Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2017年08月

【8/19】 サマーソニック大阪 2017

DHpUqGZUAAAWSNq

4年前のサマソニで見たLinkin Parkは、間違いなくその日のベストアクトだった。

僕が前回参加したサマソニ大阪2013は、OPアクトのBiSに始まって、奇跡の初来日となったVolbeatからLinkin ParkPerfumeからBABYMETAL、そしてトリのメタリカまで、ほぼほぼメタルフェスと言っていいくらいの神メンツで、そのお陰で猛暑のなか休憩するタイミングがなくてぶっ通しで最後まで見たら、メタリカの途中でリアルにぶっ倒れそうになったという苦い思い出がある・・・という風に、今から4年前のサマソニ大阪を思い出して感傷にふけっている中、久しぶりにサマソニ大阪へ行ってみた。

再びサマソニに行こうと思った理由、それはBAND-MAIDBABYMETALの初陣が実現したからである。実は、この運命の引かれ合いは、今年1月にリリースされたBAND-MAIDの1stアルバム『Just Bring It』のレビューの中でBAND-MAIDBABYMETALの比較や違いという部分で暗に示唆していて、もっと言えば、昨年リリースされたBABYMETALの2ndアルバム『METAL RESISTANCE』のレビュー記事で、この初陣を暗に予言していて、つまり去年東京ドーム2デイズにも行った元自称「日本一のベビヲタ」が寝返って、今はBAND-MAID「魔彩族」の一員として彩ちゃんTO(トップヲタ)目指してるのって、ちょっと面白すぎない?

ここ最近は、あまり天候がすぐれない日が続いて、だからワンチャン雨は降らない程度の曇を期待した結果、舞洲会場に着いた瞬間「あ、帰りたい」ってなるくらい、それこそ2013年のサマソニ大阪のトラウマを思い出させるような雲一つない猛暑で、彩ちゃんの雨女っぷりはサマソニ大阪にだけは通用しなかった。で、この日の俺的タイテは【PassCode】→【NAMBA】→【BAND-MAID】→【ROYAL BLOOD】→【ホルモン】→【BABYMETAL】→【FF】みたいなタイテを汲んでいて、会場に着いてまず真っ先に向かったのが、ソニックステージのOPアクトとして登場するPassCodeだ。

PassCodeといえば、先月にBAND-MAIDと対バンする予定だったのが、彩ちゃんのポリープ発覚によりその対バンは残念ながらキャンセルになった経緯がある。PassCodeの評判は前々からよく耳にしていて、特にアイドルなのに男勝りにスクリームする子がヤバイと。そういった意味でも、ずっと気になっていた存在で、つい先日リリースされた1stアルバム『ZENITH』をSpotifyで予習バッチシの絶妙なタイミングでライブが観れるなんて願ってもない出来事だった。自分はスタンドから観戦したのだけど、開演時間前から既にアリーナはOPアクトがには思えない数のヲタが集結していて(これはPassCodeが大阪出身のアイドルだからかもしれない)、そしてメンバーと生バンドが登場すると、これまたOPアクトという品書きが失礼なほどの爆発的な盛り上がりを見せる。そして、個人的にこのライブで最も期待していたのが、他ならぬ「スクリームするアイドル」で、それはもう凄かった。音源で聴くよりもライブの方が迫力が増すし、ありがちな「胡散臭いスクリーム」じゃなくてガチなやつのスクリームで笑った。PassCodeのライブで特に凄いと思ったのは、ヲタの士気を上げるメンバーの「煽り方」が本当に上手いというか、それこそ「大阪っ子の気質」とでも言うんだろうか、別に関西弁を使って煽るわけではないけれど、その突出した「煽りの上手さ」がPassCodeが「ライブアイドル」として高く評価される大きな起因となっているんじゃあないかって。なんだろう、単純に「これは売れるわ」としか言いようがないライブパフォーマンスを展開していた。ヘタしたら来年はオーシャンステージに昇格してるんじゃねぇ? とにかく、この「煽りの上手さ」はBAND-MAIDが最も学ぶべき部分でもあるし、このままだとBAND-MAIDは一生PassCodeに追いつけないだろう。

PassCodeが終わると、次のお目当てのNAMBA69まで時間が開くので、そもそもファッキンホット(クソ暑い)な外に出たくないから昼ごろまでそのままソニックステージに引きこもることにした。で、OPアクトのPassCodeに次いで、ソニックステージの一発目を担うSWMRSのライブを観たのだけど、音楽性以前にフロントマンが何故かワンピースを着て演奏しているというネタ部分で注目を浴びていた。あと途中のMCで急に「六甲おろし」を歌い始めて(大阪だから)、「おいおい彩ちゃん歓喜じゃん」ってなった。

勿論、個人的に一番のお目当てがBAND-MAIDであることは今さらの話で、となるとBAND-MAIDの前に演るバンドが重要になってくるのだが、そのバンドがまさかのNAMBA69で、ハイスタの難波さん率いるNAMBA69といえば、僕が初めてBAND-MAIDのお給仕を観た今年の3月に豊橋で開催されたパンクイベント以来、ここで会ったが約5ヶ月ぶりで、あの3月の時点ではこの数ヶ月後に両者とも初サマソニで再び同じステージで共演するなんて思ってもみなかった。これ以上ないお膳立てというか、むしろ3月のイベントで見た時以上のパンク/ハードア魂を炸裂させるライブを披露してて、こんなん見せられた後にBAND-MAIDとかハードル高すぎでしょ難波はん・・・ってなった。

その妙な不安は、BAND-MAIDのサウンドチェックの時点で、つまり小鳩ミク「くるっぽ!」と言った時のオーディエンスの反応が鈍すぎる時点で、小鳩は既に察知していたのかもしれない。そう、今このホワイトマッシブの会場にいる観客の9割がBABYMETALを目当てにサマソニに来ている、つまりBAND-MAIDにとって今まで経験したことのない「完全アウェー」なお給仕となることを。そして、小鳩と同じく、バンドメイド軍の中でも特に気性の荒いエリート「魔彩族」である僕は、既に会場=戦場一帯がロリコン・ベビメタ軍に制圧された状態、つまり前線に点在する約1割規模のバンドメイド軍が孤立無援の窮地に陥っていることを自覚していた。まるで気分は漫画『キングダム』の敵地で孤立した飛信隊だ。

「魔彩族よッ!30分だッ!30分耐えきれば実質我々の『勝利』だッ!」
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これは「負け戦」だ。当然、未来への『勝利』に結びつける「負け戦」だ。バンドメイド軍の先鋒隊である「魔彩族」の僕は、まずはギターの歌波がいる上手前方4列目から戦況を伺っていた。周囲にはバンメTシャツを着た友軍とベビメタTシャツを着た敵軍が入り乱れた状態で、この状態で戦(お給仕)が始まったら一体どうなってしまうんだ・・・?まるで戦況が読めなかった。そして、お馴染みのSEとともにバンドメイド軍の三将軍、そして一匹のが登場すると、先制攻撃として”REAL EXISTENCE”をブチかます。「ファーストコンタクト」としてはこれ以上ない選曲だ。これにはエリート「魔彩族」の僕も「勝ったな」と余裕をかましていた。しかし、その「勝機」は一転して「恐怖」に変わった。

あまりにも盛り上がりに欠けていた。前線はもとより、上手側のバンメTシャツを着た友軍すら棒立ち人間で、この一種異様な光景を見た僕は「えっ・・・えっ?」って現実を受け入れられないでいた。この時点で、ステージ上で指揮するバンドメイド軍の三将軍、そして一匹のはこの緊急事態を全て把握していたはずだ。その何とも言えない流れのまま、2弾目の矢として最新シングルから”Choose me”を披露する。そして、ここで窮地のバンドメイド軍に救世主が登場する。それは、最新シングルの”Choose me”をフルで歌いながら戦場中央付近で暴れ回る一人のキッズの姿だった。「これはイケる」、しばらく上手側で孤軍奮闘していた僕はそう確信し、そのまま中央の友軍に合流した。そして第3弾目の攻撃として”Don't you tell ME”を放つと、その救世主のキッズを中心に「オイオイ」コールが巻き起こる。僕はここぞとばかり、そのキッズを利用して、つまり「俺を姫まで押し上げろ!」とばかりワザと僕に体当りさせてに届くようなコールをブチかました。

「一気に畳みかけるぞ」とばかり、バンドメイド軍の三将軍は4弾目の矢として”FREEDOM”でトドメを刺しに来る。今のベビメタに不満を持っている奴を、一人でも多く我らがバンドメイド軍に引き入れることを最大の目的としたこの戦いは、この”FREEDOM”であっけなく幕を閉じた。何故なら、俺たち「魔彩族」は戦場で姫を守護するために組織された精鋭部隊であり、同時に「魔彩族」からのレスというご褒美を貰うため戦場で暗躍する部隊でもあるのだ。「ここが勝機!」とばかり、代々「魔彩族」に伝わる秘伝の奥義「魔彩ジャンプ」”FREEDOM”のサビで決行した。サビで自分以外ジャンプしてなくて「ふぇぇ・・・」って、「これもう俺がニワカみたいじゃん」ってなったけど、周囲のベビメタ軍に「あ、こいつガチ勢だ」と思わせただけでも今回の「魔彩ジャンプ」は成功したと言っていい。そしてそして、お給仕の序盤でも盛り上がりに欠けると察していたお陰か、この「完全アウェー」な戦況の中で「魔彩ジャンプ」というガチ勢アピールをしたお陰か、ガチで本当にと数秒間目があった気がしたけど、恐らくはいつもの勘違いだろうと思うと泣ける。でも逆に、バンメガチ勢が明らかに少ない現場だからこそ、からレスを貰うチャンスが通常のお給仕よりも格段にアップするわけで、そのチャンスとタイミングを逃さず、それを逆手に取った彩ちゃんTO(トップヲタ)を目指す僕の勝ちです。

秘伝の奥義「魔彩ジャンプ」を放ったことで、それプラスこの猛暑で体力が限界に達した。第5弾目の矢として”Play”を放つが、新曲ということもあってかイマイチ盛り上がりに欠けたのも事実で、ここまでの盛り上がりの欠け具合を何とかして改善しようと、は「腕を上げて腕はそのまま」みたいな感じに煽ってから第6弾目の矢として”モラトリアム”を放つ。が、この曲のキーポイントとなる小鳩のバッキングのギターの音がショボくて、今日は最後までが足を引っ張っていた感満載だった。そして、最後の矢として”the non-fiction days”を放つと、自分の直ぐ後ろでサークルが発生したりと、先ほどのによる「煽り」が効いたのか、そこには序盤のイマイチ「盛り上がりに欠ける」ような印象は完全に払拭されていた。少なくとも、この「負け戦」の最大の目的である「今のベビメタに不満を持っている奴ら」をバンドメイド軍に引き込むには十分過ぎるパフォーマンスを、この猛暑に負けじとブチ込んでいた。

全7曲、セトリからしても9割がベビメタ軍という「完全アウェー」を見越したセトリで、正直”ドンレミ”がなかったのは「マジか」ってなったけど、いわゆる初見には”ドンレミ”よりも”FREEDOM”のが効果的だから、今日のお給仕はベター&ベターなセトリだと思う。で結局、今日のお給仕を見ても思ったんだけど、バンメのお給仕を一番盛り上げてるのっておっさんじゃなくてキッズなんだよなって。だっておっさん動かねぇんだもん。動かないなら後ろで見るべきじゃねぇ?って。そらバンメも「ヲタ切り」ならぬ「おっさん切り」に走るよ。でも結局ココがPassCodeとの一番の差なんだろうな。だから新陳代謝を促すように積極的に対バンしてるわけで。

そんなことより、今日のお給仕で一番心配だったのは、この猛暑から滲み出しそうな彩ちゃんのワキ汗、もといポリープ除去手術から復帰した彩ちゃんの歌声だ。そもそも、ポリープ除去手術して一ヶ月で復帰って冷静に考えたら異常な早さで、野球で例えるなら術後半年は「ノースロー」と診断されてもおかしくないわけで、でも今日の彩ちゃんの歌声を聴いたら完全復活、とまでは言わないが、少なくとも不安は残さなかったのは流石だと(俺らのせいで発生した砂埃だけは心配になったけど)。例えばポリープ除去手術したら「声が変わる」とか、再発を恐れて歌い方が変わるパティーンは少なくはないと聞くけど、その辺の心配は今のところなさそうなんで安心した。でも無理は禁物。

BAND-MAIDが終わって息つく暇もなく向かったのがオーシャンステージのROYAL BLOOD。2014年にデビューしてから、どう聴いてもギターの音にしか聴こえないベースの音が一躍話題を呼び、いつの間にかLollapaloozaにも出演しちゃうウェイ系オサレハードロックの代名詞になってるROYAL BLOODちゃんだが、実はその年その年のサマソニのメンツを見れば「今イケてるハードロックバンド」の推移というか移り変わりを知ることができる。最近で言えば、2013年のVolbeat、2014年はGhost、そして今年がROYAL BLOODだ。おいら、この手のウェイ系ハードロックにはちょっと距離を置いていて、当然のようにこのROYAL BLOODもスルー決め込んでいたけど、今回のサマソニで予習がてらSpotifyで二枚のアルバムを聴いてみたらクソカッコ良くて、特に今年リリースされたUKバンドらしくオルタナ寄りの作風となった、言うなればハードロック化したミューズみたいな作風で、比較的ブルーズ寄りのハードロックやってたデビュー作よりも好みだった。結局、今日のライブでは個人的に好きな”Look Like You Know””Hole In Your Heart”は演ってくれなかったけど、彼らの代表曲を中心にフロントマンのマイク・カーによる「どう聴いてもギターの音にしか聴こえないベースの音」とベン・タッチャーの超絶グルーヴィなドラミングが織りなす業は黙っててもノレる。とにかく、演奏のレベルが段違いすぎるし、間違いなく今日のベストアクトです。

そのままオーシャンステージでホルモンを4年ぶりに見る。実は4年前のサマソニ大阪と今年のサマソニ大阪で観るの被ってるバンドってホルモンとベビメタだけで、しかもホルモンも久しぶりのサマソニ出演らしく、しかし全くのブランクを感じさせない、相変わらず面白い(今回は探偵ナイトスクープのOP曲を使った)ネタパフォーマンスを見せつけていた。2013年のサマソニ大阪と違うのは亮君の風貌だけ。そのまま狼ざっと見からのBABYMETAL

面白いのは、今年のサマソニ大阪でBAND-MAIDが立ったホワイトマッシブは、元々は2013年のBABYMETALが立ったフラワーステージと同じ場所で(違うのは屋根っぽいのが付いただけ)、つまり4年前にサブステージで演ってた奴らが、その4年後に今やホルモンをブチ抜いてメインステージのトリ前に抜擢されるサクセスストーリー感。そのベビメタのサマソニにおけるサクセスストーリーの歴史が紙芝居でスクリーンに映し出され、挨拶がてら”BABYMETAL DEATH”を披露。立て続けに代表曲となる”ギミチョコ””メギツネ”を披露し、そして”Road of Resistance”では「Wall of Deathの乱」と題した紙芝居がスクリーンに映し出され、SU-METALの支持に準じて巨大なWoDを作り上げ、他にも巨大なサークルやトドメのWoDまで、去年の東京ドーム2デイズから約一年ぶりに見たベビメタのライブは、もはや貫禄すら感じさせるパフォーマンスと凄みに溢れていた。しかし、唯一気になったのはSU-METALが高域を辛そうに歌ってたことで、昨年の東京ドーム2デイズはパーフェクトなパフォーマンスだっただけに、この一年どれだけ働かせたんだ?と想像もしたくなった。これは皮肉なもんで、今年初めて元フラワーステージことホワイトマッシブに立った、BAND-MAID彩ちゃんが喉の手術をして見事に復活し、その一方で2013年に元フラワーステージに立ち、今やメインステージに立つまでになったBABYMETALSU-METALが喉に不安を残す結果となったのは、何かの因果なのかもしれない。

このベビメタ軍の敵の本拠地に単騎で潜入していた「魔彩族」の僕は、あまりの「恐怖」でその場を離脱した。そして、意識朦朧としながら最後に僕がたどり着いたのが、さっきまでBAND-MAIDが立っていたホワイトマッシブだった。するとそこには、まるで「戦場の女神」とばかり、紅一点の女性の姿があった。

高校生の頃の僕は、主にX JAPANJanne Da ArcYUIを聴く毎日を送る、至って健全な高校球児だった。そう、あの曲が発表されるまでは・・・。

恋しちゃったんだ たぶん 気づいてないでしょ?

今から約十数年前の僕は、YUI『FROM ME TO YOU』を聴きながらYUI Radioを毎回楽しみにしつつ、 映画『タイヨウのうた』が観たいのに嫉妬で観ることができなかった健全なYUIガチ恋勢だった。思春期の僕の気持ちを理解してくれたのは世界でYUIだけだと思った。しかし、あの”CHE.R.RY”が発表されて「あっ、大丈夫っす」ってなってからは、自分の中でYUIの存在は記憶の淵に封印されたものとなった。何を隠そう、このサマソニ大阪の最後の最後で僕の目の前に現れたのが、十数年前の僕の「青春」そのものだった。十数年の時を経て、全く予想だにしない形で僕の「青春」が記憶の淵から蘇ってきたのだ。

当時の健全な高校球児だった僕には、「ライブを見に行く」という感覚が一ミリもなかったので、YUIもTVでの姿やCDから聴こえる歌声しか聴いたことがなかった。しかし今、僕の目の前でサウンドチェックをしながら、そのままほぼ一曲丸々歌ってしまった女性こそ、この変わらぬ声、この変わらぬ姿こそ、僕が昔に聴いてきた「青春」そのものだった。「あのYUIが目の前にいる」なんて信じられなかった。しかし、1stアルバムと2ndアルバム以降のYUIの音楽及び音楽活動は一切知らなかったし聴いてこなかった、というか聴けなかったんだ、怖くて。あのトラウマから逃げ出すようにして、自然と僕の心もYUIから離れていった。

実のところ、YUIが今は【FF】すなわち「FLOWER FLOWER」という名前でバンドをやっているという事は知っていた。でも曲は聴いたことがなかった。そんな、未だに信じられない状況のままFFのライブが始まった。正直、聴くのが怖い反面、しかしそれ以上に「今のYUIがどんな音楽をやってるのか」に対する興味の方が大きかった。エレキギターを抱えたYUIは、十数年前に記憶していたYUIのままで、YUI時代とは一線をがした思いのほか激しい曲からドリーミーな曲まで、ジャズをはじめ様々なジャンルを飲み込んだロックサウンドを繰り広げ、その中にはYUI時代を彷彿させるBメロをさり気なく聴かせる曲もあったりして、それがまた泣けて、歌詞にしてもとても前向きなメッセージを込めたもので、なんだろう、自分が知らない間にYUIは一体どんなことを経験してきたんだと、もはや凡人では想像しきれないYUIの濃過ぎる人生に基づいた一種の悟りにも近いような歌詞世界で、もはやさっきまでの「彩ちゃんと目があった」とか「ベビメタのYUIちゃん」とか、もうどうでもよくなっていた。僕の「青春」の前には、あまりにもちっぽけなものにしかならなかった。驚いたのは、YUI時代よりも歌が上手くなってたのと、声量もYUI時代とは比べ物にならないくらいに成長していたこと。MCでは、「他のステージで演ってる素晴らしいアーティストに負けないように、でも楽しくやろう」と話してたのはとても印象的だった。あと昼間の猛暑が去って、夜間帯だからこそ野外のホワイトマッシブに吹き込んでくる涼しい風が、またFFの音楽と相まって一段と特別な「雰囲気」を彩る演出として機能していた。そして、最後の曲ではYUIは体の一部であるギターを置いて、ステージを降りてフロア側に来たと思ったら、なんと下手側の客の中まで入ってきて、でもYUIは背が小さすぎてファンに埋もれて姿が見えなかったの笑ったけど、僕の目と鼻の先にYUIが存在しているというその事実だけで十分だった。本当に「YUI変わったな」って、もちろん「いい方」に変わったなって。ただそれが嬉しかった。YUIが元気な姿で、YUI時代よりも楽しそうに好きな音楽やってるだけで嬉しかった。そして何故か涙が出てきた。FFはファンのアンコールにも答えて、この「元フラワーステージ」ことホワイトマッシブのトリとして最後までハートフルな空間をファンと共有していた。

今年のサマソニ大阪は想定外過ぎた。当初の目的だったBAND-MAIDBABYMETALの初陣という「負け戦」に実質『勝利』を飾り、満を持してBABYMETAL本陣に単騎で攻め入るもあまりにも強大な勢力を前にして涙目敗走、そしてうつろな目で戦場を彷徨う僕の前に現れたのが「戦場の女神」ならぬYUIという神展開。ついさっきまで、同じステージで直属の精鋭部隊「魔彩族」としてイキってたのに、いつの間にか10代の自分に『時』が巻き戻っていた。なんだこの展開・・・。なんかもう全部YUIが持ってた感じ。こんなん泣くでしょ普通。でも今年のサマソニは僕が絶対に行かなきゃならないと、本当に行ってよかったと心からそう思えた。クソ暑かったけど、とにかくクソ楽しすぎたの一言。

で、最後に運営側に対しての苦言と言うか、「え、そこ間違える?」ってのがあった。

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どう見てもサマソニ運営に『時』を巻き戻す「スタンド使い」がいるとしか思えなかった。いや、そこだけは間違えたらダメでしょ。

tricot 『3』

Artist tricot
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Album 『3』
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Tracklist

02. WABI-SABI
03. よそいき
04. DeDeDe
05. スキマ
06. pork side
07. ポークジンジャー
08. エコー
09. 18,19
10. 南無
11. MUNASAWAGI

「中嶋イッキュウのソロデビューとは一体なんだったのか」

ナレ「その謎を明らかにすべく、我々藤岡探検隊はアマゾン奥地へ向かった!」

ぼく藤岡隊長
new_f1923a5521c1b1e5a8ad3dfca108ca75「おぉ...ここが未開の部族が棲む秘境の地か...ん?あれはなんだ!」


ナレ「突如、我々の目の前に暗闇から何者かが現れた!」


 未開の部族
new_tricot_a-thumb-1200xauto-53972「コレ アゲル」

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ぼく藤岡隊長
new_img_0「なんだこれは・・・無地のケースに『3』の数字が描かれているだけのCDと「2012.11」という日付のような数字が記された青いCDだ」

 未開の部族
new_tricot_a-thumb-1200xauto-53972「コレ キイテ」

ぼく藤岡隊長
new_tanken3-26「よし、まずは青い方のCDから聞いてみよう」


青いCD「私じゃダメなの?もう好きじゃないの?


ぼく藤岡隊長
new_f1923a5521c1b1e5a8ad3dfca108ca75「林抱いて///」

 未開の部族
new_tricot_a-thumb-1200xauto-53972「『サン』 モ キイテ」

ぼく藤岡隊長
new_img_0「こ、これは!もしやトリコットの新しいアルバムじゃないか!?おい!手抜きすんなイッキュウゥゥゥウウ!!メンヘラなれーーーーーーーーー!!」

イッキュウ中嶋
new_tricot_a-thumb-1200xauto-53972「かかってこいやああああああああああ!!」

ぼく藤岡隊長
new_tanken3-26「Just Bring It!!Just Bring It!!」

イッキュウ中嶋
new_tricot_a-thumb-1200xauto-53972「Just Bring It!!Just Bring It!!」


初めてこの無印のケースに「3」という数字が書いてあるだけの、歌詞カードも入ってない「シンプルイズザベストスタイル」のCDを目にした時、僕は中学生の頃に友達から借りた様々なアーティストの音源が詰まった無印の青いCDを思い出した。これはトリコットのメンバーや僕と同世代の「今ギリギリ20代」の人なら共感してもらえるような話で、今から約15年前、当時の中学もしくは高校時代って「音楽をCDに焼ける奴」=「神」みたいな存在で、そもそも「CDに焼く」という言葉も今では死語になってる気もするし、その「CDに焼く」という行為が違法行為(グレーゾーン?)だなんてのは、昨今の「ストリーミング時代」を前にしたらクソどーでもいいただの思い出話でしかなかった。僕が中学生の頃に友達から借りた上記の青いCD(現物)には、(2002年)当時流行っていたJanne Da ArcL'Arc~en~CielなどのV系ロックをはじめ、モンパチから種TM西川兄貴、ブリグリやBOAなどのJ-POPの音源が詰め込まれていて、特にその中に収録されていたJanne Da Arcのバラード”DOLLS”を初めて聴いた時は、体に稲妻のような衝撃が走ったのを今でも憶えている。それ以来、僕はJanne Da Arcの虜となり、CDは勿論のこと大阪城ホールやSSAのライブDVDを買い占めた。何を隠そう、このトリコットの3rdアルバム『3』は、中学生の頃に無印の青いCDを介してJanne Da Arcと運命的な出会いを果たし、そして僕のその後の音楽的な嗜好を決定づけたように、この『3』を聴いた今の中高校生のその後の人生に多大な影響を与えるであろう、邦楽界の歴史に名を残す名盤なのである。

ここ最近のトリコットといえば、昨年に『KABUKKAKE EP』を発表するやいなや、フロントマンのイッキュウ中嶋がソロ活動を始めたり、それこそ昨今の「洗脳ブーム」に乗っかってじゃないけど、とにかく最近のイッキュウ中嶋って「中嶋ホームオブハートイッキュウ」に改名すんじゃねーかってくらい、なんか悪い男にそそのかされて急に坊主頭にして「出家します」とか言い出しそうな、そんな戸川純リスペクトな典型的な「勘違い女」みたいな危うい雰囲気あって、終いにはゲス野郎のプロデュースで芸人の小籔野性爆弾くうちゃんとバンド結成して俄然「勘違い女」っぷりに拍車をかけ、今やライブツアーの箱も縮小して解散間際の集金ツアーみたいな典型的な落ち目バンドみたいな事やってて、トリコットがそんなハンパなことやってる間に、フォロワーの「右斜め45度女」こと率いるポルカドットスティングレイにも人気でも動員でもブチ抜かれる醜態を晒していて、傍から見てると「おいおいトリコット大丈夫かよ」みたいな、「ソロ活動は自由だけどバンドには迷惑かけんなや」とちょっと心配になるくらい、まぁ、それくらいここ最近のトリコットを取り巻く状況は、こんなオモンナイバンド見たことないってくらい、まさしく「オワコンバンド」の名に相応しい状況まで追い込まれていた。もうこの際、イッキュウ中嶋こと顔面朝勃ち女くうちゃんと一緒に『ドキュメンタル』に参加して100万円奪われとけやと。つうか、なんやねん顔面朝勃ち女て、自分の真上に発射して自分の顔にBUKKAKEんのかよ。キモすぎだろ。

2015年作の2ndアルバム『A N D』では、某BOBO氏をはじめ複数のドラマーの協力を得て制作され、昨年の『KABUKKAKE EP』では、ドラム・オーディションを開催して選出された5人のドラマーを起用した楽曲が話題となったが、実は自分もそのドラムオーディションに応募して、その結果一次選考で落選したことを今でも根に持っていて、何故なら僕がこの度のドラム・オーディションで選んだ曲がX JAPAN”ART OF LIFE”という、いわゆる(Radio Edit)ではない方の29分ジャストの方の完全版で、そしてYOSHIKIの「かかってこいやー!」からの「ヘドバンは良くない」からのアテフリプレイからドラムセット破壊まで、ライブ作品の『Art of life live』を忠実に完全再現したビデオを撮って応募したわけ。なのに一次選考で落選とか本当にショックだったし、もうトリコット聴くのやめようかと思ったほどで、少なくとも「あの時点」ではまだ僕がトリコットの三代目ドラマーとしての人生を歩んでいた「if(もしも)」の世界線が存在していたわけ。まぁ、全部ウソだけど。最終的にサポート・ドラマーに選ばれ、今回の『3』に収録された新曲を叩いているのは、ドラムオーディションを勝ち抜いた5人の内の一人である吉田雄介氏で、なんか結局安牌な結果になったというか、またしても一番面白みのない結果になって、こんな結果ならガチで僕が”ART OF LIFE”の完全版アテフリした方が面白かったわ。もっと言えば、BAND-MAIDがメジャーデビューする前にドラマーのを引き抜いてれば今頃トリコットは天下取ってたに違いない。なぜかと言うと、僕が今年の初めにBAND-MAIDのMVでのドラムプレイを見た時、以前までトリコットのサポート・ドラマーとして活躍していた”みよさん”こと山口美代子さんの叩き方とソックリな事に、ボーカルの彩ちゃんに一目惚れするよりもまず一番先にそこに驚いて、もしや親子関係あるいは師弟関係でもあるのかと一瞬勘ぐったくらい。それは行き過ぎた冗談にしても、でもが一度でいいからトリコットでドラム叩く姿を見たいって人は間違いなく僕以外にも存在するハズ。とにかく、そういった面でも、今のトリコットを取り巻く状況は「オモンナイ」の一言でしかなかった。



それはそうと、この『3』の幕開けを飾る”TOKYO VAMPIRE HOTEL”がOPテーマに起用された、園子温監督のamazonオリジナルドラマ『東京ヴァンパイアホテル』を観たのだけど、毎回OPの入り方がサイコーにカッコ良くてかなり扱いは良かった。ちなみに主題歌はMIYAVI。で、一話の初っ端からしょこたんの激しい銃乱射からの血ドバー!に始まって、謎の筒井康隆ネタから、映画『ムカデ人間』でお馴染みの俳優北村昭博や某グラドル、そして園作品でも毎度お馴染みとなった監督の嫁NTR要素とか小ネタも多いし、そして見せ場となる主演の満島ひかり(弟)と夏帆のアクションシーンは勿論のこと、おっぱいの大きいヒロイン役の女優誰かな?と思って見たら、映画『アンチポルノ』の主演でヌードも披露した(例の当選したポスターでもお馴染みの)冨手麻妙とかいう女優らしく、作中で一番体を張った演技を見せているが、その役者陣の中でも特にMVP級の活躍を見せているのが安達祐実で、さすがレジェンド子役女優だなと。それと、物語終盤に出てくるアカリ役の森七菜は今後要注目の新人女優だと思う。とにかく、レビュー自体はボロクソだけれど、これまでの園子温作品が好きならそのブッ飛んだエログロな世界観だけでも十分視聴継続できるし、確かに3話以降ホテル内の話になると急にテンポが悪くなるのは監督のいつものクセというか、そもそもテンポよくできる監督だったら4時間の映画なんて撮らねぇし、そこはご愛嬌としか。話としては終盤の展開の方が面白いかな。ちなみに、本作は既に映画版として編集されたモノが海外で上映されており、ちなみに名古屋県は豊橋市で撮影されたシーンも収録されている。

そんな『東京ヴァンパイアホテル』の世界観が堪能できる歌詞もポイントなトリコット”TOKYO VAMPIRE HOTEL”は、幕開けの疾走感触れるドラムとソリッドなリフから1stアルバム『T H E』”POOL”を彷彿させる、それこそ”タラッタラッタ”の歌詞にある「初期衝動を忘れたくないのに 古くなる事は止められないらしい」という、初期トリコットの問いかけに対する「答え」のような粗暴で荒々しい獣性むき出しの衝動性を垣間見せ、そして初期の9mm Parabellum Bullet的な、すなわちカオティック/ポスト・ハードコア然とした破天荒かつ激情的なサウンドを繰り広げていく。このトリコット節全開の音作りとサウンドから分かるのは、「This is tricot」すなわち「tricot is Back」を予感させると同時に、その中でボーカルのイッキュウ中嶋は2ndアルバム『A N D』で培った「ポップ」なセンスを巧みに昇華し、それこそ「おいおいペギーズじゃねぇんだから無理すんなBBA」とツッコミたくなるくらい、イマドキのガールズバンドで歌ってそうなくらい(顔面朝勃ち女らしからぬ)過去最高にポップな声色を織り交ぜながら、更に進化した多彩なボーカルワークを披露している。

それから間髪入れず始まる#2”WABI-SABI”は、1stアルバム『T H E』への回帰が見受けられた”TOKYO VAMPIRE HOTEL”と対になるような、今度は2ndアルバム『A N D』的なボーカルとコーラス主体に、しかしトリコットらしさに溢れた変則的なリズムで緩急を織り交ぜながら展開する曲で、この頭の2曲をワンセットみたいな形で聴かせる。その”トリコットらしさ”に溢れた幕開けから一転して、今作の象徴するような#3”よそいき”から導き出される言葉はただ一つ、それが「自由」だ。この曲はオルタナ然としたカッティング主体に展開し、イッキュウ中嶋の「イェイイェイ フッフー アーハー イエーイ」という軽快なボーカルワーク、そして2番目からはまさかの吉田美和がゲスト参加と思いきやリード・ギターキダ モティフォの歌とヒロミ・ヒロヒロの歌を織り交ぜた「トリプルボーカル」をブッ込んでくるほどの「自由さ」を発揮する。確かに、こう見ると確かに今作は「自由」っちゃ「自由」だが、しかしこれを「自由」という一言で片付けてしまったら、これまでのトリコットがやってきたことを全否定するような気もして、今作を「自由」という一言で片付けるにはあまりにも安易すぎないかと、僕が思うに、これは「自由」であること、それ以上に「自然」であると。

確かに、トリコットは初期衝動全開の『T H E』の変拍子だらけの音楽性が高く評価された。その反面、続く『A N D』では変拍子はただのギミックに過ぎないとばかり、そしてフロントマンであるイッキュウ中嶋の「#椎名林檎の後継者なの私だ」アピールを拗らせた、つまりイッキュウ中嶋が「ワンマンバンド化」を目論んだ、「アタシめっちゃ歌えるやん!」と勘違いを拗らせた「ただのJ-Pop」と各方面から批判された。つまり、僕が『A N D』のレビューで「こういうバンドこそメジャー行ったら面白い」と書いたことは、あながち間違いじゃあなくて、それくらいサブカルクソ女系のJ-Pop臭がハンパないアルバムだったのも事実で、それは一作目が高く評価されたバンドにありがちな「二作目のジンクス」みたいな側面もあって、その「脱変拍子バンド」を図った前作が批判されて日和った結果、この『3』では『T H E』『A N D』の中間みたいな、ロックバンドにありがちなクソ典型的な音楽遍歴を辿っている。「変拍子はただのギミックに過ぎない」のは、ある意味前作と何一つ変わっちゃあいなくて、その変拍子に囚われない「いい意味」でこの『3』でも踏襲している。つまり、変拍子祭りの『T H E』と脱変拍子の『A N D』で培ってきた基本的なことを忠実に守り、それを素直に表現しているという意味ではまさに「自由」と言える。

この『3』では、オルタナだマスロックだなんだ、他バンドからの影響だなんだ以前に、それ以上にトリコットなりに「普遍的なロック」を貫き通している。それこそ『T H E』『A N D』の間に生じた「意図的」な「変化」ではなく、この『3』では特定のジャンルや特定の何かを「意図的」にやろうとした気配はまるでなくて、もはや身体に染みついた「変拍子」という名の「意図的」でない「リズム」が「自然」に溶け込んでいくように、端的に言ってスタジオセッションで起こる「インプロヴィゼーション」の延長線上にある、生々しいオーガニックなトリコットなりのロックンロールを、すなわち『トリコロール 顔面朝勃ち女の章』を極めて自然体で鳴らしている。メンバー自身が、真正面からトリコットの音楽と向き合っている。これはもう、いわゆるメシュガーが「メシュガー」というジャンルなら、このトリコットは「トリコット」というジャンルだ。

この『3』を野球の球種で例えるなら、『T H E』でド真ん中のストレート、『A N D』で緩い変化球を投げてきたトリコットが、今度は「ストレート」でもあり「変化級」でもある「ツーシーム」を投げてきている。そう、「ストレート」だと思って打ちに(解釈しに)いったら手前で微妙に「変化」して、バットの根元に当たってバットがへし折れるあの「ツーシーム」だ。どうりで打てないわけだ。「ストレート」だと解釈して打ちにいってはどん詰まり、はたまた「変化球」だと予測して打ちにいっても綺麗に空振りしちゃうわけだ。何故なら、ストレートでも変化球でもそのどちらでもないのが「ツーシーム」=『3』だからだ。だから今のトリコットに野球で勝てるバンドっていないと思う。

前作の”E”を聴いた時は「デッ デッデッデーーーーーンwwwwwwwww」みたいなノリで、メタリカのマスパペでも始まるのかと思ったけど違って、今回は”DeDeDe”というタイトルで今度こそはガチでメタリカのマスパペカバーきたか!と思って聴いてみたけど違った。普通にオシャンティなジャズだった。中盤のハイライトを飾る「イー、アール、サン、スー」な#7”ポークジンジャー”では、『T H E』”おちゃんせんすぅす”を彷彿させるオリエンタルなチャイニーズ感を醸し出し、そのタイトルどおりきのこ帝国を彷彿させる白昼夢を彷徨うかのような幻想的なギターのリフレインが響き渡る#8”エコー”、キレッキレの転調や変拍子を巧みに織り交ぜながらオルタナとプログレの狭間を行き来しつつ、Misery Signals顔負けの叙情派ニュースクールハードコア然としたギターをフィーチャーした#9”18,19”ナムナムナムナムてホンマに出家しよるやんこいつってツッコンだ#10”南無”は、ふと仕事中に無限ループしてクソ迷惑だったのを思い出した。そして『KABUKKAKE EP』に収録された、最初期トリコットのリフ回しから”99.974℃”ばりの転調をキメる#12”節約家”まで、「アンチポップ」あるいは「アンチメジャー」の精神に溢れた、そして#3や#9をはじめ『KABUKKAKE EP』でも垣間見せたソングライティング面での成長、その確かな作曲能力に裏打ちされたトリコロールをぶっ放している。


ここまで書いたこと全部間違ってるし全部ゴミなんで忘れてもらっていいです。この『3』を発売日に買ってから今まで、頭に浮かんだイメージが定まらない上に全然まとまらなくて、頭が破裂しそうなくらいグチャグチャになりながらも、いざ書いてみてもやっぱりリズム感のないゴミ文章にしかならなかったからゴミ。確かに、この『3』でやってることはもの凄く「シンプル」で、しかし「シンプル」故の難しさみたいな所もあって、それは「普通」でいることの難しさでもあって、その音楽的な内面やガワの面では引っかかりがなくて俄然「シンプル」なのに、どこか別のところで妙な引っかかりを感じている自分も確かに存在して、事実このアルバムを初めて聴いた時は「気づいたら終わってた」みたいな感想しか出てこなくて、こう書くとあまり良いイメージを持たれないかもしれないが、逆にそれくらい初めて聴くのに異様に耳に馴染む感覚っつーのかな、実はその感覚こそこのアルバムの一番大事な部分のような気もして、しかしそれでも「核心的」な部分がまるで見えてこなくて、何だかすごく曖昧で、しかしこの言いようのない得体の知れない、恐ろしいナニカが潜んでいるような不気味な雰囲気に飲み込まれそうで。ここまで僕を悩ませたのは、全ては顔面朝勃ち女のメンヘラクソ女みたいな長文ブログ『シンプルがベストだと思う理由』を読んでしまったからで、特にこのブログの「CDが売れない時代」のくだりに引っかかって、何故なら僕は過去にフィジカルとデジタルの境界線に関するCDが売れない時代の話のくだりで、「椎名林檎よりもトリコットのCDを買って応援してやってほしい」と書いた憶えがあって、だからこのブログの内容を見てスゲー考えてんなこいつって思ったし、その流れで急にX JAPANネタぶっ込んできてクソ笑ったし、最終的に「自主レーベルでやりたいことを(自由に)やれてる」と「考え方をシンプルにしたかった」という話を聞いて、またしても僕は過去に「トリコットみたいなバンドこそメジャー行ったほうが面白くなりそう」みたいな事を書いてて、要するにこれらのイッキュウ中嶋の言葉は、自分が「トリコットの事を何も知らないジョン・スノウ」だったと、いや「知ろうともしなかったクソニワカ」だったと気付かされたし、このブログの内容に強く共感してしまった僕は、ヘラりながらも一つの答えにたどり着いた。それが、この『3』トリコットなりの「(実質)メジャーデビュー作」であるということ。

『3』=

この『3』は三枚目の『3』でもあり、三人組の『3』でもある。そして『3』という数字は、キリスト教にとって「三位一体」を意味する奥義であり、キリスト教にとって「神の世界」を表す聖なる数字でもある。この意味に気づいた時、この『3』に潜む「得体の知れないナニカ」を目の当たりにし、そしてトンデモナイ領域にたどり着いてしまったのではと、我々藤岡探検隊はただただ「恐怖」した。これまでのアルバムとは一線をがした、この『3』からにじみ出るような得体の知れないものこそ、全知全能の『神』そのものだったんだ。僕は、この『3』という「神の世界」の中でキリストと対面していたんだ。我々はその「恐怖」を前に体が硬直し、今更もう引き返せなかった。我々は全知全能の『神』と対峙した瞬間、もはや「ツーシーム」だとか「神降ろし」だとかそんなものはどうでもよくなっていた。僕は勇気を振り絞って最後の”メロンソーダ”を聴いた。すると涙が溢れ出して止まらなかったんだ。



この『3』は、今月いっぱいでバンドを卒業する佐藤千明と、今後は『3』ピースで活動していくことを宣言した、盟友赤い公園に対するトリコットなりのエールにしか聴こえなかった。初めてこの『3』を聴いた時から、特にアルバムの最後を飾るJ-POPナンバーの”メロンソーダ”がナニカを示唆しているようにしか聴こえなかった。その数カ月後、まるで『3』という数字が赤い公園の未来を暗示するように佐藤千明の脱退が公表されてから、改めてこの”メロンソーダ”を聴いたらもう涙が止まらなかった。確かに、この”メロンソーダ”イッキュウ中嶋の(顔面朝勃ち女らしからぬ)一際ポップでセンチメンタルな歌声をフィーチャーした、「ただのJ-POP」に聴こえるかもしれない。しかし僕には、決して「ただのJ-POP」には聴こえなかったんだ。今までずっと悩んできた全ての答えがこの”メロンソーダ”に詰まってるんじゃあないかって。皮肉にも、早々にメジャーデビューして「最悪の結末」を迎えた赤い公園とは逆に、「トリコットもメジャーいけ」という周囲の何者の声にも一切惑わされず、自身の音楽理念を信じ、それを一貫して貫き通してきたトリコットというバンドの生き様が込められた、そして「インディーズ」に足をつけながら「もしトリコットがメジャデビューしたら」という高度な「if(もしも)」を、この『3』で実現させている。これは赤い公園”サイダー”に対する”メロンソーダ”であり、赤い公園『猛烈リトミック』に対する『サン』である。最後にトリコットが示したのは、「インディーズ」にいながらも「メジャー」を超えることができるという力強い意志だ。それこそ赤い公園の津野米咲が掲げる”じぇいぽっぱー”としての「意志」を受け継ぐようなJ-POPでアルバムの最後を締めるあたり、これが「トリコットなりのJ-POP」であり、これが「トリコットなりのメジャデビューアルバム」だと、まさにマスロック界からJ-POP界へ殴り込みをかけるような歴史的名盤である。この『3』に込められた今のトリコットの生き様を見せられて、津野米咲は一体何を、そして佐藤千明は一体何を思う?

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ここまでの話は全部ゴミだからどうでもよくて、結局のところ僕がトリコットに伝えたいことはただ一つで、それはイギリスで開催されるArcTanGent FestivalTesseracTと共演した暁に、今度は是非ともTesseracTと一緒に日本でツーマンやってほしいということ。そもそも、このそうそうたるメンツの中に日本のバンドがいること自体相当凄いことで、つまり何食わぬ顔でこのメンツに名を連ねているBorisスゴい。事実、あのTesseracTを日本に呼べる、あるいは対バンできるバンドってトリコットしか他に存在しないと思うし。勿論、このTesseracT(テッセラクティー)TricoT(トリコッティー)の引かれ合いは、2ndアルバム『A N D』の中でTricoTが垣間見せたPost-Progressiveのセンス、その証明に他ならなくて、この『3』TricoTがますます世界的なバンドへと飛び立っていく未来を暗示するかのような一枚といえる。

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別冊マーガレットの『岸辺露伴は動かない』を読んだ

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この出来事は、この僕が何故「日本一のジョジョヲタ」を自称しているのかを証明するかのような出来事だった。

これはクソみたいな女兄弟がいる人なら共感してくれると思うのだけど、おいら、子供の頃は暇さえあれば姉が読んでいた『リボン』『マーガレット』をはじめとした、いわゆる「少女漫画」をパラパラと読みふけっていた、それこそ小学生の頃に『ジョジョの奇妙な冒険』と出会うよりもまず先に「少女漫画」に触れていた子供だった。いつだったかな、確か相対性理論『天声ジングル』のレビュー記事の中で、僕はジョジョは男が読む少女漫画であるしたがって「女はジョジョを理解することができないのに何故読むのか?女は女向けの少女漫画を読んでいればいい」からの僕が認めるジョジョヲタはやくしまるえつこだけとも書いたことがあって、それこそ今回の『ジョジョの奇妙な冒険』=『岸辺露伴は動かない』シリーズと「少女漫画」の運命いや必然的な引かれ合いは、まさにその証明としか言いようがない出来事だった。

今回の裏表紙の岸辺露伴を見てもそうなのだけど、最近の、というよりジョジョ7部『スティール・ボール・ラン』の終盤以降の荒木飛呂彦先生が描く絵というのは、それこそ「少女漫画」に連載されていてもおかしくないくらい、どこか物凄く「中性的」いや「女性的」な、すなわち「ジェンダーフリー」の精神がその現代的な画風から滲み出ていて、それこそ常に絵柄が変化していく「オルタナティブ漫画家」であることでも知られる飛呂彦だが、この件について「日本一のジョジョヲタ」の僕が思うに、飛呂彦って基本的に男女問わず全ての主要なキャラクターを描く時に、まず足がかりにあの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」を描くイメージをもって、本来意図するキャラへと近づけていく漫画家であると。ではなぜ「モナ・リザ」なのか?ご存知な人もいるかと思うが、「モナ・リザ」の絵にまつわる『謎』は幾つもあって、その諸説の一つに実は「モナ・リザ」のモデルって「男性」「ダ・ヴィンチの愛人」であるという一説は特に有名な話で、つまりはそれがこの話の「答え」で、要するにキャラクターを描く時に始めに「モナ・リザ」をイメージして描くことで、最終的に「男性」にも「女性」にもペンを動かす事ができる、例えば描き始めは「モナ・リザ」で絵が完成するまでの過程でジョジョ8部『ジョジョリオン』の主人公東方定助とヒロインの広瀬康穂、そのどちらの「性別」=「SEX」にも持っていけるというわけ。この「モナ・リザ」の話は、飛呂彦自身がどこかの雑誌のインタビューでそれっぽい事を語っていたような気もするし、それはただの僕の捏造かもしれないのであしからず。

で、今回の『岸辺露伴は動かない』シリーズのエピソード9を読んでみての感想なんだけど、流石にいつもと違って「少年(青年)漫画」ではなく「少女漫画」に記載されるというだけあって、今回のテーマは人の「D・N・A」にまつわる「奇妙」で「運命的」な、露伴シリーズらしからぬ?露伴シリーズ初となる「恋バナ」となっている。これまでの露伴シリーズにはなかった「恋」をテーマにしているので、果たして飛呂彦に「恋バナ」が描けるのであろうか?『ジョジョの奇妙な冒険』「恋バナ」と言うとジョジョ1部のジョナサンとエリナ、ジョジョ2部のジョセフとスージーQ、ジョジョ4部の広瀬康一と山岸由花子、ジョジョ5部のジョルノとミスタ、ジョジョ6部の徐倫とアナスイか、、、う~ん・・・と懐疑的に思ったフアンも少なくないはずだが、そこはさすがの飛呂彦の奇妙な感性と科学的な嗜好と知識をもって「荒木飛呂彦なりのラブストーリー」を、これはもはや「荒木飛呂彦なりの『君の名は。』」を描き出すことに成功している。

露伴シリーズは基本的にジョジョ4部の世界線もしくはパラレルワールドの話で、今回のエピソードには懐かしの山岸由花子が登場する。今回の露伴ちゃんは野球好きのセクハラキャラと化していて、今の画風で描かれる山岸由花子はもはや別人、というより実写映画版で山岸由花子役を演じている小松菜奈に寄せて描いたのかもしれない、と噂されるくらいには似ている。正直、読み終えた率直の感想としては、これまでのエピソードと比較してもかなり面白い部類に入ると思った。登場する子供の「逆さまの言葉」ネタとか最近の探偵ナイトスクープであった気がするし、「5センチのシッポ」が生えているとか、「皮膚が保護色化する」とかメタルギアかな?ってなるし、その流れで「それが原因で子供がイジメられる」からの「普通の規準」の話に繋がって、結論として露伴はそれが子供の「個性」であると、その子供の「個性」を尊重する場面は実に露伴らしいクールなカッコよさがあるし、そもそも露伴自体が「普通」ではない「個性」の塊なので、露伴は自分とその子供に共通するシンパシーを感じたに違いない。露伴の名言「だが断る」も登場するし、山岸由花子の口の悪さも相変わらずでサイコーだし、とにかくジョジョ4部フアンにはたまらない話かもしれない。話の後半は、テーマとなる「D・N・A」が指し示す『運命の引かれ合い』すなわち『LOVE』へと展開していく。特に、今回のキーセリフとなるきっといいヤツを、逆さまの言葉しか喋れない子供が生まれて初めて「普通」に喋るシーンとかベタな伏線回収だけど好きな演出。他の露伴シリーズと比べて話自体はわりとシンプルな感動モノで、それこそ『マーガレット』読者をはじめ初見の人でも理解できて楽しめるような内容にはなってる。素直に泣けるっちゃ泣けるくらいシンプル。皮肉な話だけど、少女漫画特有の男には到底理解不能なブッ飛んだ話の展開と比べたら、逆に超マジメな話に見えるかもしれない。でもこれ本当に映画『君の名は。』に近い「運命論」の話で、もはや『君の名は。』を観たと飛呂彦が宣言しているようなもんで、中でもクライマックスのきっといいヤツ」=「君の名はみたいなシーンは間違いなく確信犯です。そういった意味でも、この「恋バナ」を「少女漫画雑誌」で描いたのは大きな意義があったと思う。これで「少女漫画」を制覇したとならば、今度は「ホラー漫画」かな?いや、ジョジョそのものが「ホラー漫画」だからないか。

絵的にも普段連載している本家ウルトラジャンプの『ジョジョリオン』よりも丁寧に描いている印象で(皮肉)、正直『ジョジョリオン』よりもジョジョっぽい絵柄を意識して戻しているのが分かる。絵の構図やコマ割り、セリフ回しや演出面でも、いつも以上に気を使って丁寧に、しかし飛呂彦らしく「リズム」にノッて楽しく描いているのがよく分かる。普段のウルトラジャンプや漫画本のモノクロ仕様だが、青紙のジョジョは初めて?だと思うので、自分自身約20年ぶりに『マーガレット』を読んで懐かしく感じたと同時に、ジョジョの絵柄と青紙が醸し出す雰囲気は、より少女漫画チックで最高にマッチしているし、何よりも新鮮だった。とにかく、ジョジョフアンならマストバイの一冊です。

勿論、ここまでの話は全て僕の「日本一のジョジョヲタ」アピール以外ナニモノでもなくて、改めて子供の頃に少女漫画を通過した人間の方がより『ジョジョの奇妙な冒険』という名の「男が読む少女漫画」を理解できるんじゃあないかって、だから今度は「日本一のジョジョヲタの僕が実写版ジョジョの映画を観た」って記事書いちゃってもイイっすか~?だって僕、きっといいヤツなんで!

2017年度上半期BEST

【以下順不同】

Mastodon 『Emperor of Sand』
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Pain of Salvation 『In the Passing Light of Day』
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Cigarettes After Sex 『Cigarettes After Sex』
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Marika Hackman 『I'm Not Your Man』
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ポルカドットスティングレイ 『大正義』
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NECRONOMIDOL 『DEATHLESS』
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MONDO GROSSO 『何度でも新しく生まれる』
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BAND-MAID 『Just Bring It』
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ねごと 『ETERNALBEAT』
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Power Trip 『Nightmare Logic』
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Ulver 『The Assassination of Julius Caesar』
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tricot 『3』
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ana-thema 『The Optimist』
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先日開催されたフジロックで満島ひかりちゃん「不思議な踊り」を見れなかった事を人生最大の後悔だと悲しみに暮れている今日このごろ、皆さん如何お過ごしですか?



正直、今年初めの火曜ドラマ『カルテット』を皮切りに、戸川純の歌手活動35周年を記念する作品へのコメントからMONDO GROSSOの14年ぶりの新曲"ラビリンス"への参加まで、この上半期だけでどれだけ満島ひかりちゃんがフジロックに出演するための伏線をおっ立ててきたんだってくらい、個人的な偶然の出来事も相まって、ほぼ100パーセント今年のフジロックにサプライズ出演するであろう条件が揃ってて、ほぼ100パーセントに近い99パーセント出るのを確信していただけに、残り最後の1パーセントの自分を信じきれなかったのが今回の敗因。その満島ひかりちゃんがフジロックで「不思議な踊り」を披露している間、僕は家でドラクエのレベルップしながらパペットマンから「不思議な踊り」を喰らっていたというね。しかしマジで生の満島ひかりちゃん観たかった・・・。これもう「満島ひかり大好き芸人」失格だわ・・・。でもやっぱガチで本当にサプライズ出演しちゃう満島ひかりちゃんマジリスペクトだなーって。

話を本題に戻して、去年はブログの更新をサボりまくったというのもあって、今年は割りとマジメに更新するつもりで、自分で言うのもなんだが今のところかなりマジメに更新してる感あるけど、ここにきてまた「サボりグセ」が出てきた感もある。それもこれも、1月に当ブログが決める今年のパワープッシュ枠にBAND-MAIDが選ばれたからであって、そのBAND-MAIDの初ワンマンでは(彩ちゃんの網タイツの編み目の数を数えに行っただけなのに)逆にトンデモナイもん見せられて、年間BESTライブ待ったなしと同時に、こいつらがX JAPANJanne Da Arcの後を継ぐ「V系バンド」である事を思い知らされた。そして、今月開催されるサマソニ大阪で一体ナニを見せてくれるのか?俄然期待と不安を抱えたままだが、とにかく対ロリコンベビメタ軍との初陣が今から楽しみだ。でも持ち時間30分とか短けぇ。

この上半期の印象は、個人的に年々アルバムを聴く枚数が減っていく中でも(今年はドラクエのせい)、例年に比べても引けを取らないほどの豊作年のような気がする。とは言え、正直なところ、ana-themaの新譜は1曲目のSEと2曲目のイントロの「ドゥンドゥン!!」っていうエレクトロニカが聴こえてきた時点で→「holy shit...holy shit...holy shit...hohoho holy shit...(オイオイオイオイオイ、これは流石にマズいだろ)」って声を漏らすと同時に再生を止めて、そのまま一切最後まで聴けてない状態なので、このBESTは相当信憑性の薄いものとして見て欲しい。でも、そのたった数秒聴いただけで、当ブログの読者ならBoom Boom Satellites→ねごと→ana-themaの系譜が完成したと思ったに違いないので(だから再生止めた)、最後まで聴くまでもなくランクインさせてもイイっしょ!

そのana-themaと同様にレビューしてないのがトリコットの『3』で、これもリリース日に買って聴いて、ある程度のレビュー構想そのイメージが頭に浮かんではいるけど、その頭にあるものを文章にうまく落とし込めない状況が続いてて、もっとも「核心的」な部分がまるで見えてこないものあって、でも先日トリコットの盟友である赤い公園の佐藤千明が脱退すると知って、その瞬間ようやくナニかが見えてきたような気もして、とにかく「いかにイッキュウ中嶋を煽って泣かせるか」を最大のテーマに今は構想を練っている最中で、でもこれがなかなかどうして難しくて。事実、こうやってずっと悩んでいるのも全てイッキュウ中嶋のあの長文ブログのせいなんだよなぁ。

しっかし、Slowdiveの復活作よりもCigarettes After SexをBESTに挙げる俺かっけえええええええ!!!





『SEX』






Spotifyで水曜日のカンパネラの新曲「贏政」を聴いた

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つい最近というか、ようやく『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生も激推ししている漫画『キングダム』を読み始めて、流石に天下の漫画将軍の荒木飛呂彦が推すだけあってメチャクチャ面白くて、皮肉にも飛呂彦が現在連載しているジョジョ8部『ジョジョリオン』とは比べ物にならないくらいの面白さで、何を隠そう、その『キングダム』を題材にしたリアル脱出ゲーム「ある大戦場からの脱出」の主題歌として書き下ろされた、サブカルクソ女コムアイ擁する水曜日のカンパネラの新曲「贏政」がすこぶるカッコイイという話。ここ最近の水曜日のカンパネラといえば、今年の初めにメジャー1stフルアルバムを出して武道館ライブを成功させた事で久しいが、正直そのフルアルバムよりもこの新曲のが面白くね?っつー話。

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この曲のタイトル「贏政」は、漫画『キングダム』でもお馴染み、中国春秋時代に中華統一を志す31代目の秦王「贏政」の名を冠したもので、やはり注目スべきはその歌詞で、戦国七雄風にたなびく それが春秋時代」という戦国時代の中で、西の方の秦の国31代目の秦王「贏政」王になるっていつかは中華統一したいと(エラい軽いノリで)贏政の偉大なる『野望』『夢』を描き出すキングダムの物語を詞にしている。もっとも水カンらしくてユニークなのは、みんな大好き秦国六大将軍の王騎の右腕ことさんがファルファルと敵をなぎ払ったと思ったら、今度は羌瘣が呼吸を整えてトーンタンタンと空中を舞ったりと、漫画『キングダム』に登場するキャラの「シンボル」とも呼べる擬音を歌詞に織り交ぜながら、群雄割拠蠢く戦場のド迫力な臨場感をユニークな歌詞で表現していく。大袈裟じゃなしに、この曲の歌詞だけで『キングダム』が一体どんな漫画なのかが分かってしまうほど。

当然、この僕がただそれだけのためにわざわざ記事にするわけがなくて、この曲の更なる面白さは歌詞以外の所にあって、それは全編に渡って鳴り響く環境音楽やエレクトロニカを織り交ぜた、東洋思想や神秘主義を取り入れた70年代のニューエイジ(New Age)を彷彿させるトラックである。海外ではエンヤハンス・ジマー、国内を代表するニューエイジ系アーティストといえば喜多郎久石譲が一般的であるが、この曲を聴いてまず頭に浮かんだのが、他ならぬカナダが生んだ奇才デヴィン・タウンゼンド「サブカル期」でお馴染みのアルバム『気』”kawaii”が収録された『Ghost』で、それらの作品およびアーティストとこの「贏政」に共通するのは、秘境の地にある瑞々しい幻水がトロピカルに弾け飛ぶようなサブカル系アートポップ的な、中華風のスピリチュアルでピースフルなアンビエント/ニューエイジ的なアトモスフィアである。要するに、メタル界を代表するサブカルクソヤ野郎と日本を代表するサブカルクソ女の邂逅は、正直かなり面白いよねっていう話。まぁ、こんな音楽にも精通するデヴィンがただ変態なだけというか、それはコムアイも似たようなもんと思えば何ら不思議ではない。そもそも、その辺の一種の宗教的な音楽とコムアイの思想的な面での相性はグンバツであることから、必然的に「いい曲」になる事は目に見えていた。

ミニマル・ミュージックや環境音楽およびヒーリング・ミュージックを織り交ぜた幕開けから、まるで小鳥のさえずりが聞こえてきそうな神秘的な自然感を醸し出しつつ、その中盤以降まさに馬が中華の大地を駆けていくようなドラムビートで徐々にスピード感を増していく姿は、それこそ天下の大将軍を夢見る『キングダム』の主人公であり飛信隊のの如し。その戦国の世を駆けるを陰ながら見守るのが、エンヤさながらの「戦場の女神」的な存在感を放つコムアイだ。正直、ラップらしきことやってないコムアイのがマトモ説あるくらい、この手の曲を水曜日のカンパネラにやらせたら右に出る者はいないと再確認させる。だから、僕みたいにずっと気になってはいたけど漫画『キングダム』をまだ読めていないという人は、是非ともこの「贏政」Spotifyで聴きながら読むと俄然ファルファルとトーンタンタンが捗るのでオヌヌメです。

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