Artist mori wa ikiteiru

Album 『森は生きている』

Tracklist
森は生きている ・・・の2ndアルバム『グッド・ナイト』は、Porcupine Treeのスティーヴン・ウィルソンやミカエル・オーカーフェルトもビックリの"プログレ"以外ナニモノでもない、2014年の邦楽界を代表する現代プログレの傑作だったが、彼らが2013年にリリースしたセルフタイトルの1stアルバム『森は生きている』は、その2ndアルバムとは一味違って→「ほーん、これがインディかぁ」って感じの作品となっている。それはオープニングを飾る”昼下がりの夢”や”雨上がりの通り”を聴けばわかるように、ジャズィなピアノと竹川くんのユル~いボーカルで優美な雰囲気で聴かせる曲調に、サックスやトランペットなどの吹奏楽器を使ってファンキーなノリを積極的に取り入れている。次作の『グッド・ナイト』のように、スケール感のあるプログレッシブな構成力やスリリングな展開力などの過剰演出で聴かせるのではなくて、あくまでも自然な流れでシンプルに、言うなればジャズ的な即興演奏(インプロビゼーション)を意識した、まるで森のせせらぎを奏でる妖精音楽隊となって癒しの空間を提供している。より身近で、より日常的な空気感を纏った、より斉藤和義をイメージさせる大人びたサウンド・スタイルだ。
・・・とはいえ、”回想電車”や”断片”の音使いからは60~70年代のヴィンテージなクラシック・ロックを彷彿とさせ、”光の蠱惑”や大作の”ロンド”では次作への伏線とも取れる展開力の高さを発揮していたりと、その持ち前のミニマリズムやさり気ないプログレスなアプローチを加えた音には、確かに名盤『グッド・ナイト』の片鱗が随所に散りばめられている。要するに→この1stアルバムを"原型"に、若さ溢れる咀嚼力によってサイケ/アンビエント/現代プログレ/アヴァンギャルドなどのジャンルへの視野が広がって音がスケールアップし、そしてバンドの中心人物である岡田君のライティング能力の覚醒が重なった結果というか、謎の突然変異で『グッド・ナイト』が生まれたのではなく、この1stアルバムを素直に発展させたのが『グッド・ナイト』だという事がわかる。つまり"化けた"と表現するより"正統進化"と言ったほうが的確か。あらためて、"プログレッシブ"という明確な意志をもって曲作りに徹したアルバムが『グッド・ナイト』だって事。その2ndアルバムほどのインパクトや凄みこそないが、その音はデビュー作とは思えない高水準の完成度を誇っている。少なくとも、あの『グッド・ナイト』を作るだけのポテンシャルはスデに今作のアチラコチラに点在している。なんだろう、この1stアルバムがメインボーカルの竹川くん主体で、次作の2ndアルバムがバンドの心臓部である岡田くん主体に作られているイメージがあって、その違いは主に作曲面やボーカル面からも垣間見ることができるのだが、とにかく『グッド・ナイト』では岡田くんが本気出しちゃった感が強くて、というより、あらゆる面で"欲"を出してきたというか、明らかに勝負しにきた感がある。とにかく、岡田くんと竹川くんの関係性は見ていて面白いし、というより、このコンビの力加減でどうにでもなるし、その二人の仲介役となっている歌詞担当の増村くんの存在に俄然萌える。
幕開けを飾る”昼下がりの夢”の「走り出す少女の影」を題材にした歌詞は、2ndアルバム『グッド・ナイト』の一曲目を飾る”プレリュード”の歌詞とリンクしていてニヤリとする。そして、このタダモノじゃなさを醸し出すプロダクションと音使いからは、あらためて彼らの"音"に対する異常なほどの”こだわり”や新人離れした音楽家としての意識の高さを伺わせる。一転してシュビドゥバ系のレトロなコーラスと心弾むようなピアノでノリの良いリズミカルなビートを刻んでいく曲で、一部童謡から引用した歌詞が印象的な”雨上がりの通り”、ハモンド・オルガンとアンニュイにユラめくギターのプログレスキーな音色を中心に、田舎の無人の一両編成電車の如くユッタリと聴かせる”回想電車”、哀愁ただようピアノと竹川くんの歌声による悲しげな幕開けから、一転して多彩な楽器を擁しエレクトリカルなアレンジを効かせた賑やかな展開を見せる”光の蠱惑”、再びクラシックなオルガンの音色やトランペットとギターがファンキーなジャズ感を醸し出す”断片”、次作への伏線となるミニマルな大作の”ロンド”、岡田くんがメイン・ボーカルを担うサイケ・ポップな”日傘の蔭”、今作のハイライトを飾る曲で、雨上がりのアスファルトの匂いが立ち込めるノスタルジックな”帰り道”、最後はカントリー風アコースティック・ナンバーの”日々の泡沫”で終演。
相変わらず数多くのチェンバーな楽器を駆使した、意識高い系文学青年もといハルキストあるいはトクマルシューゴ大好き武蔵野芸人の皆さんが、森のほとりで執り行われる質素なエレクトリカル・パレードを仲よさげに繰り広げている。しかし気になるのは、このまま2ndの流れを踏襲したプログレ路線が続くのか、はたまたインディ路線に回帰するのか・・・?早くも彼らの次作が楽しみでしょうがないし、次世代の邦楽界を担うであろう若者の音楽を僕は後押ししていきたい。

Album 『森は生きている』

Tracklist
01. 昼下がりの夢
02. 雨上がりの通り
03. 回想電車
04. 光の蠱惑
05. 断片
06. ロンド
07. 日傘の蔭
08. 帰り道
09. 日々の泡沫
森は生きている ・・・の2ndアルバム『グッド・ナイト』は、Porcupine Treeのスティーヴン・ウィルソンやミカエル・オーカーフェルトもビックリの"プログレ"以外ナニモノでもない、2014年の邦楽界を代表する現代プログレの傑作だったが、彼らが2013年にリリースしたセルフタイトルの1stアルバム『森は生きている』は、その2ndアルバムとは一味違って→「ほーん、これがインディかぁ」って感じの作品となっている。それはオープニングを飾る”昼下がりの夢”や”雨上がりの通り”を聴けばわかるように、ジャズィなピアノと竹川くんのユル~いボーカルで優美な雰囲気で聴かせる曲調に、サックスやトランペットなどの吹奏楽器を使ってファンキーなノリを積極的に取り入れている。次作の『グッド・ナイト』のように、スケール感のあるプログレッシブな構成力やスリリングな展開力などの過剰演出で聴かせるのではなくて、あくまでも自然な流れでシンプルに、言うなればジャズ的な即興演奏(インプロビゼーション)を意識した、まるで森のせせらぎを奏でる妖精音楽隊となって癒しの空間を提供している。より身近で、より日常的な空気感を纏った、より斉藤和義をイメージさせる大人びたサウンド・スタイルだ。
・・・とはいえ、”回想電車”や”断片”の音使いからは60~70年代のヴィンテージなクラシック・ロックを彷彿とさせ、”光の蠱惑”や大作の”ロンド”では次作への伏線とも取れる展開力の高さを発揮していたりと、その持ち前のミニマリズムやさり気ないプログレスなアプローチを加えた音には、確かに名盤『グッド・ナイト』の片鱗が随所に散りばめられている。要するに→この1stアルバムを"原型"に、若さ溢れる咀嚼力によってサイケ/アンビエント/現代プログレ/アヴァンギャルドなどのジャンルへの視野が広がって音がスケールアップし、そしてバンドの中心人物である岡田君のライティング能力の覚醒が重なった結果というか、謎の突然変異で『グッド・ナイト』が生まれたのではなく、この1stアルバムを素直に発展させたのが『グッド・ナイト』だという事がわかる。つまり"化けた"と表現するより"正統進化"と言ったほうが的確か。あらためて、"プログレッシブ"という明確な意志をもって曲作りに徹したアルバムが『グッド・ナイト』だって事。その2ndアルバムほどのインパクトや凄みこそないが、その音はデビュー作とは思えない高水準の完成度を誇っている。少なくとも、あの『グッド・ナイト』を作るだけのポテンシャルはスデに今作のアチラコチラに点在している。なんだろう、この1stアルバムがメインボーカルの竹川くん主体で、次作の2ndアルバムがバンドの心臓部である岡田くん主体に作られているイメージがあって、その違いは主に作曲面やボーカル面からも垣間見ることができるのだが、とにかく『グッド・ナイト』では岡田くんが本気出しちゃった感が強くて、というより、あらゆる面で"欲"を出してきたというか、明らかに勝負しにきた感がある。とにかく、岡田くんと竹川くんの関係性は見ていて面白いし、というより、このコンビの力加減でどうにでもなるし、その二人の仲介役となっている歌詞担当の増村くんの存在に俄然萌える。
幕開けを飾る”昼下がりの夢”の「走り出す少女の影」を題材にした歌詞は、2ndアルバム『グッド・ナイト』の一曲目を飾る”プレリュード”の歌詞とリンクしていてニヤリとする。そして、このタダモノじゃなさを醸し出すプロダクションと音使いからは、あらためて彼らの"音"に対する異常なほどの”こだわり”や新人離れした音楽家としての意識の高さを伺わせる。一転してシュビドゥバ系のレトロなコーラスと心弾むようなピアノでノリの良いリズミカルなビートを刻んでいく曲で、一部童謡から引用した歌詞が印象的な”雨上がりの通り”、ハモンド・オルガンとアンニュイにユラめくギターのプログレスキーな音色を中心に、田舎の無人の一両編成電車の如くユッタリと聴かせる”回想電車”、哀愁ただようピアノと竹川くんの歌声による悲しげな幕開けから、一転して多彩な楽器を擁しエレクトリカルなアレンジを効かせた賑やかな展開を見せる”光の蠱惑”、再びクラシックなオルガンの音色やトランペットとギターがファンキーなジャズ感を醸し出す”断片”、次作への伏線となるミニマルな大作の”ロンド”、岡田くんがメイン・ボーカルを担うサイケ・ポップな”日傘の蔭”、今作のハイライトを飾る曲で、雨上がりのアスファルトの匂いが立ち込めるノスタルジックな”帰り道”、最後はカントリー風アコースティック・ナンバーの”日々の泡沫”で終演。
相変わらず数多くのチェンバーな楽器を駆使した、意識高い系文学青年もといハルキストあるいはトクマルシューゴ大好き武蔵野芸人の皆さんが、森のほとりで執り行われる質素なエレクトリカル・パレードを仲よさげに繰り広げている。しかし気になるのは、このまま2ndの流れを踏襲したプログレ路線が続くのか、はたまたインディ路線に回帰するのか・・・?早くも彼らの次作が楽しみでしょうがないし、次世代の邦楽界を担うであろう若者の音楽を僕は後押ししていきたい。








