Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

叫ぶ女

Rolo Tomassi - Where Myth Becomes Memory

Artist Rolo Tomassi
0027010715_10

Album 『Where Myth Becomes Memory』
a0047102255_16

Tracklist
01. Almost Always
03. Mutual Ruin
04. Labyrinthine
05. Closer
06. Drip
07. Prescience
08. Stumbling
09. To Resist Forgetting
10. The End Of Eternity

Holy Roar Recordsの創始者であるアレックス・フィッツパトリックが複数の女性から性的暴行を告発された件で、レーベルの看板娘であり屋台骨として二人三脚で長年共に歩んできたホームグラウンドから強制退去を余儀なくされたUKポストハードコアバンド、Rolo Tomassiの約4年ぶりとなる6thアルバム『Where Myth Becomes Memory』は、Black Label SocietyHigh On Fireが在籍するニューヨークのインディーズレーベルMNRK Heavyへ移籍して初となる作品。

改めて、UKの気鋭インディーズレーベルとしてメタルヘッズから一目置かれていたHoly Roar Recordsといえば、いわゆるUKポストハードコア系のバンドを主戦としながらも、昨今のメタルシーンにおけるトレンドのDeafheavenに象徴されるポストメタルムーブメントに乗っかる事に成功し、それこそRolo TomassiがHoly Roarへの置き土産として遺した前作の5thアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』は、DFHVNからの色濃い影響下にあるブラックゲイズをはじめポストロックおよびポストメタルを経由したオルタナティブな側面を大胆に取り入れたエクストリーム・ミュージックの金字塔と呼べる名盤だった。

心機一転、新天地からリリースされた本作においても彼らの革新的なアイデンティティは不変で、その先見性に富んだサウンド・スタイルは複雑極まりない静と動のコントラストを効かせたポストメタル/ポストロックの方向性へと舵を切っている。それにより持ち前のカオティックなマシズモは著しく減退した印象で、鍵盤奏者のジェイムズ・スペンス兄貴が奏でるリリカルな物語性を演出する神秘的なメロディを一歩前に打ち出したスタイルを軸としている。

幕開けを飾る#1“Almost Always”からして、それこそ2015年作の『Grievances』から始まり前作の『Time Will Die And Love Will Bury It』を経て本作まで続く三部作において、平凡なTDEPフォロワーだった彼らをTranscendentalな超越した存在に仕立て上げたRitual=儀式という名の魔改造に使用した禁忌の遺伝子(DNA)であるDeafheaven『サンベイザー』ばりにピンク色のノイズを撒き散らしながら、次第にピアノをフィーチャーしたATMSフィールドをまとったアンビエントな神秘世界を形成し、すると「叫ぶ女」界の特攻隊長であるエヴァ・スペンスたそが著しく洗練されたクリーンボイスで歌い上げる、まるでクソお世話になったアレックス・フィッツパトリックに対する「グッバイ」という餞別の言葉を示唆するリリックとともに、現代的なポストメタル然とした轟音が放つ怒涛のスケールとダイナミズムが俄然ドラマティックに物語を紡ぎ出していく。

全体を通して一聴する限りでは前作から特に大きな変化はない作風だと思いがちだが、本作において彼らがいかに凄いのかを証明するのが本作のハイライトを飾る#8“To Resist Forgetting”における、それこそまさにDeftonesが2020年作の『Ohms』においてシーンに啓示した“20年代のヘヴィネス”という現代ポストメタルの基準を、Rolo Tomassiなりの解釈で次世代のブラッケンド・ヘヴィネスあるいは全く新しいオルタナティブ・ヘヴィの一つの答えとして“ヘヴィネス”の概念を新世代仕様にアップデイトしている点←この一点に尽きる。それ即ち、マスコアレジェンドTDEPのマシズモを正統に受け継ぎながらも(出自)、10年代のメタルを象徴するDeafheavenを遺伝子組み換えレベルで経由して(フィッツパトリックによる魔改造)、そして出自もDNA(PINK BLOOD)も超越した本作でDefotnesMastodonに代表される今現在のヘヴィミュージックの最先端その先っちょまで到達しちゃってるエモさったらないというか、つまりあのTDEPすらなし得なかった偉業を成し遂げているヤバさ。とにかく、古巣のHoly Roar時代に培ったオルタナティブな革新性および先見性を今なお貫き通している事実に泣くし、それが、それこそが“元親”であるアレックス・フィッツパトリック改めアレックス・やらかし・フィッツパトリックに対する“娘”からの最大級の賛辞であり、これ以上ない別れの挨拶となっている。


もちろん、作品の衝撃度という点においては前作に劣るが、その前作において確立したエクストリームメタルを著しくトレンディにブラッシュアップした本作は、2015年作から続く三部作の最終章を飾るに相応しい集大成、と同時に自ら新天地からの再出発を祝うかのような傑作です。とにかく、このRolo TomassiがVevo化したのは素直に感慨深いものがあるというか、不謹慎だけどフィッツパトリックがやらかさなかったら実現しなかった案件なのも事実。

BBTSことBroken By The Screamの“ダブル・ジョージ”が叫びすぎな件について


「元祖叫ぶ女」ことアンジェラ・ゴソウの正統後継者であるパスコのちゆな勇退、そのちゆなの後釜として指名された有馬記念もとい有馬えみりは、JK時代からアチエネや現アチエネのボーカル=アリッサの古巣であるThe Agonistをはじめ、他にもSuicide SilenceBMTH、国内ではDIR EN GREYのデスボイスカバーを動画サイトに公開してきた実績のあるガチメタル女子で、このように現代のアイドルシーンにおいてヘヴィなメタルサウンドとスクリームやデスボを組み合わせたスタイルは珍しくもなくなり、世はまさに「デスボ系アイドル」の群雄割拠と言わんばかりだ。


パスコのちゆながここまで引退を惜しまれる理由って、その他に類を見ない独自性の高いシャウトのオリジナリティに尽きると思う。ひとえに「叫ぶ女」といっても、高域寄りのシャウトか低域寄りのデスボか、それとも地声の延長線上にある似非シャウトか、それぞれ個人の性質によって得意とする声域や声の出し方も大きく変わってくる。例えば、神激こと神使轟く、激情の如く。のデスボ担当である涙染あまねは、その「V系顔の理想」であるヴィジュアル面からもV系を代表するDIR EN GREYの京やLynch.の葉月リスペクトなシャウターかと思いきや、その実は昨年脱退したデスボ担当妖精かなめのシャウティングを『ルックバック』してきた、ラウドル界を代表するシャウターの一人であり、僕の推しメンでもあるw


このメタル系スクリーミングアイドルの通称BBTSことBroken By The Screamは(こんな名前の海外バンドいた気がする)、それこそDeafheavenジョージ・クラーク顔負けの金切り声を持つカグラと、デスメタルの始祖カニコージョージ・フィッシャー顔負けの低音グロウルを持つイオ、そのUSメタルシーンを代表する二大バンドのフロントマン、すなわち“ダブル・ジョージ”の正統後継者を襲名するかのようなカグラとイオの“ジョージ姉妹”が放つスクリーム/グロウルに、いわゆるブルデスやデスコアを基調とした殺傷能力の高い暴虐的なサウンドが組み合わさった、あのメタルゴッドちゃんもビックリのエクストリーム・メタルは、“ジョージ姉妹”以外のメンバーであるヤエとアヤメのクリーン担当の存在によって、かろうじて“アイドル”の体をなしている。

わざわざ「かろうじて」と念頭に置かざるを得ないほど、その“ジョージ姉妹”の叫び声を中心に想像を超えたアグレッシヴかつブルータルな本格派メタルを繰り広げる。中でも往年の北欧メロデス/デスラッシュばりにソリッドな単音リフは、そのカニコーの血みどろジャケットリスペクトな血なまぐさい音楽性を更に硫酸ドロドロなんでも溶かす。また、DIR EN GREYの京の声帯が分裂したかのようなブラックメタル的な高域デスとデスメタル的な低域デスを配している点やモダンなデスコアっぽい部分はAbigail Williamsを、また近未来型Djentやジャズ/フュージョンにも精通する超絶テクニカルなギター/ソロワークからは、あのBorn of Osirisを彷彿とさせた。正直、ここまでエクストリームなメタルやってるなら、今後の楽曲に通称“イヤイヤ期”のDFHVN的なブラックゲイズ成分やトレモロなんか取り入れたりしたらもっと楽曲の幅が広がりそう。

