系を担う存在としてメジャー寄りに正統進化させた#1“Gold Chain Punk (whogonbeatmyass?)”を皮切りに、変則的なリズムとアソビの緩急を効かせた#2“Coming Correct Is Cheaper”、ノイズロックにアプローチしながらグルーヴィかつカオティックに展開していく#4“Fucked Up If True”、本作のリード曲でありコテコテの王道ハードコアパンクながらもデンゼル・カリーの『タブー』ばりの高速ラップを刻む#5“Jump!! (Or Get Jumped!!!)((by the future))”、そしてスカパンクとしての本領を発揮する#3“Thumbsucker”など、アルバム前半は従来のSoul Gloらしいハードコア/パンク路線をウィル・イップ節に裏打ちされたメタリックな質感(プロダクション)の良さをもって現代的にアップデイトさせている。


リード曲における現代ラッパーの面影を匂わせる伏線を回収するかの如し、それこそ本作のヤバさを象徴するフィメールラッパーのMother Maryroseをフィーチャリングした#6“Driponomics”では、いわゆるトラップメタル的なフロウや瞬間的に垣間見せるハイパーポップ的なアレンジまでも日本の4s4kiを想起させると、これまでの混沌とした雰囲気を一旦リセットするオルタナ風のイントロから素っ頓狂なハードコア/パンクに一変する#7“(Five Years And) My Family”、テネシー・ハードコアの有識者とラッパーのZula Wildheartを異種格闘技させた曲で、それこそportrayal of guiltばりの自傷作用をもたらす邪悪スンギる激情ノイズコアの#10“John J”、いわゆる90年代のヌーメタルというかRATM直系のグルーヴィなヘヴィロックを現代的なトラップメタルに昇華させた#11“GODBLESSYALLREALGOOD”、そしてフィラデルフィアのLojiiやリッチモンドのMcKinley Dixonをフィーチャーしたネオソウルなジャズラップと持ち前のスカパンク~ハードコアの全部乗せ、すなわち本作の根幹部にある“ケイオス”を総括するに相応しい#12“Spiritual Level Of Gang Shit”まで、アルバム前半ではハードコア/パンクの要素を強調しているのに対して、アルバム後半では複数のラッパーをフィーチャーしたヒップホップ的な側面を強く打ち出しており、そのSoul Gloを司るアンダーグラウンドなハードコア/パンクと現代的なブラック・ミュージックの二つのアイデンティティがエクストリーミーに交わる瞬間の刹那的なエモさったらない。

ちょっと異質、というか常軌を逸した実験的なハードコアパンクという意味ではThe Armed『ULTRAPOP』を、アングラ系のハードコアな作風からオルタナティブな化けっぷりでは、Turnstile『Glow On』がイメージとしては近いのかもしれない。要するに、ウィル・イップ最強!

SeeYouSpaceCowboy... - The Romance Of Affliction

Artist SeeYouSpaceCowboy
A-5527185-1638320011-3662.png

Album 『The Romance Of Affliction』
a0558194352_16

Tracklist
01. Life As A Soap Opera Plot, 26 Years Running
04. Sharpen What You Can
05. With Arms That Bind And Lips That Lock
06. Losing Sight Of The Exit...
07. ...And My Faded Reflection In Your Eyes
08. Intersecting Storylines To The Same Tragedy
09. Ouroboros As An Overused Metaphor
10. Anything To Take Me Anywhere But Here
11. The Peace In Disillusion
12. Melodrama Between Two Entirely Bored Individuals
13. The Romance Of Affliction

2021年の「Spotifyまとめ」によると「よく聴いた音楽ジャンルランキング」の4位が“メタルコア”とのことで、そんな昨年のメタルコアを語る上で欠かせないアルバムを幾何挙げるとすれば、それは新世代メタルコアのKnocked LooseのEP『A Tear In The Fabric Of Life』とエピタフ系男子ことEvery Time I Die『Radical』という二枚の傑作に他ならない。

このサンディエゴ出身の4人組、(アニメ『カウボーイビバップ』からバンド名を引用した)SeeYouSpaceCowboy...が昨年発表した2ndアルバム『The Romance Of Affliction』も2021年のメタルコアを象徴する一枚であることは確かで、というのも、本作はレーベルメイトでもあるKnocked Looseのギタリスト=アイザックがプロデュースを担当、エンジニアとして一曲目にもボーカルのキースがゲスト参加しているEvery Time I DieThe Human Abstract、そしてニュークリアブラストに引き抜かれたVein改めVein.fmの作品でもお馴染みのウィル・パットニーという黄金コンビを迎えて制作された、まさに昨今激化する新世代メタル(コア)の熾烈な縄張り争いに食い込んでくること必須の、それこそ新世代筆頭株のKnocked Looseと真正面からスクラム組みにきてるエゲツないハードコアを展開している。


彼らの持ち味であり、また彼らが根ざしているLGBTQ.Q.の自由な表現や反レイシズムや反資本主義などの政治的メッセージが込められた、ボーカルのコニー・スガルボッサによるスクリーモ系のアンニュイな歌声と強烈な金切りシャウトを軸とした往年のエモ/ポスト・ハードコアならではのパンク精神溢れるスタイルに、Knocked Loose直伝のイカつい鬼ブレイクダウンとEvery Time I Die譲りのカオティックでマッシーなコアさがカチ込み合う新旧ハイブリッド型のブルータルなハードコアを繰り広げる本作は、まさにその雑な説明文を象徴する#1を皮切りに、男性的なシャウト担当である姉コニーの弟であり元ドラムで現ギタリストのイーサンによる中性的な歌声とベースボーカル担当のタイラー・アレンによるemo(イーモゥ)然とした女性的なハイトーンのトリプルボーカルが性別の垣根を超えて交錯する#3、マッシーがよりマッシーにマスを×るカオティック・ハードコアの#4や#5、メタルコアとしての強度が異常に高すぎるキレまくりな#9、Knocked Looseリスペクトなエゲツないヘヴィネスから途中で素っ頓狂なアホパートに切り替わる#10、ピアノインストの#11で小休止を挟んでからメロディック/ポスト・ハードコア軸の#12、カリフォルニアのポストハードコアIf I Die Firstとコラボした#13まで、まさに第二次メタルコア大戦の開幕を告げるに相応しい傑作です。

Knocked Loose - A Tear In The Fabric Of Life

Artist Knocked Loose
A-4265602-1566882505-5588.jpeg

EP 『A Tear In The Fabric Of Life』
a1285157503_16

Tracklist
01. Where Light Divides The Holler
02. God Knows
03. Forced To Stay
04. Contorted To The Faille
05. Return To Passion
06. Permanent

【ゴジラ+メシュガー=メシュゴジラ】という“10年代メタル王様ランキング”の上位ツートップがシーンに示した、いわゆる“10年代のヘヴィネス”と2020年以降の“20年代のヘヴィネス”を紡ぎ出す後継者としての新世代メタルを代表するコード・オレンジやボストン・ハードコアのvein、そして現にゴジラのツアーサポートとしてフックアップされているケンタッキー州はオールダム出身のKnocked LooseのEP『A Tear In The Fabric Of Life』は、彼らの専売特許であるビートダウン連発のデスウィッシュ系ハードコア・パンク/メタルコア側から、ライバルのveinに負けじとゴジラに代表される10sヘヴィネスの継承者を名乗り出るかのような一枚となっている。


何せ、Every Time I Dieveinの作品でもお馴染みのプロデューサー兼エンジニアのウィル・パットニーお抱えのバンドって時点で色々と察せなくもない立ち位置にいるバンドではあるが、中でも筆頭すべきは精神的な根っこはゴリゴリのハードコアながらも、スラッシュメタル王のスレイヤーの影響下にある殺傷力の高いソリッドなリフやHatebreedのジェイミー・ジャスタもビックリの無慈悲な脳筋ヘヴィネスをはじめ、特に20年代初の作品となるこのEPに限っては、往年のゴジラが生み出した白鯨が引き起こす大津波級のヘヴィネスはもとより、ライバルのvein的なインテリジェンス溢れるマス系のヘヴィネスとEPならではの実験性を垣間見せる、俄然スラッシーかつメタリックな過去イチで“メタル”やってる作風となっており、もはやいつロードランナーに引き抜かれるか状態にある。

出自がボストン・ハードコア系のveinといい、出自がガチデスウィッシュ系のコード・オレンジといい、ゴッリゴリのハードコア文脈から徐々にメタルへシフトしていく一連の動きはこの界隈における既定路線みたいなもんで、ここにきて若手ハードコア界の大本命が新世代メタルと邂逅してきた事に対しては、メタラー的には素直に歓迎したい所存ではある。そんな彼らの“新世代メタル化”を象徴する、まだ“生みの親”であるスラッシュメタル四天王の影響下にあった時代の白鯨を20年代仕様にアップデイトさせたような、Knocked Looseにとってある種の“生みの親”である白鯨への回答としての2“God Knows”は、1stアルバムの“Deadringer”でもお馴染みの急な転調から謎のムード歌謡ブッ込みギミックを踏襲している。ともあれ本作は、間違いなくバンドの底上げとなること必須の作品であり、それすなわちバンドの未来を指し示す、彼らの今後の方向性を暗示するかのような作品でもある。

Gulch 『Impenetrable Cerebral Fortress』

Artist Gulch
A-6501645-1527196732-2409.jpeg

Album 『Impenetrable Cerebral Fortress』
a2405824177_10

Tracklist
01. Impenetrable Cerebral Fortress
02. Cries Of Pleasure, Heavenly Pain
03. Self-Inflicted Mental Terror
04. Lie, Deny, Sanctify
05. Fucking Towards Salvation
06. All Fall Down The Well
07. Shallow Reflective Pools Of Guilt
08. Sin In My Heart

この『はだしのゲン』タッチでピンク色に光り輝くチクビもといアートワークに猛烈な興味を惹かれて、カリフォルニアはサンノゼ出身の5人組、その名もGulchの1stアルバム『Impenetrable Cerebral Fortress』を聴いてみたら、例えるならアンダーグラウンドの裏社会に染まった漆黒の陥没黒チクビを、「ペロペロペロペロペロペロペロペロぺロ」とイジリー岡田ばりの高速ベロ使いで黒乳首からピンクチクビへとビンビンにピン立ちさせて、それと共鳴するかのように今度は自分のナニがギンギンにおっ立った瞬間、ピンク色に染まったチクビを噛みちぎり、チクビの先端から噴水のように吹き出る真っ赤な鮮血を浴びて、イッた顔で微笑みながら「おいひぃ・・・(コリコリ)」とASMRばりの咀嚼音を鳴らすような、そんな最高に“イッちゃってるハードコア”

この手のイッちゃってるハードコアで思い出したのが新世代ボストンハードコアのVeinだった。それもそもはず、彼らGulchはそのVeinTDEPのメンバー擁するハードコアスーパーグループのENDも在籍するレーベルClosed Casket Activitie所属、そしてDeafheavenをはじめとする新世代ハードコア界隈を縁の下から支えてきた気鋭のエンジニアJack Shirley案件という、要するに現代ハードコアの最先端を指し示す役満コンボ。

そんなガワからしてイマドキのハードコアなら、中身も再生した瞬間からほとばしるDeathwish臭というかConvergeや初期のCode Orangeを連想させるカオティックなハードコア/パンクをやってのける。確かに、確かに「コンヴァージの何番煎じやねん、もうそういうのいいから・・・」みたいになりかねないけど、このGulchの凄さって一見ただのDeathwish型ハードコアのフォロワーに見せかけて、鋭いソリッドなヘビネス、クラストコア的なヘビネス、ポストメタル〜スラッジラインの濃厚濃密なヘビネス、それらのバリエーションに富んだメタル資質の高いヘビネスの質量、その塩梅が絶妙なバランス感覚と音作りのセンスが新人離れしている点にある。一見、獰猛で粗雑なアングラ・ハードコアかと思いきや、しっかりとヘビネスに意識を持たせながら“重さ”と“コアさ”に比重をかけたメタリックなハードコア。どう見てもイッちゃってるのに、ただ一点だけ“ヘビネス”においてはVeinに代表される新世代ハードコアと共振する最先端のヘビネスを鳴らしてるのが最高に可愛いピンクコア。

ただでさえイッちゃってる2020年最高のハードコアなのに、UKポストパンク・レジェンド=Siouxsie & The Bansheesの楽曲をカバーしちゃうのも最高にイッちゃってる。

Defeater 『Defeater』

Artist Defeater
0015742575_10

Album 『Defeater』
a0206333202_10

Tracklist
01. The Worst of Fates
02. List & Heel
03. Atheists in Foxholes
05. Desperate
06. All Roads
07. Stale Smoke
08. Dealer / Debtor
09. No Guilt
10. Hourglass
11. No Man Born Evil

久々に2ndアルバムの名曲“Dear Father”を聴いたらディァ゙ファ゙ザァ゙!ディァ゙ファ゙ザァ゙!と顔クシャクシャにして泣き叫びながら胸掻きむしりたくなる衝動に駆られた、そんなマサチューセッツはボストン出身のメロディック・ハードコアバンド=Defeaterの名門エピタフレコードからリリースされた約4年ぶりとなる5thアルバムは、自身のバンド名を掲げた初のセルフタイトル作品。

初っ端からI Won’t Be Coming Back Homeという意味深な歌詞から不穏な幕開けを暗示する#1“The Worst of Fates”からして、仲間たちとバカやって青春時代を謳歌していたあの頃の青春パンクとは一転して重苦しいダークでヘヴィな世界観を繰り広げ、続く#2“List & Heel”では仄暗い水の底から、あるいは陽の当たらない真っ暗闇の独房の片隅で虚しくこだまする助けを呼ぶ悲痛な叫びと堕ちるとこまで堕ちた男の悲壮感が溢れ出す慟哭のメロディが、聴き手のメンタルを“ドン底”へと突き落とすかのような一種の“堕落コア”で、今から9年前の2ndアルバム『Empty Days & Sleepless Nights』の冒頭と今作の冒頭を比較すると同じバンドとは到底思えない変貌っぷりに驚愕した。

この変貌っぷりを例えるなら、人生無敵だったはずの10代のイキリハーコーキッズがある時から道を踏み外して、ギャンブル、ドラッグ、酒に溺れてアラフォー髭面のヤサグレたおっさんになって、人生最後の一発逆転狙いで裏カジノのポーカーに残りの全財産を全ベットするも見事に惨敗して、「もう終わりだぁ!」と人生に絶望して悲観主義者=ペシミストとなったリアルカイジの転落人生を見ているかの如し劇的な変わりよう。なんだろう、ドラッグでハイになった反動で極度の鬱状態に陥ってる感覚。それこそ日本の公営ギャンブルの競馬で例えるなら、つい最近で言うと芝のG1馬が初ダート挑戦で重賞勝利したモズアスコットみたいな感じ(モズアスコットは買えた)(なお相手)。

まず一つ目にフロントマン=デレク・アーシャンボルトの声が汚な過ぎて、初めて聴いた時は本当にボーカル変わったかと思った。初期BMTHオリヴァー・サイクスっぽい典型的なエモ/スクリーモスタイルの歌声だったのが、なんだか酒焼けしてPower Tripライリー・ゲイルみたくなってる。この辺も悲観主義者のオッサンが主役の“堕落コア”に合わせて“あえて”喉を潰したのか、それともリアルに堕落した生活を送った「ありのままの姿」なのかは不明。

