Artist 椎名林檎

Album 『日出処』

Post-Progressive界の第一人者 ・・・事の発端は、昨年リリースされた赤い公園の『猛烈リトミック』、そしてきのこ帝国の『フェイクワールドワンダーランド』で、今年に入ってからは相対性理論のライブを皮切りに、tricotやねごとはじめとした、それらのガールズ・ロックおよび女性ボーカルバンドの楽曲を聴いてもの凄く痛感した事があって、それは椎名林檎という一人のババアもとい一人の女性アーティストの存在が、いかに日本の音楽シーンに多大な影響を与えてきたのかという事で、それに伴って→【なぜ日本におけるPost-Progressiveが女性的なジャンルであるのか?】という疑問にブチ当たった。何を話そう、その疑問に対する答えは、既に約10年以上前の椎名林檎が証明していると言っても過言じゃあなくて、それこそ昨年リリースされたオリジナル・アルバムとしては約5年半ぶりとなる5thアルバム『日出処』は、この椎名林檎が日本におけるPost-Progressive界の第一人者であるという事実を物語るような一枚となっている。

Album 『日出処』

Tracklist
01. 静かなる逆襲
02. 自由へ道連れ
03. 走れゎナンバー
04. 赤道を越えたら
05. JL005便で
06. ちちんぷいぷい
07. 今
08. いろはにほへと
09. ありきたりな女
10. カーネーション
11. 孤独のあかつき
12. NIPPON
13. ありあまる富
Post-Progressive界の第一人者 ・・・事の発端は、昨年リリースされた赤い公園の『猛烈リトミック』、そしてきのこ帝国の『フェイクワールドワンダーランド』で、今年に入ってからは相対性理論のライブを皮切りに、tricotやねごとはじめとした、それらのガールズ・ロックおよび女性ボーカルバンドの楽曲を聴いてもの凄く痛感した事があって、それは椎名林檎という一人のババアもとい一人の女性アーティストの存在が、いかに日本の音楽シーンに多大な影響を与えてきたのかという事で、それに伴って→【なぜ日本におけるPost-Progressiveが女性的なジャンルであるのか?】という疑問にブチ当たった。何を話そう、その疑問に対する答えは、既に約10年以上前の椎名林檎が証明していると言っても過言じゃあなくて、それこそ昨年リリースされたオリジナル・アルバムとしては約5年半ぶりとなる5thアルバム『日出処』は、この椎名林檎が日本におけるPost-Progressive界の第一人者であるという事実を物語るような一枚となっている。
『音楽の王道』=『黄金の道』 ・・・まるで椎名林檎が執り仕切るキャバレーの開演を知らせる合図の如く、トランペットやサックスが織りなすダーティなブラスとジャジーでアダルトな世界観を繰り広げていく#1”静かなる逆襲”は、初っ端の「東京なんてのは危険なトコよ」とかいう歌詞をはじめ"らしさ"のあるシニカルな歌詞からして、つい最近きのこ帝国のアンダーグラウンドからメインストリームへの移行を目の当たりにした身には痛く染みるほど、もはやソレに対する皮肉にも聞こえて俄然面白いし、お得意の転調から巻き舌風にオラオラと捲し立てる大サビまでのポスト-な展開力にはぐうの音も出ない。で、まるでRATMばりのUSヘヴィロック然とした縦ノリグルーヴで幕開けを飾り、ハードロック調のアッパーなノリで展開していく#2”自由へ道ずれ”は、それこそアルバムのリード・トラックと呼ぶに相応しい、驚くほどストレートでシンプルかつキャッチーな、そして作品の明確なツカミとしてその大胆不敵な存在感を放っている。一転してフルートのエスニックな音色とファンキーなバンド・サウンドが、初期の傑作『勝訴ストリップ』の”虚言症”をフラッシュバックさせるワチャワチャしたリズム&グルーヴを刻んでいく#3”走れわナンバー”、それに負けじとイヴァン・リンスのボイスとトロンボーンをフューチャーしたジャズナンバーの#4”赤道を越えたら”、また一転してエレクトロな打ち込みと壮麗優美なストリングスがシリアスに交錯する、それこそPost-Progressiveに精通するオルタナチューンの#5”JLOO5便”、まるで気分は怪盗ルパン三世あるいはカウボーイビバップな映画音楽顔負けのスケール感溢れるブラスとド派手なストリングス、そしてGrimesやSusanne SundførをはじめとしたSSW/海外アート・ポップ勢に負けず劣らずな日本人らしいコピー能力の高さを発揮する林ンゴのオリエンタルなボーカル、極めつけは「テレッテッテッテーテレレテーレレレ…Ringo!!」とかいうアゲアゲなコーラスに草木生える#6”ちちんぷいぷい”、また一転してケルティックなアレンジと壮麗なストリングスを擁したドラマティックなバラードナンバーの#7”今”、若作りに必死なババアの激萌えボーカルとチェンバロの摩訶不思議な音色が織りなす、一種のおとぎ話のようにアンニュイでメルヘンチックな世界へと聴く者を誘い込んで行き、そして転調に次ぐ転調を見せる後半の展開、そのポスト-な展開力をはじめギターの音使いからも、林ンゴのプログレッシブ・ミュージックに対する見識の広さを垣間見る事ができる#8”いろはにほへと”、ピアノ一本で聴かせるシンプルなバラードかと思いきや、間もなく高鳴る心臓の鼓動のように力強くテンポアップして純情的かつ情熱的な歌声を披露する#9”ありきたりな女”、終盤は朝ドラのOPでお馴染みの#10”カーネーション”、この手の打ち込みメインの英詞曲やらせたら菅野よう子の右に出る者は椎名林檎しかいないと思わせる#11”孤独のあかつき”、そして「フエ~フエ~ニッポンハエ~」こと#12”NIPPON”から、児童合唱団による清らかなコーラスを駆使したクラシック/アコースティックなシットリ系バラードの#13”ありあまる富”まで、林ンゴ自ら「もう王道のことしかしたくない」と語るように、
オルタナとしてもプログレとしても普遍的なJ-POPとしても聴けちゃう懐の深さ、アヴァンギャルドに見せかけて『王道』、奇をてらったように見せかけて『王道』、これぞ『王道』、まさに王道中の『王道』を行く『王道音楽』だ。本来、王道だけの音楽って面白くもなんともないハズなのに、むしろ『王道』のことしかやってないのに、それこそ王道的なことの面白さ、素晴らしさを突き詰めたような一枚と言える。つまりこの『日出処』には、椎名林檎なりの『王道の道』、すなわち『黄金の道』が描かれている。もはや椎名林檎とかいう女は、『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦や『インターステラー』のクリストファー・ノーランが映画あるいは漫画という創作場の中で描き出している『王道映画』及び『王道漫画』を、この椎名林檎は音楽の世界で『王道音楽』として表現しようとしているのかもしれない。
椎名林檎はプログレ ・・・このアルバム、ほぼ全曲にタイアップが付いている。よってその音に一貫性というのは皆無で、しかしバラバラの楽曲コンセプトを一つにパッケージングしてアルバム『日出処』として一つの物語を完結させてしまう、もはや音楽の枠組みを超えた1人のクリエイターとしての椎名林檎にリスペクト不可避だし、同時に「ババア最高だ・・・」ってなる。とは言え、なんだかんだ東京事変で培ったジャジーでアヴァンギャルドなサウンドを聴かせる序盤、そんな中で"自由へ道連れ"のようなベッタベタなロックチューンを2曲に配置する曲順も実に王道的だし、そのアダルトな雰囲気から”赤道を越えたら”→”JLOO5便”→”ちちんぷいぷい”までの流れは本作のハイライトで、この椎名林檎がなぜオルタティブババアと称されるのか?なぜアヴァンギャルド変態ババアと称されるのか?その所以を垣間見る事ができる。中盤以降は、総勢数十名を超えるストリングスを全面にフューチャーしたプログレ度マシマシな楽曲が続き、その極めつけに【椎名林檎はプログレ】である事を証明するかのような曲で、そして【なぜ日本におけるPost-Progressiveが女性的なジャンルであるのか?】の答えを指し示すかのような”いろはにほへと”の存在感ったらなくて、もはや森は生きているの岡田君がブヒりそうな気配すらある名曲だ。しかし、今作から醸し出される謎のプログレ感はそれだけじゃあなくて、それは今作の曲と曲の繋ぎが驚くほど自然(スムーズ)な所で、その音の繋ぎの異常な"こだわり"や細かな気配りが過去最高に研ぎ澄まされた結果、アルバム終盤の朝ドラOPすら例の「ニッポンハエ~」すらもアルバム曲として違和感なく馴染んでいる。というより、アルバムを通して聴いた時の違和感というか異物感を最小限に抑える事を最大限に考慮した曲順が功を奏していて、つまり全13曲まとめて一曲として聴かせる林ンゴの熟した身体に巻かれた一枚の絵巻物、それこそデカパイ(擬乳)もといプログレだ。これはプログレ以外ナニモノでもないのだ。
椎名林檎≒ANATHEMA ・・・昨今、かのスティーヴン・ウィルソンを中心とした本場イギリスのPost-Progressive界にも、大所帯のストリングスを積極的に曲に組み込む流れがあるのを読者はご存知のはずだが、結論から言ってしまえば→待望の来日公演が決まった【ANATHEMAの『Distant Satellites』はPost-JPOPである】という俺の解釈を、このJ-POP界の女王すなわち卑弥呼である椎名林檎が身をもって証明してくれたのだ。おいら、一般的なJ-POPの嫌な所って、とりあえずサビでストリングス鳴らしときゃエエやろ的な、全く必然性の感じられないストリングスを平然と使い回すのが本当に嫌で、もはやバカにされているような気分になってしまうのだけど、しかしこの『日出処』の中で展開されるストリングスというのは、(これだけ過剰にストリングスぶっ放してんのにも関わらず)ダメな邦楽にありがちなストリングスの安売りとは正反対のソレで、それこそANATHEMAの『Distant Satellites』と同じように必然的かつ必要不可欠な音として存在している。また面白いのは、この『日出処』とかいうタイトルの意味で、一見【日出ずる国のシンボルを背にしたブロンドヘアーの日本人】という皮肉の効いたジャケや「ニッポンハエ~」とかいうネトウヨマーケティングを狙った曲からも『日本』を指す語だと考えがちだが、林ンゴいわく「陽の光」をイメージして付けられたタイトルとの事で、そんな所からも俄然ANATHEMAの音楽性及び世界観と椎名林檎の親和性を見出す事ができる。

↓↓↓

邦楽界のスティーヴン・ウィルソン ・・・もちろん初期の毒素やヤンデレ感は皆無に近いが、とは言えこれは紛れもなく椎名林檎のアルバムだ。しかし、それ以前にJ-POPのお手本のようなアルバムでもあって、今作の中にはJ-POPの『王道』を知っている人の素晴らしいメロディとJ-POPの『王道』を知っている人の素晴らしいソングライティング以外の概念は存在しない。それこそ現代の『勝訴ストリップ』、というより漢字とカタカナを組み合わせたタイトルからも分かるように、津野米咲自身が意図的にソレを狙って作った赤い公園の『猛烈リトミック』も、実にバラエティに富んだ傑作アルバムだった。が、この『日出処』は更にその上をいく、 楽曲のコンセプトや和洋ごちゃ混ぜのオリエンタルな林ンゴのボーカルやバックの音使い的にも、まさに本当の意味でバラエティ&バラエティなアルバムと言えるのかもしれない。洋楽は大手女性SSW、かたや邦楽は菅野よう子から森は生きているに至るまで、もはや邦楽界のスティーヴン・ウィルソンと呼ぶに相応しい日本人らしい咀嚼能力の高さと器用過ぎる創作技術を、いわゆる椎名林檎ごっこに余念がない昨今のガールズ系バンドに格の違いを見せつけるような、かつ今の日本に対する林ンゴらしい皮肉が込められた隙のない傑作だ。
「お~い佐藤~!椎名林檎ごっこしようぜ~!」

↓↓↓
「アホくせぇ」
「アホくせぇ」

椎名林檎ごっこ ・・・と言えば→まず赤い公園は、2ndアルバム『猛烈リトミック』の楽曲プロデュースをはじめ、遂には津野米咲が亀田のおっさんとバンド組み始めたり、このタイミングでねごとのドラマー澤村小夜子も亀田のおっさんプロデュースのGLAYの新曲に参加したり、一方でtricotは2ndアルバム『A N D』の中でこの
『日出処』にも参加しているex-東京事変のドラマー刄田綴色やH ZETT Mことヒイズミマサユ機とコラボしてたり、一方できのこ帝国は林ンゴの背中を追うようにしてEMIからメジャーデビューを果たし、そして最新シングルの『桜が咲く前に』では名盤『勝訴ストリップ』を手がけた井上うにをエンジニアとして迎え入れ、その楽曲もポスト-椎名林檎を襲名するかのような作風だった。そのようにして、椎名林檎が生まれた1978年から十年後の1988年に自分をはじめ(えっ)、きのこ帝国の佐藤千亜妃やtricotのヒロミ・ヒロヒロが誕生し(定期的にヒロミ・ヒロヒロを推していくスタイル)、その世代が成長して音楽を聴く側から創る側になった結果、どのバンドも何かしらどこかしらの部分で林ンゴからの影響を著しく受けている現状からも、あらためて椎名林檎が当時の音楽シーンに与えた衝撃、その計り知れない大きさを物語っている。全盛期が過ぎ去った今も、これからも椎名林檎は常に邦楽界の最先端を行く唯一無二の存在、J-POP界のセックスシンボルすなわち『SUNNY』であり続けるのだろう。
「お~い津野~!椎名林檎ごっこしようぜ~!」

↓↓↓

『林檎フェス』
・・・昨年の後半から今年に入ってからも漠然としたままガールズ系バンドの尻を追っかけてきて、しかしその先に一体何があるのか?一体どんなオチがつくのか?と自分でも不安に思っていたけど、結局そのオチは他でもない椎名林檎のデカパイ(擬乳)だった、というわけです。決して今の林ンゴを聴かず嫌いしていたというわけじゃあないけど、いかんせん『勝訴ストリップ
』信者の自分は今作を積極的に聴こうという気持ちにはなれなくて、確かになぜ今更みたいに思うかもしれないが、むしろ逆に今このタイミングだからこそ意味があったと、上半期の流れを汲んで満を持して聴いたからこそ得ることができた感動なのかも知れない。それくらい、今の自分の耳に驚くほどマッチングする内容だったし、それこそ上半期の流れを総括するかのような、それと同時に、あらためて【音楽即ち引力】だという事を確信させるような音楽体験だった。で、この音楽体験から予測できる事があるとすれば、それは近い将来、椎名林檎主宰の『林檎フェス』が開催される可能性で、そのフェスを成功させて初めて椎名林檎は日出ずる処のシンボル、すなわち卑弥呼として邦楽界の頂点に即位し、そして腐海に沈んだ日出ずる国は真のクリエイティブ
国家として復活を遂げるッ!林ンゴよ、今こそ貴様が与えられた使命を全うする時だ...ッ!



・・・「誰かと出会いたい一心で音楽をやっている」
・・・「佐藤千亜妃...僕と出会おう!」
・・・「アホくせぇ」
・・・「てか佐藤の下の名前標記って千亜妃だったの!?」
・・・「イカくせぇ」
・・・「イカ大王様だーーーーーーーーー!!」











