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墓っ地・ざ・ろっく!

2022年02月

Author & Punisher - Krüller

Artist Author & Punisher
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Album 『Krüller』
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Tracklist
01. Drone Carrying Dread
03. Centurion
04. Maiden Star
05. Misery
06. Glorybox
07. Blacksmith
08. Krüller

カリフォルニアはサンディエゴ出身のトリスタン・ショーンによるワンマンプロジェクト、Author & Punisherの約4年ぶりとなる6thアルバム『Krüller』の一体何が凄いって、UKのJesuGodfleshの系譜にある無機的なインダストリアルデザイン、オーダーメイドの特殊な精密機械から生成されるドローン/ノイズが内在したThou顔負けのスラッジ/ドゥームメタル然とした邪悪ネス、Nirvanaに代表される90年代グランジの鬱々とした内向性を破滅的にクロスさせながら、そしてDeftones(†††)やパラロスを連想させるゴシックな耽美性(エロティシズム)を醸し出すダークシンセのミステリアスな旋律が無機質な世界をアーバンに彩る、ありがちなインダストリアルミュージックにとどまらない、全く新しい現代ポストメタルの形を提示している件について。

そんなA&Pのオルタナティブな側面を裏付ける、USオルタナレジェンドTOOLのベーシストであるジャスティン・チャンセラーが参加した曲で、ホラー/サスペンス映画のサントラばりに不気味なシンセと機械的な打ち込みが織りなす#3“Centurion”や同じくドラマーのダニー・ケアリーが参加した#5“Misery”を筆頭に、幻想的に煌めくシンセをフィーチャーしたドローンmeetポストメタルの#4“Maiden Star”、Portisheadのカバー曲の#6“Glorybox”、Ulverがエレクトロに傾倒し始めた『Perdition City』をグリッチ/ノイズまみれに魔改造してバグらせたような#7“Blacksmith”、そしてDeftonesのチノ・モレノ顔負けの中性的な歌声を擁しながら官能的かつダークアーバンな世界観を形成する表題曲の#8“Krüller”まで、いわゆる90年代初頭から後半に黎明を迎えたオルタナ/グランジやニューメタルなどの当時のヘヴィロックを、(マシズモほとばしる前衛的なジャケが示唆する)実験的なアプローチをもって現代的なポストメタルにアップデイトさせたような作品。それこそTOOLが2019年に発表した『Fear Inoculum』を足がかりに、2020年にDeftonesが発表した『Ohms』に象徴される“20年代のヘヴィネス”を別路線から合流してきたイメージ。例えば、20年代以降のThouEmma Ruth Rundleのコラボアルバム『May Our Chambers Be Full』Humの復活作『Inlet』とはまた少し方向性の違ったアヴァンギャルドでオルタナティブなヘヴィネスとして。

Voivod - Synchro Anarchy

Artist Voivod
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Album 『Synchro Anarchy』
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Tracklist
01. Paranormalium
04. Mind Clock
06. Holographic Thinking
07. The World Today
08. Quest For Nothing
09. Memory Failure

カナディアン・スラッシュメタルのレジェンド、Voivodの約4年ぶり通算15作目となる『Synchro Anarchy』が凄い。というのも、過去作においてピンク・フロイドやキング・クリムゾンなどのプログレカバーを発表してきたのを鑑みるに、彼らは伝統的なヘヴィメタルバンドながらも同時にプログレッシブロックに対する資質を備えたバンドでもあり、その元来の伏線を回収するかのような本作は、それこそオリジナリティを捨ててフォロワーからパクりまくった末の駄作で知られるテクデス界のレジェンドことCynicの3rdアルバム『Kindly Bent To Free Us』を再解釈した上で独自に正統進化させた、と同時にCynicが初期のテクデスから徐々にプログレッシブロックに傾倒していったのと全く同じ要領で、カナディアン・スラッシュの重鎮Voivodも同様にプログレ化している件について。


それこそCynic『Kindly Bent To Free Us』を彷彿とさせる、ポスト・スラッシュ然としたムシムシQ大好きなジュクジュクしたタイトなポスト・キザミをはじめ、まるでParvaneの試金氏を思わせるパラノイヤの道化師の如し素っ頓狂でアヴァンギャルドなボーカルワークを中心に、ディストピア映画『メトロポリス』を想起させる無機的かつシニカルな世界観を形成しながら、終始一貫してキザミ意識を植え付けるアウトロまで奇術師のごとく奇奇怪怪に展開していく#1“Paranormalium”を皮切りに、続く表題曲の#2“Synchro Anarchy”では、芸歴40年のイケオジである彼らのアイデンティティを司る卑しい変拍子をインストパートのみならずコーラスワークにもインテリジェンスに組み込みつつ、そのプログ・ロック化を司る変拍子のみならず転調以降のポスト・スラッシュパートにおける、Cynicのポール・マスヴィダルを皮肉るかのようなフュージョン然とした幽玄なソロワークまで、そのスティーヴン・ウィルソンに肉薄する現代のプログレッシブ・ロックに精通した審美眼と黄金のキザミ”の源流と呼ぶべきキザミは、80年代初期のスラッシュメタル黎明期において伝説のスラッシュ四天王と真正面からカチコミ合った経験が成せる業であり、そして芸歴40年の大大大ベテランになった今なお「キザミの可能性」を探求し続けるスラッシャーとしての貪欲な姿勢に脱帽するとともに、いわゆる“進歩”という正しい意味での“Progressive”が爆発的なシナジーを起こしている。

ポストスラッシュすなわちポストキザミの教科書とでも呼ぶべき、あらゆるBPMと質量の振り幅に富んだキザミの総数に圧倒される本作、そんなVoivodの“キザミ王”としての権威を象徴する#3“Planet Eaters”、そしてカナダのトラック野郎(フリーダム・コンボイ)の背中という名のアクセルを後押しするかのような、見世物小屋の如しキザミのからくりサーカスを繰り広げる#5“Sleeves Off”や黄金のキザミ”指数が最も高い#6“Holographic Thinking”など、少なくとも前作までのヘヴィメタルのサブジャンルにおけるスラッシュメタルではなく、本作はスラッシュメタルにおけるポストスラッシュならではのキザミの極意にたどり着いた傑作と言える。しかし今回のVoivodといい、80年代初頭に世界各国で発起したスラッシュメタル勢で真っ先に覇権エンジニアのイェンス・ボグレンと邂逅したジャーマンスラッシュのKreatorといい、クラシックメタル至上主義の保守的なベテランが前触れもなくイマドキのインテリっぽい事やってくる“しぐさ”に相変わらず弱い。

Bliss Fields - Slowly, Forever

Artist Bliss Fields
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Album 『Slowly, Forever』
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Tracklist
01. It Comes in Waves
02. Satisfy
03. Clementine
04. Cycle
05. Sleep
06. Away
07. Stare
08. When We're Together
09. Slowly, Forever
10. Recluse

2013年から2021年までIrisの名で活動していた、カナダはトロント出身の5人組Bliss Fieldsの1stアルバム『Slowly, Forever』がスゴイスー。なお、本作は改名前のIris時代に発表した2019年作の作品をAcrobat Unstable Recordsから再度リリースした形。

アコースティックギターを靡かせるイントロから、いわゆる90年代のMidwest Emoの影響下にあるギターボーカルのScott Downesによる内省的な存在感と青春ティーンムービーさながらの激情と焦燥感をまとった轟音ノイズをかき鳴らす冒頭の#1“It Comes in Waves”からして、バンドの自己紹介がてらティーンミュージックの側面を持つemo(イーモゥ)とシューゲイザーをイイトコ取りしたサウンド・スタイルを繰り広げると、一転して紅一点ベースボーカルのMeg Boniのウィスパーボイスをフィーチャーしたノイズポップの#2“Satisfy”や夢の世界を飛び越えて黄泉の世界へと誘うリフレーンが光るUKのオルタナレジェンドことスロウダイヴ大好きな#3“Clementine”、ドリーム・ポップ然としたリヴァーブを効かせたアルペジオ主体の#4“Cycle”や90年代のエモ/ポストハードコアの側面を持つ#5“Sleep”、その幻想的かつ神秘的なイーサリアル的サウンドとMeg Boniのメランコリックでフォークソング的な歌唱法からメロディまでも伝説のフォークロックバンドTrespassers Williamの正統後継者を襲名するかのような#7“Stare”、彼らのコアさを打ち出した表題曲の#9“Slowly, Forever”、モダンな打ち込みを擁する幽玄で仄暗い世界観を構築する#10“Recluse”まで、確かに音響意識の高いリヴァーブ全開のサウンドスケープや男女混成スタイルは、マイブラやスロウダイヴに代表される90年代の伝説的なシューゲイズ/オルタナバンドの系譜にある教科書どおりのドリーム・ポップだが、そのフックに富んだノスタルジックなメロディセンスは頭一つ抜けてるし、また要所でエモやフォークロックのアプローチを垣間見せる“ならでは”のオリジナリティもあるので、この手の王道的なシューゲイザーが好きならマストアイテムです。

Amorphis - Halo

Artist Amorphis
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Album 『Halo』
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Tracklist
01. Northwards
04. Windmane
05. A New Land
06. When The Gods Came
07. Seven Roads Come Together
08. War
09. Halo
10. The Wolf
11. My Name Is Night

デビューした90年代から、かれこれ30年の年月が経過した今なお作品のクオリティを(好みの差はあれど)一定数まで維持し続けているメタルバンドって実は希少で、そんなAmorphisの前作から約4年ぶりとなる本作の14thアルバム『Halo』は、例えるなら巨匠イェンス・ボグレンとの邂逅を果たした前々作の12thアルバム『Under The Red Cloud』が世紀末映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の“死の王”すなわち首領であるイモータン・ジョーの怒りと憎悪のマチズモを司どる作品ならば、同映画におけるシャーリーズ・セロン演じるフュリオサ大隊長とイモータン・ジョーの所有物である5人の“ワイブズ”がメタする女性的なフェミニズムおよび生命のシンボルを司どる叙情的な作品が前作の13thアルバム『Queen Of Time』であり、その「男(長)と女(オサ)」のように対となる近作を象徴する本作のリード曲の#3“The Moon”は、前々作『Under The Red Cloud』の“死の王”から授かりしポスト・ヘヴィネスさながらのグルーヴィなリフ、前作『Queen Of Time』の“蜂の女王”から授かりしフェミニズムのシンフォニー、そして00年代の彼らを代表する9thアルバム『Skyforger』を源流とするフォークメタル然としたノスタルジックかつメランコリックなメロディ、それら代表作の叡智が集結した名曲となっている。


本作を司るリード曲のみならず、バンドの看板を背負ってきたボーカルのトミによるデスボイス主体のデスメタルパートとクリーンボイス主体の叙情的なフォークロックパートを交錯させながら、メロトロンを駆使してプログレッシブかつシンフォニックに展開する高い構成力までも俄然『Skyforger』を連想させる#1“Northwards”を皮切りに、かのクリエイターMetastazisが手がけたペルシャ絨毯に代表されるオリエンタルラグを模した『Under The Red Cloud』におけるエスニックなオリエンタリズム/トライバリズムを継承した#2“On The Dark Waters”や#4“Windmane”、そして#5“A New Land”、一方で対となる『Queen Of Time』における「蝶のように舞い、蜂のように刺す」かの如し妖艶なフェミニズムを継承した#6“When The Gods Came”や表題曲の#9“Halo”、そして本作におけるフィリオサ役を担うスウェーデンのプログレバンドことPaatosPetronella Nettermalmをゲストに迎えた“My Name Is Night”、そして名盤『Skyforger』屈指の名曲“Sky Is Mine”のオルタネイトかつ超絶エピックなリフを継承したガッツポーズ不可避の#7“Seven Roads Come Together”は本作のハイライトとなっており、とにかく本作は前作と前々作の延長線上の流れのままスムースに名盤『Skyforger』のフォーク/デスメタル路線と共振させている。ただし、その『Skyforger』という目覚めを経て『Under The Red Cloud』で確立した黄金のキザミ”の面影が一切見受けられなかったのは唯一残念な点。

Zeal & Ardor - Zeal & Ardor

Artist Zeal & Ardor
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Album 『Zeal & Ardor』
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Tracklist
01. Zeal & Ardor
02. Run
03. Death To The Holy
04. Emersion
06. Erase
07. Bow
08. Feed The Machine
09. I Caught You
10. Church Burns
11. Götterdämmerung
12. Hold Your Head Low
13. J-M-B
14. A-H-I-L

ヘヴィメタルのジャンル、それこそアヴァンギャルドなメタルも含めてメタルのサブジャンルは数知れず、このニューヨークを拠点に活動するスイス出身のマニュエル・ギャノーによるブラックメタルプロジェクト、その名もZeal & Ardorがやってる音楽は、長きにわたるメタル史においても過去類を見ない“アヴァンギャルド”の概念を超越(transcendental)したエクストリームミュージックで、約4年ぶりとなるRun The Jewels風のジャケを模した表題作の『Zeal & Ardor』がゴイゴイスーな件について。

時にファンクやゴスペルに代表される70年代のソウル・ミュージックの影響を受けたブルースシンガー、時に北欧ヴァイキングの白人至上主義のブラックメタラー扮するマニュエル・ギャノーの荒涼感溢れる金切り声が織りなす、例えるなら雷猫ことサンダーキャットの音楽を遺伝子操作してブラックメタル化させたような、それこそメタル(悪魔)側とソウル(天使)側が混沌(ケイオス)と愛情的なパッションをもってバトゥーキするかのようなサウンドは、(これは彼が永世中立国として知られるスイス生まれという出自が関係しているのかは不明だが)1950~60年代にアフリカ系アメリカ人がゴスペルとブルースを合わせて発展させたブラック・ミュージックを象徴する大衆音楽のソウル・ミュージックと、それこそ正統派メタルバンドIced Earthのジョン・シェイファーをはじめ、2021年の「アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件」の際にも取り沙汰された白人至上主義のネオナチ系ヴァイキング/ブラック・メタラーの指名手配犯を排出しているメタルの中でもアングラなブラックメタルという、確かに“色”的には同じ“ブラック”だが思想信条的には相反する二つの対照的な音楽ジャンルを融合させている。その人種間の対立やイザコザを超えた先にある存在同士が対面して、円状の輪(ホーダ)を描きながらキング牧師さながらの“音の対話”すなわち“讃歌”を重ねに重ねる、その光景はまるで音楽界の異種格闘技戦のような、そして「水と油」すなわち「白と黒」の関係性をメタする二つのジャンルが異なる文化や特性をリスペクトしながら、互いに対角線上で支え合う表裏一体型の音楽として成立(異文化交流)させている超越的な音楽、それこそが真の意味で「自由」を司る音楽である。これはもうブラックミュージックとブラック(ホワイト)メタルによる愛のJogo(ジョーゴ)だ!

この表題作の一体何が凄いって、一見ただのRun The Jewelsの表題作のオマージュと見せかけた、現代の社会問題である人種間の対立のように白と黒を配色した対照的なアートワークにも大きな意味とメタファーが組み込まれている点。ご存知のとおり、Run The Jewelsといえば黒人ラッパーと白人ラッパーの二人組ヒップホップユニットである。ただでさえ本作の『Zeal & Ardor』における【ブラックミュージック×ブラックメタル】はもとより、Fear Factoryばりのインダストリアルメタルやエレクトロニカなどの様々な要素がある中で、唯一取り入れられていないジャンルのラップ/ヒップホップの存在を示唆するメタ的な要素を裏設定というかビジュアル面として採用することで、止まない雨のように終わらない白人と黒人の対立を永世中立(神様視点)の立場から痛烈に皮肉っている。マニュエルは決して黒人と白人の争いに文字通り「黒」付けようってんじゃなく、あくまでもJogo(ジョーゴ)という名の対話によって怒りと暴力の連鎖を断ち切らんとしている。

そのビジュアル面のみならず、本作における楽曲にも人種間の対立を煽る、もとい皮肉るようなギミックが組み込まれている。さしずめ「天使と悪魔のバトゥーキ」、あるいは白(魔術)と黒(魔術)によるスピ(リチュアル)な呪術廻戦さながらの対話の幕開けを飾る表題曲であり“Zeal & Ardor”の名を関する#1からして、CoLの新譜じゃないけどコード・オレンジ的なインダストリアルメタルとソウルミュージックの交わりを示すと、その“Death To The Holy”というタイトルどおりにデス/ブラックメタル=悪魔的な感情とソウルフル=愛情的な感情が「愛と死のバトゥーキ」を繰り広げる#3、一転してチップチューン的な電子音とParannoul界隈やViolet Coldに代表されるアングラ系Blackgazeを連想させる激情サウンドがバトゥーキする#4“Emersion”、中でも筆頭すべき#10“Church Burns”ではジミヘンに代表される黒人が生み出した古典的なブルースと白人至上主義およびキリスト教原理主義が今なお根強く残るアメリカ南部の白人を発祥とするカントリーという歴史的に相容れない二つのジャンルが融合した男臭いサザンロックを演じることで、東海岸のニューヨーカーであるマニュエル・ギャノーShinedownのブレント・スミスばりに泥臭いアメリカンロックを歌い上げる皮肉と、それこそ南北戦争という過去の歴史をメタしたバトゥーキを実現させている。

また#12“Hold Your Head Low”では、日本のSSW岡田拓郎もビックリの本場のブルース然としたクラシックなギターワークと現代メタルを象徴するDeafheavenもビックリのデプレッシブなブラックゲイズの激情的な対話を実現させ、その数々の「そうはならんやろ」とツッコミ不可避のポストブラック界における多様性をも咀嚼するマニュエル・ギャノーのリベラリズムと音楽的な審美眼の高さに脱帽する。一転してエルトン・ジョン的なピアノが炸裂するパンキッシュなノリとフュージョンがバトゥーキする#13“J-M-B”、アルバムのアウトロの役割を担うインストの#14“A-H-I-L”まで、とにかく本作は音楽的なトレンドのみならず、昨今の現代メタルシーンにおける気鋭のエンジニアと名高いウィル・パットニー案件である事からも、細部にわたって徹底して隙がなさすぎてビビる。そして何より、出身や肌(スキン)の色も含めてあらゆる意味で彼にしかできない人種の多様性への理解と愛(LOVE)に泣く。

ヴァイキングの北欧神話に傾倒するネオナチを題材とした映画『SKIN/スキン』にも白人至上主義者がヘヴィメタルを嗜んでいる描写が(さも当然のように)あるが、その白人至上主義者(KKK)というヘヴィメタルの歴史における負の象徴、それらの忌避すべき存在すらも彼は肯定というよりは包摂と寛容の愛でもてなさんとしている。それこそドナルド・トランプの台頭をはじめ、現代社会においてヘヴィメタル好き=白人至上主義者と結び付けられかねない状況下にあるのも事実で、またサブジャンル含めた全てのメタルが世間から否定的に見られる可能性に晒されているメタラーこそレイシズムの思想を積極的に否定すべき立場にあると。事実、いくら否定したところでヘヴィメタルと白人至上主義の関係性や歴史がリセットされるわけでもないし、何よりIced Earthのジョン・シェイファーの件はそれを象徴している。

【ブラックミュージック×ブラックメタル】のバトゥーキ←素の状態でわけわかんねぇ事やってるのにも関わらず、そのアヴァンギャルドな土台から更にイマドキのトレンディなサウンドをゴチャ混ぜにするという、あまりに異質で異常な音楽性をはじめ、ブラックメタルならではの金切り声とゴスペルならではのソウルフルな歌声を使い分ける、その今まで出会ったことのない、かつ誰も真似できないオリジナリティとアイデンティティに満ち溢れた本作は、よりエクストリームでオルタナティブなアヴァンギャルドメタルとして、前作よりもギュッと身が締まった印象。正直、聴きながらずっとダイアン津田と中西ばりに「ゴイゴイゴイゴイゴイゴイゴイスー!」としかならんかった。とにかく、何故このような音楽をやるに至ったのか気になりすぎる...と思ったら、どうやらこのユニークなアイデアの起源は4chanだった模様。そんな皮肉めいたオチを最後に、これを聴きいて皆んなで一緒にブラックサンダー咥えながらバトゥーキしようぜ!
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