Artist Blood Incantation

Album 『Hidden History Of The Human Race』

Tracklist
02. The Giza Power Plant
04. Awakening From The Dream Of Existence To The Multidimensional Nature Of Our Reality (Mirror Of The Soul)
デスメタル女子を代表するスウェーデンの環境保護活動家グレタ・トゥーンベリや日本の女優広瀬すずがデスメタルシーンで台頭する中、そのデスメタル女子に負けじと2010年代の最後にデスメタル男子のプライドを賭けた“10年代最高のデスメタル”をリリースしたのが、USはコロラド州デンバー出身の4人組、その名もBlood Incantationだ。
このBlood Incantationの2ndアルバム『Hidden History Of The Human Race』は、デスメタルはデスメタルでもデスメタル界のレジェンド=Deathの影響下にあるチョイテクなデスメタルでも、一方でピンク・フロイドみたいな70年代風のプログレやシュメール文明のアヌンナキをモチーフとした神話およびSF/オカルト/スピリチュアルな世界観が共存するデスメタルで、幕開けを飾る#1からリヴァプールの残虐王ミナミノもといカーカスばりに硫酸ドロドロなブルータリティとKreatorやPower Tripを連想させる猟奇的なソロワークがクロスオーバーしたスラッシュみたいな感覚のデスメタルで、アヌンナキの神々が光臨なさるエスニックなプログレッシブ・ドゥームの#2、極端な話オルタナにまで急接近する器用さと意外性を垣間見せる、それこそデスメタル界の天外魔境あるいはデスメタル版ピンク・フロイドなインストの#3、そして彼らの全てが集約されている一曲で、アヌンナキの神々による『神VS.神』の如しデロデロなリフに次ぐドロドロなリフの応酬に直腸陥没不可避な約18分にも及ぶ長大作の#4は、まるで(イギリスのSF作家ブライアン・オールディスの『Space, Time And Nathaniel』のカバーアートを手がけたブルース・ペニントンの)アートワークの宇宙人に連れ去られて目覚めたらデスメタル女子の広瀬すずに改造されてトゥース!ばりのデスポーズを決めながら「直腸陥没!」とデスボイスで叫ぶこと請け合いな、それこそ「00年代最高のプログレッシヴ・デスメタル」であるGojiraの“The Art of Dying”に対する「10年代最高のプログレッシヴ・デスメタル」と言っても過言じゃあない名曲で、また哀愁のアコギを靡かせてカタルシスを誘うアウトロの演出が某40 Watt Sunをフラッシュバックして全俺が咽び泣いた。
なんだろう、90年代に一時代を築いた往年のデスメタルと伝統的なクラシック・メタルのコンビネーションが絶妙な塩梅でせめぎ合う、ザックリと言ってしまうとデスメタル版Pallbearerみたいな、それほどまでにデスメタルはデスメタルでも想像した以上にプログレ色が強い、本当の意味でプログレッシヴなデスメタルやってるアルバムで、それこそメタル大国フィンランドの映画『ヘヴィ・トリップ』やデスメタル女子の広瀬すず主演の映画『一度死んでみた』を観てデスメタルに興味を持った人にオヌヌメしたい大名盤デス!
HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE
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