Artist NECRONOMIDOL
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Single 『DAWNSLAYER』
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Tracklist
01. DAWNSLAYER
02. STARRY WISDOM
03. R'LYEH
04. celephaïs
05. ABHOTH

白塗り界隈代表の瑳里擁する5人組、「暗黒系アイドル」ことネクロ魔あるいはことNECRONOMIDOLが今年の2月に発表した2ndアルバムのDEATHLESSは、群雄割拠蠢くアイドル界隈に大きな風穴を開けるような、それこそ近年BABYMETALBiS(H)をはじめとしたエクストリーム系アイドルがアイドルと〇〇」の境界線(ボーダーライン)をこじ開けると、このネクロ魔は人間界と魔界の境界線(入り口)に風穴を開け、そして開かれた地獄門から聴こえてくる魔界(アンダーグラウンド)に伝わる哀劇の童歌、としか他に例えようがない悪魔的な音楽を繰り広げていた。

そんな、「いま最も地獄に近いアイドル」ことネクロ魔が約半年ぶりに放つシングル『DAWNSLAYER』は、前作DEATHLESSの流れを踏襲した、ゴリゴリのメタルソングをはじめ、アイドルソングから90年代のアニソンおよびV系にも精通する多彩な楽曲に、もはやアルバム以上にネクロ魔の魅力が凝縮された、シングルとは思えないほどのボリュームに溢れた一枚となっている。


前作DEATHLESSの地獄の入口に待ち受けていた”END OF DAYS”の衝撃再びかと思うほど、シングルの表題を冠した”DAWNSLAYER”のイントロから、持ち前のブラストにX JAPAN顔負けの流麗なツインリードを乗せて疾走し始め、北欧メロデス然としたザックザクに刻むソリッドかつメタリックなリフや某ハロウィンの名曲”イーグルフライフリー”のオマージュ的なサビメロ、そしてツーバスドコドコからのピロピロ系速弾きGソロまで、これはもう「メロデス化したX JAPAN」と言っても過言じゃあないゴリゴリのメタルチューンで幕を開ける。確かに、ネクロ魔は音楽的に「ブラックメタル」としての顔を持ちながらも、前作でもX JAPANばりのツインリードを擁する”KERES THANATOIO””ITHAQUA”のような、いわゆる90年代のV系に精通する楽曲も一つのウリとしていて、今回のシングルは前作以上に「90年代のV系」からの影響を惜しげもなくさらけ出した一枚とも言える。

そして前作の”4.7L”を彷彿させる、某ガンダムWのOP的なTKサウンドあるいはaccess系の打ち込み/シンセを押し出した、90年代アニソンナンバーの#2”STARRY WISDOM”までの流れは前作を素直に踏襲しているし、イントロから粗暴なブラストにシンフォブラばりの超絶epicッ!!なシンセを乗せてブルータルに突っ走る3曲目の”R'LYEH”は、Vampilliaツジノリコを迎えた”endless summer”BiSとコラボした”mirror mirror”からの影響を強く感じさせる、ポストブラック/ブラックゲイズ然としたノイズまみれの混沌蠢く激情的な轟音をバックに、そして魔メンバーの儚いノスタルジーを誘うユニゾンが、ネクロ魔史上最高のドラマティックな名曲と呼ぶに相応しいエモいコンビネーションを発揮する。この曲は本当に”endless summer”を初めて聴いた時と同じくらいの衝撃だった。正直、表題曲なんかゆうに超えちゃってて笑う。なんだこのクソ泣ける神曲。歌詞もクソエモい。

ネクロ魔といえば、前作で言う所の”HEXENNACHT”のような一種の「童歌」とも呼べる、自らのコンセプト/世界観を司る楽曲も魅力の一部としていて、今回のシングルでは4曲目の”celephaïs”がそれに当たる曲で、耽美的なストリングスと洋風のアレンジをバックに魔メンバーが童謡チックに語りかけるような、それこそ教会ライブ映えしそうな童歌だ。そして、イントロからついつい「紅だーーーーーーーー!!」と叫びたくなっちゃう、もしくはBABYMETAL”イジメ、ダメ、ゼッタイ”が始まったかと勘違いする5曲目の”ABHOTH”は、X JAPANというよりもはやジャパメタと言っていい疾走感溢れるザックザクなメタルチューンで、ロック調で力強く歌い上げる魔メンにも注目だし、合いの手の洗礼!の部分も暗黒系アイドルっぽいというか、それこそ露骨にベビメタを意識したような「kawaii」を垣間見せる。

今作を紐解くキーワードは、他ならぬ「X JAPAN」「Vampillia」という音楽シーンでも「異端児」として語り継がれる二組の存在で、つまりダークウェーブなどのシンセや打ち込みを多用した音よりも、俄然エクストリーム系アイドルの主流となる「生バンド」による「バンド・サウンド」を重視したライブ感のある方向性へとシフトしている、あるいは今後更にシフトしていく事を宣言するかのようなシングルだ。今回はアニメ調のジャケ写のイメージも相まって、かなりアニソン寄りというか二次元的な作風として解釈すべきシングルなのかもしれない。正直、これヘタしたらアルバムよりも挑戦的で良いんじゃない?ってくらいの完成度で、楽曲面では前作よりも「やりたいこと」がハッキリと明確化しているように感じたし、それは俄然ソリッドになったプロダクションの向上とともに、魅力的なユニゾンは元より各魔メンのソロボーカルが聴きやすくなった事もあって、もはや歌モノとして十分に聴けるクオリティになってる。とにかく、この数ヶ月で全ての面がアップデイトされてなお且つ進化しているのが目に見えてわかるのが凄いし、やっぱ今のネクロ魔ってアイドル界は元より、メタル界の中でもかなり異質で面白い存在だと再確認させられた。というわけで、今日から俺はネクロ魔彩族だ!

ちなみに、このシングル『DAWNSLAYER』をCDで買う場合、「SLAYER ver.」「DAWN ver.」の二種に別れていて、収録内容も違うので注意が必要。前者の「SLAYER ver.」には4曲目に”ABHOTH”が、後者の「DAWN ver.」には4曲目に”celephaïs”が収録されている。でもBandcampで買えば全5曲入りでCDよりも安く手に入るので断然そっちがオススメ。なお、今回はハイレゾ仕様ではないので注意。

DAWNSLAYER (SLAYER ver.)
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