Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

「~はメタル」

長浜市役所とLucreciaはジョジョメタル


先日、滋賀県は長浜市の市役所が職員募集のPRのため、【ジョジョ】【ヘヴィメタル】を融合させた楽曲と映像も全て職員の手作りによるMVがTVやネットニュースに取り上げられ大きな話題を呼んだ。昨今、アニメ化の影響もあり世界中にファンベースを拡大している漫画『ジョジョの奇妙な冒険』だが、奇しくも長浜市の職員と同じ発想で【ジョジョ】【ヘヴィメタル】を融合させちゃったのが、サンフランシスコはベイエリア出身の“オタクコア”バンド、その名もLucrecia(ルクレツィア)である。


それこそ長浜市職員リスペクトな、冒頭の“ジョジョ立ち”からして出落ち感満載のMVだが、そのタイトルが“Sleeping Slaves Of Fate”すなわちジョジョ5部のエピローグの“眠れる奴隷”である事からもわかるように、恐らくジョジョ5部アニメを観てジョジョラーに目覚めてしまった人たちと推測できる。このMV内には、他にもジョジョを象徴する日本語仕様の“擬音”を使ったエフェクトやジョジョ5部仕様の短く折れたスタンドの矢の小道具、そしてスキあらばクソシュールなジョジョ立ちブッ込んできたりと、とにかく彼らの溢れんばかりのジョジョ愛に満ちたMVとなっている。が、そのネタ感満載のMVに反して楽曲の内容は、まずイントロのSIAM SHADEの“1/3の純情な感情”感はさて置き、いわゆるDjentを経由した西海岸系インストというかPolyphia系をルーツとするテック・メタルに、プライベート(FBやインスタ参照)でもゴリゴリのコスプレイヤーであるピンク髪のジャッキー・グラバーによるエグいシャウトとクリーンボイスの使い分けと、相方であるデスボ担当とのツインボーカルによって繰り広げられる、(それこそPoppyDestiny Potatoみたいな)思いのほか本気度の高い“オタクコア”に感心させられたのもつかの間、ジョジョ5部エピローグのラストシーンをオマージュしたMVのラストで爆笑した。というか逆に、(失礼だけど)このMVで笑わないやついるの?

なんだろう、リアルニート視点からすると、先ほどの職員採用PRのMVを見たら「絶対に長浜市では働きたくないでござる」ってなった冗談はさて置き、そんな長浜市は元よりこのLucreciaは、間もなくフルアルバムとなる『Meyneth』をリリースするとの事で、是非ともジョジョとメタルが好きな人は聴いて応援してあげてほしい。調べてみるとメンバーは(当然だけど)日本のサブカルチャーが好きみたいなので(とにかくジョジョが好きらしいw)、是非とも来日して日本を舞台にしたMVを撮影したり、あるいは日本のラウドル(kawaiicore)勢と対バンなんかしたら面白そう(呼び屋急募)。だから今すぐに長浜市はLucreciaとコラボ=業務提携して(コラボ曲なんか作っちゃったりして)(全員職員として採用しちゃったりなんかして)町おこしすべきでしょw

次期総理の高市早苗ちゃんはデスメタル

katachi4-e1630246779648

我々、日本のメタラーは次期総理として(大学時代にメタルドラマーだった)高市早苗ちゃんを推薦します事を、今ここに宣言致します!そして「初の女性総理」となった暁として、昨今の日本のラウド/メタル界も「女性の時代」である事を証明してください!未来の女性の活躍のために、レプもとい高市早苗ちゃん頑張れ!フェイク王もとい安倍元総理のバックアップがあればミソジニーな野郎どもに負けるはずがない!頑張れ早苗ちゃん!ツーバスドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ...

神激こと神使轟く、激情の如く。は「アイドル界のIwrestledabearonce」なのか?

shingeki_0507-thumb-700xauto-77528

PassCode
のシャウト担当ちゆなの勇退、BABYMETALのLEGEND(ライブ)封印の発表をトリガーに、世はまさに大ラウドル時代に突入するかしないかは知らんけど、それはそうと先日「何このアイドル版Iwrestledabearonce」って笑ったのが、神激こと神使轟く、激情の如く。の今年リリースされたシングルの“BAD CAKE”という名の神曲だ。それこそ次世代を担うラウドルとして当然のようにラップ担当のメンバーが在籍し、これまたラウドルとして当前のようにスクリームボイス担当のメンバーとクリーンボイス担当のメンバーが在籍、楽曲は楽曲で当前のようにパスコの平地もビックリの転調やブレイクダウンを繰り返す、そんな急転直下型かつ予測不能系のメタルコア/マスコアをベースとしたエクストリームかつプログレッシブ、そして超弩級で超スペクタクルな次世代アイドルがこの神激である。


