Artist Vattnet Viskar
Vattnet Viskar

Album 『Sky Swallower』
Sky Swallower

Tracklist
01. New Alchemy
02. Fog Of Apathy
03. Monarch
05. Ascend
06. Mythos
07. As I Stared Into The Sky
08. Apex

【VV】・・・チェコの新星██████、またの名をnicも今年のポストブラック界隈では要注目のバンドだったが、USはニューハンプシャーにも、かの老舗レーベルCentury Mediaから1stフル『Sky Swallower』をリリースした、その名もVattnet Viskarという四人組が存在する。先に言っておくけど、映画のV for Vendettaでもサブカル御用達のVillage Vanguardでも、もちろんVやねん!でもないよ。ちなみに、今作のジャケはWhirrのシングル『June』を手がけた人らしいよ。

【持ち味】・・・その音楽性としては→初期のAltar of Plagues直系のATMS系ポストブラックや、NeurosisUlcerateを連想させる渦々しく蠢くスラッジーな轟音を織り交ぜた激動パートから、今はなきIsisや初~中期Cult of Lunaを連想させるポストロッキンな静寂パートへと、あくまでも自然な流れで緩やかかつ靭やかに交錯していく、いわゆる”ポスト”スタイルで、もはやこのVattnet Viskarの本質や曲作りに対する意識の比重は9割方静寂パートにあると断言できるほど、今はなきIsisなどの王道的ポストメタルがウリとしている”静と動”の対比およびコントラストを持ち味とした、一言でいえば意識の高いポストブラックをやってるんだ。

【意識の高い静寂パート】・・・彼らの”静寂”に対する異常なまでの執着心は、幕開けを飾る#1から顕著だ。再生すると同時に、雄々しい勇壮成分配合のトレモロンDと猛獣じみた凶悪な咆哮を乗せた粗暴なブラストで疾走し、そして全てをなぎ倒すようなスラッジーな轟音から、寂寥感を煽るポストロックライクな静寂パートへと移り変わっていく。この、まるでIsis顔負けの静から動へと美しく流れるようにスムーズな場面の切り替えから、彼らのATMS空間作りに対する意識の高さが伺えると同時に、このVVが決して並みのバンドじゃあないという事が理解できる。次の#2は、イントロからアンビエンス効果を加えたエモーショナルな静寂を生み出し、そして突如トレモロリフと共に凶暴な咆哮から、再び寂寥感を煽る儚いメロディが織りなす静寂パートへと交互に交錯していく。彼らの”持ち味”が冴えわたる#4は、中盤からのニューロシス直系のダーティな静寂パートから、突如破天荒な轟音をブッ放す混沌とした音塊に飲み込まれる。

【インストも聴きどころ】・・・今作では、#3,#5,#7に短いインストを挟んで作品に小気味よいメリハリを与えている。Jesu風の#3をはじめ、#5ではリバーブを効かせた儚くも美しいメロディを聴かせ、次のブラゲ然とした#6へと繋ぐ重要な架け橋となっている。そして、和楽器の琴を使った#7の聞き手の意表をつく和風な演出に、そこはかとないファッションセンスを感じさせながら、メロドゥーム風のメロディをフューチャーしたラストの#8を迎える。この曲はアウトロの荒涼としたアコギをはじめ、終始ドゥーミッシュな音の感触はUSBM界のレジェンドことAgallochさんを彷彿とさせる。

【俺は今、最高の静寂の中にいるんだ...】・・・要するに→Isisやニューロシスがブラックメタル化したのがこのVVで、ポストブラックというよりはATMSブラック寄りのスタイルだが、そのわりに存外シンプルに聴かせる。ヘタに10分を超えるような長尺曲がないのは、かの大手メタルレーベルCentury Media所属だからなのかと邪推。兎にも角にも、けたたましい轟音から限りなく無音に近い静寂の隙間に入り込む、いや溶け込む瞬間の意識の高さが異常なんで、一度だけでも聴いてみる価値はあります。

 
Sky Swallower
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