多才なヴォーカリスト、トビアス・サメット率いる、今や中堅を担う、ジャーマン・パワー・メタルバンド、EDGUYの約3年振りとなる通算8作目の「Tinnitus Sanctus」を紹介。



01. Ministry Of Saints           ☆☆☆☆☆
ヘヴィ・メタルなリフで重厚感を備えながらミッドテンポに進み、三味線ギターからダイナミックかつパワフルな、ノリのイイキャッチーなサビへ繋がる、EDGUYらしさのあるジャーマン・パワー・メタルナンバー。


02. Sex Fire Religion            ☆☆☆☆
怪しいノリでミッドテンポに進む、捻くれたハード・ロックナンバー。ダイナミックなクワイヤが交わるミドルテンポのサビが印象的。


03. The Pride Of Creation         ☆☆☆☆☆
EDGUYらしい明るくアップテンポにはじまるジャーマン・メタルなイントロから軽快に疾走しはじめるメタルチューンで、ダイナミックなクワイヤが交わる、明るく盛り上がりまくるミドルテンポのサビがノリノリかつキャッチーな、ジャーマン・ハード・ロックンロールナンバー。中盤の盛り上がるパートから疾走し始めるパートもグット。


04. Nine Lives                 ☆☆☆☆☆
イントロから聴けるkeyのダイナミックな音色が印象的な曲で、ドラマティックかつダイナミックに盛り上がるサビがキャッチーな、ミドルテンポで展開するシリアスなヘヴィ・メタルナンバー。


05. Wake Up Dreaming Black       ☆☆☆☆☆
ジャーマン・メタルらしくメロディックでダイナミックにはじまるイントロから、スリラーなkeyの音色を交えながらアップテンポに進み、トビアスがパワフルで力強く歌い上げるサビへ繋がるEDGUYらしいアグレッシヴなジャーマン・メタルナンバー。


06. Dragonfly                  ☆☆☆☆
Def Leppardっぽいというか80年代っぽい雰囲気のある、ミッドテンポのハード・ロックナンバー。壮大なクワイアが交わるサビがダイナミックだ。


07. Thorn Without A Rose          ☆☆☆☆☆
メランコリーにゆったり静かに進み、徐々に盛り上がってはじまる、ピアノの音色とダイナミックなクワイアを交えたハートフルでキャッチーなサビへ繋がる、EDGUYらしさを持ち合わせた80年代のAOR風味なパワー・バラードナンバー。


08. 9-2-9                     ☆☆☆☆☆
エッジーかつ明るくメロディックにはじまるイントロから、軽快なノリで進み、エモーショナルな感じを帯びた明るくダイナミックでキャッチーなサビへ繋がるハード・ロックナンバー。この曲は非常にシンプルなのに、グッとくる感じがすげーイイ!!


09. Speedhoven                 ☆☆☆☆☆
しょっぱなからクワイアを織り交ぜ勢い良くダイナミックかつノリノリに疾走しはじめる曲で、オルガンを使い新鮮に演出する、7分半あるドラマティックで疾走感のある新機軸的ナンバー。


10. Dead Or Rock                ☆☆☆☆☆
明るくアップテンポに超ノリノリに進む、ストレートなロックンロールナンバー。


11. Aren't You A Little Pervert, Too?     ☆☆☆☆
カントリーでポップなノリのイイ、パーティロックナンバー。この曲がアルバムの締めってのは、メタルバンドらしからぬ感じはするが。。。



多才な若きリーダー、トビアス・サメット率いる、ジャーマン・ヘヴィ・メタル、パワー・メタルバンド、EDGUYの通算8作目。前作の「Rocket Ride」が、駄作とも言われても仕方がない並盤だったので(Save MeSuperheroesは好きだけどね^^)、トビアスのサイドプロジェクトのAVANTASIAが成功し、その成功により、一層期待がかかる本業EDGUYの約3年半振りのスタジオアルバム「Tinnitus Sanctus」。

とりあえず一回り一聴しての感想としては、「少なくとも前作よりは断然イイ!!」だ。では傑作アルバムの「Hellfire Club」を越えたか作品かと言えば、「ん~どうでしょ~ぅ(長島茂雄風に)」てな感じ。PVにもなった1曲目の「Ministry Of Saints」を聴くとおり、前作の「Rocket Ride」ではなく、前々作の「Hellfire Club」寄りの、EDGUYらしいヘヴィ・メタルなテンションを感じさせる曲で、トビアス自身のヴォーカルも、よりメタルヴォーカリストらしくなっており、今作の内容も「Hellfire Club」に近いかな?とワクワクと予想したが、結果は前作「Rocket Ride」の延長線上・・・ではないかも知れないが、なら、アルバムジャケット的にも考えて「Hellfire Club」の頃に回帰したかと言えば、ちょっと違うかなぁ、という印象。

今作では、ミドルテンポで聴かせる楽曲が多めに収録されており、1曲目や3曲目や4曲目や5曲目のEDGUYらしさのあるHR/HMナンバーは勿論存在するが、80年代のAOR風味なバラードの7曲目やシンプルなハードロックナンバーの8曲目やオルガンがフューチャーされているドラマティックな9曲目の新機軸的な曲が、今作では非常に新鮮に聴けて、Avantasiaのプロジェクトを経験し、その経験が確実にトビアスのソングライティング能力の向上に繋がった結果の楽曲であると思うし、10曲目なんかは、ジャーマン・メタルバンドらしからぬ?、軽快なカントリー調のナンバーを披露しており、今作の「Tinnitus Sanctus」は、幅の広い様々なジャンルのロックがバラエティ豊かに感じられる、なんでもアリなHR・HMナンバーが楽しめる作品となっている。そのAOR風の曲や、軽快なHRタイプの曲を聴く限り、今作はヘヴィ・メタルではなく、テンションが高い古き良きハードロックorロックンロールorメタルンロール寄りの作品に仕上がっている印象。しかし、楽曲は全体的にキャッチーで、EDGUYらしいダイナミックなクワイア・コーラスを大々的に使った曲が多く見られ、そのお陰で曲にドラマティックな効果を生んでいるので、前作の楽曲よりは間違いなくイイのには変わりない。クワイアがダイナミックに盛り上げてくれるお陰で、ミドルテンポの楽曲でも十分ノレるし、盛り上がる。疾走ナンバーは3曲目の「The Pride Of Creation」と5曲目の「Wake Up Dreaming Black」しかないので、疾走ナンバーを期待していた人にはチョット物足りない内容かもしれないが、ミッドテンポの曲でもジックリキャッチーに聴かせてくれるので、聴いて損はないアルバムだろう。しかし、曲の雰囲気の繋がりが皆無なせいか、アルバム全体のまとまりや一貫性が無さすぎるようにも感じてしまうのも難点かな。今作は、イイ曲とそうでない曲の差が大きい作品かも。個人的ベストチューンは、8曲目の「9-2-9」かなぁ。シンプルなのに凄い良いんだよねぇ、この曲。

今できるEDGUYの全てが詰まった、「実にEDGUYらしい」と呼べる、HR/HM作品ではあるんだけども、「Hellfire Club」や「Mandrake」の頃のメタルっぽさは大きく減退してしまっている作品でもある。サウンドに関しても、それは言えることで、プロデュースとミックスをサシャ・ピートが担当しているからか、音作りがメタルと言うより、ハードロックっぽい音作りになっており、ギターはマイルドでハードロックな音に、ドラムの音もメタリックな重厚感が薄く、ポップなサウンドになっている。この辺から見ても今作は、聴き手に音の不満を残してしまいそうな、全体的にハードロックの色が強いアルバムと言えそう。なんというかポップでキャッチーで、ちょっとメタリックなハード・ロックしてる感じは80年代のポップ・メタルっぽいかもしれん。このドラムの音とか、EDGUYと合ってないような気もするけど^^;けど今作の曲調をみれば合っているのかな。個人的には、サシャ・ピートと相性悪いんじゃね?と言いたくなるレベルだけど。いや、それはないか。誤解を恐れず言うと、今作は全体的にAORロックみたいな感じになっているイメージ。「←ちょwwwおまwwwそれメタルから程遠いジャンルになってるやんwww」という突っ込みはナシの方向で。あくまで大雑把なイメージで、これは間違っているかも。


今作の「Tinnitus Sanctus」を超簡潔に説明すると・・・
○・・・HMではなく、HRっぽいが、全ての曲がキャッチーでイイ。新機軸と呼べる新鮮な楽曲がある。曲のアレンジ・彩りが良い。
×・・・サウンドの質感が軽い。アルバム全体の一貫性がない。サシャ・ピーry(ナッツ


なんていうんだろう、このバンドに期待するor望む音楽性が「ヘヴィ・メタル」か「ハード・ロック」かで、今作の評価が大きく変わりそうなアルバムな気がする。僕の場合は特にどちらでもないので、普通に楽しめたんだけどね。というのは嘘で、個人的には「Hellfire Club」の頃の、メタルな作風を期待していた部分が正直あった。EDGUYのバンドの方向性はどこに向かっているんだろう?という疑問も、今作で生まれてしまったのも確か。「Hellfire Club」のようなメタリックなアルバムは、今後もう聴けないんだろうか?いや、この今の方向性は悪くないと思うけどね、個人的には。今作の楽曲がとてもイイだけに、「Hellfire Club」や「Mandrake」のような、重厚感のあるメタルな音で今作を聴いていたら・・・と、妄想に耽ってみたり。。。特に3曲目と5曲目の疾走ジャーマン・チューンは、もっと重厚感のあるメタル・サウンドで聴いてみたかったかも。もうチョイ重みのあるサウンドだったらもう1点プラスなんだけどなぁ。どうしても音の不満が消えないのよねぇ。
まぁ、なんだかんだ言っとりますが、今作は曲がイイので、黒歴史的な前作のアルバムに失望した方にも、十二分にオススメできる、「彼ら」らしさが戻ってきた力作ではあると思います。個人的には、傑作「Hellfire Club」の次に好きなアルバムになりそう、ちょっと作風は違うけども。楽器隊の音に関しても、これまで以上に取っ付きやすいし、尚且つ楽曲もキャッチーだから、はじめてEDGUYを知る・聴く人には打って付けかも。その次に「Hellfire Club」を聴いてもらえれば、尚イイです^^

このアルバム「Tinnitus Sanctus」で、メタルバンドという枠を飛び越えた、色々な事が出来るロック・バンドという事を、聴き手に知らしめた作品と言えるでしょう。いやぁ~EDGUYって本当にイイもんですね!



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01. Ministry Of SaintsのPV http://www.youtube.com/watch?v=lJGItAC09sI


05. Wake Up Dreaming Black http://www.youtube.com/watch?v=Znu_eS7kgD8

08. 9-2-9 http://www.youtube.com/watch?v=h6g21NDXmvE