Artist Esben And The Witch
Album 『Wash the Sins Not Only the Face』
Tracklist
【ナイトメア・ポップ】・・・2008年に結成された、イギリスはイースト・サセックス州ブライトン出身の三人トリオで、通称ナイトメア・ポップと称されるエスベンと魔女ことEsben and the Witchの約二年ぶり通算二作目『Wash the Sins Not Only the Face』が、まさしく2012年にデビューした同郷の2:54に通じる艶美で妖麗なオルタナ・ロックやってる件について。で、2011年にデビューし話題を呼んだ1st『Violet Cries』の曲を聴いた時点では、悪くはないけどそこまでツボにハマるような印象は全くなかったんだけど、しかし今作は自分でも驚くくらいツボにハマった。
【ネルネルネルネ】・・・基本的なサウンドスタイルとしては→いわゆるドリーム・ポップやポストパンクそしてポストロッキンなアプローチを加えたゴスいオルタナって感じで、あのWarpaintにも通じる幽玄で暗鬱なサイケデリック・ミュージックを展開している。そのWarpaintや2:54と比較すると、このエスベンと魔女はゴシック/イーサリアル寄りのヒンヤリと冷たい感触を持っていて、まるで闇夜の森の奥深くで老婆の魔女がネルネルネルネを練り込むように、紅一点のフロントマンRachel Daviesによる黒魔術を唱えるかの如し呪術的なボーカルと、ギタリストのダニエルと兼鍵盤奏者のトーマスによるメランコリックなメロディセンスが織りなす、それこそ”ナイトメア・ポップ”を称するに相応しい耽美な音世界に聴き手を引き込んでいく。とにかく、いわゆるATMS空間形成に対する尋常じゃない意識の高さに驚かされる。
【UKの相対性理論】・・・まず、オープニングを飾る#1”Iceland Spar”のイントロからケタタマシク鳴り響く、まるでIf These Trees Could Talkを彷彿とさせるATMS系シューゲ/ポストロックライクな轟音ギターから、このエスベンと魔女のポストロック系に対する意識の高さを伺わせる。そして、まるで相対性理論が掲げる”シティ・ポップ”に対するイギリスからの回答、もしくはカウンターであるかのような、淡く灰色に輝くイギリス然とした街並みを、まるで魔法の世界に迷い込んだかのような恐ろしくも幻夢的な情景を描き出すギター・リフに惹き寄せられる#2”Slow Wave”は、それこそ東京都心はパラレルワールドならぬ英蘭郊外はネルネルネールネってやつだ。で、ほの暗い耽美エントなイントロからハモリを効かせたボーカルそして凍えるように肌寒く透きとおったサビメロへと繋がる#3、まるで悪夢を見ているかのようなATMS空間の中でパーカションが一種異様な存在感を放つ#4、再びポストロック全開の音使いとボーカルのメランコリックなメロディが、ほのかにプログレスな感度をもってポップなリズムを刻みながら極上のATMSフィールドを展開していく#5”Deathwaltz”は、あのMogwaiからも一目置かれているという、その理由を理解ッさせ納得ッさせるような名曲だ。
【2013年BEST】・・・ここまでの前半は、同郷のMidas Fall的でもある比較的”ロック”なビートをもった”歌モノ”志向の強い曲調で聴き手(パンピー)を誘惑しておいてから、そして遂に後半から魔女がその本性を現す→まずはエレクトロニカを効果的に使ったChelsea Wolfe直系の#6、ポストパンク的なリズムとブラックゲイズ風のノイジーなギターが織りなす#7を筆頭に、他にもイーサリアルやらフォークやらポストパンク等なんでもござれな、まるで夢遊病患者の夢の如し暗鬱な音世界が延々と続き、その中でもChelsea WolfeやKayo Dot界隈にも通じるインディ・フォークの#9は後半のハイライトと言っていい。けど、やっぱり名曲の#2と#5を擁する前半の流れと比べると物足りなさは否めない。だから、トータルで見るとそこまで凄い作品ではないかもしれない。でも、とにかく”UKの相対性理論”かってレベルの#2と同郷の2:54を彷彿とさせる#5の存在が、昨年の年間BESTに挙げざるを得ないほどの大きな決定打となったわけです。
Album 『Wash the Sins Not Only the Face』
Tracklist
01. Iceland Spar
02. Slow Wave
04. Shimmering
05. Deathwaltz
06. Yellow Wood
07. Despair
08. Putting Down The Prey
09. The Fall Of Glorieta Mountain
10. Smashed To Pieces In The Still Of
【ナイトメア・ポップ】・・・2008年に結成された、イギリスはイースト・サセックス州ブライトン出身の三人トリオで、通称ナイトメア・ポップと称されるエスベンと魔女ことEsben and the Witchの約二年ぶり通算二作目『Wash the Sins Not Only the Face』が、まさしく2012年にデビューした同郷の2:54に通じる艶美で妖麗なオルタナ・ロックやってる件について。で、2011年にデビューし話題を呼んだ1st『Violet Cries』の曲を聴いた時点では、悪くはないけどそこまでツボにハマるような印象は全くなかったんだけど、しかし今作は自分でも驚くくらいツボにハマった。
【ネルネルネルネ】・・・基本的なサウンドスタイルとしては→いわゆるドリーム・ポップやポストパンクそしてポストロッキンなアプローチを加えたゴスいオルタナって感じで、あのWarpaintにも通じる幽玄で暗鬱なサイケデリック・ミュージックを展開している。そのWarpaintや2:54と比較すると、このエスベンと魔女はゴシック/イーサリアル寄りのヒンヤリと冷たい感触を持っていて、まるで闇夜の森の奥深くで老婆の魔女がネルネルネルネを練り込むように、紅一点のフロントマンRachel Daviesによる黒魔術を唱えるかの如し呪術的なボーカルと、ギタリストのダニエルと兼鍵盤奏者のトーマスによるメランコリックなメロディセンスが織りなす、それこそ”ナイトメア・ポップ”を称するに相応しい耽美な音世界に聴き手を引き込んでいく。とにかく、いわゆるATMS空間形成に対する尋常じゃない意識の高さに驚かされる。
【UKの相対性理論】・・・まず、オープニングを飾る#1”Iceland Spar”のイントロからケタタマシク鳴り響く、まるでIf These Trees Could Talkを彷彿とさせるATMS系シューゲ/ポストロックライクな轟音ギターから、このエスベンと魔女のポストロック系に対する意識の高さを伺わせる。そして、まるで相対性理論が掲げる”シティ・ポップ”に対するイギリスからの回答、もしくはカウンターであるかのような、淡く灰色に輝くイギリス然とした街並みを、まるで魔法の世界に迷い込んだかのような恐ろしくも幻夢的な情景を描き出すギター・リフに惹き寄せられる#2”Slow Wave”は、それこそ東京都心はパラレルワールドならぬ英蘭郊外はネルネルネールネってやつだ。で、ほの暗い耽美エントなイントロからハモリを効かせたボーカルそして凍えるように肌寒く透きとおったサビメロへと繋がる#3、まるで悪夢を見ているかのようなATMS空間の中でパーカションが一種異様な存在感を放つ#4、再びポストロック全開の音使いとボーカルのメランコリックなメロディが、ほのかにプログレスな感度をもってポップなリズムを刻みながら極上のATMSフィールドを展開していく#5”Deathwaltz”は、あのMogwaiからも一目置かれているという、その理由を理解ッさせ納得ッさせるような名曲だ。
【2013年BEST】・・・ここまでの前半は、同郷のMidas Fall的でもある比較的”ロック”なビートをもった”歌モノ”志向の強い曲調で聴き手(パンピー)を誘惑しておいてから、そして遂に後半から魔女がその本性を現す→まずはエレクトロニカを効果的に使ったChelsea Wolfe直系の#6、ポストパンク的なリズムとブラックゲイズ風のノイジーなギターが織りなす#7を筆頭に、他にもイーサリアルやらフォークやらポストパンク等なんでもござれな、まるで夢遊病患者の夢の如し暗鬱な音世界が延々と続き、その中でもChelsea WolfeやKayo Dot界隈にも通じるインディ・フォークの#9は後半のハイライトと言っていい。けど、やっぱり名曲の#2と#5を擁する前半の流れと比べると物足りなさは否めない。だから、トータルで見るとそこまで凄い作品ではないかもしれない。でも、とにかく”UKの相対性理論”かってレベルの#2と同郷の2:54を彷彿とさせる#5の存在が、昨年の年間BESTに挙げざるを得ないほどの大きな決定打となったわけです。
Wash the Sins Not Only the Face
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Matador Records Imp (2013-01-22)
売り上げランキング: 266,443
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