Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2017年07月

BAND-MAID 『Daydreaming / Choose me』

Artist BAND-MAID
_SL1241_

Single 『Daydreaming / Choose me』
71qCDNu4odL

Tracklist

01. Daydreaming
02. Choose me
03. Play

『小鳩ミク、バンドエイド®社の最終面接に挑む』

面接官「それでは、只今よりバンドエイド®社最終面接を始めます」

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「はい!私の名前は野口みか...もとい、小鳩ミクですっぽ!」

面接官「あなたを採用したら弊社にどのような利益をもたらしてくれますか?」

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「はい!私は御社のコミュニケーションを円滑にする潤滑油になりますっぽ!」

面接官「う~ん、合格!」

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「やったっぽ!」




今回、BAND-MAID「バラード曲」「シングル」として発表したのは、相当な度胸と勇気がいった事と思う。ゴリゴリのハードロックをメイド姿のバンドが奏でる「ギャップ」を売りにした元々のコンセプトを根底から揺るがしかねない、それこそ「メジャー行って日和って売れ線狙い始めて終わった」という風にアンチの煽り対象にしかならない可能性もあった。しかし、それらに伴う「リスク」はメンバー自身がよく分かっているはずで、これらに関する僕の見解として、1月の発表されたメジャー1stフルアルバムJust Bring Itのレビューで一体何を書いたのか?まずボーカルの彩ちゃん今にも絢香の三日月歌いだしそうなほど「バラード映え」する歌声をしていると評価している事だ。少なくともJust Bring Itには「バラード」が入る余地などこれっぽっちもなかったのも事実で、かのBABYMETALは2ndアルバムで初バラードを書いてきた、それではこのBAND-MAIDはいつ「バラード」を出してくるのか?いや別に出さないなら出さないで、それはそれで「ハードロックバンド」としてのBAND-MAIDに俄然箔がつくし、逆に出したら出したで僕が言及した彩ちゃん「バラード映え」する「理想的」な歌声が聴けるはずだと。つまり、どちらに転んでもBAND-MAIDの利益(プラス)になると。結果的に、その答えは後者で、このBAND-MAID初となる両A面シングル『Daydreaming / Choose me』”Daydreaming”は、彩ちゃん「バラード映え」する「理想的」な歌声を聴かせる、本当の本当に満を持してリリースされた最高の「バラード」となっている。

「サビ始まり」

「サビ」から始まる「バラード」というのは山ほどあるが、その中でもJanne Da ArcのボーカルyasuのソロプロジェクトAcid Black Cherry”イエス””君がいない、あの日から...”もその「サビ始まり」を特徴としたロックバラードだ。ちょっと面白いのは、ABCのバラード曲は「サビ始まり」の曲構成が多いけど、逆にJanne Da Arcを代表する名曲”DOLLS””振り向けば…”などのバラード曲はイントロ~Aメロ~みたいに基本的なコード進行を得意としている所なんだよね。と一瞬思ったけど、言うてジャンヌも結構「サビ始まり」のバラード多かったわ・・・ごめん、今の忘れて。とにかく、ABCでは楽器隊よりもフロントマンのボーカルを全面にフィーチャーすることに特化した、いわゆる「サビ始まり」のバラードが割合的に圧倒しているのは事実で、つまりこれは「ボーカル」を「売りにくる」には「サビ」を曲の一番始めに持ってくるのが正しい、という事の裏付けでもある。つまり、この”Daydreaming”は今年のJust Bring Itからの初ワンマンツアーで培った数え切れない「経験」と「ボーカリスト」としての大きな「成長」、それらの伏線が一本の線となって具現化した必然的な結果と言える。

Daydreaming dreaming of you

いわゆる「白昼夢(デイドリーム)」をモチーフにした楽曲といえば、最近ではRadiohead赤い公園の曲が記憶に新しいが、この表題のDaydreamingという「サビ」を力強く伸びやかに歌い上げる彩ちゃんの歌声とともに、真っ赤なPRSを抱えたギタリスト歌波が奏でる唸るように咽び泣くメロディを先頭にバンド・サウンドが一斉にドーン!と入ってきて、これまでにないEDM風のシャレたアレンジやクラップを交えながら、歌詞にある加速してく想い、そのエモーショナルな焦燥感を制動感溢れるMISAのリズム隊が的確に表現し、そのジャズのインフルエンスを感じさせるのドラムとフェンダー使いのMISAによるインプロヴィゼーションに溢れた鬼グルーヴに、再び歌波が合流してポストロックばりにセンチメンタルで刹那い美メロでミニマル&リリカルに気分を高揚させながら、それぞれ歌波MISAが奏でる楽器の「音(声)」という名の「想い」を一つに紡ぎ出していくような小鳩ミクDaydreaming dreaming of youという詞に乗せて、そして最後の「サビ」すなわち「主役」となるボーカルの彩ちゃんへと「想い」を繋いでいく。2番では、ワイドレンジなプロダクションをフル活用した、もはや「ツインドラムかよ」ってくらい「手何本あんねん」ってくらい俄然手数足数が増していくのドラミングとミニマル・アンビエント的なアレンジを効かせ、そして「サビ」では歌波のサンタナから受け継がれた「泣き」のエモーションを込めた情熱的かつ北欧ポストメタルばりに超絶epicッ!!なGソロが炸裂、その勢いのまま小鳩のボーカルを「潤滑油」として一気にクライマックスへと駆け上がり、それはまるで歌波のギターとMISAのベースとのドラムという元素が小鳩ミクという核燃料に触れて、最後は核融合反応を起こして核爆発するかのようなポストメタルばりのスケール感を放つ大サビまで、これはもう一種の「Post-系」の解釈が取り入れられたオルタナ系ロックバラードと言える。

「BAND-MAIDの潤滑油」

面白いのは、ここでも小鳩ミクという「不確定要素」が想定外の効果を発揮していて、この曲における小鳩の「役割」というのは、他ならぬ「BAND-MAIDの潤滑油」である。この曲の「潤滑油」となる「繋ぎ役」小鳩が欠けた瞬間、てんで曲構成がおかしくなって「不完全」な曲となってしまう。つまり、この曲を寿司の「役割」で例えるならば、歌波MISAが曲の土台となる「シャリ」で、「バラード映え」する彩ちゃんが「主役」すなわち「ネタ」で、そして「シャリ」「ネタ」の間を繋ぐ「サビ役」を担っているのが他ならぬ小鳩で、このように曲の中で常に流動的に「ネタ」「シャリ」「サビ」が変動していく、BAND-MAIDの「オルタナティブ」な側面を垣間見せている。「繋ぎ役」、それは運動会のリレーで言うところの「アンカー前」の大事な大事なポジションで、この曲構成を走者順に変換すると【彩ちゃん】→【歌波】→【MISA】→【茜】→【小鳩】→【MISA】→【茜】→【歌波】→【小鳩】→【彩ちゃん】というリレー(曲)構成となっている。確かに、小鳩は普段のお給仕でもただの鳩要員ネタ要員MC要員だが、でもこう見えて小鳩はここぞとばかり「やるときゃやるぜ海野くん」的な奴で、この曲では「今のBAND-MAID」における「ツインボーカル」の最も正しい小鳩の使い方というか、これはもはやインディーズ時代の「ツインボーカル」に対するメジャー時代からのシン回答であり正統進化である。事実、BAND-MAIDは今年の初ワンマンツアーの名古屋公演と大阪公演で、ケツアゴことベーシストのMISAという「サビ」が欠けた「4人」の「不完全」な状態のBAND-MAIDをわざわざ見せつけたわけだ。一体何のために?そう、全てはこの曲の「伏線」としてだ。つまり、MISAという「サビ抜き」の寿司を見せた後に、ケツアゴという「サビ入り」の「5人」での完全体BAND-MAIDで、曲始めから「サビ」をフィーチャーした「バラード」を出してくるという一種の「メタ的」な伏線であり、BAND-MAIDのアテフリ兼総合プロデューサーである小鳩ヨシキは、初ワンマンで既にこの”Daydreaming”を見据えた神がかり的な演出を描き出していたのだ。これはもう、小鳩ミクという「不確定要素」が「確定要素」に変わる瞬間に起こる「奇跡」だ。

「彩ちゃんTO(トップヲタ)」

歌波の話によると、このBAND-MAID『初』となる「バラード」の立案者はボーカルの彩ちゃん、つまり「彩ちゃんの一言」ならぬ「姫の一言」によって生まれた「バラード」で、アレンジ面でも彩ちゃんの意見が採用された実質「彩ちゃんのソロ曲」と呼んでいいくらい、彩ちゃんによる彩ちゃんのための「彩ちゃんで始まり彩ちゃんで終わるバラード」だ。一方でこの”Daydreaming”は、ギタリスト歌波の「コンポーザー」としての才能は元より、「メロディスト」としての才能が開花したようなバラードでもある。あらためて歌波スゲーと思うのは、例えばOpethミカエル・オーカーフェルトのようにフロントマン兼ギタボ兼コンポーザーのワンマンバンドと呼ばれるくらいの役職ならまだしも、歌波のようにギター専属で作曲することの難しさったら想像を超えるもので、特にどれだけボーカルすなわち彩ちゃんと意思疎通が図れるか?共通した考えを持てるか?とにかく、他のメンバーの誰よりも彩ちゃんのことを理解しなきゃならない。しかし、そこは彩ちゃんTO(トップヲタ)歌波、曲を聴いたらガチで歌波ほど彩ちゃんのことを理解し、全てを知り尽くしている人は他に存在しないってくらい(それこそ彩ちゃんTO(トップヲタ)を目指してる僕なんか到底敵いっこないレベル)、彩ちゃんが持つ歌声の魅力を最大限まで引き出している。お給仕でも既に披露されており、実際に名古屋と大阪のお給仕に帰宅して思ったのは、僕の耳に狂いはなかったと、彩ちゃんの歌声は「バラード映え」するってレベルじゃなかったんだと。歌波は、恐らく彩ちゃんが最も発声しやすい「理想的な歌声」を引き出すために、過去最高の極上メロディを生み出すことに成功し、見事彩ちゃんを「ボーカリスト」としてNEXTステージにブチ上げたのだ。その「理想的な歌声」、それすなわち彩ちゃんがリスペクトしてやまない安室チャンに精通する歌唱法から声質および息づかいまで、特に最後のfeel my soulの部分なんて「どう見てもこの部分だけ安室チャンゲスト参加してますよね?」ってツッコミ不可避だったし、もっと言えば今回のEDM風の現代的なアレンジも安室チャンからの「影響」と推測するのは至って容易な事だった。こういう分かりやすいアレンジも今までになくて新鮮だし、しかしそのポップでモダンなアレンジを前にバンド側は決して依存せず妥協せず、しっかりとそれぞれの個性と”らしさ”に溢れたバンド・サウンドを貫き通しているし、この手の「ありがちなバラード」みたいな雰囲気に陥らない(飲み込まれない)のは、やはりリズム隊の力によるものが大きい。とにかく、この曲は本当にお給仕でこそ本領を発揮する曲なんで(お給仕だと俄然バンド・サウンドが全面に現れるのが面白い)、是非とも生で聴いてもらいたい一曲だ。

「過去最高」

決して日和ってなんかいない、むしろ「過去最高」に攻めまくっているバラードだ。「過去最高」にオルタナ大好きフェンダー使いのMISAがイキイキするバラードであり、その「過去最高」にテンションが高いMISA「過去最高」におかしなことやっとるのドラムが織りなす「過去最高」の極上グルーヴ、同時に「過去最高」超絶epicッ!!に咽び泣く歌波のギターソロ、「過去最高」にポップなアレンジ、「過去最高」にエモーショナルな「感情」をさらけ出し、「過去最高」に美しく咲き乱れるかのような安室チャン顔負けの表現者と化す彩ちゃんの歌、そして「過去最高」「BAND-MAIDの潤滑油」となる小鳩、とにかく「過去最高」にメジャー感マシマシの大衆向けのラジオでパワープッシュ不可避なバラードなのに、メンバーそれぞれが「過去最高」に「おかしなこと」やっとる訳の分からなさに笑う。正直、「バラード」って普通の曲よりも良曲と駄曲の区別がハッキリしやすいというか、もしバラードをやるにしても絶対に「良曲」でなければならなくて、でもそのプレッシャーと高いハードルをゆうに超えてくるあたりやっぱこいつら侮れないです。皮肉にもリズム隊が本領発揮する曲が、これまでのゴリゴリ系のロックでなくてバラードだってのも面白いし、このサビの入りならサビの後半はこのメロディが欲しい、という聴き手の願望を理想的な形で持ってくる、言うなれば「王道」をよく理解しているというか、「周り(サブ)」は「おかしなこと」やっとるのに「王道(メイン)」は決して「ハズさない」あたり、やっぱこいつら相当頭いいです。



その「バラード」のくせに「過去最高」に「おかしなこと」やっとった”Daydreaming”から一転して、両A面シングルのもう片方を担う”Choose me”は、それこそ「バンドメイドらしい」と一言で片付けちゃっていいくらいの疾走感溢れるメロコア風のロックナンバーだ。”Daydreaming”と違って曲自体は1stフルアルバム『Just Bring It』の延長線上にあって、その「モダン」な路線から更に余分な贅肉を削ぎ落としたような、ついでに小鳩デブの腹についた余計な贅肉も削ぎ落としてやってほしいくらいめちゃくちゃシンプルな曲で、音の感覚的には同じく1stフル以降の「ラウド系」の流れを汲んでいて、厳密に言えば90年代のUSモダン・ヘヴィネス/オルタナティブ・メタルをルーツとするサウンドだ。これ初めて聞いた時は、メジャー1stシングル『YOLO』のカップリングの”Unfair game”を思い出したのと、ポイントとしてはギターの歌波がサビの裏でちょこまか弾いてるバッキングフレーズは聴きどころの一つで、しかもこの曲はGソロが二回あって、一回目のソロはちょっとヒネった変化球投げてくる感じで、二回目のアウトロのソロは真っ直ぐに突き抜けるように弾き倒す感じになってる。

愛こそはね 目に見えない幻↑想↓」=「ドン勝」

ここでも注目スべきは彩ちゃんの声色の変化で、”Daydreaming”では安室チャンを意識した切なくも力強い歌声を聴かせていたが、この”Choose me”では一転して、それこそ「もうハスキーボイスなんて言わせない、今度それ言ったらコロス」という明確な意志が込められているような、これまでにないくらい「ポップさ」を強調して歌い上げている。一番のポイントとしては、それこそ別にパラモアをはじめとしたポップパンクじゃないけど、わかりやすいくらい洋楽(アイドル)ポップスを意識した、もはや「ナントカロコモーション♫」って言いたくなる感じの愛こそはね 目に見えない幻↑想↓というサビメロで、正直この一節がキモでありこの曲の「全て」と言っても過言じゃあない。そもそも、「シングル」なんてのは1回聴いただけで耳に残るフレーズを書いたら「勝ち確」みたいなノリもあって、この1回聴いただけで口ずさみたくなるようなサビメロ、すなわち「ドン勝メロディ」を曲のド頭に喪黒福造ばりにドーン!と持って来ている。もはやコンポーザーの歌波がこのサビメロが浮かんだ瞬間に「ドン勝」してテヘペロしてるのが目に浮かぶほどで、この勝手に脳内ループしはじめるほど強力なメロディは、「シングル」としての役割を十分に果たしている。曲調的には、これまでの「リフ」で組み立てながらゴリゴリするイメージは皆無で、あくまでのこの「サビメロ」をキモに、小鳩でも簡単に弾けちゃいそうなリフとも言えないようなパワーコード中心に全体のサウンドとノリ重視の曲で、良くも悪くもこれまでになかった曲と言えるかもしれない。

さらば、イントロ

この「Daydreaming」=「バラード」「Choose me」=「ロック」の両A面シングルと聞くと、僕みたいなV系エリート的にはJanne Da Arc『振り向けば… / Destination』を思い浮かべるのだけど、要するにバンドの新たな可能性を広げる邦楽(J-POP)的な「バラード」と『Just Bring It』の延長線上にある「今のバンドメイド」をシンプルかつ分かりやすく表現した洋楽的な「ロックナンバー」、それこそバンドのコンセプトである「ギャップ」の効いた対になるような曲同士だが、しかし明確に差別化された中でも唯一共通する部分がある。それは「サビ」から曲が始まる、つまり曲構成として共に「サビ始まり」を採用しているところだ。正直、この両A面シングルの一番の核心部分ってその「サビ始まり」の曲構成だと思うのだけど、そもそも、これまで自作曲および外注曲も含めて「サビ」から始まる曲を一切書いてこなかったバンメが、ここにきて、この初の両A面シングルのタイミングで初めて、しかもA面の二曲とも「バラード」も「ロックチューン」も「サビ始まり」の曲構成となったのは、決して「偶然」ではなく「意図的」かつ「計画的」なものだと想像することは至って容易だ。

ところで、(あまり関係ないけど)これに関してちょっと興味深い話があって、いわゆる「ストリーミング・サービス」の登場により「現代人は曲のイントロをスキップする傾向にある」という、とある大学院生の研究結果があるらしく、それこそ「ストリーミング時代」における作曲/構成の流動的な「変化」、それらの「現代的」な作曲アプローチを知ってのことなら、もし、もし知ってて今回のシングルで「意図的」に「サビ始まり」の曲構成を採用したのなら、ちょっと歌波天才過ぎて引くし、俄然歌波の絶対領域ペロペロできる。言わば、このシングルの核心部分とも呼べるこの件は、個人的にこのシングルで一番歌波に聞きたい質問だ。だから早くかなみんちょはこの疑問に答えてんちょ!でももし自分が想像したとおりの回答だったら「俺すごい」ってなるんちょ?ムナンチョ!

以上が、「過去最高」にメロディ重視、メロディありきの両A面シングルとなった最大の理由だ。「イントロ」すっ飛ばして、開始数秒で強靱な「ドン勝メロディ」=「サビ」がリフレインする、要するに「シングル」向けに特化した曲構成と「ドン勝メロディ」、それらが意味するもの、すなわち「売りたいんや」精神、つまりヒットすることを意図的に想定された曲を書いてきているのだ。これは初ワンマンツアーの名古屋と大阪の振替公演に帰宅して思ったことだけど、とにかく「シングル売りにきてる感」がハンパなくて、とにかくメジャー1stシングルの『YOLO』と比べると今回は気の入りようが段違いで、それこそフルアルバムの『Just Bring It』よりも売りたい精神に溢れていて、でもそれはANNをはじめとしたラジオでパワープッシュされているのを見れば明白で、どんだけこのシングルに賭けているのか、どんだけこのシングルを売りたいのかが嫌でも分かるハズだ。とにかく「売りたい」、その正当な理由がこのシングルにはある。

確かに、この両A面シングルを聴く限りでは、いわゆる「ヲタ切り」ならぬ「オッサン切り」かってくらい、インディーズ時代からのおっさんヲタがアンチに変貌して「え、何こいつらワンオクの前座バンドでも目指してんの?」って煽られそうなくらい、『Just Bring It』から色々な意味でも更に先へと進んだ「売れ線」を狙った曲で、つまり国産ラウドロックなどのメインストリーム・ロックへの迎合を図っており、確かにこのシングルがハロパやオズフェスおよびノットフェス参戦への伏線だったら面白いかもしれないが、正直もっと賛否あっていいくらいバンドにとって「リスキー」なシングルだと思うし、良くも悪くもBAND-MAIDの今後を占う大きな「分岐点」となるシングルなのは確かだ。しかしそこは従順なメイドさん達で、しっかりとこれまでのオッサンヲタを繋ぎ止める曲をカップリングとして用意しているのだ。それが”Play”で、この曲は元々「インストモノ」として作られたというだけあって、それこそ「両A面シングル」の不満感を吹き飛ばすような、歌波の「リフ」らしい「リフ」からMISAとのソロバトルが贅沢に盛り込まれた(その後のギター好き)、楽器隊のハードロック然としたソリッドなゴリゴリ感がカムバックしている。これこそ初期フアンが求めていたものだ。プロダクション的な面でも初期の『New Beginning』を彷彿させるオーガニックなHRサウンドを踏襲しているし、ボーカル面も元がインストだったとは思えないくらい違和感ないし、そして何よりも初期のハードロック的な英詞メイン&ノリ重視のツインボーカルへと回帰している。この曲はサビが二段階になってる曲で、特にyeah yeah lalalalalalala wow wow lalalalaの部分はお給仕でオーディエンスが一体となってシンガロング不可避なパートだ。勿論、歌波MISAのソロバトルはお給仕でのアレンジが期待できるし、そういった意味でもトータルで「お給仕向け」に盛り上がること間違い無しの曲と言える。

「女体化したDaniel Liljekvist」

これは今年の初めに「YOLO」を初めてMVで聴いた時も全く同じ経験をしたのだけど、BAND-MAIDの曲って初見だと毎回と言っていいほど、まず真っ先に茜のドラムに目が止まるんだよね。今回の新曲も例外はなく、一曲目の”Daydreaming”では「バラード映え」し過ぎな「彩ちゃん凄い」、その彩ちゃんを知り尽くしてる「歌波凄い」ってなるけど、でもこの曲聴いてると最終的に「やっぱ茜が一番凄い」ってなってるのほんと怖い。正直、こんなに手数足数の多いドラム主導のバラードって今まで聴いたこともないし、もはやバラードなのかすら分からなくなるし、とにかくスネアの音は勿論のこと、今回は特にキック力がヤバイ。のエロい足技は本当にペロペロできる。自分の中で、やっぱり「いいバンド」や「いい曲」の条件の一つにドラムがあって、僕がバンドメイドを聴いている根本的な理由の一つとして、という「女体化したDaniel Liljekvist」の存在がある(えっ)。何を隠そう、このシングルのは、KATATONIAの全盛期を支えたドラマーDaniel Liljekvistの官能的なドラミングに精通しているからに他ならなくて、特に”Daydreaming”のワイドレンジなプロダクションをフル活用したドラムプレイは、KATATONIAの傑作『Night Is the New Day』”Forsaker”のフェミニンなドラム、あるいはDIR EN GREY”VINUSHKA”Shinyaのドラムに通じるものがあるし、そもそもその”Forsaker”が実質「KATATONIAなりのバラード」だし、その音的な部分は元よりモダン/オルタナ/ポストロック/エレクトロニカ/アンビエント系の美メロやミニマルなアレンジを施した曲本体、互いに共通する部分はあまりにも多い。二曲目の”Choose me”だってそうだ。さっきまでの官能的なドラムから一転して、力強いゴリゴリラのドラムプレイを披露している。特に、ポイントとなるサビ前のドラムの入れ方、つまりドラムがサビへと誘導する場面とか完全にKATATONIA”The Longest Year”じゃんってなる。その”Forsaker”のモダンなアレンジと”The Longest Year”の曲構成を足したらいい感じに”Daydreaming”っぽくなると思う。が凄いのはそれだけじゃない、三曲目の”Play”ではブルデスばりにエグい踏み込みブッ込んでくるし、この曲以外にもこいつらたまにブルデスっぽいこと平気でやってくるからほんと怖い。とにかく、まさかKATATONIAから脱退したダニエルが日本でメイド服着てガルバンのドラマーやってるなんて思わんかったわ・・・もう想像しただけでコエーわ・・・。

改めて、こいつら本当に「したたか」というか「ドS」だと思うのは、インディーズの頃はあざといハードロックやっておっさんヲタを釣り上げたと思ったら、今度はハードロックの中にモダンな曲を織り交ぜておっさんヲタを「モダン」な音に慣れさせる調教アルバム『Brand New MAID』を発表して、そして遂には今年の初めに国内ラウドロック/モダンヘヴィネス系の1stフル『Just Bring It』で「オッサン切り」からの激ロックキッズの獲得に躍り出て、それからそのキッズが大集合するフェス決めて初ワンマンやって、そして今回のシングル(バラード)も今年に入ってから続くメジャー戦略の一環である。しかし、こうやってBAND-MAIDがハードロック魂を忘れてイマドキのモダンな国産ラウドロック勢に迎合していく流れの中で、ふと「今のBAND-MAIDに最も近いバンド、あるいは目指すべき理想的なバンドって誰だろう?」と考えた時に、自分の中で真っ先に頭に浮かんだのがUSのNothing Moreだった。何故Nothing Moreなのかと言うと、実は彼らはVAMPSとも交流がありVAMPS主宰の『VAMPARK FEST』にも呼ばれたりしてて、ずっと前からBAND-MAIDは必ずVAMPS主宰の『ハロパ』に呼ばれると思ってやまない僕からしたら、それだけで十分な理由になるのだけど、詳しく言えばメシュガー以降の現代的なヘヴィネスをオルタナティブ・メタルとして解釈し、そのイマドキのモダン・ヘヴィネスを昇華させるオルタナティブな素養とベースバッキバキのタイトなエモいサウンド・スタイルという点では、正直かなり最近のBAND-MAIDの音楽性にそう遠からず近いタイプのバンドと言えるんじゃあないかって。要するに、かなみんちょNothing MoreThis Is The Time (Ballast)のイントロのリフを1000回聴くんちょ!そして、その回答としてBAND-MAIDの曲を書くんちょ!わかったんちょ?どぅーゆーあんだーすたんちょ?

これはちょっとした懸念というか、ちょっと気になったことなのだけど、確かにメジャー以降のBAND-MAIDは外注曲ではなく自作曲を主軸に活動していて、それこそ今回は両A面シングルなら片一方は自作でもう片一方は外注曲となる可能性も十分に考えられたわけで、しかし蓋を開けてみたら全曲自作曲だったのだ。これはただの漠然とした懸念でしかないのだけど、ここだけの話、自分の中で「BAND-MAIDが次のフルアルバムでやってはいけないことランキング」の第一位に「全曲自作という勘違いを起こすこと」がランクインしていて、もっと言えば次のアルバムは半分以上は外注曲でもいいくらい、むしろそれくらいしないと『Just Bring It』との差別化は元より、その内容は超えられないとも思っている。これは別に今の自作曲よりも過去の外注曲の方が良いというわけではなくて、それこそ全13曲中4曲が外注曲だった『Just Bring It』ですら、たった4曲の外注曲がどれだけ効果的な働きと役割を担っていたのか、その外注曲がないとてんで金太郎飴みたいに感じてしまうのも事実だ。そもそも、お給仕でどんな曲が盛り上がっているのか、どんな曲がウケが良いのかなんてのはステージ上の演者が一番よくわかっているはずで、少なくともBAND-MAIDは外部ライターから学ぶことはまだまだ沢山あるハズだ。勿論、その「勘違い」には「ただのポップバンド」になってしまう懸念も含まれていて、兎にも角にも、間違いなくBAND-MAID最大の勝負どころとなるであろう次のアルバムでその「勘違い」を起こすことだけは何としても阻止したい。勿論、音楽的な「面白さ」と「人気」を天秤にかけて、そこのパワーバランスを保っている器用なバンドは恐ろしく少ない。むしろメジャー進出して典型的な「勘違い」を起こして2秒でオワコン化するバンドの方が多い。それこそリンキン・パークなんかはその最もたる例で、いつまでたってもフアンから初期の音楽性を求められる「苦しみ」、それはアーティストにとって想像を絶する「負担」となって襲いかかる場合だってある。そんな偉そうなことを言ってみても、個人的には「メイド界のメシュガー」になれるか、否かにしか興味がなかったりする。つうか、そろそろジャズバンドになっても不思議じゃないのは、のドラムを聴けば分かるんちょ。

sasiaisiia

そんなことより「彩コレ」だ。今回のメイドのコンセプトからかけ離れたポップなジャケ写&背表紙や”Daydreaming”のMVは台湾で撮影されたもので、その台湾行きで予算を使い果たしたのが丸分かりな、リリックビデオ的な演出でシンプルに魅せる”Choose me”のMV、どちらのMVも彩ちゃんの魅力に溢れていて、今回も彩ちゃんTO(トップヲタ)を目指す僕が選んだベストカットシーンをコレクションにしてみた。前回のシングル「YOLO」のMVべると見所が多い。なんだろう、映像のモノクロームなエフェクトも相まってある意味「ホラー映画」っぽい妖艶な雰囲気と存在感もあって、とにかく今回の彩ちゃんは「表情」で魅せるイメージ。一番オヌヌメなのは、やっぱり”Choose me”の画面全部白塗りみたいなカットシーン。”Daydreaming”の見所としては、彩ちゃんのネイルが演奏シーンと演技シーンで変わっている所で、面白いのは、常に演奏中「おとぼけフェイス」なアンドロイド茜と何故か撮られ慣れている&役に入り込んでいる小鳩デブ「ギャップ」が笑える。

あらためて、フルアルバム以降の初ワンマンを経験して成長したBAND-MAIDを素直にアップデイトしたような今回の両A面シングル、オルタナもバラードもゴリゴリも何でもやれる、それを実現可能にする各メンバーのスキルと鳩女の余分な贅肉が凝縮された、もはや両A面シングルというよりフルアルバムレベルの濃さがある。ちなみに、名古屋の指定店舗限定でピックの特典付きだったから、リアルに十数年ぶりに店舗にCDを買いに行ったら、レジが若い女の店員で(うわっ、こいつメイド好きなのかよキモッ)って思われたに違いない。まぁ、そんな冗談は置いといて、最後はとっておきの「謎かけ」でお別れ。

「小鳩ミク」とかけまして、「核燃料」とときます

その心は

どちらも「取り扱いに注意」が必要です


お後がよろしいようでw

Daydreaming/Choose me (初回生産限定盤)
BAND-MAID
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【7/12】 BAND-MAID 『初One-manお給仕 Tour 2017 振替公演 ~Revenge of an ass chin~(ケツアゴの逆襲)』@梅野クワトロ

2017年7月12日、X JAPANが大阪城ホールで全編アコースティックライブという『伝説』を刻み込んでいた横で、同じ大阪の梅田でBAND-MAIDという名のシン・X JAPANが新たな『伝説』を産み落としていたことを、あの日の僕たちはまだ知らない

5月に開催されたBAND-MAIDの初ワンマンツアーの名古屋公演と大阪公演は、ベーシストのMISAがインフルエンザにかかったため、急遽アコースティック形式のミニお給仕となった。面白いのはこっからで、大阪の振替公演となる7月12日は、YOSHIKIの仮病もといヘドバンし過ぎて病み上がりのため、急遽X JAPANが大阪城ホールで全編アコースティック形式でライブを行った。それは果たして「偶然」だろうか・・・?いや、これも全てBAND-MAIDアテフリ兼プロデューサーこと小鳩ミク改め小鳩ヨシキの演出によるもので、既にBAND-MAIDX JAPANの一歩先を行き、そして「本家」の演出を超えるエンタテインメントを展開していたんだ。「いま最もイジリがいのある鳩女」こと小鳩ヨシキがいかに「やべーやつ」なのか?それは昨日の名古屋公演のレポでも書いたが、それこそ幼少の頃から名盤『JEALOUSY』のカセットテープで英才教育されてきたV系エリートの僕が、何故この日にX JAPANのライブではなく、BAND-MAIDのお給仕にご帰宅するためにわざわざ大阪まで出向いたのか?それが全ての答えだ。端的に言ってしまえば、今のX JAPAN(本家)よりも今のBABYMETAL(分家)よりも、今のBAND-MAIDの方が「あの頃」「V系」「本質的」に捉え、それを実行しているからに他ないからだ。

そんなわけでワイは、昨日(7/11)の名古屋振替公演に引き続き、今日は同じく振替公演となる大阪公演に行ってきたわけや。しかし前日のお給仕が終わった後、深夜3時までレポを書いていて結果的に全体の5分の1くらいしか書けへんくて(3000文字)、正直「クソネミ」って気分のまま大阪へと向かったんや。大阪公演が行われる箱は梅野クワトロで、なんや「エラい打率の低そうな箱やなぁ!」と思いながら、大阪駅から梅野クワトロまで続く地下街に入ったら、そこかしこに泉里香の顔宣伝みたいなんがあって笑った。みんな大好き泉里香「大鳩胸」。せやろ?せやな。せやせや。ところで、さっきから「なんで関西弁?」と思た自分、こう見えてワイには関西の血ィが半分流れよんねん。せやから祖父から三代続く根っからの阪神タイガースフアンやねん。そもそも、ワイが阪神フアンなのは当ブログの最初期を見ればよー分かるはずや。もはや「音楽ブログ」言うより「阪神タイガース応援ブログ」やから。ちなみに、BAND-MAIDの彩ちゃんも阪神フアンやって俄然推せるんやが、昨日の名古屋公演後のツイートを見ても、お給仕の感想がてら阪神勝利を喜んでいるというより、阪神勝利の報告ツイートのオマケでお給仕の感想をつぶやいてる感あって、これだけでもどれだけ彩ちゃんがガチな阪神フアンなのか、つまり「虎サーの姫」ってのが分かるってもんや。しかもこれでデイヴィッド・ボウイの『★』を聴いてて、鉄オタで、そしてノウミサン推しの阪神フアンとか・・・もうなんか確実にピンポイントで「俺(ワイ)の感性」に推されに来てるわ・・・。もはや俺レベルになると、ハッピタイプの縦縞ユニ、下は短パン、黒のキャップを被った彩ちゃんと甲子園デートする妄想してるけど(つうか、絶対に彩ちゃんて縦縞似合うよな)、何か質問ある?そんでレフトスタンドから「ゴラァ!梅野ォ!外外外てぇ!もっと内側に配球せんかゴラァ!もう原口に戻せや金本ォ!」みたいな感じでヤジってる彩ちゃんを「まぁまぁ...」みたいな感じでなだめたいよな。でもさ、ちょっと野球ができるからってAOで大学進学した僕が、その十年後に彩ちゃんTO(トップヲタ)目指してるのって超ウケん? とにかく、最近は彩ちゃんのツイート見て阪神戦の勝敗を知るくらいにはなってる。

大阪公演のチケットは、ほぼソールドアウトがアナウンスされた後の最終の最終の泣きの最終抽選受付の時に申し込んだもんで整理番号はC(当選しただけでラッキー)、でもまさかあの時はMISAがインフルなってこんな事になるなんて思わなんだ。梅野クワトロは、名古屋クワトロと違うて言うなれば三階建てみたいな箱で、自分は一階のMISA寄りの最後列に近い所から観戦することにしたんや。ちょっと驚いたんは、バンドメイドのフアン層ってイメージ的におっさん言うか年配の人が大半だと思ってたんやけど、実際にお給仕に来てみると意外と年齢層が幅広いことに驚くんや。昨日の名古屋では2列目に外国人の女性二人組がおったし、終演間際に気づいたらワイの右隣にライブ慣れしてそうな小さいガールが一人で楽しそうに盛り上がっとったし、そして終演後にはカウンターバーの近くにモデルばりに可愛い子がおって「は?」ってなった。この大阪でも、ワイの後方にバンギャらしきガールの会話が聞こえてきて、やっぱお給仕でのガールはフロア後方に集まるもんなんやなって。とにかく、フロア後方は隣同士の接触もなく、ほどほどに余裕があった。

7時開演。オープニングのSEが流れる中、お馴染み、彩ちゃんの「お給仕始めます」から幕を開ける。これは名古屋クワトロより梅野クワトロのが音響が良いからか、それともただ後方で聴いてたからかは不明だが、とりあえずMISAのベースの音が小鳩ミクのギターの音よりデカくて笑った。しかし、ワイがこの日最も心配だったのは、いわゆる「虎サーの姫」でありボーカリストの彩ちゃんやった。しかし、その心配を他所に彩ちゃんは一曲目の”Don't you tell ME”から前日の名古屋公演以上にカッ飛ばすような歌声を聴かせる。今日のセトリは昨日の名古屋とほぼ同じで、バンドメイドは前日と変わらぬ一切の妥協を許さないダイナミックなお給仕を繰り広げていく。

ワイは昨日と同様に、”モラトリアム”では小鳩ミクのバッキングギターに注目したんや。正直、名古屋よりもエエ感じの音鳴らしよった。その小鳩は、昨日と同じようにMCでケツアゴ煽りをすると、今度はMISAがウイスキーを飲んで誤魔化す。恒例の「おまじないタイム」では、大阪はオーディエンスのノリがエエので、昨日以上にテンションの高い小鳩による「くるっぽー!」からの「萌え萌え~!キュンキュ~ン!」からの「ケツアゴコール」をブッ込む。そしてここで、僕がこの振替公演を「初ワンマンツアーとは完全に切り離して見るべきだ」とドヤ顔で言ったのを真っ向から否定するような言葉が、小鳩ミクの口から飛び出した。

「今日は実質ツアーファイナルだっぽ!」
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前言撤回、やっぱこいつただのバカだ。僕は「その言葉だけは思ってもいいけど、決して口に出すなよ」と昨日の名古屋公演から願い続けていたんだ。事実、名古屋では「セミファイナル」とかそれに関するMCは一切なかったからてっきり安心しきってたけど、まさか最後の最後でそれをブッ込んできてクソ笑った。これ東京公演行った人は怒っていいですw で、話は変わるけど、大阪って見た感じイカツそうな感じのオラついたメンズが多かったわりには、お給仕自体は名古屋と盛り上がりはそんなに変わらなかった気がした。勿論、サーフはないし、前方でちょっとワチャワチャしてるなーって感じ。むしろ、自分が中央でイキってた名古屋のが盛り上がってたんじゃね? ってくらい。なんだろう、単純に大阪には僕並の「やべーやつ」がいなかった。とは言っても、まだ「初ワンマン」だし、そもそも今日のお給仕が初見って人が大多数ってことを考えたら無理もなかった。あと、彩ちゃんの唐突のメガネ煽り笑った。逆に言ったらメガネかけてったら彩ちゃんからレス貰えるってことだよね?

前日の名古屋と同じように、今日も新曲の『Daydreaming / Choose me』を売りにキテる流れで、前者の”Daydreaming”では彩ちゃんの「理想的な歌声」を聴かせ、後者の”Choose me”では大阪初披露とは思えない盛り上がりを見せる。お給仕は終盤戦、そのまま突っ切るかと思いきや、ここで、まさかここで、これまで隠し通されてきた「負担」が彩ちゃんに襲いかかる。お給仕ラストの”secret My lips”まであと残り数曲ってところで、彩ちゃんの声が枯れて思うような声が出なくなってしまったのだ。本来、MISAが病欠せずに予定通りのツアースケジュールだったなら、名古屋公演と大阪公演の間には中一日の休養日が予定されていた。しかし、振替公演の日程は休養日なしの2日連続お給仕という強行スケジュール以外ナニモノでもなくて、そりゃ彩ちゃんの喉への「負担」、その「影響」がないわけがない。ただでさえフィジカルとメンタルを要求される音楽ジャンルを、かつフルセットのワンマンを休みなしで2日続けてやることって恐らく自身初?だと思うし、正直この振替公演二日目で最も危惧していたことが現実になってしまった。

当然だけど、例えばギターの弦が消耗したら新たしい弦に張り替えればいいだけのことだが、しかし「替え」がきく楽器隊と違って歌い手の喉は「替え」がきかないわけだ。事実、今回の彩ちゃんへの「負担」は事前に予期できたことだし、その「負担」は減らそうと思えば直前にでも減らせたはずだ。例えば、セトリを小鳩のソロ曲と入れ替えるだとか。しかし、今回のワンマンツアーおよび振替公演の「実質ツアーファイナル」は、歌の面で彩ちゃんへの全幅の信頼があるからこそ、彩ちゃん一本で最後まで走りきるからこそ大きな意味を成すわけで、だから身を削りながらも最後まで「ボーカリスト」としての使命を全うした彩ちゃんの姿はエモさの限界を超えてたし、それはまるで自らの喉との戦い(消耗)を幾度となく繰り返し、そして幾度となくそれを乗り越えてきたX JAPANToshiDIR EN GREY、そしてJanne Da Arcyasu彩ちゃんがダブって見えて余計に泣けた。これ見たら小鳩はどうでもいいけど彩ちゃんにだけは天下取らせたらなアカンって、甲子園で始球式させたらなアカンってなった(えっ)。そして最悪の結果という悪夢はまだ終わらない。この後日、彩ちゃんの喉に声帯ポリープが発見され、後日予定していた対バンイベントをキャンセル、そして手術を受けるとの知らせがあった。不謹慎ながら、誠に不謹慎ながら「なんて、なんてエモーショナルなんだ・・・」と、これこそ「V系」ならではの「様式美」であり、なぜ僕が【BAND-MAID=シン・X JAPAN】と表現したのか?これ以上の説明はいらないね。とにかく、今は姫の手術成功を祈るばかりで(なんかデジャブ)、そして復活したあかつきには、小鳩ヨシキが今回の『ケツアゴの逆襲』もビックリの演出を考えてくれるハズだ(デコの逆襲くるぞ・・・)。

改めて、僕の「バンメの初ワンマンは伝説になる」という勘は何一つ間違いじゃあなかった。少なくとも、振替公演の名古屋と大阪は『(ケツアゴ)伝説』以外のナニモノでもなかった。今まで自分は音源を聴いただけでバンメの全てを知ったような気でいたけれど、それは全くの勘違いだった。お給仕でしか味わえないこと、お給仕でしか体験できないこと、お給仕でしか分からないことだらけだった。バンメは間違いなくライブ=お給仕でこそ真価を発揮する「ライブ・バンド」ならぬ「お給仕バンド」であると。個人的に、今日の弾丸日帰りお給仕は出費以上に得るものが大きかったし、本当に仕事休んでまで行ってよかった。しかし、ご主人様やお嬢様よりも、今回の初ワンマンツアーおよび振替公演で得たものがあまりにも大きすぎたのはメンバー自身で、まず何よりも、このレポや名古屋公演のレポにも書いたメンバーの「負担」、それに伴う「リスク」の問題を嫌ってくらい痛感したはずだ。それ以外でも、これからは必然的にあらゆる面で「プロ意識」が求められてくるだろうし、まずメンバー自身がその「プロフェッショナルさ」を意識し始めなきゃいけない時期に来ているんじゃあないか。今回は「初ワンマン」の「初」に甘える部分が大いにあったけど、次の秋冬ツアーからはかなりハードルが高くなるのは必須だ。これまでは小さい箱で定位置でただ演奏してりゃそれでよかったけど、今後箱のキャパが広くなっていくことに伴う演出面の変化、そしてメンバーそれぞれのステージングにも注目が集まるし、どれだけステージを動かして、どれだけ客を煽ってくれるのか、とにかく秋冬ツアーはそこが一番のポイントだと思うし、今から楽しみにして待ちたい。

ただ今は姫の手術成功を祈るばかりだが、次に僕がバンメのお給仕にご帰宅するのはちょうど今から一ヶ月後、8月19日サマソニ大阪だ。この日は対ロリコンベビメタ軍との大事な初陣だ。全国のバンメ軍は全員サマソニ大阪に集合や。そして、ロリコンベビメタ軍への先制奇襲攻撃として「魔彩ジャンプ」キメて姫の復活を派手に祝うぞ。てめーら俺について来い。

【7/11】 BAND-MAID 『初One-manお給仕 Tour 2017 振替公演 ~Revenge of an ass chin~(ケツアゴの逆襲)』@名古屋CLUB QUATTRO

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【7/11】 『初One-manお給仕 Tour 2017 振替公演』@名古屋CLUB QUATTRO
セットリスト
1. Opening
2. Don't you tell ME
3. REAL EXISTENCE
4. Unfair game
5. Take me higher!!
6. モラトリアム
7. puzzle
8. the non-fiction days
9. matchless GUM
10. Awkward
11. Daydreaming
12. decided by myself
13. CROSS
14. YOLO
15. So,What?
16. FREEDOM
17. Choose me
18. Don't Let Me Down
19. alone
20. you.
21. secret My lips

5月に開催されたBAND-MAID初One-manお給仕 Tour 2017の名古屋公演と大阪公演は、ベーシストのMISAがインフルエンザのため欠席、急遽残りのメンバー「4人」でアコースティック・アレンジを織り交ぜたミニお給仕という形式で敢行された。その「4人」でやれる事の全てを出し切った約40分のライブは、このBAND-MAIDにはMISAが必要不可欠な存在であるという事実と、そのMISAとステージに立った「4人」のメンバーの『絆』を感じさせるエモいお給仕で、そのお給仕の最後に小鳩ミクは「今度は「4人」ではなく「5人」のバンドメイドで絶対に帰ってくる」という強いリベンジを誓った。そんな感動的なお給仕から約二ヶ月、満を持しての振替公演、そこで名付けられたタイトルが・・・

『~Revenge of an ass chin~』
(ケツアゴの逆襲)

頭おかしいのかよこいつら・・・あの感動を返せよ・・・最高かよ。それはそうと少し心配だったのは、元々予定されていた東京公演のセミファイナルとファイナルを無事に終えて、いわゆる「燃え尽き症候群」的なことになっちゃあいないかとか、そして早くも次の秋冬ツアーの日程が発表されて(もちろん自分は一次選考で名古屋ダイホと東京新木場のチケを取ったのだけど)、その入金をしながらふと我に返った僕は→「・・・ん?ちょっと待って、俺ら(名古屋&大阪)の初ワンマンまだ終わってないんですけど?俺ら(名古屋&大阪)蚊帳の外感ハンパねえ・・・まるで打ち切り漫画の常套句にありがちな俺たちの戦いはこれからだ!」的な、とにかく「なんだこの焦らしプレイ」ってなった。あと疑問に思ったのは、今回の振替公演を5月の初ワンマンツアーの実質的なセミファイナル(名古屋)、実質的なツアーファイナル(大阪)として見るべきなのか?と。僕は「いや、そう見るべきではない。5月の初ワンマンとは完全に独立したお給仕として解釈すべきだ」と思った。何故なら、この一週間後に「何があるか?」を考えたら、自ずとその答えが見えてくるハズだからだ。


それもこれも、元はと言えばMISAとかいうケツアゴ女がアゴインフルエンザなんかにかかりやがったせいで、ケツアゴはもう今日の振替公演でフロアにダイブするくらいじゃなきゃ許されんわと、「ダイブ&サーフ禁止」ならもう小鳩ミクが代わりにダイブするくらいじゃなきゃ許されんわこれ。というのも、この先週に行われた「ご主人様限定」のスペシャルお給仕中に、ヘタなダイバーが小鳩ミクのマイクスタンドに接触して、そのマイクが小鳩ミクの顔面に直撃して彩ちゃんブチギレというアクシデントがあったらしく、あいにく大事には至らなかったみたいで何よりなんだが(あいにく?)、個人的に最近は赤い公園のボーカリストが脱退した件があったせいで余計に敏感になってる所もあって、それこそ今回の振替公演もそうなのだけど、そういったバンメンバーへの負担や目に見えない不満が積み重なった結果、この度の赤い公園のような「最悪の事態」に陥るなんて事になったらシャレにならないわけで。勿論、ご主人様やお嬢様だってもしバンドメイドから脱退者が出たりなんてしたら、それこそ想像もしたくないわけじゃん?じゃあそれなりに考えて行動すべきなんじゃね?っつー話で。だからと言って、今回の振替公演という「負担」の原因となったケツアゴが「私のせいで・・・」みたいに、変に責任を感じて今度から「ナムルと煮卵作らなきゃ(使命感)」みたいに、変に気ィ遣ってネタ要因を買って出る必要性は全くないわけだ。つうか、そんなことより「彩ちゃんから生まれた卵」、もとい彩ちゃんが作った煮卵とMISAが手作りしたナムルをツマミに、そして歌波のナニから捻り出したマン◯ー味のカクテルをジュルリと豪快に口に含んで・・・そう考えたら、なんかもう「何度でも新しく生まれたい」と思っちゃったんだからしょうがない。こんなキモチは満島ひかりちゃん以来だ。

話を戻して、正直その時点(小鳩にマイクが直撃)で公演中止する決断もありえなくはなかったハズだ。それなのに何故、そのままお給仕を続行したのか?それは、小鳩ミクの胸の奥に秘められた『覚悟』がクソサーファーのように「ちっぽけ」なもんじゃあ決してないからだ。じゃあ、小鳩ミクの『覚悟』って一体なんなんだ?そう、小鳩ミクの『覚悟』・・・それこそ端的に言ってしまえば「売れなきゃAV堕ちよ!」だ(えっ)。まぁ、それは冗談として、その小鳩ミクの『覚悟』を垣間見たとあるエピソードを思い出した。それは今年の3月に名古屋県は豊橋市で行われたパンクイベントの小鳩ミクのMCで、「小鳩のことを嫌いになっても、バンドメイドのことは嫌いにならないでください!」という某アイドルの迷言をオマージュした言葉に、まさしく小鳩ミクの『覚悟』という名の「自己犠牲」の精神が込められていて、なんつーか知れば知るほど「こいつタダもんじゃない」ってのが分かってくる。とにかく、端的に言って「売れなきゃAV堕ちよ!」、その小鳩ミクの『覚悟』をご主人様とお嬢様は理解してやらなきゃイケナイ時期にきてるんじゃあないか?小鳩ミクの『覚悟』を知らないって事はよぉ...お前らそんなに小鳩ミクの「小鳩胸」が見たいってことかよ?僕は小鳩ミクの「小鳩胸」なんか見たくありません!

「普通」の運営なら、こうなった時点で今後のライブは「ダイブ&サーフ禁止」にするのが当たり前だし、あの【楽器を持たないパンクバンド】ことBiSHですらだいぶ前に禁止にしているほどだ。しかし他のバンドやアイドルと違って、唯一このBAND-MAIDには小鳩ミクという見るからに「普通」ではない存在、すなわち「不確定要素」が在籍しているわけで、事実その小鳩ミクは自分が被害にあっても途中でお給仕をやめなかった。その出来事は、今回の振替公演における神対応でも感じた、それこそパンピーには理解できない小鳩ミクの底知れぬ『覚悟』すなわち「売れなきゃAV堕ちよ!」、そしてBAND-MAIDというバンドの「器のデカさ」を物語っていて、むしろ逆に、むしろ逆に小鳩ミクはケツアゴ急病やマイク顔面直撃という逆境すらも「お給仕の演出」として昇華してしまうからだ。だから今回の件は本当に難しい問題だし、さぞかしバンド側も頭を抱えているのでは。その「ダイブ&サーフ禁止」の決定権は、やはり当事者である小鳩ミクの判断に委ねられているのでは。だから、この問題は本当に難しい。何故なら、今回は小鳩だから良かったものの、今度は他のメンバーに被害が及ぶ可能性、それこそお給仕にご帰宅するご主人様、特にお嬢様に被害が及ぶ可能性も容易に考えられるわけで、もしまたのお給仕でそういった事故が起こった場合、もしクソダイバーの被害にあった人は果たして「またバンドメイドのお給仕にご帰宅したい」と思うだろうか?いや、逆に「え、バンドメイドのライブってこうなんだ・・・なんか違った」と思うだろう。現に、自分は今年の3月に名古屋県は豊橋市で開催されたパンクイベントで、バンメの出番の時にエグいダイブやサーフを生で目撃しているし、それこそ今年の1月にZEPP名古屋で行われたBiSHのライブ中に清掃員の清掃活動に巻き込まれて「もう二度とBiSHのライブには行かない」と誓った僕みたいなのを、今度はバンドメイドのお給仕で同じような思いをしてほしくないんだ。正直、今のバンメには一人のフアン(ご主人様&お嬢様)すなわち「兵」を失うことがどれだけ痛手なのか、なんてのは運営側も当事者であるメンバー側もよくわかっているハズだ。大袈裟じゃなしに今のバンメはとても大事な時期にいるわけで、今こんなところで立ち止まっている暇はないわけで、だからこそ禁止の判断とその結論を出すのが非常に難しい問題なんですね。要するに、あらゆるリスク(炎上)とお給仕の演出(面白さ)を天秤にかけて、どっちを取るかの究極の選択。だから難しいし、今度はリスクヘッジの問題になってくる。

ところで、某冨樫ばりにサボってる間、当のケツアゴ本人は一体何をしていたのか?

僕はケツアゴを許した。そら許すよ。だってお前、ここ最近はモンドグロッソ関連で、自分も久しぶりに満島ひかりちゃん主演の映画『愛のむきだし』を見返したのと、その流れで園子温監督のサイン入りポスターに当選するという、まさにそれら一連の伏線を回収するようなツイートで、これには「しかしエラいタイミングでツイートすんなこいつ」ってなったのと、「いやいやいや、それ病床で見るような映画じゃねーから、そんなん見とったら治るもんも治んねえから」ってツッコんだ。もしや園子温監督のサイン入りポスターに当選したのは満島ひかりちゃんお陰じゃあなくて、実は「鶴の恩返し」ならぬ「ケツアゴの恩返し」だったのかもしれない。サンキューケツアゴ。

なんだろう・・・そんな、「元祖アゴお化け」ことX JAPANのToshiリスペクトなタイトルだけに、MISA含めたバンメンバーとオーディエンスはX JAPANのラストライブばりに「そんな様々な想い」があっての振替公演である。ここで僕は今一度、サマソニ出演決定の衝撃や明日(大阪)の振替公演のことは忘れて、改めて今一度冷静になって「これはバンドメイドの初ワンマンお給仕の名古屋公演である」、ということを念頭に入れてライブに挑んだ。自分は前回と同じ、彩ちゃんが真正面にくる位置の三列目を陣取った。おいら、こう見えて身長181㌢あるスタイルグンバツのイケメンなので(ごめん盛った)、決して「最前」ではない三列目と言えどこれはもう実質「彩ちゃんに最も近い男」すなわち「彩前」だ。前回は「4人」でのアコースティックお給仕だったからか、前方への圧縮もない超絶平和な感じだったので、てっきり今回もそれに近い感じになるだろうと安心しきっていた。しかし、直ぐにそれは大きな間違いだったことに気づかされる。

開演時間の7時。前回にはなかったお馴染みのオープニングのSEが流れる始めると、前回不在だったMISAを筆頭に各メンバーがそれぞれステージに登場。ここで僕は→「あれ?ミニお給仕と比べると小鳩かなり中央に寄ってんな」と感じながらも、本日の「主役」であるMISAが現れた時には「待ってました」とばかり、MISAを待ち望んでいたご主人様たちの歓声が上がる。そして、前回にはなかったBAND-MAIDのお給仕ではお馴染みの、彩ちゃんの「お給仕はじめます(ドヤ)」の言葉を合図に、今年の1月にドロップされたメジャー1stフルアルバム『Just Bring It』でもオープニングを飾る「どんちゅーてーどんちゅーてー」こと”Don't you tell ME”を披露。当然だが、やっぱMISAがいるいないでは音の出方がまるで違う。安定の「オイオイ」コールと同時に、前回にはなかった前方への圧縮が起きる。自分が陣取っていた三列目はモロに圧縮を食らう場所で、「オイ!オイ!オイ!オイ!話が違うじゃねーか!」と動揺する間もなく、次の”REAL EXISTENCE”で起きた更なる圧縮によって、僕は彩ちゃんの真正面すなわち「彩前」から徐々に弾き出されて、最終的には小鳩ミクが真正面にくる中央寄り5,6列目あたりまで押し戻されてしまった。正直「マズい」と思った。何故なら、今日の僕は「彩ちゃんから爆レスを貰う」という大きな目的があったからだ。このままだと彩ちゃんからレスが貰えないんじゃあないか?そこで僕は考えた・・・こうなったら「アレ」をやるしかないと。

「ケツアゴのいないバンドメイドはサビ抜きの寿司だ」

おいら、いわゆる「スーパーで売ってる寿司大好き芸人」なんだが、ここ最近は寿司のシャリを捨てるバカ女が話題だが、それはそうと、いつからかスーパーで売ってる寿司って「サビ抜き」がデフォになってて、いわゆる「スーパーで売ってる寿司大好き芸人」としては「はあああああああああああああああああああああ??」って感じなんだが、でも確かに最近はサビ抜き派が多く存在しているのも事実だ。しかし、サビ抜き派の言い分の中に「サビのせいでネタの味がわからない」とかあって、それ聞いたら余計に「はあああああああああああああああああああ??むしろ逆だろおおおおおおおおおおお」って感じなんだが、だって「主役」ではない一生「脇役」のサビがあるからこそ、「主役」である「ネタ」が活きて「ネタ」の風味と「シャリ」のハーモニーを引き立たせているわけで。それはBAND-MAIDだって同じだ。バンドを底から支える最重要員であるギターの歌波とドラムの茜が「シャリ」とするなら、 BAND-MAIDの「主役」である彩ちゃんと小鳩が「ネタ」であり、そしてその「シャリ」と「ネタ」の間に挟まれる「サビ」を担うのがケツアゴことMISAだ。逆に言えば、ケツアゴのベースがあって初めて「シャリ」の楽器と「ネタ」の歌が活きるということ。要するに、「サビ抜きの寿司」なんか子供舌のキッズが食べるもんで、これは「MISA抜きのバンドメイド」と同じで、つまりMISAという「サビ」が間に挟まれているからこそBAND-MAIDは「大人舌」でも楽しめる大人のロックバンドに変貌するんだって。・・・ふと、そんなことを思ったのが、他ならぬMISAのベースソロが炸裂する”Take me higher!!”を目にした時だ。この曲の見どころは何と言ってもギターの歌波とMISAのソロバトルで、この時ばかりは「サビ」のMISAが他の誰よりも一番の「主役」=「ネタ」になっていた。その曲が終わると、小鳩ミクがMCで「ケツアゴいじり」を始めるが、正直その時の僕は「赤い公園...脱退...うっ頭が」とヒヤヒヤもんだった。

そして遂に、僕らは”モラトリアム”を目撃する。この曲で注目すべきポイントって、間奏部分の小鳩ミクのヘヴィなバッキングと歌波のギターソロ、つまりメシュガーのフレドリック・トーデンダル化する歌波に対して、一方の小鳩はリズムギターのマルテン・ハグストローム化しなければならない所だ。その「リードギター」と「リズムギター」の連携がキマって初めてBAND-MAIDは「メイド界のメシュガー」を襲名できると思ってて、この曲は歌波のスリリングなGソロよりも小鳩のバッキングギターが主役と呼べる唯一の曲と言っても過言じゃあない。幕開けから茜のツーバスドコドコで勢い良く疾走していき、間には彩ちゃんのサビがあって、そして例の間奏部に突入する。僕は「くるぞ・・・くるぞ・・・小鳩よ・・・鳥になってこい!」とばかり、その瞬間だけは小鳩ミクの手元に全神経をやった。

小鳩「ポヨヨ~~ん♫ポヨヨ~~ん♫」
ajajaj

(holy shit...)
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ナメてんのかこいつ・・・。いや、でもそれなりに弾けてた気がする・・・音は確かに小さかったけど。正直、この曲の小鳩のバッキングだけはどの楽器よりも音量デカくしていいと思う。なにせ過去の曲を含めて小鳩のギターが歌波のギター(ソロ)よりも大事になる非常にレアな場面だから。その”モラトリアム”以降の”puzzle”からの”the non-fiction days”はアツすぎてヤバかった。その後はカップリング曲の”matchless GUM”から前回はアコギで披露された”Awkward”というミドルテンポの曲でちょいとブレイクする流れ。気になったのは”Awkward”はライブだと意外と皆んな大人しいというか、この曲って後半に展開が変わってノリ良くなるのにオーディエンスは最後まで比較的大人しかった。めっちゃワッチョイしたくなるのに。



そして、この記事の初めに書いた、このお給仕の一週間後に一体「何があるか?」の「答え」が遂にお披露目となった。それが7月19日にリリースされるメジャー2ndシングルの『Daydreaming /』だ。僕が今回の振替公演を「初ワンマンツアー」とは完全に切り離したものと考えるべきだと言ったのは、他ならぬこの新曲の存在が頭にあったからだ。この曲のイントロのサビが始まると、これまでの曲と雰囲気がガラッと変わる。まず何よりも驚いたのは彩ちゃんの歌で、僕は今年の1月に1stフルアルバムの『Just Bring It』を聴いた時、彩ちゃんの歌声に対して「今にも絢香の三日月歌いだしそうなくらい”バラード映え”する歌声」と評価していて、事実その通りだった。ヘタしたら今日の中で一番いい声が出ていた。というより、彩ちゃんの声域というかキーと歌唱法が曲調と一番合っていたような気がしたというか、なんだろう彩ちゃんの「素」の歌声に近いというか、それこそ彩ちゃん自身かなり歌いやすく感じてるのが分かるくらい、とにかく声の「抜け」が良い「理想的」な彩ちゃんの歌だった。これって結局、彩ちゃんの良さや魅力を知り尽くしているコンポーザーの歌波だからこそ書ける曲なんだなって、これ生で聴いたら歌波の前じゃ自分みたいな彩ちゃんヲタはあまりにもちっぽけ過ぎて泣ける。今度からお給仕でこの曲を聴く時は、これが彩ちゃんの「理想的な歌声」ってことを理解して聴いたほうがいいです。でも実は彩ちゃんと同じくらい茜とケツアゴのリズム隊が織りなす心地よいグルーヴ感に神経が行ってたのも事実で、この辺は是非ともシングルレビューを楽しみにしていてほしい。既にレビューの冒頭部分のネタは決まっていて、ネタバレすると「小鳩ミク、バンドエイド社の最終面接に挑む」です。

ここまでアツすぎ&テンション上がりすぎて、僕はてっきり忘れていた。当初の目的が「彩ちゃんからレスを貰う」ということを。その目的を実現する最大のチャンスがやってきた。それが”FREEDOM”だ。この曲はバンメが誇る最強のアンセムと言っても過言じゃあないほどお給仕の定番曲であり、ここ一番の盛り上がりを見せる曲だ。しかし現実問題として、彩ちゃんからレスを貰うにはどうしたらいいのか?それこそ先程にも書いた「アレ」の出番だ。その「アレ」とは・・・

『魔彩ジャンプ』
【説明しよう。魔彩ジャンプとはケニアの先住民族であるマサイ族のジャンプ力を得ることで、彩ちゃんからレスを貰う可能性がグンと高まる代わりに、お給仕終了後に出禁を言い渡される可能性を秘めた諸刃の最終奥義である】

しかし、ここで想定外のことが起きる。いよいよサビの時に、飛最終奥義「魔彩ジャンプ」を発動しようとしたら周りの人も飛んだり跳ねたりとワチャワチャ揉みくちゃになってて、結果的に全然飛べなかったのだ。奥義「魔彩ジャンプ」は無残にも不発に終わってしまった。その「魔彩ジャンプ」失敗というショックを引きずったまま、遂にお給仕恒例の小鳩ミクによる「おまじないタイム」が始まった。

小鳩「くるっぽー!」
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俺ら「あ~うっせ」
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小鳩「萌え萌え~!キュンキュン!」
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俺ら「はよ終われ」
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小鳩「ケツアゴー!」
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俺ら「ケツアゴー!」
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小鳩「ケツアゴー!!」
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俺ら「ケツアゴー!!」
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こんなんクソ笑うって。まさかの「ケツアゴコール」は笑うって。そもそも初ワンマンで「ケツアゴコール」ブッ込んでくるバンドなんて見たことねーし・・・頭おかしいのかよ。一見、イメージやキャラ設定的にメンバーの中で一番目立たなそうなMISAことケツアゴが実は一番面白いとかわけわかんねぇ・・・。その「おまじないタイム」後の小鳩のMCでは、10月15日にダイアモンドホールで開催される秋冬ツアーはMISAの誕生日?が近い?らしくて、またケツアゴネタぶっ込んでくるフラグを立てやがった。あと、「おまじないタイム」では自分は小鳩の真正面にいて、何かの拍子に小鳩が体を揺らした時に「小鳩胸」であるはずの「小鳩胸」がちょっと揺れたから、こいつ案外「小鳩胸」じゃないかもしれないという報告。



今回の振替公演は初ワンマンツアーから完全に切り離して見るべきだと、その理由として書いた”Daydreaming”の話には続きがあって、それが実は両A面シングルであるということで、そのもう一つのA面シングルである『Daydreaming / Choose me』”Choose me”は流石にやらへんやろぉ・・・と思ったらやった。音源自体は、数週間前に公開されたMVの彩ちゃんがマブし過ぎてまだ一回くらいしか聴けてなくて、片方の”Daydreaming”はリリース前にも関わらず完成度の高いパフォーマンスでドン引きしたが、それと比べるとお給仕ではまだまだ詰めが必要だと感じさせつつも、オーディエンスはしっかりと盛り上がりを見せていた。しっかし、”Daydreaming”は必須だと思ってたけど、まさか”Choose me”まで披露しちゃうのは全くの想定外だった。それにしても「売りにきてんな」と、こいつら「シングル売りに来てんな」と。だって考えてみ?5月の東京ファイナル公演で初めて”Daydreaming”を披露したが、この”Choose me”だけは今回の「初ワンマン」では一度も披露していないからだ。小鳩にマイクが直撃した先週のご主人様限定の特別なイベント形式ではなく、フルセットのワンマンライブで初めて”Choose me”がセトリに入ったのが、今回の名古屋振替公演という事になる。ちょっと前から思ってたけど、俺ら名古屋勢優遇されすぎだろ・・・。こんなご奉仕されちゃったら名古屋の皆んなバンメのこと大好きになって秋冬ツアーのダイアモンドホールにも行っちゃうよな~?

しかし、まだ僕の目的は果たせていない。次の”Don't Let Me Down”は、出禁覚悟の最終奥義「魔彩ジャンプ」を成功させるラストチャンスだ。この曲は合法的にサビでジャンプしても許される曲なので、僕はこの曲に全てを賭けた。そう、何故なら僕には身長181㌢のスタイルグンバツのイケメンという最大の利点がある(ごめん盛った)。

彩ちゃん「Don't Let Me Down!Don't Let Me Down!」
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ぼく「魔彩ジャンプ!魔彩ジャンプ!」
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こんな風に、サビで飛んでる最中は「彩ちゃん見て見て!俺が一番高えでしょおおお!!??ウェイ!」とばかりに無我夢中で「魔彩ジャンプ」を繰り返してて、実際今日のお給仕で一番高く飛んでた自信あるくらいだった。しかし、彩ちゃんから爆レスを貰うために「魔彩ジャンプ」してる最中、ふと我に返って今の状況を頭の中で整理した。

(もしや、俺は今 後ろのやつの足を踏んでしまったんじゃあないか?)
(いや、気のせいかもしれない)
(いや、間違いなく踏んだ気がする)

事実、前の人の背中を支えに借りていたり(左腕でガードする感じで)、恐らくジャンプ中に「あ、こいつやべーやつだ、距離取らなきゃ」みたいに思われたのか、その後ろの人に背中を手でソッと支えられていたのも事実としてあって、これって結局、冒頭に書いたクソサーファー/クソダイバーと全く同じ話で、もし足を踏んでしまった人がもう二度とバンメのお給仕に行こうと思わなかったら?一体それは誰の責任だ?そう考えたら本当に申し訳ない気持ちで一杯になった。そう、僕はいつの間にか「ミイラ取りがミイラに」なっていたんだ。「彩ちゃんからレスを貰う」という個人の勝手な利益のために、BiSHのライブで脇腹に痣を作った僕という「ミイラ取り」が、今度は見ず知らずの他人に迷惑をかける「ミイラ」になっていたんだ。それで結局、彩ちゃんからレスは貰えずに、最後の賭けは失敗に終わった。当然だ。個人の利益しか考えない調子乗りカスに、俺たちの彩ちゃんがレスをやるわけないからだ。逆に、そこが彩ちゃんのキャラクターとしての良さであり魅力でもある。でも途中で距離的に近い小鳩ミクに「魔彩ジャンプ」したら普通にスルーされて素で凹んだんだけど。つうか、小鳩は演奏中にキョロキョロし過ぎだろ。もっと余裕持てよ。

先程の「魔彩ジャンプ」で全ての気力を振り絞った僕は、ラストを目前にして体力の限界に達する。そりゃそうだ、普段のライブは地蔵がデフォの自分がここまでアクティブに動いて汗かいたのって、それこそ高校野球時代は元より(ちな高校通算本塁打5本w)、リアルに大学で野球やってた頃以来だわ。マジで「ギリギリ20代」の限界を感じ取った瞬間だった。それ以降の僕は、オキニ曲の”you.”とラストを飾る”secret My lips”を目の前にしながら、まるで死んだ魚の眼をしてステージを眺めていた。

ほぼノンストップで全20曲を終えて、最後の挨拶の時に小鳩が「秋冬ツアーのダイアモンドホールのチケットがこの後の物販で買えるから買うっぽ!じゃなきゃ埋まらないっぽ!」的な告知しはじめて、まぁ流石にメンバーも運営側もこのままじゃダイアモンドホール埋まらねぇのは重々分かってるようで。しかし来週のシングルと振替公演限定のケツアゴTシャツを売りに来るついでに、まさか秋冬ツアーのチケットも売りに来るとは思わなかった。確かに、初ワンマン(初ワンマンとは言ってない)で平日火曜の名古屋クワトロを完売させるバンドって初めて見たからやっぱ「バンメキテる」ってなった。けど、いくら日曜日のダイアモンドホールとは言え、今回の箱よりも倍近いキャパのある箱を埋めようなんて、あまりにも非現実的だ。なにせダイアモンドホールってーと、Mステ出演しまくってる水曜日のカンパネラがライブするような箱だぜ?ほとんどと言っていいほどTVの露出が全くないバンメがどうやって埋めるんだよ・・・。今度の箱がダイアモンドホールって聞いた時、「いやいやいや、さすがに事務所は強気すぎだろ・・・」ってなったし。でも、その不可能を可能にしてしまいそうな勢いが今のこいつらにはあって、だから全く予想できないし、とは言えやっぱり秋冬ツアーで初めてバンメは「名古屋の洗礼」を浴びるに100ガバス賭けるわ。だって、このままじゃ本当に埋まらないんだもん。だから僕が犯した罪への「懺悔」に免じて、バンドメイドの危機を助けてやってほしい。わかりやすく言えば援軍が欲しい。今度こそ「魔彩ジャンプ」を成功させるんで、すげージャンプするやべーやつを見に来てください。もちろん、僕も新木場ファイナルに援軍として向かう予定なので、どうか名古屋もお願いします。ワンチャン僕に会えるので、読者の女の子はこの機会に是非僕に会いに来てくださいね。まぁ、それはともかくとして、言うなればケツアゴの「生誕祭」とも呼べる、スペシャルなお給仕になるであろう次回の名古屋ダイホ公演は、もしかするとケツアゴのケツアゴですり下ろしたワサビが食せるかもしれない・・・?

前回のミニお給仕とは無論全てが違う。まず「4人」ではなく「5人」揃ったことで、お給仕の形態そのものが違うし、オーディエンスの盛り上がり方も真逆だし、衣装がMVでもお馴染みの最新仕様に変わってたり、歌波のギターも例の真っ赤なPRSに、小鳩のゼマイティスも柄がドクロ仕様になってて、その柄を見た時はJanne Da Arcのアルバム『JOKER』を思い出した。

自分がこうしてこう書いてるのも、全ては1月の『Just Bring It』から始まっているからだ。もしもこのアルバムが2月以降に出てたら間違いなく聴いてなかったと考えると、なかなかどうして面白い。そもそも『Just Bring It』って、インディーズ時代のゴリゴリのハードロック的な作風から一転して、いわゆる「ケツアゴ」&「オイオイ」コールやオーディエンスを巻き込んだシンガロング、同時にイマドキの「モダン」な「ラウド系」のヘヴィネスを中心とした、つまり「意図的」にライブ=お給仕で盛り上がるようなギミックが盛り込まれた、それこそ今回の「初ワンマンツアー」を見据えた「ライブ向け」に作られた側面もあって、その製作者側による「意図的」に狙った部分は、今日のお給仕の盛り上がり方を見ても「成功」だったと言える。つまり、今回の初ワンマンツアーは実質アルバムツアー、それ即ちメジャー以降の「今のバンドメイド」の実力を示しだすツアーとしての側面を持ち、それと同時に今日の振替公演は「これから」すなわち「未来のバンドメイド」を予感させる、次回の秋冬ツアーの前哨戦としての側面も持ち合わせていたんだ。

もう『Just Bring It』完全再現でよくね?みたいな所もあったけど、気になる本日のセトリは、ほぼメジャーデビュー以降のシングルおよび1月のフルアルバム『Just Bring It』の楽曲、そして来週リリースされるシングル中心のセットリストで、『Just Bring It』からは小鳩ソロの”TIME”と小鳩と彩ちゃんのツインボーカルがメインとなる”OOPARTS”以外は全て披露したことになる。今回のツアーのセトリで注目すべき所、それは全公演のラストを飾った曲が『Just Bring It』でもラストを飾る”secret My lips”だったことで、実はここにもちょっとした伏線というかエピソードがある。自分が初めてバンメのお給仕に行った3月の対バンイベントの時に、その”secret My lips”を披露したのたけど、最後の曲ではなくセトリの中盤くらいで披露したのを見て、「いや、この曲はラストにやってナンボだろ」とツッコンだ憶えがある。勿論、フルセットのワンマンとフェスあるいは対バンではセトリの違いがあって当然なのは分かるけど、この”secret My lips”だけは「最後に聴きたい感」というのが人一倍強いから、今回のワンマンツアーのセトリのラストに”secret My lips”を固定したのは英断だと思ったし、ここは素直に評価すべき所だと思う。実際、この曲の最後の小鳩パートが終わった後に溢れ出すカタルシスは、頑なに「アンコールなし」を貫き続けるバンドメイドらしさを体現していた。

その1月の『Just Bring It』から今までの約半年間、「まさか」の出来事や「信じられない」ような発表がバンドメイド周辺を取り巻いていた気がする。僕自身は、この半年間ただ小鳩ミクの掌の上で踊らされていただけなような気もする。まず僕は『Just Bring It』の時点で、BABYMETALとの比較をして見せた。そして5月にはバンドメイドのまさかのサマソニ出演が発表され、そしてつい先日、同じくBABYMETALもサマソニ出演が発表され、まさかの両者初共演(初陣)が早くも実現する運びとなった(ここではVAMPSとの共演、ハロパ出演への伏線を既に立てている)。まるで『Just Bring It』の記事が伏線になっていたかの如く。『Just Bring It』における伏線は他にもある。それは「バラード」に関する言及だ。僕はこの記事の中で、彩ちゃんの「バラード」を歌う素質を見抜いていた。しかし、残念ながらこの『Just Bring It』には「バラード」と呼べる曲はなかった。その半年後、まさか次の新曲が「バラード」になるなんて全く想定していなかった。

その数ヶ月後、僕はFallujahというメタルバンドの記事の中で、ギターのスコット・カーステアーズとOpethのミカエル・オーカーフェルトとバンドメイドの歌波のギタープレイに共振する部分を見出した。特にミカエルと歌波は【リズムギター】と【リードギター】と【コンポーザー】を担う、そして同じ「PRS使い」として強くダブル所があって、その中で僕は言った→「そろそろ歌波はアコギ弾き始めるぞ」と。話は変わって、3月の対バンイベントで初めてお給仕を見た時、メンバーの中で小鳩ミクだけ自己紹介やMCしてたのを見て驚いた。こちとら鳩女じゃなくて彩ちゃん筆頭に、他のメンバーの話が聞きたんやと。しかしその二ヶ月後、初ワンマンツアーの名古屋公演で観たのは、数か月前に僕が望んでいた「彩ちゃんのMC」だった。当日はMISA病欠のためミニお給仕、そこでステージに登場した歌波は、なんと「アコギ」を片手にして椅子に腰掛けたのだ。彩ちゃんと歌波による『夢』のようなアコースティックショーは、言うまでもなく言葉にならないほど素晴らしく貴重な体験だったし、過去にそれらの伏線を立てていた僕は特に感動ひとしおだった。その数ヶ月後、ご主人様限定&お嬢様限定お給仕の中で、(Acid Black Cherryのライブでもお馴染みだった)ツイッターでメンバーに聞きたい質問を募集して、それに各メンバーが答えるというスペシャルなお給仕を開催し、更なる伏線を回収したのは今さら言うまでもない。もしMISAが病欠せずに予定通りワンマンお給仕が行われていた場合、ミニお給仕でのアコギや彩ちゃんのMC、そして振替公演での”モラトリアム”含む新曲披露もなかったと思うと、本当に今回の名古屋と大阪は優遇されているなーと。正直、ここまで従順で学習能力の高いメイドは未だかつて見たことがない。そして、先日のご主人様限定で起こったクソサーファーによるマイクが小鳩の顔面に直撃するアクシデントまで、ここまで全ての伏線回収および演出を描いたのは、他でもないバンドの顔である小鳩ミク本人である。

『小鳩ミクのヤバさを知った僕』
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来年で10週年を迎える、当ブログWelcome To ようこそ ”俺の感性”は、2017年に入って突如として現れた小鳩ミクとかいう鳩女の前に、あえなく敗北したのだ。この半年間で小鳩ミクとバンドメイドは、それはまるでV系界のレジェンドであるX JAPANのヨシキの如く、次々に襲いかかる幾多の困難すらバンドのドラマ性を高める、その物語を構成する一つのギミック(演出)として、つまりマイナスをプラスに変えてしまう、小鳩ミクのプロデュース能力および演出家としての才能が爆発した結果が今のバンドメイドである。僕はまんまと総合演出兼プロデューサーの小鳩の掌の上で踊らされていたんだ。完全に「俺の感性」が小鳩ミクに試されていたようだった。よく「小鳩ミクいらねぇ」って言う奴は、この演出を見ても同じこと言えんの?って感じだ。正直、「俺の感性」レベルでも「こいつやべーやつだ」と危険を察知して掌の上で上手く踊らされるだけなのに、ニワカレベルだと間違いなく掌の上で小鳩に踊り食いされます。このツアーで小鳩ミクは、「小鳩いらなくね派」を一掃することに成功し、小鳩ミクあってのバンドメイドをここに証明してみせた。少なからず、名古屋と大阪のご主人様は小鳩に完落ちさせられて、今は金玉握られてる状態だ。

それこそ『Just Bring It』の記事で、BAND-MAIDとBABYMETALの違いの部分で僕は「自らの手で未来をハンドメイドしていくのがバンドメイド」と表現したように、つまり裏方のプロデューサー(コバメタル)が敷いたレールの上で良くも悪くも予定調和的に管理されて活動するのがベビメタなら、このバンメは自分たちの手でイチから作り上げていく、それ故に自分たちで全てを決めて行動するからこそ(MISA欠席の件を見れば分かるように)想定外の事が起こりうる、つまり「予定調和」の真逆、それこそ小鳩ミクという「不確定要素」の存在がバンメとベビメタの最も大きな違いである。つまり、全てが「予定調和的」に管理されたベビメタはステージ外での出来事やドラマは何もない。しかしバンメは外で起きた出来事が直接ライブに反映される。このように「作られたユニット」と「リアルな生バンド」の差が最も顕著に現れるのがライブパフォーマンスである。あらかじめ裏で完成されたエンタテインメントを一方的に見せつける、言わば受動性の高いベビメタのライブパフォーマンスに対して、このバンメは目の前にいる観客と一体となってイチからライブという名のお給仕を作り出していく、言わば即興性の高いケツアゴパフォーマンスと言える。勿論、どちらが正しくてどちらが良いというわけではない。しかし、どちらのライブが面白いのかは明白だ。

今回のように、「外」で起きたイレギュラーな出来事を「演出」の一環として「内(ライブ)」に持ち込んでくる演出は、それこそ全盛期のX JAPANをはじめとした90年代のヴィジュアル系界隈そのものだし、最近ではBiS(H)界隈をはじめ、イマドキのアイドル界隈も炎上商法という呼び方で名前を変えて、そのやり方を踏襲している。ベビメタもライブの演出でX JAPANをリスペクトしているが、このバンメはX JAPANのより「本質的」な部分をリスペクトした喜劇的な演出を、ベビメタとはまた違った視点からX JAPANをリスペクトし、そしてそれを実行している。ここまでの、言うなれば「小鳩劇場」に気づいた人がどれくらい存在するかは知らないが、ティーンエージャーになる前からX JAPANの名盤『JEALOUSY』のカセットテープを聴かされて育ったV系エリートの僕には、小鳩ミクが考えていることなんて全てまるっとお見通しだっつーの。よって、このバンドメイドに面白さとユルさとメリハリとギャップ萌えを持ち込んでいるのは他ならぬ小鳩ミクであり、それと同時に「アイドル視点」で見るバンドメイドの面白さと、V系視点で見るバンドメイドの面白さも、全て小鳩ミクの演出力によるものだ。もう小鳩ミクは小鳩ヨシキにでも改名しろよ、ってくらい。もしやマイクが顔面直撃してもノーダメだったのって、ヨシキのヘドバンと同じ一種の自傷行為なのかもしれない。確かに、小鳩以外のメンバー(特に彩ちゃん)はバンメを「アイドル視点」から見られることを嫌うだろうけど、ほら彩ちゃんは「虎党のアイドル」つまり「虎サーの姫」として応援することなら許してくれるはずだからね?

なぜ僕がバンドメイドのことを一種のV系として評価しているのか?確かに、小鳩ミクが典型的なV系好きのバンギャ顔してるから、というわけではない。実は『New Beginning』の記事に伏線を仕込んでいて、その時僕は既にAcid Black Cherryとバンドメイドを共振させているのだ。その伏線を回収するように、先日MUCCのトリビュート作品にバンドメイドが参加することが発表された。となると、やはりVAMPS主催のハロパにはほぼ内定済みと見ていいだろう。

それらを踏まえて、改めて今日のお給仕を振り返って見ると、間違いなくこれまでの様々な想いが幾重にも積み重なった末、遂にたどり着いたお給仕だった。当然、振替公演でタイトルが「ケツアゴの逆襲」ってんだから、普通のお給仕じゃ満足しないわけだ。そんな風に、僕はただ彩ちゃんの網タイツの網目の数を数えに来ただけなのに、何かトンデモナイものを見せられた気分だ。単純に、なんでこんなスキルフルなバンドが今までワンマンツアーやってなかったのか謎過ぎだし、初ワンマンと言ってもそれはもう名ばかりの初だ。これは、これまで百戦錬磨の死闘を繰り広げてきたライブバンドが持つソレだった。こいつらには「底」がないのか?ってくらい、まだまだ「底」が全く見えてこなかったのが末恐ろしいくらい、これが「初ワンマンツアー」ってことを忘れさせるパフォーマンスで、少なくとも今この箱の規模でやれる全ての事を出し切ったと言っていい。とにかく、今回ばかりは完全に小鳩ミクにしてやられた。何度も言うけど、こいつら初ワンマンでとんでもないことしでかしやがった。これはもう伝説だ。その名も『ケツアゴ伝説』だ。

この続きは大阪公演のレポで(もうこんなに書かない)。

Marika Hackman 『I'm Not Your Man』

Artist Marika Hackman
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Album 『I'm Not Your Man』
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Tracklist

02. Good Intentions
03. Gina's World
05. Round We Go
06. Violet
07. Cigarette
08. Time's Been Reckless
09. Apple Tree
10. So Long
11. Eastbound Train
12. Blahblahblah
13. I'd Rather Be With Them
14. AM
15. Majesty

new_スクリーンショット (34)「こんばんは、稲川VR淳二です」

new_スクリーンショット (34)「今宵は、私が体験した音楽にまつわる身の毛もよだつ恐怖話について語りたいと思います」

new_スクリーンショット (34)「実は私ねぇ、子供の頃からフォークソングが大好きでしてね、ちなみに最近のイチオシはイギリスはハンプシャー出身のマリカ・ハックマンというシンガーソングライターで、彼女が2015年に発表した1stアルバム『We Slept at Last』が私の怪談朗読用BGMに打ってつけの、それこそ「コン コン コン コン 釘を刺す」といった感じの地獄少女的なインディフォークで、そのアルバムは今でも愛聴盤なんですよねぇ」

new_スクリーンショット (34)「そんでもって、そのマリカ・ハックマンが約二年ぶりに新作を発表したっていうんでね、さっそく音源を再生してみたら、いきなりインディロックみたいな音が聴こえてきて、(妙に変だなぁ?)って。だっておかしいじゃない、マリカと言ったらアコギを片手に語り弾きするスタイルなのに、まるでアンプに通電された電子的なギターが聴こえてくるんだもん」

new_スクリーンショット (34)「いやいや、そんなはずないと思って、改めて目を閉じて音に集中して聴いてみたんですよ。するとねぇ、遂にはマリカの肩の辺りに4人の女の背後霊みたいなのがスッと浮かんできて、(うわぁ~~~嫌だなぁ~怖いなぁ~って)、全身に鳥肌がグワ~~~~!!って立った瞬間...私ねぇ、気づいちゃったんですよ」

「あぁ、これThe Big Moonだって」
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リアルにこんな感じで、一曲目の”Boyfriend”からオルタナ/インディロック然としたギターが聴こえてきて、「聴く音源間違えたか?」と思ったら、直後にどう見てもマリカの「あの声」にしか聴こえない倦怠感むき出しの歌声が聴こえてきて、これにはマリカだけにマジカってなった(えっ)。それもそのはず、今作の『I'm Not Your Man』は、マリカがティーンエージャーの頃に夢中になっていた伝説のバンドNirvanaに対する懐かしい「思ひ出」と強い「憧れ」を実現させるために、いま最も注目されているロンドンのガールズバンドことThe Big Moonをバックバンドに迎えて制作された、過去最高にマリカのパーソナルな部分が反映されたアルバムとなっている。 

イギリスはハンプシャー出身、グレーター・ロンドンを拠点に活動する1992年生まれのマリカ・ハックマンは、カバーアルバムや複数のEPをリリースした後、22歳の時にalt-Jを手掛けたチャーリー・アンドリューをプロデューサーに起用した1stフルアルバムのWe Slept at LastDirty Hitから発表すると、その卓越したソングライティングと例えるなら「女版スティーヴン・ウィルソン」の如しマルチプレイヤーとしての才能が一部のSSW界隈で話題を呼んだ。それから約18ヶ月の間に、マリカは新しいマネージャー探しと大手ユニバーサル傘下のAMF Recordsに移籍して、身の回りの全てを一新して24歳になったマリカ・ハックマンは、再びチャーリー・アンドリューをプロデューサーに迎え、私はあなたのモノじゃない的な意味深なタイトルを掲げた2作目の『I'm Not Your Man』で僕たちに一体ナニを訴えかけるのだろう。 

そもそも、マリカ本人がティーン時代の非モテ喪女に扮する「ポップ」なアートワークからして、「足フェチ」ならジャケ買い必須だった前作のフェティッシュかつダークなアートワークをはじめ、その内容も「UKの森田童子かよ」あるいは「山崎ハコの呪い かよ」ってツッコミ不可避な、アコギ一本で語り弾くような陰鬱かつアンチ・ポップ的な本来の作風とはかけ離れたものとなっている。今作の大きな特徴であるThe Big Moonとの邂逅、すなわち"バンド・サウンド "とマリカの邂逅、実はその伏線というのは既に前作の"Open Wide "という、アコギではなくエレクトリックなギターをフィーチャーしたWarpaint顔負けの楽曲にあって、端的な話、今作はそのバンド・サウンド的な方向性を推し進めたスタイルで、前作の時に「女版スティーヴン・ウィルソン」やら「Storm Corrosion」やら「Trespassers William」やらの名前を出して、それこそThe Cure『Faith』を神と拝める2:54Esben and the WitchをはじめとしたUKロックとの親和性の高さに言及したとおり、もはや完全に俺得な音楽性になっていた。そしてもう一つ、今作を語る上で欠かせないポイントがあって、それは今作がアメリカではSub Pop Recordsからリリースされている所で、ご存じSub PopといえばNirvanaの歴史的名盤『Nevermind』をはじめ、今はなきクリス・コーネルSoundgardenらと共に90年代のグランジ・ムーヴメントを作り出した一番の立役者である。

実はというと、マリカはハタチの頃に『Free Covers EP』なる、その名の通りカバーアルバムをリリースしていて、それこそ、そのカバーアルバムが本作における二大キーワードとなる「Nirvana」「Warpaint」、それらと今のマリカを繋ぎ合わせる 「原点」と呼べるものであり、その中でもニルヴァーナからの強いインフルエンスは、2曲目のリフ回しからボーカル・メロディをはじめ、それこそニルヴァーナ屈指の名曲"Come As You Are"のカバー曲かと思うほど、特にバックのサウンド面から顕著に現れており、思えば1曲目の"Boyfriend"のサビのバッキングは名曲"Smells Like Teen Spirit"を彷彿させるし、3曲目の"Gina's World"に至ってはWarpaintのEP『Exquisite Corpse』リスペクトなリズム&グルーブ感溢れるドリーム・ポップで、今作のコンセプトとなる「原点回帰」はアルバムの序盤から惜しげもなく発揮されている。

陰鬱なシンガー・ソングライターから一転して、バンド体制という自らがやってきたことへの根底を揺るがしかねない大きな変化が起こって、一体どうなるもんかと思いきや、そこはもともとオルタナ/インディ・フォークとしての側面を持ち合わせているだけあって、バックのThe Big Moonが奏でるオルタナティブなバンドサウンドと自然に共振する部分は思いのほか沢山あって、事実マリカの憂鬱な歌声はこの手のダウナー系のグランジ/オルタナ系のサウンドと驚くほど違和感なくマッチする。もはや、馴染みすぎて逆にこれまでフォークソング歌ってた人間には思えなくて、にこやかな顔で互いに笑顔を振りまきながら、仲良くセッションしている様子が浮かんでくるような息の合ったファミニンなグルーヴ感は、既に本当に実在する五人組のロックバンドのようなライブ感を放っている。つまり、マリカの音楽的な根っこの部分は何一つ変わっちゃあいないし、紛れもなくマリカにしかなし得ない「呪いの音楽」である。そして人々は、このアルバムをレディオヘッドとウォーペイントの間にある音楽と呼んだ。

その「不変的」な部分、それは前作でも垣間見せたスティーヴン・ウィルソンとも共振する、いわゆるPost-Progressiveなセンスおよび叙情的な雰囲気は、3曲目の”Gina's World”を皮切りに、今作を象徴するかのようなインディ・ポップ然とした4曲目の”My Lover Cindy”を間に挟んで、山崎ハコ系の5曲目の”Round We Go”や森田童子系の”Violet”、再び”らしさ”に溢れた”Cigarette”というインディフォークナンバーを間に挟んで、そして今作のハイライトを飾る、ウォーペイント最大のクソ曲こと”Disco//Very”リスペクトかと思いきや中盤でPost-化する8曲目の”Time's Been Reckless”や初期ウォーペイント然とした10曲目の”So Long”などの、決して一筋縄ではいかない曲構成はまさにこれぞマリカ節といった感じだし、むしろ今回バンドサウンド中心になったことで、よりそのPost-感というのが立体的に表面化し、結果的に音の強弱、いわゆる静と動のコントラストというマリカの武器に更なる磨きがかかっている。同時に、ザ・ビッグ・ムーンを交えたユルくて賑やかなコーラスワーク、こだわり抜かれたミニマルなフレーズ、前作でも垣間見せたマルチミュージシャンとして更に洗練された多彩なアレンジ、そしてPost-系ならではの楽曲構成力とダウンテンポからアップテンポまで何でもござれな底知れぬソングライティング、それらマリカの無理難題にも近いハイスペックな要求に対して、このザ・ビッグ・ムーンは「バックバンド」だからと言って一切の手抜きをすることなく、持ちうる力の100%いや120%の力で答えている。つまり、今作はマリカとザ・ビッグ・ムーン、双方の強い信頼関係により成り立っている作品とも言える。

確かに、前作で獲得した暗鬱フォークフアンからは「脱フォーク化」したと非難轟々かもしれないが、しかしマリカは今作に対して「これもまた私の脳の一部」であると語っており、僕はこの言葉を聞いて「これぞオルタナティブアーティストならではの考え方だ」と彼女を賞賛するしかなかった。それはマリカが過去最高に感情を表に爆発させる実質ラストの”I'd Rather Be With Them”という曲一つ取ってみても、それこそ「私はあなたのモノじゃない」というタイトルの意味が全てを物語っていて、実際にこれ聴いちゃったらもう前作のが良かったなんて軽々しく言えないです。むしろ逆に、チャーリー・アンドリューという名高いプロデューサーと今話題のガールズバンドがバックに付いてて傑作以外のモノを作るほうが難しいというか、正直こんなに贅沢なアルバムってなかなかお目にかかれないと思う。こう言っちゃあなんだけど、今年リリースされたザ・ビッグ・ムーンの1stアルバムより良いし、正直今のウォーペイントよりよっぽどウォーペイントらしいことしてます。

とにかく、その二組の偉大なる「裏方」の協力によって、マリカの「ミュージシャンとしての才能」は元より、「フロントウーマン」としての才能が花開いたのも事実で、つまりこのアルバムには「マリカ・ハックマン」の名をここ日本の(ホステス界隈を中心とした)音楽リスナーに知らしめるには十分過ぎる、マリカの「オルタナティブ」な魅力と質の高い楽曲とユニークなアイデアに満ち溢れた作品だ。しっかし、自分自身なんでこんなにマリカ・ハックマンの歌声に魅了されるんだろうと疑問に思って、もしやと思ってマリカの誕生日を調べてみたらやっぱり「2月生まれ」でマリカってなった(えっ)

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赤い公園から佐藤千明が脱退することについて

最近、PCがブッ壊れて修理に出した結果、どうやら蘇生不能みたいで、実はPCが戻ってくるまで更新停止するつもりだったけど、今はこうやってiPadから記事を更新している。何故なら、この件に関してはどうしても黙っちゃあいられなかったからだ。

さすがにバビった。赤い公園からボーカルの佐藤千明が脱退すると聞いて、遂に僕と漫才コンビを組んでくれる気になったのか?と思ったら違った。と言うのも、数年前に赤い公園がやってた深夜のラジオ番組に、ラジオネーム【スティーヴン・ウィルソン】で「佐藤千明のうるせえなあ!というツッコミをベースにした漫才コンビ組んだらM1準々決勝くらい狙える気がする」的なメールを送ったら、それが採用されて読まれた思い出を持つ自分としては、今回の佐藤千明の脱退発表は正直かなりエモい状況。まさか、2015年の『マンマンツアー』を観に行って以来、赤い公園から距離を置いていた僕が(シングル乱発してたのは知ってた)、再び赤い公園に強い関心を示すことになる出来事が、まさか佐藤千明の脱退だなんて思いもよらなかった。

しかし津野は一体ナニをやっとんねんと。もちろん、佐藤千明が恐らく悩み抜いて出した脱退という結論に対して、僕たちフアンがどうこう言う筋合いはないのだけど、本当に「まさか」というか、まさか赤い公園に限って「そういうこと」は起こり得ないと、むしろ私がおばさんになーってもバンド続けてる様子が容易に想像できるくらい仲良しバンドだと、結果的にそれは「ただの思い込み」だったのかもしれない。まさか先月℃-uteが解散したせいで津野がただメンヘラを拗らせただけなのか…?そうであって欲しかった。しかし現実は違った。その佐藤千明は脱退理由として→赤い公園で過ごした7年の年月は、控えめに言って、最the高でした。その中で、自分の手に負えないほどのズレが、生じてきていることに気付きました。そのズレにぶつかり、擦り合わせようと出来る限りの努力をし、最善を尽くしましたが、ズレはどんどんと大きくなっていきました。そのズレが、迷いとして音楽にまで介入してきた時、赤い公園のボーカルという使命に、限界を感じましたと述べている。この言葉の中で一際目を引く自分の手に負えないほどのズレとは一体何なのか?

確かに、昨今のガールズバンドが売れるためには、特にフロントマンとなるボーカルにはその歌声以上に高いルックスが求められるのも事実だ。これはもう「しょうがない」ことなのかもしれないが、しかし唯一赤い公園に限っては例外だった。赤い公園は佐藤千明がフロントマンに立って初めて成立するバンドだからだ。事実、これまでの作品、特に僕が10年一度の名盤だと思っている『猛烈リトミック』は、佐藤千明が居たからこそなし得たアルバムだと。だから単純に不仲ゆえの脱退とは思いたくないし、そうは思えない。今回の件で「赤い公園は津野マイサのバンド」と再認識されるかもしれないが、しかしこれは「そういう問題」ではない。あえて「そういう問題」だとするなら、それこそ初期の頃こそ作詞作曲なんでもござれな津野のコンポーザーとしての才能だけ注目され、そしてその頃はまだ津野は赤い公園という名の「檻」の中で、ゴリラもとい佐藤千明を自由自在にコントロール(調教)できていたんだと思う。しかし、バンドが様々な経験を重ねていくにつれて、佐藤千明はフロントマンとしての才能およびボーカリストとしての才能を開花させ、そして日に日にバンドにおける存在感と権限を強めていった。そして遂に、佐藤千明は津野のコントロール(調教)が効かないほどの猛獣へと成長してしまったのだ。まさに、今の佐藤千明は檻から解き放たれたゴリラだ。ゴリラとなった佐藤千明は、生まれて初めて津野と「絶対的な関係」ではない「対等な関係」を求めたのだ。脱退はあくまでもその結果でしかなくて、これは「なるべくしてそうなった」と捉えるべきだ。あくまでこれは妄想の域を出ない話だが、しょうもない不仲説よりも、こんな風に解釈した方が面白いというか、つまり目出度く2013年に『公園デビュー』した佐藤千明は、彼女自身を最も強く成長させた『猛烈リトミック』経て、2016年には無事に『純情ランドセル』を背負い、そして四人体制では最後のアルバムとなる『熱唱サマー』を最後に「赤い公園」から卒業するんだって。

こう見えてメンヘラ拗らせてる津野よりも、実は佐藤千明の方がナイーブな考え方を持っているなんて事は、様々なインタビューを通して見れば分かるし、これは別に関係ないことかもしれないが、実は佐藤千明だけツイッターをやってなかったりする。とにかく、佐藤千明の脱退で一番デメリットを被るのは他ならぬ津野含めた残りの三人だろう。既に佐藤千明以外の三人はスリーピースバンドとして赤い公園を継続していくとアナウンスしているが、スリーピースってことは、新しいボーカルはどうなんの?とか、確かに今はまだ気が早いかもしれないが、正直この時期にフリーで歌える女ボーカリストってお…

ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ゛ああ!!

リアルに鳥肌たった。さっき℃-uteって書いた時は何も思わなかったけど、何故かこのタイミングで「鈴木愛理」の名前が脳裏に浮かんだ、けど…さすがにそれはネーよ。でも、正式メンバーはネーにしても、津野は愛理が「歌える場所」を提供する気マンマンだと思うし、間違いなく愛理に楽曲提供する気マンマンなのはバレバレだぞ津野マジで。つうか、℃解散からの佐藤千明脱退からのPCボンバーとか…ヘラりたいのはこっちだっつーのマジで。ザケンナ津野マジで。これもう完全にナントカタイムズのせいだろ。やっぱあいつらクソだわ(八つ当たり)。

こうなったからにはもうどうしようもないというか、佐藤千明には8月まで赤い公園のフロントマンとしての人生を悔いのないよう精一杯全うしてほしい。ただただ、それを願う。今後なんて、佐藤千明レベルの 芸人もとい歌い手ならどの舞台どの業界でもやっていけるハズだから何も心配してない。むしろ他の三人の方が心配だ。今後 、どのツラ下げて赤い公園名乗っていくんだ。相当困難な未来が待ち受けているのは目に見えているし、フアンよりも残されたメンバー三人が佐藤千明というオモロイ存在、あるいはその亡霊の影に苦しむ事になるだろう。この試練をどう乗り越えるのか?皮肉なことに、今回の件で赤い公園こそ 「いま最も目が離せないガールズバンド」となってしまった。
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