実はPassCodeの新譜とサウンド・プロデューサーの平地に期待してたことって、EDMはEDMでもBMTHの『amo』やCrystal Lakeの『HELIX』にも取り入れられた、昨今のDJ界隈やラップ/ヒップ・ホップ=世界的なメインストリームのトレンドであるTrapの要素で、そもそもの話、個人的にパスコのことを一度もEDMと思ったことがないのは、そのトレンド的な要素がパスコの楽曲にてんで採用されていないからでもあった。
そんな中、パスコが理想とすべきJ-POP(アイドル・ポップス)と世界的なトレンドを内包したイマドキのEDMをクロスオーバーさせたのが、元BiSのりなはむがセルフプロデュースする5人組アイドルのCY8ERに他ならなくて、先日公開された新曲の“サマー”はまさに平成のアイドル界を彩ったPerfumeやアキバ系アイドルのでんぱ組の正統後継者に相応しい、新時代となる令和を象徴するかのような“新世代”のアイドルとして売れる、間もなくバズる予感しかなくて、それこそ元BiSのりなはむがオワコン化したBiSHと解散したBiSのWACK勢を飲み込まんとする展開マジエモい。
思い返せば、自分が初めてBiSを知った時のメンバーってプー・ルイとヒラノとミチバヤシとユフとワッキーの5人組のイメージしかなくて(スゲー今更感あるけどミチバヤシ結婚おめでとう)、実際にハマったのはユフとワッキーが脱退した直後という(推しメン脱退という意味で)苦い思い出もあったりして、つまりBiSの最初期メンであるりなはむは既に方向性の違いで脱退してたから特に思い出らしい思い出はないのだけど、勿論りなはむの名前だけは過去メンとして知ってはいたから、こうやって第2期BiSが解散するくらいの時を経ても尚、BiSの初期メンであるレジェンド中のレジェンドが自身が理想とするアイドルを立ち上げ、そのアイドルの一員として活動し続けているのは素直に嬉しいし、ここまできたらWACK所属のアイドルよりも売れてほしい、つうかこいつら秒で売れます、2秒で売れます。
このCY8ERのサウンド・プロデューサーであるYunomiは、EDMはEDMでもフューチャーベースを基調とした今風のサウンドを得意としていて、2018年作のアルバム『ハローニュージェネレーション』を聴いてみても、パスコの平地とトラックメイカーとしてどちらが優れているかは明白で、同じく元BiSのコショージ・メグミ擁するブクガっぽいニューエイジ感や和風というかアジアンテイストな近未来的な世界観を繰り広げる個性的な楽曲陣から、作詞担当のりなはむによる言葉遊びを駆使したサブカル臭全開のリリックまで、ザックリと言ってしまえば“EDM化した相対性理論”みたいな、それこそ相対性理論の『天声ジングル』の流れで韻踏めちゃう案件で、結局のところYunomiも影響を受けている中田ヤスタカやえつこ凄いって事になっちゃうんですけど、とにかく平成のサブカルや平成のアイドルを“ニュージェネレーション=新世代”の音として最解釈したような、とにかく色々な意味で“新世代”感がハンパなくて、要するに相対性理論の『シフォン主義』に始まり、2016年の『天声ジングル』を経由してからBMTHの『amo』まで、そして10年代の終わりと新時代=令和へと繋ぐ“イコン”となりうる唯一の存在がこのCY8ERなんじゃねえかって。
その『ハローニュージェネレーション』は、個人的にSpotifyで聴いてから2秒でOTOTOYで音源買ったくらいには完成度がすこぶる高い作品なのだけど、先月発表された新曲の“サマー”がアルバム曲のイメージとはまた違った方向性で俄然ハマった。この曲ではメンバーがラップに挑戦してて、流石に“サマー”というだけあってこれからのファッキンホットなクソ夏にピッタリのファンキーなノリとか、完全にMEGARYUと韻踏めるやつでマジRIAJYUなパリピ。当時、名古屋や岐阜で青春時代を過ごした奴で岐阜のレゲエ・ユニットMEGARYU聴いてなかった奴は例外なくモグリなんですけど、そのモグリ以外の人なら10代の頃を思い出してエモくなれます。今年出した他の新曲もPendulum感のある“タイムトリップ”を筆頭にどれも良くて、ただ売れない理由があるとすればメンバーが漏れなくメンヘラクソ女っぽくて推しメンができそうにないことで、しかし自分は楽曲派なのでセーフ。でも一番背が高い子のちょっとボーイッシュな声は武器になると思うし好き。
リアルな話、再来年のサマソニあたりに呼ばれてもおかしくないです。個人的には、BiSレジェンドのりなはむによるWACK=渡辺への逆襲というストーリーが楽しみでしょうがない(当時はまだWACKなかったけど)。もうWACK潰しちゃえりなはむw