Artist Death of Lovers
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Album 『The Acrobat』
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Tracklist
2. Here Lies
3. Ursula
4. The Lowly People
5. Perfect History
6. Quai d’ Orsay
7. Divine Song

最近、Netflixオリジナルの『13の理由』『ストレンジャー・シングス』あたりの海外ドラマを見てて改めて思うのは、「今って本当に80年代リバイバルの真っ最中なんだな」っつー事で、特に2017年はそのドラマ界隈や音楽界隈を中心に「80年代リバイバル」を強く感じさせた年でもあって、その「80年代リバイバル」のムーブメントを象徴する作品の一つとして、スティーヴン・ウィルソン『To the Bone』があって、このアルバムには2016年公開されたジョン・カーニー監督の映画『シング・ストリート 未来へのうた』の影響があったんじゃないかと邪推するほど、「80年代愛」に溢れたアルバムだった。

その「80年代」を舞台にした青春音楽映画をはじめ、先述した『ストレンジャー・シングス』『スタンド・バイ・ミー』『未知との遭遇』などの「80年代」を代表する名作映画をオマージュした海外ドラマで、現代の社会問題であるイジメと自殺をテーマに深く切り込んだ『13の理由』では、インターネット時代~SNS全盛の「イマ」を舞台にThe CureJoy Divisionの音楽をはじめ、そしてカセットテープやラジカセなどの「80年代」を象徴するガジェットをキモの演出として盛り込んでいた。ちなみに、日本で2016年に公開されたアレックス・ガーランド監督のSF映画『エクス・マキナ』では、いわゆるポストパンク・リバイバルの最右翼とされるロンドンの4人組、Savagesの楽曲が使用されている。

音楽界隈、いわゆる「俺の界隈」の中で遡れば、2015年にはRiversideがフロントマンのマリウスきゅんの青春であり音楽的なルーツでもある80年代のUKミュージックにインスパイアされたアルバム『Love, Fear and the Time Machine』を皮切りに、2016年にはAlcest『Kodama』という、フロントマンのネージュキュアーコクトー・ツインズからの影響を公言する80年代リバイバル作品を出したかと思えば、2017年の上半期にはUlver『The Assassination of Julius Caesar』というキリング・ジョーク(のヨークがミキシング)やデペッシュモードなどの「80年代」を象徴するニューウェーブ/ポスト・パンク愛に溢れた作風でリスナーのド肝を抜いた。その「俺の界隈」における「80年代リバイバル」の極めつきが、他ならぬスティーヴン・ウィルソン『To the Bone』だったのは今さら言うまでもない。そして、それらの偉大なリバイバル作品の影に隠れて、アメリカのフィラデルフィアでも密かに80年代リバイバルのビッグウェーブに乗っかったバンドが存在する。それがこのDeath of Loversだ。

先日発表された、キュアーのフロントマンであるロバート・スミスが主宰するMeltdown festivalのラインナップに、NINデブ豚マイブラモグワイなどのそうそうたるメンツと一緒に、Alcestと日本からはMONOが名を連ねているのを見て正直ちょっと感動したというか、いかにキュアーというバンドがジャンルや世代を超えて現代の音楽に今なお根強い影響を与え続けているのか、そのレジェンドたらしめるバンドの「格」を改めて再確認させる。

このDeath Of Loversといえば、ex-Deafheavenのギタリストニック・バセットくんが「デフヘヴン包囲網」の一環として、フィラデルフィア出身のNothingのメンバーと共に2013年に立ち上げたバンドの一つで、もはや「ピッチフォーク芸人」と化した今のデフヘヴンに対抗できる秘密兵器と呼ばれる彼らが、満を持して1stフルアルバムの『The Acrobat』をリリースした。


WhirrNothingが「90年代リバイバル」の音楽だとするなら、このDeath of Loversはまさに「80年代リバイバル」の音楽だ。2014年にDeathwishから発表したデビューEP『Buried Under a World of Roses』は、それこそ「80年代リバイバル」を冠したキュアー直系のポスト・パンクで、そのSavagesに匹敵する「ポストパンク・リバイバル」に出自であるシューゲイザー流れのリヴァーブ/アトモスフィアを同居させていた。今作の『The Acrobat』では、1曲目の”Orphans Of The Smog”こそEPの延長線上にある教科書通りのポスト・パンクだが、しかし2曲目の”Here Lies”では一転してピコピコしたエレクトロ方面へのアプローチを強め、3曲目の”Ursula”や5曲目の”Perfect History”でも依然としてデペッシュモードキリング・ジョークを連想させるシンセ・ポップで、つまり今作はUlverが同年作の『The Assassination of Julius Caesar』で実現させた「80年代リバイバル」と全く同じ案件と言っていい。そして、EPより俄然モダンで洗練されたスタイルへと変化しており、もはやこのリバイバルの流れはヤメラレナイトマラナイ。



今作の中でもリバイバル感が特に際立っているのがリード曲でアルバムの最後を飾る”The Absolute”で、まさに80年代のポストパンク・ムーブメントのド真ん中にいるようなビートを刻みながら、サックスを取り入れたニューロマンティックなサウンドスタイルは、往年の80sバンドと一線を画したアプローチで独自のオリジナリティを確立している。