Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

デンゼル・カリー

Denzel Curry - Melt My Eyez See Your Future

Artist Denzel Curry
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Album 『Melt My Eyez See Your Future』
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Tracklist
01. Melt Session #1
02. Walkin
03. Worst Comes To Worst
04. John Wayne
05. The Last
06. Mental
07. Troubles
08. Ain't No Way
09. X-Wing
10. Angelz
11. The Smell Of Death
12. Sanjuro
13. Zatoichi
14. The Ills

マイアミ出身の“ブラックメタル・テロリスト”ことデンゼル・カリーが2018年に発表した名盤『Ta13oo(タブー)』において、当時のビリー・アイリッシュを同年のサマソニに招致したクリマン清水社長並の審美眼をもって共演した名曲の“Sirens | Z1renz”は、その年の俺的BESTラップソングの一つだったが、当時その曲でフィーチャリングしている女性歌手が(その後に『007』の主題歌に抜擢される)あのビリー・アイリッシュだと知らない状態で聴いてたのもあり、しばらく後になってその事実に気づいた時の衝撃というか引力ったらなかった。しかし、2020年に開催予定だったビリー・アイリッシュの単独来日公演のチケットが奇跡的に取れたのに、某コロナによって開催中止に追いやられたのは今でも思い出しては泣く。

改めて、2ndアルバム『Ta13oo(タブー)』でもフィーチャリングしているZillaKamiGhosteManeに代表される昨今のトラップ・メタルムーブメントの立役者であるデンゼル・カリーといえば、マソソソ・マソソソをはじめKornGHOSTなどの新旧ヘヴィミュージックやハイパーポップのAlice Glassが在籍するワーナー傘下のレーベルLoma Vistaに所属している一方で、その『タブー』や2019年作の3rdアルバム『Zuu』に至っては、スティーヴン・ウィルソンのソロ作でもお馴染みの大手ユニバーサル傘下のCaroline International(現Virgin Music Label & Artist Services)から作品をリリースしている。要するに、彼は現代ポップス界におけるアイコンと化したビリー・アイリッシュをはじめ、バズったRATMのCoverやトラップ・メタル界はもとよりクセの強いロック畑のバンドとも親しい共通点を持った、比較的オルタナティブな立ち位置にいる珍しいラッパーで、それ故に自分のようなロック耳にも否が応にもブッ刺さる、幅広い音楽を咀嚼したロック的なサウンドとトラップ/ヒップホップならではのビートがシームレスに交錯するラップをウリとしている。

また、デンゼル・カリーは人生においてインスパイアされた作品の一つに『カウボーイビバップ』を挙げるほど、そして今現在は『呪術廻戦』にハマっていると公言するほど日本の文化やサブカルチャーに強い関心を持ったラッパーでも知られる。そんなカリーの日本文化に対する珍妙な視線は、名盤『タブー』に収録された“Sumo | Zumo”の曲名が日本の国技である相撲から名付けられている点からも明らかだ。その次作となる3rdアルバムの『Zuu』では、一転して前作『タブー』が評価された所以と呼べるジャズ/R&B的なムードや地元マイアミ特有の倦怠感のあるチルい匂いを乗せたAOR風のシンセを極力排除して、それこそ“Sumo | Zumo”の系譜にある地元マイアミ直伝のトラップ/ギャングスタ・ラップに重きを置いた、要するに自身のラッパーとしての側面を深く掘り下げた作風で、これはこれでカリーが持つ別の顔というかジモティー愛に溢れた作品で決して悪いものではなかった。


言い方は変というか無礼(者)だが、そんなカリーの「復調気配」を垣間見せたのが、2021年にDJのKenny Beatsとコラボした『Unlocked 1.5』の冒頭を飾る“So.Incredible.pkg (Robert Glasper Version)”に他ならない。その伏線を回収するかの如し、本作の『Melt My Eyez See Your Future(目が溶ける 未来を目指せ)』の幕開けを飾るジャズピアニストのロバート・グラスパーをフィーチャリングした“Melt Session #1”では、本作の根幹部を担うネオソウルとドラムンベースが融け合った、それこそ名盤『タブー』の延長線上にあるジャズ/R&B的なムード志向のクラシック・スタイルへの回帰を示すと、それをイントロ扱いとして本作のリード曲でありシングルの#2“Walkin”へとスムースに展開していく。また、#4“John Wayne”ではカリーの盟友JPEGMAFIAが、そしてファンク調の#11“The Smell Of Death”では雷猫ことサンダーキャットがプロデュースを担当している。


それらシングル曲におけるジャケの日本語表記や“相撲”ネタはもとより(某SWの『ザー・フューチャー・バイツ』リスペクトか?)、本作の目が溶ける 未来を目指せにおいても日本映画界の大スターである三船敏郎主演の黒澤明映画『椿三十郎』からインスパイアされたトラップ・メタルの#12“Sanjuro”、そして北野武版でも知られる勝新太郎主演の『座頭市』という昭和の日本映画を象徴する伝説的な作品からインスパイアされた曲で、昨年の俺的BESTヒップホップ・アルバムを獲得したUKラッパーのslowthaiをフィーチャリングしたシングルの“Zatoichi”は、(それこそslowthaiのアルバム『Tyon』で既に相性の良さを見せていたように)この曲においてもslowthai的なグライムなトラップ...というよりも、三浦大知の紅白曲でお馴染みの“EXCITE”みたいなJ-POPばりにキャッチーなラップは、恐らく本人も意図していない隠れ日本要素的な意味でも面白いっちゃ面白い(MVはカンフーを意識している)。また、『目が溶ける 未来を目指せ』というタイトルも暗にDeftonesのジャケ写を示唆しているようにしか思えなくて、カリーに対して“俺感”の読者説が芽生えたのは今さら言うまでもない。

全体的な印象としても、やはり名盤『タブー』に肉薄するジャズやR&B、そして昨今のトレンドであるローファイ・ヒップホップやアンビエント・ポップに精通するメンタルヘルシーなトラックメイクを楽曲の軸としながらも、決して『タブー』の二番煎じに陥ることのない、大げさだけど宇多田ヒカル『BADモード』と韻踏めちゃうレベルの名盤だと思う。なんだろう、今年の初めに新作の『Dawn FM』をリリースしたポップスターのザ・ウィークエンドは、彼の「優しさ」それ故に前作の傑作『After Hours』を超える事ができなかったけど、このデンゼル・カリーの場合は名盤『タブー』と同等、もしくはそれを超える可能性を十二分に秘めちゃってるのがヤバスンギる。

slowthai - TYRON

Artist slowthai
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Album 『TYRON』
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Tracklist
01. 45 SMOKE
04. VEX
05. WOT
06. DEAD
07. PLAY WITH FIRE
08. i tried
09. focus
10. terms feat. Dominic Fike & Denzel Curry
11. push feat. Deb Never
12. nhs
14. adhd

「デンゼル・カリーの新譜カッケー!」と思ったら、どうやらイギリスはノーサンプトン出身のラッパーことslowthaiだったらしく、そんな彼が今年の2月にリリースした2ndアルバム『TYRON』の何が凄いって、アルバム前半の大文字タイトルはエイサップ・ロッキーKenny Beatsをフィーチャーした曲をはじめ、それこそデンゼル・カリーの名盤『タブー』の系譜にあるトラップやパンク・ロックの新しい形と謳われるグライム・パンクをベースとしたUKヒップ・ホップに対して、アルバム後半の小文字タイトル曲はオルタナティブな側面を強調したスタイルに楽曲の雰囲気や世界観が反転するそのギャップにある。


それはまるで、先日リリースされたZellaKamiの1stアルバム『DOG BOY』におけるジャンルとジャンルの垣根を超えた次世代ラッパーとして共鳴するかのように、アルバム後半の小文字シリーズの幕開けを飾る、倦怠感丸出しのローファイ・ヒップホップ風なチルいトラックをフィーチャーした#8“i tried”や#9“focus”を皮切りに、SSWのドミニク・ファイクとデンゼル・カリーをフィーチャリングしたバキバキのエモ・ラップで泣かせる#10“terms”、からギャップレスに繋がって内省的な雰囲気から世界観が一転する#11“push”は、それこそUK産SSWのマリカ・ハックマンばりのアコースティックな癒やし系インディフォークとスロウタイのラップが極自然に馴染んでいる光景に衝撃を受けたというか、もはや「こんなラップありなん?!」と頭の切り替えが追いつかなかった。その癒やし系な雰囲気のまま、今度はピアノ主体のアンビエント・ポップとラップが邂逅する#12“nhs”、そしてUK音楽界のレジェンド=ジェイムス・ブレイクとコラボした#13“feel away”、そして最後までローファイで内省的な感情をハードコア・ラップばりに吐き散らす#14“adhd”まで、とにかくアルバム前半の大文字シリーズにおける英首相をディスるマクロなラップと、アルバム後半の小文字シリーズにおけるミクロなラップのギャップが本作のコンセプト、そのガキを握る作品となっている。

このslowthaiの新譜とZellaKamiの新譜、言うなれば双方の「新しいラップのあり方」を耳にして改めて思うのは、ラップってオルタナ/グランジやメタルのみならず、畑違いが過ぎる女性ボーカル系のフォーク・ミュージックやアンビエント・ポップすらも許容する寛容のジャンルなんだって事。また、奇しくもUKとUSを代表する若手ラッパーが揃って90sロックのレジェンド=Nirvanaに影響を受けているという意味でも、あのロック全盛時代から約30年が経過した今なおNirvanaは元より90sロックが現代のラップ界に与える影響は計り知れないものがあると痛感すると同時に、ラップこそロックでありパンクだと語る炎上芸人の言葉が俄然身に詰まされる。ともあれ、今年のラップ部門はロックやメタルの影響下にあるスロウタイとジラカミの新譜2枚と、デンゼル・カリーとKenny Beatsのコラボ作品『UNLOCKED 1.5』における“So.Incredible.pkg”が見事入選しました。

Oranssi Pazuzu 『Mestarin kynsi』

Artist Oranssi Pazuzu
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Album 『Mestarin kynsi』

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Tracklist
1. Ilmestys
2. Tyhjyyden sakramentti
4. Oikeamielisten sali
5. Kuulen ääniä maan alta
6. Taivaan portti

オレンジパズズことフィンランド出身のOranssi Pazuzuって、まずこの手のアヴァンギャルドなブラックメタルって隣国ノルウェーの専売特許なイメージあるけど、しかしこのOranssi Pazuzuも2009年にデビューして以来、コンスタントにアルバムを発表するたびにエクストリーム・メタルの常識を覆してきた気鋭バンドの一つだ。そんなパズズは、念願のメタル最大手ニュークリア・ブラストに移籍して約4年ぶりに発表された5thアルバム『Mestarin kynsi』において、長きにわたるブラックメタル史においても前人未到の“シン・ブラックメタル”の極地に到達している。これはでのアルバムとは明らかに一線を画す“黒い公園”を耳にした瞬間、僕はある一つの仮説にたどり着いた。それが、それこそが「パズズ=JK説」だった。


冒頭の#1“Ilmestys”や#2“Tyhjyyden sakramentti”は、お化け屋敷のSEみたいに不気味な不協和音を執拗に繰り返しながら、日常が足元から崩れ落ちていく恐怖を演出する。問題は次の#3“Uusi teknokratia”に関する話で、“黒い公園”の番人である道化がアヒャヒャヒャヒャ オヒョヒョヒョヒョヒョという不敵な笑みを浮かべながら人々に不安と恐怖を煽るような不規則なメロディとDjent以降の洗練されたモダンなリズムをもって混沌の禍に引きずり込まれたかと思えば、急な転調から今度は女の人の声で「ナ~ナ~ナ~フフフ~」みたいな萌え声が聴こえてきて、その瞬間何ィ!?公園に迷い込んだ!?ここはどこだァ!?赤い公園・・・?いや、ここはまさか・・・夜中の4:44分になると赤い公園が“真っ黒”に染まる都市伝説で有名なあの黒い公園!?ってなった。個人の勝手なイメージで例えるなら、#StayHomeからの休校でお家の子供部屋に引きこもり過ぎて頭がパズって波動に目覚めたタダヒトリの“ロンリーガール”ことJKパズズが真夜中の黒い公園で暗黒舞踏ばりのコンテンポラリーなダンスを舞い踊り黒い結界を張り巡らせている、そんな自粛期間中のJKの闇が暴発したイメージ。

その瞬間にフラッシュバックしたのは、まさしく日本のガールズバンド赤い公園に対する黒い公園と言わんばかりの、それこそメジャーデビューして佐藤千明が脱退した今現在にはないインディーズ時代の赤い公園におけるランドリーで漂白を『透明なのか黒なのか』という通称黒盤”が醸し出す天性のアヴァンギャリズムに他ならなかった。遂にパズズはアヴァンギャルドの概念を超越した先にあるイマドキのJKならではのコンテンポラリーなkawaiiセンスを会得してしまった感あって、これはもうブラックメタルの皮をかぶったエクストリーム・ガールズロックだと思ったね。北欧の毛むくじゃらのオッサンメタラーがJKのコスプレしてメタル演奏してる姿を想像したら萌えたし、ここまで萌え萌えキュンキュンしたブラックメタルってAlcest以来かも。


少し話は変わるけど、2015年以降のアンダーグラウンドのシーンで、マイアミのラッパーデンゼル・カリーを中心とする“トラップ・メタル”なるジャンルが創成期を迎えていたのを読者はご存知だろうか?2020年の初めにデンゼル・カリーが発表した新作のDJミックスでフィーチャリングしているGhostemaneZillaKamiこそトラップ・メタルシーンの第一人者と呼ばれる人物である。当然、2018年の年末にデンゼル・カリーはメタルだ何だと冗談交じりに書いてた頃は、アングラシーンでそんな新興ジャンルが産声を上げていたなんて全く知らなかったし、むしろこの“トラップ・メタル”という名の“新世代ニューメタル”“基準”みたいなカリーの新作で初めて知ったぐらいの勢いなんだけど、逆に言えば2018年の時点で既にデンゼル・カリーはメタルという“伏線”を立てて、間接的に“トラップ・メタル”の存在を潜在的かつ無意識のうちに認知していたと考えたら、やっぱ音楽って“引力”で成り立ってるんだなって。というか、ZillaKamiカリーの名盤『タブー』にも参加してるし、Ghostemaneに至ってはカリーBMTHも出演した昨年のロラパルーザのメインステージでパフォーマンスしてる事を今さら気づく奴←ウケる。

何を隠そう、本作がこれまでの作品と一線を画す最大の要因となる5曲目の“Kuulen ääniä maan alta”では、それこそ“トラップ・メタル”じみたシン・ブラストビートやバグったグリッチ/ノイズなどのイマドキのトレンドを応用した、それこそ“ブラック・トラップ(EDM)”と称すべき全く新しい異形のジャンルを生み出してしまっている。しかし20年代に突入したばかりのこのタイミングで、2015年以降のアングラシーンにおけるトレンドの一つだったデンゼル・カリーをボスとするGhostemane(舎弟1号)ZillaKami(舎弟2号)らの“トラップ・メタル”と点と点がバッチバチに繋がって一本の線になる完全究極体伏線回収案件は流石にエグいて、エグ過ぎるて。

正直、この辺のデンゼル・カリーが取り仕切るトラップ・メタル界隈の話題はいつか書きたいと前々から思ってたけど、その初出しがJKパズズになるなんて想像もしてなかった。もちろん、これまでも広義の意味でEDMと呼べる前衛的な側面は決してないわけではなかったし、そのわずかなEDM成分をイマドキのJK的な解釈をもって20年代仕様にアップデイトした結果、その回答が今作の“Kuulen ääniä maan alta”における“ブラック・トラップ(EDM)”だと考えたら、今回の件は何ら意外性のない話かもしれない。なんだろう、ブラックメタルからオルタナティブに方向転換したバンドといえば同じ北欧ノルウェーのUlverが有名だけど、今作の中でJKパズズがやってる事って、まさに偉大なる先人のUlverが辿ってきた音楽遍歴の進化という名の突然変異と全く同じ音楽進化論なんですね。もはや人類における進化の歴史、その決定的瞬間を目の当たりにしちゃった気がする。

恐らく誰もが予想していたように、遂にニュークリア・ブラストに買われて音が格段にブラッシュアップされて“色気”を出してきたのは紛れもない事実だけど、結果的にこれが功を奏している。過去作で培ってきた、まるで醜形恐怖症患者の精神状態を反映したかのような不快感を催す邪悪な奇音をベースメイクとしながらも、70年代のスペース・サイケ/プログレ成分だったり、Djent以降のモダンなリズムだったり、晴れてレーベルメイトとなったポスト・ブラック界のレジェンドAlcestのポスト成分だったり、(業界最大手ニュークリア・ブラストだからといって極端にメインストリーム=売れ線になるのではなく)あくまでも日本のガールズバンドとも共鳴する“ポップなアヴァンギャルド”が構築する黒い公園の世界観(コンセプト)だったり、そして2010年代後半のアングラシーンで産声をあげたJKに大人気のトラップ・メタルというイマドキのトレンドだったり、とにかくあらゆる面で洗練化(オーバーグラウンド化)が進んだ結果、日本の某ガールズバンドみたいに女装化もといミニスカJKに化けた大傑作ですこれ。まさにブラック・メタルというジャンルをNEXTステージへとブチ上げた、それこそポスト・コロナ時代のブラックメタルのあり方、その特例であり、もはや今年だけじゃなく20年代を象徴する歴史的名盤です。

とにかく感心したのは、これまではアンダーグランド・メタルの重鎮的なイメージの強かったパズズニュークリア・ブラスト入りに伴う「オーバーグランド化計画」で、まず過去作比でも輪郭のハッキリした泣きのメロディの増加は言わずもがな、“メタル”の醍醐味の一つである転調を駆使した曲構成に対する色気、ブラックメタル以前にメタルバンドとしての“リズム感”に対するモダンな色気、Ulverの正統後継者を襲名するかのようなアングラシーンのトレンド先取りに対する色気、これらの様々な“色気”は、これ以上増え過ぎてもダメだし、これ以上少な過ぎてもダメだし、それぞれの色気というか塩梅のさじ加減が絶の妙。そして何よりも、あくまで過去作と比較した上で“ポップ化”を推進するその問いに対する答えが、まさかの“ジャパニーズ・ガールズバンドのインディーズ時代”という発想がまず前衛的過ぎる変態もとい天才(仮に変態だとしても、変態という名の紳士だよ)。これを時代の突然変異とも呼べる、新時代の幕開けを宣言する2020年にやってのけるしたたかな頭の良さも推せる。ちなみに、バンド名にあるフィンランド語の“Oranssi”って、英語だとOrangeを意味していて、まさかのここでもオレンジに繋がってくるのちょっとホラーだなって。

ある種の映画『未知との遭遇』みたいな体験だったから、未だに自分でも何書いてんのか分かんねぇ。でもちょっと泣けたのは、個人的なフィンランドの推しバンドだった、例の「深いところでオルタナティブ・ヘヴィを舐めている」アルバムのゴミみたいな音質をディスったせいで自然消滅=実質解散したGhost Brigadeへのレクイエムとしても解釈可能な点で、少なからず言えるのは、これでパズズがフィンランド最高のメタルバンドになったということ。もちろん、ここ最近のニュークリア・ブラストの囲い込みあるいは青田買いもとい商売では最高レベルの仕事です。やっぱニュークリア・ブラストってサイコーーーーーー!!あとやっぱJKってサイコーーーーーーー!!

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デンゼル・カリーはメタル

デンゼル・カリー 『タブー』

Artist Denzel Curry
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Album 『TA13OO』
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Tracklist
01. TABOO | TA13OO
02. BLACK BALLOONS | 13LACK 13ALLOONZ 
03. CASH MANIAC | CAZH MAN1AC
05. SUPER SAIYAN SUPERMAN | ZUPER ZA1YAN ZUPERMAN
06. SWITCH IT UP | ZWITCH 1T UP
07. MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T
08. SIRENS | Z1RENZ
10. THE BLACKEST BALLOON | THE 13LACKEZT 13ALLOON
11. PERCS | PERCZ
12. VENGEANCE | VENGEANCE
13. BLACK METAL TERRORIST | 13 M T

昨年11月に行われたスティーヴン・ウィルソンの奇跡の来日公演を終えてから今まで一体ナニをしてたかっつーと、ザックリ言ってしまえばマイアミのラッパーデンゼル・カリー『タブー』しか聴いてなかったっつーのが正直なところ(仕事が忙しかったなんて言えない)。それというのも、実はSWデンゼル・カリーって地続きで韻を踏めちゃう話の流れがあって、というのもデンゼルが所属するレーベルがユニバーサル傘下のCaroline InternationalというSWNine Inch Nails、そしてマソソソ・マソソソと同じレーベルメイトで、となればこの『タブー』の国内盤もSWと同じHostess Entertainmentからリリースされていて、これもう完全にSW『To the Bone』以降の流れがあるなって、個人的に強烈な“引力”を感じたからに他ならない。しかし改めて、SWチャーチズがレーベルメイトなのホント笑える。

おいら、ラップ/ヒップ・ホップについては全く詳しくないので、この『タブー』のドコが凄いかなんて偉そうな事は言えないんだけど、とりあえず聴けばその凄さが分かるハズだからとにかく聴けって感じのアルバム。なんだろう、2017年のラップを代表する作品がケンドリック・ラマー『DAMM.』だとするなら、2018年のラップを象徴する作品はこのデンゼル・カリー『タブー』と断言していいレベルの傑作。


その名が世界中に知れ渡ることとなった2016年作の2ndアルバム『Imperial』は、幕開けを飾るULTのイントロから、90年代の日本のサスペンスドラマの劇伴みたいな80年代のニューウェーブあるいは80年代のYMOばりにセンセーショナルな衝撃を感じさせたけど、3rdアルバムとなる『タブー』は幕開けを飾る表題曲からして、それこそケンドリック・ラマー『DAMM.』“YAH.”を追従するかのような、倦怠感のあるスローなBPMとジャズいムードに包まれたアダルティな曲で、この時点で「これ完全に『DAMM.』の再来や・・・」と確信して鳥肌たちまくり。もう既にラマーと肩を並べるカリスマラッパーの様相を醸し出してる。

前作は童貞クサいクソほどマジメにオラついたトラップ・ラップって感じだったけど、今作はいい意味で大人になったというか、誤解を恐れずに言えば童貞卒業したようなポップでキャッチーな雰囲気というか、いい具合に肩の力が抜けて一皮向けた感あって、それこそフロリダのリゾート地でもあるマイアミビーチの陽気ャな空気感を醸し出す80年代のAOR色マシマシな冒頭の3曲が示唆するように、デンゼルの生まれ故郷からこの物語は始まる。

歌詞は、今や全米を代表するラッパーに成り上がったデンゼルを妬んだ地元のギャングにお前の女はヤリマンだから興味ないと煽りを食らわす自身の“名声”に関するリリックから、この混沌とした時代に生きる人々の“痛み”や“自殺”、ピッチフォーク批判やトランプ批判を巧みに織り交ぜながらも、その中心にあるのは“俺”=デンゼル・カリー自身が歩んできた人生の物語であり、そんな彼のパーソナルな部分が可視化されている。なんだろう、最近の映画で例えるなら『フロリダプロジェクト』が描き出した“アメリカの闇”=“タブー”にフォーカスしたような、映画好きとしてはタイムリーに感じるリリックで、そのある種の自伝的なリリックやコンセプティブなトラックの世界観も名盤『DAMM.』に匹敵する。もちろん、『DAMM.』も曲の中でトラップとか色んなことしてるのにきちんと一つにまとまってる完成度の高さがあって、この『TA13OO』にもそれと近い匂いを感じさせる(でもヤリマン)。ちなみに、歌詞の中には“ブラックサバス”の名前もあったり、5曲目の“スーパーサイヤ人”ネタはチャイルディッシュ・ガンビーノ主演の『アトランタ』7話の神回を思い出して笑うし、4曲目の「SUMO」ってまさかあの“スモウ”じゃねーよなって調べてみたらやっぱりあの“相撲”で笑った。あと7曲目の”MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T”の後半部分のラップはMEGARYU思い出したし、女性ボーカルをフィーチャーした8曲目の”SIRENS | Z1RENZ”は今作のハイライトで、2018年のBESTラップソングはこれに決まりです。


そんなスモウ!スモウ!とハードコアに叫んでる、自称“Raven Miyagi”またの名を“ブラック・メタル・テロリスト”としても知られるデンゼル・カリーが、今月の19日に初来日公演を果たすのもSW来日の流れで韻を踏めちゃう案件で、もはやSWともケンドリック・ラマーともSadistikともやくしまるえつこともBTSとも韻踏めちゃう“神”みたいな存在なので、このタイミングでの来日はグッドタイミング過ぎる。だからライブめちゃめちゃ行きてぇ。つうか行くかもスモウ!

結論「自称ブラック・メタル・テロリストのデンゼルはメタル」

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