Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

20年代のヘヴィネス

Muse - Will Of The People

Artist Muse
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Album 『Will Of The People』
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Tracklist
01. Will Of The People
02. Compliance
03. Liberation
04. Won’t Stand Down
05. Ghosts (How Can I Move On)
06. You Make Me Feel Like It’s Halloween
07. Kill Or Be Killed
08. Verona
09. Euphoria
10. We Are Fucking Fucked

Museはメタル・・・というのも、何を隠そう初期のMuseって一部界隈住人からはプログレ兼メタルというか、厳密に言えばオルタナティブ・ヘヴィの文脈で語られるようなバンドで、しかし近作においてはチャーチズさながらの80年代風のシンセ/エレクトロ主体の作風が相次ぎ、気づけばソッチ界隈では微塵も話題に挙がらない存在となっていた。そんなUKロックを代表するMuseが今回、初期作における“Museはメタル”の精神を引っ提げた、約4年ぶりとなる待望の新作でカムバックしてきた件について。


この『Will Of The People』の足がかりとなる、1stシングルの“Won’t Stand Down”の何にド肝を抜かれたかって、“メタル”は“メタル”でも今やUKを代表するモンスターバンドと化したBring Me the Horizonの“MANTRA”を彷彿とさせるカルト宗教の儀式的なMVをはじめ、同バンドがEDMポップスと化した問題作の『amo』における某シングルのアイコニックなリフ、そしてUSのDeftones『Diamond Eyes』で目覚め20年作の『Ohms』において確立させた“20年代のヘヴィネス”を、Museなりの解釈でオマージュしてんのがガチでヤバ過ぎる件。で、シャウトとともにザックザクにキザミに刻んでくる俄然メタリックな間奏パート、およびメインリフのヘヴィネスが入ってくる直前の“タメ”に該当するギターのギョーンギョーンギョーンも同様にアイコニックかつパンチライン過ぎて語彙力消失(バッキングのシンセの音とか、ほぼほぼジョーダン・フィッシュ)。

とにかく、今や日本のアイドル(PassCode)やガールズバンド(Trident)にオマージュや楽曲カバーされるBMTHがいかにしてアイコニックな存在となったのかを、UKロックレジェンドのMuse“MuseなりのBMTH”と呼ぶべき1stシングルを介して証明して見せるという想定外の展開に、改めて現行のヘヴィミュージックシーンはBMTHを中心に回っている事に感動を覚えた。そもそもの話、このシングルだけ『amo』以降のBMTHや最近のDIR EN GREYお抱えのエンジニアであるダン・ランカスターを迎えている時点でほぼ確信犯です。


1stシングルと並び“ミューズはメタル”の直接的なアンサーソングとなる#7“Kill Or Be Killed”は、冒頭のGojiraさながらのテック・リフとメシュガーさながらのギョーンの合せ技からして、もはや“ミューズなりのメシュゴジラ”の領域に片足を突っ込んじゃってる、それこそ3rdアルバム『Absolution』における“The Small Print”を超えるミューズ史上最高にヘヴィな曲で、その“20年代のヘヴィネス”の原型となるメシュゴジラに象徴される現代的なプログレ・メタルのアプローチやデスメタルさながらの間奏パート、そしてイケメンことハーマン・リ顔負けのピロピロギターソロが織りなす、まさに初期作の楽曲を正統にアップデイトさせたようなゴリッゴリのメタルを繰り広げている。

なんだろう、00年代を代表するUKオルタナのMuseが、当時しのぎを削ったUSオルタナのDeftonesと約20年の時を経て邂逅するエモ(amo)さったらないというか、ザックリ約20年のブランクがあるにも関わらず、現代ヘヴィミュージック界のトレンドである“20年代のヘヴィネス”を的確に捉えるマシュー・ベラミーの審美眼、その“したたかさ”に震える。リアルな話、来年のダウンロードフェスジャパンで全然トリでいけるっしょ(準トリがBMTHで)

自分の中では完全に終わったバンドという認識だったのに、今作聴いたら「ホーリーシェイ!」ってなったわ。なんだろう、近作の内容があまりに酷すぎた結果、自分みたいな初期厨のニワカファンが離れて一気に人気を落としたタイミングで、(海外ではワーナーだが、日本におけるレーベルを担う)Fソニーが「あんたら人気落ちとるからエエ加減に売れる曲書いて初期みたいなメタル回帰してもろて」みたいにケツ叩かれたとしか思えない、知らんけどw

確かに、音楽通ぶりたい批評家からは近作と同様に不評だと思うけど、俺らみたいな初期厨のニワカが寄ってたかって飛びつき、手放しで褒め称えそうな楽曲をFソニーにスパンキングされて意図的にソングライティングしてきたわけだから、そのバンドというよりはレーベルの意向を素直に汲んで受け取るべきだし、むしろMuseニワカであるメタラーの俺たちが支持したらんと誰も支持せんと思うわ今作。


そもそも、オペラさながらの大仰なクワイアが「ちんこ~ちんこ~」という空耳を連呼する表題曲の#1“Will Of The People”からして、本作におけるサウンド・スタイルの回帰を示唆するキザミを効かせたハードロック的な曲調だし、他にも前作の『Simulation Theory』における80年代路線を踏襲した、映画『ロッキー』の劇中歌であるヨーロッパの“ザ・ファイナル・カウントダウン”のオマージュとばかりのシンセをフィーチャーした曲で、この絶妙なタイミングで「昆虫すごいぜ!」のカマキリ先生こと香川照之やキャバ嬢にてめぇの爆乳さわってもいい?と聞いてそうなひろゆきに対して企業コンプライアンスの大切さを訴える#2“Compliance”、UKレジェンドことクイーンの意思を受け継ぐかの如しクラシカル/オペラティックなコーラスワークをフィーチャーした#3“Liberation”、ピアノ主体のバラードナンバーの#4“Ghosts (How Can I Move On)”、再びジョン・カーペンターの『ハロウィン』シリーズや『エルム街の悪夢』などの70年代から80年代にかけてのスラッシャー/ホラー映画的なゴシック・ミュージカルを繰り広げる#6“You Make Me Feel Like It’s Halloween”、マシュー・ベラミーのファルセットボイスをフィーチャーしたバラードの#8“Verona”、Bメロで「乳輪~」と空耳させることで再び日本人に対してコンプライアンスのギリギリを攻める#9“Euphoria”、飼い主であるFソニーに対してFワードを吐いて抗う曲で、同UKのPure Reason Revolutionさながらのクラシカルな電子ロックの#10“We Are Fucking Fucked”まで、とにかく“ファイナル・カウントダウン”オマージュといい、80年代ホラー映画の明確な影響といい、コンプライアンスのギリギリのラインを攻める下ネタ(空耳)といい、なんだろう全体的にBMTH(Deftones)meetチャーチズとでも例えたくなる作風で(Deftonesは主宰のフェスでチャーチズと共演しているのも伏線)、もはやピンズドで俺受けを狙ってるとしか思えないし、これマジでFソニーにケツぶっ叩かれてるってw

Bad Omens - The Death Of Peace Of Mind

Artist Bad Omens
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Album 『The Death Of Peace Of Mind』
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Tracklist
01. Concrete Jungle
02. Nowhere To Go
03. Take Me First
05. What It Cost
07. Bad Decisions
08. Just Pretend
09. The Grey
10. Who Are You?
11. Somebody Else.
12. IDWT$
13. What Do You Want From Me?
15. Miracle

今年のBMTH枠。というのも、リッチモンド出身のBad OmensといえばBMTHのフォロワー、厳密に言えば『Sempiternal』『That's The Spirit』前後のBMTHフォロワーとして有名なメタルコアバンドで、何を隠そう前作から約3年ぶりとなる3rdアルバム『The Death Of Peace Of Mind』は、それこそ前作と同年(2019年)にBMTHが発表した6thアルバム『amo』において彼らが未来へ向けて示し出した“20年代のヘヴィネス”をフォロワー最右翼ならではの正しい視点から丸々コピーしている件について。


改めて、BMTH『amo』の革新性って、一見ただのメジャーなポップ・ミュージックと見せかけて、10年代の終りに未来を見据えた“20年代のヘヴィネス”の基準の一つをヘヴィロックシーンに提示した事にある。その象徴的な曲であるダニ・フィルスをフィーチャーした“Wonderful Life”は、つい最近その某曲のリフメイクにおける(10年代メタル総合ランキング同率1位のGojiraとメシュガーを的確に捉えた)10年代のヘヴィネスを20年代のヘヴィネスとして次世代の解釈と独自の視点からアップデイトしたのが、他ならぬ日本のCVLTEPaleduskがコラボした“eat acid, see god.”である。それでは、BMTHのコピバンもといフォロワーのBad Omensは、本作において如何様にして『amo』を自分達のモノとして料理したのか?

それこそ、本作の幕開けを飾る#1“Concrete Jungle”からして、シングルの“Wonderful Life”とともに『amo』を象徴する一曲目の“I Apologise If You Feel Something”から二曲目の“Mantra”までの一連の流れを一曲に集約したかのような、トリップホップ/アートポップ風のキレイめな打ち込みとバンドの中心人物でありリードボーカルのノア・セバスチャンによるオリヴァー・サイクス顔負けのクリーンボイス、そして“Mantra”を模したドライブ感あふれるグルーヴィなリフを『amo』のサウンドを模したプロダクションに乗せて、そしてタイトルの「Concrete Jungle」というノルウェーの歌姫AURORAの“Animal”を想起させるニューエイジ思想に傾倒したリリック/ポップなメロディを中性的な歌声で歌い上げる。つまり、昨今のオリィの発言におけるリベラルな立ち位置と、今やケツモチがディズニーことAURORAの立ち位置の近親ぶりを理解したフォロワー脳じゃなきゃ実現不可能な一曲となっている。


Amorphis『Under The Red Cloud』や近年のTOOLに精通するポストキザミから形作られるポストヘヴィネスと、BMTHが“Wonderful Life”で示した現代ポストメタルにおける“20年代のヘヴィネス”の邂逅をいともたやすくやってのける#3“Take Me First”、もはやBMTHフォロワーの肩書きをブチ破るかの如し現代ポストメタルの一つの回答であるかのようなプロダクションおよびヘヴィネスを展開する#4“The Death Of Peace Of Mind”や#5“What It Cost”など、アルバム前半における全てのリフおよびヘヴィネスが“Wonderful Life”を多角的な視点から解釈した結果と言っても過言じゃあなくて、兎に角その逐一徹底したBMTH愛に脱帽する。

冒頭のAURORAのみならず、アルバム後半はEDM(Trap)のアプローチを効かせたBMTH直系バラードの#7“Bad Decisions”を皮切りに、ElsianeVERSAを連想させるエレクトロニカ/トリップホップ志向の強い#10“Who Are You?”、『amo』の隠し要素だったK-POPのLOONA顔負けのヤーウェイ系EDMをフィーチャーした#11“Somebody Else.”におけるノア・セバスチャンのジェンダーを超えた女性的な歌声は本作の聴きどころの一つと言える。もはやグライムスとフィーチャリングできないならできないなりにセルフで女体化すればイイじゃんのノリでフェミニンな色気を醸し出している。と同時に、もはや自分の中で伝説化してるVERSAをフォローアップしている時点で俺感の読者なんじゃねぇか説が芽生えるなど。とにかく、要所で垣間見せるストリングスの鳴らし方とかエレクトロな打ち込み要素をはじめ、その他細部に至るアレンジまでも『amo』をモデリングしている徹底ぶり。

ジョーダン・フィッシュ顔負けのシンセやストリングスを擁する#13“What Do You Want From Me?”は、『amo』のハイライトを担う“Mother Tongue”をラウド寄りに仕立て上げたようなポップメタルのソレで、BMTHがグライムスとコラボした“Nihilist Blues”を模したミニマルなエレクトロビーツを刻む#13“What Do You Want From Me?”、そしてアルバムの終わりがけに自分たちの出自がメタルコアバンドであるという記憶を取り戻し、アリバイ作りのために仕方なくゴリゴリのメタルコアをやってのける#14“Artificial Suicide”からの#15“Miracle”まで、総評するとオリジナリティは皆無に近いけど「BMTHフォロワー」としては100点満点だし、あの『amo』を世界一のフォロワーなりに独自解釈した結果、人によっては本家『amo』と同等、いやそれ以上に凄いことやってんじゃねぇか説を唱える人も多数いそう。

