Artist Leprous
Album 『Aphelion』
Tracklist
Album 『Aphelion』
Tracklist
01. Running Low
02. Out of Here
03. Silhouette
04. All The Moments
05. Have You Ever?
07. The Shadow Side
08. On Hold
09. Castaway Angels
10. Nighttime Disguise
あくまで個人的な意見を述べるとするなら、今のLeprousって名物フロントマンのエイナルがシャンソン歌手ばりにエグい歌唱力を習得してしまった結果、隣国スウェーデンから颯爽と登場し光の速さで消えた某ダーティ・ループスが闇落ちした変態ポップスみたいなイメージあって、そんな彼らの前作から約2年ぶりとなる7thアルバム『Aphelion』は、冒頭の“Running Low”からエイナルのソウルフルな超絶的歌唱力とサスペンスフルなストリングス(チェロ)をフィーチャーした、それこそ脱メタル化したOpethリスペクトな奇々怪々のアヴァン・プログレを軸に展開される、オペラティックかつギャルドな北欧産劇団四季さながらの孤高の世界観は、通算七作目にして更なる深化を遂げている。
そのメタルやプログレやオルタナなどの概念を超越した、例えばメシュガーの存在自体が誰も真似できない一つの音楽ジャンルなら、このLeprousもメシュガーの後継者でも、Post-Djentでも、エクストリーム・メタルでも、極端な話もはやロックですらない別の何か、さしずめシャンソンあるいはゴスペルの亜種みたいな喜劇的かつ実験的な音楽は、哲学者ニーチェが提唱する深淵の精神世界に聴くものを引きずり込む。
2011年の2ndアルバムから2019年の前作までは、イェンス・ボグレン~デヴィッド・カスティロラインの王道路線を貫き通してきた彼らだが、本作に至ってはLeprousとともに10年間歩んできたそれらの(裏方)エンジニアとは完全に手を切った形で制作され、彼らは10年のディケイドを区切りにメタルというジャンルを超越した先にある、人類がまだ見ぬ未踏の地に歩まんとする強い意思を感じさせる作品でもある。
インダストリアルなオルタナ成分を強調した#3“Silhouette”、シガーロスに急接近するポストロック的な#4“All The Moments”、そしてその超越的な意識の高さを象徴する#5“Have You Ever?”は、そのエイフェックス・ツインばりに低音を効かせたダークなエレクトロな電子的アプローチをはじめスリリングなストリングやピアノを擁した作家性の強い作風という面でも、現代プログレ界を代表するスティーヴン・ウィルソンのソロプロジェクトにおけるエクストリームではなくエクスペリメンタルなアート・ロック、その系譜に名を連ねるようになった事を意味している。その伝統的なクラシック・ロックとモダンな電子音がジャンルの垣根を超えて共存し合うジャンルレスな音世界は、それこそ“イェンスの呪縛”から逃れて初めて自由を手にした本作だからこそ可能にしたものと言える。
個人的に、ex-KATATONIAのDaniel Liljekvistの次の好きなメタルドラマーであるBaard Kolstadのドラムが堪能できる、と同時にようやく「レプティリアンらしい、もといレプラスらしい」と呼べなくもないシングル曲の#6“The Silent Revelation”に至っても、メタラーがイメージするような普通のメタルとは一線を画す曲なのは確か。と愚痴ってみても、センセーショナルに煽るストリングスとサンダーキャット並のコーラスワークを駆使したファンキーでブルージーな#7“The Shadow Side”、完全にあの往年の名曲のオマージュというかカバー曲にしか聴こえない、まさにシャンソン歌手さながらのエイナルの超絶歌唱が炸裂する慈悲深きバラードの#8“On Hold”、からの素直に感動を覚えるほど優美なアコースティック・バラードの#9“Castaway Angels”、そして最後の最後にメシュガーの正統後継者感をチラ見せするドSな#10“Nighttime Disguise”まで、正直ここまでの説得力しかない歌声を目の前にしたら、どんな不平不満も「全部許す!」となっちゃうのも事実。
でも正直、前作を踏襲したこの「エイナルのオナニー路線」も本作でやりきった感は否めないので、次作あたりでそろそろメタル路線に回帰してほしいというか、リアルな話...次作以降もこの路線が続くとなると天才ドラマーのバードくんが脱退する可能性が著しく高まってきそうなので、唯一そこだけは懸念する部分。確かに、本作は一聴するだけでは地味に聴こえがちだけど、噛めば噛むほど味が出るスルメタイプの作品であることは確かで、脱イェンスして初となる本作は本作で過去作同様に飽きさせない豊富なアレンジと各メンバーの変態的なスキルに裏打ちされた楽曲の完成度は尋常じゃないほど高く(事実、近作の中では一番好き)、最後の#10も一応メタラーに対してのアリバイ作りになってるというか、それこそ次回作の伏線である可能性もなきにしもあらず。しかし、そんな淡い期待を持つよりも今はバードくんの生え際が心配で夜も眠れない。
でも正直、前作を踏襲したこの「エイナルのオナニー路線」も本作でやりきった感は否めないので、次作あたりでそろそろメタル路線に回帰してほしいというか、リアルな話...次作以降もこの路線が続くとなると天才ドラマーのバードくんが脱退する可能性が著しく高まってきそうなので、唯一そこだけは懸念する部分。確かに、本作は一聴するだけでは地味に聴こえがちだけど、噛めば噛むほど味が出るスルメタイプの作品であることは確かで、脱イェンスして初となる本作は本作で過去作同様に飽きさせない豊富なアレンジと各メンバーの変態的なスキルに裏打ちされた楽曲の完成度は尋常じゃないほど高く(事実、近作の中では一番好き)、最後の#10も一応メタラーに対してのアリバイ作りになってるというか、それこそ次回作の伏線である可能性もなきにしもあらず。しかし、そんな淡い期待を持つよりも今はバードくんの生え際が心配で夜も眠れない。