Artist Cannibal Corpse
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Album 『Violence Unimagined』
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Tracklist
01. Murderous Rampage
02. Necrogenic Resurrection
04. Condemnation Contagion
05. Surround, Kill, Devour
06. Ritual Annihilation
07. Follow The Blood
08. Bound And Burned
09. Slowly Sawn
10. Overtorture
11. Cerements Of The Flayed

10年代を締め括る最後の年に“アヌンナキ系デスメタル”のBlood Incantationとカナダの“サイバーパンク系デスメタル”のTomb Moldが“10年代最高のデスメタル”と呼ぶに相応しい作品を発表すれば、その10年代の流れは20年代に入っても止まることを知らず、まずこの日本からは“デスメタル女子”の女優広瀬すずを皮切りに、そして2021年早々にイタリアからAd Nauseamという“20年代最高のデスメタル”が登場するなど、それら各Decadeを象徴する新世代デスメタルが続々と存在感を示し始めたプチデスメタルブームの最中、それら新世代デスメタルにも多大な影響を与えた90年代デスメタル界のレジェンド=カニコーことカンニバル・コープスがラスボスとして立ちはだかる神展開。いや、その光景はまさに血みどろの地獄絵図。グロ過ぎて子供には見せられないよ!的な放送禁止の猟奇的殺戮シーン。

前作から約4年ぶり、通算15作目となる本作の『Violence Unimagined』は冒頭の#1“Murderous Rampage”を筆頭に、(カニコーならではのブルータリズムは元より)ジャーマン・スラッシュのKreatorみたいなスラッシュイズムを感じさる、ザックザクに切り刻むタイトでソリッドなキザミとフォロワーであるTomb Mold的なイマドキのデスメタルらしい“ヘヴィさ”、それらの緩急を織り交ぜた展開と複雑に絡み合うリフに次ぐリフの波状攻撃、言うなればデスメタル界のオリジネーターが表現するデスメタルを超えた先にある“ヘヴィ・メタル”は、デスメタル云々以前にシンプルにメタルとして完成度の高さを誇っている。なんだろう、デスメタルなのに、あのスプラッター芸人のカニコーなのに音がめちゃくちゃ綺麗という矛盾を述べたくなるくらいには、本作はメタルの醍醐味の一つである音作りの気持ちよさとヘヴィネスの気持ちよさが極まりまくっている。

新世代デスメタルバンドに年季の違いを見せつけるような、カニコー史に刻まれる「もう一つの傑作」として称すべき、その最たる要因として挙げられるのは、古くは2006年作の10thアルバム『Kill』からカニコーとは誼みに、前作の14thアルバム『Red Before Black』でもエンジニアとしては元より、プロデューサーとしても深く関わっていた元Morbid Angelのエリック・ルータンが、2018年にやらかし逮捕されて脱退した前任ギタリストでありメインコンポーザーのパット・オブライエンの代わりに、晴れて正式メンバーとして加入した影響によるものだと推測できる。そういった意味では、謎にモタへ化してた前作よりかは『Kill』に近からず遠からずな往年のデスメタルに回帰している印象。しかし、この手のバンドって、いかにもやらかしそうでやらかさない、と見せかけてやっぱりやらかして置き土産に体を張ってバンドに箔をつけていくスタイルisデスメタル。つまり【もびえん×かにこー=歴代最高のデスメタル】って事です。