もはや「とんでもねぇアイドル」としか形容しようがないラウドルがBBTSで、しかしイオの(地声の乗らない)グロウルは一体どうやって発声しているのか、完全に想像を超えた世界の領域。それこそ、通称デスのお兄さんの言う通り耳を疑うレベルのデスボで笑う↓

PassCodeの新曲が「叫ぶ女」の真骨頂な件について



これもう完全にRolo Tomassi「叫ぶ女」ことエバちゃんへの回答だろ・・・つうか、これ聴いて何を思い出したかって、それこそ00年代のUSメタルコアムーブメントを影から支え、2008年に惜しまれつつ解散・・・そして「伝説」となった、元祖「叫ぶ女」こと紅一点のラウラ・ニコル嬢率いるLight This Cityで、そのLight This Cityが奇しくも解散から10年の節目となる2018年に奇跡の復活を遂げ、奇しくもそのタイミングで、この日本でラウド系アイドルPassCodeちゆなこと今田夢菜「アイドル界の叫ぶ女」として注目を浴びているのは果たして偶然か、はたまた必然か・・・?

これもう来年のダンロードフェス・ジャパンで「叫ぶ女」祭りやるしかないでしょクリマン清水社長!

Svalbard 『It's Hard To Have Hope』

    Artist Svalbard
    0008216846_10

    Album 『It's Hard To Have Hope』
    a0639100130_10

    Tracklist
    02. Revenge Porn
    03. Feminazi?!
    04. Pro-Life?
    06. How Do We Stop It?
    07. Try Not To Die Until You’re Dead
    08. Iorek

    2018年、UKの気鋭レーベルHoly Roar Recordsがアツい。Holy Roarといえば、主にUKのアンダーグラウンドのマスロックやポスト・ロック/ハードコア系のバンドを多数排出している、知る人ぞ知る優良レーベルである。しかし、今年2018年に入ってからというもの、Holy Roarのレーベル内に”とある変化”が起こっている。

    その”とある変化”とは一体ナニか?それこそ、10年代のメタルシーンに突如として現れたdeafheavenという”新世代”の驚異に対抗するため、その1つ目の手段として今やHoly Roarを支える屋台骨であり大エースのRolo Tomassi「女版デフヘヴン」に魔改造するという一か八かの大博打を打ち、それが見事に大当たりした結果、2018年の決定打となるアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』という金字塔を打ち出した。2018年は、そのRolo Tomassiの大傑作を皮切りに、新世代メタルの申し子であるdeafheavenのDNAとポストブラック界のレジェンドAlcestのDNAを遺伝子操作して、いわゆる”クローン系ポストブラック”としてデンマークで生まれたmolを、いわゆる「デフヘヴン包囲網」の一環として数の暴力とばかり立て続けに送り込んでいる。日本国内からは、凛として時雨がV系代表として「デフヘヴン包囲網」に参加している。

    何を隠そう、その「デフヘヴン包囲網」をより強固なものとするべく、デンマークのmolと同じ刺客の一つとして送り込まれたのが、UKはブリストルで遺伝子組換えされた4人組のSvalbardだ。Svalbardは、紅一点でギター&ボーカルのセレナ・チェリーちゃん、同じくギタボのリアム、ベーシストのクリス、そしてドラムのマークで構成されている。



    初っ端の#1”Unpaid Intern”から、UKのハードコアレジェンドDischargeが生み出したDビート直系のクラストに、方やドスの効いた獣性むき出しの咆哮、方やクラストコア風のパンキッシュな咆哮が怒涛の勢いで炸裂し、「あぁ、これ前者がギタボの男で、後者がベースの男かな?」と予想したら、前者のドスの効いた方の咆哮がまさかのセレナちゃんの激昂ボイスだったという・・・そう、まさかの「叫ぶ女」案件だったオチにすべて持ってかれて動揺する暇も与えぬまま、今度は”リベンジポルノ”とかいう強烈なタイトルを冠する#2”Revenge Porn”では、今度こそセレナちゃんの歌声だと判別できるCHELSEA WOLFE顔負けの呪詛系SSWみたいなドリーム・ポップ/ポスト・ロック的なパートと、まるで青春時代の黒歴史がフラッシュバックして胸を掻きむしりたくなるような衝動とティーン・エイジャーの煩悩や鬱屈したエモーション、それらの”痛み”を”歪み”に変換したギター・プロダクションをブラストに乗せて、そして人目をはばからず焦燥と刹那を内包した激情という名の怒りとともにブラゲ然とした荒涼感を周囲に撒き散らすブチギレパート、そのいわゆる”静と動”のコントラストを活かした曲構成、それこそ砂嵐のようにザラついたギターの音像やポストメタル的なフレーズや超絶epicッ!!なトレモロ、胸の高まりを誘発するブチ上げ展開、それらのオルタナっぽい音作りから予測不能な曲構成まで、これもう完全に新世代ポストブラックのソレで、もはやKylesaの名盤『Static Tensions』を聴いた時と同じ衝撃だった。なんかもう「Holy Roar半端ないって!まだこんな隠し玉用意してたとか!そんなんできひんやん普通!」って感じ。



    セレナちゃんのブチギレボイスともに、初期deafheaven顔負けの歪んだギターの音像からスラッジ/ポストメタルばりの轟音を響かせる#3”Feminazi?!”、そして今作のハイライトを飾る#4”Pro-Life?”は、お馴染みの緩急を活かした曲構成をはじめ高揚感を煽るギター・フレーズやドチャエピなトレモロ・リフまで、もう確信犯ってレベルじゃないほどの王道ポストブラックで、かと思えば、それこそ日本のDizzy Sunfistじゃないけどメロコアばりに爽やかな疾走感に始まってモダンなヘヴィネスを経由したリフを挟んで最後はエモ/ポストハードコアならではの激エモなシンガロングをブッ込んでくる#5”For The Sake Of The Breed”、再びトレモロ主体でエモキッズが泣きべそかきながら直走る#6”How Do We Stop It?”、まるで「女版Alcest」みたいなセレナちゃんの美声をフィーチャーした#7”Try Not To Die Until You’re Dead”、そのAlcestっぽい流れを引き継いだアウトロ/インストの#8”Iorek”まで、序盤はまだ自身のルーツであるDビートやエモ/スクリーモの精神を失わずにいるけど、中盤から終盤に進むに連れて、次第にHoly Roarによって遺伝子操作された影響が露骨に出てきて、最終的には「ども~ウチらポストブラックで~す」みたいなノリで自らの正体を明らかにするアルバム構成は、ただただファッキン・エモーショナル=クソエモいです。

    なんだろう、メチャクチャ極端な例えが許されるならば、あの歴史的名盤『サンベイザー』を通過しなかった世界線のdeafheavenが新作の『Ordinary Corrupt Human Love』をやったらこうなる、みたいな。あるいは、Deathwish時代まだまだ荒削りだった頃のデフヘヴンの初期衝動と、それに伴う未知のアングラ感を地続きでアップデイトした感覚というか、例えば兄貴分のmoldeafheavenAlcestのDNAをピンズドで抽出したハイブリット型のバンドだとする、姉貴分のRolo Tomassiがマスコア側からポストブラックへの迎合を図ったとするなら、このSvalbardはDビート/エモ/スクリーモ側からポストブラックへの回答を示し、そしてデフヘヴンを包囲、それもピンポイントで新作の『Ordinary Corrupt Human Love』を包囲してるってのがキモ。マジで”Holy Roar三銃士”おっかねぇわ。

    ありがちなエモ/スクリーモ系のポストハードコアじゃないってのがミソで、良くも悪くも本能に忠実な猪突猛進型のアンダーグラウンドなスクリーモだった1stアルバムから、Holy Roarの策略によって半ば強制的に新世代ポストブラックの遺伝子細胞を注入された事で、音作りや曲構成から何まで格段にスケールアップすることに成功、つまりジャンルレスなハイブリットメタルとして完全に化けた。確かに、一言で言ってしまえば”ごった煮ハイブリットメタル”だけど、決して音楽的に破綻することのない底知れぬインテリジェンスがあって、そういった意味でもだてに”Holy Roarの秘蔵っ子”名乗ってないです。

    そもそも、前作は前作でデフヘヴン『New Bermuda』と同列に語られるべきアングラハードコアの名作で、つまり今回のポストブラック化に至るまでの伏線というか適性みたいなのは元から持ち合わせていて、しかしバンド自身がまだ知らないような未知なる才能を見込んでポストブラックに魔改造したHoly Roarってどんだけしたたかなレーベルなんだ・・・と改めて舌を巻くというか、それが逆に不気味で怖くもある。

    ???「メタルは古くさいwww」
    メタルは古い

    ところで、つい最近BFMVのフロントマンで知られるマット・タックMetal Hammer誌のインタビューで、メタルは少し古いと発言したことがメタル界隈でプチ炎上したのをご存知だろうか。その発言に対して、SNSを中心にガチメタラーから数千件にもおよぶ批判コメントが寄せられた。そして、その中のひとりにマット・タック宛に「異議あり!」の手紙を書いた人物がいた。その人物こそ、Holy Roar Recordsの最高責任者であるアレックス・フィッツパトリックだった。

    その手紙の中で、彼はHoly Roarに所属するmolEmployed to Serveを例に出して、主に「メタルはアンダーグラウンドで日々進化している」と説いている。まだまだアンダーグラウンドシーンには面白いメタルが沢山あると。そして最後に、「メタルが刺激的であり続けるには進化しなければならない、しかし”進化”するためには”変化”しなければならない」という、今のマット・タックには色々な意味でヘヴィな言葉を置き手紙にしている。

    恐らく、今のメタルシーンでこのマット・タックの炎上発言に対して真正面から物申せるメタラーって、それこそメタルゴッドのロブ・ハルフォードHoly Roarのボスであるアレックスの二人だけだと思う。この手紙を締めくくるメタルの”進化””変化”の話は、それこそSvalbardの本作『It's Hard To Have Hope』を耳にすれば至極納得できるハズだし(誰だ”変化”を”魔改造”とか言ってる奴わ!)、少なくとも今年のHoly Roarからリリースされた作品の数々を聴けば、このボスの反論は説得力の塊を乗せたただの火の玉ストレートでしかなくて、だてに人気者のマット・タックにオラついてないというか、彼がボスでいる限りHoly Roarは現代メタルの最先端にいる新世代レーベルの座は揺るぎないし、だてに12年もレーベル続けてねぇなって。

    IT'S HARD TO HAVE HOPE
    IT'S HARD TO HAVE HOPE
    posted with amazlet at 18.08.11
    SVALBARD
    HO RO (2018-05-25)
    売り上げランキング: 355,616

    Rolo Tomassi 『Time Will Die And Love Will Bury It』

    Artist Rolo Tomassi
    new_Rolo-Tomassi-2017

    Album 『Time Will Die And Love Will Bury It』
    a2717798964_10

    Tracklist
    01. Towards Dawn
    04. The Hollow Hour
    05. Balancing The Dark
    06. Alma Mater
    07. A Flood Of Light
    08. Whispers Among Us
    09. Contretemps
    10. Risen

    今、この日本でもPassCodeちゆなこと今田夢菜ちゃんに代表される「叫ぶアイドル」が、俺たちのスターレス高嶋にもパスコ=スティーヴン・ウィルソンと言わしめるほど(謎理論)、いわゆる「叫ぶ女」というのは世界中に存在していて、例えばメタルシーンで最も有名な「叫ぶ女」といえば元アチエネのアンジェラ・ゴソウと現アチエネのアリッサの二人だ。USを代表する「叫ぶ女」といえば、ハードコアバンドWalls Of JerichoキャンディスちゃんとIn This Momentマリア・ブリンク嬢の二人だが、ではUKで「叫ぶ女」をイメージした時に真っ先に思い浮かんだのが、シェフィールド出身のマスコアバンドRolo Tomassiエバ・スペンスちゃんである。



