Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2016年02月

Riversideのギタリストピョートル(弟)逝去

嘘だろ・・・?

SikTh 『Opacities』

Artist SikTh
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EP 『Opacities』
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Tracklist
01. Behind The Doors
02. Philistine Philosophies
03. Under The Weeping Moon
04. Tokyo Lights
05. Walking Shadows
06. Days Are Dreamed

復活 ・・・2001年にイギリスはワトフォードで結成された6人組のSikThは、2002年にEPの『How May I Help You?』で鮮烈なデビューを飾り、2003年には1stフルアルバム『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』を発表、そして2006年に傑作と名高い『Death of a Dead Day』をリリースし、その破天荒で複雑怪奇な展開とラップ&ハイトーンのツインボーカルを駆使した、言うなればハチャメチャごった煮エクストリームおっぱいサウンドでリスナーのド肝を抜き、一瞬にしてその名をアンダーグラウンド・メタルシーンに轟かせた。しかし2008年に解散。今なお一部のフアンの中ではカルト的な、一種のレジェンド的なバンドとして崇拝されている。そんなドチャクソ変態クソ野郎が解散から約7年の時を経て、かのPeacevilleから奇跡の復活作となるミニアルバム『Opacities』を発表した。



音合せ ・・・幕開けを飾る#1”Behind The Doors”からして、Textures顔負けのグルーヴィなヘヴィネスを乗せてメタルコアっぽく始まり、ドレッドヘアをチャームポイントとするミキー・グッドマンのラップとバンドの中心人物であるジャスティン・ヒルによるエモいハイトーンボイスが奇妙奇天烈に絡み合い、転調を効かせた中盤以降の展開もSikThらしさに溢れている。次の#2”Philistine Philosphies”では、俄然USヌー・メタル的な縦ノリグルーヴを効かせたモダン・ヘヴィネスとミキーのアヴァンギャルドなラップ、そして今世紀最大のエモーションをブチかますジャスティンの超絶ハイトーン・ボイスに胸を打たれ、そして全盛期のSikThがカムバックしたような転調以降のテクデス然とした展開は、これは紛れもなくシクス、変わらないシクスの完全復活を宣言するかのよう。その後も、今作をリリースした直後に来日公演を行うほどの親日家ぶりを垣間見せる#4”Tokyo Lights”を織り込みながら、初期のマスコア的な要素とアトモスフィアを取り入れた#5”Walking Shadows”、バンドの新機軸を予感させるPost-的要素を取り入れた#6”Days Are Dreamed”まで、流石に復活前のメカニカル感やドが付くほどぶっ飛んだ変態度こそ薄いが、全盛期のシクスと比べると比較的素直というかマジメなグルーヴ・メタルやってて、でも中には新しい試みを垣間見せたりして、そう遠くない未来に出るであろうフルアルバムに俄然期待を持たせる、この全6曲トータル27分に凝縮された音から次作を無限大に妄想させるような一枚だ。というより、彼らにとってこのEPはあくまでも顔合わせ、すなわち音合せ(サウンドチェック)程度の実力に過ぎないのかもしれない。

元祖 ・・・解散から7年の間、この手の界隈には様々な変化が起きた。中でも筆頭なのはDjentの台頭で、シーンを代表するUSのペリフェリーやUKのテッセラクトをはじめ、この手のジャンルやテクデス界隈のバンドでシクスの影響を受けていないバンドなんてこの世に存在しないんじゃないかってくらい(その影響は日本のマキシマム・ザ・ホルモンにまで及ぶ)、スウェーデンのメシュガーとともにDjentの元祖であり、Djentの原型を作り出した偉大なバンドである。彼らが冬眠する間、ペリフェリーやテッセラクトがシーンを牽引し、共に3作目でこれまで"アンダーグラウンド"なジャンルだったジェントを"メインストリーム"にブチ上げることに成功した。もはやシクスが産み落とした子(後継者)が親から授かった使命を貫き通し、切磋琢磨し合いシーンの『未来』を切り拓いていく姿に、子が親という偉大な存在を超えていく姿に、僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

新世界の神 ・・・テッセラクトのフロントマンことダニエル君が『惑星ポラリス』の中で「俺がジェント界の夜神月だ」とシーンに宣言したこのタイミングで、夜神月の「新世界の神」となる『野望』を阻止するため、ニアとメロのツインボーカル率いるシクスは復活したんだ、という風に考察すると俄然この手の界隈が面白く見えてくるかもしれない。ともあれ、このEPは「フルいけるやん!」と確信させるような、文句のつけようがない復活作です。
 
Opacities
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Sikth
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【2/17】 Between the Buried and Me 『- THE COMA ECLIPTIC TOUR IV -』@今池3STAR

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メンバーが飛び入り参加したチャーチズナイトの盛り上がりを尻目に、それに対抗して、(未だに2015年の年間BEST記事を書いてないにも関わらず)BTBAMナイトに行くという行為・・・エモい。ほぼ同時期に来日が予定されているソイルワークと天秤にかけて、イェンス・ボグレンとの引かれ合いが実現した昨年の新作『Coma Ecliptic』が、プログレ好き的に面白い内容だったから、というのは嘘で、4kと7kの差により結局BTBAMの来日公演に行ってきた(本当はチャーチズが観たかったなんて言えない)BTBAMは三度目の来日らしいけど、自分は今回初めて彼らのライブを観る。この来日公演は、言わずもがな昨年の『Coma Ecliptic』に伴うジャパンツアー、その名も『- THE COMA ECLIPTIC TOUR IV -』(『- THE COMA ECLIPTIC TOUR IV -』とは言ってない)、予習バッチリでライブに望んだ。

会場は今池3STARというライブハウスで、自分の記憶が正しければ数年前のAlcestのライブ以来だ。BTBAMの出番は8時とのことで、7時半くらいにライブハウスへ入ると、前座のデスメタルバンドがいい感じに会場を温めていた。客入りは低く見積もって50人、盛って60人くらいかな。【名古屋×平日】という死の組み合せを考えると十分健闘したと思う。だって『伝説の名古屋公演』ことデフヘヴンの客入り13人と比べたらもはやソールドアウトみたいなもんでしょ?それは兎も角として、いわゆる「名古屋飛ばし」をしないBTBAMとデフヘヴンに改めて敬意を表したい。

8時になる10分前に前座が退き、本公演のメインアクトであるBTBAMのサウンドチェック後、8時ちょい過ぎに開演、そして遂にBTBAMのメンバーが登場。ヒゲを蓄えたフロントマンのトミー・ロジャースは完全にキアヌ・リーブスそのものでちょっと笑った。オープニングSEに次いで、新作『Coma Ecliptic』のリードトラックとなる”The Coma Machine”で幕を開ける。Dream Theaterリスペクトなイントロから、新作で最も大きな”変化”を遂げたトミーの変幻自在のボイス・パフォーマンスを中心に、静と動のメリハリを効かせた俄然タイトでヘヴィな音世界を構築していく。はじまりの挨拶はオシマイとばかり、彼らの存在を世に知らしめる事となった名盤『Colors』(A)からの(B)とかいう流れで、もうなんかこのライブが新作に伴うツアーとか忘れるくらいのガッツポーズ。それ以降は、新作からは”The Ectopic Stroll””Famine Wolf”の二曲、過去作からは『The Great Misdirect』のオープニングを飾る”Mirrors”からの”Obfuscation”を筆頭に、ツアータイトルからして新作中心のセトリと思いきや、過去作の代表曲を織り交ぜた、新旧のフアン共々満足いくセトリだったように思う。

個人的に、新作で一番好きな”King Redeem / Queen Serene”がセトリになかったのは少し残念だったが、新作から披露された三曲を聴くだけでも、過去作との違いが明瞭に表れていた。バンドの特徴だったカオティック/ハードコアな要素は影を潜め、特にトミー・ロジャースのユニークなボイス・パフォーマンスをはじめ、Dream TheaterHakenをはじめとしたプログ・ロック風の奇想天外摩訶不思議な塩梅をまぶしたプログレ然としたサウンドに、彼らの進化を垣間見た気がした。DT的なサウンドからOpeth的なサウンドへと一瞬にして姿を変える様は、まるで大道芸人の早着替え芸、あるいは中国の伝統芸能『変面』さながらだ。なんつうか、「一度で二度、いや三度美味しい」みたいな、まるでフルーツバスケットを食べているような楽しさ、かと思えばジェットコースターばりに急転直下なスリリングを体験させる、とにかく音は混沌としているのに場(雰囲気)は整然としている、その音のギャップに色々な意味で酔いしれる事しかできなかった。もはや「激しい」というより「心地いい」と言った方が「シックリ」くるくらい、それこそAlcest顔負けのドリーミーでオシャンティなATMSフィールドを展開していた(アンコールとかほぼ寝てた)

トミーのフロントマン然としたボイス・パフォーマンスはさることながら、それを差し置いてやっぱり楽器隊のテクが尋常じゃなかった。リードギターはAll That Remainsの仙人ギタリストみたいな雰囲気あったし、もう片割れのギターは大仏のように立ち位置の下手から微動だにしなくてウケた。そんな感じで、なんやかんや言うてもいいライブ初めになったんじゃねーか的な。このバカテク全開のライブ観た後にソイルワークのライブ観たら「ビョビョビョビョーーーーン!!」ってなるのが目に見えてるからソイルは行かないです。しっかしホステスさん、チャーチズレベルで東京一日だけとかキツイっす・・・(未練タラタラ)

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TesseracT 『Polaris』

Artist TesseracT
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Album 『Polaris』
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Tracklist

01. Dystopia
02. Hexes
04. Tourniquet
05. Utopia
06. Phoenix
08. Cages
09. Seven Names
 
『十二支ん会議』
十二支ん会議

十二支ん会議 ・・・TesseracTKscopeの運命の引かれ合い、その伏線というのは過去にあって、それは当ブログの2013年度の年間BEST記事でも紹介したように、その年のイギリスの著名なプログレ専門雑誌『Prog Magazine』の年間BESTアルバムに、Kscopeの最高責任者兼CEOことスティーヴン・ウィルソン『The Raven That Refused To Sing』に次いで、TesseracTAltered Stateが二位に選出されたのだが、この時SWの号令によりKscopeおよびPost-Progressive界隈を取り仕切る幹部勢が緊急召集され、いわゆる現代プログレ界の『十二支ん会議』が秘密裏に執り行われた結果、満場一致でTesseracTKscope入りが『許可』された、そんな嘘のような本当の話がある(ネーよ)。

シックリ ・・・話は変わるけど→おいら、子供の頃から『MGS』ことメタルギアシリーズのフアンで、しかし新作が発売される度に「そういえばMGSってコナミのゲームなんだよな」みたいな、違和感というほどじゃあないけど妙なモヤモヤ感は無きにしもあらずで、とはいえ「コナミ以外から発売されるMGS」なんて想像もつかなかったし、なんだかんだ「MGSはコナミのゲーム」という認識は揺るぎなかったし、それについてこれ以上深く考えることはなかった。何を隠そう、このTesseracTCentury Mediaから華々しいデビューを飾り、これまで複数の作品を発表し続けていたのだけど、先ほどのコナミとMGSの関係性じゃあないが、やっぱり「妙な違和感」というのを感じていて、そして2ndアルバムAltered Stateを聴いた時にその違和感というのが自分の中で不快感に変わるくらい大きくなっていた。しかし、3作目となる『Polaris』Kscopeからリリースされると聞いた時は、驚きとともにこれまでの「妙な違和感」は完全に払拭され、なんだろう、パズルの最後のピースがハマった時のように物凄く「シックリ」きた。それはメタルギアシリーズの生みの親である小島秀夫監督がコナミを退社し、新しいプロジェクトをソニーの元で制作することを発表した時と全く同じで、どうだろう、思いのほか「シックリ」くるじゃあないか。

雇われ ・・・何も「シックリくる」のはそれだけじゃあない。おいら、過去の記事で「ジェントは雇われボーカルで、アルバムを出す度にボーカルが脱退するのがジェント界のオキテ」的な事を書いたような気がするのだけど、その伏線を回収するかのように、2012年に実質五代目ボーカリストとしてテッセラクトに加入したFF系イケメンデブことアッシュ・オハラ君が、いわゆる「音楽性の違い」を理由に2014年に脱退。その後任としてバンドに招き入れられた人物こそ、他でもないテッセラクトの三代目ボーカリストダニエル・トンプキンス君が奇跡的な復帰を果たしてる。ダニエルくんといえば、メタルシーンに衝撃を与えたデビュー作のEP『Concealing Fate』、その組曲で構成された1stフルアルバム『One』のボーカリストで知られ、しかし長年の夢だったボーカル講師に専念するため2011年に脱退、彼の脱退はジェントシーンに大きな衝撃を与え、これからジェントムーブメントを起こすぜ!って時に、始まる前から早くもジェントの終わりを告げたかのように見えた。しかし、テッセラクトはアッシュ君を迎えて2ndアルバムの『Altered State』を発表し、絶対的な存在だったダニエル君が不在でもやっていけることを証明した。そして彼らは、再びジェント界のアイドル「スパイス・ボーイズ」あるいは「ジェント界のワンダイレクション」としての地位を確立したのだった。



三年後 ・・・目出度くダニエル君がバンドに復帰したのは良いとして、じゃあ実際のところ、アッシュ君の持ち味である高域中心のパフォーマンスに焦点を合わせた、ドチャクソエピカルなサウンド・スケープを形成していた『Altered State』の楽曲を、果たしてダン君は歌いこなせるのか・・・?という疑問にぶち当たる。しかし「安心してください、歌えますよ」とばかり、ダン君が復帰して間もなくテッセラクトは初のライブ作品『Odyssey/Scala』を発表し、そのライブの中でダン君は2ndアルバムの曲を完璧に自分のモノにすると同時に、まるで某漫画の『二年後』ならぬ『三年後』にパワーアップして「帰ってきたダニエル・トンプキンス」を新旧のフアンに復帰報告がてら堂々披露している。こうしてライブ映像およびダン君のライブ・アレンジ能力の高さと圧倒的なナルシー系ボイス・パフォーマンスを観ても、伊達に三年間ボーカル講師として修行積んでこなかったなというか、やはりテッセラクトのボーカルにはダニエル君が歴代の中でも一番「シックリ」くる、その事を再確認させる。要するに、いくらFF系のイケメンでもデブにはテッセのボーカルは務まらない、というわけだ。

惑星ポラリス ・・・そんな流れがあって発表された、3rdアルバムの『Polaris』を一言で表すなら、やはりダニエルの復帰およびKscopeに移籍した影響はあまりにも大きかった、ということ。彼らは盟友ペリフェリーとは違った形で、テッセラクトなりにジェントとかいうアンダーグラウンドな新興ジャンルをメインストリームにブチ上げようとしている。まず幕開けを飾る#1の”Dystopia”からして、前作の”Of Matter – Proxy”のポストジェント路線を素直に踏襲した、まるで機械都市を形成するかの如し無機的かつ理知的な変拍子サウンドとダニエル君の多彩なボイス&コーラス・ワーク、そして1stアルバムを彷彿とさせるアンビエント感マシマシな神秘的なサウンド・スケープに、俺たちのテッセラクトが帰ってきたと歓喜するのもつかの間、アウトロのアンビエーションな音響空間を引き継いで始まり、まるで映画『インターステラー』のメインテーマである”Cornfield Chase”の主旋律に通じる、まるでガルガンチュアの中を独りで彷徨うマシュー・マコノヒーのように猛烈な孤独感に苛まれる、トリップ・ホップ/アンビエンスなアトモスフィアを全域に噴出する始まりから、ゲストに迎えられたマーティン・グレッチの憂愁な歌声をフューチャーした曲で、そのマーティンとダン君による無慈悲なハーモニーが織りなす「存在の耐えられないエモさ」に、まるで時空の歪みのように胸が締め付けられる#2”Hexes”、UKポストハードコアあるいはOGのKarnivoolを彷彿とさせるダン君の潤いのあるボーカル・メロディを中心に、彼らが完全に歌モノ化したことを証明するかのような#3”Survival”、そして本作のハイライトを飾る#4”Tourniquet”では、彼らがPost-Progressive化したことを裏付けるポストロック然としたミニマルなリフ、そしてCynicポール・マスヴィダルあるいはUKのガールズ・グループが偶に歌ってそうなフェミニズムをまとった、女性ボーカル顔負けの繊細で美しすぎるダニエル君のボイス&コーラスでアンビエント・ポップ的な静寂を奏でる始まりから、「I Promise You.」とかいう無垢で真っ直ぐなリリックとともに、『ポラリス』=「こぐま座で最も明るい恒星」であるという物理学的な事実に基づいた、地上の暗闇を切り拓き星空を突き抜け、そして地平線を超えて『北極星』として煌めき放つかのような、これまでの全てのディストピアから解放するダニエル君の超絶ハイトーン・ボイスへと繋がった瞬間、人類は「エモさ」の限界点を超える。

本棚の裏 ・・・オープニングから続いたディストピアの世界から開放された彼らテッセラクトは、それと対になる楽園都市”Utopia”に辿り着く。ダニエル君の歌い始めから「ジェント界のメイナード・ジェームス・キーナン」を襲名するこの曲は、Destiny Potato顔負けの軽快なリフやラップ調のボイス・パフォーマンスを垣間見せたりと、それこそToolSikthというテッセの”ルーツ”を音楽という名の宇宙空間の中で紡ぎだすかのような一曲だ。そして、ライブ作品の『Odyssey/Scala』でも垣間見せた、ダン君の超絶ファルセットボイスが不死鳥のように銀河を駆け巡る"6”Phoenix”、今作の中では最も異色ながら最も普遍的なジェントでもある#7”Messenger”、それはワームホールさながら、それはアンビエンスな音の粒子が降り注ぐガルガンチュアを彷徨うマシュー・マコノヒーさながらの#8”Cages”、ガルガンチュアの底すらない暗闇(本棚の裏)に堕ちたテッセラクト(四次元立方体)は、彼ら(五次元)の意思を三次元の人類に伝えるメッセンジャーとして、本棚の裏から2進数を用いて超絶epicッ!!な感情を爆発させる#9”Seven Names”、そのアウトロの余韻あるいはカタルシスは映画『インターステラー』を観終えた時、あるいは漫画『ジョジョ6部』を読み終えた時と全く同じものだった。

new_new_1280x720「やっぱ俺ら、お前がいないとダメだわ。復帰してくれないか?」

new_new_1280x720kkm「・・・いいけど、一つだけ条件がある」

new_new_1280x720「・・・条件って?」

new_new_1280x720kkm「お前ら今日から俺のバックバンドな?」

new_new_1280x720「えっ」

new_new_1280x720kkm「バックバンドな?」

new_new_1280x720「は、はい・・・」 

new_new_1280x720kkm「ククク...(計画通り)」 

したたかな関係 ・・・賛否は間違いなくある。そう言い切れるほど、もはやダニエル君がバンド復帰する条件として→「自分中心のバンドになれ」という要求を提示し、その条件にリーダーのアクルが屈した、そんなダニエル復帰の裏取引があったんじゃあないかと邪推してしまうほど、その光景が容易に浮かんでくるくらい「ダニエル推し」のアルバムとなっている。これまでは、ボーカルは人工知能ロボットのように感情を制御された一つの楽器、一つの音みたいな役割を担い、その音の一つ一つの緻密な作業の積み重ねによって、バンドのコンセプトでもあるテッセラクト(四次元超立方体)を構築していく音楽性が彼らの特徴で、その点では前作はバンドとアッシュ君のエモ・ボイスのバランスは理想的だったが、今作では「絶対的なフロントマン」すなわち「ジェント界の夜神月」になりたいダニエル君側の思惑と、テッセラクトがKscope入りしてPost-Progressive化したことを界隈の幹部に認めさせたいアクル率いるバンド側の利害が一致した形と言える。つまり、これまで音の根幹を担っていたバンド側が、今作ではダニエル君のボイスという名のリード楽器に逆に引っ張られる形となっている。なんつうか、この一種の「したたかな関係」というかビジネスライクな関係って、まさしく「ジェント界のDream Theater」と呼ぶに相応しいというか、皮肉だがその「したたかな関係」が明るみになった所が、今作一番の面白さに繋がっているのも事実。しっかし・・・いいね~この関係性、ゾクゾクしちゃう。

答え ・・・これまでのジェント然としたポリカルなリフ/グルーヴ主体というより、ハンス・ジマーが手がけた映画『インターステラー』のサントラあるいはPost-P界の元祖であるピンク・フロイドリスペクトなアンビエンス/プログラミングを筆頭に、まさしくポスト-系特有のリリカルな展開力だったり、ラップやファルセットを駆使したダニエル君の実に"オルタナティブ"なボイス・パフォーマンスだったり、そして唯一のゲストがジェント界隈からではなくオルタナ界隈からという人選的にも、確信的にPost-Progressive界隈の音に直結したオルタナ/アート・ロック風のアレンジを軸に楽曲を組み立てている。当然、ジェントの特性である「音で聴かせるジャンル」として考えると、その「音で聴かせる」イメージは皆無に等しいし、もはやこれまでのテッセラクトとは別バンドとして捉えることも決して不可能ではない。もはやジェントというより"ポスト系"のバンドという認識を持つべきかもしれない。なぜなら、今作をジェントとして聴くと過去作と比べて数段格落ちしてしまうからだ。今作は、あくまでもポスト系のサウンドを主体に、そにへ調味料としてジェント成分を小さじいっぱいまぶしている形で、だからPost-Djentという呼び方がこれ以上「シックリ」くるものはない。それこそ、Leprousみたいなボーカル主導のポストジェントとして聴けば俄然「シックリ」くるハズだ。しかし、「歌えるボーカリスト」がフロントマンにいると必然的にこうなってしまうのは、もはや仕方のないことなのかなというか、これがテッセラクトなりの「ジェントをメインストリームにブチ上げる」ことへの答えなんだって。作品を重ねる毎に、初期の普遍的なジェントとはかけ離れていくという意味では、前作からのポストジェント化が著しく進行した結果、という風に納得できなくもない。でもまさか、先行公開時は地味に聴こえた”Messenger”が今作で最もギョントしてるなんて思いもしなかった。

