Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

アレックス・フィッツパトリック

Rolo Tomassi - Where Myth Becomes Memory

Artist Rolo Tomassi
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Album 『Where Myth Becomes Memory』
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Tracklist
01. Almost Always
03. Mutual Ruin
04. Labyrinthine
05. Closer
06. Drip
07. Prescience
08. Stumbling
09. To Resist Forgetting
10. The End Of Eternity

Holy Roar Recordsの創始者であるアレックス・フィッツパトリックが複数の女性から性的暴行を告発された件で、レーベルの看板娘であり屋台骨として二人三脚で長年共に歩んできたホームグラウンドから強制退去を余儀なくされたUKポストハードコアバンド、Rolo Tomassiの約4年ぶりとなる6thアルバム『Where Myth Becomes Memory』は、Black Label SocietyHigh On Fireが在籍するニューヨークのインディーズレーベルMNRK Heavyへ移籍して初となる作品。

改めて、UKの気鋭インディーズレーベルとしてメタルヘッズから一目置かれていたHoly Roar Recordsといえば、いわゆるUKポストハードコア系のバンドを主戦としながらも、昨今のメタルシーンにおけるトレンドのDeafheavenに象徴されるポストメタルムーブメントに乗っかる事に成功し、それこそRolo TomassiがHoly Roarへの置き土産として遺した前作の5thアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』は、DFHVNからの色濃い影響下にあるブラックゲイズをはじめポストロックおよびポストメタルを経由したオルタナティブな側面を大胆に取り入れたエクストリーム・ミュージックの金字塔と呼べる名盤だった。

心機一転、新天地からリリースされた本作においても彼らの革新的なアイデンティティは不変で、その先見性に富んだサウンド・スタイルは複雑極まりない静と動のコントラストを効かせたポストメタル/ポストロックの方向性へと舵を切っている。それにより持ち前のカオティックなマシズモは著しく減退した印象で、鍵盤奏者のジェイムズ・スペンス兄貴が奏でるリリカルな物語性を演出する神秘的なメロディを一歩前に打ち出したスタイルを軸としている。

幕開けを飾る#1“Almost Always”からして、それこそ2015年作の『Grievances』から始まり前作の『Time Will Die And Love Will Bury It』を経て本作まで続く三部作において、平凡なTDEPフォロワーだった彼らをTranscendentalな超越した存在に仕立て上げたRitual=儀式という名の魔改造に使用した禁忌の遺伝子(DNA)であるDeafheaven『サンベイザー』ばりにピンク色のノイズを撒き散らしながら、次第にピアノをフィーチャーしたATMSフィールドをまとったアンビエントな神秘世界を形成し、すると「叫ぶ女」界の特攻隊長であるエヴァ・スペンスたそが著しく洗練されたクリーンボイスで歌い上げる、まるでクソお世話になったアレックス・フィッツパトリックに対する「グッバイ」という餞別の言葉を示唆するリリックとともに、現代的なポストメタル然とした轟音が放つ怒涛のスケールとダイナミズムが俄然ドラマティックに物語を紡ぎ出していく。

全体を通して一聴する限りでは前作から特に大きな変化はない作風だと思いがちだが、本作において彼らがいかに凄いのかを証明するのが本作のハイライトを飾る#8“To Resist Forgetting”における、それこそまさにDeftonesが2020年作の『Ohms』においてシーンに啓示した“20年代のヘヴィネス”という現代ポストメタルの基準を、Rolo Tomassiなりの解釈で次世代のブラッケンド・ヘヴィネスあるいは全く新しいオルタナティブ・ヘヴィの一つの答えとして“ヘヴィネス”の概念を新世代仕様にアップデイトしている点←この一点に尽きる。それ即ち、マスコアレジェンドTDEPのマシズモを正統に受け継ぎながらも(出自)、10年代のメタルを象徴するDeafheavenを遺伝子組み換えレベルで経由して(フィッツパトリックによる魔改造)、そして出自もDNA(PINK BLOOD)も超越した本作でDefotnesMastodonに代表される今現在のヘヴィミュージックの最先端その先っちょまで到達しちゃってるエモさったらないというか、つまりあのTDEPすらなし得なかった偉業を成し遂げているヤバさ。とにかく、古巣のHoly Roar時代に培ったオルタナティブな革新性および先見性を今なお貫き通している事実に泣くし、それが、それこそが“元親”であるアレックス・フィッツパトリック改めアレックス・やらかし・フィッツパトリックに対する“娘”からの最大級の賛辞であり、これ以上ない別れの挨拶となっている。