MVもMVで、それこそIWABO私は一度、熊と格闘したことがあります。的なわけのわからない変態的なノリを継承するかのような、名斜め上に突き抜けた個性しかないMVでサイコーなんだけど、そんな事よりもアブノーマル過ぎる曲のド変態っぷりに注目してほしい。可愛いJ-POPみたいな冒頭から一転、急転直下でIWABOばりのカオティックかつブルータルなヘヴィネスとスクリーム担当涙染あまねの獣性むき出しのシャウトが織りなす地獄のカーニバルが開演したかと思えば、中盤からはラップ担当二日よいこによるイマドキのフロウを交えたソロラップから、再びDIR EN GREYリスペクト(知らんけど)な涙染あまねのグロウル、クリーン担当TiNAのソロパート→ジャズい生牡蠣いもこのソロパート、それぞれ各メンバーの個が活かされた奇々怪々なキラーチューンとなっている。


そもそも、「神奏曲」と題した主語のデカい良い意味でダサい事を全力でやってのける感じはメタル以外のナニモノでもなくて、それこそ「神奏曲」シリーズとしてつい先月リリースされた最新シングルの“神奏曲:インフェルノ”は、DIR EN GREYの超絶駄曲でお馴染みの“インフェルノ”の名を冠するだけあって、冒頭から最期まで一貫してPassCodeのちゆなの正統後継者を襲名するかのような涙染あまねのシャウトを主演にエクストリームなメタルを繰り広げる。そして、涙染あまねと並び“もう一人のスクリームボイス担当”こと三笠エヴァオラオラオラオラ無駄無駄無駄無駄!!という露骨にジョジョ要素がブチ込まれた新曲が発表されたタイミングで、“DNAレベルで日本一のジョジョヲタ”である僕が神激と引かれ合ったのは、果たして偶然だろうか・・・?いやいや、シャウト系アイドルの開祖みたいなPassCodeのちゆなが勇退したタイミングで、神激のあまね&エヴァというスクリームコンビが目の前に降臨するという(謎のジョジョ要素含めw)、これがホントの“神”展開w


その「神奏曲」は「神奏曲」シリーズでも“インフェルノ”とは少しテイストの違う今年の2月にリリースされたシングルの“神奏曲:ガイア”は、“BAD CAKE”では地味系青メガネだったリーダー兼クリーン担当の実久里ことのを一番にフィーチャーしたMVで花魁に扮している点もDIR EN GREYというか実にヴィジュアル系的で、その花魁衣装とメタルゴッドちゃんばりの革ジャン衣装が表現する“二面性”は曲の内容とリンクしており、つまり花魁アイドル然としたキャッチーなポップさとメタルゴッドちゃんらしいモッシュッシュ推奨のブレイクダウンを軸にした鬼ヘヴィネスの“二面性”、そのギャップ萌えを極め尽くしたようなミクスチャー・ポップ・メタルコアで、ここでもあまね(シャウト)とよいこ(ラップ)のバトルを織り交ぜつつ、主語のデカいスケール感を誇示するアウトロまで何から何までメタル。そして、さっきの“インフェルノ”ではオラオラオラオラ無駄無駄無駄無駄!!アピールしてたエヴァは、今度は波動拳太陽拳気円斬かめはめ波をブッ放すという謎の二次元要素を再確認。というかこのMV、実久里ことのの花魁似合いすぎ問題はもとより、あまねの花魁姿がリアル吉原に在籍してそうな本職の嬢に見間違えるほど似合ってるというか(“神”だけに神宿の塩見が闇堕ちしたイメージw)、あまりに似合いすぎて「オメーぜってー普段からたぬきに入り浸ってるバンギャだろwww」とツッコミ不可避w


上記のシングルとは一番テイストの違う、昨年末リリースのシングル“生まれ変わっても自分になりたい”は、嘘偽ない真っ直ぐな歌詞を乗せた(シャウトもラップもない)アイドルらしい爽やかなギターロック系J-POPで安心したのもつかの間、7人目のメンバーであるマニピュレータ担当のGODちゃんが突然「無音」ぶっ込んでくるからこのグループほんと怖い・・・。このコンマ数秒に過ぎない、ほんの一瞬の「無音」だけでいかにこのグループが“普通”ではない“異端”で“アブノーマル”なアイドルであるかをメタ的に暗喩している。


アダルティなジャズ~シャッフルソング的な、それこそAcid Black Cherryみたいな冒頭からして→「やっぱこいつらたぬきに入り浸ってるバンギャじゃんwww」と確信する「神奏曲」シリーズの“神奏曲:アブソルートゼロ”は、神激らしい転調を駆使した無駄にドラムがカッコいい急転直下型のミクスチャーで、この曲のエヴァはアタタタタ百裂拳!カッカカカッカ界王拳!を打ち込んできて笑ったというか、この手のネタっぽく感じる部分をよいこのバチクソにイカしたラップと絡めてカッコよく昇華させからブレイクダウンさせる作曲者MTRの才能にただただ感心する。あと、このMVのあまねが終始Lynch.の悠介くんに見えてしょうがない(はいV系w)。

こう一通り最新シングルから遡って聴いてみただけでも、その楽曲の突き抜けた個性はもとより、同時に(GODちゃん含む)各メンバーのキャラ立ち(位置)が十二分に理解できた。楽曲では、やっぱ一番最初に聴いた“BAD CAKE”が(MV含め)群を抜いて完成度が高いと思う(アイドル版Iwrestledabearonceとして)。グループ内の人気も、歌詞担当の生牡蠣いもこを中心に、シャウト担当のあまねとラップ担当よいこの三人で人気を分け合っているんだろうなってのはわかる。個人的に推しメンを挙げるとするなら、(最新シングルが“インフェルノ”的な意味でも)DIR EN GREYをリスペクトしてそうなバンギャの涙染あまねしかないでしょ(←だから勝手にバンギャ認定すんなw)。なんだろう、ちゆな勇退のニュースでめっきり傷心しきってたタイミングで、突如目の前に現れたシャウト界の始祖ちゆなの生まれ変わりであるあまねというシャウト界のバンギャもとい女神にガチ恋したわ(神宿の塩見とデュエット組んでほしいw)。なんだろう、こう言ったら怒られるかもしれんけど、「パスコにあまね加入してくれ!」って懇願したくなるくらいには、ちゆなの後釜として最善いやベストな選択だと思っちゃったんだからしょうがないけど、そんな事は神激ファン以上にメンバーが許さないだろうね。でも、冷静に考えたらバンギャのあまねがパスコのメンバーとしてやっていくには、いかんせんキャラが濃すぎることに気づいたw

冗談じゃなしに、自分のようにちゆな勇退で心にポッカリと風穴が空いたパスコのオタクを半数は引き抜いてこれるだけのメンバースキルと個々のポテンシャル、また楽曲派のみならずメタルゴッドちゃんばりに硬派なメタラーもヴィジュアル系オタクも「虜」にするだけの寛容性の広い楽曲と変態的なビジュアルイメージ、そして何よりシンプルに「日本一カッコいいアイドル」を称するに相応しい本物の次世代ハイブリッドアイドルが、この神激こと神使轟く、激情の如く。なんですね。冒頭にも書いたけど、正直このラウドル界に亀裂が生まれ、その亀裂から漏れ出したパスコのハッカーやベビメタのメイトを迎え入れる受け皿として、今の神激は引くくらい“立ち位置”が完璧過ぎる。恐らく、我儘ラキアなんかより全然売れると思うし(売れなきゃおかしい)、というか既に2022年に武道館公演を発表しているのも全然納得だし、恐らくラキアよりも先にサマソニ出演すると思う。だから、お前ら今のうちに古参アピールしとけ!っつーか、神激のライブ観た過ぎて泣くw

Noctule 『Wretched Abyss』

Artist Noctule
0023829050_10

Album 『Wretched Abyss』
a3522232429_16

Tracklist
01. Elven Sword
02. Labyrinthian
03. Wretched Abyss
04. Evenaar
05. Winterhold
06. Deathbell Harvest
07. Unrelenting Force
08. Become Ethereal

スカイリムはメタル・・・そう熱弁するのは、UKポスト・ハードコアバンド=Svalbardの紅一点フロントウーマンのセレナ・チェリー。彼女は、昨年イギリスがロックダウンしている期間に、ベセスダが誇る世界的人気ゲームシリーズ「The Elder Scrolls」の通称「TES5」こと『スカイリム』をテーマにしたブラック・メタルアルバムを制作、そんなセレナ・チェリーによる新しいプロジェクト=Noctuleのソロデビュー作となるのが本作の『Wretched Abyss』である。

