Artist lantanaquamara
new_lantana30

EP 『ランタナカマラ』
a0045954985_10

Tracklist
01. 図書館の葬列
02. 鳳凰木
03. 夏至を待つ夢はトンネルで
04. アルビノの流星雨
05. 華燭に抱かれた天文台

おいら、わりと長い間ブログやってるのに、今でもライブドアブログの設定とか仕様とか全然知らなくて、それこそブログの管理画面は記事を書く時によく使うけど、拍手コメントやメッセージ機能があるプロフィールの管理画面は滅多に見ることがなくて、だから未だに拍手コメやメッセージ機能の仕組みを理解していなかったりする(管理人なのに)。ブログのコメント機能は随分前にスパム対策で廃止したので、つまり当ブログとコンタクトを取る方法って実質拍手コメントやプロフのメッセージからしかできない状態になっている。で、めちゃくちゃ久しぶりに、それこそ数年ぶりくらいにプロフの管理画面を見たら、記事のミスを指摘する拍手コメとメッセージがいくつか届いてて、その中に「趣味が合うので会いたいです」みたいなメッセージもあって「いや怖すぎんだろお前」とか思ったりして、で去年のメッセージに音源レビューの掲載依頼という名の営業があって、その依頼者というのが以前ツイッターでやりとりしたことのある(らしい)、ポストメタルバンドlantanaquamaraSO)))氏だった。

「Thinking Man's Metal from JPN」をコンセプトに掲げる、そのSO)))君を中心に2013年に結成されたlantanaquamaraは、ボーカルのToshiya Kawamitsu氏とトラックメーカーのMata-Low氏による3人トリオだ。彼らが昨年の11月にリリースした1st EP『ランタナカマラ』は、Isis、envy、Deftones、Tool、Mogwai、Cult Of Luna等のようなバンドから影響を受けているが、結果として何かのコピーではなく、一定のオリジナリティを担保することに成功した作品であると自負するとおり、その手のポストメタル勢が築き上げた轟音ヘヴィロックを基礎に、そこへモダンでリリカルなアプローチを加えたサウンドスケープを展開している。

再生すると、難解なポエムでも朗読するかのような語り部からその詩的な世界観へと引き込む#1”図書館の葬列”で幕を開け、2曲目の”鳳凰木”では、イントロからIsisCult of Lunaを連想させるミニマルなプログラミング/エフェクトや近未来都市感溢れるレトロモダンなサウンドアプローチを垣間見せながら、envyリスペクトなカオティックHC系のスクリームとポストハードコア系のサウンド・スタイルを披露し、そしてクライマックスではRiversideばりの崇高なギターを靡かせてドラマティックな展開力と音のスケール感を力強くアピールしていく。

sleepmakeswavesを彷彿とさせるインスト系ポストロック譲りのメロウなセンスを覗かせる#3”夏至を待つ夢はトンネルで”を間に挟んで、イントロからメシュガーからの影響を感じさせるメタリックなリフで始まる#4”アルビノの流星雨”では、ボーカルのToshiya Kawamitsu氏がDIR EN GREYの大ファンと言うだけあって、その影響を顕著に垣間見せるような、文学的もしくは哲学的な歌詞というよりは『言葉』の短文を積み重ねていき、lantanaquamaraの中に隠された一面でもある「ヴィジュアル系」の世界観を繰り広げていく。この歌詞の中二病っぽさは極めてV系的と言える。

オルゴールやオルガンを駆使した雰囲気のあるイントロから、探偵小説ばりに謎めいた世界観を形成する”華燭に抱かれた天文台”は、それこそアートワークの神聖な宮殿をモチーフにした荘厳かつ重厚な世界観と彼らのウリである詩的なポエムワールドが、けたたましいウネリをあげるような轟音ヘヴィネスとともに爆発する、それこそlantanaquamaraが持つ魅力の全てが詰まったような一曲だ。この曲を聴いてしまえば、SO)))君のコンポーザー能力に何の疑いも出ないだろう。

「文学的」なバンドと言えば、ハルキスト系プログレ・バンドの森は生きているが2015年に解散したのはわりとマジでショックだったのだけど、彼らとは音楽性こそ違うが、その江戸川乱歩的な曲名をはじめポエティックな世界観は森は生きているに通じるモノがある。このlantanaquamara、随所で垣間見せるそのメロディセンスは目を見張るものがあるし、変拍子を交えたインテリジェンスでドラマティックな展開力も聴き応え十分だが、まず何よりも「詞の世界」に注目して欲しいバンドだ。

このEPでは、その手のポスト-系でもV系でもナニ系でも、どの方向性にも進めるバンドの未来とその可能性を無限大に感じさせるほど、ポストメタル勢のフォロワー的な部分とインテリこじらせた文学的かつコンセプティブな歌詞世界をはじめとしたオリジナルの部分が上手く融け合っている。これは俄然フルアルバムに期待を持たせる力作だ。