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墓っ地・ざ・ろっく!

メタル本願寺

Alcest 『Spiritual Instinct』

Artist Alcest
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Album 『Spiritual Instinct』
Alcest-Spiritual-Instinct-01

Tracklist
01. Les Jardins De Minuit
04. L'Île Des Morts
05. Le Miroir
06. Spiritual Instinct

だから言ったんだ。僕は“日本のメタル・メディア界のキング”として、近年のメタル界に蠢く「ある懸念」に警鐘を鳴らしていた。それが“東京一極集中”ならぬ“ニュークリア・ブラスト一極集中”だった。そして、その嫌な予感は「最悪な結果」となって目の前に現れた。それこそがフランスのレジェンド=Alcestのニュークリア・ブラスト入りだった。

このアルセもといアルセストって、海外では初期の頃からずっとProphecy Productionsという一応はアンダーグラウンドなレーベルから作品をリリースし続けていて、この日本に至ってはアルセストの絶対的な信頼感と音楽的な根幹部にあるアングラ性を担っていた、あのディスクユニオンから“帯・ライナー付国内盤仕様”というもはや“国内盤”と呼んでいのかすらわからない謎仕様(恐らく盤自体は輸入盤)=ユニオン盤としてリリースされ続けてたんだけど、ここにきて遂に海外はメタル最大手のNuclear Blast、そして国内盤はワードレコーズという、恐らく盤に至っても正真正銘の正規の国内盤がリリースされるという・・・一言で言えば「地獄」だよね。もう聴く前から「地獄」。このアルセストの絶妙なアングラ性とニッチ感および童貞オタク感=その絶対的な信頼を担保していたユニオンからミーハーメタルレーベルのワードに変わるとか「地獄」以外の何者でもない。

結局、「アルセストの魅力」ってメタルのサブジャンルの中でもニッチなPost-Black/Blackgazeとかいう同人オタク音楽の開祖としてその存在を誇示し続けながらも、(例えるならKATATONIAが初期の頃から今でもほぼずっとPeacevlleに籍を置き続けるように)メタルシーンの中でそれなりの立場にいながらも初期の頃から世話になったProphecyで生涯を全うするという、その“ガワ”の部分にこそアルセアルセストたる由縁に繋がっていたにも関わらず、このタイミングでニュークリア・ブラスト入り脱ユニオンという最悪の結果を迎えてしまったわけ。それこそ1stアルバムの頃からユニオン盤を出し続けてきて、そこさえブレなければ何があっても大丈夫なはずだってずっと思ってたし、それはずっと変わらないものだと思ってたから、まさかこの“勝利の方程式”が崩れ去るなんて想像もしてなかった。だってNBに移籍した途端、まるで“メタル中央政府”の権力を見せつけるかのようにMV連発して積極的なプロモーション攻勢に出てくるんだもん。ヤダヤダヤダヤダ!こんなの俺たちの知ってるアルセじゃない・・・とは言え、前作の『Kodama』で現状やりきった感があったのも事実。というわけで、ここからはアルセストが偉大なポストブラックの開祖であり、常にポストブラックを次のステージにアップデイトし続けてきたレジェンドである事を十分に理解した上で言わせてもらう。

“メタル本願寺”ことニュークリア・ブラストに入信したことで、アルセストの音楽性がどうなるのか想像してみてほしい。幕開けを飾る#1“Les Jardins De Minuit”から、ブラストはブラストでも今は亡き盟友ASMRもといAmesoeurs直伝のブラストビートだった2ndアルバム『Écailles De Lune』とは一味違った、ヴィンターハルターの粗暴なブラストとメロブラかよってぐらいのトレモロ・リフがキレッキレに動くのなんのって。本来のアルセストらしい幻想的なアトモスフィア、その霧のようにリバーブがかった残響感は皆無に等しくて、むしろ過去最高に激しく“メタル”な重さが備わったドラムの音作りまでアルセスト史上最高にメタリックな仕様で、とにかく音の輪郭をソリッドにクッキリカッチリと鳴らす。それもそのはずで、先述したように今作は海外/国内レーベルの“ガワ”も違えば、それと同じようにサウンド・プロダクションという名の“音のガワ”もまるで違う。今作はレコーディングとミキシングこそフランスで行われているが、最後の仕上げとなるマスタリングにはエンジニアにLOVEBITESでもお馴染みのMika Jussilaを迎え、メタル王国フィンランドのFinnvox Studiosで仕上げられている。ここで今一度冷静に考えてみてほしい。アルセストの作品にLOVEBITESと関係するエンジニアが絡んでる時点で(わりと地獄)、これまでのアッサリ醤油味を看板メニューとしていたラーメン屋が急にコッテリ豚骨味に鞍替えしたような、今作は麺の質は元より具材やスープの味付けまでもコッテコテの「バリカタ・コッテリ・メタル」を目指しているのが分かる。