なんだろう、そのBMTHフォロワーとしてのネタ的な視点、BMTH『amo』で紡ぎ出した“20年代のヘヴィネス”の回答としてのオルタナティブな革新性、そしてAURORAVERSAを連想させるフェミニンな隠し要素が多数盛り込まれた、決して「いわゆるフォロワー」の枠にとどまらない凄みが本作にはある。かろうじてハイパーポップ化だけはしなかったのは唯一の救いか。

Author & Punisher - Krüller

Artist Author & Punisher
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Album 『Krüller』
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Tracklist
01. Drone Carrying Dread
03. Centurion
04. Maiden Star
05. Misery
06. Glorybox
07. Blacksmith
08. Krüller

カリフォルニアはサンディエゴ出身のトリスタン・ショーンによるワンマンプロジェクト、Author & Punisherの約4年ぶりとなる6thアルバム『Krüller』の一体何が凄いって、UKのJesuGodfleshの系譜にある無機的なインダストリアルデザイン、オーダーメイドの特殊な精密機械から生成されるドローン/ノイズが内在したThou顔負けのスラッジ/ドゥームメタル然とした邪悪ネス、Nirvanaに代表される90年代グランジの鬱々とした内向性を破滅的にクロスさせながら、そしてDeftones(†††)やパラロスを連想させるゴシックな耽美性(エロティシズム)を醸し出すダークシンセのミステリアスな旋律が無機質な世界をアーバンに彩る、ありがちなインダストリアルミュージックにとどまらない、全く新しい現代ポストメタルの形を提示している件について。

そんなA&Pのオルタナティブな側面を裏付ける、USオルタナレジェンドTOOLのベーシストであるジャスティン・チャンセラーが参加した曲で、ホラー/サスペンス映画のサントラばりに不気味なシンセと機械的な打ち込みが織りなす#3“Centurion”や同じくドラマーのダニー・ケアリーが参加した#5“Misery”を筆頭に、幻想的に煌めくシンセをフィーチャーしたドローンmeetポストメタルの#4“Maiden Star”、Portisheadのカバー曲の#6“Glorybox”、Ulverがエレクトロに傾倒し始めた『Perdition City』をグリッチ/ノイズまみれに魔改造してバグらせたような#7“Blacksmith”、そしてDeftonesのチノ・モレノ顔負けの中性的な歌声を擁しながら官能的かつダークアーバンな世界観を形成する表題曲の#8“Krüller”まで、いわゆる90年代初頭から後半に黎明を迎えたオルタナ/グランジやニューメタルなどの当時のヘヴィロックを、(マシズモほとばしる前衛的なジャケが示唆する)実験的なアプローチをもって現代的なポストメタルにアップデイトさせたような作品。それこそTOOLが2019年に発表した『Fear Inoculum』を足がかりに、2020年にDeftonesが発表した『Ohms』に象徴される“20年代のヘヴィネス”を別路線から合流してきたイメージ。例えば、20年代以降のThouEmma Ruth Rundleのコラボアルバム『May Our Chambers Be Full』Humの復活作『Inlet』とはまた少し方向性の違ったアヴァンギャルドでオルタナティブなヘヴィネスとして。

Rolo Tomassi - Where Myth Becomes Memory

Artist Rolo Tomassi
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Album 『Where Myth Becomes Memory』
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Tracklist
01. Almost Always
03. Mutual Ruin
04. Labyrinthine
05. Closer
06. Drip
07. Prescience
08. Stumbling
09. To Resist Forgetting
10. The End Of Eternity

Holy Roar Recordsの創始者であるアレックス・フィッツパトリックが複数の女性から性的暴行を告発された件で、レーベルの看板娘であり屋台骨として二人三脚で長年共に歩んできたホームグラウンドから強制退去を余儀なくされたUKポストハードコアバンド、Rolo Tomassiの約4年ぶりとなる6thアルバム『Where Myth Becomes Memory』は、Black Label SocietyHigh On Fireが在籍するニューヨークのインディーズレーベルMNRK Heavyへ移籍して初となる作品。

改めて、UKの気鋭インディーズレーベルとしてメタルヘッズから一目置かれていたHoly Roar Recordsといえば、いわゆるUKポストハードコア系のバンドを主戦としながらも、昨今のメタルシーンにおけるトレンドのDeafheavenに象徴されるポストメタルムーブメントに乗っかる事に成功し、それこそRolo TomassiがHoly Roarへの置き土産として遺した前作の5thアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』は、DFHVNからの色濃い影響下にあるブラックゲイズをはじめポストロックおよびポストメタルを経由したオルタナティブな側面を大胆に取り入れたエクストリーム・ミュージックの金字塔と呼べる名盤だった。

心機一転、新天地からリリースされた本作においても彼らの革新的なアイデンティティは不変で、その先見性に富んだサウンド・スタイルは複雑極まりない静と動のコントラストを効かせたポストメタル/ポストロックの方向性へと舵を切っている。それにより持ち前のカオティックなマシズモは著しく減退した印象で、鍵盤奏者のジェイムズ・スペンス兄貴が奏でるリリカルな物語性を演出する神秘的なメロディを一歩前に打ち出したスタイルを軸としている。

幕開けを飾る#1“Almost Always”からして、それこそ2015年作の『Grievances』から始まり前作の『Time Will Die And Love Will Bury It』を経て本作まで続く三部作において、平凡なTDEPフォロワーだった彼らをTranscendentalな超越した存在に仕立て上げたRitual=儀式という名の魔改造に使用した禁忌の遺伝子(DNA)であるDeafheaven『サンベイザー』ばりにピンク色のノイズを撒き散らしながら、次第にピアノをフィーチャーしたATMSフィールドをまとったアンビエントな神秘世界を形成し、すると「叫ぶ女」界の特攻隊長であるエヴァ・スペンスたそが著しく洗練されたクリーンボイスで歌い上げる、まるでクソお世話になったアレックス・フィッツパトリックに対する「グッバイ」という餞別の言葉を示唆するリリックとともに、現代的なポストメタル然とした轟音が放つ怒涛のスケールとダイナミズムが俄然ドラマティックに物語を紡ぎ出していく。

全体を通して一聴する限りでは前作から特に大きな変化はない作風だと思いがちだが、本作において彼らがいかに凄いのかを証明するのが本作のハイライトを飾る#8“To Resist Forgetting”における、それこそまさにDeftonesが2020年作の『Ohms』においてシーンに啓示した“20年代のヘヴィネス”という現代ポストメタルの基準を、Rolo Tomassiなりの解釈で次世代のブラッケンド・ヘヴィネスあるいは全く新しいオルタナティブ・ヘヴィの一つの答えとして“ヘヴィネス”の概念を新世代仕様にアップデイトしている点←この一点に尽きる。それ即ち、マスコアレジェンドTDEPのマシズモを正統に受け継ぎながらも(出自)、10年代のメタルを象徴するDeafheavenを遺伝子組み換えレベルで経由して(フィッツパトリックによる魔改造)、そして出自もDNA(PINK BLOOD)も超越した本作でDefotnesMastodonに代表される今現在のヘヴィミュージックの最先端その先っちょまで到達しちゃってるエモさったらないというか、つまりあのTDEPすらなし得なかった偉業を成し遂げているヤバさ。とにかく、古巣のHoly Roar時代に培ったオルタナティブな革新性および先見性を今なお貫き通している事実に泣くし、それが、それこそが“元親”であるアレックス・フィッツパトリック改めアレックス・やらかし・フィッツパトリックに対する“娘”からの最大級の賛辞であり、これ以上ない別れの挨拶となっている。


もちろん、作品の衝撃度という点においては前作に劣るが、その前作において確立したエクストリームメタルを著しくトレンディにブラッシュアップした本作は、2015年作から続く三部作の最終章を飾るに相応しい集大成、と同時に自ら新天地からの再出発を祝うかのような傑作です。とにかく、このRolo TomassiがVevo化したのは素直に感慨深いものがあるというか、不謹慎だけどフィッツパトリックがやらかさなかったら実現しなかった案件なのも事実。

Mastodon - Hushed and Grim

Artist Mastodon
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Album 『Hushed and Grim』
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Tracklist
Disc I
01. Pain With An Anchor
02. The Crux
03. Sickle And Peace
04. More Than I Could Chew
05. The Beast
06. Skeleton Of Splendor

Disc II
01. Peace And Tranquility
02. Dagger
03. Had It All
04. Savage Lands
05. Gobblers Of Dregs
06. Eyes Of Serpents
07. Gigantium

USヘヴィミュージック界の“ドンファン”ことMastodonの約4年ぶり通算8作目となる『Hushed and Grim』。事前に先行シングルとなる“Pushing The Tides”を聴く限りでは、それこそ初期の獣性むき出しのカオティックなコアさとポストハードコア路線の5thアルバム『The Hunter』のキャッチーなリズムをミックスしたような、しかし『The Hunter』よりもっと初期型のリフで畳みかけるスタイルみたいな。実のところ、本作において露骨に歴代マストドンの面影を感じさせる曲って実質そのシングルだけで、バンド史上最長となる二枚組約86分に及ぶ本作の全貌は、たった数曲のシングルだけで説明できるようなそんなスケールの狭い作品では到底なかった。

本作のプロデュースには、キング・クリムゾンやラッシュの関連作品をはじめ、ピーター・ガブリエルやデヴィッド・シルヴィアン、TOOLやMuseなどのオルタナ/プログレ界を代表するバンドの作品に携わっているDavid Bottrillを迎えているだけあって、ディスク1の幕開けを飾る#1“Pain With An Anchor”からして、オールドスタイルのヘヴィメタルならではのクサメロを経由した叙情的なメロディ、不協和音を奏でるアトモスフェリックかつサイケデリックなリフレイン、ソリッドな“キザミ”を駆使した破天荒なヘヴィネス、プログレ然としたソロワークやダイナミックな楽曲構成まで、まさに本作の鍵を握る要素を一つに凝縮したような曲となっている。

まずは“キザミ”について。ディスク1では冒頭を飾る#1の低域をタイトに刻み込むソリッドなキザミを皮切りに、#2“The Crux”のプログレッシブ・ロックの専売特許であるテクニカルなインストパートにおける質量の低いスタイリッシュなキザミ、ソフトなプログレパートとポストメタル級の重厚感溢れる質量を蓄積したタイトなキザミ主体のヘヴィネスの対比を効かせた#3“Sickle And Peace”、引き続きイントロから質量豊富のポストメタリックなキザミを擁する#4“More Than I Could Chew”など、このディスク1では(それこそ“スラッシュメタル”という言葉を生み出したマルコム・ドームに捧げるかのような)往年のスラッシュメタルを希釈したポスト・スラッシュメタルならではの“キザミ”を軸とした、俄然ポストメタリックなスタイルを展開している。それこそ、彼らが歴史的名盤と謳われる4thアルバム『Crack The Skye』を境に“キザミの世界”に入門した結果、俗に言う黄金のキザミ”を会得したバンドが為せるファストからミドルに、質量/BPMを変幻自在に操ってキザミにキザミ尽くしている。もはやキザミ界の王であるTOOLFear Inoculumへの回答であるかの如し、そのキザミ意識の高さは過去イチと言っても過言じゃあない。

ここでTOOLFear Inoculumに関連する話を述べると、その“キザミ”のみならず、主にギターの音色やトーンを耳にすればわかるように、本作はサウンドプロダクションを含めた音作りという音楽制作における根本的な面でも従来のマストドンと一線を画してきている。それこそ、ヘヴィロック界のキングであるDeftonesが2020年に発表したOhmsにおいて“10年代のヘヴィネス”から“20年代のヘヴィネス”に更新してみせた、その現代ポストメタルの新しい形として披露された次世代のヘヴィネスと共鳴するかのような、それ即ち“20年代のヘヴィネス”に対するマストドンなりの回答であり、従来のクラシックな傾向から一転してモダンな音像に振り切って現代ポストメタル然としたヘヴィネスを轟かせている本作品は、お馴染みのPaul Romano氏が手がけたアートワークとシンクロするような発色のないモノクロームの世界観を描くように、名盤『Crack The Skye』経由のブルージーかつサイケデリックな側面を強調しながらも、過去一でテクニカル/プログレメタル然とした大胆不敵な楽曲構成力の高さと、その強度の高さが全盛期に肉薄する勢いすら感じさせる1枚となっている。

