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墓っ地・ざ・ろっく!

ニューエイジ

Cynic - Ascension Codes

Artist Cynic
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Album 『Ascension Codes』
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Tracklist
1. Mu-54*
2. The Winged Ones
3. A'-va432
4. Elements and their Inhabitants
5. Ha-144
6. Mythical Serpents
7. Sha48*
8. 6th Dimensional Archetype
9. DNA Activation Template
10. Shar-216
11. Architects of Consciousness
12. DA'z-a86.4
13. Aurora
14. DU-*61.714285...
15. In a Multiverse Where Atoms Sing
16. A'jha108
18. Ec-ka72

なんだろう、今のCynicほど闇が深いバンドってなかなかお目にかかれない気がする。というのも、2014年に発表された前作の3rdアルバム『Kindly Bent to Free Us』以降、彼らの不仲説がにわかに囁かれ始めると、間もなくしてDEATHのドラマーでもありCynicの創始メンバーであるショーン・レイナートが脱退、そして2020年の初めに原因不明の事故で亡くなると、その数カ月後、同年の12月にベーシストであるショーン・マローンが亡くなったという信じられないような訃報が舞い込んでくる。正直、その時は「ん?ショーンってもっと前に亡くなったよな?これが噂のマンデラエフェクトか!?」と思いきや、“ショーン”は“ショーン”でも「もう一人のショーン」であるベースのショーン・マローンが亡くなったとの事で、シンプルに「同年に同名の二人のメンバーが亡くなるって、そんな事ある?」としか思えないような不幸というか、以前から不仲説が囁かれていた事を考えると余計に闇が深すぎてシャレにならない、もう笑えないってなった。

・・・そんなわけなんで、これから僕が書くCynicの約7年ぶりとなる4thアルバム『Ascension Codes』に関してのレビューは正統な評価ではないので信用しないでください。何故なら、もし批判的な文章を書いたら最後、フロントマンのポール・マスヴィダルもとい何者かによってインド密教の魔術で消されかねないというか、単純に命の危険に晒されたくないのでw

ポール・マスヴィダルの脳ミソ

ポール・マスヴィダルの頭脳と題して当時作った上記のクソコラ画像を見ながら前作の『Kindly Bent to Free Us』を振り返ってみると(これ何の画像だっけ?みたいなのもいくつかあるw)、少し言い方は悪いけどフォロワーのScale the Summitからのパクリや、近年のOpethPorcupine Tree『Fear Of A Blank Planet』からパクりまくった平凡なプログレで、それこそデビュー当時の『Focus』や奇跡の復活作となった『Traced in Air』のような(シシ)神がかり的な(シシ)神通力がまるで感じられない、パクリ魔のポッピーもビックリの駄作だった。

そんな、フォロワーからパクるという最低最悪の駄作から7年、鮮烈なデビューから解散、奇跡の再結成から不仲説、そしてカミングアウトからダブル・ショーンの死という、この長きにわたるメタル史においてその名を深く刻むであろう壮絶なバンド人生を歩んできたバンドの頭脳であるポール・マスヴィダルが放つ本作の『Ascension Codes』は、それこそタイトル通り人類を高次元の存在にアセンションする“コード”を打ち込むような、死(DEATH)を乗り越えるのでなく死(DEATH)をも超越する神や宗教における信仰すらないディストピアな精神世界を築き上げている。

本作におけるディストピア的な世界観を司る、曲タイトルが数字や記号で表記されたインタールード的な短い間奏からもわかるように、Cynicならではというかポールの特異な趣味嗜好が垣間見れるスピリチュアルなアンビエント~ニューエイジの自然崇拝、そのネイチャー的思想と民俗学的なオリエンタリズムが織りなす音響意識からは、他ならぬ名作ゲー『ニーア・オートマタ』のポスト・アポカリプティックな世界観に直結、および美しいサウンドトラックと共振するような、それはまるで地上に送り込まれた人間型アンドロイド(ヒューマノイド)と異星人が製造した機械生命体が争う傍らで、絶滅を逃れた人類はいかにアセンションするか?を思考に思考を重ねる、そんな『三体』の劉慈欣もビックリのSFチックな物語をイメージさせる。それこそ、復活作でリアル『もののけ姫』のシシ神様を地上に降臨させるも、人類が調子に乗ってパクりまくったら滅亡の危機に瀕し、そして地上にはムチムチのバイオロイドと機械兵器しか存在しなくなったディストピアみたいな。つまり、立て続けにメンバー二人を喪ったポールの喪失感が本作の世界観およびコンセプトの根っこの部分にあると言える。


デスメタルとジャズ/フュージョンを組み合わせた先駆者であり革新的な存在、そのパクリカスとは一線を画す真のオリジネイターとして、もはやニーチェばりに深淵を覗き説くかのような思慮深きプログレッシブ・ミュージックは、その世界観を構成する青葉市子ばりのアンビエント/ニューエイジの音響空間の中で著しい相乗効果をもたらしている。中でも、例えるなら巨匠キューブリックの名作SF映画『2001年宇宙の旅』における人工知能(AI)の先駆けであるHAL、あるいは『ニーア・オートマタ』におけるポッド153やポッド042を連想させるボカロSEの#9“DNA Activation Template”をはじめ、中盤のハイライトを飾る“Architects of Consciousness”は2ndアルバム『Traced in Air』をアセンションさせたような曲で、終盤のハイライトを飾るトラッピーなハイハットを刻む“Diamond Light Body”も近未来型バイオロイドのCynicを20年代仕様の高次元にアセンションプリーズさせた結果と言える。とにかく、最初から最後まで一貫して意識的(Consciousness)な思考をもって高次元へとエボリューションしてマトリックス状態(瞑想状態)に陥ること請け合いの、それこそTOCANAの女編集長がハマりそうなほどスピった作風となっている。確かに、ショーンの二人が欠けた状態であるはずの本作のが前作よりもCynicらしいという、何ともヒニックもとい皮肉な事態になってるのはアレっちゃアレだが、少なくとも僕が断言できるのは「前作は超えている」の一言だけです。それこそパクリマクリスティの前作は一体なんだったんだ?ってくらいに、あくまでCynicの体を成して曲が書けている事に驚かされた。ともあれ、冒頭でも言ったように信用しなくて結構ですけど、忖度なしに傑作ですこれ。

本作のスピった世界観を通して20年以降に現実世界で起こった悲劇的な出来事を解釈するならば、それこそダブル・ショーンの二人は亡くなったのではなくアセンショーンして高次元の存在に上昇しただけと考えたら、なんだろう少しばかり悲しみが癒えるというか、(普段から胡散臭いカルト的存在としてバカにしてるけど)たまにはスピってみるのも悪くないなって。

Carbon Based Lifeforms - Stochastic

Artist Carbon Based Lifeforms
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Album 『Stochastic』
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Tracklist
01. 6EQUJ5
02. Holding Time
03. Hello from the children of planet earth
04. Probability Approaches Infinity
05. Stókhos
06. Mycorrhizal Network
07. Delsjön
08. Sphere Eversion
09. Eigenvector
10. Finite State Space

スウェーデンのアンビエントユニット、Carbon Based Lifeformsのスタジオアルバムとしては2017年作の『Derelicts』から約4年ぶりとなる『Stochastic』は、CBLがこれまで一貫してきたアンビエント~サイビエント~ニューエイジラインの環境音楽然としたリラクゼーション効果の高いチルい音楽は不変で、それこそ幕開けを飾る#1“6EQUJ5”からして、自然豊かな地球が発する川のせせらぎや小鳥のさえずりをはじめ、(初期のテクノ/エレクトロニカ路線の名盤『Interloper』ではなく)近作の延長線上にあるハンス・ジマーばりのスペース・アンビエント然とした環境音と、死海さながらの赤く淀んだ海の波を繰り返し描く「デュ~~~~~ン」としたドローンな重力音が量子もつれを起こす。それはまるで死海の底の底にある海淵で交互にこだまする未知の音楽、つまり人類の魂の浄化を目的とした『人類補完計画』におけるセカンドインパクト「海の浄化)」、その計画の最終段階となるフォースインパクト「魂の浄化」を描いた作品が本作なんですね(しかし尺がクソなげぇ)。

Alora Crucible ‎– Thymiamatascension

Artist Alora Crucible
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Album 『Thymiamatascension』
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Tracklist
01. Livanomancy in Jasper
02. Synaxarion of John Isangelous
03. Synaxarion of John Abject
04. Bottomless Madrugada
05. Barriers Hymn
06. Psalloed Illusions

Alora Crucibleって誰かなぁ?と思ったら、あのVauraKayo Dotの中心人物として知られるトビー・ドライバーの新しい通名と知って驚いた。何が驚いたって、トビーといえば本家Kayo Dotではアヴァンギャルドmeetブラックメタルを、サイドプロジェクトのVauraではニューウェイヴmeetブラックゲイズを、Toby Driver名義のソロプロジェクトではストリングをフィーチャーしたネオクラシカルを、そして今回新たに始動した本プロジェクトでは、これまでの各プロジェクト同様に実験的は実験的ながらも、いわゆるニューエイジやアンビエントに振り切った、より音響的なアプローチを強めた音楽性を終始一貫して追求している。それこそ本作の『Thymiamatascension』は、ノルウェーのレジェンド=Ulverも在籍するレーベルのHouse of Mythologyからリリースされている事実が全ての答え合わせと言っても過言じゃあない。

いわゆるポストロックやスロウコア的なミニマル・ミュージックに、チェンバー・ミュージック然とした静謐的なストリングスや喜多郎顔負けのニューエイジ/アンビエントならではの幻想的なシンセが、まるで雨の日に傘から滴り落ちる水玉のようにこまだするインスト中心の楽曲における、それこそ彼がソロ名義で2018年に発表した『They Are The Shield』の延長線上にある、まるで現世の慈悲深さに慟哭するかの如しストリングスの音色は、Ulverが本国のオーケストラとコラボした『Messe I​.​X​-​VI​.​X』と否応なしに共鳴すると同時に、その自然な流れから日本のSSWシーンを代表する青葉市子岡田拓郎らが音楽的なバックグラウンドとして持つニューエイジの側面とも重なって聴こえる。なんだろう、ソロ名義よりも俄然ストリングスの鳴り方が日本の伝統音楽である雅楽はもとより、それこそ韓国のJambinaiをイメージさせる民族楽器風の荘厳な音色を奏でている。

もちろん、過去の関連プロジェクトと比較すると曲の抑揚や展開は最小限に抑制されており、あくまで“繰り返しの美学”を追求したミニマル地獄という名の、要は断捨離が好きなミニマリスト向けの癒やしの音楽を提示している。それこそ、ソロ名義の流れを踏襲したギターのリフレインがフェードインして始まる#1“Livanomancy in Jasper”からして、Ulver『Messe I​.​X​-​VI​.​X』における名曲“As Syrians Pour In, Lebanon Grapples With Ghosts Of A Bloody Past”をフラッシュバックさせ、俄然ポストロックmeetUlverな#2“Synaxarion of John Isangelous”、イントロから儚くも美しい悲哀を帯びた#3“Synaxarion of John Abject”、アジアの伝統楽器さながらの荘厳かつ優美なストリングスをフィーチャーした#4“Bottomless Madrugada”、トビーがボブ・ディラン顔負けのダーティな語り弾きオジサンと化す本作唯一のボーカル曲であり、またSSWやマルチプレイヤーとしての才能以前に彼(US版岡田拓郎として)のギターリストとしての才能が炸裂する#5“Barriers Hymn”、そしてニューエイジ指数の高い流行りのダンジョン・シンセを駆使した#6“Psalloed Illusions”まで、派手さのない地味な音楽ながらも幻想的かつ叙情的な世界観をバックに奏でられる、美しくも聡明なストリングスの音色に汚れた心が浄化されること請け合いの一枚。個人的にはソロ名義よりも好きな作風。

Susanne Sundfør 『Music for People in Trouble』

Artist Susanne Sundfør
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Album 『Music for People in Trouble』
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Tracklist
1. Mantra
2. Reincarnation
3. Good Luck Bad Luck
4. The Sound Of War
5. Music For People In Trouble
6. Bedtime Story
7. Undercover
8. No One Believes In Love Anymore
9. The Golden Age
10. Mountaineers

世間が「平和の祭典」とされるオリンピックに熱狂する中、方や中東地域では今なお復讐の連鎖、報復の連鎖による紛争がやまない雨の如く後を絶たないでいる。この諸行無常の世界に救いの手を差し伸べるのは、やはり「音楽」なのかもしれない。いま一度、改めて「音楽の力」を再確認すべき時代がやってきたのかもしれない。このアルバムは、昨今より「繋がり」が求められる時代に、ノルウェイの歌姫スザンヌ・サンドフォーは北朝鮮とアメリカ、ネパールやブラジル、そしてアマゾンのジャングルに至る大陸を横断する旅路の中で、いま世界中で対立し合う国同士、いま世界中でいがみ合う人々の想いを一つ一つ紡ぎ出し、そしてバラバラに分断された国や地域を再び一つの世界に統一される事を祈るような、そんな「平和の象徴」=シンボルを謳った「和平の音楽」である。

前作の5thアルバム『Ten Love Songs』は、それはまるで荻野目洋子”ダンシング・ヒーロー”のような、あるいは「北欧の西野カナ」のような、もしくはCHVRCHESChelsea Wolfe、同郷の妹分であるAURORAに対する回答であるかのような、シンセをはじめイマドキの電子音楽をフィーチャーした、ある種の80年代の歌謡シンセ・ポップに振り切った作風で、そして何よりも”Kamikaze”=「カミカズイ~的な意味でも俺の中で話題を呼んだ。そんな彼女を一躍「ポップスター」に押し上げる大きなキッカケとなった、トム・クルーズ主演のSF映画『オブリビオン』の主題歌に起用されたM83とのコラボ(2013年)から同郷のエレクトロユニットRöyksoppとの再コラボ(2016年)に至る一連の流れから一転して、通算6作目となる今作の『Music for People in Trouble』では、彼女の原点である「シンガーソングライター」としてNEXT_の次元に進んだことを宣言するような、決して前作のような「ポップスター」さながらのキラキラした派手さはないが、シンプルにスザンヌの芯の通った歌声が胸に染み渡る大人のフォークソングを聴かせる。

2017年内の話でも、LAのPhoebe BridgersやUKのMarika Hackmanを筆頭に、いわゆる昨今のフォーク・ミュージック・リバイバル的な潮流に沿った案件でもあって、アコースティック・ギターを中心にグランドピアノやペダルスティール、フルートやクラリネット、更にはサックス、時にはスポークン・ワードを駆使しながら、その清らかな世界観を構築していく。ゲストにはレーベルのベラ・ユニオン繋がりでもあり、スザンヌが敬愛してやまないジョン・グラントが10曲目に参加し、マスタリングにはThe War On Drugs岡田拓郎くんの『ノスタルジア』でもお馴染みのグレッグ・カルビという、その手のインディ系フォーク・ミュージックの分野に長けた文字通りプロフェッショナルなエンジニアを迎えている所にも、今作のただならぬ「こだわり」を伺わせる。

スザンヌ自身が「今の時代って物事が次から次へとすごいスピードで変化してて、時にそれは暴力的で圧倒される。たくさんの人が不安を抱えていると思うの。わたしはそういった感情をこの作品を通して表現したかったの」と語るように、テクノロジーの進化、インターネット時代の到来、そしてSNS疲れなどの一種の現代病から解放するような、そして行き過ぎた資本主義がデッドラインを超えて世界中に蔓延する格差社会、それらを一度「無」に帰すような、人間が持つ本質的な部分に訴えかけるような、そんな現代人の荒んだ心に安らぎと平穏、そして調和を与えてくれる。例えるなら、これはまさに「楽園の音楽」だ。

スザンヌが世界中の国々を訪れる中で彼女が辿り着いた一つの答えこそ、かのニーチェが提唱した「ニヒリズム」の思想だった。その虚無主義的な思想を音楽を通じて表現するにあたって、スザンヌが導き出したのがより身近により自然体で奏でる、まるでその場に寄り添うような自然の音楽、よりオーガニックでよりアナログかつアンプラグドな、それはまるで「アンチ・テクノロジー」の音楽、そしてそれは世界中の人々の耳に届く「自由の音楽」だった。この音楽には、自分の体で、自分の目で世界を確かめた人間だからこそ成せる、ぐうの音も出ない説得力に溢れている。これこそ「今の音」だ。

ペダルスティールを駆使した#1”Mantra”と#2”Reincarnation”の冒頭からして、The War On Drugsをはじめとしたその手のピッチフォーク界隈への迎合を図ったような曲で、そんな中でも、今作の目玉となる#4”The Sound Of War”から#5”Music For People In Trouble”の流れは圧巻の一言だ。そこは争いのない小鳥のさえずりがこだまする美しく広大な地球を舞台にアコギ一本で語り弾く女神=シンボルという、もはや不気味なくらい平和な光景から一転、すると前触れもなく「ソレ」はやってきた。その曲調からして、「ソレ」はまるで平穏な日常に忍び寄る恐怖、それこそ”戦争の足音”すなわち「散歩する侵略者」の足音が聞こえてくるような、その「音(Sound)」こそ人類が最も恐るるべき「恐怖(Fear)の音」である。

前作では”Kamikaze”という曲でスザンヌなりの”Love”を描き出していたが、この”The Sound Of War”では自身の実体験とも呼べるより”リアル”な恐怖(Fear)を与えることで、より強い”Love”、そして”Peace”を人々の潜在意識に植え付けている。同郷の「繋がり」で言うと、ノルウェイの森のクマさんことUlverが地元のオーケストラとコラボした『Messe I.X - VI.X』、あるいは坂本龍一『async』みたいなアンビエント・ポップ/スポークン・ワード的なスピリチュアルな世界観、もしくはエンヤJulianna Barwick的なニューエイジ回帰というか、デビュー10周年にして彼女は何を悟ったのか、過去最高にスザンヌのパーソナルな部分と”Love&Peace”なリベラリズムが「音(Sound)」に込められている。ちょっと面白いのは、同じく2017年にリリースされたUlverの新作『The Assassination of Julius Caesar』がスザンヌの前作『Ten Love Songs』っぽいシンセ・ポップな作風で、逆にスザンヌの新作『Music for People in Trouble』Ulverの前作『Messe I.X - VI.X』っぽい作風になってるところで、これはそろそろコラボあるんじゃねー的な淡い期待。とにかく、色々な意味で今作はHostessから国内盤が出てもおかしくない内容。

4thアルバムの『The Silicone Veil』以前の「天上の歌声」と称すべき彼女の超絶歌唱が堪能できる#7”Undercover”は今作のハイライトで、そしてよりエンヤっぽさを醸し出す#9”The Golden Age”、そしてジョン・グラントとスザンヌのデュエット曲となるラストの#10”Mountaineers”まで、とにかくこれまで以上にミニマムなスタイルでありながらも、その「音(Sound)」が奏でる”Love”に、過去最大級のスケールに只々圧倒されると同時に、でも不思議と身を委ねてしまう心地よい癒やしの空間でもある。作品の完成度は過去作と比べても全く引けを取らないし、少なくとも前作よりはスルメっぽいアルバムで、噛めば噛むほど聴けば聴くほど味が出てくる感じ。改めてみても、これはちょっと凄い。彼女、もうエンヤジュリアナ・バーウィックと同じ領域にいる。

Spotifyで水曜日のカンパネラの新曲「贏政」を聴いた

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つい最近というか、ようやく『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生も激推ししている漫画『キングダム』を読み始めて、流石に天下の漫画将軍の荒木飛呂彦が推すだけあってメチャクチャ面白くて、皮肉にも飛呂彦が現在連載しているジョジョ8部『ジョジョリオン』とは比べ物にならないくらいの面白さで、何を隠そう、その『キングダム』を題材にしたリアル脱出ゲーム「ある大戦場からの脱出」の主題歌として書き下ろされた、サブカルクソ女コムアイ擁する水曜日のカンパネラの新曲「贏政」がすこぶるカッコイイという話。ここ最近の水曜日のカンパネラといえば、今年の初めにメジャー1stフルアルバムを出して武道館ライブを成功させた事で久しいが、正直そのフルアルバムよりもこの新曲のが面白くね?っつー話。

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この曲のタイトル「贏政」は、漫画『キングダム』でもお馴染み、中国春秋時代に中華統一を志す31代目の秦王「贏政」の名を冠したもので、やはり注目スべきはその歌詞で、戦国七雄風にたなびく それが春秋時代」という戦国時代の中で、西の方の秦の国31代目の秦王「贏政」王になるっていつかは中華統一したいと(エラい軽いノリで)贏政の偉大なる『野望』『夢』を描き出すキングダムの物語を詞にしている。もっとも水カンらしくてユニークなのは、みんな大好き秦国六大将軍の王騎の右腕ことさんがファルファルと敵をなぎ払ったと思ったら、今度は羌瘣が呼吸を整えてトーンタンタンと空中を舞ったりと、漫画『キングダム』に登場するキャラの「シンボル」とも呼べる擬音を歌詞に織り交ぜながら、群雄割拠蠢く戦場のド迫力な臨場感をユニークな歌詞で表現していく。大袈裟じゃなしに、この曲の歌詞だけで『キングダム』が一体どんな漫画なのかが分かってしまうほど。

当然、この僕がただそれだけのためにわざわざ記事にするわけがなくて、この曲の更なる面白さは歌詞以外の所にあって、それは全編に渡って鳴り響く環境音楽やエレクトロニカを織り交ぜた、東洋思想や神秘主義を取り入れた70年代のニューエイジ(New Age)を彷彿させるトラックである。海外ではエンヤハンス・ジマー、国内を代表するニューエイジ系アーティストといえば喜多郎久石譲が一般的であるが、この曲を聴いてまず頭に浮かんだのが、他ならぬカナダが生んだ奇才デヴィン・タウンゼンド「サブカル期」でお馴染みのアルバム『気』”kawaii”が収録された『Ghost』で、それらの作品およびアーティストとこの「贏政」に共通するのは、秘境の地にある瑞々しい幻水がトロピカルに弾け飛ぶようなサブカル系アートポップ的な、中華風のスピリチュアルでピースフルなアンビエント/ニューエイジ的なアトモスフィアである。要するに、メタル界を代表するサブカルクソヤ野郎と日本を代表するサブカルクソ女の邂逅は、正直かなり面白いよねっていう話。まぁ、こんな音楽にも精通するデヴィンがただ変態なだけというか、それはコムアイも似たようなもんと思えば何ら不思議ではない。そもそも、その辺の一種の宗教的な音楽とコムアイの思想的な面での相性はグンバツであることから、必然的に「いい曲」になる事は目に見えていた。

ミニマル・ミュージックや環境音楽およびヒーリング・ミュージックを織り交ぜた幕開けから、まるで小鳥のさえずりが聞こえてきそうな神秘的な自然感を醸し出しつつ、その中盤以降まさに馬が中華の大地を駆けていくようなドラムビートで徐々にスピード感を増していく姿は、それこそ天下の大将軍を夢見る『キングダム』の主人公であり飛信隊のの如し。その戦国の世を駆けるを陰ながら見守るのが、エンヤさながらの「戦場の女神」的な存在感を放つコムアイだ。正直、ラップらしきことやってないコムアイのがマトモ説あるくらい、この手の曲を水曜日のカンパネラにやらせたら右に出る者はいないと再確認させる。だから、僕みたいにずっと気になってはいたけど漫画『キングダム』をまだ読めていないという人は、是非ともこの「贏政」Spotifyで聴きながら読むと俄然ファルファルとトーンタンタンが捗るのでオヌヌメです。

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