イタリアン・ゴシックの頂点、モデル兼ヴォーカリストのクリスティーナ・スカビア嬢を擁する6人組、LACUNA COIL の約3年振りの5作目「Shallow Life」を紹介。



1. Survive          ★★★★☆
2. I Won't Tell You      ★★★★
3. Not Enough        ★★★★★
4. I'm Not Afraid      ★★★☆
5. I Like It          ★★★★
6. Underdog          ★★★
7. The Pain          ★★★
8. Spellbound        ★★★★★
9. Wide Awake       ★★★★★
10. The Maze        ★★★★
11. Unchained       ★★★
12. Shallow Life      ★★★★



僕の頭の中の「LACUNA COIL像」と言えば、「モロにParadise Lost みたいなゴシック・メタルを男女ツイン・ヴォーカルが歌ってるだけで、アルバムも似たような曲が多くて途中でダレまくる(勿論良い曲もあるけど)」という超ネガティヴな印象で、なんでこんなに世界的に人気なんだ?ちょっと過大評価されすぎじゃね?と(この辺はやっぱり感性の違いなんだろうなぁ、とは思う)、こんな風に常日頃から思ってたバンドなんだけど、そんな彼女らの前作から約3年振りの5作目「Shallow Life」なんだ。


ビルボード・チャートで28位を記録した前作の4th「Karmacode」から約3年振りの新作で、今作のプロデューサーには、「Linkin Park」「Avril Lavigne」「Good Charlotte」等のビッグネームを手掛けたドン・ギルモアを迎えて製作されたアルバムで、とりあえず今作についてまず一言感想を述べるならば、前から噂されていたとおり「至極キャッチー」、になってる。本作は、楽曲やサウンドにおいて、いわゆる「アメリカンナイズ」されたアルバムで、US産のEVANESCENCEUNSUN レベルのキャッチーさとモダンさを兼ね備えた方向性にスタイル・チェンジしており、US産のバンドを多数手掛けたプロデューサーならではの影響が多大に出ている作品と言えそう。最近のでは、In This Moment の1st~2ndのようなサウンドの変化、スタイル・チェンジで、要はメインストリーム、つまりは「大衆」を意識した作風、所謂「メインストリーム・メタル」←(今ボクが作った新語(笑))になってるんだ。


ヴォーカルについても変化が現れており、紅一点の無印商品的美人ヴォーカリストのクリスティーナ・スカビア嬢が、過去作とは比べ物にならないほど「感情」を込めてメロディアスかつキャッチーに抑揚を付けて歌いまくってるし、相棒のダンディ・ヴォーカルのアンドレアも、クリスティーナと同じくアメリカンを意識したスタイルでキャッチーに歌ってる。聴けば分かるけど、すげーLinkin Parkっぽい。そのツイン・ヴォーカルの比率は最早5分5分で、両耳から入ってくる歌声の聴こえ方も、今までとは何処となしかチョット違うんだ。アメリカン・モダン・ヘヴィネスを意識したかのような「ヘヴィなんだけど、どこか軽い」サウンドも、最早「メタル」と言うよりは「ロック」なノリで聴ける取っ付きやすいサウンドになってる。正直言って、もうこれだけ世界中で爆発的な人気を誇ってるバンドなのに、「私達はもっともっと人気になりたいのよ!!」と言わんばかりのキャッチーさが露骨にまで嫌らしく伝わってくるアルバムを今更作る必要性があったのか?とも思うわけで、アメリカンナイズされた事により、彼らの持ち味である「宗教的な雰囲気」やら「イタリアンバンドらしさ」やら「LACUNA COILらしさ」等のオリジナリティやアイデンティティが1番薄いアルバムになっちゃってるネガティヴな印象も勿論ながらある。最早「ゴシック」とも呼べないような感じだけど、「メタル至上主義」以外の普通のロックリスナーや、一般的な音楽リスナーにはウケが良い作品だろうね。一般的サイコー!!一般的サイコー!!初期からの熱心なコアファンからはボコボコに叩かれそう、又は拒絶反応や心臓麻痺を起こしそうなレベルの微劇的な「変化」を遂げているけど、僕みたいにLACUNA COILに対してあまり良い印象を持ってない野郎が本作「Shallow Life」を聴くと、「このくらい分かりやすくキャッチーになって、やっとLACUNA COILが好きになれるなー」と思う人も居るかもね。ファン層もまたガラリと変わってきそうな予感がするし、本作くらいの取っ付きやすさくらいで、やっと日本のメタル/ロックリスナーから本格的に興味を持たれるというか、大々的に注目され始めるんじゃないかなーって。まー結局は「人それぞれの好み」の問題ではあるんだけど、僕はそんな風に思ったりするんだ。一般的サイコー!!一般的サイコー!!けど、このサウンドの変化は「進化」なのか、それとも「退化」なのかは、これはホントに聴き手の様々な「状況」によって感想が変わってくるだろうね。僕はどちらでもないけど。


変化を遂げたサウンドと同様に楽曲も「キャッチー」になってるんだけど、全部が全部そうではなくて、1.2.3.5.8.9.10以外の曲はこれまで通りのキャッチーさの薄いLACUNA COILナンバーが聴けます。オルゴールの音色から始まる1の「I Survive」と、2の「I Won't Tell You」はアンドレア君が主役的な曲で、3の「Not Enough」と9の「Wide Awake」は、クリスティーナがメインに歌う曲で、「これがアメリカンナイズか~フムフム(*^o^*)」と納得できる、むっちゃキャッチーかつメランコリックで超ベタな王道バラードを披露している。このバラードは凄い良い曲なんだけど、やっぱなんかクリスティーナの歌に妙な違和感アリ。思うんだけど、クリスティーナって、感情を込めて歌うより、抑揚や感情を込めないで歌ったほうが魅力的に聴こえるタイプのヴォーカリストだよなーって。4は確かにLinkin Parkっぽい感じで、5もアメリカンな香りがプンプンしてくる曲。安上がりPVになってる8の「Spellbound」も、ドライブ感溢れるメランコリックなゴス&ロールな曲でこれまたむっちゃキャッチーですわ。4の「I Like It」と10の「The Maze」は個人的に結構好きな名ナンバー。8~9のギャップのある流れが本作のハイライトとなってるし、大きな変化を遂げたLACUNA COILが体現できる部分でもある。

このアルバム、僕は普通に好きだし、少なくとも前作よりは好きと言えるかなー。けど・・・すげー中途半端な音質だけは頂けないかな。他にもクリスティーナの声にエコーというか、無駄にアレンジがかかり過ぎてるように聴こえるんだよなー・・・凄い不自然なんだよね。ドラムの音もなんか違和感ありまくりだし、なんか浮いちゃってるんだよなー。とにかく音が悪い。なにこの音?ヴォーカルとドラムの音がもっと良ければもう1点か0.5点くらいプラスなんだけどなー。その辺のポイントを考慮して、+-ゼロの「良盤」って所ですかね。ジャケもロックな感じでカッコイイし。


物凄く聴きやすいアルバムなんで、LACUNA COILを初めて聴く人には打って付けのアルバムです(本来のLACUNA COILらしさは薄いけど・・・)。ゴシックorメタル・ファン向けというよりは、EVANESCENCELinkin Park等のヘヴィなオルタナティヴ・ロックバンドが好きなラウド・ロック寄りのファンの方が、真ん中寄りのストライクゾーンに入ってるんじゃないかな。EVANESCENCE が活動不明状態になってる今、その状況に上手い事突け込む事に成功したのがWithin Temptation と、このLACUNA COILだったとさ・・・おしまい。こんなキャッチーなアルバムが日本で売れないわけないだろうし、来日フラグビンビンに立ってますね、コレは。ちゅーか、母国イタリア(25位)より、アメリカでのチャート(16位)の方が高いってどういう事なの?(苦笑)まー本作で完全にアメリカ寄りの音になったし、別段驚くようなことでもないかな。


完全にメインストリーム/オルタナティヴ・メタル/ロックに変身したLACUNA COIL頑張れ!!「メタル至上主義」に負けるな!!・・・という感じに擁護役をちょっとだけ演じてみました。



7.5(-) / 10

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