Artist BiSH

Album 『THE GUERRiLLA BiSH』

Tracklist
01. My landscape
02. SHARR
03. GiANT KiLLERS
04. SMACK baby SMACK
05. spare of despair
06. プロミスザスター
07. JAM
08. Here’s looking at you, kid.
09. ろっくんろおるのかみさま
10. BODiES
11. ALLS
12. パール
13. FOR HiM
はじめに、2017年に発表されたミニアルバム『GiANT KiLLERS』について、ちょっとだけ訂正があります。厳密に言えば2曲目の”Marionette”についてで、この曲って初めて聴いた時はてっきりチッチメインの楽曲だと信じ切っていたのだけど、でも最近になって久々に聴いてみたらメインボーカルがどう聴いてもアユニだった件について。当初はチッチメインのV系っぽい曲だからアユニの歌割りが少ないだけかと思ってて、でもチッチだと思ってた歌声が実はアユニだったという、わりと今さら個人的に重大な真実を知ってしまった。
この勘違いが起きてしまった理由としては、自分の中で「アユニはアイナやチッチほど歌えない」と一方的に決めつけちゃってたキライもあって、だから「アユニは歌える」という真実を知ってしまった今、改めてこのミニアルバムは昨年の年間BESTに入ってもおかしくない名盤だったんだなって。逆に、その真相を知ってしまったからチッチの評価が下がるということは全くなくて、むしろ上がったくらい。何故なら、この”Marionette”の(アユニパートと勘違いしていた部分を除く)チッチって、このV系っぽい楽曲に合わせたような、いわゆる「V系歌唱」を駆使して歌ってるのがポイントで、つまり今のチッチってメインボーカルの座を(今やMONDO GROSSOと共演するまでとなった)アイナと(今やBiSHのエースとなりつつある)アユニに奪われた3番手の立場にありながらも、しかしアイナやアユニにはできない「V系歌唱」という(少なくとも他のアイドルでは見たことがない)特殊な歌唱法(スキル)を身に着けて、自らの個性として確立しているチッチの凄さな。
そのミニアルバムの中で個人的に一番グッときたのは、アルバムの最後を飾る”VOMiT SONG”という曲で、自分の中でこの青春パンク直系の「エモさ」こそBiSHの本当本気だと思った。で、この曲を聴いて何を思い出したかって、それこそ自分が高校一年生くらいに当時ハマっていた氣志團の2ndアルバム『Boy's Color』とかいう名盤だった。それぞれの作品に共通するのは、まさに青春真っ只中のティーンエイジャー特有の刹那的かつセンチメンタルなエモみで、もし自分の高校時代にBiSHの”VOMiT SONG”を聴いていたなら、間違いなく部活帰りの電車の中で繰り返しリピートしてたんだろうなって。つまり、今のBiSHってアイドル(偶像)としてではなく、それ以上にティーンエイジャーのアイコン(憧憬)的な存在になりうる、ティーンエイジャーにとっての「青春」そのものなんだろうなって。正直、今の10代が少し羨ましくもなった。とにかく、そういった面でも、ミニアルバム『GiANT KiLLERS』は各メンバーのスキル/パフォーマンスが成熟しきったからこそ生まれた傑作だ。だからこそ、だからこそ同年に発表されたメジャー2ndフルアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』の内容に対して、僕は大きな失望を隠すことができなかった。
幕開けを飾る#1”My landscape”から、それはまるで「アイドル界のコールドプレイ」かと思うほど、アリーナいやスタジアム級のメジャーに洗練されたスケール感溢れるオーケストラをバックに、山猫という野生動物の立場とアイドルという自らの立場を共振させた歌詞を駆使して、リリカルでエピックな雰囲気をまといながら徐々にサビへと這い上がっていく。メジャー感マシマシの1曲目を聴いて【楽器を持たないパンクバンド】とは名ばかりかよと思った矢先、Dビート直系のゴッリゴリなハードコア・パンクの#2”SHARR”でメンバーの「シャーーーーー!!」とかいうシャウトが炸裂した瞬間、「holy shii...」とつぶやく間もなく2秒で脳天ぶち抜かれた。まるでTWDのニーガンにルシールで脳天フルスイングされたような気分になった。

やっぱりBiSHの楽曲における大きな転換期って、メジャー1stアルバムでは”オーケストラ”、今作で言うところの#4”プロミスザスター”だと思うのだけど、なんだろう、そのメジャーというか大衆を意識したポップなノリに作品全体のテンションが引っ張られてる印象で、それくらい全編に渡って「Mステでちゃいますアタシたち」感溢れる「売れたアイドル」ならではのポップスが最初から最後まで貫かれている。でも「何かが足りない」と考えた結果→そうだ「エモさが足りない」という結論に至った。
結局のところ、前作のメジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』の何が凄かったかって、とにかく全曲エモさに振り切った作風の中に、例えばMastodonみたいな破天荒なハードコアだったり、Led Zeppelinの”天国の階段”みたいなハード・ロックだったり、オルタナっぽいブラック・メタルみたいな曲だったり、シャカラビッツみたいな曲があって、その手のコアな楽曲派が楽しめるような曲が今作にはない。この内容で「楽曲派に支持されるアイドル」って本当に勘弁してほしい。今の楽曲派はとっくの昔にBiSHじゃなくてネクロ魔推してますね。
ただのメロコア/J-POPというか、単純に松隈&渡辺コンビのライティング不足が否めなくて、厳密位に言えばライティング不足というより、それこそ【楽器を持たないパンクバンド】ならではの破天荒でアヴァンギャルドな「トガリ」不足と表現した方が的確か。そういった面でも、今のBiSHのメイン層に向けたアルバムというか、フェスキッズ向けの何の面白みのないアルバムです。なんだろう、今のBiSHっていわゆる「メジャーデビューして終わる邦ロックバンド」の典型、そのアイドル版を地で行ってる。
ダウンタウンのまっちゃんが「今の漫才にはおふざけが足りない」と言うように、それと同じで「今のBiSHにはおふざけ=アソビが足りない」と思う。そう実感させるアルバムで、エモくないBiSHとかもはやBiSHじゃないし、もう完全にWACKのBiSHじゃなくて、エイベックスのBiSHになっちゃったんだなって。これはエイベックソと言わざるを得なかった。もう一生【楽器を持たないパンクバンド】名乗んなよって感じ。
例えば『GiANT KiLLERS』の”Marionette”や”VOMiT SONG”みたいな、前者のサブカルっぽい曲や後者のエモにステータスを全フリしたような曲がないのが痛い。強いて言えば、10曲目の”BODiES”から最後の”FOR HiM”までのアルバム後半は過去作に匹敵する曲のクオリティだっただけに(これで300円の元取れた)、尚さら惜しい感じ。それこそ、中盤の曲の代わりに”Marionette”と”VOMiT SONG”が入ってたら、ここまで酷い印象にはならなかったと思う。あと、これはアイナの喉の手術が影響しているとは思いたくないけど、単純にアイナをはじめ全体的にエモいボイスが足りなすぎる。しかもリンリンの良さも消えてて、今思えば1stアルバムのエモさってリンリンあってのものだったんだなって。
なんかもう俺の中で完全にBiSH終わったわ。今のBiSHは本物のクソアイドルだ。WACK界隈では主に「いい意味」で使われる「クソ」じゃなくて、正真正銘の悪い意味での「クソ」だ。だから最新シングルでメンバーが黒塗りペイントに扮したアー写を「ブラックフェイスだ!」と焚き付けてBiSH炎上させたろかなと思ったけど、マネージャーの渡辺はそれで炎上する可能性すら計算の内にしてそうだから、やっぱ炎上さーせないっ!

Album 『THE GUERRiLLA BiSH』

Tracklist
01. My landscape
02. SHARR
03. GiANT KiLLERS
04. SMACK baby SMACK
05. spare of despair
06. プロミスザスター
07. JAM
08. Here’s looking at you, kid.
09. ろっくんろおるのかみさま
10. BODiES
11. ALLS
12. パール
13. FOR HiM
はじめに、2017年に発表されたミニアルバム『GiANT KiLLERS』について、ちょっとだけ訂正があります。厳密に言えば2曲目の”Marionette”についてで、この曲って初めて聴いた時はてっきりチッチメインの楽曲だと信じ切っていたのだけど、でも最近になって久々に聴いてみたらメインボーカルがどう聴いてもアユニだった件について。当初はチッチメインのV系っぽい曲だからアユニの歌割りが少ないだけかと思ってて、でもチッチだと思ってた歌声が実はアユニだったという、わりと今さら個人的に重大な真実を知ってしまった。
この勘違いが起きてしまった理由としては、自分の中で「アユニはアイナやチッチほど歌えない」と一方的に決めつけちゃってたキライもあって、だから「アユニは歌える」という真実を知ってしまった今、改めてこのミニアルバムは昨年の年間BESTに入ってもおかしくない名盤だったんだなって。逆に、その真相を知ってしまったからチッチの評価が下がるということは全くなくて、むしろ上がったくらい。何故なら、この”Marionette”の(アユニパートと勘違いしていた部分を除く)チッチって、このV系っぽい楽曲に合わせたような、いわゆる「V系歌唱」を駆使して歌ってるのがポイントで、つまり今のチッチってメインボーカルの座を(今やMONDO GROSSOと共演するまでとなった)アイナと(今やBiSHのエースとなりつつある)アユニに奪われた3番手の立場にありながらも、しかしアイナやアユニにはできない「V系歌唱」という(少なくとも他のアイドルでは見たことがない)特殊な歌唱法(スキル)を身に着けて、自らの個性として確立しているチッチの凄さな。
そのミニアルバムの中で個人的に一番グッときたのは、アルバムの最後を飾る”VOMiT SONG”という曲で、自分の中でこの青春パンク直系の「エモさ」こそBiSHの本当本気だと思った。で、この曲を聴いて何を思い出したかって、それこそ自分が高校一年生くらいに当時ハマっていた氣志團の2ndアルバム『Boy's Color』とかいう名盤だった。それぞれの作品に共通するのは、まさに青春真っ只中のティーンエイジャー特有の刹那的かつセンチメンタルなエモみで、もし自分の高校時代にBiSHの”VOMiT SONG”を聴いていたなら、間違いなく部活帰りの電車の中で繰り返しリピートしてたんだろうなって。つまり、今のBiSHってアイドル(偶像)としてではなく、それ以上にティーンエイジャーのアイコン(憧憬)的な存在になりうる、ティーンエイジャーにとっての「青春」そのものなんだろうなって。正直、今の10代が少し羨ましくもなった。とにかく、そういった面でも、ミニアルバム『GiANT KiLLERS』は各メンバーのスキル/パフォーマンスが成熟しきったからこそ生まれた傑作だ。だからこそ、だからこそ同年に発表されたメジャー2ndフルアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』の内容に対して、僕は大きな失望を隠すことができなかった。
幕開けを飾る#1”My landscape”から、それはまるで「アイドル界のコールドプレイ」かと思うほど、アリーナいやスタジアム級のメジャーに洗練されたスケール感溢れるオーケストラをバックに、山猫という野生動物の立場とアイドルという自らの立場を共振させた歌詞を駆使して、リリカルでエピックな雰囲気をまといながら徐々にサビへと這い上がっていく。メジャー感マシマシの1曲目を聴いて【楽器を持たないパンクバンド】とは名ばかりかよと思った矢先、Dビート直系のゴッリゴリなハードコア・パンクの#2”SHARR”でメンバーの「シャーーーーー!!」とかいうシャウトが炸裂した瞬間、「holy shii...」とつぶやく間もなく2秒で脳天ぶち抜かれた。まるでTWDのニーガンにルシールで脳天フルスイングされたような気分になった。

やっぱりBiSHの楽曲における大きな転換期って、メジャー1stアルバムでは”オーケストラ”、今作で言うところの#4”プロミスザスター”だと思うのだけど、なんだろう、そのメジャーというか大衆を意識したポップなノリに作品全体のテンションが引っ張られてる印象で、それくらい全編に渡って「Mステでちゃいますアタシたち」感溢れる「売れたアイドル」ならではのポップスが最初から最後まで貫かれている。でも「何かが足りない」と考えた結果→そうだ「エモさが足りない」という結論に至った。
結局のところ、前作のメジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』の何が凄かったかって、とにかく全曲エモさに振り切った作風の中に、例えばMastodonみたいな破天荒なハードコアだったり、Led Zeppelinの”天国の階段”みたいなハード・ロックだったり、オルタナっぽいブラック・メタルみたいな曲だったり、シャカラビッツみたいな曲があって、その手のコアな楽曲派が楽しめるような曲が今作にはない。この内容で「楽曲派に支持されるアイドル」って本当に勘弁してほしい。今の楽曲派はとっくの昔にBiSHじゃなくてネクロ魔推してますね。
ただのメロコア/J-POPというか、単純に松隈&渡辺コンビのライティング不足が否めなくて、厳密位に言えばライティング不足というより、それこそ【楽器を持たないパンクバンド】ならではの破天荒でアヴァンギャルドな「トガリ」不足と表現した方が的確か。そういった面でも、今のBiSHのメイン層に向けたアルバムというか、フェスキッズ向けの何の面白みのないアルバムです。なんだろう、今のBiSHっていわゆる「メジャーデビューして終わる邦ロックバンド」の典型、そのアイドル版を地で行ってる。
ダウンタウンのまっちゃんが「今の漫才にはおふざけが足りない」と言うように、それと同じで「今のBiSHにはおふざけ=アソビが足りない」と思う。そう実感させるアルバムで、エモくないBiSHとかもはやBiSHじゃないし、もう完全にWACKのBiSHじゃなくて、エイベックスのBiSHになっちゃったんだなって。これはエイベックソと言わざるを得なかった。もう一生【楽器を持たないパンクバンド】名乗んなよって感じ。
例えば『GiANT KiLLERS』の”Marionette”や”VOMiT SONG”みたいな、前者のサブカルっぽい曲や後者のエモにステータスを全フリしたような曲がないのが痛い。強いて言えば、10曲目の”BODiES”から最後の”FOR HiM”までのアルバム後半は過去作に匹敵する曲のクオリティだっただけに(これで300円の元取れた)、尚さら惜しい感じ。それこそ、中盤の曲の代わりに”Marionette”と”VOMiT SONG”が入ってたら、ここまで酷い印象にはならなかったと思う。あと、これはアイナの喉の手術が影響しているとは思いたくないけど、単純にアイナをはじめ全体的にエモいボイスが足りなすぎる。しかもリンリンの良さも消えてて、今思えば1stアルバムのエモさってリンリンあってのものだったんだなって。
なんかもう俺の中で完全にBiSH終わったわ。今のBiSHは本物のクソアイドルだ。WACK界隈では主に「いい意味」で使われる「クソ」じゃなくて、正真正銘の悪い意味での「クソ」だ。だから最新シングルでメンバーが黒塗りペイントに扮したアー写を「ブラックフェイスだ!」と焚き付けてBiSH炎上させたろかなと思ったけど、マネージャーの渡辺はそれで炎上する可能性すら計算の内にしてそうだから、やっぱ炎上さーせないっ!