このシングル“Protection”が先行公開された時、いつにも増して激しく動く、言うなれば“アグレッシヴ”に動くリフを聴いて一体何を思ったかって、それこそアルセストフォロワーでありデンマーク出身のMØLに他ならなくて、つまり「メタル化したアルセって、それもうフォロワーのMØLじゃん・・・」って。なんか久々に“アグレッシヴ”って言葉使った気がするけど、それこそMØL以来に使った気がするけど、その久々がまさかアルセだなんて夢にも思わんかったわ・・・。正直、“アグレッシヴなメタル”という脳筋バカみたいな言葉をアルセに対して使いたくなかったけど、でも実際に今作を一言で例えると“アグレッシヴなメタル”になるんだからしょうがない。そのリフや音作りの面だけじゃなく、リズムの面でもいわゆるプログレ・メタル然とした転調を駆使して、とにかく曲を機敏に動かしていく#4“L'Île Des Morts”“アグレッシヴなメタル”と揶揄できる曲で、ここまでくると流石に“ガワ”“中身”のメタル仕様は一部分ではなくて、作品の根幹部分から細部にわたりアルバム全体にまで及んでいる事を理解する。

例えば、1stアルバム『Souvenirs D'un Autre Monde』ではフランス映画『エコール』顔負けのロリータ・コンプレックス的な世界観とポストブラックとの「相性最高」、2ndアルバム『Écailles De Lune』では幻想的なフレンチアニメとポストブラックの「相性最高」、4thアルバム『Shelter』ではシガロ界隈のポストロックとポストブラックとの「相性最高」、5thアルバム『Kodama』ではジブリアニメ=『もののけ姫』2:54Esben and the WitchなどのUKオルタナと「相性最高」ときて、そして今回は“アグレッシヴなメタル”とポストブラックの「相性最悪」・・・。つまり、前作の“オルタナバンドとしてのアルセ”から一転して“メタルバンドとしてのアルセ”に180度様変わりする姿にギャップ萌え、裏を返せばアルセというバンドのフレキシブルな創造性、その豊かさの証明に他ならない。そのように、過去作との比較や前作とのギャップを知った上で考察的な観点から見ると面白いアルバムに違いないんだけど、いかんせんネージュの青春の音楽だった往年のニューウェイブ/ポストパンクすなわち“UKオルタナ”と、ニュークリア・ブラスト直伝の“アグレッシヴなメタル”、それぞれの音とアルセの相性は・・・まぁ、なんだ、「音は正直」だったよね。

賛否両論というか、恐らくそこまで悪くない内容だと思うけど(いや、やっぱ悪いか?)、いかんせん“ガワ”の部分が“中身”の部分に与えるイメージが強過ぎるせで、必要以上に悪いイメージがつきまとってくるのは確か。改めて、“中身”以前にまず“ガワ”が作り上げるバンドのイメージ、その影響力って思った以上に大きんだなって。正直、アルバムという“結果”に至るまでの過程はこれまで通り、それすなわち「未知の領域にポストブラックを進撃させる貪欲な姿勢」は何一つ変っちゃいない。しかし1番大事な“結果”が悪すぎた、“結果”が。これはあくまで結果論に過ぎないし、その攻めにいった結果がダメならもうどうしようもないし、開拓の精神を持つ挑戦者としてメタル本願寺に挑んだ結果、その結果がダメならしょうがない。少なくとも保守的な老害になるよりは全然マシ。それらを踏まえた上で、僕はこのアルバムの事を“肯定的駄作”と名付けたい。だから今回の件に関してはアルセネージュは何も悪くないです。悪いのはニュークリア・ブラストワードレコーズです。

これ「超えちゃいけないライン考えろよ」案件以外の何者でもなくて、言うなれば「アルセがガチメタルやった結果www」みたいな、でもアルセがこれやっちゃうと途端にダサくなる。なんだろう、例えるなら陽キャになりたくて無理してる陰キャみたいなね。それこそ前作がジブリのスピリチュアルな世界観を忠実に再現したコンセプトとUKオルタナという音楽的バック・グラウンドが化学反応を起こしバチっとハマった結果の名作だっただけに、それと比べるとこの『Spiritual Instinct』ならではのとっておきのパンチラインがNothing(=何もない)、要するにガワから中身まで全てが“メタル仕様”の音の方向性とコンセプトおよび世界観の統一感がまるでない。随所で前作の名残りを感じさるのがまたライティング不足というか、その世界観の構築に失敗している印象を受ける。皮肉にもタイトルの“スピリチュアル”の文字が虚しく響く、・・・そう、僕の心の叫びとともに・・・


(ディスクユニオンーーーー!!早く帰ってきてくれーーーーー!!)


Children Of Bodom 『Hexed』

Artist Children Of Bodom
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Album 『Hexed』
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Tracklist
03. Glass Houses
05. Kick In The Spleen
07. Hexed
08. Relapse (The Nature Of My Crime)
09. Say Never Look Back
10. Soon Departed
11. Knuckleduster

日本のメタル・メディア界のキングとして、近年のメタルシーンに対する懸念を述べるとすれば、それはメロデス四天王=In Flames,Children Of Bodom,Arch Enemy,Soilwork,あるいはDark Tranquillityを加えた“メロデス5強”のうちの過半数がメタル最王手レーベル=Nuclear Blastに取り込まれたのは、メタルシーンの先細り感を暗示するかのようで、言うなれば東京(=Nuclear Blast)一極集中からの地方(=アングラ)衰退からの国家(=メタル)衰退へと進んでいく懸念である。そんな、揶揄的な表現で例えるなら“メタル界の中央政府”ことNuclear Blastさんなんですが、近頃では若手バンドの青田買いからベテランバンドの囲い込みに精を出し、そして遂にはLOVEBITESANTHEMなどのジャパメタ勢にも触手を伸ばし始める始末で、依然その中央政府としての強大な権力を誇示し続けている(ちょっと前までNBっつーとネタレーベルみたいなイメージだったのが今やメタルの総本山だからね)

このChildren Of Bodomも2013年作の“白鎌”こと『Halo Of Blood』を期に、デビューからの付き合いだったSpinefarmからNuclear Blastへとレーベルを移した当事者であり、ボドムといえばSpinefarm時代の晩年は“酒鎌”こと『Blooddrunk』オリーブ鎌こと『Relentless Reckless Forever』というメタル三大駄作に名を連ねるレベルの駄作を発表し大量のファン離れを起こした。この事態にアレキシも流石にマズイと思ったのか、心機一転NBへと移籍して発表された2013年作の白鎌と2015年作の黄鎌ことI Worship Chaosは、まず白鎌ではフランスのGojira、次作の黄鎌ではMeshuggahをはじめDjentなどの10年代のメタルを象徴するエクストリーム勢やイマドキのモダン・ヘヴィネス勢からの影響を取り入れ、チルボドの“ドン底”と呼ぶべき末期状態からの脱却=復調の兆し、つまり“ファッキン・サノバビッチの精神”を取り戻しつつあった。しかし“Bodom is Back”感には程遠いものだったのも事実。これをフィンランド1のギター小僧であるアレキシ・ライホの尖りに尖がった才能を良くも悪くも好き勝手に表現してきたSpinefarm時代からNBへと移籍して丸くなった=落ち着いたとマイナスに受け取るか、それとも“酒鎌”〜“オリーブ鎌の地獄(ハデス)のようなアル中状態から抜け出すために、NBという名の“メタル本願寺”“メタルの御朱印”を頂戴してハゲキシのオデコにピタッと貼ることで安定したメタルが聴ける“保証”を得たとプラスに受け取るか、正直ちょっとしたジレンマがないと言えば嘘になる。

いわゆるメロデス四天王あるいはメロデス5強がメタルの入り口と言っても過言じゃあない、そんな現日本のメタル・メディア界のキング”の立場から、このたびチルボドNuclear Blastへ移籍して三作目、前作の黄鎌から約4年ぶり通算10作目の節目となる紫鎌ことHexedを恐る恐る聴いてみたら、幕開けを飾る“この道”ことThis Roadを再生した瞬間からラストのKnuckledusterまでボドム史上最高にキザミまくってて、かつボドム史上最高にヘヴィ=“俺たちのボドム”=“Bodom is Back”感あって泣いた。もはやキザんでない曲がないくらいにはキザミ全部。なにこの最高なやつ・・・。

個人的に、ここ最近のスラッシュ・メタルというか“キザミ”案件で印象的だったアルバムといえば、昨年初来日公演を果たした新世代メタルを代表するPower Trip『Nightmare Logic』ボドム同じくミッコ・カルミラ案件のLOVEBITESのEP『Battle Against Damnation』の2枚だ。前者のPower Tripならまだしも、(同じNB所属だからって同じカルミラ案件だからって)後者のLOVEBITESに影響されたわけではないとは思うけど、初っ端の“この道”からシャープでソリッドな“キザミ”の意識を聴き手に植え付け、いわゆる黄金のキザミ”に今作の中で最も近い#3“Glass Houses”を皮切りに、インテリハゲらしくミドルでスローなキザミセンスが光る#10“Soon Departed”など、中でもデスラッシュ風のボドム史上最高のキザミ指数を誇る#5“Kick In The Spleen”は今作のハイライトで、この曲の筆頭すべき点はキーボードソロのバッキング・リフで、もはやヤンネの残り数少ない貴重な髪の毛全部その紫鎌でキザミ尽くすんじゃねぇかくらい、国内屈指のキザミ鑑定士”である俺ィ目線で評価すると、この曲のソロパートのバッキング・リフが今作における“キザミのピーク”=“キング・オブ・キザミ”の称号を与えたい。

とにかく全編に渡って様々な切れ込み、深さ、重さで、かつ様々なバリエーション、様々な速度(BPM)でキザミまくっていて、とにかく“キザミ”に対する尋常じゃないほどの意識の高さがもう本当に凄い。なんだろう、前々作の白鎌Gojira愛に目覚めたのが功を奏したのか、(#11のMachine Headっぽい所も踏まえて)そのスラッシュ・メタルの潮流がココで最高の結末を迎えた感じ。なんだろう、過去の栄光と挫折、アレキシ自身がキンバリー・ゴスの元ダンナであること、そのキンバリー・ゴスと一緒にSinergyとかいう伝説のバンドを組んでいたこと、そしてキンバリーと別れてからの『悪夢』の日々まで、酸い思い出も甘い思い出も何もかも全て思い出しちゃった感じ。ありそうでなかったボドムのスラッシュ化バンザイ。アレキシマジ愛してる


その“ありそうでなかったボドムのスラッシュ化”の要因は、酒鎌を煽りすぎて脱退した呑んだくれローペ爺に代わってex-Northerのギタリストのダニエルを新メンとして迎え入れた影響なのか、それともメタル本願寺”から授かった“メタルの御朱印”をオデコに貼ったお陰でハゲキシが柔軟な考え方になったからかは知らんけど、少なくともボドム節全開のリード曲である#2Under Grass And Cloverのギラッギラにギラついたリフを見る限りリフメイカーとしての才能は全く衰えていないのがわかるし、紫鎌のキモである“キザミ”に関してもキザミ鑑定士の俺ィが認めざるを得ない文句なしに一級品の“キザミ”だし、正直アレキシがここまで器用にキザめるギターリストだと思ってなかったから、これ聴いてやっぱアレキシ天才だわって再確認した。しかし#2のMV見たけど流石にアレキシも老けたな・・・もはや魔女みたくなってるやん・・・。

序盤から中盤まで一気に畳みかけるような“キザミ”にナニを毛を刈り取られながら「あぁ~ニュー・ボドムのソリッド感たまんねぇ~」ってなりつつ、一方でその名の通りチルドレンボドムを底まで落としたヘヴィなミドルチューンを織り交ぜつつ、そしてその極めつけとなる表題曲の“Hexed”は近年最高のメロデスと呼んでも過言じゃあない、某首痛いおじさんになるくらいヘドバン不可避のキラーチューンには、もう泣きながら「ボドムイズバック・・・」言うたもんね。

確かに、確かに良くも悪くも「こんなの(俺の知ってる)ボドムじゃない!」と感じる人もいるかもだけど、言ってもNBに移ってからでは間違いなく1番の傑作だし、初期=全盛期の名盤と名高い青鎌緑鎌赤鎌と比べても相違ない完成度の高さ。要するに紫鎌ボドム史上最強。というか10年代の終りに、バンドとしても10作目の節目に完全復活とかカッコ良すぎて泣いた。黒歴史時代にメロデス四天王で最弱と揶揄されたボドムが再び“キング”に返り咲いた感あって泣いた。そんな“俺たちのボドム”を復活させてくれてありがとうニュークリアブラスト...フォーエバーニュークリアブラスト!もう誰もニュークリアブラストには逆らうな!

これ単独来日あったら行っちゃうヤツでしょ。やべぇ、ハゲキシがキザんでる姿チョー見てぇ・・・。ぜってーカッケーやつだ・・・。皆んなで一緒に「へックス!」ってシンガロングしたい!だからもし来日公演が実現して例の曲を演奏した際には・・・童貞メタラーはこう叫べッ!

ファッキン

サノヴァァ゛ァ゛゛ァ゛

ビィィィィィィィッチ!!


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