小島秀夫監督の『デス・ストランディング』『サイバーパンク2077』に代表されるAAAタイトルのゲームとメタル、その親和性の高さを再確認させる案件が立て続く昨今の流れに乗って、遂に一つのゲームシリーズから更に一つのタイトルにピックアップして、それをコンセプトにした音楽アルバムを作っちゃった「スカイリム大好き芸人」がこのセレナ・チェリーだ。曰く、彼女は過去にブラック・メタルバンドで演奏していた前歴があり、それこそ本家のSvalbardはUKポストハードコアをベースにしながらもブラック・メタルの影響も垣間見せるハイブリッドメタルで、そんなゴリゴリのブラックメタラーでもある彼女の音楽的ルーツと、本家Svalbardが持つもう一つの側面がこのプロジェクトに集約されている。確かに、SvalbardでもBlackgazeとして聴ける楽曲も多数見受けられたが、セレナの“ソロ”プロジェクトである本作は自分の思うように好き勝手にブラックメタルできちゃうというわけ。これは余談だけど、一本のゲームをコンセプトにした音楽作品といえば、ポーランドのプログレバンド=Riversideの7thアルバム『Wasteland』は、『スカイリム』と同じベセスダゲーの『フォールアウト4』からインスパイアされた作品で知られている。

本作のジャケには、TESシリーズにおけるアイコニックな存在である“ドラゴン”が翼を広げて飛び立つ姿が描かれており、また楽曲のタイトルも全て『スカイリム』関連の用語を採用し、その歌詞も『スカイリム』の舞台となる極寒の雪山や内省的なテーマ、そして北欧神話に精通するバックボーンについて歌われている。そしてきっと、きっとTESシリーズ屈指の名ゼリフである膝に矢を受けてしまってなでお馴染みのあの元兵士の気持も歌われているハズ・・・!

初っ端からキチガイハードコアのGulchが始まったかと錯覚するくらいの、ブラック・メタル然としたグロテスクな金切り声=“シャウト”に、あいも変わらず男勝りなセレナ姐さん芸を見せつけられるデジャブしかない#1“Elven Sword”は、それこそエルフの両手剣を装備してマン振り脳筋プレイでドラゴンをボコってた自身のゲームプレイを約10年ぶりにフラッシュバックさせる、不気味の山脈に吹雪が舞い散るかの如し荒涼感溢れるトレモロ・リフが神ゲー『スカイリム』ならではの幽玄な音世界を描き出す。

古くは初期Alcestを長とする、いわゆるアトモスフェリック・ブラックの王道を行く#2“Labyrinthian”では、アコギを駆使したフォーキッシュなメロウパートを折り込んで静と動のコントラストを覗かせ、セレナのギタリストとしての才能を垣間見せるような、近年のSvalbardEnslavedにも通じる勇壮かつ超絶エピックなギタープレイが冴え渡る#3“Wretched Abyss”、ブラック・メタルというよりはポストロック的なギターの幽玄なフレーズやけたたましいブラストビートをフィーチャーしたデンマークのMOLを想起させる#4“Evenaar”、『スカイリム』プレイ中の僕→「フッ...“力”こそ全てであるこの我にウィンターホールド大学の学位(魔力)なんぞ必要ないわ!」みたいな当時の脳筋中二病プレイ(黒歴史)がフラッシュバックして頭を抱える#5“Winterhold”、フランスのドラゴンならぬゴジラ顔負けのエクストリーム・メタル然としたキザミを駆使した#6“Deathbell Harvest”、『スカイリム』の特殊能力である“シャウト”の一つである「揺るぎ無き力」を文字通りシャウトして敵をなぎ倒す#7“Unrelenting Force”、これまた“シャウト”の一つである「霊体化」を歌った壮大なインストナンバーの#8“Become Ethereal”まで、なんだろうブラック・メタル云々以前にメタルとして完成度高いです。そして、どんだけ『スカイリム』のこと好きやねんと、いや確かに神ゲーだけども。

今から10年前、PS3で『スカイリム』が出た時に初めてTESシリーズをプレイして、まんまとその壮大な世界観にハマったエルフの民としては、ドラゴンとの激しい死闘を繰り広げる傍ら、「スカイリムはノルド(ストームクローク)のもの」問題などの種族間に起こる様々なイザコザ、そんなイザコザには無関心な民ののどかな暮らし、雄大な大地や壮観な雪景色、それらの超スケールで描かれるファンタジーオブファンタジーの世界観が懐かしくなると同時に、恋しくなってくること請け合い。個人的にも、フィジカル全振りステータスキャラの両手剣マン振り脳筋ゴリ押しプレイしてたら物語の終盤で詰んで辞めたのを思い出したり(大人しく大学通っとくんだった・・・)、時に進行不能バグに出会ったり、時に戦闘がクソだったり、時に膝に矢を受けてしまったり、時に従者リディアと仲良くしてみたり、時に吟遊詩人の歌に癒やされたり、そんな楽しい思い出の数々がフラッシュバックした。

そんな神ゲー『スカイリム』も今年で10周年記念。既に続編のアナウンスがされている『TES6』がガチで発売されたその日には、それを「スカイリム大好き芸人」の異名を持つセレナがトロコンするまでSvalbardの新作は諦めるしかないな・・・。というか、もし本当にTES6が出たらソロプロジェクトが本業になりそうな勢いだなw

Mogwai 『As The Love Continues』

Artist Mogwai
ROCKACT140_photo2560

Album 『As The Love Continues』
a1064671397_16

Tracklist
01. To The Bin My Friend, Tonight We Vacate Earth
02. Here We, Here We, Here We Go Forever
03. Dry Fantasy
05. Drive The Nail
06. Fuck Off Money
07. Ceiling Granny
08. Midnight Flit
09. Pat Stains
10. Supposedly, We Were Nightmares
11. It's What I Want To Do, Mum

COVID-19の影響により無期限活動休止という名の事実上の解散を発表したリヴァプール出身のana_thema、そんな彼らの遺作となった11thアルバム『The Optimist』といえば、スコットランドはグラスゴー出身のポストロック・レジェンドことモグワイや日本のくるりの作品でもお馴染みのトニー・ドゥーガンフランク・アークライトという二人のエンジニアを迎えた、実質的な遺作にしてバンド史上最高にオルタナ〜ポストロックへの憧憬が極まった作品で、中でも彼らの“モグワイ愛”を象徴するような曲がリード曲の“Springfield”だった。また、その二人以外にもモグワイにとって欠かせない人物がプロデューサーであり元マーキュリー・レヴのデイヴ・フリッドマンの存在で、フリッドマンといえば日本のナンバガをはじめUSのBaronessHaimの新作にも参加しているエンジニア/プロデューサーで、それこそ彼がプロデュースしたBaroness『Gold & Grey』は、大袈裟に言ってモグワイがブラックゲイズ化したようなノイズ〜オルタナラインのサウンド・プロダクションを展開する、最高傑作と呼ぶに相応しい天才的なアルバムだった。


そのようにして、90年以降のオルタナシーンは元より、今ではUKバンドや日本のバンドのみならず世界中の音楽に影響を与えまくっているポストロックの代名詞と言っても過言じゃあないレジェンド中のレジェンドであるモグワイの新作は、それこそana_themaをはじめ、これまでにモグワイが影響を与え続けてきたフォロワーたちへの一種の回答であり、またana_themaのように志半ばでバンドの道を閉ざした者たちへのレクイエムであるかのような、そんな一枚となっている。

タイトルにあるTo The Bin My Friend, Tonight We Vacate Earthと呟く、臨死体験に成功した老人らしき人物が語る妄言もとい思い出らしきモノローグから幕開けを飾る#1からして、「This is Post-Rock」すなわち「This is Mogwai!!」な静謐な音響空間の中で凛と佇むピアノと単音ギターが優しく紡ぎ出す「アダンの風」を、ほぼほぼUKポストメタル/シューゲイザーのJesuへの回答とばかりのドローン〜ドゥームゲイズばりの轟音でテュポーンと吹き飛ばす、その静謐的な音響パートとハードコアなダイナミズムならびにスケール感を押し出していく轟音パートの対比、それすなわち「This is Mogwai!!」な一曲と言える。


