Artist envy

Album 『The Fallen Crimson』

Tracklist
また“手前”という名の展開を変えて次に聴こえてきた音こそ、昨年13年ぶり(厳密にいえば4868日ぶり)に復活したヘヴィロック界のレジェンドTOOLと共振する「黄金のキザミ」だった。まぎれもなく「いつものenvy」とは一線を画した理知的なキザミが聴こえてきた瞬間は、驚きのあまり約1ヶ月ぶりに「ホーリーシェイ!ホーリーシェイ!」と飛び上がって「エ゙ン゙ヴィィィィィ゙ィ゙ィ゙イ゙イ゙イ゙ヤ゙ァ゙オ゙ッ゙!!」と慟哭しながら奇声発したわ。
正直、この曲って「これまでのenvy」の認識からすると明らかに異質で、しかしこの前澤友作の総資産価値に匹敵する「黄金のキザミ」こそ、「これまでのenvy」とは違う全く新しい“新生envy”を象徴するアイコニックな側面であり、前身のBLIND JUSTICE含めキャリア25年以上経過したこのタイミングでenvyというバンドからは到底想像もつかない「キザミの領域」に足を踏み入れる、この反骨心むき出しのオルタナティブな思想および革新的な創造性こそ彼らがレジェンドと称される由縁で、しかしメンバーチェンジがなかったらこの前澤向き、もとい前向きな変化も存在しなかったと考えたら、テスラCEOのイーロン・マスクに匹敵する宇宙開発規模のZOZOマネーでバンドを繋ぎ止めてくれた前澤氏、もとい深川氏をはじめ新メンバーの滝くんと渡部くんには感謝してもしきれない(滝くん!滝くん!)。
しかし、こうなってくると伏線回収業者でもある僕はこの伏線を回収するためにレビューを書かなきゃいかん、まさに「ここぞ」というタイミングの話なんですね。まさか2020年代1発目の年間BESTアルバムが新生envyだったとは夢にも思わなかったし、色々とゴタゴタがあっての復活作でこの傑作とかエモ過ぎる・・・。これ異種格闘技戦じゃないけど、この新生envyとラウドロック界最強のCrystal Lakeという日本の2大メタルバンドの対バンが実現したら激アツじゃね?って(閃いた)。

Album 『The Fallen Crimson』

Tracklist
01. Statement Of Freedom
02. Swaying Leaves And Scattering Breath
04. Rhythm
05. Marginalized Thread
06. HIKARI
07. Eternal Memories And Reincarnation
08. Fingerprint Mark
09. Dawn And Gaze
10. Memories And The Limit
envyの何が凄いって、凛として時雨や9mm Parabellum Bulletなどの邦ロックやheaven in her aemsに代表されるアンダーグラウンドの国産メタルバンドは元より、海外のエモシーンやモグワイをはじめとする轟音ポストロック界隈を中心に、中でも2010年代にメタルのサブジャンルとして黎明期を迎えたポスト・ブラックメタル/ブラックゲイズ、その中心的=アイコニックな存在としてシーンを牽引していた(モグワイの系譜でもある)deafheavenにも強い影響を与え、その多大なる影響力はポスト・ブラックシーンの開祖とも呼ぶべきフランスのレジェンド=Alcestにまで及ぶ、まさに日本が世界に誇るポスト・ハードコア・レジェンドである。
そんなenvyは、2016年にフロントマンであり“伝説のポエマー”こと深川氏の脱退というショッキングな出来事を引き金に、その2年後の2018年にはバンドの中枢を担うギタリストの飛田氏とドラマーの関氏が同時に脱退するという、バンドの存続に関わる大事件が巻き起こった。しかし、その2月後に2人の脱退と入れ替わるように深川氏がバンドに復帰すると、バンドは元メンバーでありドラマーの元ZOZOZOの鬼太郎こと前澤友作(Yusaku MAEZAWA)に復帰を募るも、この数年で今やバンドマンではなく日本屈指の億万長者となっていた前澤友作の札束ビンタで門前払いを食らったとか食らわなかったとか、そんなありもしない噂話が後を経たないでいたバンドは、前澤友作のツイッター企画『お年玉100万円プレゼント』には惜しくも落選するも、長年の念願叶ってサポートメンバーとして9mm Parabellum Bulletのギタリスト滝くんとheaven in her aemsのドラマー渡部くんを迎え、“新生MAEZAWA”もとい“新生envy”として再始動する。そして2020年、新生envyは約5年ぶりに記念すべき復活作となる7thアルバム『The Fallen Crimson』を発表した。
紆余曲折ありながらも復活した新生envy、さっそく今作を聴いてみたら「だいぶ変わってる」、というか「めちゃくちゃ変わってる」は言い過ぎかもだけど、やっぱり「結構変わってる」ぐらいには変わってると言っていいかも。その最たる例としてあるのがリード曲として先行公開された“A Faint New World”で、まずアンビエントな空気をまとったギターのアルペジオと深川氏のリリカルなポエムが織りなす静寂的かつ抒情的な幕開けから、一転して今度はCult of Lunaと共鳴する儚くも幽玄かつ幻想的なモノクロームのディストピアを生成するポストメタルならではのダイナミズムとスケール感を圧縮した轟音と深川氏の泣きながら胸毛かきむしりたくなる系の咆哮が激しく交錯する怒涛の展開、正直ここまでの流れは静と動の対比/二面性を描いた、広義の意味で「いつものenvy」と言っても差し支えない。しかし、この曲における最大の“パンチライン”はその次の展開だ。
また“手前”という名の展開を変えて次に聴こえてきた音こそ、昨年13年ぶり(厳密にいえば4868日ぶり)に復活したヘヴィロック界のレジェンドTOOLと共振する「黄金のキザミ」だった。まぎれもなく「いつものenvy」とは一線を画した理知的なキザミが聴こえてきた瞬間は、驚きのあまり約1ヶ月ぶりに「ホーリーシェイ!ホーリーシェイ!」と飛び上がって「エ゙ン゙ヴィィィィィ゙ィ゙ィ゙イ゙イ゙イ゙ヤ゙ァ゙オ゙ッ゙!!」と慟哭しながら奇声発したわ。
正直、この曲って「これまでのenvy」の認識からすると明らかに異質で、しかしこの前澤友作の総資産価値に匹敵する「黄金のキザミ」こそ、「これまでのenvy」とは違う全く新しい“新生envy”を象徴するアイコニックな側面であり、前身のBLIND JUSTICE含めキャリア25年以上経過したこのタイミングでenvyというバンドからは到底想像もつかない「キザミの領域」に足を踏み入れる、この反骨心むき出しのオルタナティブな思想および革新的な創造性こそ彼らがレジェンドと称される由縁で、しかしメンバーチェンジがなかったらこの前澤向き、もとい前向きな変化も存在しなかったと考えたら、テスラCEOのイーロン・マスクに匹敵する宇宙開発規模のZOZOマネーでバンドを繋ぎ止めてくれた前澤氏、もとい深川氏をはじめ新メンバーの滝くんと渡部くんには感謝してもしきれない(滝くん!滝くん!)。
そのTOOLのキザミに肉薄するプログレッシブな構築性しかり、初期のMastodonに精通するカオティックな獣性しかり、夜明けを照らし出すようなバッキング・ギターのポスト・エピックなリフレインしかり、キャリアウン十年のレジェンド中のレジェンドがここにきてもう一段階レベルをNEXTステージにアップデイトしているヤバさ。ありえん、素直に才能の塊が過ぎてありえんのだけど、そのTOOLや初期のMastodonを連想させるインテリジェンスなキザミやカオティックコアとブリブリに共振する点でも、もはや今の彼らはメタル界のレジェンドと対等の立場にいる証左であり、これはもう2019年のメタルを象徴するTOOLの『Fear Inoculum』やBaronessの『Gold & Grey』と地続きで繋がってる作品と断言できる。
もっとも面白いのは、このキザミって深さや低域の質量から分析するに、実はTOOLというよりMastodonの名盤『Crack the Skye』における「黄金のキザミ」に近いソレなんじゃないかってこと。しかしまさかenvyが日本のバンドで初めて「キザミの世界」に入門してくるなんて思ってもみなかったし、もう完全に「キザミを知ってる人たち」なんですね。大げさな話、「“キザミ”がそこにある限り」をモットーに今を生きる俺への“私信キザミ”かと思ったもんホント(キザミイズ私信)。
もっとも面白いのは、このキザミって深さや低域の質量から分析するに、実はTOOLというよりMastodonの名盤『Crack the Skye』における「黄金のキザミ」に近いソレなんじゃないかってこと。しかしまさかenvyが日本のバンドで初めて「キザミの世界」に入門してくるなんて思ってもみなかったし、もう完全に「キザミを知ってる人たち」なんですね。大げさな話、「“キザミ”がそこにある限り」をモットーに今を生きる俺への“私信キザミ”かと思ったもんホント(キザミイズ私信)。
「変化」という点では、【ノイズロック+コンヴァージ~初期マストドン=バロにゃん】みたいな1曲目の“Statement Of Freedom”から3曲目の“A Faint New World”まではイマドキのトレンドを抑えたオルタナティブでプログレッシブなスラッジコア/メタルだけど、一転して#4“Rhythm”では大胆に女性ボーカルをフィーチャーした曲で驚いたというか、初めてその歌声を聴いた時は岡田拓郎くん界隈でもお馴染みの女性SSW優河かと思ったけど違った。この辺の女性ボーカルの積極的な起用はAlcestを、まさにenvyなりの『サンベイザー』な激情系ブラゲの#5“Marginalized Thread”は、AlcestフォロワーのMOLを彷彿とさせる。アルバム中段はモグワイ直系の轟音ポストロックを軸に、その間に挟まれる#8“Fingerprint Mark”は新メンバーの滝くん効果により9mm直伝の昭和歌謡風のクサメロが炸裂するダサカッコいい激情ハードコア・パンクで、改めて1stアルバム時代のAlcestへの回答を示す#10“Memories And The Limit”、そしてラストを飾る#11“A Step In The Morning Glow”は、ポストロックはポストロックでもUSのIf These Trees Could Talkをフラッシュバックさせる幽玄かつ淡色のATMSフィールドを展開。もはや今のenvyの唯一の弱点といったらMVがクソダサいところだけ!w
以前までのenvyはどうしても“コア”な音楽性だったからメタル耳にしは少し物足りない部分もあったけど、今作ではポエム中心のアンビエント~ポストロックなサウンド・スタイルからポスト・メタル~ブラゲ寄りのバンド・サウンドに変わった印象というか、とにかく音の骨格がメタルっぽくなってて、それこそ前澤友作もドン引きするぐらい過去最高にメタル耳に馴染むアルバムなのは確か。なんだろう、この「変化」みたいなのを別の言葉で言い換えるなら「色気づいてきた」というか、それはまるで新生envyの新しい夜明け、門出をセルフ祝いするかのような作品で、邦ロック界でも名の知れた9mmの滝くん加入という“ガワ”の面でもオーバーグラウンドに接近しつつ、それら新メンバーが本籍を置く各バンドの特色が“伝説のポエマー”と化学反応を引き起こす事で、楽曲的な面でも「日本初キザミ」という偉業を筆頭にアンダーグラウンドから陽の当たる場所へとヒョッコリと謙虚に顔をチラつかせながら、とにかく様々な面で先の10年代にシーンで活躍したフォロワーたちへの回答っぷりが凄い(滝くん!滝くん!)。
しかし、こうなってくると伏線回収業者でもある僕はこの伏線を回収するためにレビューを書かなきゃいかん、まさに「ここぞ」というタイミングの話なんですね。まさか2020年代1発目の年間BESTアルバムが新生envyだったとは夢にも思わなかったし、色々とゴタゴタがあっての復活作でこの傑作とかエモ過ぎる・・・。これ異種格闘技戦じゃないけど、この新生envyとラウドロック界最強のCrystal Lakeという日本の2大メタルバンドの対バンが実現したら激アツじゃね?って(閃いた)。
しかし改めて、こうやってenvyから影響された、envyが影響を与えた数多くのバンドが今のダンダーグラウンド/メインストリーム双方のシーンで出世している所からも、近代史における日本一の成功者として、資本主義社会における成金の象徴となった前澤友作の成り上がり人生、その実業家としての夢を実現させた反骨心という名のハードコア/パンク精神は、このenvy在籍時に培われたと言っても過言じゃあない。そういった意味では、今の前澤友作があるのは全てenvyのおかげ説あるから、そんな前澤友作という男を輩出したenvyというバンドの、音楽的な内側の話だけにとどまらない人材的な外側の逸話が語られる点でも、正真正銘のレジェンドと称えるべき正当な理由がある(さすが俺たちが育てたMAEZAWAだぜ(←誰だお前))。だから、今や2万7000人の女から求められる“1000億の男”となった前澤友作が最優先に投資すべき案件は、どう考えてもベーシックインカムじゃなくてこのenvyだろっていう話。ワーワー言うとりますが、最後に僕が言いたいことはただ一つ。それは・・・前澤ぁああああああ!!今すぐに俺を雇いやがれえええええええええええ!!そんで俺に10億くれえええええええええ!!(←アホ)
The Fallen Crimson
posted with amazlet at 20.02.11
envy
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