二つ目は、その冒頭の冒頭から体の軋みや歪みを体現するかのような歪んだギター、それこそ在りし日のKEN modeを彷彿とさせるノイズロックばりに低音効かせまくりの骨太なベースライン、それらの「とにかく汚い音の変化」を象徴する、冒頭からザラついたギターを乗せて猪突猛進するBlack Breathばりのクラストパンクの#3“Atheists in Foxholes”、筆頭すべき今作のパンチラインとなる#5“Desperate”は、レジェンドEarthTrue Widowなどのストーナー/サイケならではの泥臭いダーティさと、Cult of Lunaをはじめとする轟音系ポストメタル/スロウコアの内省的なダウナーさが共存した、要するにバンドのローなテンションや音の感度がドゥームやスラッジあるいはクラストのそれで、まるで年を重ねるにつれて高域が聞き取りづらくなるという医学的な根拠を身をもって証明するかのように、年齢と反比例するかの如く音の腰は低い重心を保ち、中年のおっさんが聞き取りやすい低域重視のサウンド・スタイルに変化している。そう言った意味でも、俄然それらのアンダーグランド・メタル界隈に精通するヘヴィでダークならぬ“ダート”な音作りで、(初期の頃からメタリックな側面はあったし、だからこそ気に入ったバンドなんだけど)同時にメロディの作りがメロコアよりもメタル寄りの点でも俄然メタリック・ハードコアに近いノリで聴けなくもない。これはどうでもいいけど、#3のアウトロがMastodon『Crack the Skye』っぽくて半ば強引に丼と共振できなくもないw

じゃあ完全にメロコアからメタルになったかと言えばそうでもなくて、息つく暇も与えないノンストップかつギャップレスに曲を繋いでいく流れはメロコアならではの焦燥感を作る演出だし、またそのギャップレスな流れを利用した激情的な曲構成(主に#7〜#8の流れ)や持ち前の胸掻き毟りたくなる衝動的かつ刹那的なメロディは、言うなれば2ndアルバムのハイな高揚感から転換してローな高揚感=静なる激情を誘発する。このメロディの本質的な部分は紛れもなく『Defeater』そのものだし、つまり扇情的かつエピックで激情的なメロディセンスは美メロが悲メロに変わっただけで本質的には何一つ不変。むしろ地べたに這いつくばって泥まみれになりながらも生きながらえる、“底”まで堕ちきったド底辺男の背中が醸し出す哀愁が宿ったメロディは、その辺のヘタなエモよりもエモい「本物のエモ」である。

そして、今作が何故セルフタイトルを掲げているのか?その意味を知ることとなるのがラストの#11“No Man Born Evil”で、まるで失った青春を取り戻すかのように、真っ暗闇の道に希望という名の光が差し込んでくるかのようなカタルシス全開のラストは、それこそ全世界の悲観主義者=ペシミストに贈るレクイエムだ。つい衝動的に胸掻き毟りたくなって胸掻きむしったら中年オジサンのモジャモジャの胸毛を掻きむしっていた気分だ。ハッ、この毟り取った胸毛が「エモさ」の代償なのか・・・?

ちょっと待って、めちゃめちゃ完成度高いやんと。これ普通に傑作やんと。これヘタしたら2ndアルバム超えてますやんと。それもそのはず、今作の共同プロデューサーにはNothingの2ndアルバムやLa Disputeでもお馴染みの、この手のエモ/スクリーモ界隈で知らない人はいない信頼と安心のウィル・イップってんだから納得(ちなみにマスタリングはSterling Sound)。しかしながら【エピタフ× Will Yip】とか、競馬で例えるならこの【血統×調教師】コンビは「買い」と言ってるようなもんです。しかし改めて、あの2ndアルバム以降全く冴えなかった終わったバンドを完全復活させるウィル・イップってやっぱ天才だと思うし、この復活作でセルフタイトルを冠する意味を考えたらエモ過ぎて泣ける。
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: