Artist 花冷え。
EP 『開花宣言』
Tracklist
EP 『開花宣言』
Tracklist
1. Cherry blossoms are blooming
2. Envy
3. TIME OUT
4. ghost mania
5. ZERO
6. ドラスティック・ナデシコ
Crystal Lakeのメンバープロデュースによる1stフルアルバム『乙女改革』にド肝を抜かれたのもつかの間、先日サブスクで再配信された吉祥寺バンド花冷え。の2018年のデビュー作であるEP『開花宣言』は、1stアルバムと同じくCLの田浦氏プロデュースであるのにも関わらず、その内情としてはリフ的にも音作り的にも、このEPの方がオリジナリティに富んだことやってんじゃねぇか説あって、とにかく推定十代の時点で音作りのセンスがコード・オレンジ級なのはちょっとヤバスギるというか、流石に逸材と言わざるを得ない件について。
推定十代の頃からほぼ出来上がってるユキナのグロいデスボイスは改めて感心するほどのポテンシャルを発揮している。しかし、このEPに限ってはギタリストのマツリによる多彩なギタープレイに注目せざるを得ない。悪く言えばメタルコアというイチジャンルに取り憑かれ過ぎていた1stアルバムとは打って変わって、このEPではメタルコアのブレイクダウンだけに囚われず、Djentからコード・オレンジまでの現代モダン・ヘヴィネス交えたリフに次ぐリフで組み立てていくメタルの王道スタイルを踏襲した楽曲を中心に、もっと自由にもっと広い視点から現代的なモダンメタルやってる印象。なんだろう、1stアルバムほど気負ってない肩の力が抜けた感じというか、このEPのが花冷え。の本性により近いものだったりするのかもしれない。確かに、このEPは1stアルバムならではの硬派なメタルコアとkawaiiメタルとヒップホップ要素のギャップが希薄な分、より現代的にアップデイトされたジャパメタを継承したような音に聴こえる。
このEPの何が凄いって、まず冒頭の一曲目がエレクトロニカのインストってとこ。だってデビュー作で普通そんな余裕なくない?みたいな事を平然とやってのける時点でアブノーマル過ぎる才能の塊しかない。もちろん、その電子音はその後のバンドサウンドが轟かせる“本性”とのギャップを狙った演出である可能性も無きにしもあらず。その後はしっかりと聴き手のナニを玉冷え。させる花冷え。の本性を現す#2“Envy”は、ユキナのデスボとマツリのクリーンからなるツインボーカル体制を中心に、ベース担当ヘッツによる「ベースいるくね」なグルーヴィなプレイ、そしてマツリのギターから放たれるゴッリゴリのヘヴィネスやソロワークまで、まさに次世代ガールズバンドの“始まり”を『開花宣言』するに相応しい一曲となっている。冒頭からマツリのソリッドなリフやスラッシーなキザミなどのテクニカルなギターで構成された#3“TIME OUT”、そして日本の現代メタルコア界を代表するA Ghost of Flareのボーカルをゲストに迎えた#4“ghost mania”は、(さっきはメタルコアだけにとどまらないとか書いたけど)これがメタルコアじゃなかったら何やねんってなるくらいにはゴッリゴリのメタルコアで笑う。
で、冒頭から爽やかなクリーンギターを擁した青春真っ只中のガルバンらしいメロコア的な疾走感に反してピチピチのガルバンらしからぬ鬼ヘヴィネスが緩急を織り交ぜながら複雑怪奇に展開される、それこそ花冷え。の類まれなる楽曲構成力の高さを垣間見せる#5“ZERO”、要するに伊賀忍法帖的な“くノ一”に関するユニークな歌詞とともに、和風テイストのアレンジを効かせたブレイクダウンやブラストビートを交えたコード・オレンジ級のブルータルかつスラッジーなヘヴィネスが日本のメタルシーンを揺るがす#6“ドラスティック・ナデシコ”まで、ヘタしたら1stアルバムよりもトータルバランスの取れた完成度と、現代ヘヴィネスに対する音作りのセンスが光る玉冷え。不可避のデビュー作だ。
正直、1stアルバムは楽氏プロデュースのお陰でゴリマッチョなサウンドになったと勝手に解釈してたんだけど、このデビュー作聴いたらある意味でもっと硬派な事やってて笑ったわ。なにこの娘たち。キャッチーな聴きやすさとかポップさとか、リスナーに対する歩み寄りなんか微塵も考えてなさそうなドSっぷり、これぞまさに「吉祥寺初期衝動」としか形容できない、暴力的な音の塊で脳天ぶん殴られたような気持ちよさ。なんだろう、やっぱラウドロック/メタルシーンも今は「女の時代」なんだってことを証明するかのよう。ともあれ、何の因果かこのタイミングで活動休止中のLOVEBITESの後継者、その受け皿となりうるガールズバンド界の救世主が現れたことに喜びと期待を覚えた。
で、冒頭から爽やかなクリーンギターを擁した青春真っ只中のガルバンらしいメロコア的な疾走感に反してピチピチのガルバンらしからぬ鬼ヘヴィネスが緩急を織り交ぜながら複雑怪奇に展開される、それこそ花冷え。の類まれなる楽曲構成力の高さを垣間見せる#5“ZERO”、要するに伊賀忍法帖的な“くノ一”に関するユニークな歌詞とともに、和風テイストのアレンジを効かせたブレイクダウンやブラストビートを交えたコード・オレンジ級のブルータルかつスラッジーなヘヴィネスが日本のメタルシーンを揺るがす#6“ドラスティック・ナデシコ”まで、ヘタしたら1stアルバムよりもトータルバランスの取れた完成度と、現代ヘヴィネスに対する音作りのセンスが光る玉冷え。不可避のデビュー作だ。
正直、1stアルバムは楽氏プロデュースのお陰でゴリマッチョなサウンドになったと勝手に解釈してたんだけど、このデビュー作聴いたらある意味でもっと硬派な事やってて笑ったわ。なにこの娘たち。キャッチーな聴きやすさとかポップさとか、リスナーに対する歩み寄りなんか微塵も考えてなさそうなドSっぷり、これぞまさに「吉祥寺初期衝動」としか形容できない、暴力的な音の塊で脳天ぶん殴られたような気持ちよさ。なんだろう、やっぱラウドロック/メタルシーンも今は「女の時代」なんだってことを証明するかのよう。ともあれ、何の因果かこのタイミングで活動休止中のLOVEBITESの後継者、その受け皿となりうるガールズバンド界の救世主が現れたことに喜びと期待を覚えた。