
つい最近というか、ようやく『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生も激推ししている漫画『キングダム』を読み始めて、流石に天下の漫画将軍の荒木飛呂彦が推すだけあってメチャクチャ面白くて、皮肉にも飛呂彦が現在連載しているジョジョ8部『ジョジョリオン』とは比べ物にならないくらいの面白さで、何を隠そう、その『キングダム』を題材にしたリアル脱出ゲーム「ある大戦場からの脱出」の主題歌として書き下ろされた、サブカルクソ女コムアイ擁する水曜日のカンパネラの新曲「贏政」がすこぶるカッコイイという話。ここ最近の水曜日のカンパネラといえば、今年の初めにメジャー1stフルアルバムを出して武道館ライブを成功させた事で久しいが、正直そのフルアルバムよりもこの新曲のが面白くね?っつー話。

この曲のタイトル「贏政」は、漫画『キングダム』でもお馴染み、中国春秋時代に中華統一を志す「31代目」の秦王「贏政」の名を冠したもので、やはり注目スべきはその歌詞で、「戦国七雄」が「風にたなびく それが春秋時代」という「戦国時代」の中で、「西の方の秦の国31代目」の秦王「贏政」が「王になる」って「いつかは中華統一したい」と(エラい軽いノリで)贏政の偉大なる『野望』と『夢』を描き出す「キングダム」の物語を詞にしている。もっとも水カンらしくてユニークなのは、みんな大好き秦国六大将軍の王騎の右腕こと騰さんが「ファルファル」と敵をなぎ払ったと思ったら、今度は羌瘣が呼吸を整えて「トーンタンタン」と空中を舞ったりと、漫画『キングダム』に登場するキャラの「シンボル」とも呼べる擬音を歌詞に織り交ぜながら、群雄割拠蠢く戦場のド迫力な臨場感をユニークな歌詞で表現していく。大袈裟じゃなしに、この曲の歌詞だけで『キングダム』が一体どんな漫画なのかが分かってしまうほど。
当然、この僕がただそれだけのためにわざわざ記事にするわけがなくて、この曲の更なる面白さは歌詞以外の所にあって、それは全編に渡って鳴り響く環境音楽やエレクトロニカを織り交ぜた、東洋思想や神秘主義を取り入れた70年代のニューエイジ(New Age)を彷彿させるトラックである。海外ではエンヤやハンス・ジマー、国内を代表するニューエイジ系アーティストといえば喜多郎や久石譲が一般的であるが、この曲を聴いてまず頭に浮かんだのが、他ならぬカナダが生んだ奇才デヴィン・タウンゼンドの「サブカル期」でお馴染みのアルバム『気』と”kawaii”が収録された『Ghost』で、それらの作品およびアーティストとこの「贏政」に共通するのは、秘境の地にある瑞々しい幻水がトロピカルに弾け飛ぶようなサブカル系アートポップ的な、中華風のスピリチュアルでピースフルなアンビエント/ニューエイジ的なアトモスフィアである。要するに、メタル界を代表するサブカルクソヤ野郎と日本を代表するサブカルクソ女の邂逅は、正直かなり面白いよねっていう話。まぁ、こんな音楽にも精通するデヴィンがただ変態なだけというか、それはコムアイも似たようなもんと思えば何ら不思議ではない。そもそも、その辺の一種の宗教的な音楽とコムアイの思想的な面での相性はグンバツであることから、必然的に「いい曲」になる事は目に見えていた。
ミニマル・ミュージックや環境音楽およびヒーリング・ミュージックを織り交ぜた幕開けから、まるで小鳥のさえずりが聞こえてきそうな神秘的な自然感を醸し出しつつ、その中盤以降まさに馬が中華の大地を駆けていくようなドラムビートで徐々にスピード感を増していく姿は、それこそ天下の大将軍を夢見る『キングダム』の主人公であり飛信隊の信の如し。その戦国の世を駆ける信を陰ながら見守るのが、エンヤさながらの「戦場の女神」的な存在感を放つコムアイだ。正直、ラップらしきことやってないコムアイのがマトモ説あるくらい、この手の曲を水曜日のカンパネラにやらせたら右に出る者はいないと再確認させる。だから、僕みたいにずっと気になってはいたけど漫画『キングダム』をまだ読めていないという人は、是非ともこの「贏政」をSpotifyで聴きながら読むと俄然ファルファルとトーンタンタンが捗るのでオヌヌメです。














