Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2018年09月

今月発売のメタリオンにDreamcatcherが記載されている件について

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つい最近、DreamcatcherとかいうK-POPアイドルにドハマリしてから、「じゃあ韓国のメタルってどうなん?」みたいな漠然とした疑問が頭に浮かんで、そんな絶妙なタイミングで”韓国のメタル事情”が恐らく世界一詳しく記された『デスメタルコリア』が発刊されたのが記憶に新しい。となると、K-POPとしては珍しいメタルやロックあるいはアニソンをベースにした曲調をウリとするこのドリキャを、一体どの日本のメタル雑誌が初めに取り上げるのか見ものだったけど、それがまさかのBURRN! 界隈でお馴染みの『メタリオン』だったのは流石に大穴過ぎて笑った。

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ドリキャが記載されているのは「コリアン・ガールズ・ロック特集」の名目で、実質的にはあくまでグループの紹介文的な内容なのだけど、面白いのはこの特集記事を執筆したのが『デスメタルコリア』の著者で知られる水科氏で、正直ここで『デスメタルコリア』と繋がったのはなんかちょっと感動したというか、それ以前に「展開はえぇ」ってなったし、なんだろう、やっぱり”動き”が速いメディア/媒体が強い時代なんだなって。しかも厳密に言えば”バンド”じゃないのに二番手で紹介してもらって大変恐縮です(しかもカラーで)。

10年前はまだBURRN!買ってて、その増刊号となるメタリオンは今回初めて買ってみたのだけど、今回のメタリオンは恒例のガールズメタル特集号で(こいついつも女の特集してんな)、ぱっと見「キャバ嬢かな?」ってなる表紙を見ても分かるように、その内容も華やかなもので(一方でガールズメタル界隈って闇深そうだな...って)、いま最も勢いのあるガールズ・メタルことLOVEBITESのインタビューも記載されている。あとガールズロック革命のインタビューも載ってて感心した。そのインタビュアーが某藤木で、他にも某ビューンでお馴染みの編集の名前ばっかで懐かしすぎて笑った。

改めて、K-POP系以外の日本の音楽雑誌にドリキャが載ったのは初めて?だとするとかなりレアなので、日本のインソムニアは記念の意味でも手に入れとくといいかも。しかもまだ日本デビューしてない時期にこのような特集を組んでくれたメタリオン、および水科氏には尊敬の念しかないし、改めて日本のインソムニアを代表して感謝します。しっかし、改めて『ヘドバン』って使えねぇ雑誌だなって。本来なら『ヘドバン』がやるべき企画だろこれ。そんなだから「ベビメタ機関誌」って揶揄されるんだよ。つうか、今さら某メイド祭り上げてる時点でアレだけどね。



正直、デビュー前から記事になるなんて思ってもなかったから(いい波乗ってんね)、この秋に日本デビューしてから日本での活動だったり、あるいはインタビューだったり、今回のメタリオンだけじゃなく他のロック/メタル系の雑誌にも記載される可能性、それらを筆頭にドリキャの今後に俄然期待感しかない。そんなドリキャは、つい先日3rdミニ・アルバムとなる『Alone In The City』をリリースした。それがまた”書かせる”ような全く新しい『悪夢』を繰り広げていて、しかしそのCDとポスターが未だに届かなくて泣いてる。はよ書きてぇ。

METALLION(メタリオン) vol.65

シンコーミュージック
デスメタルコリア: 韓国メタル大全 (世界過激音楽)
水科 哲哉
パブリブ
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TWICE 『BDZ』

Artist TWICE
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JAPAN 1st Album 『BDZ』
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Tracklist
01. BDZ
02. One More Time
04. L.O.V.E
05. Wishing
06. Say it again
07. Wake Me Up
08. BRAND NEW GIRL
09. Be as ONE

いきなりだけど、自分の記憶にある”韓流ブーム”的な出来事っつーと、あれは確か高校3年生の頃のテスト期間中だったと思う。テストが午前中で終わって、昼間に家に帰って何気なくTVをつけたらクウォン・サンウキム・ヒソン主演の韓国ドラマ『悲しき恋歌』の一話が始まって、それをボーッと観てたらそれがもう面白くて、それからテスト期間中は家に帰るとまずドラマを観る生活を、テスト期間が終わっても部活から帰ってすぐに録画したのを観るくらい、しまいにはドラマのサントラを買うくらいドハマリした。しかしそこは韓国ドラマ、最終回が近づくに連れて物語がヘヴィな鬱展開を見せるようになり、そして最終回を見終えた時はセミの抜け殻のように放心状態になったのを今でもよく覚えている。その瞬間、僕の短い韓流ブームは終わりを告げた(高校生が見るにはあまりにヘヴィ過ぎる内容のため)。とは言っても、バイオレンス/サスペンス/ホラー映画好きとしては韓国映画は一つのジャンルとして今でもずっと見続けている。

音楽面で初めて興味を持ったのは、現在のK-POPアイドルの火付け役となったワンガことWonder Girlsで、自分がまだヲタだった頃(の記事にもワンガの名前を出すほど)、代表曲とされる”Be My Baby””Tell me””Nobody”のMVをYouTubeで繰り返し見まくっていた時期があった。しかし、主要メンバーのアン・ソヒミン・ソネが脱退すると急に変なレオタード姿でギター抱えだして、いわゆる路線変更してからは完全に興味を失った(ワンガの場合は路線変更ではなくコンセプトか)。そして昨年、映画『新感染』のヒロイン役として出ていた元メンのアン・ソヒの姿を数年ぶりに目にした時は、流石にちょっと感動した(完全に女優やんと)。その後、ワンガは10周年の節目となる2017年に惜しまれつつ解散した。K-POPの始まりがソテジワアイドゥルであったように、K-POPガールズグループの始まり、その先駆けとなったワンガの解散は一つのK-POPの時代が終わり、そして二作連続で米ビルボード・チャート一位を獲得したBTS(防弾少年団)の登場により、また一つのK-POPの時代が始まった。そうそう、BTS(防弾少年団)といえば作詞の新曲を発表するってなったら、過激派BTSファンの反感を買ってリリース中止にまで発展したらしく、これは「日本一ダサい男」こと秋元康が世界中からどう見られているかがよく分かる案件で、言うなれば日本一スキャンダラスなアイドルのトップが、恋愛ご法度なKポアイドルにクソを塗りたくられる展開は本当に愉快痛快でしたね。



一昨年の2016年には、オマガことOH MY GIRL”CLOSER”にドハマリして、結果的に初めて買ったK-POPのCDがこの曲が収録されたミニアルバムだった。オマガの何にハマったかって、まず一番にリーダーのヒョジョンが十代の頃のYUIにソックリで笑ったのと、個人的な推しメンのジホは日本語ができるし、とにかくオマガのメンバーってどこか初期のモー娘。みたいなキャラ立ちや雰囲気があって、もしこのファンタジックな曲で日本デビューしたら結構売れるんじゃね?って当時は思ったりしたけど、次の活動曲ではファンタジック路線から王道アイドルっぽくなってて、いわゆる路線変更みたいな感じになってて一気に興味を失った。数ヶ月前、そんなオマガが遂に日本デビューすると知って、僕は「オマガ日本デビューキターーー!!」と歓喜したのもつかの間、すぐに「・・・ん?バナナ?」ってなった。おいおい、日本デビューでも路線変更(トラウマ)を蘇らせんなよ・・・普通にデビューさせろや・・・ファッキンソニー。で、つい先日日本でイベントを行った際の画像とか動画とかをツイッターで見たんだけど、あの”CLOSER”からたった二年で皆んな大人っぽくなってて(親戚のおじさんかよ)、特にビジュアル面のビニアリンがクソ可愛くなってて、しかもジホだけじゃなくて皆んな日本語を勉強してるみたいで、でも誰か足りなくね?って思ったらジニが脱退してた・・・(やっぱもう”CLOSER”で日本デビューした世界線に移動したいわ...)。ちなみに、このオマガ”Tell me”をカバーするくらいワンガをリスペクトしている。

伏線はそれだけじゃあない。僕の母方の鹿児島のお祖母ちゃんって、恐らく”日本一ののっぺりフェイス”なのだけど(子供の頃に初めて見た時は「ゼッテー同じ人間じゃねー」と思ったくらい)、そのお陰で中学生の頃にクソ野郎からカオナシっていうあだ名つけられたり、子供の頃に友達(の母親から)から「俺くんの親って中国か韓国の人?」って間接的に聞かれた事は、何故だか今でも記憶の中に強く残っている。そもそも、日本人自体が歴史的に見ても単一民族ではないので、僕の血が少なくとも「普通の日本人」ではないって事実は割とどうでもいい話で、むしろ薩摩の血よりもう片方の八咫烏の血の方が闇が深いっていう話も置いといて、要するにBTSに加入して”FAKE LOVE”歌ってもおかしくないフィジエリ(フィジカルエリート)の僕が、過去の記憶≒伏線からも韓国に対して特別な帰属意識を抱かないわけがなかった。そもそも、高校生の頃にドラマのサントラ買って一時期キム・ヒソンガチ恋勢になってた時点で、筋金入りの韓流オタクって言われたらそれまでの話なんだけど。まるで、それらの過去の記憶という名の伏線を回収するように、十代の頃に見た韓国ドラマのトラウマを皮切りに、そしてワンガオマガのトラウマを経て、今まさにワンガのフィジカルとオマガ”CLOSER”のファンタジックな世界観を併せ持ち、そしてKポの悪しき風習である路線変更がない(というより路線変更後なので)Dreamcatcherと出会ったのは、まさに”遺伝子(DNA)レベルで日本一のジョジョヲタ”だからこそ成せる”引力”としか言いようがなかった。でも、こんな風に”過去の記憶が現在の伏線となって人生に現れる瞬間”って、それなりの歳を重ねた大人なら誰しもが経験したことあるんじゃないかな。


流石に自分語りが過ぎるだろお前って話なんだけど、実はこっからが本番で、いま日本で最も人気のK-POPアイドルといえばTWICE、そんな日本デビューから一年経ったTWICEがJAPAN 1st Albumとして発表した『BDZ』の表題曲を聴いた時、まず何を思い出したかって、それこそWonder GirlsBe My Babyだった。まず”謎の人物”による「ジェイワイピィ」のセリフに始まって、”BDZ”のAメロとBメロが”Be My Baby”のAメロを彷彿とさせるし、そして日本の童謡『オバケなんてないさ』っぽいサビ前のダダダダダダの打ち込みとか、全体的にワンガ”Be My Baby”から少しBPMを落としてJ-POP化したような曲だなって。それもそのはず、この”BDZ”を手がけたのはTWICEも所属するJYPエンターテインメントの創業者であり、ワンガ”アジアのスパイス・ガールズ”と称されるまでに成長させた”セクシーゴリラ”ことパク・ジニョン本人で、先ほどの”謎の人物”というのは、他ならぬワンガのMVでも自己主張が半端ないセクシーゴリラだ。


この”BDZ”、巷ではTWICE音頭の盆踊りソングとネタにされてて笑ったんだけど、でもこうやってJYPのレジェンドWonder Girlsと現K-POPアイドルのトップに君臨するTWICEの曲が共振して聴こえる面白さというか、つまりこの曲は事務所の後輩であるTWICEが昨年解散したワンガの意志を受け継ぐと宣言したような曲、そう解釈すべきかもしれない。つまり、JYPの社長であるセクシーゴリラ自身がTWICEをK-POPの正統派であると、JYPの正統派だと暗に認めていると言っても過言じゃあなくて、そういったK-POPの確かな歴史を踏まえた上でこの盆踊りソングを聴けば、また少し違った表情やエモさが発見できるはず。なんだろう、でもセクシーゴリラの中には既に”いいメロディ”やコードのソースがある程度ストックされてて、その”いいメロディ”をどれだけアレンジで誤魔化せるかの世界で、それが事務所の稼ぎ頭であるTWICEレベルでもそうなんだなって、ちょっと勉強になった。でも、その作曲における”手グセ”みたいなのって、数多くのK-POPを世に送り出してきたセクシーゴリラだからこそ許されるというか説得力があるし、だから決して手抜きだとは思わなかったし、そういった意味でも、この”BDZ”はJYPの伝統とアイデンティティが詰まった曲なんじゃないかって。少なくとも、ワンガに思い入れのある僕はこの曲を”ただの盆踊りソング”として聴けなかったけど笑った。

あらためて、TWICEの音楽って、端的に言ってしまえば大昔に流行ったバブルガム・ポップ/ティーン・ポップを現代的にアップデイトしたような、(JAPAN 1st Albumを謳った今作では特に)J-POPともK-POPともアイドル版パラッパラッパーとも呼べる、とにかく明るい飛び切りにポップな楽曲が主で、個人的にバブルガム・ポップと聞いてまず思い出すのがUKのケロケロボニトだったりするのだけど、ちなみに昨年の東京ガールズコレクションのランウェイ時にケロケロボニトの楽曲が使われていて、奇しくもそのTGCに今年はTWICEがライブ出演したという繋がりもあったりする(ワンチャンTWICEケロケロボニトのコラボありそう)。



アルバムのリード曲となる#3”Candy Pop”や往年のハロプロのB面曲みたいな#4”L.O.V.E”を皮切りに、中でも初期のBoAを彷彿させる切ないJ-POP系バラードの#5”Wishing”、「ワンチャン」などの現代っ子的な言葉をフィーチャーした曲で、サビの合いの手で入ってくる「カモ~ン」がクセになるバブルガムチューンの#6”Say it again”チャーチズケロケロボニトを連想させるシンセ・ポップの#7”Wake Me Up”までの流れは今作のハイライトで、続く#8”BRAND NEW GIRL”はどっかで聴いたことあるJ-POPで、何かと思ってたら、「あ、そうだ、これ初期のYUIだ」ってなった。終盤は日本デビュー一周年をONCE(ファンの呼称)と一緒に祝うようなバラードの#9”Be as ONE”、最後はジャクソン5の名曲”I WANT YOU BACK”のカバーを披露し(日本語よりも英語のが上手い説)、自分の中で改めて「K-POP、カバー好き過ぎ問題」を再燃させる。全10曲トータル約35分と短めながらも、逆に一気にサクッと聴けちゃう気軽さもポップスとしては別に悪くないし、確かに”TT”とかは入ってないけど、ヘタに詰め込みすぎるよりも最近のMステやシブヤノオトを見て興味を持ったTWICE新規にとっては逆に有り難いかも。要するに、TWICEって日本で過去に人気のあったK-POPとは少し立ち位置が違って、より大衆的でもっと末広いK-POPの入り口としての役割を担っているんじゃないかって。

これはDreamcatcherでも思ったけど、「最近のK-POP、チャーチズ好き過ぎ問題」について少し思うことがあって、つい先日水曜日のカンパネラコムアイチャーチズとのコラボを発表した時、それに世界で一番嫉妬した人物って実はケロケロボニトサラ・ミドリなんじゃねぇかと思ってて、そういった意味でもチャーチズがJ-POPとコラボしたり、グライムスがK-POPのLOONAとコラボするのも妙な説得力があるし、こうやってグライムスチャーチズの海外アーティストの文脈からJ-POPとK-POPの繋がりを見出すのも面白いかもしれない。どうでもいいけど、TWICE版パラッパラッパーみたいな音ゲー出したら売れそう。

とりあえずTWICEの推しメンを決めるってなった時、最近のMステやシブヤノオトをフルコンプして思ったのは、まず日本メンバーのサナ・モモ・リナの3人を推すのはなんかちょっと邪道だし、次に台湾メンバーのツウィなんか一番人気ありそうだから露骨にクソニワカっぽいし、となると韓国メンバーの中で誰を推すかってなった時、これはもうメインボーカルのナヨンしかいないって。ナヨンって韓国ドラマ・映画に出てくるクラスのカースト上位にいるイジメの首謀者みたいなドSな雰囲気あって最高。あと金髪のダヒョンドリキャガヒョンと元クラスメイトらしいから贔屓的に推せる。なんかもうナヨンとその側近のダヒョンにイジメられた後に、韓国映画『息もできない』のワンシーンみたいにサナに膝枕されながら泣きたいわホント。自分の中でサナドリキャジユと同じで完全に膝枕案件。特にシブヤノオトのサナは可愛すぎてマジTT(尊い)ってなった。

このナチュラルメイク風のナヨンが世界最強
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ドリキャの場合は誰が誰の歌声かすぐに判別できるようになったけど、さすがに9人もいるTWICEは誰がどの歌声か区別がつかない。その点で言えば、メインボーカルのナヨンって微妙にハロプロ歌唱っぽくて、歌声も分かりやすくて推せる(特にバラードが最高)。あとサナの歌声もバブ味があるし(#5とかマジTT(尊い))、モモはギャルっぽいキモ味があって個性的だから、モモの歌パートがくるたびに「モモ出たよ」ってツッコんでる。

正直、この秋に僕の”妹ちゃんたち”であるDreamcatcherが日本デビューするってなって、また絶妙なタイミングでTWICEのアルバムが出るからって、Kポを日本語で歌ったらどうなるのかとか、作詞作曲は日本の音楽家が手がけるのかとか、あくまでもドリキャの日本デビューの予習がてら、色々とKポを勉強するつもりでCD買って聴いたけど、実際に色々と勉強になった(ドリキャメンもこれ聴いて学んでほしい)。となると当然ライブが見たくなったけど、案の定アリーナツアーは全部即完してるオチ。でもこれ来年のサマソニでワンチャンTWICEないですか・・・?そのバーターでDreamcatcherも一緒に出してくれたらダヒョンと元クラスメイトのガヒョンも喜びそうだし・・・!つうか、3大芸能事務所JYPのTWICEと三流芸能事務所ドリキャの絡みとか全く想像できなさすぎて笑うんだけど。でももしTWICEがサマソニ出たら入場規制不可避だと思う。だから清水社長~~~!

現状のKポグッズ(なお、これからめっちゃ増える模様)
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どうやら今作のCDにランダムで封入されているトレカの写真が、メンバーのソロ写真だった場合は10月のハイタッチ会に参加できるらしいので・・・皆んな!オラにナヨンのソロ写真を引く力を分けてくれ!そしてナヨン誕生日おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

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POWER TRIP Japan Tour 2018@Huck Finn

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来日に関してちょっと話したいことがあって、Deafheavenって(自分の記憶が正しければ)フジロック2016で来日したのを最後に、めっきり単独でも来日しなくなったよなって。その原因って一体なんだ?って考えた時に、まず思い浮かんだ理由は、今やピッチフォーク主導のバズマーケティングのお陰で世界中で売れてるから日本は放置プレイされているのが一つ、そしてもう一つが2ndアルバム『サンベイザー』まではDaymare Recordingsから国内盤がリリースされていたのにも関わらず、3rdアルバム『New Bermuda』以降は国内盤が出されておらず(しかし3rdの国内盤は何故かソニーから出ている)、これは恐らくDeafheavenが本国のレーベルをDeathwishからAnti-に移した説が濃厚。もともと、デイメアDeathwishにコネがあって、その兼ね合いでDeafheavenの国内盤をリリースしていたと同時に、まだ無名だった彼らを奇跡的に初来日させた1stアルバムと彼らがブレイクするキッカケとなった2ndアルバムに伴う単独公演も実現させてくれた、国内でも有数の素晴らしいレーベルだった。今でも思い出すのは、初来日公演の時に観客が13人しかいなかった「伝説の名古屋公演」で、今やアリーナ級のモンスターバンドになりつつある彼らのライブを、その13人分の1人として伝説を目撃できたのは、今でこそ感慨深いものがある。そのデイメアDeafheavenから離れたのと同じタイミングで単独での来日がなくなったという事は、つまりはそういうことで、様々な権利関係のアレなことを察する事ができる(ファッキンソニー案件)。

確かに、デイメアDeathwishの他にも密な関係を持つレーベルが複数あって、その中の一つにSouthern Lordがある。この度、あの「伝説の名古屋公演」を実現させたデイメアが、ある意味でデフヘヴンの後釜として初来日させたバンドこそ、Southern Lordが生んだ現メタル界で最も重要なバンドであり、それがPower Tripだった。何を隠そう、Power Tripは昨年リリースした2ndアルバム『Nightmare Logic』がメタル界隈でもバズりにバズって、そのNYハードコア/パンクとスレイヤーやエクソダスなどのレジェンドがクロスオーバーした獣性むき出しの極悪スラッシュ、そして旧世代のMastodon的な世代間をDeafheavenとともに受け継いだ新世代メタルの中心がこいつらだ。つまり、今のPower Tripは紛れもなくDeafheavenの系譜にあるバンドで、そのPower Tripの初来日公演を実現させたのが、Deafheavenの初来日公演を実現させたデイメアだったのは何の因果か、あの「伝説の名古屋公演」を生で観ている自分としては妙な感動があって、とにかく今はデイメアに対する感謝の気持ちしかない。そんな心持で、僕はTWICEの新譜を聴いて「あぁ~ナヨンにイジメられてぇ~」とか思いながら、本日のライブ会場となるHuck Finnへと向かった。

ライブが始まってわかった。Power Tripのライブは、スラッシュ・メタルというより完全にパンクのソレだったんだ。2ndアルバムから1曲目の”Soul Sacrifice”と2017年度最高のバズソングこと”Executioner's Tax (Swing of the Axe)”を立て続けに披露し一気にブチ上げ、そしてフロントマンライリー・ゲイルのイキのいい煽りにまんまとノせられて、ヘドバン、ダイブ、サーフ、モッシュ、そしてサーコピッ!!まで、これもう完全にパンクだって。実際に曲を聴けば分かると思うけど、彼らが2013年に発表した1stアルバム『Manifest Decimation』ってメタルというより完全にハードコア/パンクなんですね。そんで2ndアルバムで化けすぎた結果、そこで初めてスラッシャーおよびメタラーに見つかって、想像以上にバズりすぎたってのもあって、そのバズり具合に実は本人たちが1番戸惑ってる説あって、明日にでも解散してガチで伝説のバンドになっちゃわないか心配になるくらい。実際、どこまで自分たちが想像した未来なのかは知る由もないけどね。

ライブの感想としては、テキサス仕込みのめちゃくちゃ強いパワーにトリップしたわ(ひでぇ感想)。リアルに2ndアルバムの音源の数百倍ものキレッキレのキレ味で、もはやエグいを通り越して目の前で殺戮が執り行われているような錯覚を覚えるほどの殺傷力。まるで料亭でさばかれる生魚を、その場で包丁でさばいて直で口に放り込まれるような新鮮な脂の乗ったキザミ。逆にライブであんな気持ちいい音出せるんだなって。真顔でマーシャルすげぇなって。あと、なんだろう、こうライブが始まってみると2ndアルバムの曲がパンクっぽく聴こえて、逆に1stアルバムの曲がスラッシュ・メタルとして生き返る逆転現象がまた面白くて、そういった意味でもこいつら完全にライブバンドだなって。

驚いたという意味ではセトリもそうだった。割合的には1stと2ndの曲が半々、むしろアンコールを含めると1stからの方が多かったかもしれない。普通のバンドならバズった2ndアルバムの曲を中心に選曲するはずだけど、決してそうじゃないのがテキサス親父らしいというか、この辺のセトリからも垣間見れる彼らの出自がパンクである証拠、決してメタルに日和ったわけではないというパンクスとしてのプライド、今回の賛否両論?ありそうなセトリは、そんな彼らの反骨心の現れなのかも。事実、1stアルバムなしじゃ今の立場もなかっただろうからね。

行く前は「伝説の名古屋公演」のトラウマが蘇ってきて不安だったけど、さすがに今回は休日だし、デフヘヴンの初来日公演の時とは状況が違う、ましてやバズり具合も違う。てなわけで、自分が到着した7時くらいには会場は既に7,8割は埋まってた感じ(なお半数以上パンクス)。演奏時間は体感で15分しか経ってないんじゃねぇかくらい、実際は45分~くらいの短さだったけど、終わった頃には新鮮な刺し身の切り身を延々と食べ続けてたような満腹感すらあった。「今、観なきゃ損する」とはこのこと。あれ?これもしかして来年のダンロードフェス・ジャパンで、deafheavenPower Tripとかいう”新世代”の共演あるんじゃね?清水社長~!

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Nothing 『Dance On The Blacktop』

Artist Nothing
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Album 『Dance On The Blacktop』
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Tracklist
02. Blue Line Baby
03. You Wind Me Up
04. Plastic Migraine
05. Us/We/Are
06. Hail On Palace Pier
08. The Carpenter's Son
09. (HOPE) Is Just Another Word With A Hole In It

「デフヘヴン包囲網」を最前で指揮する必殺仕事人こと、ex-deafheavenニック・バセットくん擁する・・・って、いやいやいやいや、こんな有事の際になんでお前脱退しとんの・・・。確かに、2010年にフィラデルフィアで結成されたNothingは、2014年作に名門メタルレーベルRelapse Recordsから1stアルバムGuilty Of Everythingが発表されるや否や、ローリング・ストーンやピッチフォークなどの世界的な音楽メディアから一目置かれ、そのメタリックかつドゥーミーな重さとノイジーな90sシューゲイズがクロスオーバーしたハードコアなスタイルに対し、あるメディアから”ドゥームゲイズ”と称されまたたく間に世界中で話題を呼んだ。

一見、その手の界隈のイメージ的には、”アンチ・デフヘヴン”で知られるex-deafheavenニック・バセットくん主導の「デフヘヴン包囲網」の一環として発足したバンドだと思われがちだが、それは全くの勘違いで、このNothingはギタボでありヤク中ゼンカモンうつ病メンヘラ系男子ドメニク・パレルモが古くから患っている心身の障害を緩和するための、いわゆる音楽療法(テラピー)を主な目的とした、もう片方のギタボでバンドの中心人物であるブランドン・セッタとドラマーのカイル・キンボールの3人で立ち上げたバンドだ。事実、ニックが加入した直後の1stアルバムGuilty Of Everythingには彼の名前はクレジットされておらず、2016年作の2ndアルバム『Tired Of Tomorrow』で初めてベーシストとしてクレジットされている。そして2018年、これまではバンドの中心人物と(一方的に)勘違いされてきたニックが電撃脱退した後、バンドは黒人ベーシストのアーロンを迎え、約2年ぶりとなる3rdアルバム『Dance On The Blacktop』で再出発を果たした。ちなみに、今作のアートワークは女性写真家のChelsea Hudsonによるもので、個人的にペドロ・アルモドバル監督の変態映画『私が、生きる肌』を思い出した。

この『Dance On The Blacktop』は、フロントマンパレルモ自身の過去の問題や現在の問題、そして自らの出自を起因とした過去最高にパーソナルなアルバムとなっている。高い犯罪率と様々な労働者階級とヘロイン中毒者のたまり場で知られる(現在は閉鎖されている)、ノースフィラデルフィアのケンジントンという劣悪な環境で育ったパレルモは、そのめんどくせぇ出自もあってか90年代後半から00年代にかけて変化していた地元のハードコア/パンクシーンの中で、自身のバンドHorror Showを結成する。彼の経歴からもわかるように、パレルモの音楽的なルーツはパンクでありハードコアだった。周りにヘロイン中毒者とクズしかいねぇクソの吹き溜まりみたいな地域で育った彼自身も、若気の至りと言わんばかりに荒れ狂ってたパンクス時代に暴行罪で2年の懲役刑を受け刑務所にブチ込まれてしまう。月日は流れ、晴れてゼンカモンとなった彼は、再び音楽の世界にカムバックしようとデモを制作、そしてちょうどこの頃にCocteau TwinsRideをはじめ90年代のUKミュージックを象徴する”90年代愛”を互いに共有し、同時にHorror Showのファンでもあったパンク仲間のブランドン・セッタと運命的な出会いを果たす。これが後のNothingへと繋がる。

何を隠そう、Nothingの1stアルバム『Guilty Of Everything』では、そのテーマ/コンセプトとしてパレルモ自身が過去にムショにブチ込まれてゼンカモンとなった不合理な実体験と、投獄中に受刑者の間でドナルド・ゴインズアイスバーグ・スリムというデトロイトのスラム街/ストリートを扱った、それこそケンドリック・ラマーなど現代のラッパーにも強い影響を与えた黒人作家が人気だと知った彼は、このアルバムを象徴する哲学的なバックグラウンドとして自身の音楽に取り入れることで、結果としてどの万能薬/特効薬よりも効果的な音楽療法としていた。

2015年、再びパレルモに不幸が襲う。1stアルバムに伴うUSツアーを順調に回ってる時、ライブの後にオークランドの地下鉄で見知らぬ男に携帯を貸すように頼まれたパレルモがそれを拒否すると、急に男がパレルモに襲いかかり、彼の目、頭蓋骨、脊柱を骨折させる大怪我を負わせ、その結果ツアーも全てキャンセルせざるを得ない、もはやバンドの存続以前に生命の危機に曝されてしまう。そして彼は最近、神経変性疾患であるCTE(慢性外傷性脳症)の初期段階と診断された。神はどこまでパレルモを追い詰めるのだろうか?死ぬまでか?自殺するまでか?なんて非情、なんて無慈悲なんだ・・・。改めて、この世界には神はいないと思い知らされた。すると、今度はThursdayのフロントマンのレーベルで知られるCollect Recordsと新たに契約しようとするも、そのレーベルに投資していた「アメリカで最も憎まれている男」で知られる製薬会社CEOマーティン・シュクレリが証券詐欺罪で逮捕されてしまう。もはや神のいたずらでは済まされないレベルで、立て続けに不幸がパレルモに襲いかかる。そんなゴタゴタの中、Nothingの面々は数々の苦難を経て2016年に2ndアルバム『Tired Of Tomorrow』を発表する。するとメンバーとエンジニアWill Yipの精力的な活動および努力によって、世界最大のフェスLollapaloozaへの出演をはじめ、AFIDinosaur Jr.などのレジェンドと共演を果たすまでの成功者となる。

音楽的に語る1stアルバム『Guilty Of Everything』は、UKのJesuやUSのJuniusなどのJJ系ポストメタルをはじめ、パレルモブランドンの共通嗜好であるマイブラやスロウダイヴなどの90年代を象徴するシューゲイザー/ドリーム・ポップ愛に溢れた、まさしく”ドゥームゲイズ”を称するに相応しい良作だった。その中でも、自分の中で2曲目の”Dig”を聴いた時はちょっと衝撃で、それこそカイルのヘヴィなドラミングとハードコア/ノイズ然とした轟音ギター、90sグランジもビックリの倦怠感むき出しのパレルモのボーカル、そしてヤク中ゼンカモンうつ病メンヘラ系男子の真骨頂とも呼べるパレルモのエモさちょちょ切れそうなサビのバッキングでリフレイする、まるでムショの独房で自傷行為に勤しむメンヘラ受刑者の「心の闇」を色々な意味で炙り出すようなギター、それら全ての音が神がかり的な曲で、まさにNothingの真髄が詰まった”究極のヤク中ソング”としか他に例えようがなかった。

で、その”究極のヤク中ソング”こと”Dig”をついて、個人的にちょっと面白い発見が後にあった。まず、日本のバンドにきのこ帝国ってのがいて、そのきのこ帝国が2015年に発表したメジャー1stアルバム猫とアレルギーの中に”YOUTHFUL ANGER”というアルバム唯一の英語タイトルの曲があって、実はその曲ってこれまでインディーズでシューゲイザーやってた彼らがメジャー進出してJ-POP化したと批判されたそのメジャーデビュー作の中で、それこそビッグなアンプに通電させてラウドにノイジーに歪ませた轟音ギターをカチ鳴らすグランジ界の伝説NIRVANAをリスペクトしたようなヘヴィロックで、何を隠そう、そのきのこ帝国”YOUTHFUL ANGER”Nothing”Dig”というメンヘラソングを構成するノイジーかつグランジーな轟音ヘヴィネス、そして自傷行為を誘発するようなリフレインなど共通する要素が多数あって、この不思議な引力みたいなのに気づいた時は、「もしかすると陰陽座好きで有名なメタラーのあーちゃんはNothing聴いてるかもな」って思ったくらい。


実はこっからが本番で、それはNothing『Dance On The Blacktop』のリードシングルとなる”Zero Day”を聴いた時、まず初っ端の左耳から聴こえてくるギターの歪ませ方から”YOUTHFUL ANGER”の”歪”をフラッシュバックさせ、それと同じように”Dig”をフラッシュバックさせるグランジ・リバイバル不可避な轟音ノイズと今にも消えて無くなりそうなほど憂鬱なパレルモボイス、そのバッキングで”まるでムショの独房で自傷行為に勤しむメンヘラ受刑者の「心の闇」を色々な意味で炙り出すようなギターのリフレイン”が聴こえてきて、その瞬間もう泣きながら「Nothing is Back...」と呟きながら、あるいは「死にたい・・・」とツイートしながらリスカかますけど絶対に死なない日本のメンヘラクソ女ばりに、それこそ獄中のヤク中ゼンカモンメンヘラ系男子の「心の闇」が乗り移ったような気がした。この件は本当に面白いと思ったし、Nothing”Dig””Zero Day”を紡ぎ合わせるのがきのこ帝国”YOUTHFUL ANGER”だったという事実に、なんかちょっと感動したというか、この事実だけでメジャー以降のきのこ帝国がどれだけ凄いのか分かるし、とにかくメジャー以降の帝国を否定している奴らは、まず先に自らの審美眼のなさを否定すべきだ。

それ以降も、アルバム『Guilty Of Everything』”Dig”とともにNothingを象徴する”Bent Nail”の中盤を彷彿させるボーカル・メロディや初期のWhirrを想起させる儚くも美しいギター・ノイズをフィーチャーした、Nothing史上最高に叙情的でメロディアスな#2”Blue Line Baby”を皮切りに、全体のメロディやフレーズからして前向きな明るい未来へと歩み出すノイズ・ポップの#3”You Wind Me Up”Jesu系ポストメタルの#4”Plastic Migraine”、今作で1番emoいボーカルと1stアルバムを彷彿させるメタリックなリフと共にけたたましいノイズをぶっ放す#5”Us/We/Are”パレルモブランドンのサイドプロジェクトDeath Of Lovers直系のドリーム・ポップ~ポスト・パンクの90年代の思い出を行き来する#6”Hail On Palace Pier”、今度はグランジ~ハードコア~メタルを行き来するダーティな曲で中盤のドラムソロがイカす#7”I Hate The Flowers”、スロウダイヴ直系のリヴァーブと美しいリフレインをもってドリーム・ポップ然とした音響空間を形成する#8”The Carpenter's Son”、そして最後を締めくくる#9”(HOPE) Is Just Another Word With A Hole In It”は、アルバムの集大成、バンドの集大成を飾るような、デビュー当時から一貫してパレルモの過去の実体験を元に、それを自らの音楽に落とし込んでいくという、それこそNothingの発足理由に直結するような、まさに(HOPE)=希望に溢れた曲となっている。

なんだろう、Nothingというバンドの真髄が凝縮された名曲”Dig”をルーツとするリフレインとBPMを軸に、最初から最後まで質の高い轟音ノイズぶっ放してる時点でもう最高なんだけど、それ以上に90sオルタナ/グランジ、90sシューゲイザー/ドリーム・ポップ/ポスト・パンク、そしてハードコア/メタルまで、とにかくパレルモブランドンの音楽的ルーツである90s愛が込められたギターのフレーズやメロディがバンド史上最高レベルで、これほど細部まで徹底したリバイバル意識が込められた90s愛は、それこそSonic YouthダイナソーJrなどの90年代のUSオルタナ/インディを象徴するバンドを手がけた、つまり90年代の音楽を知り尽くした巨匠ジョン・アグネロを今作のプロデューサーに迎えたからに他ならなくて、彼の手によって一段と洗練された叙情的でメロディアスなサウンドが、USインディを代表するThe War On Drugsを手がけたミキシング・エンジニアと、日本の岡田拓郎くんの作品を手がけたSterling Soundの重鎮グレッグ・カルビの手によって、更に”メジャー感”溢れる当時の90sサウンドそのままに磨きがけられた結果、自身の集大成となる正真正銘の最高傑作が誕生した。つまり、彼らがこのアルバムで成し遂げたのは「メジャー宣言」、それらの”メジャー”という言葉から思い浮かぶのはやはり日本のきのこ帝国で、もしかしてもしかすると、このアルバムって実はきのこ帝国がメジャーデビューしなかった未来、つまりずっとインディーズで活動し続けた場合の世界線なんじゃねーかって。そう考えたら、きのこ帝国のメジャー化は日本語ロック最大の損失だったりするのかも?

しかし、ここまで文句なしの最高傑作を作り上げたのに、何かが足りない、誰かが足りない気がする・・・。そうだ、ニック・バセットが足りないと感じた僕は、アルバムのクレジットに彼の名前が載ってないか何度も何度も探した。そして遂に見つけた。僕は泣きながら「おるやん、普通にニックおるやん」と呟いた。彼は、今作のリードトラックとなる2曲目の”Blue Line Baby”パレルモと共作しつつ、その中でピアノとキーボードも弾いていた。また嬉しくて涙が出てきた。そもそも彼の脱退理由は、噂によれば家族の問題らしいので、それならしょうがないね。別に音楽をやめたわけじゃなさそうだから安心した。でも笑っちゃうのは、毎度のことながらニックが在籍するバンドが”メジャー”に、有名になりそうな気配を察すると誰にも気付かれないようにコソッと脱退する世界最高の陰キャバンドマンのニックホントすき・・・。ニックこそ裏の立役者だし、ニックこそ本物のアンダーグラウンドだと思う。やっぱりニック関連で信頼できるバンドはWhirrだけ!(なお)

しかしながら、暇さえあればdeafheavenを取り巻く相関図や勢力図的な事を勝手に妄想するのが面白い。ところで、パレルモdeafheavenについて「典型的なバズマーケティング」だと、同時にI have nothing against Deafheaven」=「デフヘヴン(に対して語ること)は何もない」と、しまいには「私たちは全く異なるバンド(意訳:ピッチフォークのカキタレと一緒にすんな)」だと語っていて、つまり”アンチ・デフヘヴン”≒”アンチ・ピッチフォーク”としての立場でニックの意見と同調する部分があったからこそ、パレルモブランドンと出会った時と同じように、必然的にニックと出会ったのだ。実は、Nothingというバンド名から既に「Deafheaven is Nothing」=「デフヘヴンは何もない」という意味でデフヘヴンを包囲していた説、その皮肉めいたパレルモの策略にニックは引力を感じた説。でも想像した以上に、デフヘヴンニック・バセットおよびNothingとその周辺の遺恨は根深いなぁと(もっとやれ)。ちょっと笑ったのは、 6曲目の”Hail On Palace Pier”はイギリスの小説家グレアム・グリーン『ブライトン・ロック』にインスパイアされているらしく、奇しくもデフヘヴンOrdinary Corrupt Human Loveグレアム・グリーンの小説から引用されている(実は仲いい説)。

パレルモのように生涯うつ病や偏執病を患い、つい最近CTE(慢性外傷性脳症)の初期症状と診断された根っからの悲観主義者(ペシミスト)が、人生に追いつめられた時ふと衝動的に頭の中で考えること、それが自殺だ。しかし彼は決してそうはしなかった。死ななかった。自殺しなかった。いくら刑務所で不条理な目に合おうとも、いくら地下鉄で暴漢にボコられて生死を彷徨おうとも、いくらCTEと診断されて常に”痛み”を抱えようとも、彼は死ななかった。むしろ生きた。必死に生きてきた。そして彼は言った、「自殺が私の人生の選択肢だったら、そう(自殺)したと思う」と、しかし「私の遺伝子はそうではない」と「音楽が人に与える精神的/健康的な施しに前向きなロックバンドとして、そして生涯にわたる悲観主義を守る責任がある」と。こんな言葉、満身創痍の人間が口にする言葉じゃない。むしろ逆に強い”生命力”に溢れた人間の言葉だ。Nothingの音楽を通して、自己嫌悪や自己破壊、自身で経験した不条理の世界で悲観主義者がたどり着いたのは唯一の(HOPE)、それは(希望)であり、それは(光)だった。

パレルモは”本物の痛み”を知る当事者として、本物の説得力をもってこの『Dance On The Blacktop』を傑作たらしめている。それこそ口々に”痛み”をアピールしてるどこぞのV系バンドは見習うべきだし、今の時代に「あ~死にて~」と思っている人にこそ、このアルバムを聴いてパレルモの生き様、その勇気と強い生命力を感じて取ってほしい。本当の死から逃げるな。どうしても死にたいなら、死ぬ前にパレルモのパンクス魂を見てから死ね。そして死ぬ間際にこう叫べっ!


I have nothing against Deafheaven


PassCodeの新曲が「叫ぶ女」の真骨頂な件について



これもう完全にRolo Tomassi「叫ぶ女」ことエバちゃんへの回答だろ・・・つうか、これ聴いて何を思い出したかって、それこそ00年代のUSメタルコアムーブメントを影から支え、2008年に惜しまれつつ解散・・・そして「伝説」となった、元祖「叫ぶ女」こと紅一点のラウラ・ニコル嬢率いるLight This Cityで、そのLight This Cityが奇しくも解散から10年の節目となる2018年に奇跡の復活を遂げ、奇しくもそのタイミングで、この日本でラウド系アイドルPassCodeちゆなこと今田夢菜「アイドル界の叫ぶ女」として注目を浴びているのは果たして偶然か、はたまた必然か・・・?

これもう来年のダンロードフェス・ジャパンで「叫ぶ女」祭りやるしかないでしょクリマン清水社長!
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