Artist Darkest Hour
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Album 『Godless Prophets & The Migrant Flora』
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Tracklist

01. Knife in the Safe Room
02. This Is the Truth
03. Timeless Numbers
04. None of This Is the Truth
05. The Flesh & the Flowers of Death
06. Those Who Survived
07. Another Headless Ruler of the Used
08. Widowed
09. Enter Oblivion
10. The Last of the Monuments
11. In the Name of Us All
12. Beneath It Sleeps

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現代メタル界を代表する「秋葉系男子」と言えば、今をトキめくDEAFHEAVENのギタリストことケリー・マッコイだが、その「秋葉系男子」の先駆者的な存在である「元祖秋葉系キモロンゲメガネ」ことジョン・ヘンリー率いる、1995年に結成されたワシントンDC出身のDarkest Hourは、初期の頃こそデスラッシュ系のバンドとして活動するが、2005年作の4thアルバム『Undoing Ruin』と2007年作の5thアルバム『Deliver Us』では、「秋葉系DT男子」だけにdtことDark Tranquillityなど北欧メロデスからの影響を色濃く受けた、いわゆる「メロディック系メタルコア」の金字塔となる作品を立て続けにドロップし、As I Lay DyingKillswitch Engageと並んで00年代のメタルコア繁忙期を支えたバンドとしてその地位を確立する。しかし、2013年にアズアイのボーカリストことランベシスが元嫁に対する殺人教唆罪で逮捕されて以降、メタルコアというジャンルはメタル界の黒歴史として闇へと葬り去られ、その煽りを受けたメタルコアバンドたちは露頭に迷うこととなる。メタルコア全盛を支えたこのDHも例外ではなく、代表作となる4thと5th以降はアルバムを出す毎に、ジョンのトレードマークだったメガネやキモロンゲやオタファッションをやめて徐々に「脱オタ」していく。それに伴って、バンドの音も脱メタルコアを図るようにして徐々に垢抜けていき、そして2014年にSumerian Recordsから発表されたバンド名を冠した表題作のDarkest Hourでは、「ポスト・メタルコア」として10年代のメタルシーンにムーブメントを起こした「Djent」とかいう、それこそPeripheryを代表とするスメリアン仕様のエモくてモダンな流行りのスタイルへと様変わりしてみせ、つまり「メタルコアバンドとしてのプライド」を捨てて、逆に開き直って「流行り」に媚を売ることで、一時期の迷走期間から「脱童」することに成功する。

アルバムを出す毎に変化していく彼らの多彩な音楽性、その幅広さに習って、ここ最近は1作ごとに違うレーベルから作品を発表してきた彼らが、約三年ぶり通算9作目となるアルバムをリリースするにあたって選んだレーベルこそ、アンダーグラウンド界の名門レーベルで知られるSouthern Lordだった。そのSouthern Lordといえば、レーベル創設者であるグレッグ・アンダーソン率いるSunn O)))をはじめ、最近では新世代スラッシュのPower Tripが在籍している事でも有名だが、それというのも、実はPower TripのフロントマンRiley Galeの歌い方を初めて耳にした時に真っ先に思い出したのが、他ならぬDarkest Hourのキモロンゲで、まさかこのタイミング、こんな形で両者が繋がるなんて思いもよらなかった。

その作風も、約17年前のデビュー当時に立ち返ったようなハードコア路線へと回帰するかの如く、エモいクリーンボイス中心だった前作に対して今作は極悪なスクリーム中心、かつ北欧メロデス特有の叙情的なフレーズも皆無に近く、あくまでもオーガニックなアメリカン・ハードコアを最後まで貫き通している。それは幕開けを飾る一曲目の”Knife in the Safe Room”から顕著で、キモロンゲによるブラッケンド・ハードコア直系の極悪ボイスを筆頭に、同じくSouthern Lord所属のBlack BreathTrap Themを連想させるクラスト/ハードコア・パンク直系のカオティックなサウンドを展開し、挨拶がてら咆哮高らかにサザンロード入りを宣言する。そして、後半のハイライトを飾る9曲目の”Enter Oblivion”では、それこそサザンロードの専売特許であるドローンドゥーム然としたダーティかつヘヴィな、実にアンダーグラウンドな本格サウンドを繰り広げる。

流行りのオーバーグラウンドな作風から一転して、今作では流行りとは程遠いアンダーグラウンドな作風に様変わりする、こんな落差あり過ぎな事やっちゃう、やっても許されるのはDHの特権だし、そのあらゆる音楽ジャンルに精通し適合(適応)する柔軟性こそDHの真骨頂だし面白さでもあり、とにかく今作でも毎作違った目線(アプローチ)から曲作りする「オタク」ならではの繊細さと器用さを垣間見せている。メタルコアブームが去って、メタルコアという過去のジャンルに囚われることなく、自らの音と真意に向き合い、プライドを捨ててバンドの可能性と未来を探求し続け、数々の修羅場をくぐってきたベテランとしての貫禄を帯びた今のDHの格好良さったらない。今の彼らには、童貞だった「秋葉系男子」の面影はない。
 
GODLESS PROPHETS & THE MIGRANT FLORA (ゴッドレス・プロフェッツ & ザ・マイグラント・フローラ: +2 bonus tracks)
DARKEST HOUR (ダーケスト・アワー)
Daymare Recordings (2017-03-22)
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