Artist LOVEBITES
new_Header01

Album 『AWAKENING FROM ABYSS』
1710Lovebites_AwakeningFromAbyss_cover_mid

Tracklist

1. The Awakening
2. The Hammer Of Wrath
3. Warning Shot
5. Scream For Me (Awakened Version)
6. Liar
7. Burden Of Time
8. The Apocalypse (Awakened Version)
9. Inspire
10. Don’t Bite The Dust (Awakened Version)
11. Edge Of The World
12. Bravehearted (Awakened Version)

3000枚限定(とは言ってない)のデビュー作LOVEBITES EPが日本のメタルシーンを色々な意味で騒がせた、ガールズメタル界期待の新星LOVEBITES。その前回の時に、「いま最も勢いのあるガールズバンド」ことBAND-MAIDと比較して記事を書いたが、結果的に比べる必要が無かったくらい、両者に重なる部分や似てる部分というのは意外にも少なかった。まず互いに「ツインギター」を特徴としているが、LOVEBITESはギターの見せ場となるツインリードやソロバトルをフル活用した「これぞメタル」なギタープレイを奏でる一方で、【コンポーザー】【リードギタリスト】【リズムギタリスト】であるカナミ・カエルオーカーフェルト擁するBAND-MAIDは、本来はリズムギター担当であるはずの小鳩ミク「当て振り鳩女」なのでもはやツインギターじゃなくて実質ワンハーフギターみたいな扱いで、しかしそれをカバーするように小鳩デブはツインボーカルあるいはコーラス役としてBAND-MAIDの楽曲にちょっとだけ貢献している。その「ギター」の次に「ボーカル」の面でも大きな違いがあって、LOVEBITESのフロントウーマンであるasamiは超絶ハイトーンボイスを駆使したこれまた「これぞメタル」なボーカルパフォーマンスを披露する一方で、BAND-MAID彩ちゃんSHOW-YAの寺田姐さんリスペクトな「これぞハード・ロック」な歌声から、一方で安室ちゃんなどの王道的なJ-POPにも精通する幅広い歌声を聴かせるタイプの器用で柔軟性の高い「フレキシブル」なボーカリストで、最終的にはその「ボーカル」と「ギター」を起因とした「楽曲面」での大きな違いに行き着く。しかし、その「ボーカル」と「ギター」、そして「楽曲面」を有に上回る大きな違いが存在した、それが「おっぱい」の大きさだった・・・。そもそも根本的な話からして、このLOVEBITES「ガチのガールズメタル」を謳った「嬢メタル」である一方で、BAND-MAID「ガチのハード・ロック」を謳った「ガールズロック」あるいは「V系」であるという時点で、比較する前から既に結果は見えていた。

結局のところ僕が言いたかったのは、両者は互いに棲み分け(共存)できる者同士であり、双方のフアンもギリギリ被らないということで、そういう面では結果的に両者を比較したことは正しかったんじゃあないかって。でも正直に本音を言ってしまうと、「このLOVEBITESとかいうの、ちょっとバズりそうだな」って思ったから、今のうちにフアン予備軍をBAND-MAIDに流しておこうと目論んだ結果、ヘタしたら今回のフルアルバムで元々バンメに付いていたメタラーがLOVEBITESにごっそり引き抜かれそうな勢いで、ヤベーこのままじゃケツ捲くられるやん小鳩どーすんのもうケツ見せろ、って感じでめっちゃ動揺してる。それは冗談として、唯一似ているというか共通しているのは、互いに海外リリースがJPU Recordsのレーベルメイトであることを筆頭に、そして「LOVEBITES」というバンド名の由来となったHALESTORMリジー・ヘイルがツイッターでLOVEBITESの曲に反応していて、面白いのは、BAND-MAID”Don’t let me down”がそのHALESTORMの曲にソックリというかオマージュしているという謎の共通点もある。つまり、今や日本のガルバンにも影響を与えるほどの大物ロックバンドになったHALESTORMを売れる前にこのブログで取り上げていた俺すごい(えっ)

映画界の巨匠クリストファー・ノーラン「本物志向」の映画監督ならば、前作の『LOVEBITES EP』LOVEBITESが強く示しだしたのが「本格メタル志向」、その「本格メタル志向」はこのフルアルバムでも貫かれていて、前作同様にミックス/マスタリングにはフィンランドの重鎮ミッコ・カルミラミカ・ユッシラを、ソナタ・アークティカのワンコを引き連れたB級クサメタル風のアートワークにはHELLOWEENの作品でもお馴染みの絵師を迎え、そして前作のEPではサポート扱いだったギタリストのMi-Yaが正式加入により、晴れて5人編成の「爆乳戦隊ラブバイツ」として万全の体制で挑まれたフルアルバムとなっている。そんな、誰もが待ち望んだであろうLOVEBITESの1stフルアルバム、しかし前作の『LOVEBITES EP』の出来があまりにも良すぎたことで、逆にフルアルバムに対する期待よりも不安の方が大きかった人も決して少なくないはずだ。確かに、実際に今作を聴いてみてもEPの曲がアルバムのテンションを引っ張っている感は否めないが、逆にそのEPの曲を強靱な骨組みとしてアルバムの中に組み込んでいる。

まずは「これぞメタル」なシンフォニックでシアトリカルなSEで静かに始まるオープニングの#1”The Awakening”に次いで、改めてスケール感溢れる「これぞメタル」なイントロから、asamiの「Go!!」を合図にザックザクに切り刻む殺傷力の高いリフで疾走する#2”The Hammer Of Wrath”から、asamiの超絶的なハイトーンボイスを皮切りに、某イケメンも禿げ上がるほどピロピロギュイーンと弾きまくりなmidorimi-yaのツインギター、そしてリーダーのmihoとツーバスドコドコなharunaによる安定感抜群なリズム隊が織りなす「ガチなメタル」にガッツポーズ不可避な、まさにLOVEBITES「本格メタル志向」に対する答えを濃縮したような幕開けを飾る。間髪入れずにスティーヴ・ヴァイ顔負けの高速速弾きソロを披露する#3”Warning Shot”Symphony X JAPANばりに壮麗なシンフォニック・アレンジとスリリングなキザミリフで展開するリード・トラックの#4”Shadowmaker”、そしてEPに収録された”Scream For Me”(Awakened Version)を挟んで、6曲目の”Liar”は今作のハイライトで、優美なストリングスとEPでも見せたことがなかったasamiのバラード映えする歌声で幕を開け、そのasamiの「ボーカリスト」としての類まれなる才能を見せつけるエモーショナルな歌とmi-ya節全開の叙情的なバッキングを筆頭に、最初から最後まで弾きまくりなツインギターを中心にドラマティックに展開していく。この曲はLOVEBITESの可能性を広げるような、ちょっと色々と見直すくらいの名曲だ。

ここまで聴いて思うのは、やっぱりmi-yaの正式加入はバンドにとって非常に大きな出来事だったということ。それというのも、アルバムのリード曲からも分かるように、ここまで#2を除くほぼ全ての曲をmi-yaが作曲/アレンジしていて、つまりmi-yaの曲がアルバムの基礎的な部分を占めていて、特に先ほどの”Liar”で彼女はスティーヴ・ヴァイや叙情派メタルコアにも精通する速弾きギタリストである傍ら、その一方で【コンポーザー】としてその非凡な才能を発揮している。もはやmi-yaの存在はLOVEBITESに欠かせないほど大きな存在で、もはやmi-yaのいないLOVEBITESカナミ・カエルオーカーフェルトのいないBAND-MAIDと同じだ。

後半からは、ハード・ロック色の強い#7”Burden Of Time”とEP収録の#8”The Apocalypse”を皮切りに、リーダーのmihoLight BringerMaoの共作曲を中心に展開してく。チルボドの名曲”Needled 24/7”ばりのギターをフィーチャーした#9”Inspire”、EPの”Don't Bite The Dust”、そして終盤のハイライトを締めくくる”Edge Of The World”では、美しいピアノをバックにボーカリストasamiの真骨頂と呼べる情感溢れる歌声と伊藤セーソク泣くがいい。声をあげて泣くがいいとかいう名言をこぼしそうな泣きのギターソロで幕を開け、中盤からはドラマティックにスケール感マシマシに展開していき、最後はex-Kamelotヘロイ・カーンの「ヘロヘロ魂」が憑依したかのようなasamiのガッツポ不可避なボーカルの怒涛の応酬でアツく感動的なラストを迎える。この曲はmi-ya作曲の”Liar”と対になるようなアルバムの2大看板を担う名曲で、言うなれば”Liar”Within Temptationに代表される欧州のシンフォニック・メタル勢への回答とするなら、この”Edge Of The World”Kamelotに代表されるアメリカのパワーメタル勢に対する日本からの回答である。

EPに収録された曲にはちょっとした変更点があって、まず”The Apocalypse”はイントロからasamiのシャウトやツインリードが加えられており、ブレイクパートではオルガンの音が採用されている。でも正直、オルガンよりもオリジナルの鐘のほうが荘厳な曲調に合ってたような気もする。こういうのって基本的にアルバム用にアレンジしたものより元のアレンジのが良いって賛否両論が起こるけど、まさにその典型例みたいな。とは言え、オリジナルの曲のイメージを損なわないアレンジなんで無問題だ。あと”Scream For Me”はソロバトルのアウトロがフェードアウトじゃなくなってるのと、EPでは日本語歌詞で歌っていた”Bravehearted”を今回の英語版でも全く違和感なく聴かせるのは、他ならぬasamiの歌唱スキルあってのものだ。確かに、12曲中1曲だけ日本語にするのは変だからってのは十分に理解できる。けど、この曲だけは日本語の方が良い。ここだけは絶対に譲れない。

今回フルアルバムになったことで、よりメンバー全員の持ち味が思う存分発揮されているというか、遂に本性を現したというか、改めてその「スーパーバンド」的な演奏力の高さに驚かされるし、それはハイトーンだけじゃない感情表現豊かなasamiのボーカルであったり、mi-yaの隠れたソングライティングであったり、とにかくそれぞれ個人のアーティストとしての才能が爆乳もとい爆発している。勿論、アレンジや作曲面ではまだまだ荒削りな部分はあるし、その分まだまだ伸び代はあるって事だし、とにかくガールズメタル界に新しい風を吹き込むであろうその将来性やバンドの可能性を無限に感じさせたフルアルバムだった。しっかし、なんで自分がここまで推しているのかっていうと、ただメンバーのおっぱいがクソでかいからという理由だけでは決してなくて(失礼な)、それはキャプテン和田誠のネットラジオでもよく耳にしたビクター担当の杉山氏を久々に拝見したことで、そういった面でも自分がこのLOVEBITESを贔屓にする一つの理由となっている。

結局なんだろう、このLOVEBITESを活かすも殺すもフロントウーマンであるasamiのやる気次第で、それというのも、LOVEBITESといわゆる嬢メタルと呼ばれる他のバンドとの違いってやっぱりフロントの存在だと思ってて、LOVEBITESasamiは珍しく他の嬢メタルのフロントにはない突出したスキルや華やかさを持っていて、個人的にそこに他の「嬢メタル」との違いを見出し、まずそこに惹かれたのだけど、そのasamiは今作でEPを凌駕するスキルフルなパフォーマンスでその圧倒的な存在感を放っている。でも今ってどこも「ライブやってナンボ」な時代で、そこで心配になってくるのは、asamiのコーラス仕事などの副業的な兼ね合いからライブ本数こなせない、スケジュールの制限によってまともに活動できない問題だ。というか、今のasamiにとってはむしろLOVEBITESが副業かもしれない状況で、これから良くも悪くもasami中心のワンマンバンドになっていきそうなフラグビンビンだ。ちょっと妄想すると、もっとLOVEBITESの音楽性に「大衆性」や「ポップさ」を求めていきたいasami側とmiho&harunaのガチメタラー勢による対立からバンドに内紛が起こって、そのmihoharunaのトンデモナイ爆乳に囲い込まれるasamiを助け出して僕が代わりに「ぱふぱふ」されるドラクエ的な展開ありますか?でも最終的にバンドの足を引っ張りそうなのはレーベルのビクターというオチ・・・お後がよろしいようでw

アウェイクニング・フロム・アビス ~リミテッド・エディション【DVD付き生産限定盤】
LOVEBITES
ビクターエンタテインメント (2017-10-25)
売り上げランキング: 244