    とにかく、MVになったこの#2”Aftermath”がトンデモなさ過ぎた。まずは幕開けを飾る#1”Towards Dawn”から、デヴィン・タウンゼンド『Ghost』を彷彿とさせるニューエイジ/スペース・アンビエントとモダンなエレクトロを駆使したオシャンティな雰囲気作りからして、これまでの”ハードコア”を軸とした彼らの音楽性とは一線を画している。そのスピリチュアルなイントロに継いで始まる本命の”Aftermath”は、まるでグラスゴー出身のレジェンドモグワイを彷彿とさせる音響派ポストロックならではの深海と身体が一体化したような幻想的な空間の中で、まるでチャーチズローレン・メイベリー顔負けの可愛らしいキュートな歌声で、惜しまれつつ解散したUKポスト・ハードコア界のレジェンドFuneral for a Friendをはじめ、往年のUKメロコアが現代に蘇ったかのようなエバちゃんによるemoい歌メロ、そしてEnter Shikariあるいは脱デスコア化したBMTHを連想させる、直下から突き上げるようなラウドネス/ポスト・ヘヴィネスが、睡眠中の深海魚もギョギョギョ!!と覚醒して一斉にヘドバンおっ始めそうな、ある種の刹那的かつ激情的なサウンドスケープとなって聞き手を飲み込んでいき、肝心の「叫ぶ女」ことエバちゃんがいつ叫ぶのかと今か今かと待ち構えてたら、そのまま曲が終わってワロタ。

    この曲の何が凄いって、音だけ聴いたら完全にUKの大型新人マスロック・バンドなんだけど、ポストロックやエレクトロ・ポップやエモ/ポストハードコアなど、現在UKのメインストリームで活躍するラウドロック・バンドやエレクトロ・ユニットに隣接する音のスケール感が完全にメジャーアーティストのソレで、それと同時に全盛期のUKポストハードコアのエモーションを受け継ぐような、これからのUKロックを背負っていく覚悟と勇気に溢れた、まさに「キング・オブ・UK」を襲名するかのような新時代の”オルタナティブ・ラウド”だ。とにかく、そのローレン・メイベリー顔負けの”ポップ”なクリーンボイスとポストロック然とした音響的なアプローチは、今作を紐解く上で欠かすことのできない重要なポイントであることを暗に示唆している。



    UKを代表する「叫ぶ女」は、いつの間にか「叫ばない女」へと変貌を遂げていた・・・と少し落胆したのもつかの間、1stシングルの#3”Rituals”では一転して、USのTrap ThemBlack Breathなどのクラスト/ブラッケンド・ハードコア直系の「黒」い暗黒物質を撒き散らしながら、名盤『Jane Doe』時代のConverge直系のカオティックなハードコア・パンクを繰り広げ、これこそ「光と闇」、あるいは「天国と地獄」、もしくは「ギャップ萌え」の極地で、一瞬にして「holy...」って声が漏れたくらい、やっぱこいつら只者じゃねぇって頭で理解する。


    あらためて、前作の4thアルバム『Grievances』で彼らがやってのけたのは、Blackgaze化したRolo Tomassi、それ即ち「女版デフヘヴン」に他ならなかった。そのDEAFHEAVENが同年の2015年に発表したのが、『New Bermuda』とかいう80sスラッシュ・メタルのソリッドな「キザミ」を取り入れた、デッへ史上最高に「メタル」の側面を表面化させた傑作だった。で、もう僕が言わんとしていることを察してる人もいると思うけど、「女版デフヘヴン」であるこのRolo Tomassiがその影響を受けてないはずがない。それを象徴するのが、不穏な空気を醸し出すシンセとジャズのアプローチを効かせたイントロから、エバちゃんの「Strike!!」という咆哮を合図にブラッケンド/ハードコアに展開する#5”Balancing The Dark”、それとギャップレスに繋がる#6”Alma Mater”で、その2曲に共通するモノこそ、デッへ『New Bermuda』ばりにソリッドな「キザミ」要素なのだ。そのスラッシーな「キザミ」を中心としたメタル要素は今作最大のキモと呼べる部分で、これがもう全曲キザんでるんじゃねぇかってくらいキザミまくってて最高なんだ。

    今作の”衝撃”は決してそれだけじゃあない。本作に収録されたトラックリストを眺めて真っ先に気づいたのは、約8分にも及ぶ長尺の曲が3曲も存在することだった。確かに、過去作にも7分台の長尺はあるにはあったけど、しかしそれはあくまでもアルバムの最後を締めくくる「演出」的な意味合いの方が大きかった。しかし、今作の長尺曲は過去の長尺曲とはまるで役割が違うくて、より本格的に”プログレッシブ”な曲構成をもって、それこそ「演出」ではなく「曲」として聴かせることに成功しているというか、つまり大作の曲も書けることを今作の中で証明してみせている。その長尺第一弾となる#4”The Hollow Hour”は、幕開けと同時にUKのana_themaやフランスのAlcestを連想させる、いわゆるPost_系のミニマルなリフ回しで始まり、エゲツない咆哮とエモーショナルなクリーンボイスを自在に操るエバちゃんのボーカル、楽器隊は楽器隊でエバ兄貴の儚いピアノソロと今作のキモである強靭なリフや「キザミ」を交錯させながら、音の強弱とメリハリをつけてドラマティックに展開していく。

    そして長尺第二弾となる#7”A Flood Of Light”は、今作のハイライトを飾る感動的な名曲だ。イントロからNetflix『ストレンジャー・シングス』のサントラ風の80年代シンセがミステリアスで悲哀に帯びたSF的な世界観を形成し、再び今作の”ヒロイン”的な役割を担う”Aftermath”譲りのFuneral for a Friend直系のエモい歌メロと地盤沈下すんじゃねえかくらいのポスト・ヘヴィネスでダイナミックに展開、そして中盤の見せ場では映画『インターステラー』『ゼロ・グラビティ』ばりのスケール感溢れるATMSフィールドを全域に張り巡らせ、遂には聞き手をワームホールからの5次元空間にほっぽり出す。

    次の#8”Whispers Among Us”では、再び全盛期のConvergeに急接近する重厚なブルータル/ハードコアかと思いきや、まさかのここでも”Among Us”繋がりでana_thema”Angels Walk Among Us”が収録されたアルバム『We're Here Because We're Here』をフラッシュバックさせる、これぞPost-Progressiveな展開美を披露する。そして長尺第三弾となる#9”Contretemps”は、もはやDEAFHEAVENのフロントマンジョージ・クラークの妹分とでも呼びたいくらいのエグい咆哮と、初期D F H V Nを彷彿とさせるBlackgazeおよびポストロック的な激情パートを織り交ぜた、今ここに「女版デフヘヴン」の称号を完全なものにするかのような、それこそ新世代ブラック・メタル然としたepicな曲構成でブチ上げる。その流れで、今度は音響派は音響派でもドリーム・ポップ系の音響ライクなリフレインを靡かせる#10”Risen”を最後に、アルバムを美しく締めくくる。こんな隙のないアルバムの流れは、少なくともここ最近では記憶にないくらい完璧。

    なんだろうな・・・凄すぎてなんと言ったらいいのか分からない。USのMastodonやフランスのGojiraをはじめ、現行のメタルシーンで活躍するモンスター級のバンドに多大なる影響を与えた歴史的名盤であるConverge『Jane Doe』を、同じくそれらに強くインスパイアされているD F H V NPower Tripなどの新世代メタルに新解釈を加える一方で、自国UK発祥の音響派ポストロックやポストハードコアなどのPost-系、そしてKerrang!系のラウドロックやエレクトロ・ポップ、それらの「過去の遺産」と「未来の新世代」を全部ひっくるめて、自らの集大成とばかり刹那的なエモさと激情的な感情をビッグバンの如く爆発させて、サッカー電通代表の”自分たちのサッカー”ならぬUKロック代表として”自分たちのヘヴィロック”を産み落としている。

    正直、これまでのRolo Tomassiのイメージってと、TDEPConvergeのフォロワー、それ以上↑でもそれ以下↓でもない印象だったけど、このアルバムで完全に見る目変わったわ。完全に化けた。つうか器用過ぎて笑う。こんな器用なこと並のバンドじゃできない。変態かよ。精々フォロワー止まりかと思ってたけど、とんでもねぇポテンシャルを秘めてやがった。とにかくセンスが異常過ぎる。しかしまさか、このRolo TomassiD F H V NPower Tripと真正面から対等に殴り合える新世代バンドの仲間入りを果たすとは夢にも思わなかったわ。もはや今年のBESTどころの話じゃねぇだろこれ。キングだ。
    記事検索
    月別アーカイブ
    アクセスカウンター
    • 累計: