Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2019年05月

元BiSのりなはむがプロデュースするアイドルことCY8ERがめっちゃamoい件について

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実はPassCodeの新譜とサウンド・プロデューサーの平地に期待してたことって、EDMはEDMでもBMTH『amo』Crystal Lake『HELIX』にも取り入れられた、昨今のDJ界隈やラップ/ヒップ・ホップ=世界的なメインストリームのトレンドであるTrapの要素で、そもそもの話、個人的にパスコのことを一度もEDMと思ったことがないのは、そのトレンド的な要素がパスコの楽曲にてんで採用されていないからでもあった。

そんな中、パスコが理想とすべきJ-POP(アイドル・ポップス)と世界的なトレンドを内包したイマドキのEDMをクロスオーバーさせたのが、元BiSりなはむがセルフプロデュースする5人組アイドルのCY8ERに他ならなくて、先日公開された新曲の“サマー”はまさに平成のアイドル界を彩ったPerfumeやアキバ系アイドルのでんぱ組の正統後継者に相応しい、新時代となる令和を象徴するかのような“新世代”のアイドルとして売れる、間もなくバズる予感しかなくて、それこそ元BiSりなはむがオワコン化したBiSHと解散したBiSのWACK勢を飲み込まんとする展開マジエモい。

思い返せば、自分が初めてBiSを知った時のメンバーってプー・ルイヒラノミチバヤシユフワッキーの5人組のイメージしかなくて(スゲー今更感あるけどミチバヤシ結婚おめでとう)、実際にハマったのはユフワッキーが脱退した直後という(推しメン脱退という意味で)苦い思い出もあったりして、つまりBiSの最初期メンであるりなはむは既に方向性の違いで脱退してたから特に思い出らしい思い出はないのだけど、勿論りなはむの名前だけは過去メンとして知ってはいたから、こうやって第2期BiSが解散するくらいの時を経ても尚、BiSの初期メンであるレジェンド中のレジェンドが自身が理想とするアイドルを立ち上げ、そのアイドルの一員として活動し続けているのは素直に嬉しいし、ここまできたらWACK所属のアイドルよりも売れてほしい、つうかこいつら秒で売れます、2秒で売れます。

このCY8ERのサウンド・プロデューサーであるYunomiは、EDMはEDMでもフューチャーベースを基調とした今風のサウンドを得意としていて、2018年作のアルバム『ハローニュージェネレーション』を聴いてみても、パスコ平地とトラックメイカーとしてどちらが優れているかは明白で、同じく元BiSコショージ・メグミ擁するブクガっぽいニューエイジ感や和風というかアジアンテイストな近未来的な世界観を繰り広げる個性的な楽曲陣から、作詞担当のりなはむによる言葉遊びを駆使したサブカル臭全開のリリックまで、ザックリと言ってしまえば“EDM化した相対性理論”みたいな、それこそ相対性理論『天声ジングル』の流れで韻踏めちゃう案件で、結局のところYunomiも影響を受けている中田ヤスタカえつこ凄いって事になっちゃうんですけど、とにかく平成のサブカルや平成のアイドルを“ニュージェネレーション=新世代”の音として最解釈したような、とにかく色々な意味で“新世代”感がハンパなくて、要するに相対性理論『シフォン主義』に始まり、2016年の『天声ジングル』を経由してからBMTH『amo』まで、そして10年代の終わりと新時代=令和へと繋ぐ“イコン”となりうる唯一の存在がこのCY8ERなんじゃねえかって。


その『ハローニュージェネレーション』は、個人的にSpotifyで聴いてから2秒でOTOTOYで音源買ったくらいには完成度がすこぶる高い作品なのだけど、先月発表された新曲の“サマー”がアルバム曲のイメージとはまた違った方向性で俄然ハマった。この曲ではメンバーがラップに挑戦してて、流石に“サマー”というだけあってこれからのファッキンホットなクソ夏にピッタリのファンキーなノリとか、完全にMEGARYUと韻踏めるやつでマジRIAJYUなパリピ。当時、名古屋や岐阜で青春時代を過ごした奴で岐阜のレゲエ・ユニットMEGARYU聴いてなかった奴は例外なくモグリなんですけど、そのモグリ以外の人なら10代の頃を思い出してエモくなれます。今年出した他の新曲もPendulum感のある“タイムトリップ”を筆頭にどれも良くて、ただ売れない理由があるとすればメンバーが漏れなくメンヘラクソ女っぽくて推しメンができそうにないことで、しかし自分は楽曲派なのでセーフ。でも一番背が高い子のちょっとボーイッシュな声は武器になると思うし好き。

リアルな話、再来年のサマソニあたりに呼ばれてもおかしくないです。個人的には、BiSレジェンドのりなはむによるWACK=渡辺への逆襲というストーリーが楽しみでしょうがない(当時はまだWACKなかったけど)。もうWACK潰しちゃえりなはむw

Vaura 『Sables』

Artist Vaura
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Album 『Sables』
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Tracklist

01. Espionage
02. Zwischen
05. No Guardians
06. Eidolon
08. Sables

Kayo Dotの中心人物であるトビー・ドライバーGorgutsのメンバーで構成された4人組のプチスーパーバンド=Vauraの新作なんですけど、その前に・・・かのProfound Loreからリリースされた2013年作の2ndアルバムい』もとい『The Missing』といえば、粗暴なブラストビートや荒涼感溢れるトレモロ・リフをはじめ、ギターやドラムのノイジーに歪んだ音使いは明らかにポスト・ブラックメタルに基づいたスタイルで、言うなれば80年代に一世を風靡したインダストリアル/ニューウェーブ/ポストパンクのナルシスティックな耽美性とブラック・メタルの自虐性を邂逅させた、例えるなら“V系ポスト・ブラック”とでも言うのか、とにかくいい意味でB級感に溢れたオタク丸出しのポストブラであり、同時にポストブラの可能性を広げた知る人ぞ知るメェニアな一枚でもあった。

そのブラック・メタル界の金字塔とも呼べる前作のから約6年ぶりの3rdアルバム『Sables』、まずリリースに先駆けて先行公開された“The Ruins”を聴いて一同驚愕。前作まではあくまでも影響下にある程度だったデペッシュ・モードキュアー、そしてキリング・ジョークに代表されるニューウェーブ/ポストパンクへの“80s愛”が遂に本格化した、いわゆる“80年代リバイバル”に振り切ったアンニュイなサウンド、つまりPorcupine Treeスティーヴン・ウィルソンRiversideマリウスくんの“青春”であり、彼らの音楽にも強い影響を与えたUKロック全盛期のソレで、もはやメタルは元よりブラック・メタルの要素は皆無に等しい。つい最近では、キリング・ジョーク“ユース”がエンジニアとして参加したUlevr『ユリウス・カエサルの暗殺』が似たような“80年代リバイバル”をやってのけたことで話題を呼んだ。

そして、もう一つ。前作と比較して180度違うのがサウンド・プロダクションだ。いわゆるBlackgaze然としたノイジーな荒涼感を粗暴に撒き散らすような、童貞オタクメタラーみたいなモッコリしたサウンド・プロダクションだった前作に対し、一転して今作では80sのスッキリクッキリとしたクリーンなプロダクションに変化していて、このプロダクションの良さも今回の80年代愛へのガチっぷりに一段と拍車をかけている。また、前作とは違った方向に持ち前のナルシズムを発揮していて、細部まで徹底したリバイバリズムはもちろんのこと、そのリバイバルの域を超えたガチっぷりからも前作とは別物と捉えた方がいい。地味に完成度は前作以上かも。

特にギターの耽美で妖艶なソロワークや間奏部を聴けばわかるように、それこそSWソロRiverside=マリウスくんの80年代愛が色濃く反映された『Love, Fear And The Time Machine』など、その手のモダンなネオ・プログレ界隈にも精通するポスト・ロック的なアプローチも随所で垣間見せたり、一方でトビー・ドライバーのベースも全編に渡ってKayo Dot譲りのジャズい幽玄なフレーズを奏でたり、一概に“リバイバル”と言っても決して侮るなかれ、兎にも角にも今回はギターがめちゃくちゃイイ仕事してる。中でもポストパンク・リバイバル上等のリード曲である#3や#4、イントロからシンセの美メロに酔いしれるPost-系の#5やアルペジオを擁したエロ過ぎる#6、そしてインダストリアル風味の#7など、DIR EN GREYDIEsukekiyoメンバーが好きそうな『はぐれ刑事純情派』風の純情な感情なメロディの宝庫で、その流れで最後に今作を一言でザックリと例えると“海外版sukekiyo”っぽい(ザックリしすぎ)。

Periphery 『Periphery IV: Hail Stan』

Artist Periphery
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Album 『Periphery IV: Hail Stan』

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Tracklist
01. Reptile
03. CHVRCH BVRNER
04. Garden In The Bones
05. It's Only Smiles
06. Follow Your Ghost
07. Crush
08. Sentient Glow
09. Satellites

“Djentって実はTrapなんじゃねーか説”がここ最近自分の中で芽生えはじめていて、その“Djent=Trap説”という雑な説を生み出したキッカケが、他ならぬ日本のラウド・ロックバンドCrystal Lakeの存在だった。彼らは2018年作のHELIXの中でそのDjentとヒップ・ホップをルーツとするTrapの邂逅を実際にやってのけていて、それこそBMTHamoとともに“平成の時代”を締めくくるに相応しい“メタルの未来”を新しい“令和の時代”へとつむぎ出すかのような金字塔を打ち立てた。

10年代のメタルシーンを微力ながらに盛り上げてきた“Djent”なるジャンルを、2010年に自身の名を冠したPeriphery』で新星のごとく華々しくデビューを飾ると、盟友のTesseracTと二人三脚で常に先陣を切ってシーンを引っ張ってきたPeriphery。そのデビューからSumerianの看板を背負ってきた彼らは、このたび自主レーベルの3 Dot Recordingsを立ち上げ、前作の『Periphery Ⅲ: Select Difficulty』から約3年ぶりとなる通算7作目となる『Periphery Ⅳ: Hail Stan』をリリースした。

デビュー作の最後に収録された自身最長となる約15分の大作“Racecar”、それを超える約17分の超大作の“Reptile”を今作のド頭にブッ込んできたのは、まさしく自主レーベルでまた一から再スタートを切るというバンド側からの声明か、それとも単なる偶然か。その真相はさて置き、約17分にも及ぶこの物語は、時にCoheed and Cambria譲りのファンタジー要素、時にデヴィン・タウンゼンド譲りのデヴィンギャルドなサウンドスケープ、時にGojira譲りのスラッジーなヘヴィネス、時にDIR EN GREY“Unraveling”譲りのPost-Djentなリズム、時に盟友TesseracT譲りの理系なインテリジェンスを、先日人類が初めて観測に成功したブラックホールのごとく半ば強引に絡め取りながら、まるで気分は『指輪物語』的な長編ファンタジー映画のごとく場面場面を切り替えながら展開し、そしてこの物語のエンディング(アウトロ)は、かのハンス・ジマーが劇伴を手がけた映画『インター・ステラー』ばりに空前絶後かつ宇宙規模のスケールで描かれる極上のカタルシスを迎え、聴き終えた後の気分はまさに本棚の裏にある五次元空間に突入したマシュー・マコノヒーだ。そのタイトルどおり、混沌うごめく壮大なヒロイックでドラマティックなプログレッシブ・ジェント十二種絵巻さながら、これはもう“ペリなりのThe Art of Dying”・・・とまでは流石に言い過ぎかもだけど、とにかくこのバンド史上最長=Djent史上最長?の大作で、“10年代の始まり”を口開けしたペリが“10年代の終わり”に改めてDjent界の“キング”であることをシーンに示しつけるような、それこそ“1stアルバムがピーク”と揶揄され続けてきた男たちの意地、あるいは“Djent”というジャンルを背負ってきた男たちのプライドやら何やら様々な感情が溢れ出まくってて最高に泣ける。


いわゆる“10年代のメタル”を象徴する“音”といえば、Djentを産み落とした張本人である“メシュガーの音”に他ならない(なお、本人たちはDjentそのものを否定している模様)。10年代の終わりに改めて、メシュガーが存在しなければ今の自分たちは存在しなかったということを物語るような曲で、そのガニキをはじめ、ガニキと同じくDjentに多大なる影響を与えたGojiraや盟友テッセのアルバム『Altered State』からのリフを引用した激しくヘヴィでエクストリーミーな今作のリード曲となる#2“Blood Eagle”、その曲を筆頭に今作を一聴してまず頭に浮かんだ言葉こそ“ヘヴィ”で、その“ヘヴィさ”にはどこか自分が知ってる匂いがあって、その“重さ”の正体こそデビュー以降お互いに刺激しあって切磋琢磨してシーンを盛り上げてきた良きライバルであり“TT兄弟”でもあるTesseracTの最新作『Sonder』の“重さ”のソレだった。まるで今の気分はティ ティティ ティティティティ〜〜〜。

今作で一つポイントとなる曲を挙げるとするなら、それは7曲目の“Crush”だろう。この曲、言うなればUlver『ユリウス・カエサルの暗殺』TDEPのフロントマングレッグのサイドプロジェクト=The Black Queenデブ豚のフロントマンチノのサイドプロジェクト=†††(CROSSES)、というよりも†††の片割れであるショーン・ロペスがプロデュースしたにも関わらず、2014年のデビューEPを最後に消息不明となった、元VersaEmergeシエラ率いるVERSAを思い出して別の意味で泣かせるくらいの、言わば“メタルバンドのフロントマンがついつい手を出しがちなサイドプロジェクト”の“トレンド”を押さえたダークウェーブで、これが存外悪くないという。むしろかなりイイ。あとアウトロがスーファミ時代のJRPGっつーかドラクエのバトルBGMみたいな雰囲気で面白い。

もともと初期の頃からエレクトロや打ち込みの音を積極的に取り入れてきたバンドだし、Djent界のキングですらこうやって新たな試みやバンドの可能性を模索し続けているのは本当に好感が持てるし、流石にうっすら期待していたTrapの要素はなかったけど、ペリの特徴としてアルバムの中盤くらいにブレイク的な役割で一曲は必ずあるポップでキャッチーな曲も#5“It's Only Smiles”にあって、それだけで「あ、ペリだ」って安心感が凄い。かと思えば、ペリにしては珍しくスラッシュ・メタルな曲もあったりで、いつになく攻めに攻めにキテる。こうやって“らしさ”を維持しつつ新機軸を打ち出していく姿勢がペリの分かりやすい長所でもあって、元々このバンドってアルバムごとに色んなことやってきたバンド、それすなわち色んなことができちゃうバンドだから、こうやって“Djent界のキング”として求められる一方で、Djentの可能性を広げるための貪欲な探究心を両立させる柔軟な考え方には再度リスペクトしかない。

結局、Djentはペリだけ聴いときゃ間に合うみたいなね。なんだろう、今回シンプルに「メロディいいな」って。勿論、メロだけじゃなくてアレンジ面も一皮向けた感あるし、これ普通に最高傑作と呼んじゃっても差し支えなさそう(なんか新作が出るたびに最高傑作って言ってる気がする...)

Periphery IV: Hail Stan
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