Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

80年代リバイバル

Vaura 『Sables』

Artist Vaura
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Album 『Sables』
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Tracklist

01. Espionage
02. Zwischen
05. No Guardians
06. Eidolon
08. Sables

Kayo Dotの中心人物であるトビー・ドライバーGorgutsのメンバーで構成された4人組のプチスーパーバンド=Vauraの新作なんですけど、その前に・・・かのProfound Loreからリリースされた2013年作の2ndアルバムい』もとい『The Missing』といえば、粗暴なブラストビートや荒涼感溢れるトレモロ・リフをはじめ、ギターやドラムのノイジーに歪んだ音使いは明らかにポスト・ブラックメタルに基づいたスタイルで、言うなれば80年代に一世を風靡したインダストリアル/ニューウェーブ/ポストパンクのナルシスティックな耽美性とブラック・メタルの自虐性を邂逅させた、例えるなら“V系ポスト・ブラック”とでも言うのか、とにかくいい意味でB級感に溢れたオタク丸出しのポストブラであり、同時にポストブラの可能性を広げた知る人ぞ知るメェニアな一枚でもあった。

そのブラック・メタル界の金字塔とも呼べる前作のから約6年ぶりの3rdアルバム『Sables』、まずリリースに先駆けて先行公開された“The Ruins”を聴いて一同驚愕。前作まではあくまでも影響下にある程度だったデペッシュ・モードキュアー、そしてキリング・ジョークに代表されるニューウェーブ/ポストパンクへの“80s愛”が遂に本格化した、いわゆる“80年代リバイバル”に振り切ったアンニュイなサウンド、つまりPorcupine Treeスティーヴン・ウィルソンRiversideマリウスくんの“青春”であり、彼らの音楽にも強い影響を与えたUKロック全盛期のソレで、もはやメタルは元よりブラック・メタルの要素は皆無に等しい。つい最近では、キリング・ジョーク“ユース”がエンジニアとして参加したUlevr『ユリウス・カエサルの暗殺』が似たような“80年代リバイバル”をやってのけたことで話題を呼んだ。

そして、もう一つ。前作と比較して180度違うのがサウンド・プロダクションだ。いわゆるBlackgaze然としたノイジーな荒涼感を粗暴に撒き散らすような、童貞オタクメタラーみたいなモッコリしたサウンド・プロダクションだった前作に対し、一転して今作では80sのスッキリクッキリとしたクリーンなプロダクションに変化していて、このプロダクションの良さも今回の80年代愛へのガチっぷりに一段と拍車をかけている。また、前作とは違った方向に持ち前のナルシズムを発揮していて、細部まで徹底したリバイバリズムはもちろんのこと、そのリバイバルの域を超えたガチっぷりからも前作とは別物と捉えた方がいい。地味に完成度は前作以上かも。

特にギターの耽美で妖艶なソロワークや間奏部を聴けばわかるように、それこそSWソロRiverside=マリウスくんの80年代愛が色濃く反映された『Love, Fear And The Time Machine』など、その手のモダンなネオ・プログレ界隈にも精通するポスト・ロック的なアプローチも随所で垣間見せたり、一方でトビー・ドライバーのベースも全編に渡ってKayo Dot譲りのジャズい幽玄なフレーズを奏でたり、一概に“リバイバル”と言っても決して侮るなかれ、兎にも角にも今回はギターがめちゃくちゃイイ仕事してる。中でもポストパンク・リバイバル上等のリード曲である#3や#4、イントロからシンセの美メロに酔いしれるPost-系の#5やアルペジオを擁したエロ過ぎる#6、そしてインダストリアル風味の#7など、DIR EN GREYDIEsukekiyoメンバーが好きそうな『はぐれ刑事純情派』風の純情な感情なメロディの宝庫で、その流れで最後に今作を一言でザックリと例えると“海外版sukekiyo”っぽい(ザックリしすぎ)。

Death of Lovers 『The Acrobat』

Artist Death of Lovers
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Album 『The Acrobat』
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Tracklist
2. Here Lies
3. Ursula
4. The Lowly People
5. Perfect History
6. Quai d’ Orsay
7. Divine Song

最近、Netflixオリジナルの『13の理由』『ストレンジャー・シングス』あたりの海外ドラマを見てて改めて思うのは、「今って本当に80年代リバイバルの真っ最中なんだな」っつー事で、特に2017年はそのドラマ界隈や音楽界隈を中心に「80年代リバイバル」を強く感じさせた年でもあって、その「80年代リバイバル」のムーブメントを象徴する作品の一つとして、スティーヴン・ウィルソン『To the Bone』があって、このアルバムには2016年公開されたジョン・カーニー監督の映画『シング・ストリート 未来へのうた』の影響があったんじゃないかと邪推するほど、「80年代愛」に溢れたアルバムだった。

その「80年代」を舞台にした青春音楽映画をはじめ、先述した『ストレンジャー・シングス』『スタンド・バイ・ミー』『未知との遭遇』などの「80年代」を代表する名作映画をオマージュした海外ドラマで、現代の社会問題であるイジメと自殺をテーマに深く切り込んだ『13の理由』では、インターネット時代~SNS全盛の「イマ」を舞台にThe CureJoy Divisionの音楽をはじめ、そしてカセットテープやラジカセなどの「80年代」を象徴するガジェットをキモの演出として盛り込んでいた。ちなみに、日本で2016年に公開されたアレックス・ガーランド監督のSF映画『エクス・マキナ』では、いわゆるポストパンク・リバイバルの最右翼とされるロンドンの4人組、Savagesの楽曲が使用されている。

音楽界隈、いわゆる「俺の界隈」の中で遡れば、2015年にはRiversideがフロントマンのマリウスきゅんの青春であり音楽的なルーツでもある80年代のUKミュージックにインスパイアされたアルバム『Love, Fear and the Time Machine』を皮切りに、2016年にはAlcest『Kodama』という、フロントマンのネージュキュアーコクトー・ツインズからの影響を公言する80年代リバイバル作品を出したかと思えば、2017年の上半期にはUlver『The Assassination of Julius Caesar』というキリング・ジョーク(のヨークがミキシング)やデペッシュモードなどの「80年代」を象徴するニューウェーブ/ポスト・パンク愛に溢れた作風でリスナーのド肝を抜いた。その「俺の界隈」における「80年代リバイバル」の極めつきが、他ならぬスティーヴン・ウィルソン『To the Bone』だったのは今さら言うまでもない。そして、それらの偉大なリバイバル作品の影に隠れて、アメリカのフィラデルフィアでも密かに80年代リバイバルのビッグウェーブに乗っかったバンドが存在する。それがこのDeath of Loversだ。

先日発表された、キュアーのフロントマンであるロバート・スミスが主宰するMeltdown festivalのラインナップに、NINデブ豚マイブラモグワイなどのそうそうたるメンツと一緒に、Alcestと日本からはMONOが名を連ねているのを見て正直ちょっと感動したというか、いかにキュアーというバンドがジャンルや世代を超えて現代の音楽に今なお根強い影響を与え続けているのか、そのレジェンドたらしめるバンドの「格」を改めて再確認させる。

このDeath Of Loversといえば、ex-Deafheavenのギタリストニック・バセットくんが「デフヘヴン包囲網」の一環として、フィラデルフィア出身のNothingのメンバーと共に2013年に立ち上げたバンドの一つで、もはや「ピッチフォーク芸人」と化した今のデフヘヴンに対抗できる秘密兵器と呼ばれる彼らが、満を持して1stフルアルバムの『The Acrobat』をリリースした。


WhirrNothingが「90年代リバイバル」の音楽だとするなら、このDeath of Loversはまさに「80年代リバイバル」の音楽だ。2014年にDeathwishから発表したデビューEP『Buried Under a World of Roses』は、それこそ「80年代リバイバル」を冠したキュアー直系のポスト・パンクで、そのSavagesに匹敵する「ポストパンク・リバイバル」に出自であるシューゲイザー流れのリヴァーブ/アトモスフィアを同居させていた。今作の『The Acrobat』では、1曲目の”Orphans Of The Smog”こそEPの延長線上にある教科書通りのポスト・パンクだが、しかし2曲目の”Here Lies”では一転してピコピコしたエレクトロ方面へのアプローチを強め、3曲目の”Ursula”や5曲目の”Perfect History”でも依然としてデペッシュモードキリング・ジョークを連想させるシンセ・ポップで、つまり今作はUlverが同年作の『The Assassination of Julius Caesar』で実現させた「80年代リバイバル」と全く同じ案件と言っていい。そして、EPより俄然モダンで洗練されたスタイルへと変化しており、もはやこのリバイバルの流れはヤメラレナイトマラナイ。



今作の中でもリバイバル感が特に際立っているのがリード曲でアルバムの最後を飾る”The Absolute”で、まさに80年代のポストパンク・ムーブメントのド真ん中にいるようなビートを刻みながら、サックスを取り入れたニューロマンティックなサウンドスタイルは、往年の80sバンドと一線を画したアプローチで独自のオリジナリティを確立している。
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