一転して、今度はオートチューン全開のいわゆる“ロボ声”をフィーチャーした、それこそ65daysofstaticへの回答と言わんばかりの8bitのゲーム音楽チックな電子的な打ち込みとTorcheばりのハードコアなダイナミズムが交錯する、いい意味でモグワイらしからぬドストレートなロックンロールを繰り広げる#2“Here We, Here We, Here We Go Forever”、かと思えば今度はUSポストロックのIf These Trees Could Talkへの回答とばかり、それはまるでジブリ映画のサントラの如し心が浄化されていくような、波浜辺美波(浜辺に寄せては返す美しい波)の如しゆらり揺らめく蜃気楼を描き出すアンビエントなATMSフィールドをバックに、猛烈な愛=LOVEをまとったリリカルでノスタルジックな“和”の美旋律がメランコリックでエモーショナルな美メロの洪水となって襲いかかり、ポストロックならではのエピックでドラマティックな構成美が幻想的な『ノスタルジア』を形成する#3“Dry Fantasy”、今度はUSポスト・シューゲイザーのNothingへの回答とばかりの倦怠感むき出しのボーカルと、あるいはデイヴ・フリッドマン的な意味でBaronessの新作とも共振するノイズロック然とした#4“Ritchie Sacramento”、今度は現代プログレ界隈の重鎮ことスティーヴン・ウィルソンの2ndアルバム『Grace for Drowning』SWのサイドプロジェクトであるNo-Manを彷彿とさせる、浜辺美波()のようにウェイブする耽美なシンセと湿り気のあるギターがイギリスの空模様のように妖しげな雰囲気を映し出し、その不穏な空模様に突き刺す一筋の稲光のようなハードコアな轟音が瞬く#5“Drive The Nail”、中期ANATHEMAにも影響を与えたモグワイの専売特許=ヴォコーダーボイスからして安心感しかないSFチックな#6“Fuck Off Money”、ポストロック“バンド”としてのアグレッシヴでオーガニックなパンク魂を打ち出した#7“Ceiling Granny”、SF映画のサントラすなわちハンス・ジマー顔負けのミニマルなエレクトロをフィーチャーした#8“Midnight Flit”は、それこそana_themaの遺作を象徴する“Springfield”と共振するかのような、一段また一段と徐々に次元の壁を超えていく極限的なミニマリズムと後期ana_themaもビックリの壮麗なオーケストレーションが恍惚や銀河を超えた先にある高次元空間を切り拓いていくようなアセンションナンバーで、もはやアナセマの穴にモグワイが潜っちゃった感じはドチャクソ超絶エピックで(意味わからん)、とにかく実質解散宣言を発表したアナセマへのレクイエムだと考えただけで泣ける。で、この曲を聴いて確信した事が一つだけあって、それは本作が後期ana_thma〜Baronessの新譜から地続きで繋がってるアルバムということで、しかも楽曲のノリというか熱量が完全にメタルのそれな時点で、これはもう一種の「モグワイなりのポストメタル」と解釈すべき一枚であると。つまり「モグワイはメタル」

アルバム終盤も、モグワイらしいセンチメンタルなリフでポストロックの王道を組み立てていく#9“Pat Stains”、再びNo-Man顔負けのミニマルなシンセをフィーチャーしたエレクトロ・ポップな#10“Supposedly, We Were Nightmares”、モグワイをリスペクトしてやまないフォロワーの第一人者であるUSブラックゲイズのDeafheavenへの回答であるかのような、そんな彼らの“Glint”を想起させるイントロの寂寥感に苛まれるリフやUSオルタナのJuniusをイメージさせる荘厳な世界観を形成するシンセ、そしてana_themaの遺作から“Wildfires”をオマージュしたような轟音ノイズと、中期ANATHEMAをフラッシュバックさせるアウトロの耽美的なギターが別れの挨拶にしか聞こえなくて俄然泣かせるラストの#11“It's What I Want To Do, Mum”まで、それこそ「ちょっと待って、モグワイってこんなシューゲイザーっぽかったっけ?」となるくらい、とにかく一聴してわかるのは「メロディめっちゃある!」という事で、しかし「ここまで様式美的なメロディ鳴らすバンドだったっけ?」となるのも事実。

要するに、いい意味でめちゃくちゃシンプルで王道的なロックやってるというか、いい意味でモグワイらしからぬ、いい意味でモグワイフォロワーのフォロワーを本家モグワイがやってみたような感覚。この手のフォロワーに対する回答的なアルバムにめっぽう弱い自分としては、ポストロック界のレジェンドが原点に、基本に立ち返るじゃないけど、ポストロックの基本、オルタナティブの基本を、レジェンドとなった今あえて初歩的でベタな事やってて俄然エモカッコよ過ぎて泣けるというか、泣きながら「これもう赤ペン先生だろ・・・」ってなった。少なくとも、ここ最近のアルバムの中では最もモグモグワイワイしたくなること請け合いの一枚です。
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: