Artist tricot

Album 『10』

Tracklist
01. おまえ
02. サマーナイトタウン
03. WARP
04. 箱
05. 炒飯
06. あげない
07. 悪戯
08. 幽霊船
09. Laststep
10. 體
なんだろうね、普通ならtricotの新作がリリースされることを素直に喜ぶべきなのに、リリース日の直前にまさかあんな訃報が届くなんて、本当になんなんだろうね。少なからず言える事は、「メジャー」なんてロクなもんじゃないことはSiggy Jr.と赤い公園が身をもって証明してくれたのと、津野米咲の頭の中には盟友tricotの新譜がリリースされるソースはどこにもなかったんだってこと。というより、tricotと赤い公園がライバル関係あるいは盟友だなんてのはただの妄信だったのかもしれない。しかしながら、こいつらなかなか薄情な奴らだなって。

Album 『10』

Tracklist
01. おまえ
02. サマーナイトタウン
03. WARP
04. 箱
05. 炒飯
06. あげない
07. 悪戯
08. 幽霊船
09. Laststep
10. 體
なんだろうね、普通ならtricotの新作がリリースされることを素直に喜ぶべきなのに、リリース日の直前にまさかあんな訃報が届くなんて、本当になんなんだろうね。少なからず言える事は、「メジャー」なんてロクなもんじゃないことはSiggy Jr.と赤い公園が身をもって証明してくれたのと、津野米咲の頭の中には盟友tricotの新譜がリリースされるソースはどこにもなかったんだってこと。というより、tricotと赤い公園がライバル関係あるいは盟友だなんてのはただの妄信だったのかもしれない。しかしながら、こいつらなかなか薄情な奴らだなって。
その「メジャー1stアルバム」という、日本でメジャーデビューしたバンドならではの大々的な謳い文句を引っ提げて、かのエイベックス内にあるカッティングエッジからメジャーの仲間入りを果たしたtricotさんは、晴れてエイベックス〜カッティングエッジの大先輩である(ベーシストの粥がやらかして解散した)「平成最悪のヴィジュアル系バンド」ことJanne Da Arcの正当後継者となり、いわゆる「メジャー行って終わったバンド」としての大きな一歩を踏み出した。一足も二足も先にメジャーデビューした赤い公園がどんな事になったのかなんて無意味な話はさて置き・・・と見せかけて、メジャーデビューした赤い公園で苦労したであろう津野からしてみれば「オメーら一丁前に大手からメジャーデビューしてんじゃねーよwしかもよりによってべクソかよべクソwあ、ウチはウチでファッキソ・ソニーだったわw」てな感じかもしれない。知らんけどw
今年はコロナ禍の影響で、ろくにライブツアーができない状態が続いているので、必然的にミュージシャンは家に引きこもって作曲する暇しかないせいか、昨年に13年ぶりとなる新作を発表したヘヴィロック界のレジェンド=TOOLが早くも新曲に取りかかっているという皮肉めいた冗談か噂話が囁かれる始末。とにかくアーティストの活動スケジュールを全て予定変更せざるを得ない状況の中、今年の1月にに「メジャー1stアルバム」となる『真っ黒』をリリースしたばかりのtricotも例外はなく、その前作から約9ヶ月ぶりに「メジャー2ndアルバム」となる『10』を発表した。この『10』という数字はデビュー10周年の『10』を意味している。
前作の『真っ黒』は「メジャー1stアルバム」のプレッシャーか、メジャー感バリバリの方向へと色気づいたドギツいギトギトメイクのtricotだったけど、本作の『10』はそのド派手メイクの前作ほど変に肩肘も気負ってもない適度なユルさのある、いわゆる「メジャー2ndアルバム」というよりは、どこにも色気づいていない「いつものtricot」すなわちノーメイクのtricot、つまりインディーズ時代に近いフラットな状態のtricotがEPのような実験的なアプローチをフルアルバムの尺でやってみたような印象。それこそ「メジャー1stアルバム」の押し売りみたいな日本の音楽業界特有のメジャー至上主義に引いた人には間違いなく合うと思う(メジャーには変わりないけどw)。
色々やってる本作、前作のメタル/ハードコアにイキってたリフは鳴りを潜め、良くも悪くも教科書通りのマスロックに回帰したようなリフ回しを中心に、3人のコーラス/ハーモニーが映えるちょっと歌謡曲っぽい雰囲気が新鮮な#2“サマーナイトタウン”、らしい転調転調雨転調から相対性理論でもお馴染みのリフレインと水曜日のカンパネラのコムアイに化けたイッキュウ中嶋のラップが織りなす渋谷系tricotの#3“WARP”(そういえばコムアイって今何してんの?活動家?)。本作における「実験性」を司る#4“箱”は、全編に渡りパーカッションをフィーチャーしたスティーヴン・ウィルソン〜トクマルシューゴ〜岡田拓郎ラインに精通するニューエイジナンバーかと思えば、次の#5“炒飯”も同様にやくしまるえつこがヤクマルシューゴ化した相対整理論の『TOWN AGE』風のリフ回しや陽気な口笛からも、俄然トクマルシューゴ〜ヤクマルシューゴ〜岡田拓郎ラインが総出演の映画『PARKS パークス』の井の頭公園界隈に大胆にアプローチしていく。この序盤の流れからもわかるように、そのトクマルシューゴ〜ヤクマルシューゴ色の強さからも「ほ〜こっち側に寄せて来たか」と、初めはちょっと想定外の反応を示したのも事実。で、その相対性理論的なイメージから思い出されるtricotのアルバムと言えば2ndアルバムの『A N D』に他ならなくて、適当に例えるなら前作の『真っ黒』がインディーズ時代における『T H E』で、この『10』がインディーズ時代における『A N D』みたいな立ち位置。
『真っ黒』における“低速道路”みたいなミニマルにトリップする#6“あげない”、サビのメロがジュディマリの“LOVER SOUL”感のあるキャッチーな歌モノの#7“悪戯”、切ない系の歌モノポップスの#8“幽霊船”、「この曲いかにもインディーズ時代のトリコットって感じだな」と思ったら『爆裂パニエさん』の“Laststep”だった#9、椎名林檎リスペクトなオルタナティブでアヴァンギャルドな実験性を内包したラストの#10“體”まで、デビュー10周年だから全10曲なのかは知らんけど、実験的かつ挑戦的なアルバム前半と比べてアルバム後半は比較的歌モノ傾向のtricotって感じで、謎のジュディマリ感の強い歌モノは歌モノでも『真っ黒』に収録された歌モノの方がメロディの質は断然上です。あと同じ水カン=コムアイリスペクトでもポエトリーラッパーの春ねむりの方が全然コアで面白いことやってますね。
そもそも、インディーズ時代の“Laststep”のリメイクした曲が収録されてる時点で、必然的にインディーズ時代のtricotをフラッシュバックさせる事を意図したような作品で、前作の『真っ黒』が苦手だった人を見捨てず、しっかりとフォローするバンドの器の広さを証明するような一枚でもある。改めて「色々やってる」このアルバムの形式を装った実質EPは、その『A N D』時代を連想させる曲や、ニューエイジやコムアイばりのラップを駆使した実験的な曲、いかにもメジャーな曲まで、このメジャー行ってもインディーズ時代と何ら変わらない音を自由に鳴らせる二面性、つまり「日本のメタリカ」の異名を持つバンドならではのソリッドでゴリゴリなリフも書ければ、一方でスティーヴン・ウィルソンみたいなウェットでウィットに富んだ実験性を内包した曲も書けちゃう二面性こそtricotの真髄と言える。
確かに、この程度の内容ならアルバム形式じゃなくて実験的な曲だけのEPでよかったんじゃないかと思ったけど、それはべクソという名の問屋が卸さないか。でもアルバム後半に無理くりポップな歌モノ入れる必要があったのかという疑問もあって、とは言えライブツアーがまともに実施されていたら本作はリリースすらされていなかった可能性云々のタラレバはここで語ってもしょうがない。というか、この『10』もデビュー10周年の集大成と意気込んでいる割には小遣い稼ぎにもならないような内容だし(いかにもメジャーなダサ過ぎるジャケも嫌い)、このメジャーデビューして終わった薄情バンドもそろそろ解散が近いんじゃないかな。それまでさぞお偉いさんのべクソとファッキソ・ソニーでやり合ってろよw












