02. World War Now
03. Satan Is Real
05. Gods Of Violence
06. Army Of Storms
07. Hail To The Hordes
08. Lion With Eagle Wings
09. Fallen Brother
10. Side By Side
11. Death Becomes My Light
いわゆる「ジャーマンスラッシュ三羽烏」の一角を担うKreatorが2012年に発表した『Phantom Antichrist』は、OpethやAmon Amarthを手がけたイェンス・ボグレンをプロデューサーに迎え、ドイツ流の伝統的なスラッシュ・メタルとスウェーデン人が編み出したイエテボリ・スタイルすなわち北欧メロデスが融合した、もはや「ドイツ人」の皮をかぶった「スウェーデン人の音楽」だった。その前作から約5年ぶり、通算14作目となる『Gods of Violence』でも再びイェンス・ボグレンとのタッグが実現、その内容も前作同様に、いやそれ以上のコンセプトを掲げて「ドイツ人×スウェーデン人」の連合軍が織りなす超絶epicッ!!なイエテボリ型スラッシュ、その再演を果たしている。
アメリカの新大統領にアナル・トランプが爆誕したことにより、地球最後の瞬間を概念的に表す「世界終末時計」の残り時間が2分30秒になって世界大戦間近か?と皮肉られている最中、このKreatorの『Gods of Violence』では、幕開けを飾る壮大なイントロに次いで、二曲目の”世界大戦いま!”からして、世界中の人々がアナル・トランプに冷ややかな視線を送る中、我先にとアナル・トランプのアナルをペロリンチョしに駆けつける極東のアナべべ・マリオを痛烈に皮肉るかのような、それこそアナル・トランプの移民受け入れをめぐる発言に対するスウェーデン人の「怒り」が暴虐的な憎悪となって、そして一昨年の2015年以降、より強固になったイェンス・ボグレンの「黄金のリベラリズム」が、世界中で打倒アナル・トランプを掲げた暴動を巻き起こすような、それこそ世紀の独裁者アドルフ・ヒトラーを生んだドイツ人とスウェーデン人に流れるスカンジナビアの血が脈々と噴き出すかのようなキラーチューンだ。あらためて、やはりイェンス・ボグレンという男は、「いま世界で最もリスペクトできる男」なのかもしれない。
そのアナル・トランプに対する強烈な皮肉が込められた#2”世界大戦いま!”から、畳みかけるように「悪魔=サタン=アナル・トランプは現実にいる」と皮肉ってみせる#3”Satan Is Real”、Epicaの”Martyr Of The Free Word”ばりのエクストリーム・スラッシュの#4”Totalitarian Terror”、アコギとハープのエキゾチックな音色が織りなす楽園の如し神秘的なイントロから、一転してゴリゴリのスラッシュへとギアチェンする表題曲の#5”Gods of Violence”、ミドルテンポでよりヘヴィな重さに比重を置いた#7”Hail To The Hordes”、再び神秘的なイントロからガチガチのイエテボリ・スラッシュにギアチェンする#8”Lion With Eagle Wings”、再びミドルテンポでグルーヴィに聴かせる#9”Fallen Brother”、再び緩急を効かせた#10”Side By Side”、そしてドラマティックに展開するラストの#11”Death Becomes My Light”まで、基本的には前作の流れを汲んだイエテボリ型のスラッシュ・メタルに変わりないが、今の時代だからこそ「説得力」のあるメッセージ性の強いシミカルな歌詞を、痰を吐き散らすように吠えるミレのパンキッシュなスクリームと、スラッシーな「速さ」よりもヘヴィな「重さ」を重視した曲調、そして「世界大戦前夜」とばかりに世紀末的な世界観を際立たせるギミック面が絶妙にマッチアップした作品だ。
前作の『アンチクライスト』では神の存在を否定したが、一転して今作では神の「怒り」を表現している。 前作は「イェンス・プロデュース」ならではのギミックがモロに曲調に反映されていたが、今作ではその「イェンス・プロデュース感」は希薄で、俄然タイトで俄然ヘヴィな変化球なしのド直球なスラッシュ・メタルを展開していく。個人的には、超絶epicッ!!な北欧メロデス全開のイェンス節に溢れた前作のが好きだが、これは完全に好みの問題だと思う。少なくとも言えるのは、良くも悪くも「二作目のイェンス・プロデュース」といった感じの作風だということ。
★この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
Gods of Violence
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Kreator
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