Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2019年01月

デンゼル・カリー 『タブー』

Artist Denzel Curry
maxresdefault-2

Album 『TA13OO』
denzel-c

Tracklist
01. TABOO | TA13OO
02. BLACK BALLOONS | 13LACK 13ALLOONZ 
03. CASH MANIAC | CAZH MAN1AC
05. SUPER SAIYAN SUPERMAN | ZUPER ZA1YAN ZUPERMAN
06. SWITCH IT UP | ZWITCH 1T UP
07. MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T
08. SIRENS | Z1RENZ
10. THE BLACKEST BALLOON | THE 13LACKEZT 13ALLOON
11. PERCS | PERCZ
12. VENGEANCE | VENGEANCE
13. BLACK METAL TERRORIST | 13 M T

昨年11月に行われたスティーヴン・ウィルソンの奇跡の来日公演を終えてから今まで一体ナニをしてたかっつーと、ザックリ言ってしまえばマイアミのラッパーデンゼル・カリー『タブー』しか聴いてなかったっつーのが正直なところ(仕事が忙しかったなんて言えない)。それというのも、実はSWデンゼル・カリーって地続きで韻を踏めちゃう話の流れがあって、というのもデンゼルが所属するレーベルがユニバーサル傘下のCaroline InternationalというSWNine Inch Nails、そしてマソソソ・マソソソと同じレーベルメイトで、となればこの『タブー』の国内盤もSWと同じHostess Entertainmentからリリースされていて、これもう完全にSW『To the Bone』以降の流れがあるなって、個人的に強烈な“引力”を感じたからに他ならない。しかし改めて、SWチャーチズがレーベルメイトなのホント笑える。

おいら、ラップ/ヒップ・ホップについては全く詳しくないので、この『タブー』のドコが凄いかなんて偉そうな事は言えないんだけど、とりあえず聴けばその凄さが分かるハズだからとにかく聴けって感じのアルバム。なんだろう、2017年のラップを代表する作品がケンドリック・ラマー『DAMM.』だとするなら、2018年のラップを象徴する作品はこのデンゼル・カリー『タブー』と断言していいレベルの傑作。


その名が世界中に知れ渡ることとなった2016年作の2ndアルバム『Imperial』は、幕開けを飾るULTのイントロから、90年代の日本のサスペンスドラマの劇伴みたいな80年代のニューウェーブあるいは80年代のYMOばりにセンセーショナルな衝撃を感じさせたけど、3rdアルバムとなる『タブー』は幕開けを飾る表題曲からして、それこそケンドリック・ラマー『DAMM.』“YAH.”を追従するかのような、倦怠感のあるスローなBPMとジャズいムードに包まれたアダルティな曲で、この時点で「これ完全に『DAMM.』の再来や・・・」と確信して鳥肌たちまくり。もう既にラマーと肩を並べるカリスマラッパーの様相を醸し出してる。

前作は童貞クサいクソほどマジメにオラついたトラップ・ラップって感じだったけど、今作はいい意味で大人になったというか、誤解を恐れずに言えば童貞卒業したようなポップでキャッチーな雰囲気というか、いい具合に肩の力が抜けて一皮向けた感あって、それこそフロリダのリゾート地でもあるマイアミビーチの陽気ャな空気感を醸し出す80年代のAOR色マシマシな冒頭の3曲が示唆するように、デンゼルの生まれ故郷からこの物語は始まる。

歌詞は、今や全米を代表するラッパーに成り上がったデンゼルを妬んだ地元のギャングにお前の女はヤリマンだから興味ないと煽りを食らわす自身の“名声”に関するリリックから、この混沌とした時代に生きる人々の“痛み”や“自殺”、ピッチフォーク批判やトランプ批判を巧みに織り交ぜながらも、その中心にあるのは“俺”=デンゼル・カリー自身が歩んできた人生の物語であり、そんな彼のパーソナルな部分が可視化されている。なんだろう、最近の映画で例えるなら『フロリダプロジェクト』が描き出した“アメリカの闇”=“タブー”にフォーカスしたような、映画好きとしてはタイムリーに感じるリリックで、そのある種の自伝的なリリックやコンセプティブなトラックの世界観も名盤『DAMM.』に匹敵する。もちろん、『DAMM.』も曲の中でトラップとか色んなことしてるのにきちんと一つにまとまってる完成度の高さがあって、この『TA13OO』にもそれと近い匂いを感じさせる(でもヤリマン)。ちなみに、歌詞の中には“ブラックサバス”の名前もあったり、5曲目の“スーパーサイヤ人”ネタはチャイルディッシュ・ガンビーノ主演の『アトランタ』7話の神回を思い出して笑うし、4曲目の「SUMO」ってまさかあの“スモウ”じゃねーよなって調べてみたらやっぱりあの“相撲”で笑った。あと7曲目の”MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T”の後半部分のラップはMEGARYU思い出したし、女性ボーカルをフィーチャーした8曲目の”SIRENS | Z1RENZ”は今作のハイライトで、2018年のBESTラップソングはこれに決まりです。


そんなスモウ!スモウ!とハードコアに叫んでる、自称“Raven Miyagi”またの名を“ブラック・メタル・テロリスト”としても知られるデンゼル・カリーが、今月の19日に初来日公演を果たすのもSW来日の流れで韻を踏めちゃう案件で、もはやSWともケンドリック・ラマーともSadistikともやくしまるえつこともBTSとも韻踏めちゃう“神”みたいな存在なので、このタイミングでの来日はグッドタイミング過ぎる。だからライブめちゃめちゃ行きてぇ。つうか行くかもスモウ!

結論「自称ブラック・メタル・テロリストのデンゼルはメタル」

Sadistik 『Altars』

Artist Sadistik
maxresdefault

Album 『Altars』
a0994083704_10

Tracklist
01. Voodoo Dali
04. Roaches
05. Honeycomb
06. Cotard’s Syndrome
07. Salem Witches
08. Sacrifice
09. Water (feat. Kristoff Krane)
10. Molecules (feat. P.O.S. & Terra Lopez)
12. Silhouettes (feat. Lige Newton)

2017年にSadistikの新譜が出てからもうずっと書きたいと思いながらも、いかんせん“キッカケ”がなくてずっと書けずじまいでいたんだけど、今回その大きな“キッカケ”を与えてくれたBTSにはただただ感謝しかなくて、改めてBTSは2018年を象徴するアイドルだと再確認させられた次第。

BTSの記事にも書いたように、シアトルのメンへラッパーコディ・フォスターSadistikは僕が世界で一番大好きなラッパーであること、BTSのギターの使い方とSadistikのギターの使い方にデジャブを感じたこと、お互いに“ロック”で“オルタナティブ”なヒップ・ホップであること、そして偶然にも互いに“トラップ・ラップ”の影響を色濃く受けていることなど、自分でも驚くくらい両者には共振する部分が多かった。

2000年以降のヒップ・ホップのトレンドとして生まれ、今ではマシュメロをはじめDJ界隈にも影響を与えているトラップ・ラップといえば、カルヴィン・ハリスの新譜にも参加しているトラヴィス・スコットをはじめ、フューチャーヤング・サグが主に知られたラッパーだが、マイアミを代表するラッパーであり、今月の19日に来日公演を控えるデンゼル・カリーが2018年に発表した『タブー』は、個人的にBTSの新譜と並ぶ2018年のBESTアルバムの一つに挙げるほどの傑作だった。

もうずっと前にこの『Altars』を聴いた時、これまでのコディ、少なくとも僕が衝撃を受けた前々作の『亡き父ちゃんにマジ感謝』するアルバムとは全く違うトラックや世界観で初めは戸惑ったけど、色々と調べていくうちに「あゝ、これがトラップなのか!」みたいな気づきがあって、今思えば前作の『Ultraviolet』からトラップっぽいアプローチがあったなと更なる気づきがあって、もっと言えばSadistikフューチャーあたりに影響与えてんじゃねぇか説が自分の中に芽生えるほど、でも直ぐに「さすがにそれはねぇだろ説」に変わって・・・要するに、今回の新譜は前作から続くトラップ・ラップ化が著しく本格化したと解釈すべき作品で、そう考えたら当初の戸惑いも消えてスッキリした。と同時に、やっぱコディスゲーなってなった。

Sadistikのトラップ愛はそれだけにとどまらず、2018年作のEP『Salo Ssessions Ⅱ』でも引き続きトラップ風の曲や、三味線の音や「オニムシャ(鬼武者)」という歌詞やら日本ネタを盛り込んだ“Yokai(妖怪)”と名付けられた曲など、日本の数少ないSadistikファン(俺以外にいるのか?)には色々な意味で楽しめる、まさにEPならではの作品となっている。


これまでのSadistikとはひと味もふた味も違って、それこそ「本場の」って言ったらおかしいけど、それこそ今のアメリカで流行りのラップを聴いてる感あって、メンヘラ系男子が更に内に内に引き篭もったような、よりダーティかつダウナーな緊迫感溢れる地下水のように冷たく裏路地の売人ように危うい空気が支配していて、リード曲の2曲目の”God Complex”と3曲目の”Free Spirits”を筆頭に、終始バッチバチのトラップ・ラップかましながらも、5曲目の”Honeycomb”Sadistikらしい美メロとトラップの絡みがクソ最高だし、8曲目の”Sacrifice”やミネソタのラッパーKristoff Kraneとフィーチャリングした9曲目の”Water”、こちらもミネソタのラッパーP.O.S.とフィーチャリングしたラッパー10曲目の”Molecules”では、過去作でもお馴染みの女性ボーカルが今作のハイライトを飾るに相応しい癒やしのアクセントを残していく。そして、お待ちかねのギターを使ってSadistikならではのオルタナティブな世界観を繰り広げるラストの”Silhouettes”まで、とにかく、こうやって次から次へとラップ/ヒップ・ホップというジャンルの間口を広げてくれるコディにマジ感謝チェケラッチョ。

結論「やくしまるえつことかいうヤベー女最強他はクソムシ」

記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: