Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

アーサー・リザーク

Kreator - Hate über alles

Artist Kreator
cucoebuFm2YVp2c1655968557_1655968577

Album 『Hate über alles』
1015661

Tracklist
01. Sergio Corbucci Is Dead
02. Hate Über Alles
03. Killer Of Jesus
04. Crush The Tyrants
05. Strongest Of The Strong [feat. Patrik Baboumian]
06. Become Immortal
07. Conquer And Destroy
08. Midnight Sun [feat. Sofia Portanet]
09. Demonic Future
10. Pride Comes Before The Fall
11. Dying Planet

デイヴ・ムステイン率いるスラッシュ四天王の一角であるメガデスも、今やギタリストがex-Angraのキコ・ルーレイロ、ドラムにはex-Soilworkのダークらを中堅バンドから引き抜いて寿命を延命させているバンドだが、同じくジャーマンスラッシュを代表するKreatorもその「若返り」の潮流を汲むようにして、2019年にベーシストのクリスティアンが脱退した代わりに、ex-DragonForceのフレデリクを迎えてからは初となる本作の『Hate über alles』は、前作の『Gods of Violence』から約5年ぶり通算15作目のフルアルバム。

近作のKreatorといえば、10年代のメタルシーンを裏方の立場から支えたエンジニア/プロデューサーのイェンス・ボグレンを迎え、バンドの「若作り」もとい「若返り」を模索するかのように、積極的な新陳代謝を促していた。そんな彼らは、本作の『Hate über alles』においてイェンス・ボグレンとの決別を果たし、新たなプロデューサーとして現行メタルシーンを裏から支配する“ポスト・イェンス”の最有力候補と名高いUSのアーサー・リザークを迎えるという、それこそ未だ衰えを知らない攻撃的な音楽性とシンクロするかの如く、シーンにおけるトレンドその審美眼をピンズドに捉えた用意周到っぷりは、改めてUKのパラダイス・ロストと双璧をなす“メタル界のイケおじ”と呼ぶに相応しい存在であると。

幕開けを飾るイントロの#1に次ぐ#2“Hate Über Alles”の冒頭のリフからして、2009年作の『Hordes of Chaos』への回帰を予感させるが、ひとえに回帰と言ってみても、サウンド・プロダクション的には『Hordes of Chaos』以前の寒色系ではなく、近作すなわちイェンス以降の暖色系を素直に踏襲した比較的フラットなスラッシュメタルの印象で、しかし一方でイェンス時代の音とも明確な違いがあるのも事実。とにかく、“イェンス”に「近づくタイミング」と“イェンス”から「離れるタイミング」を熟知しているKreatorほど信頼できるメタラーは他にいないかもしれない。事実、イェンス・ボグレンという名の『未知との遭遇』を図った2012年作の『Phantom Antichrist』に対して、継続してイェンスを起用した2017年作の『Gods of Violence』は、その内容に「ん?」と懐疑的な気持ちが微塵も浮かばなかったと言ったら嘘になる。

その「脱イェンス」を印象付ける、アーサー・リザークが手駒にしていた今はなきPowe Tripの新世代スラッシュメタルの意志を受け継ぐ男臭いコールを交えた#5“Strongest Of The Strong”や、在りし日のMACHINE HEADを彷彿とさせる#7“Conquer And Destroy”に象徴されるように、本作は様々な面においてアメリカナイズされた作風と言えなくもないが、そんな雑念すらも芸歴ウン十年のバンドとは思えない柔軟性に溢れたイケおじムーブを前にすれば無価値だ。事実、メタル文脈とは無関係のドイツの女性ボーカルSofia Portanetをフィーチャーした8曲目の“Midnight Sun”では、今なお現役バリバリのモテモテなイケおじっぷりを見せつけている。

総評すると、ヘヴィメタル全盛の時代に第一線でシノギを削ったバンドだからこそ成せるオールドスクールのヘビメタイズムと、トレンディなプロデューサーならではのモダンなUSスラッシュ勢からの影響、そしてイケメン要素などの若くてフレッシュなエネルギーがシナジーを引き起こすエクストリーム・ミュージックの良作です。

Enforced - Kill Grid

Artist Enforced
A-6211683-1621081416-3192.jpeg

Album 『Kill Grid』
a2498612303_16

Tracklist
1. The Doctrine
2. UXO
3. Beneath Me
4. Malignance
5. Kill Grid
6. Curtain Fire
7. Hemorrhage
8. Blood Ribbon
9. Trespasser

メロデス四天王チルボドのカリスマフロントマンであるアレキシ・ライホと新世代メタルの最右翼として期待されていたPower Tripのフロントマンであるライリー・ゲイルの訃報は、近代メタルシーンにおいても稀に見る多大な損失であり喪失で(シャウトの仕方が二人とも似ているのも相まって)、彼らの死はメタルの死を意味するのと同意でもあった。

何を隠そう、このヴァージニア州はリッチモンド出身の5人組=Enforcedの2ndアルバム『Kill Grid』は、決して「Power Tripの生まれ変わり」とまでは言わないが、それこそPower Tripがこの世に遺した歴史的名盤『Nightmare Logic』に肉薄する、ハードコア/パンクと伝統的なスラッシュメタルが組み合わさったクロスオーヴァー・スラッシュを展開している。

もはや亡きライリーが咆哮しているような錯覚すら憶えるほど、フロアのハーコーキッズを煽るハードコア/パンクならではの男臭いコール、殺戮の合図となるチョーキングからツインギターによる流麗なソロワーク、そしてPower Tripに肉薄する切れ味抜群の、まるでライリーへのレクイエムでもあるかの如しキザミにキザミまくるリフとマーシャルの性能を最大限引き出すことに注力したようなサウンド・プロダクションで二重に刻んでくるエッジーな音作り、その唯一無二のプロダクションをもってタイトに刻むミドルパートと殺傷力強めに高速で刻むパートの緩急を活かした楽曲構成までもがPower Tripの正統後継者を襲名するかの如し、とにかく名盤『Nightmare Logic』を意図してオマージュおよびリスペクトしたかのような作品となっている。Power Tripとの違いがあるとすれば、それはEnforcedの方がブラッケンド/デスメタルに精通するブルータルな側面を持っている点。それでも“ほぼ完コピ”に近い。

それもそのはず、というのも前作に引き続き本作にはPower TripTomb Mold、そしてUnto Othersなどの作品を手がけた今をときめくプロデューサーのアーサー・リザークをエンジニアとして迎え、そしてゴス系メタルコアバンドMotionless in Whiteのギタリストであるリッキー・オルソンがレコーディングに関わっている点からも、本作に賭ける熱量みたいなのが嫌でも伝わってくる。確かに、彼らに対してPower Tripおよびライリー・ゲイルのような圧倒的なカリスマ性を求めるのは酷だし、正統後継者や生まれ変わりと呼ぶのも言葉が違いすぎるけど、少なくともゲイリーが亡くなってロスを感じているメタラーやスラッシャーを満足させるには十分過ぎるほどの存在である事は確かで、それに見合うポテンシャルが遺憾なく発揮された本作は必聴です。

Dream Unending - Tide Turns Eternal

Artist Dream Unending
A-10330036-1638235735-9922.jpeg

Album 『Tide Turns Eternal』
a3435759326_16

Tracklist
01. Entrance
02. Adorned In Lies
03. In Cipher I Weep
04. The Needful
05. Dream Unending
06. Forgotten Farewell
07. Tide Turns Eternal

カナダのデスメタルバンド=Tomb MoldのギタリストであるDerrick Vellaとボストンのデスメタルバンド=Innumerable FormsのドラマーであるJustin DeToreの二人がタッグを組んだ新プロジェクト、その名もDream Unendingの音楽性を端的に言ってしまうと(それこそバンド名に「Dream Unending=終わらない夢」と名付けるだけあって)ドリーミーなデス/ドゥーム・メタルのソレで、それこそ90年代のPeacevilleが誇るAnathemaMy Dying Brideに代表されるゴシック御三家の影響を公言するロマンチシズムに溢れた叙情的なドゥームメタルを繰り広げている。要するに、本作のエンジニアであり今をときめくアーサー・リザークとPeaceville時代のAnathemaと現代アンダーグラウンド/デスメタルシーンを支える20 Buck Spinの黄金トライアングルが完成している時点で既に勝ち確なんですね。

そんな彼らの記念すべき1stアルバム『Tide Turns Eternal』は、彼らのドリー夢ーな音楽を司る夢世界の入り口へと聞き手を誘う#1“Entrance”を皮切りに、もはやピンク・フロイド級に音響意識の高いリヴァーブを効かせたギターのアルペジオ/幽玄なリフレーンとトラディショナルなデス/ドゥー夢メタル然とした邪悪ネスが悪夢の中で邂逅する#2“ Adorned In Lies”、キュアーばりに官能的なギターの肌触りに淫夢を感じる#3“In Cipher I Weep”、もはや在りし日のCynicや前身のPortalが創造するスピリチュアルなイーサリア夢の世界にアセンションする#4“The Needful”、デスメタル然とした悪夢のような前半パートから一転して内省的な泣きのメロディに慟哭不可避な後半パートのギャップ萌えに“名は体を表す”かの如し大作の#5“Dream Unending”、HR/HM界の伝説的なギターヒーローであるゲイリー・ムーア級の泣きのギターインストを披露する#6“Forgotten Farewell”、そして(#4の伏線回収とばかり)最後の最後でイーサリア夢なアルペジオをバックに女性ボーカルをフィーチャーした約10分におよぶ表題曲の#7“Tide Turns Eternal”まで、幻夢や淫夢やイーサリア夢など様々なドゥー夢の世界が無限に広がり続け、やがてカオナシそっくりの未知なる生命体と遭遇する、そんな「終わりのないのが終わり」みたいな明晰夢の無限ループって怖くね?

そのPeaceville全盛期リスペクトなドゥーム志向のみならず、フロイドはもとより往年のニューロマンティックを彷彿とさせる魅惑のリフレーンや幽玄なソロワーク、中でもHR/HM界のギターレジェンド=ゲイリー・ムーアとシンクロするかのような泣きのギターソロも本作における見せ場の一つだ。と同時に、#3,#4,#5におけるダイナミックかつプログレスでありながらもシームレスな展開力にも尋常じゃないセンスを伺わせ、とにかくバンド以前にプレイヤーおよびコンポーザーとしてのスキルが伴ってなければ実現不可能な楽曲構成をはじめ、そのウェッティな音作りの面でもオリジナリティの確立および作品の完成度に驚愕する。あとUKチックな泣けるドゥームと言えば、個人的に40 Watt Sunの伝説的な1stアルバムを思い出した。最近ではThouEmma Ruth Rundleのコラボアルバムが比較的シックリくるか。

Unto Others - Strength

Artist Unto Others
A-9659017-1626179506-8042.jpeg

Album 『Strength』
CS846337-01A-BIG

Tracklist
01. Heroin
04. No Children Laughing Now
05. Destiny
06. Little Bird
07. Why
08. Just A Matter Of Time
09. Hell Is For Children [Pat Benatar cover]
10. Summer Lightning
11. Instinct
12. Strength

オレゴンはポートランド出身のゴシック・ロックバンド、Idle Handsが大手メジャーレーベルのロードランナーに引き抜かれたのを境に、Unto Othersと改名して発表された本作の2ndアルバム『Strength』は、80年代に一世を風靡したニューウェイブ/ポスト・パンクの系譜にあるゴシック・ロック然としたビートを刻む若手バンドで、そのサウンドも流石に大手メジャーレーベルに引き抜かれるだけあって、いわゆる“ゴシック”から連想されるダークなイメージというよりは、現代のアリーナロックを代表するモンスターバンドことVolbeatにも通ずる、いわゆるMTV世代ならガッツポーズ不可避の古き良きヘヴィメタル/ハードロックを展開している。


MVの映像やメンバーの衣装を筆頭に、バンドの中心人物であるガブリエル・フランコによるフェルナンド(Moonspell)顔負けの雄々しくもダンディな咆哮、80年代のヘビメタを象徴するツインギターの叙情的なソロワークやツインリード、80年代のニューロマンティックな綺羅びやかなシンセ、そして80年代仕込みのサウンド・プロダクションまでも、とにかく楽曲的な面でもビジュアル的な面でも一貫してHR/HM全盛の80sスタイルを現代にリバイバルさせているバンドで、それらの何から何まで80年代愛に溢れすぎている意図してダサい要素以上に、彼らの80年代愛をより強固なものとするその最たる部分こそ、80年代に名を馳せた女性ハードロッカーの原点であるレジェンド=パット・ベネターのカバー曲(#8)の存在に他ならない。

もっとも面白いのは、アメリカのバンドなのに往年のゴシック・ロック然とした哀愁と官能に満ちたメランコリックなリフレイン/メロディを大胆に聴かせるそのギャップをはじめ、そして何より本作のプロデュース/エンジニアとしてGhosteManePower Trip、そしてCode Orangeなどの各シーンの“顔”となるバンドの作品に数多く関わっているアーサー・リザークを迎えている点からも、いかに彼らがロードランナーに激推しされているバンドなのかがわかるし(現に前作比で楽曲の強度が歴然の差)、そしていかに「ポスト・ヴォルビート」の座に向けて育てていくか、否が応でも今後も注目せざるを得ない期待の大型新人バンドと言える。

しっかし、これまでロードランナーの“ゴシック”を背負ってきたレジェンド=Type O Negativeの後継者としてIdle Handsを指名するとか・・・さすがRR、目の付け所が違うなって。少なくとも、未来のシン・ゴシックシーンを牽引すること請け合いのバンドです。また、本作は毛艶が黒光りしたGⅠ級のダークホース的なジャケがカッコ良すぎるのも含めて、とにかくMoonspellの名盤『Extinct』が好きな人やライト版Tribulationとしてオススメしたい、間違いなく今年のダークホースアルバムとなる一枚です。
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: