Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2021年度BEST

Turnstile - Glow On

Artist Turnstile
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Album 『Glow On』
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Tracklist
01. Mystery
03. Don't Play
04. Underwater Boi
05. Holiday
06. Humanoid / Shake It Up
07. Endless
08. Fly Again
09. Alien Love Call
10. Wild Wrld
11. Dance-Off
12. New Heart Design
14. No Surprise
15. Lonely Dezires

ロードランナーの秘蔵っ子ことメリーランドはボルチモア出身の5人組、Turnstileが昨年リリースした3thアルバム『Glow On』がめちゃんこヤバい。ハードコア/パンクを根っこのルーツに持ちながらも、ソリッドでエッジーなリフを中心に、カウベルやクラップ、ハイハットやパーカッションの細部にまで“こだわり”を感じさせるユーモラスなアレンジ、その「ユニークでありながらキャッチーでエッジーなオルタナティブ・ロック」って、それこそ「10年前の自分が好んでよく聴いていた奴じゃん」と少しノスタルジックな気持ちにさせる、爽快感溢れるメロディック・ハード(コア)ロック・サウンドを展開している件について。

まるで相対性理論ばりにメルヘンチックなシンセが鳴り響くイントロから、それこそ『宇宙人ポール』みたいなコメディ&SF映画を彷彿とさせる、例えるなら宇宙人転生系のラノベで可愛い宇宙人が空から舞い降りてくるシーンの効果音みたいな雰囲気で始まる#1“Mystery”からして、ドライブ感溢れるエネルギッシュかつハードロック的なリフや過去作には見受けられなかったギターソロが織りなすオルタナティブなポスト・ハードコア然とした、少なからずオールドスクール寄りだった過去作とは一線を画すような曲となっている。

1stアルバム『Nonstop Feeling』の系譜にあるハードコアならではの強靭なリフとヘヴィなブレイクダウンを交えながらダイナミックに展開する、ハイハットやパーカッションをはじめカウベルみたいなユニークなアレンジが光る#2“Blackout”、クラップやパーカッションを交えたポップなピアノの旋律と身体を突き動かすパンクビートを刻むエッジーで破天荒なリフが織りなすテンションアゲアゲなロックンロールの#3“Don't Play”、メンフィスのSSWジュリアン・ベイカーをコーラスに迎えた、90年代のオルタナを象徴するシューゲイザー/ドリーム・ポップの影響下にあるリヴァーブを効かせた曲で、ほのかにジュンスカ味というかAOR的なノスタルジーを漂わせる#4“Underwater Boi”、冒頭のド直球のパンクスからの転調パートが鬼カッコいい#6“Humanoid / Shake It Up”、UKのSSWブラッド・オレンジがコーラスで参加した#7“Endless”、デンマークのVolbeatばりにダークでメタリックなリフやメタル然としたソロワークまでもメタルメタルしてる#8“Fly Again”、再びブラッド・オレンジをスポークン・ワードとしてフィーチャリングした曲で、そして再び『宇宙人ポール』とのアブダクションを試みるかのような90年代のUKドリーム・ポップ然とした#9“Alien Love Call”、クラップに釣られてついついジャンピングモッシュしたくなる#10“Wild Wrld”、90年代から一転して今度は80年代のニューロマンティック/ポストパンク的なヘアメイクを施した#12“New Heart Design”、出自の根っこにあるハードコア・パンクに直結したサウンドとヒップホップ的なアウトロのギャップがセンスしかない#13“T.L.C.”、三度ブラッド・オレンジをメインボーカルに添えた#15“Lonely Dezires”まで、まるでおとぎ話のようなポップネスとハード(コア)の絶妙なバランス、メタル耳からしても魅力しかないエッジを効かせたリズミカルなリフの数々とエゲツないオルタナティブなアレンジセンス、そして素直に聴いてて楽しい爽快感溢れるロックンロールのキャッチーさを兼ね備えた名盤ここにあり。

それもそのはず、前作の『Time & Space』は界隈の重鎮ウィル・イップがプロデュースを担当、そして今をときめくアーサー・リザークがレコーディングに携わったド直球のハードコア/パンク作品だったのに対し、本作の『Glow On』ではエミネムやアヴリルの作品でもお馴染みのプロデューサーことマイク・エリゾンドを迎えた影響か、コアとなる音のベースはそのままに、オルタナ化およびメタル化が著しく進行した、すなわちオルタナティブ・ヘヴィとしての素質が開花した(ゲストのジュリアン・ベイカーやブラッド・オレンジの存在も含めて)メジャー感マシマシの大衆性に富んだロックンロールとして大化けしている。2021年の鬼マストアイテム。

Album of The Year 2021

13位 スティーブン・ウィルソン 『ザー・フューチャー・バイツ』
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ソロ6作目となる本作リリース後に本家Porcupine Treeの復活を宣言したことが全てで、わかりやすく端的に言ってしまえば、2009年のPT活動休止前最後の賛否両論作『The Incident』がSWソロにおけるこの『ザー・フューチャー・バイツ』というわけ。逆に言えば、音楽的にもコンセプト的にもソロとして描きたいことは全て描ききったって事なんだと思う。自身でインターネットコミュニティが存在しなければ自分の音楽キャリアは既に終わっていたと語るだけあって、SWはその辺の(評判に対する)見極めが本当にうまいね。とにかく、2021年に起こった出来事の伏線が本作のコンセプトみたいな所あって、というのもシングルのMVにディープフェイクとして登場するFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグが社名をMeta(メタバース)に変更したり、アマゾン元CEOのジェフ・ベゾスや前澤友作が宇宙旅行というコロナ禍で拍車のかかった格差社会を象徴する“金持ちの道楽”を見せつけたり、任天堂が有機ELモデルのスイッチを発表したり、日本を含む世界中で火山の噴火が活発化すると同時に富士山噴火の危機感を煽る陰毛論者が活発化したり、SDGsのハンパないゴリ押し、そして一部の曲で引用しているカニエ・ウェストがイェに改名したりと、本作は一種の未来予測的な作品となっていたのも事実。そんな2021年を象徴する一枚として、内容云々よりも今年の年間BESTのドンケツを飾るに相応しいという理由でのランクイン(これ以上は順位で察してとしか言えない)。ともあれ、来たるべき2022年に完全復活を予定しているPTが一足先にFソニーUK(Music For Nations)から発表したシングルの“Harridan”は、黒歴史もとい賛否両論の問題作となった『The Incident』ではなく、一作前の『Fear Of A Blank Planet』を彷彿とさせる作りで、恐らく来年リリースされるであろうアルバムが今から待ち遠しいし、その暁には2018年に行われたSWソロの奇跡の来日公演以来となる、そして伝説のウドーフェス以来?となる本家PTでの来日公演を期待したい(ドラムのギャヴィン・ハリソンは先日のキンクリで一足先に来日してるけど)。しかし、未だにこれが今年の作品なのが信じられないというか、もう遠い昔のような気がする。

12位 Deafheaven 『Infinite Granite』
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本作をレビューする前に前作の『普通の堕落した人間の愛』の(当時のままストップしていた)レビューを書き終わらなきゃで、やっとのことでその記事を完成させた後にTEAM-ABCの一員である某ノクティス王子が『普通の堕落した人間の愛』すなわち『不倫』をやらかしたという文春砲をブチ込まれたかと思えば、満を持して本作のレビュー記事をアップした直後に本作の鍵を握る「浜辺に寄せて返す美しい波」こと女優の浜辺美波が文春砲をブチ込まれてから、その直後に本作におけるもう一つの鍵を握る『シン・エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が手がける『シン・仮面ライダー』のヒロインとして浜辺美波が抜擢されたと聞いた時は、流石にSWもビックリの未来予測感あって笑った。でもOLDCODEXの解散は「シャレにならない、もう笑えない」し、同じTEAM-ABC男子部の立場からアドバイスするなら、ノクティス王子は硬派ゲーことFANZA版ラスオリのロボット役から人生やり直せばいいと思うよ。そのノクティス王子繋がりで例えるなら、少なくとも前作の『不倫』までは「私はFF14を続けるよ!」ならぬ「私はブラックゲイズを続けるよ!」を貫いてきたが、本作ではついにその牙城が崩れ去った。しかし、本作におけるUKロックおよびシューゲイザー化の伏線として、パワハラやらかし芸人こと伊集院光の深夜ラジオで日本のシューゲイザーバンドFor Tracy Hydeの曲が流れたのはちょっとした引力というか、ある種の未来予知だったのかもしれない。本作もSWの新譜と同様に賛否両論あるかもしれないが、少なからず個人的な今年の「Spotifyまとめ」の音楽ジャンルランキング2位にブラックゲイズが支持された大きな要因の一つである事には変わりない。

11位 For Tracy Hyde 『Ethernity』
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前途したように、今年の初めに伊集院パワハラ光の深夜ラジオから流れてきた時に「シューゲイザー化したYUKIじゃん」と思ってビビッときたバンドの一つ。そして、Deafheavenの『不倫』における西海岸と中西部のemo(イーモゥ)を紡ぎ出すロードムービー要素と、『Infinite Granite』におけるシューゲイザー/ドリーム・ポップ路線をつなぎ合わせる中間地点がフォトハイであり本作だった。もはや日本でツーマンしても全然おかしくないくらい、とにかく近作におけるDFHVNとのシンクロ率が異常で、往年のJ-POPを経由したフックに富んだキャッチーでノスタルジックなメロディとシューゲ/ドリーム・ポップあるいはインディフォークなどの様々なスタイルが調和したフォトハイ流のギターロックは、インディーズの青春ロードムービーさながらの物語を映し出す。また、作中にオバマ前大統領の演説をサンプリングしてるのもSWの新譜と共振してて面白い。

10位 CVLTE 『HEDONIST』
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今年のBMTH枠。正直、今年に入ってBMTHがシングルとしてポスト・マローンをオマージュした“DiE4u”をリリースした意図が全く読めなかったんだけど、先日リリースされた同曲のハイパーポップ風リミックスを耳にしたら、『amo』はもとより昨年末のEP『Post Human: Survival Horror』に始まりK-POPのaespaを経由してCVLTEの本EPまで一直線に繋がった瞬間、全てに納得した。要するに「最近のBMTHってハイパーポップ路線だったのか」と。本作の何がすごいって、一言で例えるなら「K-POP化したFuneral For A Friend」でありながらも、新世代メタルのコード・オレンジ・キッズが産み落とした日本の新世代ラウドシーンを代表するペことPaleduskをフィーチャリングする事で、ハイパーポップ化した近年のBMTHと直接的ではなく間接的に繋がるしたたかな頭の良さ、この一点に尽きる。そして、本作でフィーチャリングしている日本のハイパーポップ界におけるシャイニングスターである4s4kiは、(今年のフジロックで初めて観たけど)日本のアーティストで唯一BMTHとコラボできる存在だと確信させた。

9位 Mastodon 『Hushed and Grim』
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今年の俺感読者なんじゃねぇか説。というのも、昨年にDeftonesが発表した『Ohms』がヘヴィミュージックシーンに提示した“20年代のヘヴィネス”に対するドンからの回答が本作。その伊集院パワハラ光もといDeftonesとHum、そして盟友のBaronessが提示したオルタナティブな現代ポストメタルをはじめ、SWソロ等の対外的な要素で成り立った一枚。

8位 Every Time I Die 『Radical』
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曲がいい。

7位 ZillaKami 『DOG BOY』
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もう一つのBMTH枠。というのも、BMTHのフロントマンであるオリヴァー・サイクスがロシアの国民的音楽ユニットのIC3PEAKとのコラボ曲を発表したのは、BMTHのハイパーポップ化の流れを汲んだ動きなのは理解できたけど、まさか既に、というか昨年にトラップメタル界の二大巨頭であるジラとGhostmaneがIC3PEAKとコラボしてるなんて思ってもみなかったから、それを知った時は素で「嘘だろ・・・そこに直結する案件なのかよ」ってなった。ジラが敬愛するコリィ・テイラーのアナウンスから始まる本作は、Nirvanaに代表される90年代のオルタナ/グランジ、そして90年代後半に一世を風靡したKornやDeftonesに代表されるヌーメタルの解釈を通したエモラップならぬエモロックの傑作で、もはやラップそっちのけでカート・コバーンやコリィリスペクトに溢れたボーカルワークは愛しかない。紛れもなく昨年末の『Post Human: Survival Horror』以降のつながりの一部として組み込まれている一枚。完全に同じZ世代であり日本の(sic)boyをワンパンKOしちゃってる。

6位 Ulver 『Hexahedron』
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今年のエヴァ・インフィニティ枠。いわゆるライブ音源って普段なら年間ベストに入れるもんじゃないと思うけど、本作だけは完全に別。2020年に発表された『惡の華』の再構築であり、さしずめUlverフィーチャリング坂本龍一&久石譲&岡田拓郎みたいなインプロ感に溢れたミニマル・ミュージックは、聴いているだけで無限(インフィニティ)にトリップからのマトリックス状態に陥ること請け合いの一枚。

5位 The Armed 『Ultrapop』
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今年の俺的GOTYである『サイバーパンク2077』のサントラにも参加しているバンドならではの「ハイパーポップ!ハ~イ!」ならぬ「ウルトラポップ!ハ~イ!」な一枚。日本のハイパーポップ界を牽引する4s4kiは、それこそ『サイバーパンク2077』にビジュアル的にも音楽的にも適合するアーティストで、自分の中でThe Armedと4s4kiはほぼほぼ同ジャンル扱い。

4位 Parannoul / Asian Glow / sonhos tomam conta
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今年の碇シンジ枠。韓国ソウルとブラジルのサンパウロで活動するブッ壊れローファイメンタル三人衆が碇シンジ級のパリパリATフィールドを互いに中和させて、最終的に3本の槍(ガイウス・カシウス・ロンギヌス)を自分自身に突き刺してメンタル完全崩壊しちゃう傑作。

3位 Parannoul 『To See The Next Part Of The Dream』
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いわゆるぶっ壊れローファイメンタル三人衆のリーダー格が放つ、『新世紀エヴァンゲリオン』や『リリィシュシュのすべて』をはじめとする日本の90年代サブカルチャーの影響下にある新世代シューゲイザーの歴史的ぶっ壊れ名盤。

2位 Ad Nauseam 『Imperative Imperceptible Impulse』
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今年の俺的「Spotifyまとめ」の音楽ジャンルランキング3位の“デスメタル”を象徴する一枚。

1位 東京事変 『音楽』
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あくまで林檎ソロ派で、復活以前の事変は全くと言っていいほど刺さらなかったんだけど、本作は今年の年間ベストにランクインした全13枚の作品を一つに『総合』するに相応しい伊澤っち無双であり、「誰か」や「何か」に代わってドドンパ級にドンピシャのポスト・プログレッシブやってる名盤。事実、この年間ベスト記事も先日リリースした『総合』を聴きながら書いている。しかし、ドンケツとド頭がスティーヴン・ウィルソンと(日本のスティーヴン・ウィルソンである)椎名林檎なのは示唆的というか対比的というか、この二人でランキングの中道(センターライン)を保ってる気がして、とにかく色々な意味であまりにシックリし過ぎて好き。

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最後に年間BEST書いたのっていつだ?って、直ぐに思い出せないくらい久々の年間BESTを今年は何故書けているのか理由を述べると、それは11年間勤めたブラックメタル企業から退職してニートtokyoになったから、それ以上でもそれ以下でもないです。このランキングの選考理由としては、単純に今年を振り返って頭ん中に思い浮かんだ順から上に書いていっただけの雑なランキングでしかないんだけど、トップオブザ・トップを飾る東京事変が先日リリースしたオールタイム・ベストアルバム『総合』的な意味でも、一枚一枚の個人力は低いけど総合力だけは異常に高いAlbum of The Yearみたいな。また、事変や斉藤和義が参加したOriginal Loveのカバーアルバムというシティポップを経由して、今年の年間ベストソングの一つであるDADARAYの“花は買わない”や竹内まりや、そしてYUKIKAからのIUに繋がる感じも好き。

今年の俺的AOTY(Album of The Year)が上記の13枚の作品ならば、今年の俺的GOTY(Game of the Year)は間違いなく『サイバーパンク2077』だ。というのも、ハイパーポップ界の女王であるグライムスや日本のナマコプリ、年間BEST入りしたThe ArmedやデスメタルのTomb Moldなど多種多様な音楽ジャンルを網羅したハイパーポップなサントラをはじめ、『ポストヒューマン』以降にハイパーポップ路線に移行したBMTHを起点にPoppyやDana Dentata等のプレイリスト「Misfits 2.0」勢を経由して、日本の4s4kiやCVLTEまで今年一年の繋がりを示すような神ゲーであり、その音楽的な影響力や諸々の引力を加味したら余裕のGOTYですね。要するに、なぜ人々がPS5やXbox seriesXに飛びつくのかというと、サイパンのような本物のAAAタイトルのゲームを快適にプレイするためであり、決してインディーゲームをプレイするためではないんですね。

それに少し関わる話で、2021年は日本の音楽コンテンツで久々にくっせーコンテンツが登場して話題を呼んだ。それがFソニー案件の「THE FIRST TAKE」である。個人的に、最近のクソつまんねぇ日本の音楽業界には何かが足りないと思ってたんだけど、その回答とばかりに「THE FIRST TAKE」なるコンテンツが出てきて一周回って嬉しくなった。正直、「THE FIRST TAKE」に出てる奴ら全員消えたら日本の音楽偏差値バク上がりするんじゃねぇか説あって(←コラ)、ベセスダ期待の新作『スターフィールド』や『TES6』がプレイできない=負けハードが確定しているPS5を抱えたゲーム業界においても、超弩級にクッサいコンテンツを抱えた音楽業界においても、全てにおいてクソダサいことやってるFソニーは2秒で倒産しろって感じの2021年でした。ともあれ、来年2022年に期待する新作としては、FソニーUKからリリースされるであろうPTの復活作は当然の事ながら、DIR EN GREYの京とラルクのyukihiroを中心に結成されたPetit Brabanconのアルバムに期待したいのと、元ZOCの香椎かてぃが始めたガールズバンドHazeの動向に注目したい。というか、Petit BrabanconとHazeの対バンに期待w

晴れてニートtokyoとなった僕個人の2022年の目標としては、ベーシックインカムすら議論にならない時代遅れの化石国家日本は過去に置いてきたつもりで、暫くというか半年くらいは人ではなくお馬さんから毎月の給料を頂く未来人として生きていきたいと思います(Fソニー煽ったら先日の有馬記念でF4勝ってもうたやん・・・だる)。しかし、ニートになった途端に(少なくとも日本では)コロナ終息しつつあって笑うというか、ニート2秒で早くも世界が俺に労働を強制してきている・・・。そんなエセ未来人である僕が2022年の未来予測をするなら、11年前に仕事を始めた翌年に大きな災害が起こったので、その11年後に仕事を辞めた翌年となる2022年に(僕をトリガーとして)再び大きな災害が起こる予感がするので、日本列島の皆さん気をつけてください!富士山噴火!日本沈没!(←オメーが一番の陰毛論者だよw)

CVLTE - HEDONIST

Artist CVLTE
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EP 『HEDONIST』
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Tracklist
01. amen.
02. eat acid, see god.
03. hedonist.
04. dancing in the rain.
05. kuromi.

『amo』以降のBring Me The Horizonって、いわゆるハイパーポップの文脈で語るべきバンドに突然変異したのかもしれない。というのも、現代のポスト・インターネット~ハイパーポップの原点である伝説のMステバックレロシアンガールことt.A.T.u.、その正統後継者でありイーロン・マスクのパートナーでもあるグライムスとのコラボ曲を皮切りに、次作のEP『POST HUMAN:SURVIVAL HORROR』ではインターネット世代を象徴するアシュニコの代役としか思えなかったロンドンのNova Twinsとのコラボや、ハイパーポップの素養の一つであるLGBTQに代表されるジェンダーの垣根を超越した存在であるヤングブラッドとのコラボ、そして今年リリースした新曲となるポスト・マローンの“I Fall Apart”をオマージュした“DiE4u”、その現代ポップスターを模した同曲をsix impalaの手によりハイパーポップ風にリミックスするBMTHのしたたかさたるや。そして極めつけは現代ロシアの国民的男女ユニットであるIC3PEAKとオリヴァー・サイクスのコラボ、そのDiE4uIC3PEAKにおけるHELL 2 U!みたいなノリで数字の3をEと読ませたり、数字の4を前置詞のforと読ませる置き換え文化もヒップホップやハイパーポップ界隈では常套手段である。ちなみに、そのIC3PEAKがトラップメタル界の猛犬であるZillaKamiGhostmaneの二人とコラボしていると知った時は全てが繋がった気がしたというか、それこそSpotifyのハイパーポップ系プレイリストの「misfits 2.0」の一部としてBMTHが組み込まれているのが全ての答えです。つまりメタルとハイパーポップって一見遠い存在のようでいて、実は一部のシーンではめちゃくちゃ近い音楽ジャンルなんですね。


そのようにして、最近のBMTHおよびオリヴァー・サイクスはハイパーポップやヒップホップにおけるフィーチャリング文化を意識した活動をしている。また、ハイパーポップを語る上で欠かせない国の一つであるロシアのアーティストとのコラボをはじめ、ベセスダゲーこと『DOOM』のサントラを手がけたミック・ゴードンをエンジニアに迎え、小島秀夫ゲーこと『デス・ストランディング』とのコラボ曲を収録したEP『POST HUMAN:SURVIVAL HORROR』において、日本のカワイイメタルを代表するベビメタことBABYMETALとコラボすることで、ゲーム業界におけるハイパーポップを(The Armedやグライムス、日本のナマコプリが参加している)音楽的にもパンキッシュなビジュアル的にも“ポスト・ヒューマン”化した俺的GOTYこと『サイバーパンク2077』のサブカル文脈とシンクロさせる事に成功していた。また、そのベビメタとBMTHをダブルでパクってるボストン娘のPoppyもハイパーポップの文脈で語られるポッピスターである事は、グライムスとのコラボをはじめt.A.T.u.の名曲“All the Things She Said”をカヴァーしている点からも明らかだ。逆に言えば、ベビメタが急激にオワコン化した理由はハイパーポップ路線に移行できなかったこと、この一点に尽きるのかもしれない。

前述したように、昨今のBMTHおよびオリヴァー・サイクスと全く同じ価値観や現代ロックシーンに対する洞察力を持ったバンドがこの日本にも存在する。そのバンドこそ、今年の5月に1stアルバムとなる『praystation 2』を(PS2といい、一部の曲でキンハーの効果音を使ってたりするからケツ持ちはFソニーか?)、そして先日EPの『HEDONIST』をリリースした札幌出身のCVLTEだ。

彼らの音楽性を誤解を恐れずに極端な表現を用いて例えるなら、それは「ゾンビの如く土の中から蘇ってK-POP化したFuneral For A Friend」である。というのも、というのも、というのも、彼らこそ新世代メタルとハイパーポップをシンクロさせる事に世界で唯一成功したバンドなんじゃねぇか説あって、それこそ「セカンドライフとは一体なんだったのか?」みたいなメタバース的な世界観全開のジャケはもとより、そもそも「K-POP化したFuneral For A Friend」って何やねんというツッコミに対し、ハイパーポップならではのジェンダーレスなラップを披露する同郷の次世代ラッパーSleet Mageをフィーチャリングした一曲目の“amen.”を例に出して答えると、(ニートtokyoに出演経験がある時点で一方的にシンパシーを感じる)バンドのフロントマンでありFFAFのマシュー・デイヴィスの歌声にクリソツなAVIELのオートチューンを効かせたBTSばりのフロウを刻むエモラップと、00年代のUKロックというか往年のポストハードコアというかFFAF的な湿り気のあるメロディの作り方、また表題曲である三曲目の“hedonist.”ではイントロからクリーントーンのギターやK-POPのボーイズグループ然としたオートチューン/エモボイスを聴かせるキャッチーなポップチューンで、そして四曲目の“dancing in the rain.”では本家のFFAFとしか思えないような往年のUK69然とした懐かしいメロディが炸裂する。そんな彼らのメロディセンスは、UK新世代メタルのLoatheや今はなきロスプロとも否応にもシン9ロする。


ハイパーポップの影響下にあるK-POPといえば、それこそ自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験するという、いかにもアバターを使った仮想空間=メタバースの世界観をコンセプトにSMエンターテインメントが送り出す次世代グループことaespaがその名をネクストレベルに轟かせているように(僕はウィンター推しと見せかけてジゼル推しのピョンテです)、五曲目の“kuromi.”でフィーチャリングした(グライムスやAlice Glassの影響下にある)日本のハイパーポップ界を牽引する4をA(ア)と読ませる246ッカーこと4s4kiからの影響は本作のジャケにメタ(バース)的に現れており、そしてCVLTEがいかにBMTHレベルの才能を持つバンドであるかを裏付けるのが、それこそ日本の若手ラウドロックシーンを牽引するハイパーポップ野郎と言っても過言じゃあないコード・オレンジ・キッズことPaleduskを(1stアルバムに引き続き)フィーチャリングした#2“eat acid, see god.”における、いわゆる『amo』以降に象徴される“20年代のヘヴィネス”すなわちGojiraから新世代メタルのCode OrangeBMTHに血脈を分かち合った(ダニ・フィルスをフィーチャリングした某曲の)金字塔的なリフ/ヘヴィネスを応用した、要するにCVLTEが持つハイパーポップの側面とPaleduskが持つハイパーポップという名のカオスな側面を『HEDONIST』というメタバース内で配合させるという、ちょっとトンデモナイことやってるんですね。しかし改めて、コード・オレンジ・キッズとして日本に産み落とされたがこの国内の革新的なバンドと一緒に「ハイパーポップ!ハ~イ!」みたいにピョンテごっこしてるのは素直に感慨深いものがある。


この曲のNYのアーティスト=Puppetをフィーチャリングした部分の歌メロをオリヴァー・サイクスに置き換えても俄然シックリくるというか、それこそNova Twinsコラボの逆バージョンとしか思えなかった。もしベビメタの次にBMTHが日本のアーティストとコラボする可能性があるとするなら、それは4s4kiしかいないと確信しているくらい、そんな国内のハイパーポップシーンにおける最先端とラウドシーンにおける最先端を多様性の一つとしてEPならではのバラエティに富んだ実験的な作風に昇華し、そして最近のBMTH(=オリヴァー・サイクス)と同じようにヒップホップのフィーチャリング文化を尊重するCVLTEの洞察力および審美眼は、彼らが(sic)boyよりも信用に値するバンドでありアーティストであることを意味している。

ハイパーポップならではのオートチューンはもとより、ノイズやグリッチなどの新世代メタルとシン96するヒップホップとラウドロックの中間点みたいな次世代を象徴するウルトラッピーなトラックメイクは、これからの現代ラウドミュージック界を林家ペーとともに盛り上げていくバンドである事を確信させる(正直、5月にリリースした1stアルバムよりも要点がまとまってて好き)。しっかし、そのヘヴィロックからのアプローチとヒップホップからのアプローチをミクスチャーした二大トラップメタルの『BOG BOY』ことZillaKamiと遊戯ボーイことGhostmaneの偉大さたるや・・・。ともあれ、aespaが創造するサイバーパンクなメタバース空間の中でずっと書きたかった伏線、その全てをシン9ロさせて(伏線)回収できたので(つまりaespaはメタル)、改めて彼らCVLTEには感謝しかない(4s4kiについての深堀りは別の機会に、別の視点で書くかも)。

First Fragment - Gloire Éternelle

Artist First Fragment
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Album 『Gloire Éternelle』
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Tracklist
01. Gloire Éternelle
02. Solus
03. La Veuve Et Le Martyr
04. Pantheum
05. De Chair Et De Haine
06. Sonata En Mi Mineur
07. Ataraxie
08. Soif Brûlante
09. In'el
10. Mort Éphémère

2021年はCynicの新作をはじめ、いわゆるテクデスの年と言っても過言ではないくらいテクデスの良作がデスメタルシーン全体を賑わせた。このカナダはケベック(ロンゲール)出身のFirst Fragmentの約5年ぶり通算二作目となる『Gloire Éternelle』も今年のテクデス界を象徴する一枚であることは確かで、それこそCynicリスペクトなジャズ/フュージョンとデスメタルをクロスさせたテクデスの王道をベースとしつつ、フィルとニックのギターコンビのテクニックに裏打ちされたリズミカルでトリッキーなグルーヴを刻むリフ回しや豚貴族ことインギーもビックリのネオクラシカルな超絶ソロワーク、そしてバンドのキーマンとなるForestことドミニク・ラポイントによる超越ベースプレイ、その二本のギターと一本のベースで主導権を奪い合う「21世紀最高のバカテク集団」と称するに相応しい楽器隊の土台に、OpethのミカエルやAmon Amarthのヨハンを連想させるデスボイスの持ち主であるフロントマンのデヴィッドの存在やマチズモ溢れる男達の勇壮な遠吠えも相まって、テクデスの王道とヴァイキングメタルやクサメタルにおけるアドレナリン全開のエピックな高揚感がエクストリーミーにクロスしたテクデスでもあり、また隠し味としてフラメンコギターを用いてスパニッシュな香辛料をまぶすことで、テクデスはテクデスでも一般的なテクデスの邪悪ネスや殺傷力よりも南米はじめスペイン語圏をイメージさせる情熱的かつダンサブルなテクデス、俄然そんなイメージがシックリくる。

渚に打ち寄せる荒波が嵐の前の静けさを暗喩するSEとともに、その激しい波から伝わるフラメンコギターを情熱的に靡かせるイントロから、ネオクラシカル/ヴァイキングメタルmeetテクデスすなわち蛮族化したCynicを展開する#1“Gloire Éternelle”、イントロの可憐に舞い踊るフラメンコギターの情熱的な魂を受け継いだベースとギターがフラメンコダンスを踊るかの如しリズミカルなコンビネーションを発揮する#3“La Veuve Et Le Martyr”、豚貴族も嫉妬するネオクラシカルギターを聴かせる#4“Pantheum”、もはやネオクラ通り越してクサメタルの領域に両足突っ込んじゃう#5“De Chair Et De Haine”、カルロス・サンタナもビックリの泣きのギターソロやカルメン・マキもビックリのフラメンコギターの情熱的なプレイを披露するインストの#6“Sonata En Mi Mineur”、約19分にわたる超大作の#9“In'el”、そして#1の渚に打ち寄せる荒波のSEをアウトロ(#10)に持ってくるコンセプトアルバム的な演出は、それこそ浜辺美波(浜辺に寄せて返す美しい波)のSEに始まり浜辺美波のSEに終わるDeafheavan『普通の堕落した人間の愛』に通じるSEの使い方も本作の傑作ぶりに拍車をかけている。とにかく、テクデスやデスメタルのみならず、パワーメタルやヴァイキングメタル、あるいはインギーなどのネオクラシカルなメタルが好きな人にもオヌヌメできる文句なしの傑作です。

Dream Unending - Tide Turns Eternal

Artist Dream Unending
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Album 『Tide Turns Eternal』
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Tracklist
01. Entrance
02. Adorned In Lies
03. In Cipher I Weep
04. The Needful
05. Dream Unending
06. Forgotten Farewell
07. Tide Turns Eternal

カナダのデスメタルバンド=Tomb MoldのギタリストであるDerrick Vellaとボストンのデスメタルバンド=Innumerable FormsのドラマーであるJustin DeToreの二人がタッグを組んだ新プロジェクト、その名もDream Unendingの音楽性を端的に言ってしまうと(それこそバンド名に「Dream Unending=終わらない夢」と名付けるだけあって)ドリーミーなデス/ドゥーム・メタルのソレで、それこそ90年代のPeacevilleが誇るAnathemaMy Dying Brideに代表されるゴシック御三家の影響を公言するロマンチシズムに溢れた叙情的なドゥームメタルを繰り広げている。要するに、本作のエンジニアであり今をときめくアーサー・リザークとPeaceville時代のAnathemaと現代アンダーグラウンド/デスメタルシーンを支える20 Buck Spinの黄金トライアングルが完成している時点で既に勝ち確なんですね。

そんな彼らの記念すべき1stアルバム『Tide Turns Eternal』は、彼らのドリー夢ーな音楽を司る夢世界の入り口へと聞き手を誘う#1“Entrance”を皮切りに、もはやピンク・フロイド級に音響意識の高いリヴァーブを効かせたギターのアルペジオ/幽玄なリフレーンとトラディショナルなデス/ドゥー夢メタル然とした邪悪ネスが悪夢の中で邂逅する#2“ Adorned In Lies”、キュアーばりに官能的なギターの肌触りに淫夢を感じる#3“In Cipher I Weep”、もはや在りし日のCynicや前身のPortalが創造するスピリチュアルなイーサリア夢の世界にアセンションする#4“The Needful”、デスメタル然とした悪夢のような前半パートから一転して内省的な泣きのメロディに慟哭不可避な後半パートのギャップ萌えに“名は体を表す”かの如し大作の#5“Dream Unending”、HR/HM界の伝説的なギターヒーローであるゲイリー・ムーア級の泣きのギターインストを披露する#6“Forgotten Farewell”、そして(#4の伏線回収とばかり)最後の最後でイーサリア夢なアルペジオをバックに女性ボーカルをフィーチャーした約10分におよぶ表題曲の#7“Tide Turns Eternal”まで、幻夢や淫夢やイーサリア夢など様々なドゥー夢の世界が無限に広がり続け、やがてカオナシそっくりの未知なる生命体と遭遇する、そんな「終わりのないのが終わり」みたいな明晰夢の無限ループって怖くね?

そのPeaceville全盛期リスペクトなドゥーム志向のみならず、フロイドはもとより往年のニューロマンティックを彷彿とさせる魅惑のリフレーンや幽玄なソロワーク、中でもHR/HM界のギターレジェンド=ゲイリー・ムーアとシンクロするかのような泣きのギターソロも本作における見せ場の一つだ。と同時に、#3,#4,#5におけるダイナミックかつプログレスでありながらもシームレスな展開力にも尋常じゃないセンスを伺わせ、とにかくバンド以前にプレイヤーおよびコンポーザーとしてのスキルが伴ってなければ実現不可能な楽曲構成をはじめ、そのウェッティな音作りの面でもオリジナリティの確立および作品の完成度に驚愕する。あとUKチックな泣けるドゥームと言えば、個人的に40 Watt Sunの伝説的な1stアルバムを思い出した。最近ではThouEmma Ruth Rundleのコラボアルバムが比較的シックリくるか。
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