ディスク1の鍵を握る“キザミ”の他に、もう一つ別の鍵となる要素を挙げるとするなら、それは“プログレ”に他ならない。そもそもの話として、今ではマストドン=プログレのイメージを持っている人も少なくないだろうし、それは全くもって間違いではない。しかし、このディスク1における“プログレ”の概念は、例えばドンの代表作である『Crack The Skye』から連想される“プログレ”のソレとはまるで違っている。その本作におけるプログレを象徴する#5“The Beast”では、それこそ西海岸系インストみたいなイントロを皮切りに、曲中は『Crack The Skye』の系譜にあるサイケデリックでブルージーな雰囲気を漂わせるも、筆頭すべきギターのソロパートではスティーヴン・ウィルソンの4thアルバム『Hand. Cannot. Erase.』や5thアルバム『To The Bone』を連想させる明瞭なギターソロを披露している。続く“Skeleton Of Splendor”でも、冒頭のアルペジオギターが醸し出す湿り気のある仄暗い雰囲気からしてSWソロを彷彿とさせつつ、そして専属の鍵盤奏者が在籍するコテコテのプログレバンドみたいなキーボードのソロパートが導入されている。そのプログレらしいキーボードソロは、もはや頭から“メロディアス”な領域に突っ込んでるクラシックなハードロックチューンでシングルの#7“Teardrinker”にも容易く取り入れられている。

本作におけるアルペジオギターを積極的に多用したメロディアスでサイケデリックな世界観形成も、展開の豊富さも、ブルース/ハードロック的なソロワークも、現代プログレの代名詞であるドリムシの影響というよりは、先日復活を宣言したPorcupine Treeの頭脳であるスティーヴン・ウィルソンのソロ作品からインスパイアされたフレキシブルなオルタナ/プログレといった印象。そういった意味では、現代プログレの名盤『Crack The Skye』のプロデューサーであるブレンダン・オブライエンを再起用した前作の7thアルバム『Emperor Of Sand』みたいな、ガワだけを取り繕った形だけの『Crack The Skye』リバイバルではなく、いわゆるプログレという概念を新たに刷新した本作こそ『Crack The Skye』が正統進化した作品と言えるのかもしれない。

ここまで外に開かれたマストドンは未だかつて見た事がなかった。それこそ歴代最長のトータルタイムを誇る二枚組の超大作志向は、長年のライバルであり盟友Baronessを意識しての事だろうと容易に推測できるし、また本作における著しいオルタナ/プログレ志向についても、Baronessが一足先にオルタナ化した2019年作の傑作Gold & Greyという現代ポストメタルの最先端を誇示する、その名の通り金字塔であり革新的な内容に対する危機感というものが、これまで保守的な姿勢を貫いてきたドンの思想をリベラル側に突き動かしたのかもしれない。

ディスク1を司るオルタナ/プログレなアプローチを引き継いで、ディスク2の幕開けを飾る“Peace And Tranquility”では、冒頭からプログレはプログレでもバンドのテクニカルな側面を押し出した盟友Baronessリスペクトなストーナーメタルを繰り広げる。インド周辺の民族楽器であるサーランギーやパーカッションが織りなす、オリエンタルでサイケデリックな世界観を強調した“Dagger”、往年のDTを彷彿とさせる哀愁むき出しのアルペジオギターを軸にThou顔負けのスローなヘヴィロックを展開する“Had It All”、ディスク1のアグレッシブでメタリックな側面を踏襲した“Savage Lands”、それこそ現代ポストメタル/ドゥームメタル界を牽引するPallbearerと共振するドゥーミーな序盤から、一転してオルタナティブな側面を強調しながらダイナミックに展開する“Gobblers Of Dregs”、ドンの音楽史においてこんな洗練されたメロディ聴いたことないってくらい、それこそSWソロと錯覚するレベルのイントロのキーボードから始まる“Eyes Of Serpents”、そしてディスク2のラストを飾る“Gigantium”は、DeftonesOhmsとともに“20年代のヘヴィネス”をアップデイトしたHumInletリスペクトなヘヴィ・シューゲイズ然としたギターワークを耳にしたら、なんだか急に微笑ましくなってクソ気持ち悪い顔で(ニチャア)ってなった。何故なら、ここで、最後の最後で全部繋がるカタルシスったらないというか、この曲のシューゲイザー然としたギターに本作の全てが詰まってるからね。

そんな風に現代ポストメタルを象徴するPallbearerからのHumというヘヴィミュージックシーンのトレンドをかっ喰らい、いかに本作がオルタナや現代ポストメタルを新規の軸に制作されたのかを証明すると同時に、本作の裏コンセプトとしてある「オルタナ化したバロネス」に対する「オルタナ化したマストドン」なりの答えが起承転結を迎える。とにかく特定のどこがとか、特定の何かが凄いとか、そういう次元の話じゃなくて、芸歴20年を超えるベテランの経験からくるプレイヤーとしてのパフォーマンス/スキル、それらを踏まえた総合力の高さとメタルとしての強度が尋常じゃなく高い。なんだろう、コロナ禍において内に抱えた暗黒エネルギーみたいなのを全て外側に開放して、やれること全部やってみた結果が本作というか、例えばジャンルは違うけどオルタナ化したAlcestでお馴染みのアルバム『Kodama』を聴いてるような感覚に近い。

確かに、確かにデビュー当時から一貫してヘヴィミュージック界のオリジネイターとしてシーンの一線を張ってきた彼らが、悪く言えばその辺のテクニカル/プログレ・メタルバンド勢がやってそうなアルペジオギターを多用した過去イチでメロディアスなインストゥルメンタルを筆頭に、プログロック的な小技を効かせたリフメイクや雰囲気シンセというより明瞭な姿形をしたシンセのメロディ、そして近年のメタル界におけるトレンドに迎合するかのような、過去イチで“ドンらしからぬ”姿勢に違和感を覚える人も少なくないと思う。しかし、それは決してオリジナリティが欠如しているのではなく、逆にオリジナリティを確立したバンドだからこそ可能にした作品だと思う。それを肯定的に言うなら、過去作のどれとも干渉しない対外的な外的要因を軸とした本作の中だけで完結する高いオリジナリティを内包している。何故なら人間、歳を重ねれば重ねるほど「変化」を嫌う傾向にあるのが定説なのにも関わらず、この歳になっても新しい試みに挑戦する獣性むき出しの若々しくストイックな姿勢に、そしてコレをドンがやるという新鮮なギャップとフレキシブルな感性に只々驚かされたし、改めてやっぱこいつら天才だと唸った一枚。これは何度も言ってるけど、おいら、今回のようなシーンを代表するオリジネイターがトレンドに迎合した作品を生み出す瞬間に猛烈な“エモさ”を見い出す変態という名の紳士なんで、この『Hushed and Grim』はまさにその“エモさ”を体感できる作品なんですね。

結論からすると、やはり2019年のBaronessの名盤Gold & Greyをはじめ、2020年にDeftonesOhmsHumInletが提唱した“20年代のヘヴィネス”が早くもシーンに行き届いていた事を、これ以上ない圧倒的な説得力をもって回答してみせたのが、他ならぬヘヴィミュージック界の異端児であるドンだった。もはや、こいつらWelcome To My ”俺の感性” の読者なんじゃねぇか説が芽生えるほど、過去に自分が書いた“20年代のヘヴィネス”に関する話の流れをスムースにアップデイトしている気がしてならなかった。つまり「僕が考えた最強のドン」をそのままやってきてるような作品で、恐らく日本で俺しか解けない本作という名の問題は流石に解読しがいがあったわ。しっかし、こいつら日本のラジオネーム【スティーヴン・ウィルソン】をナメ過ぎだろ・・・むしろ俺レベルになると、聴く前からDeftonesOhmsをブログのヘッダー/トップ絵にする事で既にほぼ解読してるっつーの。そして、このタイミングでPorcupine Treeの復活だろ?こんなん“引力”エグ過ぎるし、興奮しすぎて自律神経バグるってw
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