黄金の距離感 ・・・極端な話、今作に対する評価って、『傑作』か『駄作』の真っ二つに別れると思う。勿論、Century Media在籍時のテッセラクトと比べると→「音がスカスカじゃねーか」とか「バンドのインストクソじゃねーか」とか、復帰したダニエル君に対しては「ボーカル講師の技能検定試験かな?」とか「オメーはニコニコ動画のインターネットカラオケマンかよ」とか「自慰行為はSkyharborでやれ」とか「バンドを私物化するな」とか、皮肉交じりにディスる輩も少なくないだろう。事実、それくらいボーカルアゲ↑↑からのバンドサゲ↓↓が顕著に出た作品だ。しかし、「Kscope所属のテッセラクト」であると考えれば、今作における変化は全て想定内の出来事でしかなくて、勿論Kscopeに移ったことで「音がスカスカ」になるという懸念は現実のものとなったが、アルバムを聴きこんでいく中で実は「スカスカじゃなかった」という結論に辿り着いた。それというのも→過去最高のボイス・パフォーマンスを披露しているダニエル君とバンドの距離感、パッと見「スカスカ」に思えた音の空間や隙間を埋めるアンビエンス/音響の今作における役割と存在感を考えれば、これ以上の音を入れる余地や空間はゼロに等しかったと『理解』できる。要するに→「最小の音数であることが最大の音数である」と言わんばかり、そのバンドの音とボーカルの音と粒子の音という名の無数の小さな四次元立方体が点と点で繋がって一つの大きな『惑星ポラリス』を創造し、その音と音の距離感は他でもない黄金比』で描き出された距離感であり、これは「欠けた鉄球は楕円球になり、完璧な無限の回転ではなくなる」という『ジョジョ7部』の主人公ジャイロ・ツェペリの鉄球理論と同じで、これ以上音数が増えたり減ったりしたらその時点で完璧な四次元立方体は完成しない、それぐらい極限まで研ぎ澄まされたサウンド・スケープは、まさしく「音のワームホール」としか他に例えようがない。自分も初め聴いた時は「もしかして駄作なんじゃねーかこれ」って思った。けど、どうだろう、これが黄金比』の距離感で形成された黄金の音』だと、この音の重力方程式を解明することに成功した瞬間、『駄作』が『傑作』に化け、そして気づくと僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

選ばれし者 ・・・この重力方程式を解き明かした結果→『彼ら』=???『意思』本棚の裏という【テッセラクト=四次元立方体】を介して、三次元の現代人に伝えるMessengerとして五次元の『彼ら』「選ばれた」のがTesseracTだったんだ。まさにProgressiveに『進歩』した「プログレの未来」を象徴するかのような一枚であり、そして何よりも「やっぱテッセのボーカルはダニエル君がナンバーワン!」だと確信させた一枚でもあり、そして「シックリ」とは『納得』することでもあるんだと思い知らされた作品でもあった。ちなみに、国内盤はANATHEMA『Distant Satellites』でもお馴染みのワードレコーズからという事で、昨年ANATHEMAの来日公演を実現させたセーソクとも信頼関係のあるレーベルなんでワンチャン来日を期待したいし、欲を言うならこのテッセラクトと同じく新作のLove, Fear and the Time Machineでポスト界入りを果たしたRiversideとのカップリングで来日したらリアルにマシュー・マコノヒー以上に咽び泣く自信あります。だからセーソク頼む!
 
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