どうでもいいけどクソ映画臭がハンパないwという話はさて置き、ただいま絶賛朝ドラヒロインを熱演中の広瀬すずって、ここ最近しょうもないゴシップ記事やツイッターに「性格サイアク」って書かれたりするけど、お姉ちゃんの広瀬アリスが“平成サイアクのヴィジュアル系バンド”ことジャンヌダルクのボーカリスト=yasuのソロプロジェクト=Acid Black Cherryのアルバム『L -エル-』の実写映画化のヒロインだったり、そもそも一番上のお兄ちゃんがそのAcid Black Cherry大好きなTEAM-ABCという、(同年代の女優と比べて)軽く同情するくらい“(いい意味で)平成サイアク”の姉兄に囲まれて育った超末っ子って事を考えたら、「むしろ性格いいほう」ですねw この映画『一度死んでみた』の主演が決まった時、広瀬すず「お兄ちゃん、デスメタルって何?」からのお兄ちゃん「そんなん俺が知るかよアリスに聞け」からの広瀬アリス「いや、ウチも知らんし」みたいな会話を交わした可能性ワンチャンあるし(ネーよ)。でも実際にそんな会話して欲しいじゃん。
初期の頃からこのバンドを追ってきた自分からしても、前作の6thアルバム『Seal the Deal & Let's Boogie』は自分の中で歴代最高に反応しづらいアルバムで、なんだろう単純に持ち前のフックに欠けるというか、確かにいつも通りのVolbeat節全開ではあるのだけど、当時の自分には全く入ってこなかったというか、珍しく聴き終えた後に何も残らなかった。その前作から約3年ぶりとなる7thアルバム『Rewind, Replay, Rebound』は、表題曲と見せかけたリード曲の#3“Rewind The Exit”のメタルでもハードロックでもないクリーンなギターのリフレインとマイケル・ポールセンの歴代最高にキャッチーな歌メロからもわかるように、今作を語る上で欠かせないキーワードが“ポップさ”だ。その“ポップさ”と並んで、その“ポップさ”すなわち大衆性に拍車をかける新要素としてあるのがゴスペルのクワイアで、それに関連する今作のクレジットに気になる名前を発見した。それというのは、そのゴスペル・クワイアのアシスタント・エンジニアとして“Kenta Yonesaka”なる日本人らしき人物の名前がクレジットされてて、調べた所どうやら“米坂健太”というガチのマジに札幌市出身ニューヨーク在住の日本人エンジニアらしく、しかもファレルやケンドリック・ラマーの作品にも携わっている立派な経歴の持ち主ってんだから驚いた。
今回、そんな日本人エンジニアがニューヨークのスタジオで手がけたハーレム・ゴスペル・クワイアや女性コーラスを多用した、よりスケール感マシマシな、それこそ“When We Were Kids”を巻き込んだより幅広い年齢層にアリーナ級いやスタジアム級のシンガロングを要求するかのような、より大衆性に富んだ耳障りのいいポップなアレンジが施されている。それを象徴するかのように、今作の幕開けを飾る#1“Last Day Under The Sun”からゴスペルのクワイアを駆使したもはやメロハー感覚で聴けちゃうキャッチーな曲で、2ndアルバム『Rock The Rebel/Metal The Devil』の“Sad Man's Tongue”のセルフオマージュとも取れるベテランの余裕と“らしさ”に溢れたロカビリーメタルの#2“Pelvis On Fire”、Neil Fallonをゲストに迎えたエルトン・ジョンばりのピアノとサックスの音色がロカビリーダンスのステップやツイストを軽快に刻みながら愉快に踊るファンキーな#4“Die To Live”、女性コーラスをフィーチャーした北欧らしい哀愁に満ちた#7“Cloud 9”、エクソダス/スレイヤーのギタリスト=ゲイリー・ホルトをギターソロにフィーチャーした#8“Cheapside Sloggers”、俳優マッツ・ミケルセンと“デンマーク1の色男”の称号を争っているマイケル・ポールセンの男気溢れるダンディでセクシャルな歌声が冴え渡る極上の哀愁バラードの#9“Maybe I Believe”、もはや“Volbeatはメロコア”な約37秒の#10“Parasite”と#11“Leviathan”、カントリー調の#12“The Awakening Of Bonnie Parker”、ここにきてようやく「そうだ、このバンドって元アンスラのギタリストいたんだw」って思い出すクリエイターばりにスラッシュ要素マシマシの#13“The Everlasting”、最後も今作を象徴する“ポップさ”を押し出したキレイ目な#14“7:24”まで、そんな今作のハイライトは“ソリサコボン”こと#6“Sorry Sack Of Bones”で、まるで“パンク”をアイデンティティの一つとする彼らの“ポップなパンク”としての回答=ポストパンクとばかり、そのニューウェーブ/ポストパンクならではのナルシスティックな焦燥感を乗せた楽器隊のアレンジからゴシックでダークな世界観からナニからナニまで、まるで彼らの“パンク”な側面が80年代を介して表面化したような今作一のキラーチューン。また幽玄でダーティな間奏もシンプルにエキサイティングだし、なんかこのニューウェーブ×ヘヴィな感じはMoonspellの名盤『Extinct』を思い出して俄然推せる。なんだろう、某井之頭五郎みたいに「こういうのでいいんだよ、こういうので」って、このアルバム聴きながら何度思ったことか。それこそ自分と同じく前作イマイチに感じた人にこそ聴いてほしい。もはや「Volbeat is Back...」感しかない一枚。