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墓っ地・ざ・ろっく!

ポップ

TesseracT 『Sonder』

Artist TesseracT
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Album 『Sonder』

Sonder

Tracklist
01. Luminary
02. King
03. Orbital
04. Juno
05. Beneath My Skin
06. Mirror Image
07. Smile
08. The Arrow

実質初代ボーカリストのダニエル・トンプキンスくんの復帰作となる、かのKscopeから発表された3rdアルバム『Polaris』の中でTesseracTがやってのけたのは、A Perfect Circleの2ndアルバム『Thirteenth Step』の影響下にある”オルタナティブ・ジェント”で、しかしそのTesseracTを裏で操っていた黒の組織・・・それが「秘密結社K」の創始者スティーヴン・ウィルソンと映画音楽界の巨匠ハンス・ジマーだった事を、あの日の僕たちはまだ知らない。

あらためて、前作の『Polaris』って一体どんなアルバムだったのか?まず、1stフルアルバム『One』の後にダニエルくんが脱退し、その後のEP『Perspective』では新ボーカルにエリオットくんを迎えるが、その翌年にエモボーイのアッシュ・オハラくんを迎えた2ndアルバム『Altered State』をリリースする。そのアルバムでは、Djent史上最も”エモ”くてスパイス・ガールズみたいな”アイドル”顔負けのポップでキャッチーなアプローチを強め、それによりDjentとかいうアンダーグラウンドのメタルをオーバーグラウンドのエモキッズの耳に届けることに成功、今では本国最大のダウンロードフェスの常連となっていることからも、その成功はバンドの未来にとってもDjentの未来にとっても歴史的な快挙だった。

そのアルバムから一転して、ダニエルくんの復帰作となった3rdアルバムの『Polaris』は、正直はじめは駄作かと思ったけど、次第に「でもなんだこの得体の知れない感覚」みたいになって、遂にはTesseracTが変拍子の数式で作り出した四次元立方体の中で”TTポーズ”してたら誰かに見られているような気がして、その四次元立方体の外側にある”本棚の裏”という名の五次元空間をチラッと覗いてみたら、スティーヴン・ウィルソンハンス・ジマーが仲良く”TTポーズ”をしていたんだ。それこそニーチェの「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」の理論を地で行くような、それこそ劇伴をハンス・ジマーが手がけたSF映画『インターステラー』ばり五次元空間=本棚の裏にほっぽり出されたような、あるいは「それは人類が宇宙に進出して数百年後の世界、地球から二万光年離れた『惑星ポラリス』を舞台に”引力、即ち愛”を描く壮絶な物語」、そんな超絶epic!!な世界観があって、その作風的にも徹底した繰り返しの美学、徹底したミニマリズムの追求を目論んでいた。

ダニエルくん復帰第二弾となる今作の『Sonder』は、そんな「得体の知れない何か」みたいな予測不能のヤバさのあった、言うなれば”オルタナ系ジェント”すなわち”オルタード・ジェント”やってた前作の『惑星ポラリス』とは打って変わって、もはや現存するギターが鳴らせる低域の底が抜けたんじゃねぇかくらいのDjent史上最高に重厚なヘヴィネスを轟かせる、言うなれば”ジェント・ドゥーム”すなわち”ジェンドゥー”、あるいはスラッジ×ジェント=スラッジェントと称すべきメタルの新ジャンルを開拓している。そして、今作は過去最高に”ヘヴィ”なサウンドであると同時に、その一方でダニエルくんのボーカルは過去最高に”ポップ”な2ndアルバムに回帰している印象もあって、つまりヘヴィなのにポップで、相変わらず一般人を理詰めで論破するインテリヲタクのようで、要するにわかりやすくシンプルにTesseracTの魅力が37分に凝縮された作品となっている。



その、アルバム『Sonder』を構成する”重さ””ポップさ”という二大キーワードを象徴するのが、幕開けを飾る1stシングルの”Luminary”、そしてアルバムのリード曲で2ndシングルの”King”だ。その”重さ”=”絶望”を司るドゥーミーで鬼ヘヴィな七弦ギターと、”ポップさ”=”希望”を司るダニエルくんの時に激しいシャウトを交えたボイス・パフォーマンス、その”ポップ”と”ヘヴィ”の対比/コントラストをより強調した曲構成は、アルバム冒頭から今作の作風/コンセプトを明確に表している。

ハンス・ジマーが劇伴を手がけた映画『インターステラー』のメイン楽曲である”Cornfield Chase”、その名曲が奏でる主旋律の刹那的かつエモーショナルなメロディをフラッシュバックさせたのが、前作の2曲目に収録された”Hexes”に他ならなくて、まぎれもなくその系譜にある3曲目の”Orbital”は、もはやJulianna Barwick顔負けのアンビエント・ポップみたいな、とにかくSF映画ばりに超スペクタクルなアトモスフィアとダニエルくんによる”ボーカル講師”ならではの感情/表現力豊かな美声に謎の感動を覚える。【ボーカル講師兼テッせのフロントマン】という彼の肩書きは今作でも健在。

一転して再びドゥーミーなヘヴィネスとリーダーのアクルくんお得意のスラップ奏法を披露する4曲目の”Juno”、また一転して前作の名曲”Tourniquet”の系譜にある曲で、それこそAlcest『KODAMA』を彷彿とさせるノスタルジックな夢幻世界の中で、ダニエルくんのスピリチュアル・ボイスと洗練された美しすぎるボーカルが輝き放つ5曲目の”Beneath My Skin”、続く6曲目の”Mirror Image”は序盤から前作譲りのミニマルなアプローチを効かせながら、ダニエルくんのメインストリームのポップスをフォローしたメジャー感溢れるボーカル・メロディとともに安らかに展開し、そして中盤以降のスラッジ・メタルばりの無慈悲な轟音ヘヴィネスから怒涛のドゥーム展開へと繋がる、まさに今作イチのギャップ萌えな曲だ。この手のメシュガーがルーツの現代的なモダン・ヘヴィネスのスタイルでドゥームやったのって、それこそKATATONIA『Night Is the New Day』が初めてだと思うのだけど、この曲ではそのスタイルを更に重くアップデイトしている。先行公開された7曲目の”Smile”もシングルと同じ今作の”重さ”を量るキートラックの一つで、もうなんか重力を超越してドローンみたいな音の壁ができそうなくらいのヘヴィネスに脳が揺さぶられること必須。ラストを飾る8曲目の”The Arrow”は、7曲目の実質アウトロ的な役割を果たしている。

やってることは本当にシンプルで、2ndアルバムのポップなキャッチーさと前作のSF映画の劇伴およびアンビジェント/アトモスフィアを絶妙にブレンドしつつ、そこへ鬼ごっついヘヴィネスをプラスαして、曲単体だけでなくアルバム全体にも音の強弱とメリハリを与えている。完成度は前作以上だが、しかしその驚きは想定外ではなく想定内だ。確かに、「得体の知れない何か」=「未知との遭遇」のような驚きは少ないが、万人におすすめできる安定感抜群の良作には間違いない。聴きやすさという点では、それこそDjent入門書としても全然入りやすいので、このアルバムを期にそろそろ来日しそうな雰囲気もなくはない(皆んなで一緒に”TTポーズ”もといウェイ!!したい)。つうか、SWが来日決めた時点でもう何があっても驚かないです。ちなみに、国内盤には今作の3Dバイノーラルミックス盤が収録されており、手持ちのヘッドホニャイヤホンを使って生のスタジオライブのような臨場感溢れる、よりフラットでオーガニックなサウンドが楽しめる。

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Kero Kero Bonito 『TOTEP』

Artist Kero Kero Bonito
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EP 『TOTEP』
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Tracklist
01. The One True Path
02. Only Acting
03. You Know How It Is
04. Cinema

先行公開されたシングル”Only Acting”は、トラックメイカーのジェイミーガスによる2人のイギリス野郎のナードセンスが炸裂した、グリッチホップやUS産ノイズ・ポップや某ライザップ、そしてDeath Gripsなどのバンド要素やエクスペリメンタルな要素をクロスオーバーさせた、これまでのKKBにはない全く新しい「楽しいサウンド」を繰り広げていた。


このEP『TOTEP』は、シングルの”Only Acting”が提示した全く新しいKKBサウンドの始まりを予感させる、それこそ昨今のジャパニーズ・アイドルの潮流である「バンド体制」に便乗するように(そなの?)、その名も「ケロケロバンド」を結成している。まずはサラが紅一点ボーカル、ガスがドラム兼プロデューサー、ジェイミーがベース、そしてサポートのジェームスがギターの4人編成だ。

1stアルバムの頃のJKが大学受験に失敗してヤサグレたFラン学生になった感じの#1”The One True Path”で幕を開け、中でも筆頭すべきは3曲目の”You Know How It Is”と4曲目の”Cinema”という約2分の曲で、前者ではCultsやマイブラ直系のkawaii_シューゲ・ポップを繰り広げ、後者はドリーム・ポップ系のギターのリバーブを効かせた、AORあるいはシティ・ポップ的なムードに特化した曲で、このフェードアウトの仕方を見て「2分じゃ短すぎる!もっと聴きたい!」って思っちゃった人は、もう既にKKBの術中にハマっちゃってる。ここまで器用にあらゆるジャンルやバンドのエレメンツを咀嚼、いいとこ取りするその類まれなるセンスには脱帽しかない。様々なエレメンツをしっかりとKKBらしい楽しいサウンドに昇華しているのが凄い。なんにせよ、ありとあらゆる面で1stアルバムとは一線を画している。

このEPを聴いたら、次作の2ndフルアルバムはこの「バンド路線」になることが容易に想像できる。でも、この本職のバンドを凌ぐクオリティの曲を聴かされたら、「もうバンドでもなんでも好きにしてくれ!」としか言えないはず。それぐらい、ちょっと想像した以上の才能とオルタナティブなセンスに驚きっぱなしだった。クソナードとか言ってゴメン。ヘタしたらローレン・メイベリー率いるチャーチズ捲くるくらいバズるかも。もしそうなったら二度と日本語で歌わなくなりそうだけど。なんだろう、逆輸入が一周回って逆輸入されるみたいな、未だかつてない前代未聞のことをやろうとしてるのかもしれない。

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