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墓っ地・ざ・ろっく!

新世代メタル

Vein.fm - This World Is Going To Ruin You

Artist Vein.fm
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Album 『This World Is Going To Ruin You』
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Tracklist
01. Welcome Home
03. Versus Wyoming
04. Fear In Non Fiction
05. Lights Out
06. Wherever You Are
07. Magazine Beach
08. Inside Design
09. Hellnight
10. Orgy In The Morgue
11. Wavery
12. Funeral Sound

ボストン出身のVeinといえば、2018年に1stアルバム『Errorzone』を発表するやいなや、そのTDEP顔負けの次世代のマシズモと同郷のレジェンドConverge譲りのボストン・ハードコアがエクストリーム合体したカオティックなサウンドで、一躍「新世代メタル」の最右翼に躍り出た新星バンドだが、その1stアルバムから約4年の月日を経てリリースされた待望の2ndアルバム『This World Is Going To Ruin You』において、まさか業界最王手ニュークリア・ブラストの仲間入りを果たすなんて夢にも思わなかった。そして、レーベル案件のみならずバンド名もVeinからVein.fmへと改名して心機一転となる一枚となっている。


持ち前の脳天に3㌧ハンマーを叩き込む勢いのボストン・ハードコアmeetマスコア的なサウンドを軸に、Gojiraやメシュガーらの00年代を代表するエクストリーム・メタルの影響下にあるエクスペリメンタルな新世代メタルは、この2ndアルバムにおいても不変極まりないが、それこそ冒頭の#1“Welcome Home”のスラッジ級の轟音や#2“The Killing Womb”のMVにおけるイキリ具合からも分かるように、彼らと同じく新世代メタルのライバルとしてシノギを削るコード・オレンジ『Underneath』に対する回答とばかりのエクストリーム・メタルコアを展開している。その形相は、まるでCode Orange KidsからCode Orangeに改名した彼らへの挑戦状であるかの如く。

俄然そのコード・オレンジ的なイキリメタルコアを印象づける、いわゆるポストハードコアならではのエモいクリーンボイスを大胆に取り入れた#4“Fear In Non Fiction”、そして#6“Wherever You Are”や#12“Funeral Sound”を筆頭に各楽曲で垣間見せる、2020年作の過去楽曲をリミックスを交えて再構築したコンピアルバム『Old Data In A New Machine Vol. 1』で培った、洗練された大都市の裏側に潜む半地下の闇を映し出す、それこそDeftonesに肉薄するダークアーバンかつ病的な世界観と従来のコアいスタイルをシームレスに融け合わせる事に成功している。

また、本作から大手ニュークリア・ブラストと業務提携した影響か、1stアルバム時代の(ホラー映画『チャッキー』のTシャツ着てるヤベー奴らが奏でる)アンダーグラウンドなハードコア/パンクの文脈に直通するモッシュッシュなブレイクダウンを筆頭に、チャッキーばりにキマっちゃってる焦燥的な危うさと引き換えに、メジャー感あふれる普遍的なメタルコアとしてのダイナミズムおよび楽曲のスケール感を獲得している。例えるなら、18禁.fmから15禁.fmに表現内容の対象年齢が引き下げられた感じ。それにより、マスコア経由のプログレッシブな変拍子やグルーヴィなリズムからなる、楽曲のフック(コア)に直結していた変態的なマシズモは影を潜め、より新世代メタル仕様のヘヴィネスの厚みとソリッドさがマシにマシており、それらの微細な「変化」は彼ら自身が新世代メタルを牽引する現状の立場を理解し、そしてシーンの代表者としての自意識の芽生えを示唆している。しかし、グロテスクなヘヴィネスやドラムの音作りに関しては、それこそ“メジャー感”という語源の曖昧さを裏付ける没個性的的な本作よりも、圧倒的に1stアルバムのがオルタナティブなセンスを感じたのも事実。この辺は利害得失の関係性にあり、リスナーの間で賛否両論を巻き起こしそうな争点となりそう。

正直、1stアルバム『Errorzone』が現代メタルコアの金字塔と呼ぶに相応しい名盤だっただけに、なまじ2ndアルバムを出す前に解散発表して「そして伝説へ...」みたいなオチを不安視してたのも事実で、しかし(決して否定的意見がないとは言わないが)本作において1stアルバムをベースに前作を経由させて正当進化した姿を目にしたらただの杞憂に過ぎなかった。なまじ最終兵器的な立場のVein.fmがこのレベルの作品を出してきたことで、昨今の新世代メタル(コア)シーンはコード・オレンジKnocked Looseが対角の二辺を担う正三角形すなわち三つ巴の関係が成立し、改めてこの界隈アツ過ぎるなって。要するに、彼ら以外にGojiraの作品にも携わっているプロデュース/エンジニアのウィル・パットニー最強!ってこと~。

Knocked Loose - A Tear In The Fabric Of Life

Artist Knocked Loose
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EP 『A Tear In The Fabric Of Life』
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Tracklist
01. Where Light Divides The Holler
02. God Knows
03. Forced To Stay
04. Contorted To The Faille
05. Return To Passion
06. Permanent

【ゴジラ+メシュガー=メシュゴジラ】という“10年代メタル王様ランキング”の上位ツートップがシーンに示した、いわゆる“10年代のヘヴィネス”と2020年以降の“20年代のヘヴィネス”を紡ぎ出す後継者としての新世代メタルを代表するコード・オレンジやボストン・ハードコアのvein、そして現にゴジラのツアーサポートとしてフックアップされているケンタッキー州はオールダム出身のKnocked LooseのEP『A Tear In The Fabric Of Life』は、彼らの専売特許であるビートダウン連発のデスウィッシュ系ハードコア・パンク/メタルコア側から、ライバルのveinに負けじとゴジラに代表される10sヘヴィネスの継承者を名乗り出るかのような一枚となっている。


何せ、Every Time I Dieveinの作品でもお馴染みのプロデューサー兼エンジニアのウィル・パットニーお抱えのバンドって時点で色々と察せなくもない立ち位置にいるバンドではあるが、中でも筆頭すべきは精神的な根っこはゴリゴリのハードコアながらも、スラッシュメタル王のスレイヤーの影響下にある殺傷力の高いソリッドなリフやHatebreedのジェイミー・ジャスタもビックリの無慈悲な脳筋ヘヴィネスをはじめ、特に20年代初の作品となるこのEPに限っては、往年のゴジラが生み出した白鯨が引き起こす大津波級のヘヴィネスはもとより、ライバルのvein的なインテリジェンス溢れるマス系のヘヴィネスとEPならではの実験性を垣間見せる、俄然スラッシーかつメタリックな過去イチで“メタル”やってる作風となっており、もはやいつロードランナーに引き抜かれるか状態にある。

出自がボストン・ハードコア系のveinといい、出自がガチデスウィッシュ系のコード・オレンジといい、ゴッリゴリのハードコア文脈から徐々にメタルへシフトしていく一連の動きはこの界隈における既定路線みたいなもんで、ここにきて若手ハードコア界の大本命が新世代メタルと邂逅してきた事に対しては、メタラー的には素直に歓迎したい所存ではある。そんな彼らの“新世代メタル化”を象徴する、まだ“生みの親”であるスラッシュメタル四天王の影響下にあった時代の白鯨を20年代仕様にアップデイトさせたような、Knocked Looseにとってある種の“生みの親”である白鯨への回答としての2“God Knows”は、1stアルバムの“Deadringer”でもお馴染みの急な転調から謎のムード歌謡ブッ込みギミックを踏襲している。ともあれ本作は、間違いなくバンドの底上げとなること必須の作品であり、それすなわちバンドの未来を指し示す、彼らの今後の方向性を暗示するかのような作品でもある。

Infant Island 『Beneath』

Artist Infant Island
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Album 『Beneath』
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Tracklist
01. Here We Are
02. Signed In BLood
03. Content
04. The Garden
05. One Eyed
06. Death Portrait
07. Colossal Air
08. Stare Spells
09. Someplace Else

年明け早々、ピッツバーグのCode OrangeやUKのLoathe、そしてフィンランドのOranssi Pazuzuを皮切りに、新時代の幕開けを告げる新世代メタルの波が続々と押し寄せてきている昨今。そして、それと呼応するかのように、10年代のメタルシーンをピンク色に彩ったポスト・ブラックメタル界から20年代を象徴する新星が現れた。彼らこそ、2016年に結成されたバージニア州は独立市フレデリックスバーグ出身の5人組、その名もInfant Islandだった。

10年代のメタルシーンを象徴するポスト・ブラック、そのアイコニックな存在としてポストブラシーンを牽引してきたサンフランシスコ出身のDeafheaven、彼らが10年代に築き上げた成り上がりストーリー、その「伝説の始まり」を告げる1stアルバム『ユダ王国への道』が2011年に発表された当時は、その90年代のポストロック/シューゲイザーとDeathwish由来のカオティックな激情ハードコア/スクリーモをエクストリーム合体させたBlackgaze、それはまるでメタル界に突如として現れた巨大なモノリスであるかのように、アンダーグラウンドに生息するメタラーが得体の知れない『未知との遭遇』を経験してしまったような、それほどまでに彼らの登場は当時のメタルシーンに強烈な印象と戸惑いを植えつけた。ご存知、Deafheavenはその2年後にアンダーグラウンド・シーンのみならず世界的な音楽メディアを巻き込んでピンク色の衝撃を与えた歴史的名盤の『サンベイザー』という名の“NEW BLACK”の金字塔を打ち立てたのは今は昔。

何を隠そう、そのDeafheavenの伝説の1stアルバム『ユダ王国への道』が約10年の歳月を経て一巡した結果が、このInfant Islandの2ndアルバム『Beneath』なんじゃねぇかって。この手のメタル、というよりは初期envyに精通するエモ・スクリーモ/激情ハードコアをコープスメイクとしたブラックメタルで思い出されるのは、それこそDeafheavenの伝説の1stアルバムよりも前に発表された『指Demo』、そしてチェコ出身のnicこと██████が2013年に発表した伝説の『Demo』という「2枚のDemo」に他ならなかった。つまり、あの当時のDeafheavenみたいな“時代”を映し出すノスタルジックな懐かしさと「こいつら化ける感」を漂わせまくっているのがこいつら。

実は今年、この2ndアルバムがリリースされる一足先(4月)にEPの『Sepulcher』を発表していて、そのEPはグラインドコア経由の圧死不可避の脳天直輸入激情Blackgaze/カオティック・ハードコア~ドローン/アンビエントというバンドの二面性を分かりやすくシンプルに極めた初期衝動的な傑作で、その中にはいかにも初期のDeafheavenを彷彿とさせる確信犯的な約10分にも及ぶ長尺も存在していた。しかし、2010年あたりの『Demo』ムーブメントから2020年の現在までに「変化」が起きないはずもなく、Infant Islandが今作の中でやっているのは、シューゲイザーやアンビエント、ポストロックやノイズ、ドゥームやポストメタル、エモやポスト・ハードコア、それらの10年代いや00年代以前からメタルと邂逅してきた様々な音楽的サブジャンルをサクリファイスした、それこそCode OrangeLoatheと共振する20年代のイマドキのトレンドを網羅したエクストリーム・ミュージックは、もはやポストブラック云々以前に“新世代メタル”として認識すべき案件。

19世紀のロマン派の英国人画家で知られるジョン・マーティンの絵画から引用した、水彩画タッチのアートワークが同州主要都市のリッチモンド出身のアンダーグラウンド・メタルの雄Inter Armaを想起させるあたり、いかにもピッチフォークが推しそうなオーラを醸し出しているという余談はさて置き、今作の幕開けを飾る#1“Here We Are”のイントロからデンマークのMOLあるいはEarthニューロシスを連想させるドゥーム〜スロウコアラインのそれかと思いきや、突如ブラストビートで荒涼感を撒き散らしながら、予想だにしない急転直下の展開を絡めながら不規則で不気味な不快感を催す姿は邪悪そのもの。まさに混沌に次ぐ混沌、今度はコード・オレンジLiturgyを連想させるバグったノイズ禍が俄然このバンドの「得体の知れなさ」を増幅させる#2“Signed In BLood”、アンビエント系ポストロック由来のATMSフィールドを張り巡らせるイントロからポストメタリックなリフを駆使して激情的かつドラマティックに展開していく、それこそenvyの復活作にも精通するような#3“Content”Deafheavenの盟友ことBosse-de-Nage的なポスト・ハードコアの#4“The Garden”、ポストメタリックなヘヴィネスを強調する#6“Death Portrait”、そしてGrouper顔負けのスペース・アンビエントな#7“Colossal Air”から、DeafheavenDeathwish時代に置き忘れてきた“激情”を取り戻すかのような、激情ハードコアならではの内省的な寂寥感と粗暴なバイオレンスがせめぎ合い20年代最高のemo(イーモゥ)が炸裂する#8“Stare Spells”までの流れは今作のハイライトで、そのアウトロ的な役割を果たし、モノクロ傘の露先から雨が滴り落ちるようなピアノ主体のアンビエントが極上のカタルシスへと誘う#9“Someplace Else”まで、初期Deafheaven直系のエモ/激情性とLiturgy直系の超越的なノイズ/実験性とAltar of Plagues直系のポストメタリックなヘヴィネス/音像という、世界三大ポストブラックの遺伝子を均等に受け継いだ“20年代の(ポスト)(ブラック)(メタル)”は、この手のフォロワーとして有名なデンマークのMOLとも一見近いようで遠く、またメジャー化が著しい現在のDeafheavenよりも俄然アンダーグラウンドな音を鳴らしている。

結果的にEPとフルアルバム、またDeafheavenとの差別化が図れているというか、比較的エモ/スクリーモ〜アンビエント一辺倒だったEPをベースメイクとして、そこへ多種多様なトレンド/ジャンルをしたたかな色気をもって20年代仕様にアップデイトすることに成功したのが本作。またEPのように5分以上の長尺がなく、どれもコンパクトに収まっている分、バンドの生命線でありウリであるアンビエント〜ポストロックラインのインスト曲を織り込んだ組曲的な演出が効果的に活きている。あと、これは小ネタだけど、本作をBandcampで購入すると、今作のパンチラインを担う#4と#8だけそれぞれ固有のアートワーク(同ジョン・マーティン作)が表示されるという隠し要素もニクい演出。個人的に、このバンドの何が最高って、今作の#9やEP『Sepulcher』の表題曲にも象徴されるように、アンビエントはアンビエントでも、この世のものとは思えない天上で鳴り響く環境音楽みたいなピアノ主体のアンビエント・ポップが、界隈でも著名なリズ・ハリスGrouperに匹敵する品質なのが最も推せるポイント。

これは別に珍しいことでもないけれど、ちょっと面白いと思ったのは、この2ndアルバムよりも一ヶ月前にリリースされたEPの方がレコーディング時期が最近であるという点。公式に発表されている情報に基づくと、EPは2019年の12月から今年2020年の3月まで、2ndアルバムは2018年の12月から2019年の1月までの間。ちょうど一年の時差がある。事実、EPは『Demo』時代のDeafheavenっぽい印象で、それよりも以前にレコーディングされた2ndアルバムの方が20年代のトレンドを抑えているという時系列的な矛盾も面白い。つまり、楽曲は『Demo』時代っぽいのに音自体はとても今風に洗練されたEP、それに対して楽曲はもの凄くイマドキなのにそこはかとない古さを感じる2ndアルバム、その正体の違和感。むしろその“違和感”こそ、このバンドの真髄と呼べる部分なのかもしれない。
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