この訃報を聞いた時はしばらく動悸が止まらなかった。
確かに、確かに赤い公園についてはこのブログで好き勝手書いてきたけれど、津野米咲が亡くなったのは「俺のせい」だなんて話は、それこそ自意識過剰の勘違い野郎でしかないので(そもそも津野がこんなブログ見てるわけがない)、そういう事は微塵も思ったりしないんですけど、確かに佐藤千明が脱退してから興味を無くした自分が「今更」何を言ったところで本当に「今更」だけど、でもこの先死ぬまでずっと津野のいない世界が続いていくと考えただけでどうしようもない悲しみが込み上げてくる。
今年、この2020年における当ブログのラッキーカラーって「オレンジ」あるいは「Orange」もしくは「Oranssi」だったのと、事実上の津野の遺作であり最新シングルのタイトルが『オレンジ』なのは偶然の一致と思いたい。その名前にOranssiを冠するブラック・メタルバンドの新作でも、日本のシンガーソングライター岡田拓郎の新作でも赤い公園の影がチラついたのも事実だけど、それについては津野が筋金入りのジム・オルーク好きと知って腑に落ちた。そのジム・オルークとのコラボでも知られるギタリスト=クリスチャン・フェネスが、Ulverの新作『惡の華』で披露した唸るように歪みまくったギターノイズにも津野米咲の影が脳裏を過った。僕は知らず知らずのうちに赤い公園の残像を追い求めていたのかもしれない。まだ『華』のある20代のうちに死にたかったなんて推測するだけ無駄だけど、その『命』という名の『華』の散らせ方=終末論が津野なりの『惡の華』の咲かせ方だったんだろうね。
この訃報に寄せられたロキノン編集長の言葉にもあるように、赤い公園が2014年に発表した歴史的名盤『猛烈リトミック』に反応できない現代日本人の反知性主義が極まった結果が昨今における『鬼滅の刃』ブームで、その設定/ストーリー/キャラクター/絵柄まで歴代のジャンプ漫画からトレースしただけのような、つまり赤い公園の音楽とは真逆のオリジナリティのカケラもない、何も考えなくても脳死で喜怒哀楽できるジャンプ史上最悪の駄作漫画を有り難がっている日本人の未熟な感性が憎い。
僕は思う。津野米咲を殺した犯人の正体は、その日本人の幼稚な感性であると。