もちろん、作品の衝撃度という点においては前作に劣るが、その前作において確立したエクストリームメタルを著しくトレンディにブラッシュアップした本作は、2015年作から続く三部作の最終章を飾るに相応しい集大成、と同時に自ら新天地からの再出発を祝うかのような傑作です。とにかく、このRolo TomassiがVevo化したのは素直に感慨深いものがあるというか、不謹慎だけどフィッツパトリックがやらかさなかったら実現しなかった案件なのも事実。

MØL - Diorama

Artist MØL
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Album 『Diorama』
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Tracklist
01. Fraktur
03. Serf
05. Redacted
06. Itinerari
07. Tvesind
08. Diorama

UKを代表する気鋭のインディーズレーベル、Holy Loar Recordsの創始者であるアレックス・フィッツパトリックがやらかした結果、レーベルに所属する気鋭の才能を持つ数多くのバンドが路頭に迷う事となったわけなんだけど、このデンマーク出身の新世代メタルバンドであるMØLもHoly Loarを背負って立つ有望株だったのは確かで、しかし奇遇にも悲運に見舞われたこのタイミングで(代表が新レーベルのAtomic Fireを立ち上げた)業界最大手のNuclear Blastに引き抜かれたのは何の因果か。しかし、本作を聴き終えた今思えば、結果的に新作をリリースするタイミングで半ば不可抗力的に引き抜かれたのは彼らにとって非常に幸運であり好都合な出来事だったのかもしれない。

そんな、フィッツパトリックに見出され鳴り物入りでHoly Loar Recordsからリリースされた1stアルバムJORDから約3年ぶりとなる2ndアルバム『Diorama』は、ヘヴィミュージック界を代表する重鎮テッド・ジェンセンをエンジニアに迎え、その楽曲自体も元レーベルおよびフィッツパトリックの趣味嗜好であるAlcestDeafheavenの影響下にあるブラックゲイズ~ポストメタル、あるいは新世代メタル界のホープとしての“らしさ”を前作から正統に引き継ぎつつも、まるでフィッツパトリックから喧嘩を吹っかけられたBFMVの新譜BFMVに加勢するかの如し、それこそフィッツパトリックへの手向けとしてMØLなりの「ご愁傷様」のお気持ちが込められた、心機一転そんな著しく洗練されたメジャー感を打ち出したエクストリーミーなサウンド、そのワンランク上の強度の高さからは確かな正当進化を伺わせる。


『ジオラマ』を冠する本作の幕開けを飾る#1“Fraktur”からして、Alcest『Kodama』Esben and the Witchを連想させるUKオルタナ気質に溢れた幻想的なオープニングから、Deafheavenのジョージ・クラークリスペクトな金切り声を皮切りに、バンドの出自がホーリーシーもといホーリーロアーであることを裏付けるようなカチコミ不可避の超絶エピックな洗練されたメロディ、そしてアウトロの音響意識までもDFHVNの正統後継者を襲名すれば、DFHVN『シン・バミューダ』の影響下にあるブラストビート全開のブラゲを軸としつつイーサリアルなクリーンパートを織り込んだ#2“Photophobic”および#3“Serf”、皮肉にもレーベルメイトとなったDark Tranquillityのミカエル・スタンネもビックリの、ヒマワリ畑が目の前一面に広がる超絶エピックなリフレインを響かせる#4“Vestige”、DFHVN普通の堕落した人間の愛における“Worthless Animal”から一部引用した#5“Redacted”、さしずめ“サンフランシスコ・ネイティブ”ならぬ“スカンディナヴィア・ネイティブ”として覚醒した北欧ならではの叙情的なメロディセンスを垣間見せる#6“Itinerari”および#7“Tvesind”、そして女性ボーカルをフィーチャーしたドラマティックなポストロックを展開する表題曲の#8“Diorama”は本作のハイライトで、改めてDFHVNが今年リリースしたInfinite Graniteにおいて脱メタルしたこのタイミングで、その大きな穴を埋めるようにフォロワーのMØLDFHVN化の著しい作品を発表するという神展開。とにかく、前作比で著しく上下の奥行きと立体感を増した楽曲面での内的要因と不可抗力(ホーリーシー)による外的要因、その全てにおいてタイミングの良さとバンドの「運」も含め極めて高い完成度を誇る、そして「やっぱりニュークリアブラストがナンバーワン!」と唸ること請け合いの1枚。

Bullet for My Valentine - Bullet for My Valentine

Artist Bullet for My Valentine
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Album 『Bullet for My Valentine』
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Tracklist
02. Knives
03. My Reverie
04. No Happy Ever After
05. Can't Escape The Waves
06. Bastards
09. Paralysed
10. Death By A Thousand Cuts

おいら、BFMVって初期(1st,2nd)の頃は(いつぞやのサマソニでお馬鹿チョップ!お馬鹿チョップ!してるくらい)普通に好きだったバンドで、しかし2010年作の3rdアルバム『Fever』から徐々に筋肉ダルビッシュもとい筋肉ダルマット化して雲行きが怪しくなり、そして次作の4thアルバム『Temper Temper』というメタル史上最悪のクソみたいな駄作で完全にバンドから離れた側の人間なんだけど、それ以降に自分の中でBFMVの存在を意識した出来事を思い返してみると、それこそフロントマンのマット・タックによる老害メタルを煽るような炎上発言に対して、気鋭のレーベルHoly Roar Recordsの創始者アレックス・フィッツパトリックが抗議の声明を発表したホーリーシー事件に他ならなかった。その明確な伏線を経て、昨年にフィッツパトリックが二人の女性(実は三人とも言われている)に性的暴行を加えたとして告発されたことで、その不毛な争いはフィッツパトリックの予想だにしない自爆によりマット・タックに軍配が上がった模様。


まぁ、そんな冗談はさて置き、単刀直入に『Bullet for My Valentine』というバンド名をセルフタイトルとして冠する本作は、初期作の名曲を一部サンプリングしたラジオSEから幕を開ける#1“Parasite”からして、初期のメタルコア時代をフラッシュバックさせるスクリームを皮切りに、まるでフィッツパトリックから喧嘩を売られたマットのお返しのお言葉のご愁傷さまをメタするようなE(xplicit)ワード全開のリリックを、ザックザクに刻み込むスラッシーでソリッドなリフに乗せた「BFMV is Back...」と呼ぶに相応しいエクストリームメタルとなっている。

で、ポストメタル~グルーヴメタルラインの重厚感溢れるヘヴィネスを叩き込む#2、ヌーメタルばりにウネるようなグルーヴィなリフ回しを軸とした#3、中盤以降にBFMVらしからぬプログレッシブなキレのある展開を垣間見せる#4、強度の高いヘヴィネスでエクストリームに組み立てていく#6、グルーヴメタル路線の#7,#8、スラッシュメタル回帰の#9、本作の集大成を飾る#10まで、冒頭の「過去」をフラッシュバックさせるラジオSEがメタするように、(確かに、前作の『Gravity』はまんま「BMTHごっこ」「イギリス人には『Giri / Haji』の文化がないのか?」と思った)近作と比べると、正直かなり初期のヒョロガリエモ路線もといメタル路線に回帰している印象。とは言っても、本作のプロデューサーは近二作でもお馴染みのCarl Bownが担当しているので、もちろん完全に初期型というわけではなく比較的グルーヴメタル志向の強度マシマシの1枚となっている。

Slow Crush - Hush

Artist Slow Crush
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Album 『Hush』
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Tracklist
1. Drown
2. Blue
3. Swoon
4. Gloom
5. Swivel
6. Rêve
7. Hush
8. Lull
9. Thrill
10. Bent And Broken

「このベルギーのバンドめっちゃエエやん!」と気になったから調べてみた結果→え~っと、なになに・・・2018年作の1stアルバム『Aurora』をリリースしたレーベルがホーリーシーもといHoly Roar Recordsで、マスタリング・エンジニアがDeafheavenやWhirrでお馴染みのジャック・シャーリー・・・っと、フムフム・・・なるほど・・・あっ、ダメだダメだダメだダメだこいつダメだ、その組み合わせはもう実質チートだからダメだ完全に俺の負けだ」と悟った。しかし、その1stアルバムこそ【Holy Roar×Jack Shirley】という一部界隈における黄金ラインだったが、約3年ぶりとなる本作の2ndアルバム『Hush』に至っては、何故かレーベルがChurch Road Recordsという聞いた事もないレーベルに変わり、マスタリング・エンジニアもジャック・シャーリーと離れて業界最大手であるSterling Soundのライアン・スミスを迎えている。彼はフィラデルフィアのNothingやボストンのDefeaterの作品を手がけた人物でもある。

そもそもの話、UKが誇る気鋭のインディーズレーベルで知られるHoly Roar Recordsといえば、つい最近レーベル創始者であるアレックス・フィッツパトリックがやらかした、というか二人の女性に性的暴行を働いたとして告発されたらしく、そんなやらかし案件の影響もあってか、性被害に遭った“女性”をフロントウーマンとして擁するSlow Crushの作品がHoly Roarからリリースされる事は二度とないであろうことは想像に難くない。また、今回のホーリーシー案件を受けて、Holy Roarを代表するRolo Tomassiは既にレーベルからの離脱を表明している(即ちレーベルの終焉)。恐らく、同レーベルの支柱であるSvalbardも後に続くと予想(即ちレーベルの廃業)。

そんなリアルホーリーシー案件はさて置き、今はなきHoly Roarがシーンに残した功績および革新性というのを、レーベルを象徴するRolo TomassiSvalbardを例に出して簡潔に述べると、それこそ伝統的なUKポストハードコアの立ち位置からAlcestはもとより、同郷のOathbreakerDeafheavenなどのジャック・シャーリー案件の影響下にあるカオティック・ハードコア/Blackgazeの要素を積極的に取り入れた点にある。確かに、今回の2ndアルバムにはジャックは一切関わっていないものの、もとよりシューゲイザー界のレジェンドであるMBVスロウダイヴの影響下にあるコテコテのシューゲイザー/ドリーム・ポップを継承しながら、ちょうど今の季節にWhirrのデビューEP『Distressor』と出会って超弩級のエモい気持ちに苛まれた記憶が約10年の時を経てフラッシュバックさせるような、それこそ最初期のWhirrという現代シューゲイザー界の伝説が産み落としたエモさの“コア”をもって次世代仕様にアップデイトしたSlow Crushのシューゲイズ・サウンドは、皮肉にもバンドを引き抜く確かな審美眼だけはあったHoly Roarのフィッツパトリックに見出されるだけの特別な魅力を放っている。

このSlow Crushの非凡さって、いわゆる90年代前半の王道的なシューゲイザー/ドリーム・ポップというよりは、90年代後半のオルタナ/グランジにバックグラウンドを持つフィラデルフィアのNothingをはじめ、それこそDeftones『Ohms』とともに“20年代のヘヴィネス”を切り拓いたHum『Inlet』に代表されるような、いわゆる現代ポストメタル~ヘヴィ・シューゲとも繋がりを見せる、それら次世代のヘヴィネスともシンクロする文脈的な広さは、いかに彼らが「ただの90年代リバイバル」の一言で片付けられるようなバンドでは到底ない事を示している。もちろん、それは一部界隈を牛耳るジャック・シャーリーによるエンジニアとしての仕事を超えた実質的なプロデューサーとしての影響力によるものであると。ここでも改めて、あのMastodonの新作Hushed and Grimにもインスパイアされる『Inlet』の多大な影響力とその革新性に驚かされる。

しっかし、(過去にPelicanTorcheと一緒にツアーしたり、RoadburnやArcTanGentなどの著名なフェスに出演する実績を持つ)こんな良質なバンドを引く抜く審美眼が備わっているにも関わらず、その才能を活かす場というのを金輪際手放すようなやらかし事件を起こしてしまったHoly Roarのアレックス・フィッツパトリックには、今はただ一言「ご愁傷様です」と言いたい。彼の人生のピークは、それこそBFMVのマット・タックのメタルに対する意見に反対する煽り文章を送ってた瞬間に違いないですw

Svalbard 『It's Hard To Have Hope』

    Artist Svalbard
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    Album 『It's Hard To Have Hope』
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    Tracklist
    02. Revenge Porn
    03. Feminazi?!
    04. Pro-Life?
    06. How Do We Stop It?
    07. Try Not To Die Until You’re Dead
    08. Iorek

    2018年、UKの気鋭レーベルHoly Roar Recordsがアツい。Holy Roarといえば、主にUKのアンダーグラウンドのマスロックやポスト・ロック/ハードコア系のバンドを多数排出している、知る人ぞ知る優良レーベルである。しかし、今年2018年に入ってからというもの、Holy Roarのレーベル内に”とある変化”が起こっている。

    その”とある変化”とは一体ナニか?それこそ、10年代のメタルシーンに突如として現れたdeafheavenという”新世代”の驚異に対抗するため、その1つ目の手段として今やHoly Roarを支える屋台骨であり大エースのRolo Tomassi「女版デフヘヴン」に魔改造するという一か八かの大博打を打ち、それが見事に大当たりした結果、2018年の決定打となるアルバム『Time Will Die And Love Will Bury It』という金字塔を打ち出した。2018年は、そのRolo Tomassiの大傑作を皮切りに、新世代メタルの申し子であるdeafheavenのDNAとポストブラック界のレジェンドAlcestのDNAを遺伝子操作して、いわゆる”クローン系ポストブラック”としてデンマークで生まれたmolを、いわゆる「デフヘヴン包囲網」の一環として数の暴力とばかり立て続けに送り込んでいる。日本国内からは、凛として時雨がV系代表として「デフヘヴン包囲網」に参加している。

    何を隠そう、その「デフヘヴン包囲網」をより強固なものとするべく、デンマークのmolと同じ刺客の一つとして送り込まれたのが、UKはブリストルで遺伝子組換えされた4人組のSvalbardだ。Svalbardは、紅一点でギター&ボーカルのセレナ・チェリーちゃん、同じくギタボのリアム、ベーシストのクリス、そしてドラムのマークで構成されている。



    初っ端の#1”Unpaid Intern”から、UKのハードコアレジェンドDischargeが生み出したDビート直系のクラストに、方やドスの効いた獣性むき出しの咆哮、方やクラストコア風のパンキッシュな咆哮が怒涛の勢いで炸裂し、「あぁ、これ前者がギタボの男で、後者がベースの男かな?」と予想したら、前者のドスの効いた方の咆哮がまさかのセレナちゃんの激昂ボイスだったという・・・そう、まさかの「叫ぶ女」案件だったオチにすべて持ってかれて動揺する暇も与えぬまま、今度は”リベンジポルノ”とかいう強烈なタイトルを冠する#2”Revenge Porn”では、今度こそセレナちゃんの歌声だと判別できるCHELSEA WOLFE顔負けの呪詛系SSWみたいなドリーム・ポップ/ポスト・ロック的なパートと、まるで青春時代の黒歴史がフラッシュバックして胸を掻きむしりたくなるような衝動とティーン・エイジャーの煩悩や鬱屈したエモーション、それらの”痛み”を”歪み”に変換したギター・プロダクションをブラストに乗せて、そして人目をはばからず焦燥と刹那を内包した激情という名の怒りとともにブラゲ然とした荒涼感を周囲に撒き散らすブチギレパート、そのいわゆる”静と動”のコントラストを活かした曲構成、それこそ砂嵐のようにザラついたギターの音像やポストメタル的なフレーズや超絶epicッ!!なトレモロ、胸の高まりを誘発するブチ上げ展開、それらのオルタナっぽい音作りから予測不能な曲構成まで、これもう完全に新世代ポストブラックのソレで、もはやKylesaの名盤『Static Tensions』を聴いた時と同じ衝撃だった。なんかもう「Holy Roar半端ないって!まだこんな隠し玉用意してたとか!そんなんできひんやん普通!」って感じ。



    セレナちゃんのブチギレボイスともに、初期deafheaven顔負けの歪んだギターの音像からスラッジ/ポストメタルばりの轟音を響かせる#3”Feminazi?!”、そして今作のハイライトを飾る#4”Pro-Life?”は、お馴染みの緩急を活かした曲構成をはじめ高揚感を煽るギター・フレーズやドチャエピなトレモロ・リフまで、もう確信犯ってレベルじゃないほどの王道ポストブラックで、かと思えば、それこそ日本のDizzy Sunfistじゃないけどメロコアばりに爽やかな疾走感に始まってモダンなヘヴィネスを経由したリフを挟んで最後はエモ/ポストハードコアならではの激エモなシンガロングをブッ込んでくる#5”For The Sake Of The Breed”、再びトレモロ主体でエモキッズが泣きべそかきながら直走る#6”How Do We Stop It?”、まるで「女版Alcest」みたいなセレナちゃんの美声をフィーチャーした#7”Try Not To Die Until You’re Dead”、そのAlcestっぽい流れを引き継いだアウトロ/インストの#8”Iorek”まで、序盤はまだ自身のルーツであるDビートやエモ/スクリーモの精神を失わずにいるけど、中盤から終盤に進むに連れて、次第にHoly Roarによって遺伝子操作された影響が露骨に出てきて、最終的には「ども~ウチらポストブラックで~す」みたいなノリで自らの正体を明らかにするアルバム構成は、ただただファッキン・エモーショナル=クソエモいです。

    なんだろう、メチャクチャ極端な例えが許されるならば、あの歴史的名盤『サンベイザー』を通過しなかった世界線のdeafheavenが新作の『Ordinary Corrupt Human Love』をやったらこうなる、みたいな。あるいは、Deathwish時代まだまだ荒削りだった頃のデフヘヴンの初期衝動と、それに伴う未知のアングラ感を地続きでアップデイトした感覚というか、例えば兄貴分のmoldeafheavenAlcestのDNAをピンズドで抽出したハイブリット型のバンドだとする、姉貴分のRolo Tomassiがマスコア側からポストブラックへの迎合を図ったとするなら、このSvalbardはDビート/エモ/スクリーモ側からポストブラックへの回答を示し、そしてデフヘヴンを包囲、それもピンポイントで新作の『Ordinary Corrupt Human Love』を包囲してるってのがキモ。マジで”Holy Roar三銃士”おっかねぇわ。

    ありがちなエモ/スクリーモ系のポストハードコアじゃないってのがミソで、良くも悪くも本能に忠実な猪突猛進型のアンダーグラウンドなスクリーモだった1stアルバムから、Holy Roarの策略によって半ば強制的に新世代ポストブラックの遺伝子細胞を注入された事で、音作りや曲構成から何まで格段にスケールアップすることに成功、つまりジャンルレスなハイブリットメタルとして完全に化けた。確かに、一言で言ってしまえば”ごった煮ハイブリットメタル”だけど、決して音楽的に破綻することのない底知れぬインテリジェンスがあって、そういった意味でもだてに”Holy Roarの秘蔵っ子”名乗ってないです。

    そもそも、前作は前作でデフヘヴン『New Bermuda』と同列に語られるべきアングラハードコアの名作で、つまり今回のポストブラック化に至るまでの伏線というか適性みたいなのは元から持ち合わせていて、しかしバンド自身がまだ知らないような未知なる才能を見込んでポストブラックに魔改造したHoly Roarってどんだけしたたかなレーベルなんだ・・・と改めて舌を巻くというか、それが逆に不気味で怖くもある。

    ???「メタルは古くさいwww」
    メタルは古い

    ところで、つい最近BFMVのフロントマンで知られるマット・タックMetal Hammer誌のインタビューで、メタルは少し古いと発言したことがメタル界隈でプチ炎上したのをご存知だろうか。その発言に対して、SNSを中心にガチメタラーから数千件にもおよぶ批判コメントが寄せられた。そして、その中のひとりにマット・タック宛に「異議あり!」の手紙を書いた人物がいた。その人物こそ、Holy Roar Recordsの最高責任者であるアレックス・フィッツパトリックだった。

    その手紙の中で、彼はHoly Roarに所属するmolEmployed to Serveを例に出して、主に「メタルはアンダーグラウンドで日々進化している」と説いている。まだまだアンダーグラウンドシーンには面白いメタルが沢山あると。そして最後に、「メタルが刺激的であり続けるには進化しなければならない、しかし”進化”するためには”変化”しなければならない」という、今のマット・タックには色々な意味でヘヴィな言葉を置き手紙にしている。

    恐らく、今のメタルシーンでこのマット・タックの炎上発言に対して真正面から物申せるメタラーって、それこそメタルゴッドのロブ・ハルフォードHoly Roarのボスであるアレックスの二人だけだと思う。この手紙を締めくくるメタルの”進化””変化”の話は、それこそSvalbardの本作『It's Hard To Have Hope』を耳にすれば至極納得できるハズだし(誰だ”変化”を”魔改造”とか言ってる奴わ!)、少なくとも今年のHoly Roarからリリースされた作品の数々を聴けば、このボスの反論は説得力の塊を乗せたただの火の玉ストレートでしかなくて、だてに人気者のマット・タックにオラついてないというか、彼がボスでいる限りHoly Roarは現代メタルの最先端にいる新世代レーベルの座は揺るぎないし、だてに12年もレーベル続けてねぇなって。

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